遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
カードプールは2020年7月までとなります。
[回想 王城大学』
大理石をふんだんに使った壁に城のようなキャンパス。
王城大学は都内のビル群の中にある。
『有栖川さん、さよなら! またあした!』
アリエル『うふふ……、はい、さよなら〜』
手をフリフリと振って同級生を見送る。
それからふわりとした眠気を感じて小さくあくびをした。
アリエル『……ふぁ〜、帰ったらお布団はいりましょう……』
アリエル(私は特に不自由もなく、そして何の疑いもなく今の大学に通っていた)
アリエル(私の家は企業を営んでいる。私は所謂社長令嬢。大きな会社ではないけれど、小さくもない。ゆくゆくはこの会社の役員になって、やがて社長になると思う。そこに何の不満もなかった)
アリエル(けれど……)
[教室]
『それでねー』
『そーなんだー』
楽しそうに話す大学生たち。
レイラ『…………』
その中に紛れて彼女は頬杖をついて窓の外を眺めていた。
アリエル(あの子、いつもつまらなそうな顔してる)
別の日のゼミの授業中のことだった。
教授は彼女が提出したレポートをひらひらとさせながら声を上げた。
教授『新田くん。こんなものじゃレポートとは言えないぞ。大企業の娘だからって商業を舐められたら困る』
新田『……別に舐めてません』
『またあの子よ……』
『やる気ないなら辞めちゃえばいいのに…』
アリエル『…………』
またある日。
キャンパスの外に一歩踏み出したところでアリエルは足を止めた。
アリエル『あら?』
レイラ『……』
キャンパス外にある喫煙所に見知った顔が入っていくのが見えた。
手には白い箱とライター。
箱はまだ封が切られておらず、ライターも燃料が満タンに入っている。
アリエル『……』
喫煙所の中は誰もいないにも関わらず、なんとなく煙っぽい感じがする。
匂いも染み付いて取れないニコチンの香りがする。
そこに慣れない様子のレイラがおり、不慣れな手つきでタバコの封をあけていた。
彼女はタバコを一本そっと取り出し、躊躇いながらライターを持つ。
アリエル『……いけない子ねぇ。貴女、未成年でしょう?』
レイラ『っ!?』
不意をつかれた様子で肩を跳ねさせて勢いよく顔を上げた。
丸まった目を徐々に尖らせてアリエルを見た。
レイラ『……誰ですか?』
アリエル『有栖川絵留って言うのよ。同じゼミの先輩なんだけど、見覚えないかしら?』
レイラ『……すみません。興味ないんで』
アリエル『そぉ。ところで、貴女の手に持っているものは、私が没収するわよぉ』
冷静を装っても隠せない手からタバコとライターを取り上げた。
レイラ『あっ、ちょっと! 返してください!』
抵抗するように手を伸ばすも、アリエルはさらに手を遠ざけて首を振る。
箱は思いの外柔らかくて、中が潰れそうだななんて呑気なことを考えてしまった。
アリエル『ダメよぉ。私が20歳なんだもの、貴女は年下でしょう? あと1年我慢しなきゃあ。それに、パパやママが心配するわよぉ?』
レイラ『……しませんよ。父なんかは、むしろ喜ぶんじゃないですか? 喫煙所は情報の宝庫だー、とか言って』
アリエル『そうなのぉ。……』
返事をしてからタバコを咥え、アリエルも不慣れな手つきでライターで火をつけた。
途端に白煙が上がり、匂いが強くなる。
レイラ『え!?』
その行為にレイラは口をあんぐりと開ける。
意に介さずアリエルはタバコを吸い込んでみる。
すると無遠慮に煙が喉に突き刺さって思わずタバコを離してしまった。
アリエル『……うっ……! げほっ…げほっ……!』
信じられないほどにむせ返ってしまう。
世のスモーカーはこんなものをうまいうまいと吸っているのかと疑ってしまうほどに眩暈がした。
身体をくの字に折っているとレイラは声を出した。
レイラ『ちょっと先輩!!? 何やってるんですか!?』
アリエル『げほっげほっ! うっ……げほっ!……はー……タバコって大変ねぇ……』
レイラ『吸えないならなんで……!?』
