洋館少女の暮らしぶり   作:あるいてごろりと

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ジョージ視点 ~発端~

私の名前はジョージ・トレヴァー。

最愛の妻であるジェシカと娘のリサと暮らす生活は幸せそのものである。

 

ジェシカは以前、私に誕生日プレゼントとしてライターをくれたのだが、そこに文字が掘られていた。

『火遊びには注意!ジェシカより愛をこめて』

と書かれていた。

まったく、可愛い嫁さんだぜ。

リサはこのまえ14歳になった。

少し前の話になるが、誕生日プレゼントは何がいいか聞いたら、

「お母さんと絵の練習をしたいから、油絵セットがほしい。」

と言っていた。

誕生日を迎えて彼女に油絵セットをプレゼントすると喜んでくれた。

今度家族3人の絵を描いてくれないかと言ったところ、

「まだ3人も細かく描けないと思うから、お母さんと私の2人だけにするね。」

と言っていた。

まったく、可愛い娘だぜ。

 

私の仕事は建物の設計関係であり、この前は大口の顧客であるオズウェル・E・スペンサー卿から『からくり洋館』なるものの建設依頼が入った。

しかし、不可解なことがある。

依頼の報酬は十分すぎるほどの金額なのだが、そのからくりが存外手間がかかるものなのだ。

 

洋館西側の矢じりを裏庭の像の土台に当てはめて地下へと続く床が作動し、そこで手に入るカギがないと洋館のとある扉が開かなかったり、食堂は2階から石像を落下させても傷のつかない頑丈なものにしてくれと言われたりで、そこで暮らす人はどんな生活をするのか想像がつかない。

作り手側も相当面倒だったろう。

 

それにからくりの内容がかなりえげつないものもある。

なにやら壁のショットガンを取らないと吊り天井が落下する部屋やらカギを台座から取ったら恐ろしい仕掛けが作動するようなものも頼まれたりで、やりすぎである。

 

こんな洋館で子どもを野放しにはできないだろう。

っていうか、モテないな。

スペンサー卿は、絶対結婚してないだろう。

子ども欲しくても結婚できないから養子取るしかないだろう。

そんで金に糸目を付けないで、いっぱい子ども持っちゃうんだろう。

・・・言い過ぎたか。

 

それに洋館の地下には研究所施設を作るらしい。

からくり洋館に研究施設なんて、ミスマッチしていると思うのだが金持ちは考えることが分からん。

 

そんなこんなで洋館は完成間近となり、今日は友人と3人で飲み会を開くことにした。

私以外の者は、2人ともアンブレラ社に務めている。

1人は経理部で部長にまで登りつめたジョニー・ディアス、もう一人は研究部門で主任を務めるケリー・ファブロンだ。

お酒が入り大分あったまってきた所で、ジョニーがつぶやいた。

 

「俺、会社辞めようと思うんだよね。」

 

「どうしたジョニー?あんなに給料のいい所はないだろうに。」

 

私の質問を聞くと、ジョニーが理由を話してくれた。

 

「いや、あんま大きい声じゃ言えないんだけどよ。ケリーから相談されたのがきっかけなんだが、取締役から研究用資器材の一部は購入の申請理由を変更しておくように言われたんだよ。何か怪しいだろ?」

 

「製薬会社で秘密裏に動く金と資器材・・・か。確かにきな臭いな。」

 

「そうなんだよ。少し調べてみるとその資器材は倉庫にまとめて保管しているんだが、荷物の送付先がお前の建築している洋館宛てになっているんだよ。」

 

「俺もあまり大きい声じゃ言えないんだけども、からくり洋館の地下には研究施設を作るように言われてるんだよ。そこに運び込むんじゃないか?」

 

「ますます怪しくなってきたな。やっぱり、急成長する会社にはそれなりの理由があるんだろうな。」

 

「会社を辞めたらどうするんだ?」

 

ジョニーは天井を見上げて逡巡する。まだ決まってないらしい。

 

「田舎に引っ越そうかね。この街の暮らしも気に入っていたけど、理由が理由だし会社近くに住む気にはなれないな。家族3人で海が見える所でのんびりするのも悪かないかな。」

 

「そうか。お前がいなくなると寂しくなるな。たまには連絡くれよ。」

 

「もちろんだ。悪かったな、湿っぽい話をして。そうだ、ケリー。お前も結婚したんだし、若いうちに子どもは作らないのか?ってか、お前全然喋らないな。」

 

ケリーは堅物だ。ここに来てようやく口を開く。

 

「余計なお世話だ。子どもはまだ予定がないな。ただし、子どもの話は妻としたことがある。」

 

「奥さんは何だって?」

 

ジョニーが質問した。

 

「男の子ならダニエルにしたいと言っていた。」

 

「女の子なら?」

 

ジョニーが結構食いつく。興味津々のようだ。

 

「私がアリスならどうだ?と言ったよ。そうしましょ、と快諾してくれた。」

 

ケリーは少し微笑んだ。堅物のこういう所が人間味を感じて嫌いじゃない。

ちょっとからかってやろうか。

 

「アリスちゃんか、いいね~。お前は女の子がいいんだろ?

5,6歳ぐらいまでは父親もかまってもらえるもんな。」

 

ケリーは眉間にしわをよせた。

 

「うるさいな。それにこう見えて俺は女の笑顔にはめっぽう弱い男なんだ。

喜んで男の子を望むよ。それに俺に似て生まれる子もきっと妻の笑顔を拝むために男の子が出てくるだろうよ。」

 

「やっぱ女の子推しじゃん。おっと、もうこんな時間か。そろそろお開きにしようか。」

 

ジョニーが時計を見つつ答えた。

私も名残惜しいが、飲み過ぎてジェシカに迷惑をかけたくない。

3人は、店前で別れを告げて解散した。

 

 

翌日、街で変死体が発見されたとニュースが入った。

名前は、ジョニー・ディアスと報道された。

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