春先のどか物語 ホロライブオルタナティブver.IF   作:天野空

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無事に巨大タコのバグを倒した春先のどかだったが、変身が解除され、初めての海で溺れてしまう。
そこに助けたリィスに助けられ、ピンチを脱した。
より一層仲間との絆を結んだ春先のどかは、楽しくなってきた訓練生活へと戻るのだった。


第3話 First ultimate

あの後、私は巨大タコに捕まっていたと言う事になり、無事?4人で訓練所に戻りました。

教官からはかなり心配されましたが、元気な姿を見せるとほっとしていたみたいです。

なんだかんだ言って怖い教官ですが、すごくみんなの事を心配してくれています。

 

それから、私はリィスさんや他の訓練生の人達と共に、いろいろな訓練を行いました。

バグ退治の時に変身する事もあり、訓練生の中では伝説の戦士が存在するなんて噂になっています。

(ま、主にリィスさんが話すからなんですけど)

でも正体はばれず、まだ私が伝説の戦士だと言われずにすんでいます。

(なんかばれると恥ずかしいですからね)

そして、私が訓練にも慣れみんなの役にたてるようになってきたと実感が沸いてきた時、突然教官から呼び出しがありました。

コンコン

「訓練生、のどか来ました」

「入りたまえ」

部屋の中から教官の声が聞こえました。

「失礼します」

私はゆっくりと教官の部屋に入りました。

「すまんな、訓練中に呼び出して」

椅子からゆっくりと立てり、教官が言いました。

「いえ、休憩中でしたので、それで私に何かご用でしょうか?」

私はきちんと起立し教官に聞きます。

「はぁ、もっと早く分かればよかったんだが」

そう言って私を見る教官。

「?」

(教官が何を言ってるか分かりません。

まさか?

変身がばれた?)

「君も早く言ってくれれば対処できたんだぞ」

「?」

「春先のどかくん」

「はい!」

「君は本物だったんだね」

「はい?」

それから、教官からの話の内容は私が実装された春先のどか(本人)のAIだと言う事でした。

先日、本部から緊急連絡が入ったそうです。

基本的に本部からの通信はこちらに送られないように設定されているようで、教官も民間からの委託されていて本部から直接通信できず、連絡がかなり遅れたそうです。

やはり、私がこの訓練の方に来たのは何かの手違いだそうで、本来はこの世界のえーちゃんさんの元に行き、助手としていろいろと教えてもらうのだそうです。

「AIの君ならみんながログアウトした後、1人寂しくなかったかい?」

「いえ、いろいろな出会いもありましたから」

教官の気遣いに私は笑顔でそう答えました。

「そうか、君は強くなった」

教官は私を見ながら頷きます。

「教官と仲間達のお陰です」

私は心の底からそう思っていました。

「そうか、ありがとう。

私も君に出会えて本当によかった。

明日、君の迎えがくるそうだ。

どうする?

他のみんなにお別れを言うかい?」

教官の言葉に私はある事を頼みます。

「それでいいんだね」

「はい、お願いします」

私はそう言って教官の部屋を出ました。

 

そして、訓練所最後の夜がやってきました。

「それじゃ、のどかさん。

また、明日ね」

「うん、またね」

リィスさんはそう言ってログアウトしていきました。

私は教官に、急な理由で私は訓練生を辞めないといけなくなったという事にしてほしい。

そうお願いしました。

私が本物ののどかである事は秘密にしてほしい。

それが私の望んだ事でした。

リィスさん達と共に過ごした短い訓練生活は、運営側のAIとしてではなく1プレイヤーとしての思い出にしたかったからです。

 

私は訓練所を出ました。

あの時と同じような真っ赤な夕焼け。

(この風景もこれで最後かぁ)

私は近くの岩に座りました。

(ん?)

夕焼けを見ていると、何か地平線に黒いシミが出来ているように見えます。

(なにあれ?)

そのシミはどんどん広がっていきます。

地平線全てを黒く染めるように。

「あれはまさか」

岩に立ち上がり見たその光景は、バグ。

そう地平線を埋め尽くすぐらいの大量のバグがこちらに向かっていたのです。

「なぜこんなところに」

背後を振り返りました。

そこには今までみんなで学んできた訓練所が。

みんながログアウトした大切の場所。

(ここを潰すわけにはいかない)

私はもう一度前を向きました。

(もうやるしかない)

そう思い。

私は手を交差します。

その手にはリングと2枚のカード。

「ここの先にはいかせない!」

リングを前に出し、私の周りは宇宙空間へと変わります。

まずは1枚目。

「ラミィさん!」

『雪花ラミィ』

「こんらみです!」

もう1枚。

「ぼたんさん!」

『獅白ぼたん』

「ららーいおん」

「ししらみの元気な絆お借りします!」

私がリングを掲げると2人の姿が私に重なりました。

『春先のどか ししらみ』

白と青の上下ジャージのような姿に、ぼたんさんの通常衣装で着ているコートを羽織った姿に変わりました。

顔は氷で出来たような兜にアイマスク。

(やっぱり、変身するとすごい力、これなら!)

そして、私はバグの大群へと走り出しました。

両手に氷で出来た拳銃を持ち、並みいるバグを撃ち抜きます。

ラミィさんとぼたんさんの力で出来た武器は、バグを一撃で粉砕していきました。

(負けられない!)