アリエル『ゴホッゴホッ……だって、やってもないものを、これはダメよ、なんておこがましいと思ったのよぉ……げほっげほっ、う〜』
レイラ『もう! わかりましたから! これは捨てます!』
今度こそレイラはアリエルの手からタバコをひったくるとそのまま筒形の灰皿に叩き込んだ。
アリエルはいまだに咽せる胸を撫でながら精一杯の笑みを浮かべる。
アリエル『ケホッ……こんなことにならなくてよかったでしょ……? 』
レイラ『……身体張りすぎですよ……。たがだがタバコくらいで……。私達、別に仲良いわけじゃないのに……』
アリエル『うふふ……。そうねぇ……でも私、貴女のこと気になってたのよ? ねぇ、新田さん、貴女、どうしてそんなにつまらなそうな顔をしているの?』
レイラ『……別に私以外だってつまらない顔してる人いますよ』
アリエル『それはその場がつまらないだけよ。別のところでは能天気に過ごしているわ。でも貴女は違う。ずっと雨模様。一体、貴女の何がそんな梅雨前線を作ってるの?』
レイラ『……』
アリエル(それから彼女の家庭のことを聞いた。彼女の境遇も。きっと世の中の人は、くだらないって笑う。だって彼女は裕福だし、わがままを言っているように聞こえるだろうから。でも、その人たちはきっと知らない。決めつけられるって、思っている以上に頭にくることを)
レイラ『……私にはなにもさせてくれない。姉様たちだけ。だから私は綺麗なものに憧れているんです。今でも。子供みたいに。でも、誰もが私には必要ないって。……私、今の母と血が繋がってないんです』
アリエル『そうなの』
レイラ『……なんでこんなこと話してんだろう……』
自己嫌悪するように頭を掻くレイラ。
アリエルは目を伏せて話し出す。
アリエル『……ねぇ、私の名前。絵留って、漢字で絵画の絵に、留めるって書いてエルなんだけど、最初はね、笑顔に留めると書いてエルの予定だったらしいのよぉ』
レイラ『……へ? 急になんですか?』
アリエル『そしたらね、お父さんが、そんなことはできっこないんだから変えなさいって言ったんだって。人を笑顔にするって、確かに難しいわよ。しかも、その瞬間だけじゃなくて、ずっと笑顔にさせるなんて、多分絶対に無理なんだとは思うわよぉ。でもやる前に決めつけられるのはやっぱり癪に触るの。そう思わない?』
レイラ『……たかが名前くらいで大げさな……』
アリエル『うふふ、そうね。でも決めつけられて腹が立ったから、少しだけ躍起になろうと思うのよ。貴女を笑顔にする努力を、私にさせてちょうだい?』
そしてまた別の日。
同じく後輩で背がとても小さくとても優しい後輩に声を掛けた。
小春『え? デュエルについて知りたい? 急になんでそんな興味持ったんすかアリエル先輩』
アリエル『灰被りのお姫様をね、輝かしい舞台に連れていってあげたいのよぉ。この街でそれを得るならデュエルモンスターズが一番でしょお? 』
小春『じゃあ! WSCに出るのが一番だ! そのシンデレラってやつとアリエル先輩とあたしで出場すりゃいい! 一回出てみたかったんだ! クイーンもそうやってクイーンになったしな!』
アリエル『クイーン?』
小春『そうだ! デュエル界のクイーンオブクイーン! 最強のデュエリスト! 彼女は富も名声も思うがまま! まさにデュエル界の一番星!』
アリエル『じゃあその人を倒せば、私達はデュエルプリンセスってわけね?』
小春『プリンセス……、まぁそうだな。ま、すげー難しいと思うけどな』
アリエル『うふふ、それならこれからレイラちゃんを呼んで特訓ね。チームサンドリヨン、始動よぉ』
新しいことが始まる。
つまらなそうな後輩を笑顔にするためだけの戦いが始まった。
寝る前決闘空間第8話
【ホープオブマイヒーロー】
[ネオ童実野シティ 童実野デュエルスタジアム デュエルフィールド]
アリエル「うふふ」
有栖川絵留
LP:4000
手札:2
フィールド:
紅蓮魔獣ダ・イーザ「ゴァァァァァァァァァ!」
攻:8000
紅蓮魔獣ダ・イーザ「ガァァァァァァァァァァァァァ!」
攻:8000
古代の機械熱核竜「ギィィィィィィ!」
攻:3000
三体の大型モンスターが咆哮を上げる。
