遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

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次回から大会編に入りますのでデュエル多めになります。
よければ感想やアンケート等いただけると嬉しいです!
よろしくお願い申し上げます。


第5話 「ヒーロー部デュエル合宿」後編

 

[ネオ童実野シティ 大型スーパー フードコート]

 

食材を求めてスーパーに乗り込んだ亜美達を見送り、別の階にある100円均一で諸々を買い込んだ良平とここのせはフードコートでカードを広げていた。

 

良平「水晶機巧-ハリファイバーをリンク召喚。リンク召喚時の効果発動」

 

指差し確認をする。

他の客に迷惑にならないようソリッドビジョンを発する決闘盤を使用せずに対戦していた。

 

ここのせ「させるか!速攻魔法発動! 閃刀機-ウィドウアンカー! フィールドのモンスターの効果を無効にするぜ!」

 

良平「墓地の魔法何枚?」

 

ここのせ「二枚。だから、追加効果はない」

 

良平「ok。じゃあ、墓地のオライオン除外して、幻獣機テザーウルフ召喚。召喚成功時にトークン生成」

 

ここのせ「またアウローラドンじゃねぇか!」

 

ここのせは跳ね飛ばされたかのように背もたれに寄りかかり天を仰ぐ。

それを尻目に両手に袋を持った亜美達が声をかけた。

 

祭乃木「おまたせ! 」

 

ゆき「ただいま帰りましたぁ」

 

恵「……離してほしい……」

 

良平「あ、お帰り。ドラゴサックとアウローラドンでダイレクトアタック!」

 

ここのせ「ぐへぇ……」

LP0

 

祭乃木「アンタまた良平に負けたの?」

 

ここのせ「いつも負けてるみたいに言うな。……随分買ったなオイ」

 

祭乃木「せっかくだから、恵の家でご飯食べちゃおうと思って。ゆきが料理できるらしいし!」

 

ゆき「元料理部ですから!」

 

珍しく胸を張って言う。

しかしすぐに萎れて

 

ゆき「い、一ヶ月だけですが……」

 

と訂正した。

ここのせはデッキをしまうと肩をすくめる。

 

ここのせ「本当に大丈夫かよ」

 

[ネオ童実野シティ マンション 部屋]

 

食材を買い込み、再び恵の部屋に戻るとゆきが袖をまくって台所に入っていく。

 

ゆき「それじゃあ、手早く作っちゃいますね!」

 

良平「何か手伝う?」

 

食材が入ったビニール袋をキッチンに置きながら聞く。

良平の言葉にゆきはふるふると首を振った。

 

ゆき「ありがとうございます! でも大丈夫ですよ! ゆっくりしててくださいな」

 

良平「わかった。何かあったら言ってね」

 

ゆき「はい!」

 

一方でリビングでは亜美が両手を腰に当てながら恵のデスクトップパソコンを見つめていた。

 

祭乃木「ねぇ、恵。このパソコンってヨーチューブ観れる?」

 

恵「……可能。起動する……?」

 

祭乃木「お願い!」

 

恵「……わかった……」

 

ここのせ「何を観るんだ?」

 

ビニール袋から出した食材を冷蔵庫に入れながらここのせが聞く。

 

祭乃木「去年のWSCの対戦動画よ。チーム戦ってどういうもんか改めてみんなで確認した方がイメージ湧くでしょ」

 

恵「……ヒットした……」

 

カタカタとキーボードを叩いていた恵が呟くと亜美は前のめりに画面に食いついた。

 

祭乃木「見せて! ……へぇ、本戦の全試合が映像に残ってるのね」

 

ここのせ「全国ネットで放送されてるらしいからな」

 

良平「俺も去年の本戦の試合はいくつか見たよ。でも予選の映像は流石にないよね」

 

恵「……ないこともない。決勝戦だけは各地の地方局で放送されている。去年のネオ童実野シティ予選の決勝、チーム煉獄と予選敗退したチームツンドラの映像が残っている……」

