リコリス・リコイル/their other story   作:秋乃楓

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16_missing gun

DA本部内にある部屋の中の一室。

そこに千束は居た。

通称DA。DirectーAttackの略称であり

存在そのものは世間一般に公表されていない施設。多くのリコリス達は此処で訓練を受け、リコリスとして育てられる。

千束が呼び出されたのは、ある事件の話だった

 

「今から約2週間前、奇妙な通報が我々の元へ入った。内容は隠した銃器の存在を知っている、場所は追って伝えるという物だった。場所は東京から離れた山奥の中で所謂、田舎だ。そこへ夏野率いる部隊を向かわせ、小屋を調査させた所、白い布に包まれた銃器類、弾薬が発見された。お前の良く知る奴の隠した物で間違いは無いと踏んでいる・・・」

 

楠木は千束と向かい合う形で座りながら話を進めていく

 

「つまり、真島が残したブツ・・・って事ですか?うっわー・・・嫌だなぁ・・・」

 

千束は首を傾げる

その名前には聞き覚えが有った。

真島。リコリス掃討作戦を決行し、サードリコリスらを相次いで殺害。そしてハッカー、ロボ太と結託し電波塔をジャック。1000丁もの銃器を街中にばら撒居た挙句に延空木をジャックし、自らの仲間と突入したリコリスらを戦わせる事でリコリスの存在を全国へと暴露しようとした。事件後、依然としてDAも真島の行方は掴めていないのだった

 

「そうだ。奴が撒いた銃器のうち回収出来たのは今回の分を合わせても未だ半数にも満たない・・・」

 

楠木は真島の資料と共に話を続ける。

真島の残した1000丁もの銃器。

それが未だに回収分が半分にも満たないまま、行方知れずになっている

リコリスとリリベルらがそれぞれ探しても未だ1000丁までは程遠い

 

「それで・・・私達にどうしろと?まさか、1000丁全部探して来いなんて言いませんよねぇ?幾ら何でも無茶ですよ?」

 

千束は足を組むと楠木を怪訝そうな顔で見ている。

 

 

「そんな事を頼む為に呼んだ訳では無い・・・お前達には銃器を隠し持ってる可能性が有る組織を当たって欲しい。これがそのリストだ」

 

横に居た職員が千束へリストを渡す。

そこには細かい文字でビッシリと組織らしい名前が連なっていた

 

「うげ・・・2枚も有る・・・」

 

千束は手渡された資料を見ると嫌な顔をしながらジロジロ見ている

 

「お前達にはうってつけだろう?何れは誰かがやらねばならん事だ。」

 

楠木は不服は一切受け付けないという目で千束を見ている。勿論、断わる事もだ。

 

「解った、わーかーりーまーしーたー!やります、やりますよぅ・・・」

 

千束は投げやりで返事をするとウンザリした様な顔付きで溜息をついた。

 

 

「以上だ、速やかに任務を遂行せよ。それと、もう1つ・・・三城という男が遺体で発見された。捜査員が調べた所、例のドクロの男で間違い無かったそうだ・・・。お前の知り合いか?」

 

楠木は淡々と告げ、その場に立ち上がる。そして近くの自分のデスクへと戻った

 

「三城が死んだ・・・了解しましたよっと。んじゃ、錦木千束、任務に当たりまぁーっす」

 

立ち上がると千束はブツブツ文句を言いながら執務室を後にする。

 

「三城が死んだ・・・まさかレナが?」

 

ふと不思議に思いながらもDAの施設から出ると千束はリコリコへ戻って行ったのだった

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ー数時間後ー

千束はリコリコへ戻るや否や、悲鳴の様な声を上げてテーブルの有る畳の席へ寝転がってしまう

その様子を見た、たきなは声を掛ける

 

「・・・何か言われたんですか?楠木司令に。」

 

近寄るとその様子を見ながら尋ねる

すると、上から何故か盛り上がってる様な声が聞こえて来る

 

「ねぇーえ、何やってんの?」

 

千束は身体を起こすと2階を見上げる

するとレナが男数人に囲まれていた

 

「ああ、アレですか?クルミが発案したんです。集客数を見込むならコスプレが1番良いと」

 

たきながすっと指をさすとそこには何故か普段の着物では無く、メイド服を着せられたレナが居た

 

「・・・あ、お帰りなさい。すいません、少ししたら行きますので 」

 