熱気と圧力に押されて一陣の風が吹く。
それが亜美のスカートとポニーテールを揺らした。
祭乃木「……くっ……!」
LP:3900
手札:4
フィールド:
E・HEROサンライザー
攻:2900
No.101 S・H・Ark Knight
守:1000
MC『おーっとここで、超ビッグニュースだーーー!! ネオ童実野シティ、第1フィールドにおいて、攻撃力8000のモンスターが現れたぞぉぉぉ!!? 従えているのは初出場のチームサンドリヨンだーー!! この攻撃力8000という数値は、公式大会でも滅多にお目にかかれない驚異的な数値だーーー!! 一旦、カメラをそちらに向けるぞォォォォ!』
注目チームの試合を実況していたスタジアムDJがマイクを振り翳して叫ぶ。
メインモニターにはチームサンドリヨンフィールドのモンスター達が映し出されている。
ーーーワァァァァァァァァァァァァ
観客達は凄まじい数値に一気に湧き上がっていた。
[チームHERO側ベンチ]
熱気に包まれたフィールドの傍らでベンチメンバーは固唾を飲む。
良平はベンチの柵に乗り出すようにフィールドを眺めた。
良平「まずいぞ! 祭乃木にはバックがない!」
恵「……E・HEROサンライザーが攻撃を受ければ、5100の戦闘ダメージが発生する……」
ここのせ「ちくしょう……!」
ゆき「うぅ……祭乃木さん……!」
[デュエルフィールド]
アリエル「いくわよぉ、バトルフェイズ」
ーバトルフェイズー
アリエル「紅蓮魔獣ダ・イーザで、E・HEROサンライザーに攻撃」
右手を突き出し、アリエルが宣言する。
紅蓮の悪魔は爆炎を上げながら、そして唸り声を上げながら吶喊してくる。
狙いは太陽のHERO。
紅蓮魔獣ダ・イーザ「ゴガァァァァァァァァァァァァァァ!」
攻:8000
E・HEROサンライザー「ぐぉぉぉっ!?」
攻:2900
巨大な紅蓮の拳が振り下ろされ、サンライザーを貫いた。
サンライザーは苦悶の表情を浮かべながら爆散する。
祭乃木「くぁぁぁあっ!?」
余波が亜美を飲み込んだ。
灰色の粉塵が巻き上がり、フィールドを包み込む。
[チームサンドリヨン側ベンチ]
レイラ「やった! 勝った……!」
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「くそっ……! ここまでだってのか……!」
ゆき「あうぅ……」
良平「仕方ないか……」
[デュエルフィールド]
誰もが勝負あったと目を離そうとする。
しかしーーーー。
祭乃木「ちょっと待ったぁ! 何勝手に終わらせてんのよ!」
徐々に晴れていく粉塵の中から声がする。
アリエル「ッ!」
視界が戻った先に決闘者がいる。
決闘盤を構え、未だ消えぬ闘志を目に宿した少女がそこに。
祭乃木「まだまだデュエルはこっからよ!」
LP3900→1300
[チームサンドリヨン側ベンチ]
小春「なっ!?」
レイラ「そんなっ!? 確かに攻撃は通ったはずなのに!?」
[デュエルフィールド]
祭乃木「アタシはダメージステップ開始時に手札から、このカードを発動したのよ!」
《E・HEROオネスティ・ネオス》
効果モンスター
E・HEROオネスティ・ネオス「はぁぁぁ……」
祭乃木「このカードは、手札から捨てることでHEROモンスターの戦闘時に攻撃力を2500Pアップさせる! 」
MC『ななななんとーー!!? 攻撃力8000という凄まじい攻撃をなんとか受け切ったぞーー!!! 対戦相手は、なんとこちらも初出場チームHEROのラストプレイヤーだーー!!』
ーーーーワァァァァァァァァァァァァァァ
驚愕と熱狂がフィールドを包み込む。
[チームHERO側ベンチ]
良平「なるほど、そうすればサンライザーの攻撃力は5400になって戦闘ダメージは2600で済んだわけか」
ゆき「あ、あぅぅ〜、ドキドキしましたぁ……」
[チームサンドリヨン側ベンチ]
レイラ「くっ……!」
小春「やるじゃん、あの女。でも大丈夫だレイラ! 攻撃力8000なんてそう簡単には突破できねぇよ!」
[デュエルフィールド]
アリエル「なら続けて、古代の機械熱核竜で No.101 S・H・Ark Knightに攻撃」
