遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
したがってリミットレギュレーション及びカードプールは2020年4月改定を採用しています。
つまり2023年4月現在禁止カードとなるカードを使用する場面が登場します。
当時は禁止じゃなかったんです……。
[ネオ童実野第二デュエルスタジアム ]
勉強の日々を三日過ごし、ヒーロー部は再び童実野第二デュエルスタジアムに終結していた。
豪華とも質素とも言えないベンチの中、亜美は両手を腰に当てて部員たちを見渡した。
祭乃木「さぁて! テストも大切だけど、一番はこっちよ!!」
亜美の言葉に良平もここのせも凝った肩や首を回しつつ返事をした。
良平「ここ三日、ずっと勉強漬けだったからなぁ」
ここのせ「あー、もう勉強したくねぇよ……」
そんな選手たちをゆきは両手をむんと握り張り切った声を出す。
ゆき「皆さん! 気張っていきましょう!」
頷く男子たちを横目に恵は棒立ちのまま亜美に目を向けた。
恵「……今回の相手は株式会社エスティー化学の実業団チーム。前年度は予選2回戦敗退。チームメンバーは前年度と同様。……頑張って……」
祭乃木「ok!良平、今回も頼むわよ!」
ファーストプレイヤーに向けて亜美は檄を飛ばす。
良平は腰のケースからデッキを引き抜いて決闘盤にセットしフィールドに歩き出した。
良平「うん、行ってきます」
モニターには『第5試合 チームHERO vs チームエスティー化学』と大きく映し出されていた。
観客席は前回よりは多少実入りがあるようで疎に座っている。
とはいえ大半は家族や会社員風の見た目であり、要は相手チームの関係者ということは火を見るよりも明らかだった。
フィールドにはチーム衣装なのか自社のマークがついた白衣を着た男性が人の良さそうな顔で迎えている。
エスティー社員1「高校生が相手か……。やりにくいが、倒させてもらうよ」
良平「よろしくお願いします」
良平も礼節を以て一礼すると男性はうんと頷き、決闘版を構えた。
社員1「よし、それじゃあ」
良平「デュエル!」
LP4000
手札5
社員1「デュエル!」
LP4000
手札5
決闘盤のディスプレイとスタジアムのモニターが連動して点滅する。
やがてブザー音と共に良平の決闘盤に後攻と表示された。
即ち相手チームの先攻である。
ースタンバイフェイズー
社員1「こちらの先攻! 魂喰いオヴィラプターを召喚!」
手札から勢いよくカードをフィールドに呼び出す。
魂喰いオヴィラプター「グォォォォ!!」
攻:1800 闇 恐竜族 星4
社員1「効果発動! 召喚に成功したとき、デッキから恐竜族モンスターを手札に加えるか墓地に送ることができる! 私は、デューテリオンを手札に加える!」
手札4→5
[チームHERO側ベンチ]
現れたモンスターを見て亜美は腕を組む。
祭乃木「相手は恐竜族デッキかしら……?」
恵「……デューテリオンは、重水素デューデリウムのモンスター……」
ゆき「じゅ、重水素?」
[デュエルフィールド]
社員1「デューテリオンを手札から墓地に送って、効果発動! デッキからボンディング魔法、罠カード1枚をサーチできる! ボンディング-D2Oを手札に加える!」
手札5→4→5
男が手札に加えたのは薬品実験のようなイラストであった。
メジャーとは言えぬカード名に良平は首を傾げる。
良平「……ボンディング……?」
社員1「カードを1枚セットしてターン終了だ!」
良平の言葉には答えず、男は決闘盤にカードを差し込んだ。
彼の足元に裏側のカードが表示される。
ーエンドフェイズー
エスティー化学社員1
LP:4000
手札:3
魔法罠:
セットカード
フィールド:
魂喰いオヴィラプター
ードローフェイズー
良平「俺のターン!」
手札5→6
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
良平(バックが1枚……。セカンドプレイヤーを相手にすることまで考えると、無理に展開して罠を踏むより様子を見た方がいいか)
良平「……幻獣機メガラプターを召喚! 」
数秒思案して良平は手札のカードを繰り出した。
幻獣機メガラプター「a1 takeoff!」
攻:1900 風 機械族 星4
良平「バトル!」
ーバトルフェイズー
良平「幻獣機メガラプターでオヴィラプターに攻撃!」
幻獣機メガラプター「a1 FOX3!」
攻:1900
アフターバーナーを蒸し、一気に肉薄する。
そして前方についている機関砲から無数の弾丸を吐き出した。
