春先のどか物語 ホロライブオルタナティブver.IF   作:天野空

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前回の訓練で私は不思議な道具に助けられ、バクを倒すことができました。
しかし、慣れない変身の為か私は気を失ってしまったのです


第2話 ノエフレとあくあマリン

(ここはどこでしょうか?)

私は白い部屋にベッドに寝かされていました。

「あ、目が覚めた?」

「え?」

私を覗き込むようにして女性が、いえ、リィスさんが声をかけてくれました。

「ここは?」

「訓練所の医務室だよ」

そう笑顔で教えてくれるリィスさん。

「教官に気がついた事、報告してくる」

そう言ってリィスさんは部屋から出ていきました。

ポツンと部屋に残される私。

ふと、気を失う前の記憶が蘇ってきました。

(そっか私リィスちゃんを助ける為に変身したんだ)

アイテムボックスからオーブリングとカード出しました。

(ああやって使うものだったんですね)

2つのアイテムを見ながら私は戦いの事を考えました。

(すごい力が出て、敵を一瞬で倒してしまった。

あれがみこさんとすいせいさんの力…)

コンコン

そんな事を考えていると、部屋の入り口がノックされました。

「はい」

私はアイテムを片付けて返事をします。

ガチャ

扉が開きリィスさんと教官が入ってきました。

「大丈夫か?」

「はい、大丈夫です」

心配そうな教官に私は元気よく答えました。

「他の訓練生から激しい爆発音が聞こえたと報告があってな。

それで、我々数名で駆けつけたら2人が倒れていたんだ。

それで何があったか覚えているか?

リィスの話だと、仮面を被ったアイドル衣装の人物に助けられたと言うんだが」

「そうだよね?

のどかちゃんも助けられたよね?」

何故か必死で言うリィスさん。

これは教官に信じてもらえなかったのかな?

「はい、私も見ました」

私のその言葉に、リィスさんは教官にほらぁっと得意気な顔をしています。

「そうか、2人とも見たならそうなのだろう。

ただ、あの区域は未実装エリアだ。

その中で未確認のキャラがいたとなると、問題だからな。

次に会ってもあまり積極的に関わらないようにな」

『はい』

教官の言葉に私とリィスさんは元気よく答えました。

 

それから、私はすぐに元気を取り戻し、また訓練に参加しました。

相変わらずみんなより少し遅れてますが、前みたいに辛い気持ちはありませんでした。

あのバグとの戦いで少しは自信がついたかな?

 

そして、2回目のバグ処理が行われました。

「よろしくな」

「はい」

「こちらこそ」

「頼りにしてるぜ」

今回はリィスさん以外に2人訓練生と組む事になりました。

ロイさんとイーガさんです。

今回の目的地は海岸近くのエリアだそうです。

「リーダーは俺でいいか?」

そうロイさんが聞いてきます。

「いいですよ」

「異議なし」

「頼んだ」

「じゃ、頑張るわ」

4人の中では一番好成績なロイさんがリーダーとなり、いよいよ出発です。

「では、ロイチーム転送開始。

無理はするなよ」

そう教官に言われ、私達は目的の場所に転送されました。

 

 

「すごい」

リィスさんは海を見ながら呟いていました。

「まじにリアルだよな」

イーガさんは海水を手で掬っています。

(リアルの海もこういうものなんですね)

ゲームの中で生まれた私は、本物の海を知らないので、これが初めての経験です。

(冷たい)

「さ、さ、バクを探すぞ」

私達3人を見て笑いながらロイさんが言いました。

『了解』

そして、私達は海岸線から離れ、草原へとバグを探しに向かいました。

「今回のバグの特徴とかありますか?」

私が聞くとリィスさんが手元でキーボードを操作して調べてくれました。

「いくつかあるけど、陸にいるのは擬態型で、海にいるのがカッパ型みたい」

「カッパ型?」

リィスさんの言葉に私は聞き返しました。

「うん、そう書いてる」

「海にカッパか」

イーガさんも不思議そうな顔をしています。

「カッパ型っていうのは姿だけでなく、その能力だろう」

ロイさんが呆れたように言う。

「たぶん、海に引き込むか何かしてくるんだろうさ」

「さすがリーダーだな」

「あほか」

イーガさんにそうロイさんは返していました。

(なるほど、海に引き込んでくるんだ)