古代の機械熱核竜「ガァァァァァァァァ!」
攻:3000
No.101 S・H・Ark Knight「ギュィィン」
守:1000
古代の機械の龍が鋭い光線を吐き出す。
No.101 S・H・Ark Knightはその光線を一身に浴び、装甲がドロドロに溶けていた。
祭乃木「アークナイトは、素材を取り除くことで、この戦闘では破壊されなくなるわ!」
アリエル「では、2体目のダ・イーザで攻撃」
紅蓮魔獣ダ・イーザ「ガァァァァァァァァァァァァァ!」
攻:8000
No.101 S・H・Ark Knight「ビビビッ……!?」
守:1000
装甲を失ったNo.101 S・H・Ark Knightは紅蓮の拳に貫かれ爆散した。
しかし先程とは異なりダメージを全て引き受けている。
とはいえ亜美のフィールドの全てのモンスターはあの紅蓮の悪魔に貫かれてしまった。
祭乃木「くっ……」
アリエル「この攻撃を耐えるなんて、すごいのねぇ」
祭乃木「アタシも良平やここのせ、それにゆきや恵の想いを託されてるのよ。そうやすやすとは倒されてやれないわよ!……ま、それはアンタも一緒だと思うけど」
アリエル「うふふ、そうねぇ。……カードを1枚セットして、ターン終了よぉ」
カードを裏側でセットする。
決闘盤が反応しアリエルの足元にカードが沈む。
ーエンドフェイズー
有栖川絵留
LP:4000
手札:1
伏せ:1
フィールド:
紅蓮魔獣ダ・イーザ
紅蓮魔獣ダ・イーザ
古代の機械熱核竜
ードローフェイズー
圧倒的な物量に亜美は睨みつけながらデッキトップに手をかけた。
祭乃木「アタシのターン! ドロー!」
手札3→4
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
祭乃木(アタシのデッキにはあの怪物を対処できる罠カードはない)
思考を巡らせつつ亜美は自身の手札を一瞥する。
祭乃木(手札には、サンライザーでサーチしたミラクルフュージョンがある。墓地にいるリキッドマンを使えばアブソルートzeroが出せるわ。ダ・イーザは破壊耐性がないから倒せるはず……!)
意を決して亜美は手札を一枚抜き取り、表側でマジックトラップゾーンに差し込んだ。
祭乃木「手札から魔法カード、ミラクルフュージョンを発動!」
《ミラクルフュージョン》
通常魔法
祭乃木「フィールド墓地のモンスターを除外することでHEROの融合を行う!」
フィールドに紫と赤の渦が現れる。
しかしアリエルは拒むように腕を振るって決闘盤のボタンを操作した。
アリエル「させないわよぉ? トラップ発動。封魔の呪印」
《封魔の呪印》
カウンター罠
chain1 ミラクルフュージョン
chain2 封魔の呪印
アリエル「手札の魔法カードを墓地に送り、魔法カードの発動を無効にして破壊するわよぉ。そしてこの効果で破壊した魔法カードと同名のカードはこのデュエル中、発動できなくなるわぁ」
手札1→0
祭乃木「なっ!?」
驚きのあまり亜美は口を開けた。
紫色の渦は立ち消え、ミラクルフュージョンのソリッドビジョンは呪印がしっかりと刻印されてしまっていた。
徐々に白く崩れていき呪印だけが亜美の元に残る。
[チームHERO側ベンチ]
良平「最悪だ……」
ここのせ「オレのデッキだったらサレンダーものだぜ……」
ゆき「あうあぅ〜……」
恵「……」
[デュエルフィールド]
亜美は呪印から目を離しアリエルを見る。
祭乃木「く……やってくれるじゃない……!」
アリエル「うふふ」
祭乃木「でも諦めてやらないわ!! 手札からネオスフュージョンを発動!」
《ネオスフュージョン》
通常魔法
祭乃木「発動後、他に特殊召喚できなくなる代わりにネオス融合モンスターをデッキ融合できる! デッキからE・HEROネオスとE・HEROリキッドマンで融合!」
再び融合演出が現れる。
渦は紫ではなく宇宙を思わせるそれだった。
祭乃木「ーー今は遠き宙の、秩序を担うは勇気の英雄!! ここに降着せよ!!」
手を突き出し亜美はカードを呼び出した。
祭乃木「来なさい! E・HEROブレイブ・ネオス!」
