遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

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今回はデュエルなし回になります。
よければアンケートにお答えいただけると嬉しいです。


第5話 「ヒーロー部デュエル合宿」 前編

[ネオ童実野シティ 住宅街 喫茶店]

 

カランカランと入店を知らせるベルが鳴る。

珈琲の香りが充満した室内は、シックでレトロな雰囲気を残している。

ここは喫茶店ーーカフェlike。

坂の下にある街の休憩処。

残念ながら今日はcloseである。

その建物の2階部分は居住スペースになっていて、喫茶店を経営している家族の住処となっている。

ここが日和田良平の家であった。

 

2階の奥手に小さな部屋があり中からはゲーム機を操作する音がしていた。

 

良平「ここのせ」

 

携帯ゲームをピコピコと操作しつつ良平は声を出した。

 

ここのせ「あー?」

 

同じくゲーム機をいじりながらここのせが返事をする。

 

良平「どうしてもブラマジが出ないんだけどそっちのデータにない?」

 

ここのせ「お前が当てらねぇもんをオレが持ってるわけねぇだろ」

 

良平「だよねー」

 

画面を見つつ良平は諦めたように顔をあげた。

 

ここのせ「敵の強さおかしいだろ! マジ糞ゲーだわ二度とやらねー!」

 

ここのせはというとゲームオーバーの音を響かせるゲーム機を憎らしげに見つめていた。

 

良平「今日二回目じゃんそれ」

 

そんな会話を割るように良平のスマートフォンがピロリンと鳴る。

 

ここのせ「ったくよぉ……。おい、なんかメッセージきてんぞ」

 

良平「祭乃木からだ。今何してる? だって」

 

ここのせ「良平のせっまい部屋でゲームしてるって言っとけ」

 

良平「そのせっまい部屋で寛いでんのはどこの誰だよ」

 

ここのせ「うるへー」

 

興が醒めたのかここのせはゲームを端に置いて、傍らにあったポテトチップスを口に放り込んだ。

 

良平「えっと、俺の家で遊んでる、っと……」

 

ここのせ「のりしおうますぎだな……」

 

呑気にバリバリと菓子を食う。

ドドドドドド……と何かが走る音に気付かぬまま。

 

ここのせ「もうゲームはこりごりだ。デュエルしようぜ」

 

良平「うん、やろうか」

 

二人がデッキケースに手を伸ばしかけたときだった。

ドンッ、という音がしたかと思うとガラガラッと勢いよく窓が開かれた。

 

祭乃木「ちょっとアンタら! 遊ぶんならアタシにも声かけなさいよ!」

 

ここのせ「うおっ!?」

 

窓の冊に足をかけ、二人を見下ろすように祭乃木亜美がそこにいた。

 

良平「うわっ、びっくりした! 窓から入ってくるなよ……」

 

ここのせ「幼馴染かおめぇはよ」

 

祭乃木「幼馴染でしょ! ……ったく。あ、これもーらい」

 

ヒョイと二人の側にあったポテトチップスをいくつか口に放り込み、それをこれまた側に置いてあったコップに入った麦茶で流し込んだ。

 

ここのせ「オレのポテチ……」

 

良平「俺の麦茶……」

 

祭乃木「ぷはーっ! ヌルい! ……ちょっと二人とも、そっち詰めて。アタシが座れないでしょ」

 

良平「はいはい」

 

ここのせ「好き放題かよ……」

 

文句は言いつつ二人は尻を上げて人が一人座れる場所を作る。

亜美はそこにストンと座った。

 

祭乃木「よっと、ふぅー、狭いわねぇ」

 

良平「三人もいたらそりゃ狭いよ」

 

祭乃木「まだくるのに……」

 

良平「え?」

 

ピンポーンとインターホンが鳴った。

 

祭乃木「あ、きたきた」

 

と亜美は良平が立つまえにスクッと立ち上がり玄関まで向かっていく。

すると下から小さく会話する声が聞こえてきた。

 

祭乃木「はーい、2名様ごあんなーい」

 

