リコリス・リコイル/their other story   作:秋乃楓

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11_The gears of fate start moving

レナは千束の勧めでカウンセリングを受ける事になった。ここ最近、何処か集中出来ていない部分が有ったり、リコリスの仕事でも上手く行ってない様子が見受けられた為だった。

本人は何ともないと言い張るのを無理矢理連れて来た。

 

「何度も言いますけど、私は大丈夫ですから!」

 

歩きながらでもレナは不満そうにブツブツ呟いている

 

「良いから歳上の言う事は素直に聞きんしゃい!まったく、この間の事も何があったか話してくれないしさぁ!」

 

千束はグイグイとレナの腕を引きながら歩く。そして暫くしてから戸建ての病院へ着いた

 

「先生の紹介だから大丈夫、怖くないって!ほーら、行くよ!」

 

そのまま病院へ入ると事情を一通り受付で説明する。そして千束は待合室で待機、レナはそのまま奥へと連れて行かれた。

そして30分後に再び待合室へ戻って来る

 

「おー、お帰りぃ。どうだった?」

 

千束は足を組んで手を振っている

そしてレナは隣へ腰掛ける

 

「何でもありませんでした。以上無しです」

 

千束の方へ向くと素直に答える。

 

「そっかぁ、私の思い過ごしかぁ?うーん・・・」

 

千束が考え始めてから数分後に名前を呼ばれ、そのまま会計を済ませると2人は外へと出た。

 

「本当に大丈夫?何ともない?」

 

歩きながら千束はレナの方をチラチラ見ている。余程、心配らしい

 

「問題有りません。ここ最近、お店が忙しかったから少し疲れているだけだと思います」

 

じっと千束の方を見つめる

その目はこれ以上の疑いは必要無いという目だった

 

「解ったから、そんな怖い顔すんなって。帰りに寄り道して行こーぜ?それとも何か買ってあげようか?奢っちゃるぜぃ?」

 

ニコニコしながら千束は財布を取り出す。その様子は何処か得意気だった

 

「・・・大丈夫です。それより、お店に迷惑を掛けると悪いので真っ直ぐ帰りましょう」

 

キッパリと断ると寄り道せず真っ直ぐ帰る事を提案し、レナは歩き続ける

 

「ええーー?可愛げ無いなぁ・・・誰に似たんだろ・・・」

 

ボソッと呟くと財布をしまい、何処か不満そうにしながらその横を歩く

丁度その時、路地裏から数人が辺りを確認しながら出てくる。ざっと4人程。

 

「・・・千束さん」

 

レナは立ち止まると声を掛ける

 

「うん、間違いないね・・・」

 

千束も小さく頷く。そして2人は銃をカバンから引き抜き、走り出す

それに気付いた男達は散り散りに逃げようとする。

 

「そこッ!」

 

レナは拘束銃を別で取り出すと1人の両足をワイヤーで拘束し捕らえる。

 

「おわぁッ!?足が!?」

 

ワイヤーで足の自由を奪われた1人目は盛大にズッコケる。

 

「ふざけやがって・・・このチビ!!」

 

ガタイのいい2人目の男はレナへ掴み掛かろうと向かって来る。しかしレナは冷静に男の右肩を銃で射抜き、ふらついた所に追い討ちと言わんばかりに飛び蹴りを繰り出すと鋭い一撃が相手の側頭部へ入る。

そのまま倒れた所を拘束銃によりワイヤーで縛られる

 

 

一方の千束は残り2人の内、1人がズボンのポケットから銃を取り出したのを確認し様子を伺っていた

 

「てめぇ、ぶっ殺すぞ!!」

 

男は千束の方へ銃を向けつつ、睨んでいる。だが当の千束は動じる気配すら無い

 

「まさか・・・ビビって声が出ねぇのか?ああ?!ガキの癖に粋がるからだッッ!!」

 

男は千束の方へ銃を向けた状態で喋り続ける

 

「・・・怒鳴るのは良いけどさぁ、ご近所さんに迷惑なんですけど?」

 

千束は首を傾げ、迷惑そうな顔をしている。ギャーギャー騒ぐなと言わんばかりの雰囲気を見せている

 

「ちッ・・・この野郎ッッ!」

 

直後に男は千束へ向けて発砲する

だが、飛んできた弾を千束はサラりと避ける

 