魂喰いオヴィラプター「グガァァァっ!?」
攻:1800
弾丸に貫かれ、恐竜は成す術なく爆散する。
肉片が相手の男に降り注いだ。
社員1「くっ……」
LP4000→3900
ーメインフェイズ2ー
良平「カードを二枚セットしてターンエンド!」
決闘盤にカードを差し込み、セットカードを表示させる。
裏側のカードか地面に沈み込んでいく。
ーエンドフェイズー
日和田良平
LP:4000
手札:3
魔法罠:2
フィールド:
幻獣機メガラプター
[チームHERO側ベンチ]
デュエル展開を見て亜美は「うーん」と言葉を漏らす。
祭乃木「イマイチな初動ね……」
ゆき「え……? 相手のモンスターを破壊したのに……」
祭乃木「幻獣機はもっと展開できるデッキのはずよ! アイツチキって様子見したわね!」
恵「……長期戦を見越して温存するのは戦術として有効……」
[デュエルフィールド]
決して騒がしいとは言えぬスタジアムでベンチからの声は筒抜けであった。
良平は後ろ頭を掻きながら亜美の声を聞き流した。
ードローフェイズー
社員1「私のターン!」
手札3→4
社員1「幻創のミセラサウルスを手札から墓地に送って効果発動! このターンのメインフェイズまで私の恐竜族モンスターは、相手が発動した効果を受けない!」
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「面倒な耐性付与……。動いてくるのか……?」
恵「……幻創のミセラサウルスの効果はそれだけではない。おそらく、もう一つの効果の使用が狙いと思われる……」
ゆき「もう一つの効果??」
恵「……そう……」
[デュエルフィールド]
社員1「今、墓地に送ったミセラサウルスの効果発動! このカードを含む恐竜族モンスターを任意の数、墓地から除外し、その数と同じレベルの恐竜族モンスターをデッキから特殊召喚できる!」
良平「効果を使ったターンにそのまま使えるのか……」
社員1「墓地のミセラサウルスとオヴィラプターを除外して、レベル2の恐竜族モンスター、ベビケラサウルスをデッキから特殊召喚!」
ベビケラサウルス「びー、びー!」
守:500 地 恐竜族 星2
社員1「さらに手札からプチラノドンを召喚!」
プチラノドン「シャァ〜」
攻:500 地 恐竜族 星2
社員1「プチラノドンの召喚成功時、リバースカードオープン! 激流葬! フィールドのモンスターを全て破壊する!」
《激流葬》
通常罠
[チームHERO側ベンチ]
ゆき「あ! 激流葬! 前にここのせさんから頂いたカードですね!」
祭乃木「え? 相手アド損じゃない?」
[デュエルフィールド]
激流葬のカードから大量の鉄砲水が溢れ出てくる。
凄まじい水音を立てながらフィールドを飲み込みその場にいた全てのモンスターを葬り去ってしまった。
良平(やっぱり除去カードがあったか……。下手に展開して激流を貰ってたら危なかったな)
社員1「ベビケラサウルスとプチラノドンは、効果によって破壊されたときにそれぞれ効果が発動する!」
chain1 ベビケラサウルス
chain2 プチラノドン
社員1「プチラノドンは、効果で墓地に送られたとき、レベル4以上の恐竜族をデッキから特殊召喚できる! デッキからデューテリオンを特殊召喚!」
デューテリオン「ガァァァ!」
攻:2000 水 恐竜族 星5
社員1「この効果で、特殊召喚したモンスターはこのターンは攻撃できない。さらにベビケラサウルスの効果! デッキからレベル4以下の恐竜族モンスターを特殊召喚する! デッキから魂喰いオヴィラプターを特殊召喚!」
オヴィラプター「グガァァァ!」
攻:1800 闇 恐竜族 星4
社員1「さらにデューテリオンとオヴィラプターの効果を発動!」
chain1 デューテリオン
chain2 魂喰いオヴィラプター
社員「オヴィラプターの効果でデッキからオキシゲドンを手札に加える!そして、デューテリオンの効果で墓地からもう一体のデューテリオンを特殊召喚!」
デューテリオン「ガァァァ!」
攻:2000 水 恐竜族 星5
社員1「ではいくよ! 手札からボンディングD2Oを発動!」
《ボンディング-D2O》
通常魔法
社員1「ボンディングD2Oは、手札、フィールドからデューテリオン二体とオキシゲドンをリリースすることであるモンスターを特殊召喚するカード!」
フィールドの2体のデューテリオンと手札のオキシゲドンがゆっくりと消えていく。
フィールドには徐々に水流の渦が集まってきていた。
良平「あるカード……?」
