リコリス・リコイル/their other story   作:秋乃楓

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19_threat encounter

「何だったんだろうな・・・あの変な電話 」

 

千束はリコリコでの仕事をこなしながら

ブツブツと呟きながら考えていた。

昨夜、掛かってきた神崎由紀那と名乗る少女からの電話。そして自分もリコリスと同じ仕事をしているという事。

事実、それしか解らない。

 

「千束・・・千束!」

 

急に後ろから呼ばれてハッと我に返る。

手元を見るとカップギリギリまでコーヒーを入れてしまっていた

 

「もう!ボーッとしてると危ないですよ?あーあ・・・勿体無い・・・」

 

声を掛けた たきながお盆に零れてしまったコーヒーを見ながら呟く。

 

「ごめん、ごめん!ちょっと考え事しててさぁ・・・」

 

千束はえへへと頭の後ろを掻きながら謝る。けど、考えずにはいられなかった。

脳裏に過ぎるのはそればかりだから尚更

 

「・・・向こうのテーブルのお団子、まだですか?」

 

ひょっこりとレナがカウンターへ顔を出した。完成品を渡すのも忘れていたらしい

 

「ああー!?ごめん!これ持ってって!」

 

慌てて思い出すと千束はレナの持ってきたお盆へ団子を載せる。

そしてレナは不思議そうな顔をしながら、それを運びに行った。

仕事の合間の休憩時間でも千束はずーっと考えている。時にあーでもない、こーでもないと言いながら。

その様子を離れた所からレナ、たきなが見ていた

 

「・・・今朝からずっとあんなですね」

 

たきながボソッと呟く。そして1口お茶を飲んだ。

 

「ええ、何でも昨日の夜に掛かって来た電話が気になるらしくて・・・。朝なんて目玉焼きを焦がしそうになってましたから」

 

レナも目の前のどら焼きを1口食べ、お茶を飲んだ。

 

「電話?・・・まさか、男の人?」

 

たきなはじーっとレナを見つめる。

何処か疑っている顔だった

 

「一緒に住んでいても、解らない事は有ります。それに・・・千束さんからそういう雰囲気を感じた事は有りません。ご馳走様でした」

 

レナは淡々と話し、食べ終わると食器を手にカウンターへ向かって行った

 

「むぅ・・・幾ら何でも悩み過ぎだと思いますが・・・」

 

たきなも気にしながら食べ終わると同じ様に片付けに向かった。

そして休憩が開けて午後の仕事になっても千束は考え続けている。

今日は特に何も無く、仕事が終わると

千束だけがそそくさと出て行った。

 

「帰っちゃいましたね・・・」

 

レナが更衣室から顔を出す。普段なら千束が待っててくれる為、そのまま一緒に帰るのだが稀にこういう事があるのでスペアのキーを渡されている。

 

「・・・?たきなさん?」

 

ふと振り向くとたきなもまた考え込んでいた。無論、昼間に話した内容の事でだった

 

「千束に男・・・?いや、そんなハズは・・・でも万が一って事も・・・」

 

ブツブツと呟きながら顔をしかめている。あっちもこっちも考え込んでいる人ばかりだ

 

「・・・お疲れ様でした」

 

レナは一言残すと店を出て、千束を追い掛ける。実は未だリコリスを狙った事件が終わった訳では無い

数日前にも念の為に警戒しろと店へ電話が有ったばかりだった

 

「一体何処に言ったの・・・千束さん」

 

路地を曲がり、家の通りの方面を走って向かう。だが千束とは出会わない上にすれ違わず、そのまま家の前へ来てしまった。

 

「もしかしてもう帰ってる?・・・それなら良いけれど」

 

レナは部屋の前へ来るとドアノブを捻る。しかし、ガチャンと鍵が掛かっていた。つまり未だ千束は帰宅していない。

咄嗟にレナは部屋の前から去ると、外へ飛び出て千束を探しに向かった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

一方、当の本人はリコリコからかなり離れた位置にある高架橋下に居た

 

「よう、ちゃんと来たな?アランのリコリス。しかも指定した時間通りだ」

 

そこに居たのは銀髪、赤目の男。加えて後ろには複数人の男達

 

「呼び出したのはそっちじゃん。男達が揃いも揃って、むさ苦しい・・・」

 

千束は嫌な顔をしながら連中を見回す

実は休憩後に電話が有ったのだ。此処の高架橋下で待っていると。オマケに一人で来いという指示付きで。

呼び出して来た向こうはヘラヘラ笑っているが

 