 

良平「へぇ、そうなんだ。じゃあどれ観る?」

 

祭乃木「アタシは、本戦の決勝を観たいわ! レベルの高い試合が期待できるからね」

 

ここのせ「高すぎてわかんねーんじゃねぇか? 予選の方がいいと思うぜ」

 

良平「……どっちにしてもチーム煉獄が相手なんだけど、いいの? 間宮も観るんだぞ」

 

ここのせ「おっと、そりゃデリカシーに欠けたな」

 

ゆき「大丈夫ですよ」

 

台所からフライパンを揺らしながらゆきは答えた。

腹の虫を揺るがすような香りが漂っている。

 

祭乃木「ゆき! ……うわっ、すっごい美味しそうな匂い!! 」

 

ゆま「えへへ、いい感じにできてきましたよ! ……こほん。大会を勝ち抜いていけば、いつかぜったいに剛さん達にはぶつかることになると思います。だから、目を背けません!私はもう立ち止まってる間宮ゆきではないんです!」

 

祭乃木「よく言ったぁぁ! そうよ!ヒーロー部員はヤワじゃないのよ!」

 

ここのせ「……こりゃやられたな、良平」

 

良平「はは、やられたってなんだよ。じゃあ食べながら観ようか」

 

恵「……どれを再生する……?」

 

ここのせ「祭乃木に任せる」

 

祭乃木「じゃあ、さっきの通り本戦決勝! チーム煉獄対チームディスティニー戦で!」

 

恵「……わかった……」

 

再びパソコンを操作する恵。

 

ゆき「よーし、できましたよー!」

 

ゆきは自身が盛り付けた皿を満足げに眺めた。

アサリや鷹の爪が食欲を唆るパスタである。

 

良平「わっ、すごい! ボンゴレだ!」

 

ここのせ「こいつはうまそうだな」

 

祭乃木「よし! じゃあ皿を並べてっと……」

 

カチャカチャと机に皿を持ち寄り囲む。

ホカホカとした海鮮の香りが並ぶ。

 

良平「美味そうー」

 

ここのせ「オレはもっとモザイク料理が出てくると思ったんだけどな」

 

ディスプレイをパソコン台から下ろしながらここのせが言う。

 

良平「ベタだなぁ」

 

恵「……再生する……」

 

カチリと恵はマウスをクリックした。

机の三方を取り囲み、パソコンのディスプレイが見えるように配膳する。

 

祭乃木「全員行き渡ったわね! じゃあいただきまーす!」

 

「「「いただきまーす」」」

 

恵「……? ……いただきます」

 

器用にフォークで巻き取り、亜美は一口食べる。

オリーブオイルと香味がよく効いている。

 

祭乃木「美味い! ゆき、アンタ完璧じゃない! 見た目よし器量よし! お嫁にほしいわねぇ」

 

ゆき「えへへ…! ありがとうございますぅ」

 

ここのせ「うん、マジでうめぇな」

 

ズルズルと啜りながらここのせも頷く。

 

良平「お前、パスタ啜るなよ」

 

ここのせ「うるせぇ、日本人は麺をこうやって食うんだよ」

 

良平「頑固なお爺さんみたいなこと言ってる……」

 

恵「…………」

 

ゆき「恵さん、どうですかぁ?」

 

恵「……人体において、適度とされる塩分と香味……茹で時間には7分22秒費やされており……」

 

祭乃木「端的に!」

 

恵「……おいしい……」

 

ゆき「よかったですぅ!」

 

そんな会話をしているとディスプレイからやや大袈裟な声が聞こえた。

 

MC『さぁーーーーー!! いよいよこの大会の頂点を決める戦いがはじまるぞぉーー! 』

 

ワァァーーという歓声が放たれる。

当時のスタジアムの熱気がそのまま伝わってきた。

 

良平「おっ、始まったね」

 

ゆき「実況付きなんですねぇ」

 