社員1「では問題だ。重水素2つと酸素1つを結合させると何ができるかわかるかな?」
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「うわっ、めんどくせぇ……! 化学の問題だ!」
ゆき「水素と酸素なら、水ですが……」
恵「……重水素の場合は、重水となる……」
祭乃木「重水? 普通の水と何が違うのよ?」
恵「……通常の水と見た目は変わらないが、通常の水より比重が大きい……」
[デュエルフィールド]
社員1「そう! 現れるのは重水のモンスター! 現れろ! ウォータードラゴン-クラスター!」
高らかに宣言する。
水の渦はやがて重々しい音と共に水龍へと姿を変えた。
ウォータードラゴン-クラスター「グオォオオォオオ!!」
攻:2800 水属性 海竜族 星10
良平「……ウォータードラゴン-クラスター!?」
社員1「さぁ、バトルだ!」
ーバトルフェイズー
社員1「ウォータードラゴン-クラスターでダイレクトアタック!」
手を前に突き出す。
水龍は口に水の塊を溜めていく。
[チームHERO側ベンチ]
ゆき「あぁ! 日和田さんのフィールドにモンスターはいません! 大ダメージですぅ!」
ここのせ「大丈夫だ! 良平のデッキで2伏せってことは、対抗策があるってことだ!」
[デュエルフィールド]
ここのせの指摘通り、良平は決闘盤のボタンを押してカードを起動させた。
足元の裏側のカードがゆっくりと起き上がる。
良平「トラップ発動! 空中補給!」
《空中補給-エアリアルチャージ》
永続罠
良平「1ターンに1度、幻獣機トークンを場に特殊召喚する!」
幻獣機トークン「ヒュゥゥン」
守:0 風 機械族 星3
水龍の攻撃を邪魔するかのように半透明でプリズム体の航空機が飛び回る。
社員1「では、そのトークンに攻撃対処を変更!」
良平「さらに速攻魔法発動! ドロー・マッスル!」
《ドロー・マッスル》
速攻魔法
良平「フィールドの守備力1000以下のモンスターを対象とし発動! 対象は幻獣機トークン! カードを1枚ドローし、このターン、このトークンは戦闘では破壊されなくなる!」
手札3→4
ウォータードラゴンクラスター「ガァァァァァァァァ!」
攻:2800
水龍は口元に溜めた水を一気に吐き出し、幻獣機トークンを撃墜しようと猛攻を加える。
しかし幻獣機トークンはするりと躱し、無傷のまま良平のフィールドに降り立った。
社員1「くっ、ダメージを与えられなかったか……。ではメインフェイズ2!」
ーメインフェイズ2ー
社員1「ウォータードラゴン-クラスターの効果発動! このカードをリリースして、分解することでウォータードラゴンを二体をデッキから守備表示で特殊召喚する! 重水の比重を下げ、水を呼ぶ! 来たまえ、ウォータードラゴン!」
ウォータードラゴン「グギャァァァァァァァ!」
守:2600 水 幻竜族 星8
ウォータードラゴン「グギャァァァァァァァ!」
守:2600 水 幻竜族 星8
[チームHERO側ベンチ]
祭乃木「分裂した!?」
ゆき「同じようなドラゴンですぅ……!」
[デュエルフィールド]
社員1「レベル8のウォータードラゴン二体でオーバーレイ!」
☆8×☆8=★8
社員1「エクシーズ召喚! No.38 希望魅竜タイタニックギャラクシー!」
No.38 希望魅竜タイタニックギャラクシー「ガァァァァァァァァ!」攻:3000 光 ドラゴン族 ランク8
青い基調のロボットのようなドラゴンが閃光と共に現れた。
身体の周りには二つ光の球が交差するように周回している。
良平「タイタニックギャラクシーか……」
社員1「これでターン終了だ!」
ーエンドフェイズー
エスティー化学社員1
LP:3900
手札:1
魔法罠:0
フィールド:
No.38 希望魅竜タイタニックギャラクシー
幻獣機トークン「ブゥゥン……」
ターンエンドのタイミングで幻獣機トークンがゆっくりと消滅していく。
[チームHERO]
それを見たゆきは小首を傾げた。
ゆき「あれ? 幻獣機トークンが消えちゃいました?」
恵「……空中補給の維持コスト……」
恵に教えられて、なるほどと返事をする。
[デュエルフィールド]
ードローフェイズー
良平「俺のターン!」
手札4→5
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
良平(ともあれ相手のバックはなくなった。タイタニックギャラクシーは魔法カードを無効にする効果を持っている強力なモンスターだけど、他のカードには無力。ここは一気に責める!)