「避けやがった!?この!このッッ!!」

 

立て続けに千束へ目掛けて何発も発砲する。しかし、千束へ弾は当たる事は無く 全て避けられてしまう。終いに男の銃は弾切れを起こし、使い物にならなくなる

 

「お終い?んじゃ、お疲れ様でした!」

 

気が付くと千束が目の前に立っている。

そして数発程、弾を撃ち込まれると苦悶の表情と共に崩れ落ちた。

 

「な、何なんだよコイツら!!バケモノかよ!?クソ!!」

 

ただ1人残された男は後退り、その場から逃げようとする

 

「大人しく投降を・・・ッ!?」

 

そう言い掛けた時、脳裏に言葉が過ぎった。

またあの言葉だ。「使命を全うせよ、使命を果たせ・・・!」

頭を抑えながらレナは相手を見据える

男は今にもこの場から逃げ出しそうな様子だった。絶対に逃さない・・・絶対に・・・!

そう思った時には既に身体は動いていた。

スカートを捲ると左足太腿に巻いているホルスターからナイフを引き抜き、走り出すと飛び上がると同時に膝蹴りを放つ。

背中から倒れた男は怯えた様な目で此方を見ている

 

「ひぃいい!!?わ、悪かった、悪かったから許してくれ・・・頼む!頼むから殺さないでくれ!!」

 

怯えた様子の男はレナを見ながら必死に命乞いをする。今にも泣き出しそうな声を出しながら

 

「・・・さようなら」

 

男の命乞いを聞かず、勢い良くナイフを振り翳す。しかし、その手を千束が止めるとナイフは男の胸元で止まる。

 

「やり過ぎ・・・。誰も死体なんか見たくないって」

 

千束は真顔で首を横に振る。そしてレナからナイフを奪い、男から離させると

ワイヤーで男の身体を縛り上げる。

 

「それで、誰に雇われたの?あんな所で何してた訳?」

 

千束は縛った男の方へ顔を近付ける

じーっとその目を見ながら。

 

「い、言わねぇぞ絶対!喋ったら殺される!」

 

男は千束から目を逸らす

喋ったら殺されるというのはドラマでも稀に聞くセリフだが。

 

「あーっそ・・・けど、ゲロったら楽になれるぞ?私は死体とか見たくないし?」

 

千束は、にししと笑いながら男を見ている。

 

「ああ、解ったよ・・・ッ。俺達は、ある計画の為に彼処で取引する為に来た・・・そして取引自体は成功した。だが、そこにお前達が来たんだ・・・」

 

男は辺りを見回してから重い口を開いた。自分達の雇い主からの指示で自分の代わりに取引をして来いとの事で、此処へ来たのだという。

取引自体は成功したが、たまたま通り掛かった千束達に見つかったのだという

 

「お前達・・・リコリスって奴だろ?雇い主が何度か喋ってた・・・この国の裏側を担う連中だって・・・ふふふ、お前達は終わりだよ・・・。あの人が動けばお前達なんて・・・ッ!?」

 

そう言い掛けた時、千束は男に手刀を打ち込むと気絶させていた。そしてスマホを取り出すと何処かへ連絡を付ける。

その後、レナの方へ振り向くと彼女を見ていた

 

「ねぇ、何であんな事したの?無力化迄は解るけど・・・刃物で脅すなんて。しかもアイツ、丸腰だったけど?」

 

じーっと千束はレナを見ながら問い詰める。

 

「・・・逃げられたら応援を呼ばれると思ったので。ただ、それだけです」

 

レナは目を逸らすと呟く

反省の色は無く、当たり前のことをしたという風に見て取れる。

 

「それなら、さっきみたいにコレ使えば良いでしょ?わざわざナイフなんて使わなくたって出来たじゃんよ?」

 

千束はレナがしまった拘束銃を指さす

そして、彼女から奪ったナイフを見ていた。

黒光りする鋭い刃。持ち手には鷲のマークが刻印されている

 

「兎に角、コレは没収!こんな危ないモノ持たせておけないってば」

 

千束はナイフを後ろへ隠すと、同時にレナの足のホルスターも外す。

 

「返して下さいッ!それが無いと困ります!」

 

レナは千束からナイフを取ろうとする

 

「ちょい、ちょい!刃物だから危ないって!変に掴み掛かろうとするとケガするから!」

 