ゆき「おじゃましますぅ」

 

良平「え?」

 

この部屋においては聞きなれない鈴の音が鳴るような声。

間宮ゆきがドアから現れた。

 

ゆき「あ、あれ? は、入ったらダメでした?」

 

良平の驚いた顔に、ゆきは困惑の表情で返した。

 

良平「い、いやいいんだけどさ……」

 

亜美以外は女子が滅多に出入りすることのない部屋だったから良平は驚いてしまっただけで入ることを嫌がっているわけではない。

しかも入ってきたのは彼女だけではなかった。

 

恵「……6.48㎡。この空間に人間サイズの個体5つを配置することは困難……」

 

相変わらずの無表情で銀髪のツインテールが入ってくる。

 

良平「なっ、ルインもいるのか……。てかさりげなく俺の部屋ディスられた?」

 

恵「……呼ぶときはめぐみ、平仮名みっつでめぐみ……」

 

良平「……え、なんて?」

 

ゆき「あはは、今日私も言われましたぁ」

 

恵「……個体識別において、ルイン、呼称の場合、反応が遅れる既知のバグが存在する。フルネームか恵、名称での呼称が望ましい……」

 

祭乃木「つまり名前で呼べってことでしょ」

 

ここのせ「回りくどいな」

 

良平「あ、ああ名前ね、わかったよ。……というか、恵も間宮もきたら俺の部屋はキャパオーバーだぞ」

 

部屋を見渡すと部屋は閉塞感に満ちていた。

座ろうとすれば互いの足と足がくっついてしまうだろうし、それを避けようとすれば全員体育座りをするしかない。

亜美はため息を漏らす。

 

祭乃木「なによ、じゃあ場所変えるしかないか……」

 

ここのせ「つーかよ、こりゃなんの集まりだ?」

 

祭乃木「今日集まってもらった理由は、これよ!」

 

亜美はバッグに手を伸ばして中のものを取り出すと突きつけるように雑誌を差し出した。

 

ゆき「週刊決闘ロード??」

 

良平「あー、祭乃木が定期購読してるやつだっけ?」

 

ここのせ「懸賞当てんのにオレらの名前と住所貸せってか?」

 

祭乃木「そんなこすいことアタシがするわけないでしょ! ここ見なさい、ここ!」

 

ビシッと表紙の一部を指差した。

そこには赤く大きな見出しが書いてあった。

 

良平「WSC特集?」

 

祭乃木「そっ! いよいよ1週間に迫ったWSC! アタシたちヒーロー部の命運がかかってる戦いがやってくるのよ! 」

 

恵「……ワールドスタンディングデュエルクラシック……。これに出場する……?」

 

ここのせ「ああ。これに出て、活動の実績を作ろうって魂胆だ」

 

祭乃木「そう! 実績を作るには、優勝一択! ただ、優勝を狙うなら、敵を知ることが重要よ。そういうわけで、敵の情報を集めて、アタシたちにできる対策を考える! このヒーロー部全員でね! そういうわけで、ヒーロー部デュエル合宿をやるわよ!!」

 

全員をまとめて亜美は指差しニッと笑った。

 

良平「ヒーロー部……」

ここのせ「デュエル……」

ゆき「合宿……?」

恵「……?」

 

 

寝る前決闘空間

第5話『ヒーロー部デュエル合宿』

 

全員がポカンとするなか、やっとのことで良平が声を出した。

 

良平「合宿って……?」

 

祭乃木「もちろん、合宿ってもどっかに泊まったりするわけじゃないわよ。とにかく、みんなで額を合わせて作戦を考えようって言ってんのよ」

 

ここのせ「なるほどなぁ。しっかし、場所がないぜ? カード広げんならファミレスなんかじゃきついし、オレの部屋も祭乃木の部屋も5人入れる広さじゃねぇだろ?」

 

祭乃木「そうよねぇ……。あ、ゆきの部屋はどう?」

 

ゆき「わ、わたしの部屋も五人はちょっと……」

 

祭乃木「恵は?」

 