2階からレナが答えると再び接客へ戻った

そして千束の元へ発案者のクルミもやって来る

 

「どうだ、ボク発案のコスプレ集客は?流行りのアニメのコスプレをレナにさせたんだ。そっくりだろ?タイトルは、銃とメイドの弾丸ーリボルバー・ザッハトルテ。そこに出て来るキャラ、リーサのコスプレさ」

 

タブレットを取り出すとアニメのポスターを見せる。そこにはレナと似た少女が可愛らしいポーズを決めていた

 

「・・・あのねぇ、うちはコスプレ喫茶じゃ無いんですけど?変なの来たらどーすんの?ねぇ、センセも何か言ってよぉ!」

 

千束はカウンターの方へ目をやる

だが、ミカはニコッと微笑むとカウンター席の客へコーヒーを出していた

 

「おいおい、匙投げてるよ・・・・」

 

千束は頭を抱えると溜息をついた

そこに2階での接客を終えたレナが戻って来た

 

「すいません・・・クルミさんと2人で集客数を上げようと考えてたら、こうなってしまって。」

 

申し訳なさそうにレナが頭を下げる

とは言え、千束が来るまでの間は好調だったらしい。

 

「私も面白そうだったので許可しました。偶には良いと思いますよ?こういうのも」

 

たきなも止める事はせず、集客という言葉を素直に受け止めて許可したらしい

事実、客が来なければ店は儲からない。

ここ最近は客足も減りつつ有った為、寧ろ呼び込みや宣伝には丁度良かった様だ。

 

「はぁ・・・やれやれ。背に腹はかえられんかぁ・・・」

 

千束は溜息混じりに答えると書類を取り出す。

 

「これは?・・・見た所、企業や組織の名前みたいですが」

 

たきなはリストを受け取るとじっと見つめる。横でレナも同じ様に見ていた

 

「片っ端からシラミ潰しで当たって欲しいんだってさ。・・・オマケに真島絡みだから、ちょーダルいしぃ! 」

 

ぶぅーっと口を膨らませると

やる気所か戦う気すら起きないらしい

 

「・・・今からやれば、何とか明日には終わらせられるハズです。なので今日はこのリストの此処までを終わらせましょう」

 

たきなが指先で1枚目の用紙の上から下を全てなぞる様に動かす。

 

「うっへぇ・・・たきなは真面目さんだなぁ・・・」

 

視線をたきなの方へ向ける

 

「千束がだらしないだけです。それに、こういうのはコツコツやらないとダメです!どうせ、無理やり誤魔化すか或いはほっとくつもりだったのでしょう?」

 

キッパリと切り捨てられてしまう

図星らしく、千束はガックリと頭を下げている

 

「まぁ、まぁ、コレあげるので食べてからやりましょう?」

 

レナが何かを思い付くとカウンターの奥の冷蔵庫からリンゴを持って来るとテーブルへ置いた

 

「うっはぁ〜!可愛ええ!!ウサちゃんリンゴだぁ!!え、レナが作ったの!?めっちゃ器用じゃん!?」

 

途端に目をキラキラさせながら見ている

その姿はまるで子供だ。

 

「アニメにも出て来るんです。主人公のメイドがケガで療養中の主様にリンゴを切ってあげるシーンが有り、それで作ってたのがコレです。あと、紅茶も」

 

次いでと言わんばかりに再びカウンターへ行って、戻ると紅茶をリンゴの横に添えた。

 

「優しいなぁ・・・何処かの誰かさんと違ってさぁ・・・」

 

リンゴを食べながら呟く。一瞬だが殺意を感じると誤魔化しながら完食した

 

「っしゃあ!千束さん復活じゃい!!さぁ、やったるぞぉ!!」

 

いきなり立ち上がると、着替えて来い!と手で合図する

2人はやれやれと思いながらもセカンドの制服に着替え、数分後に戻って来る

 

「行きましょうか。先ずは・・・此処からですね」

 

3人は外へ出ると1つ目の場所へ向かった。1つ目はチンピラの寄せ集めに近い組織で、一応名前は通っているらしい

真島と繋がりが有る様には見えないが

 

「先ずは・・・此処かぁ。じゃあ、2人はカバーよろしく!」

 

場所は廃棄された工場。物を隠すには丁度いい

 