E・HEROブレイブ・ネオス「シュアッ!」
攻:2500→ 3200 光 戦士族 星7
祭乃木「ブレイブ・ネオスは墓地のヒーローの数×100攻撃力があがるわ! アタシの墓地には7枚! 700ポイントアップ! 行くわよ、バトル!」
ーバトルフェイズー
祭乃木「E・HEROブレイブ・ネオスで古代の機械熱核竜を攻撃!」
仕返しとばかりに亜美は命令を下す。
ブレイブ・ネオスは一気に飛び上がり、機械の竜に拳を振り翳した。
E・HEROブレイブ・ネオス「ジュワッ!」
攻:3200
古代の機械熱核竜「グギャァァ!?」
攻:3000
核を打ち抜き古代の機械熱核竜はバラバラに砕け散る。
破片の一部がアリエルへ降り注ぎライフポイントをわずかばかり削っていった。
アリエル「……」
LP4000→3800
祭乃木「メイン2! 手札から月の書を発動!」
《月の書》
速攻魔法
祭乃木「ブレイブ・ネオスを裏側守備表示に変更!」
E・HEROブレイブ・ネオスは一回転してフィールドに潜り込み、裏側のカードのみが映し出された。
祭乃木「今は耐えるしかないか……! ターンエンド!」
ーエンドフェイズー
祭乃木亜美
LP:1300
手札:1
フィールド:
セットモンスター
[チームHERO側ベンチ]
ゆき「あれ? そういえば、E・HEROリキッドマンの効果使わないんですかぁ? 融合素材になったらカードをドローできるんじゃないですか?」
良平「いや、ネオスフュージョンは、フュージョンって書いてあるけど、条件を無視して特殊召喚だから、厳密には融合召喚じゃないんだ。だからリキッドマンの効果は適用できないんだ」
[デュエルフィールド]
ードローフェイズー
アリエル「うふふ、私のターン」
手札0→1
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
ドローカードを一瞥するアリエル。
特に今使えるカードではなかったようでそのままフィールドに目を向ける。
アリエル「そのままバトルフェイズ」
ーバトルフェイズー
アリエル「ダ・イーザで裏側表示のE・HEROブレイブ・ネオスに攻撃」
紅蓮魔獣ダ・イーザ「ガァァァァァァァァ!」
攻:8000
クルンッと裏側のカードが表になりブレイブ・ネオスが飛び出した。
ブレイブ・ネオスは腕を十字にクロスして紅蓮魔獣の拳を受け止める。
E・HEROブレイブ・ネオス「シュワッ!」
守:1000
祭乃木「墓地のネオスフュージョンの効果発動! このカードを除外することで、戦闘破壊を一回免れる!」
《ネオスフュージョン》
通常魔法
E・HEROブレイブ・ネオス「ふん!」
一層力を込めて紅蓮の悪魔の拳を払い除けた。
アリエルは二体目に指令を出す。
アリエル「もう一体のダ・イーザでブレイブ・ネオスに攻撃」
紅蓮魔獣ダ・イーザ「ガァァァァァァァァァァァァァ!」
攻:8000
E・HEROブレイブ・ネオス「グァァァァっ!?」
守:1000
二度目は耐えきれずダ・イーザの拳を受けブレイブ・ネオスはガラスのように霧散した。
衝撃の全てをブレイブ・ネオスが請け負、亜美には一切のダメージはない。
祭乃木「耐えてやったわ……!」
[チームサンドリヨン側ベンチ]
レイラ「くっ……しぶとい……!」
焦ったそうにレイラはベンチの柵を力一杯握りしめた。
[デュエルフィールド]
アリエル「仕方ないわねぇ。ターンエンド」
ーエンドフェイズー
有栖川絵留
LP:4000
手札:1
フィールド:
紅蓮魔獣ダ・イーザ
紅蓮魔獣ダ・イーザ
亜美は未だ勢力衰えぬ相手フィールドの悪魔を見上げた。
祭乃木(……ここまではなんとか耐えてるけど、長くは持たない……)
ードローフェイズー
祭乃木「アタシのターン!」
手札1→2
チラリとドローカードを見る。
トラップカード、ピンポイントガード。
祭乃木(ダメ……。このカードじゃ……)
ターンを稼ぐことはできるかもしれないが、解決策にはならない。
亜美はもう一度手札を見る。
どこかに必ず解決策があるはず。
手札には。
デッキには。
可能性があるはず。
祭乃木(そうか……!)