恵「……可能……」

 

祭乃木「だよねぇ……って、え? なんて言った?」

 

恵「……可能……」

 

祭乃木「マジ!? 自分で言ってなんだけど、え、大丈夫なの?」

 

恵「……問題ない……」

 

ここのせ「いきなり五人だぜ? 家の人に迷惑じゃねぇか?」

 

恵「……いない……」

 

祭乃木「じゃあ、本当に行っていいのね?」

 

恵「……構わない……」

 

祭乃木「よし! じゃあみんなで恵の家にいくわよ!!」

 

恵「……承知した。……来て」

 

頷くと恵はさっさと部屋を出て行ってしまう。

 

良平「あ、ちょ、ちょっと待って! 荷物もなにも持ってないぞ!」

 

祭乃木「早くしてよね!」

 

それだけ言うと亜美も小走りで出ていく。

 

ゆき「では、わたしも先に行ってますね」

二人を追いかけるようにゆきまでも出ていった。

後には元の木阿弥。

男二人はポカンとしたまま座っている。

 

ここのせ「……嵐みてぇな奴らだな」

 

ポツリとつぶやくとここのせは、最後に残ったポテトチップスを逆さまにして口の中に流し込む。

 

ここのせ「……うっ!良平、最後に茶くれ! ポテチ一気に食ったら喉がやべぇ!」

 

咽こむここのせに良平はため息をついた。

 

良平「置いてかれるぞマジで」

 

[ネオ童実野シティ 住宅街]

 

恵「……」

 

澱みなくスタスタと歩く恵の後ろをヒーロー部は恐る恐るついていく。

 

ゆき「ど、どこまで行くんでしょうか……?」

 

祭乃木「うーん。商店街も過ぎたし、結構歩いたわね」

 

良平「こっちの方って、高級住宅地しかないような……」

 

そんな会話を挟みつつ歩いていくとやがて中央街まできていた。

セントラルタワーやKCビルが立ち並ぶ地区である。

 

[ネオ童実野シティ トップス地区 高層タワーマンション]

 

やがて見えてきたのは所謂タワーマンションであった

 

恵「…………」

 

いかにも高級そうな漆塗りと大理石の入り口を恵は歩いていく。

 

祭乃木「待った待った待った!」

 

思わず亜美はその肩を掴み引き留めた。

 

恵「……?」

 

祭乃木「アンタ、ここが家だっての!?」

 

恵「……そう……」

 

ここのせ「ここって高級タワマンだぜ? 恵がまさかいいとこの嬢さんだったとはな」

 

ゆき「こ、こういうところって、ドレスコードとかあるんですよね?? そうなんですよね!?」

 

良平「ないよ……」

 

恵「……こっち……」

 

特に感慨もなさげに恵は歩いて。

入り口の番号入力ボードに恵が手をかざすと重そうなドアは最も容易く開いてしまった。

エントランスロビーは、凝った美術館のようだった。

 

ゆき「……た、高そうなシャンデリアですぅ」

 

祭乃木「本当に高級なのね……」

 

ここのせ「しかもセントラルタワーよりデケェからな。ネオ童実野シティの中のマンションで一番デカイって触れ込みだぜ」

 

恵「……エネルギー機関フォーチュンよりは低い……」

 

良平「まぁ流石にそうだよな」

 

5人は奥まで歩いていくと大袈裟なエレベーターがあって、待っていたかのように開いた。

 

祭乃木「何階?」

 

恵「……25階……」

 

良平「高っ!?」

 

エレベーターに運ばれて降り場に立つ。

同じようなドアが続いてはいるものの、一つ一つの間隔は驚くほど遠い。

その一つの前で恵は足を止めた。

 

恵「……ここ……」

 

ここのせ「すげーとこ住んでんな……」

 

ガチャリといかにもシステマチックな扉を引き恵はこちらを見た。

 

恵「……入って……」

 

祭乃木「おっじゃましまーす!」

 

ゆき「おじゃましますぅ」

 