「ストップ」

話ながら歩いていた私達を、ロイさんが止めました。

「どうした?」

イーガさんが真剣な顔で聞き返します。

「あれを見ろ」

ロイさんが指差す先に巨大な木が一本生えています。

「あ、あぁ」

イーガさんがそれを見て残念そうなため息。

「バグですよね?」

リィスさんもそう言いました。

「あからさまだな、草原にポツンと1本だけ生えてたらおかしいだろ」

ロイさんもそう言って銃を構えました。

イーガさんもリィスさんもロイさんにならいます。

そして、3人はゆっくりと木に近づいていきます。

だけど、私はその木がバグには見えませんでした。

それより、その横にある岩の方が他のものと違う。

「あのう…」

私が3人に声をかけようとしたその時、突然岩が飛び上がり巨大な口を開いて3人に襲いかかりました。

「な!」

驚く3人は対応が遅れました。

なら!

ダダダダダダ

私はその岩に向かって機関銃を撃ちました。

ガーーーー!

岩は機関銃の弾を受け下がります。

「た、助かった」

「ありがとう、リィスさん」

3人は私の方に下がり、バクに銃を向けました。

するとバグは木にかぶりつき、食べ始めます。

「な、なんだ」

その行動に気味悪がるイーガさん。

「あいつデータを取り込んでる。

でかくなるぞ」

ロイさんの言葉どおり、岩のバクが段々大きくなり、岩の怪物に変化します。

「くそ!」

ロイさんが機関銃で応戦します。

続いてイーガさん、リィスさん、私も撃ちました。

しかし、岩の怪物の固い皮膚はその弾を全て弾いていました。

ガーーーー!

怪物は巨大な腕を振り上げ、私達を押し潰そうと振り下ろします。

「避けろ!」

ロイさんの言葉に私達は思い切りその場から逃げます。

「きゃ」

私は逃げる時に草原にあった窪みに落ちてしまいました。

ちょうど他からは見えなくなるような窪み。

(ここなら)

私はアイテムボックスからオーブリングを取り出し構えました。

そして、リングを前に勢いよく出します。

その瞬間、私はこの前も来た、宇宙空間のような場所に立っていました。

左手には2枚のカード。

1枚目は「ノエルさん!」

カードは粒子に変わり、ノエルさんの姿に。

『白銀ノエル』

「こんまっする~」

続いて2枚目「フレアさん!」

『不知火フレア』

「こんぬい~」

カードはフレアさんの姿に。

「ノエフレの強い絆の力、お借りします!」

私はリングを頭上にかかげました。

『フュージョンアップ!

春先のどか ノエフレ』

私の体にノエルさんとフレアさんの姿の粒子が重なりました。

そして、フレアさんの通常の時の衣装に、白銀のライトアーマー、フルフェイスの白銀兜を装備した姿に変身。

兜の上にはフレアさんの髪の色の長い装飾が付いていました。

(やっぱり、すごい力)

変身するとホロメンの方達の力が自分に宿るようで、普段では考えられない力が溢れてきます。

(いきます!)

私は窪みから勢いよくジャンプし、岩の怪物に突撃しました。

「やぁー!」

ドガ!