祭乃木「ワンチャンスにかけるしかないわね! カードを一枚セットしてターン終了!」
裏側のカードをフィールドにセットする。
ーエンドフェイズー
祭乃木亜美
LP:1300
手札:1
伏せ:1
フィールド:
なし
ードローフェイズー
アリエル「私のターン。ドロー」
手札1→2
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
引いたカードはモンスターカード。
今は必要がない。
アリエル「セットカードを除去したいけれど、仕方ないわぁ。バトルフェイズ」
ーバトルフェイズー
アリエル「ダイーザでダイレクトアタック」
祭乃木「よしっ! トラップ発動! ピンポイントガード!」
《ピンポイントガード》
通常罠
祭乃木「このカードは、攻撃宣言時にアタシの墓地のレベル4以下のモンスターを守備表示で特殊召喚するカード! そしてこの効果で特殊召喚したモンスターはこのターン、戦闘・効果では破壊されない! 甦れ! エアーマン!」
E・HEROエアーマン「ふぅん、はぁっ!」
守:300
祭乃木「エアーマンの効果で、デッキからHEROモンスター、スパークマンを手札に加えるわ!」
手札1→2
フィールドの状況が変動したことで攻撃の巻き戻しが発生する。
しかし紅蓮魔獣は動かない。
戦闘で破壊できない以上、攻撃は無意味だった。
アリエル「……っ! まだ倒せないのね……! ターンエンドよぉ」
流石に焦りを募らせたアリエルは唇を噛みながら宣言した。
ーエンドフェイズー
有栖川絵留
LP:4000
手札:2
フィールド:
紅蓮魔獣ダ・イーザ
紅蓮魔獣ダ・イーザ
[チームサンドリヨン側ベンチ]
小春「ちくしょう、あと一歩なのに!」
レイラ「アリエル先輩……!」
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「勝てんのか、これ……!?」
恵「……」
良平「祭乃木を信じるしかない……!」
ゆき「祭乃木さん……!」
[デュエルフィールド]
ードローフェイズー
相手の勢いを跳ね除け、仲間の希望を背に感じながら亜美は強く、強くデッキトップに手をのせる。
祭乃木「いくわよ!!」
狙うカードはただ一つ。
逆転の切り札。
祭乃木「アタシの、ターン!!!」
風を切る音がするほど。
強くカードを引く。
引いたカードはーーーー。
祭乃木「きたっ……!」
アリエル「ッ!?」
何かを感じ取ったアリエルは一歩無意識に後退する。
構わず亜美はカードを操る。
祭乃木「手札からレッド・リゾネーターを召喚!」
レッド・リゾネーター「……キィン」
攻:600 炎 悪魔族 星2 チューナー
祭乃木「レッド・リゾネーターの効果発動! 手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する! こい!E・HEROスパークマン!」
E・HEROスパークマン「はぁぁ!」
攻:1600 光 戦士族 星4
祭乃木「レベル4のエアーマンにレベル2チューナー、レッドリゾネーターをチューニング!」
☆4+☆2=☆6
祭乃木「ーーシンクロ召喚! 出なさい、ドロドロゴン!」
ドロドロゴン「ドロドロ……」
守:2200 闇 ドラゴン族 星6
[チームサンドリヨン側ベンチ]
小春「なんだぁ? あのドロドロのドラゴンは?」
レイラ「……何をする気なの……!?」
[デュエルフィールド]
祭乃木「このモンスターは、変幻自在の身体を持ち、あらゆる融合素材にも変身できる! そして、フィールドの自身ともう一体を墓地に送ることで融合召喚を行うことができるわ!」
アリエル「……融合……」
祭乃木「ドロドロゴンとスパークマンで融合!!」
ドロドロゴンが身体を波うたせながら形を変える。
その姿がHEROに。
羽根を生やした炎の英雄に。
ドロドロゴン→E・HEROフレイム・ウィングマン + E・HEROスパークマン
祭乃木「ーー闇を照らす眩き光の英雄! 摩天を切り裂け! 」
カァッと眩い光がフィールドを照らす。
祭乃木「融合召喚! E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン!!」
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン「ハァァァア」攻:2500 光 戦士族 星8
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「シャイニング・フレア・ウィングマン!? 攻撃力は……!?」
[デュエルフィールド]
祭乃木「シャイニング・フレア・ウィングマンは、墓地のE・HEROの数×300Pアップする! アタシの墓地には9体! 攻撃力は2700アップして、5200!」