何とかレナを避けるとナイフ用のホルスターに獲物をしまい、自分のカバンへと隠した。

 

「次、勝手な事したらワイヤーで縛っちゃうからな?覚悟しとけよー?」

 

不機嫌そうな顔をするレナへ警告すると千束はいつもと同じ顔付きに戻る。そして2人はそのままリコリコへと戻って行った

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

店へ戻ってからというもの、レナは黙って黙々と仕事をこなしていた。

接客や配膳時の営業スマイルは欠かさないが、それ以外は一切愚痴を零さずに仕事をしている。

 

「おーい、レナぁ、お茶ー」

 

クルミが座敷から顔を出すと

はいはいと言い残し、素直にお茶を入れに行く。

普段なら「自分で入れて下さい」と突っぱねられるのだが

 

「・・・何か有ったのか?ヤケに素直過ぎる気がするんだが?」

 

クルミがカウンターへ視線を向ける

千束は足早に奥へ向かう

 

「さぁ?病院から帰って来てからずっとこんなですよ」

 

たきなが食器を拭きながら答える

喧嘩でもしたのか?と千束へ聞いたが、何も答えてくれなかった。

一方のレナにも聞いたが、此方も「何でも有りませんから。」の一点張り

 

「成程・・・」

 

2人の様子を見たクルミは何となくだが納得し、これ以上は介入しない事にした。

 

「それと、巷でリコリスを狙った襲撃事件も起こってるらしいから帰る時は気を付けろよな 」

 

クルミは菓子を抱え、部屋へ戻る時に振り向いて警告する。

そして再び部屋へと戻って行った

 

それから更に数時間後。

店は営業時間を過ぎた為、店終いする事に。2人は結局営業時間が過ぎても話す事は無かった

 

「んじゃ、おっつかれー!」

 

手をブンブン振りながら着替えた千束が更衣室から出て来る

そのまま玄関へ差し掛かると後ろから声を掛けられる

 

「待たなくて良いんですか?」

 

たきながレナを見ている

未だ彼女は着替えの最中だった

 

「あー・・・良いよ、大丈夫。んじゃね、たきな。また明日!」

 

千束は外に出ると店を後にする

たきなも続いて店から出ると、少ししてからレナは「お疲れ様でした」と一言残すと店を出て行った。

 

千束とは別に喧嘩した訳では無い

だが、何となく距離が離れた気がした。

二人の間に見えないが1枚の壁が有る様な。そんな気がしたのだった

 

「はぁ・・・」

 

徐にため息をつく。

ここ最近は主に自分の事で2人を振り回してしまっているのは確かだ。

自分の過去を知ろうとして誰かに迷惑を掛けている。それならいっそ、思い出さないでこのままにしておく方が良い気もする。

だが、一度踏み込んでしまった以上はもう引き返せない事も解っていた

 

考え事をしながら歩いていたその時、後ろから何かが近付くのを感じる。

本能的な直感だが、何かが危険だと言っている。

 

「・・・?」

 

レナは銃をカバンから引き抜こうと手を回す。だが振り向くと同時にパンチが繰り出され、それを咄嗟に避けると距離を取り、すかさず銃を引き抜く

 

「俺のパンチを避けやがったか。流石は国のエージェント様だなぁ?」

 

サングラスをした男はニヤニヤ笑っている。どうやら、相手は1人だけらしい。辺りは街灯こそ有るものの、薄暗い。だったら無駄な戦闘は避けるべきだと感じたレナはゆっくりと後ろへ下がり、そのまま背を向けて走る

 

「おい!コラ、待ちやがれガキ!」

 

男もまたレナを追いかけて来る

そして大通りへ出た途端

ライトを浴びせられ、思わず目を逸らす

再び正面を向くと20人程の連中が辺りを取り囲む様に待ち構えていた

 

「成程、此方が誘い込まれたって事か・・・!」

 

走って追い掛けて来た男により退路は塞がれ、完全に囲まれている

 

「へへ・・・たっぷり可愛がってやるよ、お嬢ちゃん!」

 

囲んでいた1人が銃を向け、此方へ発砲する

だが横へ飛んで回避すると素早く発砲し1人目を撃ち抜く。

 

「何がリコリスだ!やっちまえ!!相手は1人だぞ!!」

 

それを皮切りに1人、また1人とレナへ向かって来る。

 