「さっさと終わらせっかぁ・・・」

 

千束が工場へ入ると中に居た連中がくるりと振り向く

 

「誰かと思えば女が入って来たぞ!?しかも良い身体付きしてやがる。見た所、女子高生かぁ?学校サボって、こんな所に来るとはねぇ?家出かぁ?」

 

髪を金髪に染めた男が千束に気付くと舌なめずりをし出す

 

「止めてくれる?気持ち悪ぃからさぁ」

 

千束はジーッと見据える

 

「でもまぁ、女1人此処に来るって事はアレか?飢えてんのか?」

 

ゲラゲラと笑いながら近付いてくる

 

「へへ・・・俺好みの女にしてやる・・・」

 

そう言いながら千束の胸を掴もうとした時、千束がグイッと男の右腕を掴んだ途端に悲鳴が上がる

 

「いでででで!!悪かった、離してくれよ!!?」

 

男は千束により腕の肘辺りを指で強めに押されていた。その声を筆頭に何人かがゾロゾロ出て来る。彼らの手には金属バット、メリケンサック、スタンガン・・・色々だった

 

「はっはぁーん?如何にもって感じかぁ・・・」

 

千束はニコッと微笑むと男の首筋へトンっと手刀を打ち込み、気絶させる

それを合図に乱闘が始まる

 

「さぁて、始まりましたよ・・・っと!」

 

銃をカバンから取り出すと金属バットによる攻撃を避け、その持ち主の腹部へ数発撃ち込んで鎮圧。

今度は鉄パイプを持った男が走って来るも、間合いに入った段階で発砲しこれも鎮圧。

そんなこんなで大体約10分も掛からず、全滅させられてしまった

 

「血の気が多いなー、ホント。イラつくならカルシウム取りんさい?」

 

手を振ると、2人と共に捜索を始める

だがらしき物は無かった

 

「有りませんね・・・銃も弾も」

 

たきなが怪しい箇所を漁るものの、出て来ない。

 

「ハズレですね・・・」

 

レナも男達が溜まり場としていた箇所を探すが見つからなかったらしい

 

「じゃ、次行こっか。こんなの繰り返すのしんどいって・・・次、たきなとレナがやって! 」

 

リストの2つ目を指さされる

2つ目は此処から歩いて約30分の所にある建物だった。

そして歩く事30分、目的の場所へ到着すると2人は作戦云々を省いて建物へ突入。たきなが即座に発砲し、ヤクザの様な男らを次々と制圧。一方のレナも発砲

しつつ、粗方片付けるとトドメと言わんばかりに数人を体術で制圧。鋭い上段回し蹴りが炸裂したかと思えば、テーブルを踏み台にし、飛び回し蹴りをガタイの良い男の首へヒットさせ、倒してしまう。羽交い締めにされれば、足を踏み付けて頭突きを食らわせる。

そうこうしていると、もう部屋の中は静まり返っていた

 

「こっわ・・・2人ともやべぇじゃんよ・・・」

 

若干、引きながら千束は中へ入る

すると、2人はくるりと振り向いた

 

「「何がですか?」」

 

思わず声が重なってしまったが

やはり目的の物は此処にも無い

こうして、3件目、4件目、5件目・・・と

順々にリスト通りに進めて行くが残り2つになっても見つからない。

そして残り2つをやり遂げても、ハズレ。

 

「ぜーーーんぶハズレじゃん!!もぉおお!!!」

 

千束は思いっ切りキレている

そりゃそうだ、何時間も掛けて1枚目を終わらせたら全てがハズレだったのだから。

 

「これは・・・流石に・・・」

 

流石のたきなも疲れていた。

どれだけ当たっても見つからずハズレ、そして再び乗り込んで制圧というのを繰り返し続けても当たりは無く、ハズレ。

この繰り返しだと流石にキツい

 

「・・・これ、本当に正しいリストですか?」

 

レナが額の汗を拭うと千束からリストを借りて再び見てみる。だが怪しい所は1つも無い

 

「帰ろうぜ・・・もう疲れた・・・」

 

レナが千束の方を見ると既に疲れ切った顔をしている。

2人はそれに同意すると、現地解散する事にしてその日は引き上げる事に。

気が付けば夜の20:00頃になっていた

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ー翌朝ー

今日はリストの2枚目。完全に朝から千束は意気消沈してしまっている

昨日もあんな調子だったから、間違いなくやる気は出ないだろう

 