「さぁて・・・見せてもらおうか?お前さんの実力って奴を」

 

そう言うと男は合図を出し、背後へ下がる。そして4人が横一列へ並ぶとマシンガンを構える

 

「なーるほど・・・ね」

 

千束は後ろへ少し下がる。そして銀髪の男の合図と共に千束へ弾が一斉に掃射された。辺りは凄まじい銃撃音が響き渡る

 

「あー、やっぱりこうなるッ・・・!!」

 

咄嗟に柱の裏側へ隠れると弾をやり過ごそうとする。弾が柱へ当たる度にコンクリート片が飛沫し、辺りへ散らばった。

そして発砲音が止むと今度は別々に動き始めた。どうやら個々で見つけ次第、撃つパターンへ変えたらしい

 

「さっさと片付けて帰ろっかな。レナが心配するだろうし!」

 

カバンの右横から銃を取り出すと近くへ来た男へ素早く発砲、弾が命中した男は赤い煙と共に倒れる。

 

「はい、お次!」

 

千束は走り出すと、2人目の男はマシンガンを発砲する。だがこれをさらりと千束は躱すと男の背面にあるネットフェンスへ男ごと巻き付ける様に左手に持っていた拘束銃を発砲、ワイヤーを絡めつかせて無力化させる

 

「弾が当たらねぇ!?」

 

続く3人目がそう叫びながら千束へマシンガンを掃射する

 

「はいはい、ご苦労さん!」

 

此方も歩きながら弾を躱すと余裕の表情で至近距離から発砲し、鎮圧させる

 

「残り1人だけど?キミはどうすんの?」

 

千束は立ち止まるとマシンガンを構えた男を見ている。よく見ると足が震えている。

 

「おーい、足震えてんぜ?怖いなら止めときなよ?撃ったって当たらない・・・ッ!?」

 

そう言い掛けた時、男は千束目掛けてマシンガンを振り翳す。だがこれも躱されてしまう

 

「この野郎!死ね!!クソ!!」

 

男は必死に振り回すがやはり当たらない。それもそうだ、仲間3人が5分も経たずに鎮圧されている。何れも屈強な見た目をしているのに何故かやられてしまった。こんな自分より歳下の女の子に。

 

「ちょいちょい!!危ないっての!」

 

千束は横へズレると男の片足へ自分の足を引っ掛けて転倒させる。そして拘束銃を使って4人目を拘束した。

 

「・・・はい、お休み」

 

倒れた男へ発砲すると男は気を失ってしまった。

 

「成程・・・雑魚より本丸の方がお好みらしいな?」

 

銀髪の男は笑いながら千束を見ている

正に高みの見物という訳だ

 

「アンタが呼び出したんでしょーが!全く・・・で?どうすんの?掛かって来るの?来ないの?どっち道、倒すのには変わらないけどね」

 

千束はキッと睨み付けると歩み始める。

 

「神代さん・・・」

 

男の一人がそう呟くと何かを受け取るのが見えた。

 

「サンキュー、これで充分だ。さぁて!パーティーを始めようか?」

 

男らを掻き分けると姿を現す。

そして千束と離れて向き合う形になった

 

「うっさい、近所迷惑でしょうが!兎に角・・・さっさと終わらせて私は帰るの!」

 

千束は男を睨み付ける。お互いに動き出す気配は無い。風で千束の髪が、男のコートが靡く。

先に仕掛けたのは男の方から。小型のサブマシンガンを千束目掛けて乱射、そして走り出した。だがそれを千束は躱し、素早く発砲するも弾を避けられてしまう

 

「うっそ、避けた!?この距離で!?」

 

男は隙を見逃さずに再度発砲し、千束を追い込もうとする

 

「ほらほら!動くと当たんねぇだろ!?大人しく此処でくたばれぇッッ!!」

 

サブマシンガンの掃射音が響き、弾が千束目掛けて放たれる。だが千束にはやはり当たらない

 

「もらった・・・ッッ!!」

 

近付いた千束は身を屈め、タックルを男へ喰らわせる。男を突き飛ばし、倒れた所へ銃を突き付けた

 

「これで遊びはお終い・・・大人しくしなって。これ以上続けても拉致あかないよ」

 

千束は男を見下ろす。だが男は観念していないらしい

 

「・・・そっちもな?未だ本気じゃねぇだろう?」

 

男は左足を千束の脇腹目掛けて振り翳し、蹴りを喰らわせる。そして立ち上がると千束の顔へ砂を掛けた

 