亜美が先陣を切って中に入っていく。

玄関から廊下まではそう遠くない。

廊下を抜け、もう一枚の扉を開けばリビングだった。

その入り口で亜美は思わず足を止めてしまった。

 

祭乃木「……え?」

 

ここのせ「おい、入り口で止まんなよ……っておいおいなんじゃこりゃ……」

 

良平「……え、マジ?」

 

あまりにも広大なリビング。

住むにも家具を置くにも困らない広さ。

剥き出しのフローリングは一片もゴミは落ちていない。

いいやそれどころか。

 

ゆき「な、何も……ない……? 机もテレビも本棚も……。すごく広いけど……」

 

良平「パソコンと冷蔵庫だけ部屋に置いてあって……あとは何もない……?」

 

恵「……机が必要なら出す……」

 

祭乃木「……ちょっと恵、本当にここに住んでるの? 親は?」

 

恵「……いない……」

 

ゆき「一人暮らしなんですかぁ?」

 

恵「……そう……」

 

ここのせ「一人暮らしつったってこりゃあまりにも殺風景だぜ」

 

祭乃木「殺風景すぎるわよ。しかも五人入っても、まだまだ広く感じるし……」

 

ゆき「と、とりあえず机、出しましょうか。恵さん、どこにありますかぁ?」

 

恵「……こっち……」

 

くるりと方向を変え、恵は奥のウォークインクローゼットを指差した。

 

恵「……ここ……」

 

ここのせ「開けていいのか?」

 

恵「……構わない……」

 

良平「じゃあ開けるよ」

 

おっかなびっくりといった様子で良平がクローゼットを開けた。

 

良平「……中も殺風景だ……。机と布団……? それしかない……」

 

ここのせ「こりゃコタツセットだな。でもなんでコタツだけあるんだ?」

 

恵「……」

 

ここのせの疑問の声に恵はじっとここのせの顔を見つめた。

 

ここのせ「な、なんで睨むんだ……?」

 

恵「……睨んではいない……」

 

祭乃木「いいから早く出しなさいよ!」

 

良平「わかったよ。ここのせ、そっち持って」

 

ここのせ「あいよ」

 

ガタガタと机を引っ張り出して床に置く。

 

良平「布団は……いいか」

 

ゆき「まだコタツには早いですからね」

 

良平「そうだね」

 

祭乃木「よし! ま、色々殺風景だけど、ゆっくり話し合いができるようになったわね!はい、全員ちゃくせーき!」

 

亜美の号令にヒーロー部は机の四方を囲うように座った。

ひんやりとしたフローリングにここのせは自身の腰を摩る。

 

ここのせ「床硬ぇ……腰痛めそう……」

 

良平「老人じゃないんだから……」

 

祭乃木「じゃあ、さっきも言った通り!WSCの対策会議をやるわよ!」

 

ゆき「あのぉ……」

 

とゆきが手を挙げる。

 

祭乃木「はい、ゆき!」

 

ゆき「そのWSCという大会はどういう大会なんですかぁ?」

 

ここのせ「第一話見てくれ」

 

ゆき「へ? だ、第一話……?」

 

祭乃木「何わけわかんないこと言ってんのよ! この雑誌に詳しいルールが書いてあるわ!」

 

と亜美は先程出した雑誌を机に置く。

ゆきがページをめくると三角折りされているページが現れた。

 

ゆき「えっと……? なになに……『WSCは、三人一組で戦う特別な大会だ。チームから三人選出し、三対三のチーム戦を行うのが、この大会の最大の見所』 。チーム戦なんですねぇ」

 

良平「チーム戦ってことは普段のルールとは少し違うってことだよな」

 

ゆき「あ、ルール書いてあります! 」

 

ぺらりとページを進めるとカラーページに大きく書かれていた。

 

『チーム戦のレギュレーションは次の通りだ。

①リミットレギュレーションは通常レギュレーションを適用。

②ファーストプレイヤー、セカンドプレイヤー、ラストプレイヤーの順でチームから選出し、勝ち抜きで対戦を行なっていく。

③ライフポイントは一人4000とする』

 