「丁度良い・・・イライラしてたから、相手になってやる!」

 

レナは刃物を突き刺そうとした相手の片方の腕を抑え、刃物を奪い取るとそれを片足へ突き刺すと両肩を銃で射抜く

 

「嘗めてんじゃねぇぞ!!」

 

と勢い良く来た別の男の両足に、隠し持っていた拘束銃を放ち、ワイヤーで転ばせると続いて来た数人がそれに巻き添いを喰らって転倒。

更にそこにもワイヤーを引っ掛けて数人を一網打尽に拘束する

ざっと数えて残りは15人。

鉄パイプ、拳銃、刃物、素手にメリケン、チェーンを持った者も居る。

その姿は喧嘩物のドラマや映画、さながらだった

 

「おらァァァァッッ!!」

 

男が鉄パイプを勢い良く振り下ろすと、レナは後ろへ下がって避ける。

だが下がった所を背後の男がレナの脇から自身の両腕で挟み込む形になってしまう

 

 

「捕まえたぜ?お嬢ちゃん!!」

 

捕まえた男はニヤニヤと笑っている

まさに勝ち誇ったと言わんばかり。

 

「そのまま抑えてろよ?顔に食らわせてやっからよォ!!」

 

勢い良く鉄パイプを振り翳そうとした途端、レナを捕らえていた男が悲鳴を上げて思わずレナを離してしまう

そして鉄パイプ男の腹部へ正面から蹴りを繰り出す。

 

「がはぁあッ!?こ、コイツ・・・!」

 

鉄パイプ男は倒れ、レナを捕らえていた男もまた足を抑えている。

あの時、勢い良く自分の右足で男の右足を踏み付けたのだ。

千束から教えて貰った護身術が役に立った。

 

「・・・まだやりますか?怪我じゃ済みませんけど?」

 

レナは冷たい目で残りを見回す。

先程の2人もワイヤーで拘束し、無力化させた。連中が誰かの差し金で動いているのは解った。

 

「ガキの癖に・・・ガキの癖にぃいいッッ!!」

 

震えていた1人がレナ目掛けて発砲する

弾がレナの頬を掠めると血が滴る

 

「そうですか・・・なら、死んでも文句は言わないで下さいね」

 

男の発砲を合図と受け取ったレナは電柱の方へ向かい、そこへ隠れる

男ともう1人はそこへ目掛けて銃を乱射する。電柱とその辺りの壁には弾痕が残り、パラパラとコンクリートの破片が落下する。

 

「へへ・・・やったか?のわぁあッッ!?」

 

男は銃を下ろす。その直後、何かが顔に当たり痛みが走る

石が飛んできた。しかも顔目掛けて正確に。

 

「痛ってぇな、この野郎!」

 

再度、銃を向けながら見回す。

だが気配が無い

その直後、近くの茶色い箱型の辺りからワイヤーが数発、飛び交うと男の両腕を縛り上げたのだ。

 

「な、な、何だ!?」

 

堪らず男は腕をブンブン振り回す

巻き付いたワイヤーを解く手段は無い。

 

「・・・残念でしたね」

 

ニコッとレナは笑うと縛り上げた男を尻目に残りの連中の前へ来る。その間、器用にも逃げ出そうとした男をノールックで拘束銃を発砲し、がんじがらめ拘束した。

拘束銃の弾が切れればそれをチャンスだと思い、残りの連中が一斉に襲い掛かる。しかし、1人、また1人と肩や足を的確に撃ち抜かれる。この時点であれだけ人数が居た連中は、もう残り5人だけだ

辺りには伸されて身体にワイヤーが巻き付いた男達が何人か転がっている

 

「リコリス狩りだか何だか知らないけど・・・仲間を殺るなら私が容赦しない。私と仲間がお前達を地の果てまで追い掛け回して消すぞッッ!!」

 

怒りに任せて空中へ何発か発砲する

それを見た残りの男達は蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。

 

「はぁ・・・」

 

レナは溜息をつくと銃をカバンへ戻す。

その直後、手をパンパンと叩きながら誰かが近付いて来る

銀髪をセンターで分けた男、服装は上が黒いコートで下も黒いズボンを着用し、目は赤く輝いている。無論、手には何も持っていない

 

「おーおー、やるじゃん?アイツら、族の中だと結構強かったんだぜ?」

 