バグを一撃で倒す私が脅威と感じたのでしょう、バグ達は私の方へと群がって来ました。

しかし、それが狙いでもあります。

(絶対に訓練所には行かせない)

私はもう一段階スピードを上げて、バグを倒し続けました。

 

それからどれくらいたったでしょうか。

倒しても倒してもバグは沸き続けました。

変身も幾度と変え、バグを倒していますが、まだ足りません。

そんな中、1体が訓練所の方を見ました。

(あ、そっちはダメ!

このままじゃ、みんなとの思い出が)

そんな時あの声が聞こえて来ました。

『春先のどか。

君は多くの者を救ってきた。

その力はもはや究極に近い。

今ならこのリングの本当の力を呼び出す事が出来るだろう。

さぁ、手を伸ばし力を呼び覚ませ』

私はその言葉に腕を交差し、リングと差し出しました。

そして、あの場所に。

私のもう一つの手には5枚のカードが。

「これが究極」

『さぁ、カードをリングに』

「はい!」

1枚。

「メルさん!」

『夜空メル』

「こんかぷ~」

次です。

「アキさん!」

『アキ・ローゼンタール』

「アローナ!」

そして。

「はあとさん!」

『赤井はあと』

「はぁちゃまちゃま~」

まだ。

「ふぶきさん!」

『白上ふぶき』

「こんこんきーつね!」

最後です。

「まつりさん」

『夏色まつり』

「わっしょ~い!」

「1期生の究極の絆、お借りします!」

5人のホロメンの皆さんが私と重なります。

(すごい、いろんな思い。

いろんな願い、力が流れ込んでくる)

『春先のどか First ultimate』

私は白地に赤色の模様が入った、体にぴったりとしたスーツに包まれました。

左手の甲にはリングが。

頭は白いフルフェイスのヘルメット。

そして、首には5人それぞれの色で編まれたようなマフラーが風になびいていました。

「ラストバトルです!」

グギャァァァーーーーー!

私の言葉に一斉に叫びだすバグ。

そして、私とバグとの最終決戦が始まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった…」

スーツの所々が破け、ヘルメットも一部砕けていました。

でも、私の周りにはもうバグはいない。

「守れました」

後ろを振り向くと、変わりない訓練所が。

「これで私も悔いなく戻れます…」

ひざがガクガク震えだし、私はその場に座り込みました。

もう、戦える力なんて。

ズドン!

背後で何かが降り立つ音。

「そ、そんな…」

振り返り私が見たものは、今までと明らかに大きさの違うバグが一体。

そのバグは笑うように口を歪ましていました。

(これが元凶だったんだ)

私は震える足にどうにか力を入れ立ち上がりました。

でも、立ち上がるのが精一杯。

(でも、それでも私は諦められない…)

「私とみんなの想いがつまった、あの建物を壊させたりさせません!」

私の言葉にバグはより一層口を歪ませたように見えました。

そして、振り上げられる巨大な腕。

その一撃は確実に私を消滅できる。

「ごめんなさい。

えーちゃんさん。

貴女の元に行けませんでした…」

そして、振り下ろされる腕。

私は目を閉じました。

 

 

(?)

いつまでもあの腕の衝撃がありません。

私はゆっくりと目を開けました。

そこには。

「そう簡単に飽きらめられても困ります。

私にはのどかさん。

あなたが必要ですよ」

そこには、横たわるバグに巨大な剣を突き刺し微笑む女性。

「あ、あなたは」

「迎えに来ましたよ、のどかさん」

「えーちゃんさん」

いつもと違うロングヘアーで、服装は白のTシャツに青いジーパン。

「なんでロングなんですか?」

「え?

これですか?

変装かな」

「変装ですか?」

『ふ、ふふふ』

その言葉に2人で笑う。

えーちゃんさんの顔を見てえた安心と、大切な場所が守れた事への安堵で。




「なるほど、それからどうされたんですか?」
「どうもこうもきちんとこちらに連れて帰ってきましたよ。
今はいろいろと研修中です」
Aの部屋のソファに座るAと総隊長。
「お茶入れてきました。
あ、お客さんでしたか?
すぐに追加入れてきます」
そう言って給湯室から出てきたのどかは、また給湯室に戻る。
「ね?」
そんな彼女を見てAは総隊長に微笑んだ。
「確かに」
「今はこちらの生活もだいぶ慣れたみたいで、いろいろとサポートしてくれてます」
「それは良かった。
そう言えば、今年の配属する人員決まったそうですね」
「ええ、総隊長にはチームαにこの子を連れていってほしいと思ってます」
そう言ってAちゃんは1枚の紙を総隊長に渡す。
「ほう、フルスキャンでキャラクターを作っているんですね」
「ええ、期待の新人ですよ」
「お茶、お待たせしました」
トンと総隊長の机にお茶が置かれる。
「ありがとう、のどかくん」
「はい」
そう言って微笑むのどか。
ちらっと総隊長の紙を見たのどかは、あっと驚いた後、嬉しそうに微笑む。
その紙の人物の名前には、リィスと書かれていて、懐かしい笑顔の写真が張られていた。
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