良平「幻獣機ハリアードを召喚!」
幻獣機ハリアード「a4 standing by」
攻:1800 風 機械族 星4
良平「さらに、空中補給の効果でフィールドに幻獣機トークンを特殊召喚する!」
幻獣機トークン「ヒュゥゥン」
守:0 風 機械族 星3
良平「ハリアードの効果発動! フィールドのトークンをリリースすることで、手札から幻獣機モンスターを特殊召喚できる! こい! 幻獣機コルトウィング!」
幻獣機コルトウィング「a2 takeoff」
攻:1600 風 機械族 星4
良平「コルトウィングは特殊召喚に成功したとき、場に幻獣機トークンを2体作り出す!」
幻獣機トークン「ヒュゥゥン」
守:0 風 機械族 星3
幻獣機トークン「ヒュゥゥン」
守:0 風 機械族 星3
良平「さらにコルトウィングの効果発動! フィールドのトークンを二体リリースして、相手フィールドのカードを破壊して除外する! 対象は、タイタニックギャラクシー!」
幻獣機コルトウィング「a2 FOX2!」
バシュンと音を立ててコルトウィングに搭載されていたミサイルが射出される。
それはタイタニックギャラクシーの筐体に命中し爆炎を上げた。
No.38 希望魅竜タイタニックギャラクシー「グギャァァァァァァァ!?」
社員1「なっ……!? 私の切り札がこんなにあっさり……!」
良平「さらに、ハリアードの効果発動! ハリアード以外の幻獣機が効果を発動するためにトークンをリリースしたとき、フィールドに幻獣機トークンを生成する!」
幻獣機ハリアード「a3 ignition」
ジェットエンジンを臨海運転しハリアードはロールする。
するとプリズム体の航空機が再び空を切り裂いた。
幻獣機トークン「ヒュゥゥン」
守:0 風 機械族 星3
これにより二機の戦闘機、即ち幻獣機ハリアード、幻獣機コルトウィングのレベルは4から7へと変動する。
良平「バトル!」
ーバトルフェイズー
良平「ハリアードで、オヴィラプターに攻撃!」
幻獣機ハリアード「a4 engage!」
攻:1800
魂喰いオヴィラプター「グガァァァ!」
攻:1800
ハリアードは機関砲を放ち、オヴィラプターは牙を立てて両者がぶつかる。
爆炎が辺りを包みこむ。
その煙を切り裂いて幻獣機ハリアードだけが現れた。
社員1「なっ……攻撃力が互角のはずがこちらだけ……!?」
良平「幻獣機は幻獣機トークンがいるときは破壊されない! さらに追撃! コルトウィングでダイレクトアタック!」
幻獣機コルトウィング「a2 FOX3!」
攻:1600
ババババ、と双機のローターを唸らせ機関砲をプレイヤーに向けて吐き出した。
その全弾が彼に命中する。
社員1「グァァァァ!」
LP3900→2300
良平「よし、メイン2!」
ーメインフェイズ2ー
良平「レベルが7となっているハリアードとコルトウィングでオーバーレイ!」
☆7×☆7=★7
[チームHERO側ベンチ]
黒い渦ーーオーバーレイネットワークをみてゆきは声をあげた。
ゆき「ランク7ということはエースモンスターのドラゴサックですかぁ!?」
ここのせ「いやこれは……」
[デュエルフィールド]
良平「ーー飛翔せよ、兵器を秘めた黒き翼!RR-アーセナルファルコン!」
RR-アーセナルファルコン「クァァァァァァァァ!」
攻:2500 闇 鳥獣族 ランク7
良平「アーセナルファルコンの効果発動! 素材を取り除き、デッキからレベル4の鳥獣族を特殊召喚できる! デッキから、烈風の結界像を特殊召喚!」
烈風の結界像「ゴゴゴ……」
守:1000 風 鳥獣族 星4
社員1「そ、そのカードは……」
良平「カードを一枚セットしてターンエンド!」
ーエンドフェイズー
日和田良平
LP:4000
手札:2
魔法罠:1
フィールド:
RR-アーセナルファルコン
社員1「く……これは……。わ、私のターン……」
[中略]
その後のデュエルでは男性社員の旗色が良くなることはなく、エース級のモンスターを展開することはなかった。
良平「テザーウルフでダイレクトアタック!」
幻獣機テザーウルフ「ガァァァ!」
攻:1700
狼の顔をした戦闘ヘリの機関砲に撃ち抜かれ、男性社員のライフポイントはつきてしまった。
社員1「ぐぁぁっ!」
LP1200→0
良平「よし、まずは一人……!」