MC『対戦カードはぁーー! これまで5大会で無敗! 最強! 謎のデュエルクイーン、コードネーム<巫女>が率いるチームディスティニーぃぃぃぃぃぃ!!』

 

ロングコートに長い金髪。

勾玉のネックレスが大胆に開いた白シャツに輝いている。

 

クイーン『くっくっく……! クイーンの戦いを! その網膜に焼き付けてくれよう! 期して観よ!』

 

バサッとロングコートを翻す。

会場のボルテージは臨界点まで沸騰している。

 

祭乃木「コードネーム?」

 

ここのせ「本名も素性も不明。ただめちゃくちゃ強ぇプロデュエリストって話だ」

 

MC『対する相手はーーー!! 予選を勝ち上がり、破竹の勢いで決勝まで躍り出たデュエルアカデミア首席チーム! チーム煉獄だァーーー!!』

 

ゆき「…………」

 

MC『両者睨み合っているぞーー! これは激戦の予感だーーー!!』

 

剛『余裕ぶったその面! ぶっ潰してやるよォ!!』

 

クイーン『くっくっく。元気のいいボウヤだ。その威勢、デュエルにて受けてくれよう』

 

MC『ファーストプレイヤー、デュエルスタンバイーー!!』

 

良平「いよいよデュエルか」

 

MC『準備はいいかぁーー!? それではスリィー! ツゥー! ワン! デュエル、スタァァァァァァァトーー!!』

 

ワァァァァァァァァーーー!!

割れんばかりの歓声。

観客スタンドからは鳴り物が聞こえていた。

 

良平「すごいなぁ、盛大な応援歌だ」

 

恵「……チーム煉獄が先攻……」

 

??『行くぞ、おれのターン! 炎舞-天キを発動!』

 

《炎舞-天キ》

永続魔法

 

MC『チーム煉獄のファーストプレイヤー、黒河祐一の初動はーーー! 炎舞−天キ! デッキの中から獣戦士モンスターを手札に加えるぞーー!!』

 

黒河『この効果で、微炎星−リュウシシンを手札に! そのまま召喚!』

 

祭乃木「黒河……、この間はいなかったわ……」

 

黒河『カードを一枚セットし、ターンエンド!』

 

??『では、こちらのターン。ドロー。フィールド魔法フュージョンゲートを発動』

 

《フュージョンゲート》

フィールド魔法

 

MC『でたぁーー!! チームディスティニーのファーストプレイヤー、アバンスのフュージョンゲートだーー!!』

 

良平「さっき恵も言ってたけど、フィールド魔法や永続罠、魔法はこのルールだとかなり重要だな……」

 

アバンス『手札よりラヴァル炎湖畔の淑女と超電磁タートルを除外融合』

 

紫色の渦がフィールドに現れる。

炎族+機械族

カッと光が放たれた。

 

アバンス『爆装せし翼よ、その大地を焼き払え。ーー融合召喚 現れよ、重爆撃禽−ボム・フェニックス』

 

重爆撃禽ボム・フェニックス『キュオオォォォォォォォォ!!!』

 

MC『で、出たァァァァーーー!! アバンスのエースモンスター! ボム・フェニックスだァァァァァ!!』

 

アバンス『効果を発動だ。フィールドのカードの枚数×300ポイントのダメージを相手に与える。フィールドのカードは8枚、よって2400ポイントのダメージを受けてもらう』

 

重爆撃禽ボムフェニックス『キュォォォォォォ!!』

 

つんざくような声とともに翼を羽ばたかせるボム・フェネクス。

次の瞬間に翼から無数の焼夷弾を雨のように振り落とした。

 

黒河『グァァァァ!』

LP:4000→1600

 

MC『な、なんとぉぉーー!! 1ターン目で2400もの大ダメージを与えたぞぉぉーー!』

 

ゆき「す、すごい……いきなり!」

 

良平「これが上位の戦いなのか……! あのデュエルアカデミアのオベリスクブルーが一方的だ……」

 

