「雅君、今日の晩御飯どうしよっか?」
「今日は寒いしシチューとかにするか」
「ふふっ、そうですね。一緒に作りましょうか」
2学期の終業式が終わり冬休みに入って初日。今すぐにでも雪が降りそうなほど冷え込んでいるため手が多少悴む。そんな手を彼女、ガブリエルは握ってくれる。
普段学校行っている時は家で家事をしてもらっている。流石に《モンスト》のキャラクターである彼女が学校にきてしまうと色々と面倒なことになりかねない。
《モンスト》は今流行りのスマートフォンのゲームでオレの友達もよくやっている。オレ自身はスマホを持ったのが彼女が来てからなのでやってなかったが。その時から『ガブ』と呼ぶようになったんだっけ。
「ーー君。雅君。どうしましたか?」
「…いや。何でもない。料理の食材を買いに行こうか」
「そうですね!」
彼女の微笑みは流石天使、というべきか。絵になるような彼女と隣に並んで歩くだけで周りから注目が集まる。オレ自身そこまで顔がいい訳でもなく所謂『釣り合ってない』状態なのだが彼女は気にすることもなくずっとニコニコとこちらを見ながら話しかけてくる。そんな所にオレは救われていくのだろうと思う。
家事は基本彼女がやってくれているが料理だけは別だ。罪悪感も今まで感じていなかったオレでも流石にそこは譲れなかった。せめて、料理ぐらいは手伝わせてくれと。その時の彼女の顔は一瞬驚愕を浮かべるがすぐに慈愛の目を向けてくれたっけ。
彼女とシチューに使う食材を手に取り籠に入れていく。勿論、食材の良し悪しもしっかりと見ながら。ただ籠に食材を入れていくだけではなく、彼女と雑談しながらお菓子を入れたりする。そんな普段の生活、行動ができるなんて思いもしなかった。こういうことを幸せ、と呼ぶのだろう。
「家に帰ってから何しますか?私は話によく出てくる《モンスト》というものをやってみたいのですが!」
「え、別にいいけど。ガブ、モンストのこと知らなかったのか?」
「はい。そのキャラクターになっていたことも知りませんでしたし。話に出てくるキャラクターも私を含めて実際に居るので、やってみたいな…と」
「わかった。夕食の時間まで一緒にやってみるか。オレもやったことないし。知識だけはあるから少しは教えてあげれると思う」
「ありがとうございます!」
そんな話をしながら籠をレジに持って行き支払いを済まし、荷物を2人で分けて持ち家に帰る。男として何故女の子に荷物を持たしているのかと疑問に持つ人がいるだろうがこれには理由がある。荷物も前に全部持とうとしたのだが彼女が『私も持ちます!』と聞かず許してくれなかったのだ。今では荷物を2等分して持つというところに落ち着いている。
「ふふっ、こんな生活もいいですね」
「…そうだな。少し前のオレからは考えられなかった」
「まだ数ヶ月しか経っていませんけど、雅君はだいぶ落ち着いてきていると思います。きっと…」
彼女はそこで言葉を止める。何故そこで言葉を止めたのかわからなかった。そう思い彼女の顔を見て目線を合わせた時再び口を開いた。
「雅君はきっと、心は壊れてはいなかったんです。さりげなく気遣えるその優しさだったり、不器用だけど手助けしてくれるその姿。心が壊れてしまっている人にはきっと、そんなことをする余裕なんてないんです」
彼女の言葉が優しく心にすっと通っていく。完全に砕け散ったと思われた心は少しずつだけど直っていくようだ。まだオレは親のことも完全には吹っ切れてないし、今までのことだって乗り越えてきたわけでもない。でもきっと乗り越えていけるような気がする。
「少しずつでいいんです。私と一緒に乗り越えて行きましょうね雅君」
「…あぁ。そうだな」
彼女と一緒ならきっと。
「#3 砕け散った筈の心は」
うーん、文才がねぇ…。ちゃんと書けてるから心配や…。感想!感想を是非!お願いします!…調子乗ってスミマセン。