「いッッーー!!?」

 

千束は思わず目を瞑ってしまう。そして今度は腹部へ一発、パンチを食らってしまった

 

「形勢逆転・・・だな?」

 

男は笑うと千束の髪を掴んで膝蹴りを数発喰らわせる

 

「うぐッ!?て、てめー・・・ッ!! 」

 

千束は目を擦りながら睨み付ける

千束の場合は相手の弾を避けられる程に目が良過ぎる為、それが弱点でもある。

真島の時も目眩しを食らって追い込まれた事があるのだ。

 

「おいおい、どうした?アランのリコリスッッ!!」

 

千束の左肩を男が蹴飛ばすと千束は倒れてしまう。既に銃は膝蹴りを受けた時に手放してしまっていた。まさに万事休すと言っても過言では無い

 

「くッ・・・!!」

 

千束は未だ諦めてはいないらしい

だが、打開策が見当たらない。その直後に目を閉じろという声が響く。そして何かが飛んでくると、爆音とと共に強烈な閃光が放たれた。

 

「うぉッ!?くそッ・・・!!」

 

男は間に合わなかったのか、ふらつきながら後退する。その間、千束は目を閉じていた。そして誰かに腕を引っ張られると千束はそのまま連中から割りと離れた位置へ後退する

 

「だ、誰?・・・センセ?」

 

千束は目を開ける。そこに居たのはレナだった

 

「・・・探しましたよ。銃声が聞こえたから、もしやと思って。来てみて正解でした」

 

千束へ水を渡し、目を洗う様に促した。

実はレナが千束を探しにセーフハウスの有るマンションから飛び出た後に一旦店へ戻っていた。そして戻った時に偶然ミカが未だ残っていたのだ。事情を彼に話し、千束の救援を、そしてフラッシュバンと次いでにショットガンを渡されていのだった。レナが肩から下げているのはKel-Tec_KSG。千束も見覚えが有る

 

「レナ・・・撃てるの?それ。撃った事無さそうだけど・・・」

 

千束はレナを心配そうな顔で見ている。

だが予想外の返事が帰って来た

 

「・・・知らないんですか?射撃場でコレも触ってた事。大丈夫、弾は千束さんのと同じですから。此処を出た向こうに車が有ります、そこまで走って!!」

 

千束の背中をポンと押すとレナは立ち上がり、物陰から出てくる

 

「クソ・・・やってくれんじゃねぇか!! 」

 

銀髪の男は此方を睨み付ける

 

「んん?今度は・・・そうか、ルミナのリコリスか?丁度いい・・・お前も此処で終わらせてやるッッ!!」

 

男はマガジンを差し替えたのか、足元には黒い筒が転がっている。そして此方目掛けて発砲して来た

 

「ッ・・・まだ距離が遠い!」

 

レナは柱から柱へ移動し、射線を掻い潜って行く。

 

「どこ行きやがった!?チョロチョロしやがってッ・・・!!」

 

男は辺りを見回している。直後、柱から飛び出したレナが即座にショットガンを発砲する。銃声と共に男へ着弾し、男が悶絶する様な声を上げるとふらついて膝を地面へついた。そしてレナのインカムへ後退しろと指示が入ると、ポケットからスモークグレネードを取り出し、ピンを抜いてそれを投擲。地面へ着弾すると黒い煙が立ち上り、その隙にレナはフェンスを器用に飛び越えて逃げ出した。そして通り掛かった車へと乗り込んだのだった。

 

「うひぃ・・・未だ耳がキンキンするぅ・・・」

 

千束が車内で声を漏らす。飛び乗ったレナは千束の膝の上に身体が乗っている

 

「せ、狭い・・・!」

 

いきなり飛び込んだせいで突っ込む様な姿勢のまま乗り込んでおり、足を何とか折りたたんでいる。

 

 

「我慢してください・・・全く、車が有って良かったですよ。ホント」

 

運転席からたきなの声がした

事実、リコリスは車やバイクも権利で運転出来る。今回は緊急という事で無理を言ってミズキから車を借りて来たのだ

 

「いやぁ、でも助かったよ・・・サンキュー、2人とも」

 

千束は一息付くとタオルで目元を拭いていた。結局、無茶な事をしていたのは変わりない。

 

「サンキューじゃ有りません!!ホント、相談も無しにこんな事して!」

 

たきなはカンカンに怒っている。

一先ず、このまま車で撤収し店へと戻る事になった。

 