「・・・んじゃ、行ってきます」

 

肩をガックリと落とした千束は文句を言いながら店を出て歩いて行く。

2枚目の最初は、どう見てもヤバそうな名前をした組織。

 

「はぁ・・・カバーお願い・・・」

 

場所へ辿り着く頃には、もうやる気が無くなっているのか疲れた顔をしている。

 

「やれやれ・・・こうなったら、アレで行きましょう。」

 

たきなが仕事で使う以外のカバンを漁り始める。どう見ても紺色のスクールバッグで、その中から服を取り出した

 

「アレって・・・ホントにやるんですか!?」

 

レナは思わず声を出してしまう

横に居た、たきながしーっと指で自分の唇を抑える

 

「わ、解りました・・・着替えて来ます」

 

レナは近くの物陰へ衣装を持ちながら向かう。その間、千束とたきなは様子を伺う

 

「・・・お待たせしました。これで良いですか?」

 

着てきたのはリコリコに居た時のメイド服。レナの青い目はカラコンを入れてる為、赤くなっている。髪の毛もウィッグを使ってる為か銀色になっている

 

「ちょちょちょ!?なぁんでコスプレしてんの?・・・レナも疲れてんの?」

 

千束はその様子を見ると驚いている

すると、たきなが室内を指さした

 

「クルミの言ってたアニメのポスターが有ります。・・・恐らく、誰かファンが居ます。気を引いてる内に裏手から入って探しましょう」

 

壁に貼られているのは例のアニメのポスター。ポーズこそ異なっているが、1枚だけではなく2枚目も。更にグッズらしき物も確認出来る。そう言われると千束も納得した様だ

 

「では、前方はレナにお願いします。私達は建物の裏手へ」

 

たきなは千束を連れて建物の裏へ向かう

前に1人、残されたレナはインカムで合図を待つ事に。

そして突入の指示と共に中へ入る

 

「あー・・・コホン!突然、申し訳ございません・・・。お初にお目に掛かります、ご主人様方。私はメイドのリーザ=エーベルヴァインと申します。掃除、家事、炊事・・・その他も色々と出来ますので、何なりとお申し付け下さいませ。どうか、お見知り置きを・・・」

 

レナが中へ入ると、キャラの挨拶を真似て会釈をする。すると振り向いた男達からは怒鳴り声では無く歓声が上がった。

まるで有名人が来たかの様な歓声っぷり

 

「ほ、本物のリーザちゃん!?」

 

「うっわぁ・・・マジかよ!?生きてて良かったぁ!!」

 

と、口々に歓声が上がった。

あははと苦笑いしながらレナは手を振る

そしてインカムに向けて、小声でどうぞと話すと2人も建物の奥へ潜入した

 

「ねぇねぇ、その髪は自毛? 」

 

「アレやってよ!決め台詞!!」

 

「これにサインして!あー、あとコレも!」

 

2人が物色中、レナは怒涛の質問責めに会っていた。コスプレですと答えても、余計それが盛り上がってしまう

やれ、クオリティが高いだの何だの。

お茶入れてくれだの。暫くしてからインカムに通話が来る。そして此処にも無いとの一言

 

「では、私はこれで・・・」

 

レナが帰ろうとした時、最後のお願いとして写真を撮る事になった。

男達数人の真ん中にコスプレしたレナが写る。男達に見送られながらレナは事務所を後にした

 

「盛り上がってたなぁ・・・サブカルってすげぇ・・・」

 

千束が窓から室内を見回すと苦笑いしていた。

そして千束、たきなと合流すると次の場所へ向かう事に。レナが着替えてから向かった後、昨日と同じで2件目、3件目、4件目・・・やはり連続してハズレ。

そして2枚目の最後の1つ。望みは此処だけだ。最後の1つはビルの近くに有る暴力団組織と思われる事務所だった

 

「さぁーて、有ります様に!」

 

千束は両手をパンパンと叩くと神の頼みする様に頼んでいる。

 

「・・・有った所で、ヤバい事には変わりないんですけど?そんな事頼んでどうするんです・・・?」

 

たきなは呆れた顔で千束を見ていた。

もし、銃器が見つかっても不味い事には変わりは無いのだ。

 

「ま、やってみなきゃ解らんだろう?せーーのッッ!!」

 