良平「勝ち抜き? じゃあ、一人で三タテもありえるってことか」

 

ゆき「そうみたいですねぇ」

 

祭乃木「ま、その場合、一人で12000削らなきゃいけないけどね」

 

『④相手ターンが終了した場合、自分がドローする前までなら後継プレイヤーにバトンタッチが可能。この際フィールド上のカードを継承し、LP4000にリセットして次のプレイヤーがスタートとなる。墓地、および手札、除外ゾーンは引き継がれない。(ただし引き継いだカードがフィールドを離れた場合は、その時のプレイヤーがコントロールする)
なおプレイヤーが敗北した場合でも、そのターンのエンドフェイズまでは処理が可能』


 

ここのせ「なるほどな。プレイヤーチェンジのタイミングによっては、二番手以降は初手ハンド+バックってこともあるわけか」

 

良平「というか、むしろそれを狙っていかないといけないな」

 

ゆき「難しそうですぅ……」

 

恵「……フィールドをコントロールするプレイングが必須……」

 

良平「それに相手を倒すタイミングも重要だね。相手を倒すとその場で交代かエンドフェイズまで粘ってから交代か選べるし、次のドローフェイズからチェンジしたプレイヤーのターンからスタートになる。返しのターンで再展開されちゃうな……」

 

ここのせ「連戦ってのはきつそうだな……」

 

祭乃木「大まかなルールはこんな感じよ。まず、基本選出を考えなきゃいけないわ。もちろん、相手によって変えたりする必要はあると思うけどね!」

 

良平「うーん、チーム戦自体が初めてだからなぁ……。組み合わせを考えるのも大変だぞ。E・HERO、幻獣機、聖騎士にレベル9か……」

 

ここのせ「オレのデッキは海軍と呼べ」

 

良平「そんなテーマはない。……あれ、恵のデッキは? そういえば見たことないな」

 

恵「……私のデッキはアンデット。……ただし、私のデッキはチーム戦が想定されていない。特にアンデット・ワールドの存在が他のプレイヤーの動きを阻害する可能性が高い。私を起用するのは非推奨……」

 

良平「なるほどな……」

 

恵「……あなたたちのデッキデータを鑑みるに、機械族テーマである幻獣機と機械族を軸にしたレベル9の組み合わせ、および戦士族で統一されたE・HEROと聖騎士の組み合わせをセットで選出するのが望ましいと思われる。モンスターやセットカードの共有が効率的……」

 

祭乃木「じゃあ、アタシとゆきをセットにするか、良平とここのせをセットにする選出ってことになるわね。でも三人一組だから、誰かしらはセット関係なく戦わなきゃいけないわ」

 

恵「……一人シナジーがないデッキがあるのはむしろ望ましい。全てを一つのテーマや種族でチームを組むと、一つのメタで全て瓦解する可能性が高まる……」

 

ここのせ「そういうもんか。チーム戦ってのは奥深いな」

 

ゆき「あ、あのぉ、できればわたしは控えにしてほしいですぅ……。始めたばかりですし、流石にそんな大舞台は……」

 

祭乃木「別にそんな気負うことないわよ? ま、でも基本はアタシらでいくのが良さそうね。んで、きつそうならゆきや恵にチェンジする方針にしましょうか」

 

ここのせ「順番はどうする? 大将がお前なら、オレか良平になるが」

 

祭乃木「そうねぇ。ここのせのデッキはモンスターが重めだし、先発は良平がいいと思うんだけど」

 

良平「え、俺?」

 

ここのせ「そうだな。良平なら相手の先発を適度にいなせそうな気がする」

 

良平「荷が重いなぁ……」

 

祭乃木「別にアンタが戦いを全部決めるわけじゃないわ。アンタがまず敵をいなして、ここのせが削るだけ削って、アタシがとどめを刺す。ま、理想通りにはいかないとは思うけど、構想としてはこれでいいと思うわ。細かな調整は、当日の様子次第ね」

 

ゆき「みんなで一丸になって戦うデュエル……。なんだか凄そうですぅ!」

 

良平「先鋒か……。それなら相手チームの情報がほしいな」

 

祭乃木「予選の組み合わせ抽選会は明後日の日曜日だから、まだ初戦の相手はわからないけど……。一応、ここに強豪チームの特集記事が載ってるわよ」

 

ここのせ「どれどれ……」

 

『本戦は、各地で行われる予選を勝ち抜いた32チームと、本戦シード権を持つ強豪の8チームの合計40チームによるトーナメント戦となる!