祭乃木「バーンかぁ、あんま好きになれないわね……」

 

ここのせ「でも有効だぜ。特にこのルールだと、な」

 

[10分後]

 

MC『セカンドプレイヤー同士の戦いだーー!! ライフポイントはチームディスティニーがリードしているぞーー! 』

 

??『カッカッカッ、手札からマジック発動! 星遺物を継ぐ者!』

 

《星遺物を継ぐ者》

通常魔法

 

ここのせ「星遺物カード……!」

 

ゆき「あ! ここのせさんと同じカードですね!」

 

??『墓地のオルフェゴール・ガラテアをオルフェゴール・ロンギルスのリンク先に復活させる!』

 

オルフェゴール・ガラテア『ーー』

 

??『さらにオルフェゴール・ロンギルスとオルフェゴール・ディヴェルをリンクマーカーにセットじゃ! 召喚条件はオルフェゴールを含むモンスター2体以上!』

 

↑↙︎↓オルフェゴール + ↗︎オルフェゴール =LINK4

 

??『魂を鎮める調べを、星の果てまで轟かせ! 来い、オルフェゴール・オーケストリオン!!』

 

オルフェゴール・オーケストリオン『〜〜♫♬〜♪』

 

MC『なんだぁ!!? 巨大なオルゴールのようなモンスターが現れたぞーー!! セカンドプレイヤー、絵草霜のエースモンスターかーーー!!?』

 

ここのせ「あれは……?」

 

絵草『すまんのぅ娘っ子! こいつはリンク状態では戦闘・効果では破壊されんのじゃ! 勝負あったかのう!』

 

???『く……マジうざいしぃ……!』

LP1500

 

良平「強い……! クイーンの一強、というわけじゃないんだね」

 

 

[さらに10分後]

 

祭乃木「……いよいよ、ラストプレイヤー同士の戦いね」

 

良平「とは言え、チーム煉獄の阿久津剛のライフは2000。セカンドプレイヤーにちょっと手こずったから……」

 

MC『ついに最強のクイーン登場だぁーー!!』

 

ワァァァァァァァァーー!!

 

クイーン『先程の勢いは削がれてしまったようだな少年。そんなことでは、このクイーンに傷一つつけることは叶わんぞ』

 

阿久津『うるせぇ! 言ってろ!』

LP2000

フィールド:

インフェルノイド・ネヘモス

攻:3000

 

クイーン『ふふ……。では、始めようか。クィーンタイムを! すまないがお見せするのは一瞬だけだ、見逃すなよ民衆よ!!』

 

MC『クィーンのターンから再開だァァァァァ!』

 

クイーン『ふふふ……、まずは、魔法カード、愚かな埋葬を発動だ』

 

《愚かな埋葬》

通常魔法

 

クイーン『さて、どうする少年。君の場のモンスターは自軍モンスターをリリースすることで魔法、罠を無効にできる。しかし、フィールドにはモンスターはネヘモスの一体のみ、マストカウンターを見極めねばならんな?』

 

阿久津『チッ……。続けろ』

 

クイーン『そうさせてもらおう。私はデッキからD− HEROディアボリックガイを墓地に送る。では続けて魔法カード、フュージョンディスティニーを発動しよう』

 

《フュージョン・ディスティニー》

通常魔法

 

祭乃木「! あの人もヒーロー使い!?」

 

ゆき「Eではなく、 Dのヒーロー……」

 

クイーン『このカードは、手札、デッキからD- HEROの融合を行うことができる』

 

阿久津『く、そがァ……! ネヘモスをリリースして無効だ!』

 

インフェルノイド・ネヘモス「ギィィ!」

 

黒く禍々しいモンスターの咆哮が空気を揺らす。

クイーンが発動したフュージョン・ディスティニーは効果を発揮することなくガラスのように粉砕されてしまった。

しかしクイーンは焦るでもなく笑う。

 