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「……化学も結界像には勝てなかったな……」
ゆき「でもその結界像は破壊されてしまいましたし、まだ油断はできないですぅ……」
[デュエルフィールド]
良平は一息つくと再び前方を見据える。
男性社員は肩を落としてベンチに引き下がり、代わりに先程の男性よりも体脂肪率と清潔感を20パーセント程落とした瓶底メガネの男性がフィールドに立った。
エスティー化学社員2「次はワタクシが相手です」
宣言をしてメガネをくいと指で持ち上げた。
照明のせいかキラリと光ったようにも見える。
良平「……よし、こい!」
LP:4000
手札:0
魔法罠:1
フィールド:
幻獣機テザーウルフ
幻獣機トークン
ードローフェイズー
社員2「ワタクシのターン!」
手札5→6
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
社員2「クックック……。ワタクシの手札は完璧にシュミレート通り。私が勝つ確率は100パーセントです!」
[チームHERO側ベンチ]
ここのせ「あんなんじゃないと、入れねぇのかあの会社?」
祭乃木「アタシは絶対ごめんだわ」
[デュエルフィールド]
社員2「ワタクシは手札から愚かな埋葬を発動します。……いいえ、ワタクシが使うことで賢い埋葬になるのです! デッキから斬機マルチプライヤーを墓地に送ります」
《愚かな埋葬》
通常魔法
良平(凄い濃い人だなぁ。やりづらい……)
社員2「では、ワタクシの計算されたデッキの真骨頂をお見せしましょう! 手札から斬機方程式を発動です!」
《斬機方程式》
通常魔法
良平「ほ、方程式!?」
社員2「ヒヒヒッ……x3+2y2+1=……」
[チームHERO側ベンチ]
カードが表示された瞬間ここのせは拒否するように頭を抱え叫んだ。
ここのせ「う、うわァァァァァ! 今度は数学だァァァァァ!」
ゆき「な、なんで今日はこんな……」
祭乃木「なんなのよ、この人たち……」
[デュエルフィールド]
社員2「ぶつぶつ……はっ! このカードの効果で、墓地から斬機マルチプライヤーを特殊召喚!」
斬機マルチプライヤー「ビビー」
守2000 地 星4 サイバース族
社員2「さらに、手札から斬機シグマを召喚!」
斬機シグマ「ギィィ!」
攻:1000 光 サイバース族 星4 チューナー
社員2「マルチプライヤーの効果発動です。フィールドのレベル4のサイバース族のレベルを8にします!」
斬機マルチプライヤー「ハァァァ!」
斬機シグマ「……」
星4→星8
社員2「レベル4のマルチプライヤーに、レベル8となったシグマをチューニングです!」
☆4+☆8=☆12
良平「……高レベルのシンクロ……!」
社員2「シンクロ召喚! 炎斬機ファイナルシグマ!」
炎斬機ファイナルシグマ「ハァァァァァ!!」
攻:3000 炎 サイバース族 星12 右EX
社員2「このファイナルシグマはまさに、デュエルにおける最終定理! このカードは、EXゾーンにいるとき、斬機カード以外のカードの効果を受けませぇん! そして、モンスターとの戦闘で与えるダメージは2倍になる!」
ましてもメガネを光らせて高らかに効果を宣言する
良平は大きなシンクロモンスターを見上げた。
社員2「さらに、墓地に送られたマルチプライヤーの効果を発動! このカードが素材として墓地に送られたとき、ターン終了時までEXゾーンのモンスターの攻撃力を2倍にします!! よってファイナルシグマの攻撃力は!! 6000!!」
炎斬機ファイナルシグマ「ウォォォォオオ!」
攻:3000→6000
良平「……」
[チームHERO側ベンチ]
ゆき「えぇ!? じゃあ、テザーウルフが攻撃を受けたら、一気にライフがゼロですぅ!?」
ここのせ「どうするんだ、良平のやつ……!」
[デュエルフィールド]
ーバトルフェイズー
社員2「ひゃははは! ファイナルシグマでテザーウルフに攻撃ぃ!」
炎斬機ファイナルシグマ「ハァァァア!」
攻:6000
炎が噴き出る剣を構えて突進してくる。
良平はそれを見上げながら決闘盤のボタンに手をかけた。
しかし、やや思案してから発動するのをやめてしまった。
幻獣機テザーウルフ「グォォッ……!」
攻:1700
テザーウルフは剣の攻撃を受け、バランスを崩しながらも飛行を続けている。