私のキックはすごい音をたて、岩の怪物を後ろに倒しました。

「大丈夫ですか?」

背後にいるリィスさん達に声をかけます。

「あ、あんた誰だ?」

イーガさんが息を荒くしながら私に聞いてきました。

「え、わ、わたしですか?」

「あ、貴女はあの時の正義のヒーロー」

『え?』

リィスさん以外の声がハモります。

「誰なんだ、それ?」

ロイさんがリィスさんに聞いています。

リィスさんは前回助けてもらった事を話しているみたいです。

(っていうか正義のヒーローって)

「なるほど、協力者か。

助かります」

ロイさんは納得したのか、こちらに頭を下げました。

「いえ、近くを通りかかっただけです」

「未実装エリアにか?」

イーガさんが怪しげな目でこちらを見ていますが、確かに怪しいですよね?

「あ、のどかさんは?」

リィスさんが辺りを見回しています。

「あ、彼女なら応援を呼んで来てもらうのにゲートの方に向かってもらいました」

私は慌てて答えました。

「1人は危険だな」

「それなら、ここは私が引き受けます」

「いや、だから1人では」

私の申し出にロイさんが慌てます。

「大丈夫です。

今の私は誰にも負けません」

「さっきの攻撃見たら確かにな」

イーガさんは私のキックを思い出したみたいです。

「大丈夫です。

正義のヒーローさんは負けません」

リィスさんもそうロイさんに言いました。

(正義のヒーローって呼び名は変えて欲しいんですけど)

「分かった。

ここは頼みます」

「分かりました」

「それでは、我々はのどかさんと合流して、応援を呼びに行く」

『了解です』

「すぐに応援呼んできます」

リィスさんはそう言ってこちらにガッツポーズを取ります。

「はい、お願いします」

私は頷き返しました。

そして、3人はゲートの方へと向かって走り出しました。

岩の怪物を見るとゆっくりと起き上がっていました。

外見的にはダメージはないみたいです。

ガァーーー!

立ち上がった怪物が私を見て吠えます。

しかし、そんな事でびっくりする今の私ではありません。

怪物はその巨大な腕を振り上げ、私を押し潰そうと振り下ろしました。

咆哮でスタンさせてからの強力な一撃。

普通の相手ならそれで終わりでしょうけど、私にはスタンは効いていません。

迫る巨大な腕。

逃げれますけど、これくらいの攻撃!

ドガァーーー!

ガァ?

手応えがなかったのでしょう。

怪物が変な声を出しています。

「これくらいは出来ますよ!」

迫る腕を私は右手で受け止めました。

(全然重くない。

これがホロメンさんの力)

私は受け止めてない手を怪物に向けました。

篭手が変化し、弓のようなものが展開されます。

私が念ずると自動で光の矢が装填され、立て続けに怪物に向かって放たれました。

グガァァァァ

たまらず下がる怪物。

機関銃で傷1つつかなかったその体の岩が、光の矢に当たり砕けていきます。

(これでとどめ!)

私は勢いよく怪物の頭上に飛び上がります。

右手を振り上げました。

その手にはノエルさんのメイスを握っています。

「これで終わりです!」

振り下ろすメイスは徐々に柄が伸び先が巨大になっていきます。

そして、振り下ろしたメイスは岩の怪物を押し潰し砕いていました。

光の粒子になって消えていく岩の怪物バグ。

手に持つメイスは消え、弓を展開していた篭手も元に戻っていました。

しかし、変身は消えません。

(どうして?

バグは倒したのに?)

私は自分の体を見て不思議に思いました。

前回はバグを倒した後、元に戻っていた。

(まさか!)

私は悪い予感がして、このエリアに来たゲートに向かって走りました。

 

 

ゲートに近づくにつれて、機関銃の音が聞こえてきます。

(やっぱり)

ゲート付近でバクと戦っているリィスさん達。

相手は、カッパではなく巨大なタコ。

タコに機関銃は効いているようですが、相手が大きすぎます。

「きゃ~!」

足の1本がリィスを掴み、海へと引きずり込んでいきます。

(危ない!