店へ戻ると千束の傷の手当から進める事になり、救急箱をレナが持ってくる

 

「ちょっと、動かないで下さい!消毒出来ませんから!」

 

たきなが消毒液を付けた綿をピンセットで摘みながら近寄る

 

「良いよぉ、自分でやるからぁ!」

 

千束は嫌がっている。だがそんな物は無駄だった。先ずは擦りむいた右腕から

 

「いひぃいいッッ!!?染みるぅう!!」

 

傷口に綿を当てられると千束が悲鳴を上げる。そしてそこに絆創膏を、更に同じ様に左膝にも同じ様に消毒して絆創膏を貼った。

 

「これで良し・・・!ホント、無茶ばっかりするんですから・・・。お礼ならマスターとレナに言って下さいね」

 

手当を終えると、たきなは呆れた様子で見ていた

 

「悪かったよぅ・・・反省してますぅ・・・」

 

千束は厳しく叱責されるとしょんぼりと肩を落とした。

 

「マスター、ショットガンと・・・残りのグレネード類は何処に置きましょう?」

 

丁度その頃、レナは店の奥でミカと話しながら片付けを進めていた。そして武器類を元の位置へ全て片付けると戻って来た

 

「うぅ・・・まだ怒ってる?たきなぁ・・・」

 

千束が怯えた様子でたきなの方を見ている。その様子は叱られた後の子供の様だった

 

「・・・そりゃそうですよ。私達が居なかったら間違い無くあの場で死んでましたからね」

 

ぶすーっとした顔でたきなは千束の方を向く。実際は気になったので千束のスマホに電話したが出なかった為、店へ戻ってきた。そしてレナと合流し現地へ向かったのが事の経緯だった

 

「はぁーーい・・・反省してまーす・・・」

 

千束はボソッと呟くと項垂れていた

 

「そう言えば、何故あんな所に居たんです?依頼なら言ってくれれば良かったこに」

 

レナが疑問に思ったのか聞いて来た。

本来なら依頼が入れば2人にも指示が出るはず。だがそれが無かった

 

「あー・・・実はさぁ、休憩終わりに私のスマホだけに連絡有ったのよ?しかもまーた非通知。しかも私だけご指名でね・・・それで話せなかったんだ。話したら来るでしょ?2人とも・・・」

 

呼び出された時点では一人で片付けられると思ったらしく、2人には話さなかったらしい。だが実際はそうは行かず、目への攻撃は予想外だった為に油断してしまい、あんな風になったとの事だった。

 

「・・・その人の髪色は!?目の色とかは!?覚えてますか!?」

 

突如、グイッと顔を近付けるとレナが問い詰めてくる。その様子は何かを思い付いた様にも見える

 

「え、えーっと・・・確か、銀髪で・・・目が赤くて・・・」

 

ブツブツと思い出す特徴を並べていく

ある程度話した段階でレナが止めた

 

「・・間違い無いですか!?その話!!」

 

レナが呟くと真剣な顔をしていた

気が付くと千束の両肩を手で掴んで。

 

「ちょいちょいちょい!?どうした!?急に!ビックリするなぁ・・・」

 

千束はレナの方を見ながら落ち着かせようとする

 

「やっぱり、神代・・・ッ!!」

 

レナは確証を得ると千束の肩から手を離す。そしてじっと2人を見ていた

 

「なぁ、神代って・・・誰?レナのお知り合い?」

 

千束は首を傾げると少し苦笑いしている

それもそうだ、突然凄い剣幕で言い寄られれば尚更。

 

「・・・自分の事を神に代わって国を裁く者と言ってました。恐く、リコリスの襲撃やこの前の私の時の件も間違い無く奴がやったハズです!!」

 

じっと千束の方を見つめる

全ては彼の仕業だと言いたい様だった

そして更に続ける。

 

「2人に伝えておけって・・・以前、会った時に言われたんです。まるで此方の事を全て知っている様な言い口でした」

 

レナは前に会った時の事を伝える。

だが、何故か違和感が有った

神代とは以前よりもっと前に会った様な気がしてならない。恐く、お互いが忘れているか或いは向こうが覚えているかの何方かしか無いが

 

「要は今回の件も、それに関係してるって事か・・・。何か嫌だなぁ、アイツに何か似てる気がする」

 

千束はあからさまに嫌な顔をした。

その顔は前にも似た様なのに関わった事が有る様な表情だった

 

「・・・真島ですね」

 