千束は建物のドアを蹴破ると、中に突入する。5人の男らが銃を抜くと同時にバタバタ倒れて行った。千束がいつの間にか銃を発砲しており、倒れたと同時に赤い煙が被弾した男らから立ち上る

 

「頼むから、あんまし撃たないでよ?こっちは調査しに来ただけなんだからさ!」

 

すると、奥の方へ逃げた男の2人がマシンガンを手に戻るとそれを発砲する

凄まじい銃撃音と共に壁に穴が空き、飾っていた花瓶も着弾し砕け散る。

だが、千束には1発も当たらない

 

「あ、当たらねぇ!?」

 

「何だよ、避けてんのかよ!?くそぉおおッッ!!」

 

2人は千束に向けて発砲し続けるも

涼しい顔で千束は避けている。

やがて発砲音が止んだ頃にはもう遅い

既に千束が間合いへ入り込んで来る

 

「はい、お疲れさんでしたッ!はい、もう一丁ッ!!」

 

1人目へ3発、2人目に4発とそれぞれ撃ち込むと男達はバタバタと倒れる。

すると、今度はスーツ姿の男が千束目掛けていきなり刀を振り下ろして来る。鞘は粗く投げ捨てられており、入口から左手の来客用ソファの近くに転がっていた。

ヒュオンッという音が空を切り、パサパサと千束の前髪が数本散らばった。

 

「ちょいちょいちょい・・・!今度は刀かよぉ!?」

 

男が間髪入れず、何度も千束目掛けて刀を振り翳す。縦の振り下ろしから横、斜めと連続して斬り掛かる

 

「2人とも、援護!援護してよぉ!」

 

千束は避けながら2人を見る

咄嗟にたきなが反応し、狙いを定める。だが引き金が弾けない

 

「ダメです、千束!もっと離れて!」

 

たきなも狙いを絞るが下手に撃てば千束に当たりかねない。その為、発砲出来ずにいた。千束は一歩一歩、部屋の正面から見て右の窓側へ追い込まれつつある。

 

「千束さんッ!!」

 

レナが叫ぶと、男が最初に投げ捨てた鞘を拾い、千束へ投げて渡す。男の一振りを避けた千束が左手でそれをキャッチし振り向く。そして、その直後に振り下ろされた刀を鞘で受け止めた

 

「へへーんだッ!喰らえッ!!」

 

そして右手に持った銃で発砲、数発が着弾すると男が後ろへ仰け反って倒れる。

そして起き上がらない様に追い討ちとして3発。

 

「はぁあーー・・・危なかった・・・」

 

空になったマガジンを交換し、千束が前屈みに俯く。そして2人も駆け寄ってきた

 

「これで全員・・・ですね」

 

たきなはそれぞれの場所に倒れた男達を見ていた。

今、倒したのを含めて合わせて8人。

そして肝心なのは彼等が真島の残したであろう銃器一式を持っているか否か

 

「どーお?有ったぁ?」

 

それらしき場所をゴソゴソと漁るがやはり見つからない。とは言え、全く関係ない所に銃や刀が置かれている限り、今回みたいな襲撃に備えての策が練られているのは解った。

 

「・・・?これは?」

 

すると、戸棚を見ていたレナが違和感に気付く。そしてスイッチらしき物を押すと金属製の戸棚が横へズレた

 

「うぉおお!!?何これ!?隠しギミックかぁ!?でかしたぞ、レナぁ!」

 

それを見た千束が喜んでレナへ飛び付く。通路は奥に向かって伸びている

 

「・・・罠という可能性が有ります、流石にこれ以上は止めた方が良いのでは?」

 

たきなが通路を見ながら警戒する

こういう狭い所はトラップが有っても可笑しくは無い。

だが、千束はそんな事なんかお構い無く走って行く

 

「トラップだか何だか知らないけど、此処でハズレだったら意味が無いでしょーが!」

 

千束は奥の広間へ来ると、部屋の真ん中に雑に放棄された銃器が置かれていた。

 

「もしかして・・・もしかしなくても・・・コレかぁ!?」

 

千束は目をキラキラさせると銃器を見ている。後から2人も走って来るとその様子をじっと見ていた

 

「千束、幾ら何でも不用心過ぎます!!全くいつも言ってますが、少しは・・・!」

 

