遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
基本ルール等は設定集にまとめております。
よければ感想を書いていただいたりやアンケートに答えていただければうれしいです。
[ネオ童実野シティ 童実野第二高校 4組教室]
クラスの雑踏の中、学校はいよいよ放課後になろうとしていた。
そんな最中、「祭乃木」と声をかけられて亜美は顔を上げた。
そこには眼鏡をかけたしかめ面がいて高い身長からこちらを見下ろしている。
将棋部の水原忠一である。
忠一「これ」
と忠一は亜美に手を差し出す。
手に持っていたのは首から吊り下げるカードホルダーに入ったICカードのようなものだった。
祭乃木「なにこれ?」
忠一「お前たちが出るWSCの選手票だ。住所ウチにしてたから届いてしまってな」
祭乃木「あー! ありがと、忠一!」
亜美は受け取るとどんなものかと裏表を見る。
忠一「チーム名登録言われたとおりにしたけど、これで大丈夫?」
祭乃木「もち! 」
忠一「さいで。じゃあ適度に頑張って」
それだけ言うと忠一は背を向けて歩いていく。
ICカードにはしっかりとチーム名と名前が刻印されていた。
チーム名:チームHERO
チームリーダー
祭乃木亜美
寝る前決闘空間 第6話
『WSG予選第1回戦! はんぐりー! なプリンセス?』
[ネオ童実野シティデュエルスタジアム]
ネオ童実野シティにはデュエルスタジアムがいくつもあるが、とりわけ二つ有名所がある。
一つは最大規模を誇るネオ童実野シティ メモリアルスタジアム。
そしてもう一つがここネオ童実野シティ デュエルスタジアムであった。
銀の支柱に大きく出っ張る日よけ。
その周囲は広場のようになっていて、ザワザワと賑やかな声があちこちから聞こえてくる。
野外モニター『ワールドスタンディングデュエルグランプリ! ネオ童実野シティで開催される世界最大レベルのデュエル大会! 王者になるのはどのチームか!?』
スタッフ「出場されるチームの方は、東通用門から入場くださーい! 選手票は手元に出してお進みください!」
たこ焼き屋「ほい、300円ね」
子供「わーい!」
母親「落とさないようにね」
売り子「かち割り氷〜、かち割り氷はいかがですか〜」
屋台が賑わい、リポーターやカメラマンが辺りを撮影しているメインストリートにヒーロー部ーーもといチームHEROが足を踏み入れた。
祭乃木「いよいよ! いよいよこの日がやって来たわね! WSC予選会!」
良平「すごいな、まるでお祭りだ」
ここのせ「お祭りみてぇなもんだろ」
恵「……ネオ童実野シティの経済活動の10%程度を担っている。それだけ高い経済効果がある大会……」
ゆき「あ、そういえば、公民の時間で習いましたね!」
祭乃木「はいこれ! 全員分の選手票よ! 忠一から伝言で、絶対に無くすな、だって」
良平「カードホルダー付きだ」
祭乃木「『お前らのことだから無くしそう。カードホルダーに入れておいたから常に首に掛けてろ』って。偉そうに言ってたわ」
ここのせ「なんか腹立つ言い方だな」
ゆき「でも、すごく便利ですよ! ほら、これなら無くさないですぅ」
そう言いながらゆきは首からカードホルダーを下げた。
その横で恵がカードを凝視したまま固まっている。
恵「…………」
様子が気になって良平もカードを見ると知らぬ間にチーム名が決まっていたことに気がついた。
良平「チーム名、チームHEROって書いてある……」
ゆき「かっこいいですぅ!」
ここのせ「祭乃木、お前デッキバレんぞ」
祭乃木「関係ないわよ! だいたいチームディスティニーだって同じでしょ!」
良平「まぁ、たしかにね」
祭乃木「はい、じゃあ全員、選手票持ったわね! いくわよ!」
良平「東通用門は、あっちだね」
[東通用門]
一般人立ち入り禁止の区域には選手票を見せて入る。
すると中には埋め尽くさんばかりの人がいて、腰につけたデッキケースと殺意のようなギラギラとした独特のオーラのようなものを漂わせている。
