春先のどか物語 ホロライブオルタナティブver.IF   作:天野空

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これはまだ春先のどかのコピー体が、Aちゃんの元に行く前のお話。
後に伝説の戦士と呼ばれた彼女のお話です。




第1話 miComet

(どうしてこうなったんだろう?)

私、春先のどかは沢山のGM専用戦闘服を着た人の中で、一緒に立っています。

私も同じような服を着て立っているのですが、なんか話が違うような…

私はリアルの春先のどかさんのコピーで、この【ホロライブワールド】に実装されたAIです。

実装される時のお話ではAちゃんさんの秘書として、実装されるってリアルの私が聞いているのを覚えています。

なのになんでこんなところで?

秘書になるにも訓練とか受けるんでしょうか?

「よく集まってくれた。

今回の訓練に突破した者が、次の第65期生GM隊員として各チームへと配属される」

私達の前に、体つきのいい男性が立っていて、大きな声で説明してくれています。

「もし、突破しなくても次があるから心配するな。

しかし、何度も落ちるのはよくない。

気合いを入れていけ!」

『はい!』

「ひゃ」

いきなり回りからの大きな声にびっくりしてしまいました。

「今回はフルスキャンをしてキャラ実装された者もいるみたいだからな。

期待している」

そう言ってその男の人は下がってしまいました。

代わりに別の男の方が出てきて、これからの説明をしてくれています。

私は配られた資料に目を通しながら、そのお話を聞きました。

簡単に言うと、これから1年間(ゲーム時間)【ホロライブワールド】の未実装エリアで訓練をするそうです。

その間はこちらには戻ってこれないみたいです。

休憩はきちんとあり、その時にログアウトして休むそうです。

(私の場合はログアウトしないので、ずっと未実装エリアにいないといけないですね)

そして、この訓練を突破すると晴れてGM実戦部隊に入れるというわけだそうです。

(もう、この時点でおかしいのですけど?

私は秘書課に配属のはずでは?)

「こんにちは」

「え?あ、はい」

資料を見て考えてる間に、話は終わってしまったみたいで、私は誰かに話しかけられました。

「あまり女の人いなかったから声かけちゃった。

もしかして、何か考え事してた?」

声をかけられた相手を見ると、少し背が低く服の上から見ても、とても立派なものをお持ちの可愛らしい女性でした。

「あ、いえ、ごめんなさい、ぼーとしてただけです」

私は慌ててそう答えました。

「そっか、私、リィスっていいます。

良かった仲良くしてね」

そう言ってリィスさんが手を差し出してきました。

変な場所にいて心細かった私は、すごく心強い申し出で、すぐに手をとり「よろしくお願いします」と笑顔で答えました。

それから、あれよあれよと話が進み。

私は運良くリィスさんと同室になったのでした。

 

「へぇ、のどかって言うんだ」

部屋で私の顔を見ながら何か不思議そうに言うリィスさん。

「な、何か付いてます?」

私は顔を触って確かめます。

「ううん、のどかってホロライブの運営さんにいて、その人に良く似てるなぁって思って」

(う、確かに本人ではないですが、コピー体なので)

「そ、そうですか?」

一応、AIである私がここにいるのはまずいかなと思い誤魔化しました。

「うん、似てる。

でも、AIがここにいるわけないし」

「ですよ」

リィスさんの言葉に笑いながら便乗しました。

「だよね」

リィスさんもそう言って笑います。

(なんとか誤魔化せたかな?)

私はそう思って胸を撫で下ろしました。

 

それから、GM部隊の訓練が開始されました。

「ほら、そこもっとキャラとシンクロして動け!」

「は、はい!」

教官の厳しい声が響きます。

(シンクロって言われても私の場合、この体は自分の体なんだけどなぁ)

もともと戦闘タイプではなくサポートタイプの体で実装された私は、訓練からかなりおいていかれていました。

「このままだと訓練が突破出来ないぞ!」

「は、はい、すいません」

私は息をきらせながらそう教官に答えます。

「大丈夫?のどかさん」

横に来たリィスさんが心配そうな顔で聞いてくれました。

「ありがとう、大丈夫」

私は少し無理していましたが、笑顔でそう答えました。

 

「それじゃ、おやすみなさい。

また、明日ね」

訓練も終わり、私達はご飯とお風呂に入った後、部屋に戻りました。

リィスさんはその後少し話をした後、ログアウトの為に布団に入りました。

私も一応、布団に入りましたがログアウトをする必要がありません。

すぐに静かになる部屋。

この時間帯は誰も起きてる人はいなく、この未実装エリアに作られた訓練場にある建物内では、起きているのは私だけです。

そっと布団を抜け出し、建物内から出ました。

ちょうど夕陽が綺麗な時間帯です。

未実装エリアといえど朝も夜もありました。

「ふぅ」

私は近くの岩に座りました。

(なんか、ついていけない…)

確かにサポート型ではありますが、それでも訓練についていけていない自分が少し情けなく思ってしまいます。

「みんなすごいなぁ」

この世界で自分1人になるこの時間。

とても寂しく感じてしまいます。

ましてや、こんな綺麗な夕陽が前だと余計に…

私は思わず夕陽をみないようにうつ向きました。

「どうかしたのかいお嬢さん」

「え?」

思わず顔をあげて声のする方を向きました。

(なんで?