しかし破損した機体の一部が欠落し良平に痛烈に降り注いだ。
良平「うっ!」
LP4000→0
[チームHERO側ベンチ]
祭乃木「はぁ!? 普通にやられたぁー!?」
ゆき「ここのせさん! お願いします!」
ここのせ「よーし、任せとけ!」
弾かれるようにここのせはベンチを飛び出してフィールドに駆けつけた。
[デュエルフィールド]
フィールドでは特に悔しがる様子も見せずに良平は待っていて、決闘盤を外していた。
良平「はい、ここのせ」
デッキを引き抜いて引き継ぐカード以外をデッキに収めると良平は決闘盤を差し出した。
ここのせはそれを腕に装着すると腰のケースから取り出したデッキをセットする。
ここのせ「ったく、めんどくせぇモンスター残してバトン寄越すなよな」
良平「あはは、ごめんごめん。でも伏せカードを使えば突破できるはずだから」
ここのせ「伏せカード? 」
良平「そう。じゃあ頼んだよ!」
それから踵を返しデュエルの妨げにならないように小走りでベンチに戻って行った。
相手フィールドでは男性がここのせを見ながらメガネをくいくいと動かしている。
ードローフェイズー
社員2「クックック、貴方も瞬殺してあげますよ」
ここのせ「うるせーってんだ。いくぜ! オレのターン!」
LP:4000
手札5→6
魔法罠:1
フィールド:
幻獣機テザーウルフ
幻獣機トークン
ここのせ(伏せカードはっと……)
ピッと決闘盤のディスプレイを操作する。
足元に潜ませているセットカードの情報を表示する。
ここのせ(……なるほど。良平のヤロー生き残ろうと思えば生き残れたのか。抜け目のないやつだぜ全く)
さりとてバトンを自分に回した。
ならば己のデュエルをするまで、とここのせは手札のカード1枚を抜き取りフィールドに叩きつけた。
ここのせ「いくぜ! 召喚僧サモンプリーストを召喚!」
召喚僧サモンプリースト「ふぉっふぉっ」
攻:800→守:1600 闇 魔法使い族 星4
ここのせ「サモンプリーストの効果発動! 手札の魔法カードを墓地に送り、デッキからレベル4モンスターを特殊召喚するぜ! こい! 宵星の騎士ギルス!」
宵星の騎士ギルス「ふんっ!」
攻:1800 闇 機械族 星4
ここのせ「こいつは特殊召喚時に、デッキから星遺物モンスターを墓地に送ることができる。俺はデッキから星遺物ー星杯を墓地に送るぜ!」
宵星の騎士は天に槍を突き上げて咆哮する。
デッキからは自動でカードが選出され、それを抜き取ると素早く墓地に送った。
ここのせ「さらにレベル4のサモンプリーストとギルスでオーバーレイ!」
☆4×☆4=★4
ここのせ「ーー四方を守りし真金の城、遥かなる水平線に勝利を刻め!」
オーバーレイネットワークから眩い閃光が放たれた。
やがて汽笛と共に弩級戦艦が姿を現した。
ここのせ「エクシーズ召喚! 抜錨だ! No.27 弩級戦艦ドレッドノイド!」
No.27弩級戦艦ドレッドノイド「ボォォォオオ!」
攻:2200 水 機械族 ランク4
現れた戦艦を、しかし男は鼻で笑う。
社員2「そんな時代遅れの戦艦程度では、ワタクシの完璧な式は崩せません!」
ここのせ「どうかな! こいつだけじゃ無理でも、チームの力を借りれば大きな力になるってもんよ! いくぜ、バトル!」
ーバトルフェイズー
ここのせ「ドレッドノイドで、ファイナルシグマに攻撃!」
社員2「はははっ! ファイナルシグマの攻撃力は3000! 2200の時代遅れ戦艦では倒せませんよ!! 迎え撃て、ファイナルシグマ!」
炎斬機ファイナルシグマ「ハァァァア!」
攻:3000
自身まんまんに炎の剣を構えるファイナルシグマ。
ここのせはにやりと笑った。
ここのせ「この瞬間、速攻魔法発動! リミッター解除!」
《リミッター解除》
速攻魔法
[チームHERO側ベンチ]
ゆき「あ! あれは!」
祭乃木「アンタが伏せてたカードね」
良平「うん。下手に俺が生き残るより有効活用できそうだったからね」
[デュエルフィールド]
ここのせ「この効果でオレのフィールドの機械族の攻撃力は2倍!」
No.27弩級戦艦ドレッドノイド「キュィィィィン、ガシャン」
攻:2200→4400
幻獣機テザーウルフ「ガァァァッ!」
攻:1700→3400
社員2「なっ……!?」
ここのせ「くらいな! 30.5センチ砲、撃ち方始め!」
ここのせの号令に戦艦は甲板に備わる艦砲を回転させた。