全員決闘者であろう。
ゆき「うわぁ、すごい沢山の選手がいますねぇ」
ここのせ「おい、あの目付き悪ぃやつなんかマーカー付きじゃねぇかよ」
祭乃木「何チームくらいいるんだろ。てか、アタシら制服だからちょっと浮いてるわね」
良平「学生は俺らと、あそこにいるデュエルアカデミアのチームくらいだね」
良平か奥の方にいる一団を指した。
5人の少女達がそこにいて、談笑するでもなく佇んでいる。
恵「……ネットデータ情報と合致。あのチームは、前回、ネオ童実野シティ予選準優勝のチームツンドラ……」
ここのせ「あいつらが……。しっかし準優勝でも本戦には出れねぇのか」
恵「……不可能。世界各地32箇所で実施される地方予選の優勝チームしか本戦には出場できない……」
ゆま「ひえぇ……! 大変ですぅ」
ここのせ「当然といや当然だが全員、オベリスクブルー。しかも全員女子生徒ときた。気が強そうな連中だぜ」
祭乃木「前回、予選優勝のチーム煉獄が本戦シードだから……。あのチームは今回の優勝候補って言えるわね!」
腕を組んで見定めるように見つめる亜美。
そんな会話をしていると側をテテテと歩く赤いドレスが写った。
亜美のヘソくらいに頭の頂点があるような少女だった。
その少女を追いかけるように亜美と同じくらいの身長の少女二人。
白と黄色のドレスである。
??「……この格好、歩き辛いぜ……」
???「ドレスコードなかったんだ……浮いちゃってるかも……?」
????「堂々としていれば、大丈夫よぉ……ふぁ〜……ムニャムニャ……」
ゆき「あ! 見てください! ドレス着てるチームがいますよ! 可愛いですねぇ」
祭乃木「そうね。でもなんか……手作り感半端ないわね」
ここのせ「つーかよぉ、すげーチビっ子がいるぜ?」
良平「チームメンバーに子供がいるんだな」
??「あぁ!? やい! そこのお前ら!」
急に小さな少女が振り向いたかと思うと小さな指をピシリと向けた。
ここのせ「あ?」
??「誰がチビっ子だ! 誰が子供だぁ! 取り消せよ、今の言葉ぁ!」
ここのせ「うわっ、子供に絡まれた……」
??「また言ったなぁ! このぉー!」
げしげしと近くにいた良平の足を蹴る。
良平「……あんまり痛くない……」
???「小春ちゃん! 他のチームに喧嘩売っちゃダメ!」
急いで白いドレスの少女が彼女を止めに入った。
??「離せよ〜!」
???「そんな暴れてたら失格になるよ!」
??「だってアイツらがーー!」
????「zzzz……はっ……! ……あらぁ? あらあらぁ? 知らないうちに小春ちゃんが暴れ姫に……?」
????「アリエル先輩!! 寝てないで、こっち手伝ってください!!」
ゆき「あぅぅ……! 乱闘ですかぁ……!?」
恵「……乱闘とは敵対した者同士が入り乱れた様相を呈しながら戦うことを指す。この場合は乱闘には当たらない……」
祭乃木「冷静に解説してる場合じゃないでしょ! 」
ここのせ「……口は災いの元ってのはこういうことだな」
良平「俺らの言葉のせいみたいだし、謝ろう、ここのせ。……ごめん、馬鹿にするつもりはなかったんだ」
ここのせ「そうだな……。気にしてることを言われたらムカッ腹が立つよな。悪かった」
??「え……? あ、あぁ、まぁ謝ってくれるんなら……別に……」
???「はぁ……、相手がいい人でよかったぁ……。」
????「zzzz……」
???「アーリーエールー先輩!」
白いドレスの少女が黄色のドレスの少女を揺り動かす。
????「はっ……! あらあらぁ?」
祭乃木「はぁ、なんとか収まったわね……」
???「ご迷惑をおかけして、すみません!」
祭乃木「いや、いいのよ。 むしろウチの部員が失礼したわね。……ここにいるってことは、参加チームってことよね?」
???「そうです。サンドリヨンってチームで参加してます」
祭乃木「そうなんだ! アタシたちは、チームHEROって名前で参加してんのよ! アタシは祭乃木! 祭乃木亜美! チームHEROのリーダーよ!」