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン「ハァァァア!」
攻:2500→5200
祭乃木「さらに手札から! 装備魔法、フェイバリット・ヒーローを発動!」
《フェイバリット・ヒーロー》
装備魔法
祭乃木「このカードは、レベル5以上のHEROモンスターに装備可能な装備魔法!装備モンスターの守備力分、攻撃力がアップするわ!」
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン「ハァァァア!!」
攻:5200→7300
[チームHERO側ベンチ]
ゆき「攻撃力7300!! ……でも……! まだ……足りない……!」
[チームサンドリヨン側ベンチ]
小春「大した攻撃力だけど、ダイーザには届かないぜ!!」
[デュエルフィールド]
祭乃木「さぁ、バトルよ!」
ーバトルフェイズー
アリエル「……! ……このまま攻撃してくるのかしら?」
そう言いかけたところでアリエルは異変を感じ
アリエル「あっ……!?」
と声をあげた。
地面がまるで地震のように揺れる。
やがて徐々にフィールドの一部が競り上がった。
[チームサンドリヨン側ベンチ]
小春「な、なんだぁ!?」
レイラ「地面から……沢山のビルが……!?」
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「このエフェクトは……!」
恵「……摩天楼スカイスクレイパー……」
[デュエルフィールド]
祭乃木「フェイバリット・ヒーローが場にあるとき、バトルフェイズ開始時に、手札かデッキからフィールド魔法を発動できるのよ!」
《摩天楼スカイスクレイパー》
フィールド魔法
フィールドは一瞬にしてビル群ーー摩天楼に囲まれた。
夜の帳が下りる摩天楼に、光のヒーローが舞い降りる。
祭乃木「ヒーローには、ヒーローの戦う舞台ってのがあんのよ!! 摩天楼-スカイスクレイパーは、E・HEROモンスターが自身より攻撃力が高いモンスターに攻撃するとき、ダメージ計算時に攻撃力を1000Pアップさせる!」
アリエル「……これは……」
祭乃木「いっけぇ! シャイニング・フレア・ウィングマン! ダ・イーザに攻撃! シャイニングゥゥゥスクレイパーシュゥゥト!!!」
拳を勢いよく突き出し、声を上げて命令する。
亜美の声に呼応して光のヒーローが翼を広げた。
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン「ハァァァアァァァァァ!! タァァァァァァァ!」
攻:7300→8300
腰溜めに赤色のエネルギーを溜め込みながら摩天楼を翔け抜ける。
ビルの三角屋根まで上昇しエネルギーを一気に解き放つ。
紅蓮魔獣ダ・イーザ「グギャァァァァァァァァァァァァ!!?」
攻:8000
紅蓮魔獣は成す術なく光のエネルギーに飲み込まれ大爆発を起こした。
爆風がアリエルのスカートを揺らす。
アリエル「……っ……」
LP3800→3500
祭乃木「シャイニング・フレア・ウィングマンは、戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与えるわ! やれ、シャイニング・フレア・ウィングマン!!」
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン「ウォォォォォ!」
再び羽根を広げ、ビルから一気に降下する。
攻撃目標は決闘者ーー有栖川絵留。
アリエル「……あぁ……」
目を細めてゆっくりと自軍ベンチを振り返る。
そこには小さくて優しい後輩と笑ってほしいと願っている後輩の目があった。
レイラ「っ!」
アリエル「……レイラちゃん……
…………ごめんね……」
レイラ「アリエル先輩っ……!!」
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン「ハァァァア!」
光のヒーローがアリエルの身体を貫いた。
8000ポイントものダメージが発生する。
アリエル「…………」
LP3500→0
ビィィィッと鈍いブザー音が鳴り響く。
それは勝者がチームHEROであることを伝えていた。
今回は2023年4月現在、禁止カードに指定されているカードの登場はありません。
前編なのに終幕なのはよくよく考えたらおかしい気もしますが……。
地の文や台詞形式について
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今のままで良い
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台詞のみの台本形式の方が読みやすい
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小説のような形式の方が読みやすい