でも、このまま海に飛び込んだら)

ライトアーマーとは言え、鎧を着て海に入れば身動きがとれなくなる。

そう考えた私にあの声が語りかけてきました。

『もう一度カードを使え』

その声に私は再びリングを持ち手を交差。

走りながら、腕を前に出しました。

世界が宇宙空間に変わります。

左手には新たなカードが2枚。

宇宙空間の中を走りながら、私は1枚目のカードをリングへと通しました。

「マリンさん」

『宝鐘マリン』

「Ahoy!」

カードは光の粒子になり、私の隣でマリンさんの姿に変わり一緒に走ってくれてます。

(いや、これってスキップ?)

気を取り直して、もう1枚。

「あくあさん」

『湊あくあ』

「こんあくあー!」

粒子があくあさんの姿に変わり、私の横に。

「あくあマリンの、海の絆の力お借りします」

走りながらリングをかかげると、2人の姿が私に重なりました。

通常の空間に戻り、目の前は海。

私はそのまま海に飛び込みました。

青と白のドライスーツにマリンさんが羽織っている、海賊の上着。

一見邪魔に見える上着は、特に邪魔になっていません。

目も水の中だというのによく見えていました。

(あ、ゴーグル着けてた)

少し先にあの巨大タコが、右手を伸ばすとその手に巨大な錨が現れます。

錨は刃物のようになっていました。

そのまま巨大タコに突撃。

水中を、まるで魚のように早く動けます。

斬!

まずはリィスさんが捕まってる足。

そのままリィスさんを足から救い出して、水面に押し上げます。

そのまま、海の底に逃げようとする巨大タコを追跡。

錨で足を切り落とし、最後はタコを指差し「あくあマリンビーム!」

ピンクのビームの回りを赤いビームが、まるで守るように螺旋を描きタコに向かっていきました。

(あくあさんを守るマリンさん?)

ビームは巨大タコに当たると、光の粒子に変わり消えていきました。

(これで、もとの姿にってここじゃ不味いです)

私は慌てて水の中から出ようと水面に向かいます。

しかし、体のスーツが暗転し始めました。

(あ、やばいかも)

水面が見えてきた時、私の変身は解けてしまいました。

(私、泳いだことないかも)

ゆっくりとまた海底に沈んでいく体。

(さっきはホロメンさんの力で海の中平気でしたけど)

ガシッ

そんな私の腕を誰かが水中で掴みました。

さっきまではっきりと見えていた海の中は今は、はっきりと見えません。

そのまま私は水面に引っ張りあげられました。

「かはぁ」

息を吸い込む私。

「大丈夫?」

その声に私は安堵を覚えました。

「ありがとう、リィスさん」

私の言葉に水面に一緒に浮かぶリィスさんは笑顔を返してくれました。




コンコン
誰かが、Aの部屋のドアをノックする。
「はい、どうぞ」
Aの返事でノックした人物が部屋の中に入ってきた。
「総隊長」
Aに名前を呼ばれた総隊長は難しそうな顔をしていた。
「例の話なんですがね。
見つかりました」
「どこにいたんですか?」
あれから現れないのどかをAは心配しており、身を乗り出して聞いた。
「それがどういうわけか、新人研修に紛れ混んだみたいで、現在未実装エリアにある訓練施設にいると分かりました」
「訓練施設にですか?」
驚くA。
「ええ、こんな事は始めてでこちらも困惑してますよ」
困った顔の総隊長。
「それで、すぐに戻れるんですか?」
「それが、訓練中は一定期間はこちらに戻れない仕様となってます。
現在どうにか戻せないか調べている最中です」
総隊長の言葉にはぁとため息を付いて座るA。
「居場所が分かったのはいいですが、よりにもよって訓練に紛れているなんて」
「普通では考えられません」
「そうですね。
何か意図的なものを感じますが、今はのどかさんを戻すのが先決です。
よろしくお願いします」
「分かりました」
Aに敬礼をして総隊長が部屋を出る。
「やはり、何か不具合が起きているのでしょうか。
この世界は」
Aはポツリと呟いた。
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