洋館少女の暮らしぶり   作:あるいてごろりと

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父と母

私の名前はリサ・トレヴァー。

かなり裕福な生活を送れている一家の1人娘である。

学校が休みの日には、ピアノを習っている。

日記を書くのも趣味で、日々の出来事にコメントを添えるように書くのが好きである。

父のジョージ・トレヴァーは洋館や研究所を設計したすごい人である。

仕事と家庭をどちらも大事にする人で、定時には家に帰ってくるし休日には豪華なパーティーにたくさん参加させてくれた。

 

4週間かけて海外旅行にだって連れていってくれたわ。

父は、言っていた。

「有給休暇は飾りじゃないんだよ。」

 

ある日、父がしょんぼりして帰宅していたから母が理由を聞いたら、有給は飾りじゃないことを洋館の建設作業者に言って反感を買い怒られたと言っていた。

俺悪くないのに・・・、とぼやく父とあなたが悪いとしかる母と過ごす時間は刺激だらけで毎日が楽しかったわ。

 

ただ、時折KYな父と喧嘩をすることもあった。

洋館建設がそう・・・、最初は私だって大仕事だと張り切る父を応援していたのよ。

けれど、洋館に私の肖像を描いたステンドグラスを設置したいと言い出した時には、自慢の父親であっても猛反対した。

14歳の娘の絵を自宅でもない所に置くなんて、何を考えているのかしら。

 

可愛い娘の事でも仕事に私情を挟まないで、とお怒りの母が日本のれすらー?から学んだコブラツイストという技をかけても父は発言を撤回しなかった。

顔を真っ赤にしながら、

「トレヴァーの名においてここは絶対に引かん!」

と言っていた。

一家の総意であるかのように言わないでほしい。

何だか父の執念が怖かった。

 

母のジェシカ・トレヴァーは優しい人だ。

それと絵を描くのが趣味で、学校で絵画の宿題が出た時には母に付き添ってもらったことが何度かある。

母の絵は繊細なタッチだが、角度を変えてみると力強さを感じることもある。

おしとやかだがプロレス好きな母らしい絵である。

けれど、キャンバスの隅に『闘魂』と書くのはいただけない。

 

記憶の限りだと私に対して怒ったことはない。

お嬢様学校に通っていたから、その人柄は教育の賜物なのかもしれない。

ただ、めったにないが妄言が出てくる人だ。

 

私がまだ5歳頃だったろうか・・・、今より小さい子どもの頃に変な夢を見た。

何かに追われる夢である。

その何かが恐ろしくて私は泣きながら逃げる夢を見た。

深夜に両親の寝室に駆け込んで夢の内容を話した。

母は私たちの先祖はイタコで、子孫の私たちにもわずかばかりその血が入っていると説明した。

その血が、あなたに未来を見せただろう、と。

私は家系図を取り出し、先祖に日本人がいないことを説明した。

日本と縁を持ちたがるのは、その国のれすらーが好きという理由だけでしょう?と問い詰めた。

母は頬を膨らまして寝てしまった。すねたのだ。

まぁ、次に言うのはそんな未来を打破するためにもプロレス技を覚えなさい、とかだろうし却って良かったのかもしれない。

 

そんなこともあったが普段の母は優しくて怒らないし料理もできるし、父へのプロレス技で粛清するとき以外は上品で大好きである。

 

ある日、父がパーティーに行こうと言った。

父のお得意様が私たち一家を是非とも招待したいとのことだ。

うんとおめかしをして行った。

 

お得意様は、オズウェル・E・スペンサー卿というらしい。

今日行くところは洋館ではなく、スペンサー卿の本邸らしい。

その大豪邸を前にして私は呆然としてしまった。

私たちの家の何倍ぐらいあるのだろうか・・・、もしかしたらつ抜けして二桁に達しているかもしれないぐらいの大きな庭と家だった。

できれば私をここの召使いに雇ってほしいぐらいだ。

両親をチラチラと見て奉公させてくれアピールをした。

けれども父が、このまま犬になりたいとか言い出して目が覚めた。

召使いの娘と犬の父が同居なんて嫌すぎる。

ご飯や散歩が私の当番だったら、いくら給料が良くても即退職届を提出することだろう。

 

淡い期待をどぶに流された気持ちになり、テンションが低いまま私は大豪邸の門をくぐった。

 

 

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