???「あっ、ご丁寧にどうも……。えっと、私、新田レイラと申します!一応、チームサンドリヨンのチームリーダーを任せてもらってます」
【白い手作りドレスの素朴少女 新田レイラ】
レイラ「こちらが、大指小春ちゃんで……」
小春「小春だ! ちっちゃいって言うなよ!」
【小さな赤いドレスの少女 大指小春】
レイラ「それから、こちらが有栖川絵留さんです! 私たちの先輩なんです!」
アリエル「みんなからは、アリエルって呼ばれてるのぉ。よろしくねぇ」
【ゆったりネムネムお姉さん 有栖川絵留】
ここのせ「名前略してんのか……。親近感わくな……」
ゆま「わたし、間宮ゆきっていいます! チームHEROのベンチウォーマーですぅ」
良平「そんな紹介でいいのか……? あ、日和田良平です」
ここのせ「能瀬心、略してここのせだ」
恵「……ルイン恵……」
レイラ「皆さんは、高校生ですか?」
祭乃木「そうよ、童実野二高! アンタたちは? 年齢はそう離れてないわよね?」
小春「アタイたちは、王城短大の一年と二年だぜ!」
ゆき「大学生なんですね! じゃあわたしたちよりずっとお姉さんだ! やっぱり大学生にもなると、ドレスで着飾ったりするんですねぇ」
アリエル「うふふ、着飾るだなんて。これはそういうのじゃないのよぉ」
レイラ「あはは……。えっと私たち、初出場なんです。てっきりドレスコードがあると思って、何とか頑張って服を用意したんですが……」
小春「来てみたら、みんなフランクなんだぜ! だからジャージにしようって言ったんだ!」
レイラ「ジャージなんて嫌だよ!」
祭乃木「なるほどねぇ。ま、服なんてあんまり気にしなくてもいいんじゃない? アタシらも制服だし」
ここのせ「デュエリストは相手の服なんざ見ちゃいねぇって」
小春「おー! 気があうなぁ! そうだそうだ! 服なんか動きやすい方がいいんだ!」
レイラ「でもでも! 今日の予選の抽選セレモニーは生中継されるんですよ!? 下手な格好できません!」
ゆき「えぇ!? て、テレビで流れるんですかぁ!? どうしよう、お母さんに言ってないよぉ」
良平「決勝だけじゃないの?」
恵「……予選のセレモニーは生中継される。その後の試合はプロ所属チームの試合のみ中継される……」
祭乃木「大丈夫よ、セレモニーなんて何チームもいるんだから。1チームが目立ったりしないわよ」
そう言いながらも亜美はスマートフォンの自撮り機能で髪を整えはじめた。
ここのせ「じゃあ髪整えなくていいじゃねぇか」
祭乃木「バーカ、最低限の身だしなみは必要でしょ」
アナウンス『間も無く抽選セレモニーが開始されます。出場チームはアリーナまでお越しください』
良平「始まるって。急ごう!」
祭乃木「そうね。……それじゃ、お互い頑張りましょ!」
レイラ「はい!」
小春「当たっても手加減しねーからな!」
アリエル「……zzz」
レイラ「アリエル先輩!! 寝てないで! 始まりますよ!!」
アリエル「……ふぇ? あらあらぁ……?」
[ネオ童実野シティ デュエルスタジアム アリーナ]
アリーナは広大なフィールドになっていて、縦向きにデュエルフィールドが3つ並んでいる。
そのフィールドのラインとは別にテープで仕切りがされていて決闘者たちがすし詰めになっていた。
祭乃木「うわっ、めちゃくちゃ人いるじゃん! 何チームいるのかマジでわかんないわね……!」
良平「……えっと、あ、チームHEROって書いてある。ここに並んでればいいのかな」
祭乃木「アタシ一番前! リーダーだから!」
良平「はいはい、どうぞ」
一番前に亜美は得意げに立つのを良平は苦笑いで見つめた。
ここのせ「なんか運動会みてぇだな」
亜美、良平と続いて立つここのせは地面に仕切られたテープを足で撫でながら言う。
ここのせの後ろに立つ恵は小首を傾げた。
恵「……どういうこと……?」
ここのせ「……え? いや運動会って石灰のマーカーで何組とか書いてあってさ、そこに座るだろ?」
恵「……不明。データにない……」
ここのせ「いやわかるよな? 間宮?」
ゆき「わかりません!」