この時間は誰もいないはずなのに)

そこにはつばの広い帽子をかぶり、コートを羽織った男性がハーモニカ?を手に夕陽に向かって立っていました。

「えっと?

どちら様ですか?」

「俺かい?

俺はそうだなぁ、さすらいの旅人ってところかな」

男性はそう夕陽に向かって答えました。

(えっと顔をこちらに向けてくれてもいいと思うんですけど)

そう心の中で思います。

「それよりどうしたんだい?

こんな場所に1人悲しそうな顔をして」

男性はそう言ってやっとこちらを向きました。

(格好いい人。

なんか見たことあるような気もするけど。

ってその前に)

「あなたはどうしてここに?」

「俺かい?

旅をしていたらいつの間にかここに迷い混んでね」

「旅ですか?」

「ああ」

彼は頷きます。

「でも、ここ未実装エリアですよ?」

「未実装?」

私の言葉に不思議そうな顔をする男性。

「はい、【ホロライブワールド】と言われるゲームの世界の未実装エリアです」

「ん?ゲーム?

え?ここゲームの中?」

何故か意味が分からないという顔をする男性。

「はい、ゲームの中です」

「え?あれ?

俺って現実に生きてるはずなんだけど?

あれ?

なんで?」

何かおかしなことを言いながら、考え事をし始める男性。

「いや、まさかゲームセンターで寝たのが悪かったのか?」

とぶつぶつ言っています。

「えっと…」

「ま、まぁいい。

それより君だ」

何か諦めたような顔をした後、彼は私に言ってきました。

「何か悩みがあるんじゃないのかい?

たぶんそれで俺はここに呼ばれたんだと思う」

「悩みですか…」

彼に言われて今の自分の姿を思い出しました。

「悩みって程でもないと思いますけど…」

私は今の自分が不甲斐ないと感じている事を彼に伝えました。

「そうか、君は自分に自信が持てていないんだな」

そう言って彼は頷きます。

「そう、なんでしょうか?」

「なら、これを君にあげよう」

そう言って彼は胸元からリングの様なもの取り出し、私に差し出してきました。

私はそれを受け取りました。

「これは?」

「もう、俺には必要のないものだ」

そう言って彼は剣のようなものを私に見せます。

「それは君に力を与えてくれるだろう。

しかし、もう1つ足りないものがあるな」

「では、それは私が用意しよう!」

「え?」

突然反対から大きな声が聞こえてびっくりしてしまいました。

「おっとこれは失礼、お嬢さん。

私は旅のカードコレクター武士道!」

そう言って鎧武者の格好をした人が立っていました。

「さぁ、これを」

武士道さんはそう言って1つの箱を私にくれました。

「これは?」

「君に必要なものだよ」

「ほう、確かにその箱に入っている物には魂を感じる。

それなら大丈夫だ」

そう言って頷きあった2人は夕陽に向かって歩きだしました。

「え?

ちょっとこれってどうやって使うんですか?」

私は夕陽に向かう2人に声をかけました。

「全てはその時になれば分かる」

と鎧武者の人。

「全てはそのリングとカードが教えてくれるさ」

とさすらいの旅人さんが。

各々そう言って歩いていきます。

「え?

ちょっと?」

私は追いかけようとしましたが、いきなり夕陽が輝き思わず目をつぶってしまいました。

しばらくして目を開けるとそこには誰もいなく、夕陽も沈みかけていました。

(幻?)

と思いましたが、手にはリングとカードが。

リングに付いている取っ手に手を入れて握ります。

何故か持ちやすい。

箱を見るとベルトも一緒に付いていたので、私はベルトを装備しました。

そのベルトには箱を入れるところも付いていました。

私は部屋に戻り、リングを机に置くとリングが消えてしまいます。

慌てて周りを見ましたがありません。

ステータス画面を開くと、装備品の中にオーブリングと書かれたアイテムがあります。

(たぶんこれかな?)

その後、私は箱の中身を確認しました。

「すごい」

中にはホロメンの皆さんのサイン入りのカードでした。

(それも最高レアリティのものばかり)

私はそれをベルトに取り付けると、ベルトと一緒に消えました。

装備品を確認するとホロメンフュージョンカードと書かれたアイテムがありました。

(これで何が出来るんだろう?)