クイーン『ふふ、そうするしか方法はあるまいよ。しかし君のフィールドにモンスターがいなくなった。これでは殺風景極まりない。そこで一つプレゼントだ。このトーチ・ゴーレムを君の場に攻撃表示で特殊召喚しよう』

 

トーチ・ゴーレム『ゴゴゴ…』

攻:3000

 

MC『な、ななななんとぉぉぉぉ! クイーンは相手の場に超強力なモンスターを特殊召喚したぞーーーー!!? これは一体どういうことだぁーー!!?』

 

阿久津『なん、だと……?』

 

クイーン『そのモンスターは、君の場に特殊召喚する際、私の場に闇属性、悪魔族星1のトークンを二体作り出す』

 

トーチトークン『……』

トーチトークン『……』

 

クイーン『墓地のディアボリックガイの効果発動だ。このカードをゲームから除外することで、同名カードをデッキから呼び出すことができる。現れろ、D- HEROディアボリックガイ』

 

D・HEROディアボリックガイ『トゥアァ!』

守:800

 

阿久津『何がしてぇんだよてめぇ!』

 

クイーン『焦るな少年。私のフィールドには3体のモンスターがいる。そして、このカードはモンスターを3体リリースすることで特殊召喚が可能なモンスター。3体をリリースし、来い、D- HERO Bloo-D!』

 

D・HEROBloo-D『…………』

攻:1900

 

MC『謎のヒーローモンスターが現れたーーー!! しかし、攻撃力はトーチ・ゴーレムには及ばない1900ーー!! どうするクイーンーーー!!』

 

クイーン『効果を発動だ。このカードは相手フィールドのモンスター1体を吸収し、その攻撃力の半分、攻撃力がアップする。トーチ・ゴーレムは返してもらうぞ、少年』

 

阿久津『ぐっ……』

 

D・HEROBloo-D『ハァァッ』

攻:1900→3400

 

阿久津『ち、ちくしょうがぁ……!』

 

クイーン『Bloo-Dでダイレクトアタック。ブラッディ・フィアーズ!』

 

D・HEROBloo-D『ハァァッ』

 

阿久津『ぐああぁぁぁ!!?』

LP2000→0

 

MC『決まったぁぁぁーーーー!! 決勝戦は熱戦の末、チームディスティニーが勝利ーーーー!!!』

 

ワァァァァァァァァァァァァァーー

会場が一気な歓声を上げる。

映像は俯瞰に切り替わり、デュエル結果を表示していた。

 

ここのせ「……熱戦っつってるけど、こりゃあだいぶワンサイドゲームだったぜ」

 

祭乃木「……こんなこと言いたくないけど、あの阿久津剛ってクソ男は、正直言ってめちゃくちゃ強かった。それがこんなあっさり……」

 

良平「無敗のクイーン……。すごいな……」

 

ゆき「あぅぅ……」

 

恵「……しかし、チーム戦の概要は読み取れた。参考になる点も散見される……」

 

祭乃木「そうね! 良平が言ってた通り、場に残すカードがかなり大事ね。それから、ファーストプレイヤーが凄く重要なのがわかったわ」

 

ゆき「どういうことですかぁ?」

 

良平「ファーストプレイヤーが先に1勝できるかできないかで、ラストプレイヤーへの負担が変わってくるんだ……。さっきの戦いでチーム煉獄は、ファーストプレイヤーが先に倒されて、セカンドプレイヤーがほぼ2対1の状態になってた。それを返せずラストにバトンタッチしたから……」

 

ここのせ「阿久津剛のインフェルノイドを持ってしても、息切れを起こしたってわけか」

 

良平「ファーストプレイヤーの圧がデカイな……」

 

祭乃木「頼むわよ、良平!」

 

良平「はぁデッキ調整しよ……」

 

ここのせ「手伝うぜ」

 

恵「……私も……手伝う……」

 

ゆき「あ、それならお皿片付けちゃいますねぇ」

 

カチャカチャとゆきは皿を重ねる。

すると亜美は手を叩いて注意を引いた。

 