ここのせ「いやわかるだろ!」
祭乃木「ちょっとここのせ、うるさい!」
騒いでいるここのせに亜美が言い放つ。
そんな会話を尻目にパッとステージライトが明るくなった。
かと思うと八方から花火が打ちあがりドンと腹の底をつく。
スピーカーから盛り上げるようなギターとシンセサイザーのBGMが流れ始めた。
『ワールドスタンディングデュエルクラシック!! 世界最強の王者はーー!!!?』
パッと電光掲示板に文字が表示された。
かと思うとBGMの音量が下がり、代わりにマイクからMCらしき男の声が聞こえた。
MC『おまたせしましたぁーーーーー!!! ついに、この日がやってきたぞォォォォーーー!!』
ワァァァッと観客が声をあげた。
MC『ワールドスタンディングデュエルクラシック!ネオ童実野シティ予選大会を開催だァァァァーー!!!』
掛け声にさらにボルテージが上がる。
歓声で空間が揺れているようにも感じる。
ゆき「す、すごい観客ですぅ!」
良平「予選でもこんなに盛り上がってたっけ……! な、なんか緊張してきた……!」
ここのせ「なんだ? もうぶるってんのか? ……ところで小便出そうなんだが、トイレ行っていいか……?」
良平「いやめちゃくちゃぶるってんじゃん!」
二人の会話をかき消すようにMCはさらに続ける。
MC『ワールドスタンディングデュエルクラシックは!! 3対3のチーム戦! 超複雑な協力プレイが重要になる世界最大級のデュエル大会! このネオ童実野シティから本戦に出場する最強チームはどのチームかァァァァァー!!』
大きな電光掲示板も場を盛り上げるような字体で文字が躍っている。
MC『今回のネオ童実野シティ予選大会はーー!! 全予選大会の中で、いや歴代でも最大! 256ものチームが集結!! トーナメント形式で大激突するぞォォオ!!!』
良平「256チーム!? なんて数だ……!」
ゆき「ゆ、優勝するには何回勝たなきゃいけないんでしょうか……!?」
恵「……優勝には8回の勝利が必要……」
ゆき「はぅぅ……遠いですぅ……」
MC『これから二週間! このネオ童実野シティはバトルシティと化すのだァァァァァーー! 主戦場になるのはーーー!! ここネオ童実野デュエルスタジアム! 童実野第二スタジアム! 満足市民デュエルフィールドの三つだ!』
『ネオ童実野シティデュエルスタジアム! 童実野第二スタジアム! 満足市民デュエルフィールド!』
電光掲示板にはそれぞれのスタジアムが俯瞰された映像が表示されている。
MC『それでは注目の対戦組み合わせを発表するぞーーー!!! 皆さま! モニターをご覧くださァァァァァァァァァァいっ!!!』
様々な演出の後にトーナメントピラミッドが電光掲示板に表示される。
白いラインのピラミッドは下向きだけでは収まらず上にもチーム名が表示されている。
MC『対戦の組み合わせは、このモニター上で、自動で割り振られることになるーー! さぁ、いよいよ発表だァァァァァ!』
シャッシャッとカードがシャッフルされる演出が入る。
表面にはチーム名が書いてある。
バババッと裏側でそれぞれがピラミッドに配置され、一気に表側に翻った。
MC『組み合わせが決まったぞォォォォォォーーー!! これから始まる激戦は、この組み合わせで行われることになるーーー!!』
誰もが電光掲示板に目を向ける。
亜美も必死に画面を見つめた。
祭乃木「アタシたちは!? アタシたちはどこ!?」
良平「チームが多すぎて……あ! あった! 上の段の一番左だ!」
ここのせ「ちょっと待て、上の段の左ってことは……」
チームHEROはピラミッドの上段の左端。
隣のチームには……。
MC『記念すべき第1回戦は、3スタジアム、そして3試合同時に開催! 即ち! 1つのスタジアムで6つものチームが火花を散らすことになるーー!! 会場の皆様! これよりこのデュエルスタジアムは一瞬も目が離せないコロシアムとなるのだァァァァァ!!』
ワァァッとさらに熱を持った歓声が波打つ。