男はレナを見ながら立ち止まる

レナも咄嗟にカバンから再び銃を引き抜く。

 

「何者だ?・・・さっきの連中とは違うのは解るが」

 

レナはじっと男の方を見据える

 

「おいおい・・・俺は喧嘩しに来た訳じゃねぇ。ただ話に来ただけさ・・・それとも、リコリスは丸腰だろうと相手に銃向けんのか?」

 

男は両手を上げ、武器を持って居ない事を明かす。

確かに目立つ物は持っていない

 

「・・・それで、話とはなんだ?場合によってはお前を撃つ」

 

いつでも撃てるぞと言わんばかりの圧を男に掛けると、そのまま警戒し続ける。

 

「いや、挨拶に来ただけさ・・・初めまして。ルミナのリコリス・・・いや、アランとも繋がってるからどっちもか?」

 

ルミナ?ルミナとは何だ?初めて聞いた名前だ。レナにとっても意味が解らなかった

 

「・・・違ったっけか?お前は教団が別枠で作ったリコリスだろ?教団で調教され、その後アラン経由で組織に入った。違うか?」

 

この男の口から出るのは知らない事ばかり。アラン?ルミナ?教団?その単語だけがレナの中を駆け巡る。

 

「何が言いたい・・・!!」

 

思わず歯を食い縛ると銃を握る手にも力が籠る。恐らく、推測だがこの男もまた何かを知っている風に見える

 

「まぁいい・・・俺の名は神代。神に代わってこの国を捌く者・・・宜しくな。あと、残りの赤いのと青いのに伝えておけよ?じゃーな」

 

神代と名乗った男はその場を去っていった。黒いコートを靡かせながら。

 

「神代・・・。おい、待て!話しは未だ・・・ッ!!」

 

レナがそう呟いた時

 

「おぉーい、大丈夫だった!?」

 

千束が駆け寄って来ると真っ先にレナを抱き締めた

 

「良かった、良かった・・・手も足も付いてる!あーッ!?顔ケガしてんじゃん!」

 

レナの顔を見た時、頬にあった切り傷を見て叫んだ。

 

「これくらい、平気ですから」

 

レナは袖で血を拭おうとする。だが咄嗟に止められてしまう

 

「ちゃんと手当しないと痕残っちゃうからダメ!あと制服汚れる!ほら、じっとして!もー・・・ホントに・・・」

 

ブツブツ言いながら、傷口を消毒し絆創膏を貼る。出来た!と笑いながらレナを見ていた

 

「・・・怒ってたんじゃないんですか?私の事。」

 

千束の方を見ながら呟く

その事が何処かで引っ掛かっていたのだ

 

「怒ってたよ?そりゃ、いきなりナイフ振り回すんだもん。危なっかしいし・・・」

 

考えてからじっと千束はレナを見つめていた。

 

「けど、今度はちゃんと出来たじゃん。そこに転がってる連中もみんな最低限の怪我で済んでるしさ」

 

千束は、にひひっと笑うと顔を近付ける

 

「よく出来ました!千束さんがハナマルあげよう!」

 

抱きしめながら頭をワシャワシャと撫でる

 

「や、止めて下さい!髪が乱れる・・・」

 

何とか離れようとするも離してくれない。それに誰かに見られてたら恥ずかしい事、この上ない

 

「よーし、帰ってご飯にすっかぁ!作るの面倒だからコンビニ行こうぜ!コンビニ!」

 

もう時刻は夜の23:00になっていた

 

「・・・あの。前々から気になってたプリンが有って、コンビニ限定の奴で・・・その・・・」

 

つい、レナは口走ってしまう

今朝の事を思い出していた。もし未だ有効ならと思ったのだ。

 

「あー・・・良いよ、買ったげる!千束さんに任せんしゃい!」

 

千束はレナに引っ付きながらコンビニへと足を運んで行ったのだった。

この二人の関係性がいつまで続くのかは解らないが・・・今はそれでもいいのかもしれない。どういう結末になるのかは誰にも解らないから。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「へっくしゅんッ!」

 

たきなが大きく、くしゃみをする

 

 

「何か忘れられてる様な。千束も最近、私よりレナばっかり構って・・・」

 

3人で撮った写真を見ながら、たきなは小声で呟く

 

「千束の相棒は私じゃないんですか・・・」

 

そう言った彼女の顔は何処か寂しげだった。

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