たきなも何処か不機嫌そうな顔をする。

千束の人工心臓の件で吉松シンジもそこへ絡んで来たので尚の事、たきなにとっては嫌な事だった。

 

「私もその名前は聞いた事が有ります。真島・・・でしたっけ?その時は未だ私もサードでしたから、市街地で警戒任務に当たっていました」

 

顔も名前も中継映像で見た事が有る。

それ位はレナも知っていた。

だが、彼の起こした事件以降も真島の事を名乗る模倣犯が居たのは事実だった。

何れもリコリスにより阻止されたが

 

「へぇー、その頃は未だサードだったんだ?じゃあ割りと最近セカンドになったのかぁ。道理で制服がちょっと新しいと思った!」

 

ニコニコ笑いながらレナの方を見ていた。

 

「・・・何れにせよ、神代って奴が何をしでかすかは解りません。次に接触したら即対応しましょう。真島の時みたいな事をされては厄介ですから」

 

たきなが急に真剣な顔をしながら2人を見つめる。真島のせいで千束は死にかけたのだから警戒するのも無理は無い。

 

「はい、私も同じ意見です。彼が呼べるのはテロリストだけじゃなく、恐くですがその辺の不良グループにも名が知られている様子でしたから呼ぼうと思えば彼等も呼べる筈です。警戒する事に越したことは有りません」

 

レナも頷いた。最初に会った時、自分と戦った中にも不良グループと思われる者も居たのは事実。だから余計に警戒する必要が有る

 

「んじゃ、明日にでも楠木さんに言ってみっかぁ・・・」

 

千束は背伸びをすると少し面倒くさそうな顔をすると明日にでも本部へ行ってくると話した。聞き入れられるかは定かでは無いが

 

「今日はもう遅いですから、このまま解散しましょう」

 

たきなはそう切り出すとその場から立ち上がると店の出口へと歩き出した

 

「だってさ。私達も帰ろっか」

 

千束はレナを見てから、ゆっくり立ち上がると背伸びをした

 

「はい、そうしましょう」

 

レナも同意すると2人も店の出口へ向かい、そのまま外へ出ると途中の路地まで歩くとそこでたきなと別れ、レナと千束はそのままセーフハウスへと向かった。

その道中でも、レナは神代の事が頭から離れないまま。

 

「おおーい?考え事するのは良いけどさ、ちゃんと前見て歩かんと危ないぞ?」

 

千束が顔を覗かせて気に掛けてくると

思わずその場に立ち止まる。

 

「あ、すいません・・・つい。」

 

レナは小さく頭を下げた。

そして再び歩き出すとセーフハウスの前まで辿り着く。そして部屋のドアの前へ来ると中から足音が響く

どうやら待ち伏せされていたらしい

 

「さぁーて、お客さんだ。レナ、外行ってドローン落としといて」

 

千束は親指でクイッと階段をさすと

レナは頷き、走って行く

 

「成程・・・3人か。なら大丈夫ッ!!」

 

ドアをバーンと開けると中に居た男らが動揺したのか後退る。だが3人はそれぞれ銃を取り出して此方へ向けた

 

「・・・レディの家に勝手に入るとか、良い度胸してんねぇ?」

 

ニコニコ笑いながら見てると、1人が突如発砲した。だが千束は躱してしまう

 

「た、弾を躱しやがった!?」

 

男が動揺していると直後に腹部に痛みが走り、その場に倒れてしまう

 

「はいはい・・・邪魔邪魔!」

 

千束は倒れた男に構わずに2人目と3人目へ照準を合わせる

 

「この野郎!ちょこまかしやがって!」

 

「はぁ、撃つのは良いけど・・・壁にあんまり穴開けないでよー?修理代高いんだから!」

 

2人目も千束へ発砲しようとしたが、先に撃たれてしまい倒れる。

3人目は後ろから狙おうとしたが、ノールックで後ろに銃口を向けられると腹部へ数発食らってしまい倒れた

 

「後はこれを・・・外にポーイ!」

 

男らを一人一人、ベランダから外のゴミ捨て場へ投げ捨てた。幸い、この高さから投げ捨ててもゴミがクッションになってくれるから問題は無い

 

「そっちは終わったー?」

 

千束は身を乗り出すとレナを探す

 

「ええ、終わりました」

 

レナも声を大きめにして返事をすると撃墜したドローンを手に持っていた

 

そして合流すると室内のベランダの扉、カーテンをそれぞれ閉めてからハシゴを降りていつもの部屋へ着いた

 