MC『対戦カードは!次の通り! ここネオ童実野シティデュエルスタジアム、第1フィールドは初出場! 学生のチーム! チームHEROと、こちらも初出場! 姫を追い求める灰かぶり! チームサンドリヨン! 第2フィールドはプロデュエリスト率いるチームアドレイションと今大会優勝候補! チームツンドラ! さらに……』
ゆき「はうっ!!? いきなり私たちですかぁ!!?」
祭乃木「しかも、相手はチームサンドリヨン……! 偶然って怖いわね……!」
MC『満足市民デュエルフィールドの第3フィールドは、パワーデッキの使い手チーム筋肉対、理研デュエリストチームブレイン! 以上の9試合が同時に行われるぞーー!! 試合開始は、午後13時丁度から一斉スタート! デュエリスト諸君も、観客も万全の準備を整えてくれーーーー!!!』
モニターに『13:00〜 ①チームHERO vs チームサンドリヨン ②チームアドレイションvsチームツンドラ ③チームクローvsチームシーガル』と表示された。
MC『テレビをご覧のみなさんにはーーー! この後、13時よりチームアドレイション対チームツンドラの試合を生中継でお届けするぞーー!! 歴史に残る熱い戦いを見逃すなァァァァァ!!』
[ネオ童実野デュエルスタジアム 観客スタンド]
興奮冷めやらぬ会場には試合を今か今かと待ちわびる観客であふれていた。
売り子「キンキンに冷えた〜ビールはいかがでしょうか〜」
子供「はやくデュエルみたーい!」
父親「あとちょっとだからな。おしっこ行っとけよ? あ、ビールくださーい」
[童実野デュエルスタジアム 選手控え室]
そんな会場の裏側。
ほとんどのチームは会場を後にするか観戦するかでアリーナからいなくなり、スタッフが整備するのみとなった。
一方で開幕戦でデュエルすることとなったチームは控え室に案内されていた。
ここのせはスポーツドリンクを一口含み飲み込むと一息ついた。
ここのせ「まさかど初っ端とはな」
しかし亜美は両手を腰に当てて憮然としている。
祭乃木「何番目でも変わらないわ! 目の前の敵は倒すのみ!」
ゆき「はぅぅ……。緊張しますぅ……」
良平「スタメン表ださなきゃいけないみたいだけど、どうする? 打ち合わせ通りでいい?」
祭乃木「ええ! 先発は良平、二番手ここのせ、ラストがアタシでいくわよ!」
ゆき「みなさん! 頑張ってくださいね! ベンチから応援してますぅ!」
恵「……相手は初出場。デュエルデータがない。役に立つ情報を提示できない……」
祭乃木「大丈夫よ! 応援しててくれれば、それでいいわ!」
恵「……わかった……」
良平「あー、なんか緊張してきたな」
ここのせ「だが3試合同時進行ってのはありがてぇよな。どさくさにまぎれられるからよ。しかもお隣のフィールドはチームツンドラの対戦だし、みんなあっちを見るだろうからな」
恵「……他のスタジアムでも、公式大会優勝経験があるチームの対戦カードがある。観客の12.52%程が他スタジアムに移動する見込み……」
祭乃木「なぁーんだ、じゃあいつもと変わらないじゃない! いつも通りにデュエルすりゃいいのよ」
かちりと時計の分針が進む。
亜美の言葉を待っていたかのようにスピーカーから落ち着いた女性の声が聞こえた。
『まもなく試合開始10分前となります。出場チームメンバーは、アリーナA1口にお集まりください』
アナウンスを聞いた亜美は右手の拳を左手にぶつけ気合いを入れて立ち上がった。
祭乃木「よっしゃ! 聞いたわね!それじゃあ、いくわよ!」
良平「うん」
ここのせ「おう」
出場メンバーの3人が追従しようとしたその時だった。
ゆき「あの!」
とゆきが手を上げた。
全員が彼女を見る。
良平「ん?」
ゆき「みなさん! 手を出してください!」
全員を見渡してからゆきは右手を前に突き出した。
良平「なんだ?」
疑問符を浮かべながら良平も真似をしてゆきの前に手を突き出した。
ゆき「あ、みなさん、丸くなってください!」
空いている手で仰ぐように全員を呼び込む。
恵「……??」