超強豪の8強はこのチームだ!』

 

『アメリカの賞金泥棒 チームBandit』

 

『企業を背負った企業戦士 チームコーポレート』

 

『プロデュエルSリーグ チームprofessional』

 

『中華戦線からの刺客 チーム暴風』

 

『I2社のプロ試験デュエリスト集団 チームtwotwo』

 

『国際連合所属デュエルチーム チームKGB』

 

『前回大会準優勝 デュエルアカデミア所属 チーム煉獄』

 

『そして、最大の優勝候補! 前回大会優勝! 無敗の最強デュエルクイーン率いる チームディスティニー!』

 

ここのせ「有名所が揃ってんなやっぱ……」

 

ゆき「いくつかのチームは、私でも知ってます。それに……」

 

良平「このチーム煉獄って、間宮の……」

 

ゆき「はい……」

 

祭乃木「チーム煉獄……。アイツらね……! 決着をつけなきゃいけないわ!」

 

ここのせ「つっても奴らはシードだ。まずは予選を勝ち上がらねぇことには始まらねぇぜ」

 

祭乃木「ま、そーよねぇ……。予選の相手のこともわかればいいんだけど……」

 

恵「……ハッキング……する?」

 

祭乃木「え?」

 

恵「……大会運営のデータサーバーにハッキングすれば、ネオ童実野シティ予選の出場チームデータを引き出すことはできる……」

 

良平「そんなことできるのか? ……でも違法感がハンパないんだけど……」

 

祭乃木「ダメよ、ヒーロー部は正々堂々戦うのがモットー! でも、恵、ありがとう! そういうのはまた別の機会にお願いするわ」

 

恵「……そう……」

 

祭乃木「それじゃあ、作戦会議は一旦終了! デッキ調整とデュエルをや……」

 

グゥゥゥゥと底から響くような音がして亜美は思わず固まった。

音源は彼女の腹だった。

 

ゆき「祭乃木さんのお腹が鳴りました……?」

 

祭乃木「はぁぁ、お腹減ったわ……。お昼の弁当だけだとちょっと足りないのよね……」

 

恵「……この家に食料はない……」

 

良平「冷蔵庫あるのに……」

 

恵「……予備ラジエーターが……冷却されている……」

 

祭乃木「仕方ないわね。買いにいきましょ。てか恵! アンタもうちょいまともな生活しなきゃダメよ!今から食材買ってくるから付き合いなさい!」

 

恵「……必要ない……。経口摂取によるエネルギー補給よりも……維持装置と充電バッテリーの方が効率的……」

 

祭乃木「そんな中二設定はどうだっていいのよ! アンタの健康のことを言ってんの!」

 

ガシッと恵の首根っこを掴む。

 

ゆき「そうですよぉ、ご飯を食べないのは身体に悪いですぅ!」

 

恵「……必要な……離してほしい……」

 

ズルズルと引き摺られる恵。

それを意に介さず亜美は良平とここのせに目を向けた。

 

祭乃木「アタシらは食材買ってくるから、男どもは食器と調理器具買って来て!」

 

ここのせ「食器と調理器具だぁ? そんなもん買う金ねぇってんだよ」

 

祭乃木「今時は100均で全部売ってるわよ! いいから買って来なさい!」

 

良平「はーい」

 

これ以上文句を言わずに良平が返事すると亜美は恵とゆきを連れて出ていく。

 

恵「……離してほしい……」

 

ズルズルと引き摺られながら恵は無意味に呟いた。

 




後半に続く!

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