たきなが注意する様に千束の肩を掴む

そして、同じ様に銃器を見つめる

 

「これは・・・真島という男のでしょうか?」

 

レナも横で首を傾げている。だが、確証は掴めない。

 

「兎に角、コレを回収して貰いましょうかね・・・いやぁー、見つかって良かったぁ!さ、帰るよー!」

 

千束はスマホで連絡を取ると、現地から撤収。最後の最後で当たったと千束は喜びながらルンルン気分でレナの手を引くと帰宅した。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ー翌日ー

 

「おっはよぉおおございまぁあす!!千束がきましたよーーん・・・ってあれ?どしたの?」

 

千束が意気揚々とリコリコのドアを開ける。だが何か様子が可笑しい

 

「千束?昨日の件ですが、先程司令から電話が有って・・・」

 

たきなが申し訳なさそうな顔で見ている

そして、横からレナが口を挟んだ

 

「・・・リストの最後、アレは間違いだった様で私達は関係無い場所を襲撃したみたいです。私達が押収したのはヤクザが秘密裏に隠し持ってた銃器で、真島の物とは関係有りませんでした。」

 

淡々と説明する。つまり、昨日襲撃したのは記載ミスによって載せられていた関係無い事務所。そして当の本命は既に別の隊が駆け付け、押収した事を付け加える。尚、ミスだと職員が気付いた時には千束は執務室を後にしていたのだった。

そのミスに気付いた職員は即座に楠木へ報告。しかし、それ位は他の隊にやらせるとキッパリ切った事から連絡は来なかった。

そして千束が来る前、先に来ていた、たきなが電話を取った事でミスが発覚したという物だったのだ。

 

 

「は・・・?え・・・、ええええええ!!!?」

 

千束はガックリと膝から崩れ落ちる。

折角、ウッキウキで来た気分は吹き飛んでしまった。

 

「職員の人も、呼び止めようとしたけど千束が大丈夫大丈夫!って流したそうじゃないですか。だからこうなったんです。つまり、千束の確認不足・・・という事ですね」

 

たきながやれやれと溜息をつくと呆れた顔で千束を見ている。

結局、千束の大雑把な部分が裏目に出てしまった・・・という事だ

 

「私の時間を・・・返してくれよぉおお!!」

 

千束は店の中で大声で絶叫し、項垂れてしまった。

今更叫んでもどうしようも無い事なのだが。こうして千束がガッツリ凹んでいる間、今日も一日がスタートしたのだった

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ー前日の夜ー

 

千束らが武器の在り処を探して奮戦していた頃。銀髪の男は自分の前髪を指先でくるくると丸めながら携帯を触っていた。雑居ビルの屋上にて匿名での掲示板のやり取りを何気なく見ていた時だった。

 

[自分では手に負えない奴らが居る。力を貸して欲しい]

 

1つの書き込みに目を付けた

そしてこの書き込みに対し、事細かに文章が記載されていた。

 

[誰の事?もしかしてケンカか?]

 

[いや、違う。気に入らない奴が居る。]

 

[何処の誰の話だ?]

 

[リコリス。奴らに一矢報いてやりたい]

 

[無理に決まってんだろw]

 

[去年起きた大規模なテロ、あれみたいな事をしてやりたい]

 

[ それこそリコリスに殺されるぞ?お前]

 

そんな何気無い書き込みを見ていたが

この書き込んだ奴は何かを知っている。

 

「・・・んじゃ、俺が協力してやっか。ダメなら此奴を俺が消せば済む話だ」

 

不気味な笑みを浮かべると男は端末内のキーボードを押して文章を投稿する

 

[詳しく聞きたい]

 

と。その一言だけで充分だった

 

「この国は平和ボケした連中がウヨウヨ居る。自分達は殺されない、自分達は戦争に巻き込まれない・・・とでも思ってんのかねぇ?」

 

ビルから見た街の明かり1つ1つが輝いている。車だったり、看板だったり、家の明かりだったりと様々。少し下を見れば楽しそうに話したりしながら歩く人間達。この国の平和は裏で維持されている。誰にも知られない真実で隠され、嘘という都合の良い言葉で隠す。

そして去年、あるテロリストがそれを明らかにしようとしたが結局は失敗した。

だが次はそうは行かない。男の確固たる自信が、よりこの国への反抗心を強く抱かせるのだった。

 

 

 

 

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