艦橋に備わるレーダーが敵を捉えている。
やがてつんざくような音と共に砲から爆煙を上げた。
炎斬機ファイナルシグマ「グァァァァ!?」
攻:3000
主砲弾がファイナルシグマに直撃。
痛烈な爆発とともに跡形もなく消し飛ばした。
社員2「あぁぁぁ!!? ワタクシのファイナルシグマがぁぁぁ!!」LP4000→2600
裏返った声があがる。
ここのせはさらに手を突き出した。
ここのせ「頼むぜ、テザーウルフ! ダイレクトアタックだ!」
幻獣機テザーウルフ「ガァァァァ!」
攻:3400
デザーウルフが相手デュエリストに突貫していく。
男性社員は狼狽えたように首を振った。
社員2「そ、そんな馬鹿な!! ワタクシが……ワタクシが負ける確率……100パーセントォォォォオオ!!!??」
LP2600→0
ここのせ「っしゃ、どんなもんだ! バトルフェイズ終了時、ドレッドノイドは新たな姿に進化する!」
フィールドに鎮座した戦艦が一層強く輝いていく。
★4→★10
ここのせ「ーー過去を超え、更なる砲を轟かす! しかしてそれは超弩級!」
口上を述べここのせは手を突き上げた。
戦艦の姿は変わり、砲は一層巨大化する。
ここのせ「エクシーズ召喚!超弩級砲塔列車グスタフ・マックス!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
攻:3000 地 機械族 ランク10
ーメインフェイズ2ー
ここのせ「カードを一枚セットしてターンエンドだ!」
ーエンドフェイズー
ここのせ「エンドフェイズに、リミッター解除の効果を受けたテザーウルフと幻獣機トークンが破壊されるが、テザーウルフは幻獣機トークンのおかげで生き残るぜ」
ここのせの言葉通り幻獣機トークンのみがガラスのように砕け散り、テザーウルフはフィールドに残存した。
能瀬 心
LP:4000
手札:3
魔法罠:1
フィールド:
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
幻獣機テザーウルフ
ここのせ「さぁ! かかってきな! ラストプレイヤー!」
びしりとここのせが相手ベンチを指差した。
すれとラストプレイヤーと思われる男がゆっくりと歩いてきた。
社員3「……」
それは日本人ではあり得ない筋肉と巨体と堀の深さだった。
肌の色も異なっており、それが日焼けではないことは火を見るより明らかであった。
ここのせは思わず二、三歩後退する。
ここのせ「……まじ?」
そんな姿にベンチから亜美が叫んだ。
祭乃木「なにびびってんのよ、ここのせ!」
ここのせ「そ、そうだな! さぁ、お前のターンだぜ!」
社員3「I exert oneself to the utmost,boy.Are you ok?」
ここのせ「う、うわぁァァァァァァァァァァ、英語だァァァァァァァァァァ!」
再び頭を抱えてここのせは叫ぶ。
見てられず良平もベンチから声を出した。
良平「落ち着けここのせ!」
しかしここのせはベンチを振り向いて叫び返した。
ここのせ「祭乃木ィ! 変わってくれー! オレは英語が一番ダメなんだ!!」
祭乃木「馬鹿言ってんじゃないわよ! 恵! 訳してやって!」
恵「……全力を尽くす。少年。覚悟はいいか、と言っている……」
ここのせ「日本語で言え! ちくしょう!」
[中略]
ここのせ「おらァァァァァァァァァァ、グスタフ・マックスの効果発動! 列車砲発射ァァァァァ!」
半ばヤケクソとなりながらもここのせのフィールドから列車砲が火を吹いた。
火事場の馬鹿力というべきかほとんど会話を交わす間も無く決着がついた。
社員3「oh my god!!」
LP1900→0
ビィィィとブザー音が鳴り響く。
【チームHERO 勝利】とモニターがチカチカと光った。
ここのせは、肩で息をしながら両手を膝につけた。
ここのせ「もう、頭いてぇ……。今日は帰って寝るわ……」
しかし亜美は無慈悲にもここのせの肩を掴む。
祭乃木「ダメよ、今日も勉強合宿!」
ここのせ「くそっ!」
悲しい咆哮が閑散としたフィールドに吸い込まれていった。
[童実野第二高校]
そしてテスト当日、童実野第二高校では各々が胸をドキドキと動悸させながらペンが鳴っていた。
4組教室では
良平(お、ここは合宿でやったところだ)
祭乃木(案外よゆーね!)