「ふひぃー、此処もバレてんなぁ・・・とは言っても場所変えたくないし・・・」

 

千束はベットへ倒れ込むと

両手を頭の後ろへ回す

 

 

「此処もって事は他にも有るんですか?」

 

レナはカバンを下ろし、普段置いてる所へ置くと振り向いた

 

 

「うん、此処入れて3つかなー?中でも此処が気に入ってるんだけどねぇ」

 

 

ぼーっとしながら千束は天井を見上げていた。実際、此処のセーフハウスの方が使い勝手が良いのは本人にとっても事実らしい。

 

「私が来てから少し散らかっちゃいましたね・・・荷物は最小限にした筈なのですが 」

 

同居している身では有るが、私服が少し増えた。面白そうだからと千束が買った物も幾つか有る。

 

「いーよ、そんくらい。レナはもっと服とかオシャレした方が良いから色々買ったの!勿体無いでしょー?折角可愛いのにぃ」

 

くるりと此方へ身体を向けるとレナを指さした。此処にあるレナの服は千束がコーディネートした物が殆ど。全てクローゼットにしまわれている

 

「可愛い・・・ですか?初めて会った時からずーっと言ってる気がしますけど」

 

疑問に思ったのか思わず呟いてしまう。

レナ自身も可愛いとか綺麗だとか言われた事は無い。コスプレした時は割りと人気だったのだが、それでもそうは感じなかった様だった

 

「可愛いのは可愛いんだってば!はぁー・・・どうしてこんな可愛い子をほっとくのかねぇ・・・」

 

くぅーっと千束は拳を握り締めている。

毎日会っているのに今更何をという気がするのだが、本人は気にしていないらしい。

 

「コスプレしてた時も取られるかと思ったしなぁ・・・あん時はビックリしたぜぃ、ホント」

 

千束はくるくると右手の人差し指で髪の毛を弄っている。どうやら余程大切にされているらしい

 

「・・・気に留めておきます。それより、夕飯にしましょう?明日も早いですし」

 

部屋の時計を見ると色々有ったせいか既に時刻は夜の21:00に近い時間帯だった。

 

「あー!?いっけね、忘れてた!!レナぁ、何か作ってぇー?」

 

じーっと千束はレナを見ている

その目は訴え掛ける様な目だった

 

「はぁ・・・そんな事だろうと思いましたよ。先に着替えて来ますから大人しく待ってて下さいね」

 

その後、2人は普段より遅い時間帯に夕飯を取る事となった。その間にも敵は着々と彼女達3人を狙っている事は未だ知らなかった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

街から離れた場所にある小さな建物。

簡易的な事務所を神代は不法に占拠し、そこを使っていた。アジトという名目として。赤いリコリスこと錦木千束、彼女を追い込んだ迄は良かった

だが予期せぬ乱入により台無しにされた。ルミナのリコリス・・・彼女の事を仲間に調べさせた所、彼女は元々ルミナという教団で育った事を知る。そしてどういう訳かDAへ移送されたとの事だった

 

「・・・ふざけやがって。アイツの邪魔さえ無ければ勝てたんだがなァ!!」

 

近くのロッカーを蹴り飛ばすと大きな音と共に扉が大きく凹んでしまう。

過去何度か彼女を襲ったが、結局は返り討ちに遭ってしまった。

それに今回は腹部へ弾を喰らった

あまりの激痛に思わずその場で吐いてしまった程だった

怒りに満ちた神代はスマホを手に取ると電話を始める

 

「・・・おい、イルカ野郎。本当にテメーのやり方でリコリスってのを殺せるんだろうなァ?こっちはボコボコにされちまったよ・・・ええ?お前の指示で奴らの家に送り込んだ仲間も皆返り討ちだったとさ・・・。悪い事は言わねぇから、さっさとDAとリコリスを潰せる手立てを考えろ。でなきゃ、テメーの脳天ぶち抜くぞこの野郎・・・!!オレはなァ・・・真島でも腰を抜かす様な事をしてぇんだッッ!!解ったらさっさとやれ!!」

 

動揺している電話主のドルフィを他所に神代はブチッと荒々しく電話を切るとスマホを上着の内ポケットへしまう。

 

「・・・次はこう上手くは行かねぇからなァ?覚えとけよ・・・コラァ!!」

 

歯を食い縛るとテーブルに散らばった写真を拾い、それ等を強く握り締めた。

真島を超える程の事をやる・・・果たしてそれが何なのか。何を意味するのかは解らない・・・・・・。

 

 

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