私はそう思いながら布団に入ります。

ログアウトはないけど寝る事はできますから。

私は暗くなる世界の中、ゆっくりと目を閉じます。

(また、明日。

訓練頑張ろう)

 

『そして、運命の夜が明ける』

 

「本日はバグ処理を行ってもらう」

朝起きた、ログインした私達は、朝の朝礼でそう教官から言われました。

「バグ処理ですか?」

1人の訓練生が聞き直す。

「そうだ。

ある場所に向かってもらいそこにいるバグを倒してもらう。

このゲーム内では、バグは可視化されモンスターになっている。

それを倒す事でバグ処理が出きる。

今回はツーマンセルで行動してもらう。

同じ部屋の者と組むように」

「やったね」

教官の言葉に隣に座るリィスさんが、にこやかに笑いながら小声で言ってきました。

「うん」

私も笑顔で返しました。

やっぱり同室の人が一緒だと心強いですからね。

「あと、今から向かう場所のバグは、あまり強くわない。

今までの訓練で習った事を生かして無理はしないように」

『はい!』

教官の言葉に私達は返事をする。

「では、各自準備でき次第、転送室に来るように。

以上解散」

教官の言葉に私達は1度部屋に戻り、装備品の確認。

GM専用の戦闘服に着替えて転送室に向かいました。

「いよいよだね」

リィスさんと2人で順番待ちをしていると、次が私達の番です。

「リィス、のどかペア」

『はい』

名前が呼ばれて私達は転送装置に入りました。

「無理はするなよ」

教官のその言葉を受け、私達は戦場へ転送されました。

 

 

「ここが目的の場所…」

転送から到着した場所でぼーと前を見ていました。

「大丈夫?」

「え?」

「転送酔いしちゃった?」

隣で機関銃を装備したリィスさんが心配そうに私の顔を覗き込んでいました。

「あ、ありがとう大丈夫」

私も慌てて機関銃を装備する。

「まずは周辺の調査だね」

リィスさんに言われて私は頷きました。

そして、私達は辺りを警戒しながらバグを探し始めました。

 

「いないものだね」

あれから数十分いろいろと見て回りましたが、バグには会えていませんでした。

「このまま会わなかったり」

「だったらいいなぁ」

リィスさんの言葉に私は素直な意見を言います。

「ええ、それじゃぁ、訓練にならないよ」

リィスさんが笑います。

「だって、怖いじゃないですか」

そう私がリィスさんに言った瞬間。

私はリィスさんに押し倒されました。

「え?な、どうしたの?」

急な展開に焦る私。

しかし、リィスさんの顔は真剣そのものでした。

「なんであんなのが」

グギャァァァァ!

鋭い叫び声に自分の体が固くなるのが分かります。

「立ってのどかさん」

私はリィスさんに手を引かれながら立てります。

立てった私は、私が先ほどまでいたところに大きな穴が空いているのを見ました。

そして、リィスさんが睨んでいる方に私達の2倍もありそうなモンスターが。

「あれがバグ…」

「そうだけど、あれはバグの中でも上位のものだよ。

私達2人だけじゃ勝てない」

リィスさんは私を庇うようにしながら後ろに下がる。

「このままじゃ、2人ともやられてしまう。

のどかさん、私達が来た場所覚えてる?」

「はい」

「なら、そこに言って本部に通信して。

その場所なら本部に連絡がつくはずだから」

「でも、リィスさんは?」

「私は時間をかせぐ」

そう言ってリィスさんは足を止めました。

「ダメだよ。

2人で逃げよう」

「ダメ。

まだ、相手は様子見でこちらに向かってきてるけど、本気になればすぐに追い付かれる。

だから、のどかさんお願い」

リィスさんはそう言って私を押しました。

「絶対にやられないでください」

「がんばる」

私の言葉にリィスさんは、こちらをチラリと見て笑顔で答えてくれました。

私はリィスさんを背に、目的の場所に向かって走ります。

ギャオオオオオオ!

それを見たのでしょうか?