静かな虫の声と風の音とペンの音だけが教室に響いている。
数分後、5組教室ではここのせが恵の机に寄りかかり問題用紙を広げていた。
ここのせ「恵、さっきの数学の問4、2で合ってるか?」
恵「……そう」
さらに数分後、2組教室ではヒーロー部のメンバーが誰もいない中、問題用紙を見ながらゆきがニコニコと笑っている。
ゆき「いい点取れそうですぅ! ……はっ! 」
言ってから辺りを見渡す。
辺りの生徒は一瞬こちらを見てからまた会話を再開していた。
ゆきは顔を真っ赤にして手で顔を押さえた。
ゆき(思わず独り言言っちゃいましたぁ……////)
そして、週明けの月曜日。
全てのテスト結果が返ってきたということでヒーロー部は、自称部室に集まり紙を持ち寄っていた。
亜美はだいたい全て80点前後程、良平は90点前後。
ゆきは全てが95点オーバーと大健闘を見せていた。
ここのせは国社が100点でその他は60点前後と両極端な結果であった。
ゆき「はぁぁぁ、緊張しましたぁ……!」
祭乃木「よし! 全員基準クリアね! ここのせはちょっと危なかったけど」
良平「なんでそんな尖ってるんだよお前は」
ここのせ「うるせー。てか尖ってるってんなら恵だぜ。こいつ、まじで全部ぴったり90点なんだぜ?」
ここのせが恵を親指で指差す。
恵はと言うと相変わらずの無表情でソファに座っている。
祭乃木「どれどれ……。ホントだ……。」
良平「てか、ところどころ白紙なんだけど……?」
恵「……90点になるように問題を解答した……」
良平「な、なんでわざわざ……?」
恵「……祭乃木亜美から90点を取るようにオーダーを受けたため……」
祭乃木「いや、別に90点ぴったりにしろって意味じゃなかったんだけど……」
ゆき「す、凄いですぅ……私、テスト中、点数の調整なんてできないです……」
祭乃木「ここまでくると、ホントに堂に入ってるわね……! 」
良平「ホントに何者なんだ……?」
恵「……何度も言っている。私はデュエルロイド……」
ここのせ「なんかちょっと怖くなってきたぜ……」
祭乃木「馬鹿言ってんじゃないわよ! 恵はアタシたちヒーロー部の部員、同じ仲間よ! それ以外のことなんてどうでもいいのよ!」
恵「……!」
亜美は両手を腰に当ててそう言った。
うんとここのせや良平も頷く。
ここのせ「ま、それもそうだな」
良平「実際、恵のおかげで数学とかは捗ったわけだしね」
ゆき「恵さんが凄い人ってだけですね!」
祭乃木「アタシたちヒーロー部、最強集団じゃない!」
得意げに亜美は部員達を見回している。
そんな中、恵はポツリと反芻する。
恵「……仲間……」
ザザッとノイズが入るように自身のメモリーに記録された音声が恵の中を駆け抜けた。
ーー不動…星……貴方に未来…託された…! 貴方は…生きねばならない……! ……アポ…ア……アン…ノミー…パ…ドクス……ようやく私…ザザッ……ちらに逝ける……
恵「…………」
何故そのメモリーが脳裏に再生されたのかはわからない。
ただ何故か自分にないはずの何かが少しだけ暖まるような不思議な感覚になり、人知れず恵は胸を押さえていた。
■今回の禁止カード
・烈風の結界像
2006年8月10日発売のCYBERDARK IMPACTにて登場。
2023年1月改定を以て禁止カードに指定されました。
前回も書いてますが、しばらく登場します。
というかWSC編の間はリミットレギュレーションは2022年までしか更新されないので割とずっと2023年に禁止になったカードは出てきてしまいます。
ご了承ください……。
■次回予告
寝る前決闘空間第10話
『アカデミア最強ヴァルキリーズ、チームツンドラ!!』
地の文や台詞形式について
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今のままで良い
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台詞のみの台本形式の方が読みやすい
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小説のような形式の方が読みやすい