祭乃木「男どもー! カードの前に片付けやんなさい! てか皿洗いは、ゆき以外のアタシたちでやるわよ!」

 

ゆき「え? わたし、やりますよ?」

 

祭乃木「だーめ。やってもらうばかりじゃだめよ! ほら、いくわよ!」

 

良平「はーい」

 

ここのせ「うーい」

 

恵「……わかった……」

 

各々が皿を持ってシンクの流しに置いていく。

いざ洗おうとしたとき亜美は口をあけた。

 

祭乃木「あーー! 洗剤買うの忘れたーー!! アンタら買ってない!?」

 

ここのせ「買ってねぇな……そういや忘れてたぜ」

 

良平「近くのコンビニに買いにいくしかないな」

 

祭乃木「仕方ない! 誰がいくか、デュエルで決めるわよ!」

 

腰についたデッキケースを素早く開けデッキを取り出す。

 

良平「それなら負けられないね」

 

ここのせ「望むところだ」

 

応戦するかのように二人も腰のデッキケースに手を伸ばす。

 

ゆき「大袈裟ですよぉ! みんなで行けばいいじゃないですかぁ!」

 

デュエリスト歴が浅いゆきは状況を読めずにオロオロとしている。

 

恵「……」

 

祭乃木「恵! アンタもよ!ほら、参加しなさい!」

 

恵「……承知した……」

 

 

[夜]

 

デュエルの合間に洗剤を買いにいき、全てを片付けてからまたデュエルを重ね。

ふと時計を見るとどっぷりと更けていた。

 

祭乃木「ふー……、結構いい時間ね。泊まっていきたいけど、布団ないんでしょ?」

 

恵「……ない……」

 

祭乃木「じゃあ仕方ないか。……そろそろ解散にしましょ」

 

良平「そうだね。帰ろうか」

 

ゆき「はーい」

 

祭乃木「まずはゆきを送って、そこから解散ね」

 

ゆき「そんな! 悪いですよぉ!」

 

良平「いや結構夜も遅いからさ。そっちの方が安全だよ」

 

ゆき「わ、わかりましたぁ……」

 

ここのせ「お前は送ってかなくていいのか?」

 

祭乃木「ばーか、誰に言ってんのよ。そこらの男にアタシが負けるわけないでしょ。ほら、いくわよ!」

 

荷物をまとめてリビングを出る。

靴を履き、トントンと整えたところで亜美は振り向いた。

 

祭乃木「恵! 今日はありがとうね! また来てもいい?」

 

恵「……構わない……」

 

祭乃木「ん! また来るわね! それじゃあ!」

 

ゆき「お邪魔しましたぁ!」

 

良平「お邪魔しましたー」

 

ここのせ「うーい、じゃあなー」

 

恵「……さよなら……」

 

バタンと扉が閉められ、オートでロックが掛かる。

静寂が戻ってくる。

いつもの殺風景な部屋。

恵は部屋見渡した。

何も入れていなかったはずの戸棚に、今日増えた食器が並ぶ。

 

恵「…………」

 

ーーいつか来るんだぜ。この部屋でワイワイ騒ぐ、そんな未来がーー

 

恵「……あなたの言ったことは……正しかった」

 

ボソリとそう呟いた。

その声を聞く者は誰もいなかった。

 

 




本日の禁止カード(2023年3月時点)
・水晶機巧-ハリファイバー
しばらく出てきます。そのうち作中でも出なくなります。

・トーチ・ゴーレム
2021年1月改定にて禁止カードに指定されました。
ファイアーウォールドラゴンがエラッタ付きで戻ってきたときですね。
作中は予選編までは2020年4月改定です。
ご了承ください。

次回 寝る前決闘空間 第6話
『WSC予選第1回戦 はんぐりー! なプリンセス?』

地の文や台詞形式について

  • 今のままで良い
  • 台詞のみの台本形式の方が読みやすい
  • 小説のような形式の方が読みやすい
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