背後でモンスターの声が聞こえました。

そして、機関銃の音も。

私は夢中で走りました。

(また、私逃げてる。

大切な友達を置いて…)

走っていた足がいつの間にか歩いていました。

そして、立ち止まり私は後ろを振り返ります。

リィスさんがいる方角で爆発音が続いています。

このまま応援を呼びに行ってもたぶん間に合わない。

私はどうしたら…

その時、私の右手がいつの間にか昨日もらったリングを握っていました。

「これを使えっていうの?」

私はリングを見ました。

リングは淡い光を放ち、自らの使命が分かっているようでした。

私は目をつぶり、リングをぎゅっと握りしめ額に当てました。

(どうかわたしに力を貸して、大切な友達を守る力を)

『その願い受け止めよう』

「え?」

どこからか声がして私は目を開けました。

その声はリングから聞こえたようでした。

『さぁ、フュージョンカードを手に。

フュージョンアップだ!』

私はその言葉と同時に手を交差しました。

こうするんだと何故か分かっている自分がいました。

そして、私はリングを持つ手を前に出します。

リングから目映い光が放たれ私の周りの世界が変わりました。

そこは宇宙空間のようでした。

私の服もいつの間にかぴったりした黒いスーツに。

そして、私の左には2枚のカードが。

私はリングの中に1枚のカードを差し入れます。

そのカードは「みこさん!」

カードはリングを通ると光の粒子に変わり、私の右手側でみこさんの姿になりました。

『さくらみこ』

「にゃっはろ~」

続いてもう1枚。

「すいせいさん!」

すいせいさんのカードも同じく光の粒子に代わり、私の左側ですいせいさんの姿に。

『星街すいせい』

「よう」

「miCometの絆の力、お借りします!」

私はリングを頭上にかざしました。

『フュージョンアップ!

春先のどか miComet』

リングの左右についている飾りが開き、リングが赤、青と順番に光りました。

みこさんとすいせいさんの姿が私と重なります。

そして、私は元の場所に戻りました。

自分の姿を確認すると、すいせいさんの衣装に似ているけど色合いはみこさんの色で、細部に和装が入っていました。

両手には赤と青のリボンが1つずつ。

(すごい。

力が沸いてくる)

私は向かう場所を見ました。

そこは私の友達がいる場所です。

(待っててリィスさん。

今、行くから)

私は全力でリィスさんの元に走りました。

 

 

「く」

モンスターに吹き飛ばされ岩にぶつかりそうなリィスを私は間一髪受け止めます。

「大丈夫?

リィスさん?」

「え?

誰ですか?」

リィスさんは私の顔を見て言います。

(まさか?)

私は片方の手で顔を触ると何かマスクのようなものを被っています。

(そのせいで私って分からないんだ)

「誰か知りませんが逃げて」

リィスさんは苦しそうに息をしながら言います。

「大丈夫です。

すぐに終わらせます」

「ここより、私の友達を」

(私の事を)

「大丈夫です。

のどかという女性はもう安全な場所ですよ」

その言葉を聞いてリィスさんは微笑んでから、意識を失ったようです。

そっと地面に寝かせ、私はモンスターを見ます。

さっきまで怖かったのに、今は何も怖くない。

いける。

「よくも私の友達をいじめたな!」

ダン!

私は地面を蹴り勢いよくモンスターに突撃しました。

鋭い私の蹴りはモンスターの腹に当たり、モンスターが吹き飛びます。

続いて右手を伸ばすとそこには青い刃を持つ巨大な斧が。

私はその斧を持ってモンスターとの間合いを摘めます。

ギャワーーーーー!

モンスターは雄叫びをあげて私を払い落とそうとしますが。

「させない!」

左手を前に出すと巨大な桜の花びらのようなものが現れモンスターの攻撃を受け止めました。

モンスターの攻撃で桜の花が1枚パリンと音を立てて消えました。

でも、もう間合いは詰めています。

「これで終わりです!」

私は巨大な斧を振り下ろしました。

モンスターは私の一振で真っ二つになり、光の粒子に代わり消えていきました。

(やった…)

いつの間にか私の変身は解けていました。

「うぉ~い」

遠くから声が聞こえます。

(あれは、教官達?

助けに来てくれたんだ)

私はリィスさんの側に来て座りました。

リィスさんの顔を見ると少し穏やかになった気がします。

(よかった)

私はリィスさんの横に座りました。

(なんか眠たくなってきた)

私はそのまま気を失いました。




「総隊長」
廊下で前を歩く総隊長に声をかける。
「ん?
お、総司令ではないですか」
総隊長は立ち止まり、後ろから来るAちゃんを待った。
「少し聞きたいんですが、今日から春先のどかちゃんが、実装されるはずなんですけど、見ませんでしたか?」
「ん?
いや、見てないな。
来てないのですか?」
総隊長は少し考えそう答えた。
「ええ、もうとっくに来ても良い頃なんですが」
Aちゃんは手を口もとに当てて考える。
「もし見かけたら私の部屋に来るように言ってください」
「分かりました。
こちらでも調べておきましょう」
「お願いします」
Aちゃんはそう言って来た廊下を帰っていった。
「何かおかしな事がおきてるのか?」
総隊長はそう言いながら、廊下をまた歩きだした。
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