ゆき「はい、私の手に重ねてください!」
全員の目を見てゆきが言う。
亜美は口角をあげて頷いた。
祭乃木「なるほど、そういうことね!」
そして同じように手を重ねる。
ここのせ「円陣ってわけか」
全員が手を重ねたところでゆきは亜美を見る。
ゆき「では、祭乃木さん! 一言お願いします!」
祭乃木「え? アタシ?」
ゆき「部長でリーダーですから!」
祭乃木「そ、そうよね!」
最初は目を丸くした亜美だったが「んっん!」と咳払いをしてから全員を見渡した。
祭乃木「アタシたち、ヒーロー部の初陣よ! 華々しく飾りましょ! ……ヒーローは誰でもない、アタシたち! 優勝を勝ちとるわよ!!!」
亜美が手を振り上げる。
「「「おぉぉーーー!!」」」」
とゆきと良平とここのせが合わせて手を振り上げて声を上げた。
[ネオ童実野デュエルスタジアム アリーナ]
準備を整えている間に、アイドルが曲を歌い踊っている。
会場には大きな拍手が響いた。
MC『デュエルアイドルのパフォーマンスで会場はさらに熱くなったぞーーー!! 』
アイドル『みんなーー! 応援ありがとーー! このあとの試合、みんなで楽しもうねぇーー!』
手を振りながら笑顔で会場から降りていく。
完全に姿が見えなくなってからMCはワンテンポおいてから声を張り上げた。
MC『それでは、いよいよぉぉーーー! 第1試合が始まるぞーーー!! 第1フィールドは、チームHERO対チームサンドリヨン! 両チームとも初出場のチームだ! 』
三つあるフィールドの最右端。
チームHEROの5人と。
チームサンドリヨンの3人が対面に並ぶ。
MC『第2フィールドはーー! 今日最もホットな対戦! プロデュエリスト集団チームアドレイション対、前回予選準優勝! デュエルアカデミアの蒼きヴァルキュリアたち! チームツンドラだぁぁぁ!! 』
ワァァァァァァァァーー!!
MC『第3フィールドはー!! アトランタ大会3位入賞のチームシーガル対、前回予選3位のチームクロー!! 以上の6チームがこれより、このネオ童実野シティデュエルスタジアムで火花を散らすぞーーーー!!』
ワァァァァァァァァァァァァァと会場が揺れる。
その歓声が自分たちに向いたものではないとわかってはいても心が弾む。
祭乃木「……すごい歓声ね」
周りの声がするなか亜美は目の前の決闘者――チームサンドリヨンの新田レイラに声をかけた。
レイラ「はい、まるで舞踏会です。いえ、きっとこれは舞踏会なんでしょう」
良平「まさか、さっき知り合ったチームといきなり当たるなんてね」
今度は良平が口を開けるとアリエルが返答する。
アリエル「うふふぅ……そうねぇ」
小春「さっき言った通りだ! 悪いけど手加減はしねーからな!」
小さな指がこちらを指す。
ここのせは腕を組んでその視線を迎え撃つ。
ここのせ「望むところだ」
MC『それではファーストプレイヤーはフィールドにてデュエルスタンバイーーー!!』
祭乃木「頼んだわよ! 良平!」
良平の肩を叩き亜美は背を向ける。
良平「うん」
一方のチームサンドリヨンは小さな小春だけがフィールドに残った。
アリエル「小春ちゃん、頑張ってね」
小春「まかせとけ!」
レイラ「アリエル先輩は寝ないように頑張ってくださいよ!」
MC『先攻後攻は、自動で決闘盤に表示されるので、全てのプレイヤーはそれにしたがってくれーー!! それでは、第1試合を開始するぞォォーーー!!』
待ってましたというような歓声が上がる。
テレビのカメラは全てを収めようと躍起になっている。
MC『いくぞォォーーー! スリィィィ! トゥゥゥ! ワァァァン! デュエルスタァァァァァトォォーー!!!』
今、世界最大級のチーム戦――ワールドスタンディングデュエルクラシック。
そのネオ童実野シティ予選の火蓋が切って落とされた。
チーム戦の大会のためデュエルパートが長くなりますのでご注意ください。
地の文や台詞形式について
-
今のままで良い
-
台詞のみの台本形式の方が読みやすい
-
小説のような形式の方が読みやすい