遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
このパートは2020年9月に執筆しております。
カードプールと禁止改定は2020年7月改定を採用しています。
毎度のことですが2023年6月現在の禁止カードが登場します。
そして今回はそれが酷く現在の禁止カードで禁止カードを呼び出す今だったら犯罪級のプレイングがでます。
時間の流れは残酷です……。
まぁサザエさんの漫画で最初の方にヒロポン(今でいう覚醒剤ですが当時は合法だった)を使うシーンが出てくるようなもんだと思ってください。
[ネオ童実野シティ 童実野デュエルスタジアム]
ツァン・ディレ
LP:1600
手札:4
魔法罠:
六武の門
カウンター2
六武衆の結束
カウンター1
真六武衆-キザン 攻:1800→2100
真六武衆-ミズホ 攻:1500
真六武衆-シナイ 攻:1600
六武衆の軍大将 攻:1000→1300 カウンター0
間宮ゆき
LP:1000
手札:3
フィールド:
無し
『チームHEROファーストプレイヤー間宮ゆき! 絶対絶命だァァァァァ! このまま敗北してしまうのかァァァァァ!?』
司会が会場を煽り、観客スタンドは湧き上がる。
デュエルアカデミア側のスタンドは鳴り物が響き渡っていた。
一方のチームHERO側スタンドにはあまり人はおらず、疎らに座っているのみ。
そこに座り祈るように手を硬く結んでいる壮年の女性。
間宮ゆきの母親であった。
ゆき母「ゆき……! 頑張って……!」
寝る前決闘空間 第13話
『彼女が手にしたもの』
【デュエルフィールド】
ゆき「はぁ……はぁ……!」
周りの歓声は聞こえない。
ただ心音と自分の呼吸、そして相手デュエリストの声だけが耳に入ってくる。
ツァン「さぁいくよ! バトル! キザン、お願い! プレイヤーにダイレクトアタック!」
ツァン・ディレが手を振り翳し、侍が八相に構えて突貫する。
その攻撃力は2100。
対し間宮ゆきの残存ライフはわずか1000。
ゆきは悲鳴のように「あっ……!」と声を漏らす。
ゆき(……こ、このままじゃ負けちゃう……! ど、どうしようどうしよう……!!)
心音がノイズに変わり思考を乱す。
整わぬ息が視線を揺らす。
ゆき(……あ、あれ……!? て、手札に何があったっけ……? あぁ……どうしよう……あ、頭が真っ白に……!!)
刹那、彼女の脳裏に黒い記憶がよぎった。
常に通知のない携帯電話の画面。
『おめぇなんかと付き合うわけねぇじゃんバーカ』
『間宮さんってなんか暗いよね』
『カードまでゴミかよ』
『しかも間宮さんか……』
責めるような。
刺すような。
視線と言葉。
胸を刺すような針のような感覚。
ゆき(……あ、あ……な、なんで、今になって……。悲しかったことが急に……)
自分の記憶。
鈍臭い自分のやるせない感情。
もしもーーーー。
ゆき(もし負けたら……)
ゆきは考えたくもない悪い想像を打ち消せずに身体を震わせた。
侍は刀を振り上げている。
【チームHERO側ベンチ】
デュエルにおいてフィールド外の者に成す術はない。
ここのせも良平も歯痒さを堪えるように歯を食い縛っていた。
ここのせ「くそっ!」
良平「くっ……!」
ゆきの震えた背中に何もしてあげられない。
亜美はいてもたってもいられずにベンチから身を乗り出して叫んだ。
祭乃木「ゆき……! ゆきぃぃぃぃぃぃ!!」
【デュエルフィールド】
声が聞こえた。
ゆきはハッとして振り返る。
ゆき「祭乃木さん……!」
彼女の声がした。
歓声の中、はっきりと。
自分を本気で心配してくれる声だった。
亜美を見たら、横で良平もここのせも恵も。
ゆきを一生懸命、応援してくれていた。
思わずゆきは呟いた。
ゆき「夢みたい……」
瞬間、モヤが晴れた。
震えが収まった。
思考はもう乱れない。
ゆきは素早くフィールドに目を戻し手札からカードを抜いた。
ゆき「直接攻撃宣言時!手札の護封剣の剣士の効果を発動です!」
《護封剣の剣士》
効果モンスター
ゆき「このカードは、直接攻撃宣言された時、場に特殊召喚できます!」
護封剣の剣士「フゥゥゥ……!」
守:2400 光 戦士族 星8
『場に光の剣士が現れたぞォオオ!? 絶対絶命に思われた状況からなんとか凌いだァァァァァ!』
ツァン「護封剣の剣士……!」
ゆき「特殊召喚された時、このカードより守備力の低いモンスターを1体、破壊できます! 真六武衆-シナイを破壊です!」
護封剣の剣士「トゥアァァァァァ!」
光を放つ剣を携え、剣士が二双棍棒を持つ侍に斬りかかった。
真六武衆-シナイ「ぐっ!?」
負けじと攻撃を受け止め、競り合い。
ばちりと火花が溢れ出る。
ツァン「墓地のもう1体の影六武衆-フウマの効果発動! 除外して破壊を免れる!」
競り合いの末、シナイは護封剣の剣士の攻撃を跳ね除けてしまった。
剣士は地面を擦りながらゆきのフィールドに舞い戻る。
そしてフィールドの侍達に睨みを聞かせた。
ツァン「……でも、攻撃力が足りないか……」
わずかに顔を顰める。
手札を見てからツァンは再びフィールドを睨んだ。
ツァン「攻撃を中止するよ!」
ーメインフェイズ2ー
ツァン「手札のキザンを特殊召喚!」
真六武衆-キザン「ふんっ」
攻:1800
門カウンター2→4
結束カウンター1→2
ツァン「門の効果で、デッキから3体目のキザンを手札に加える!」
手札3→4
門カウンター4→0
ツァン「さらに、六武衆の結束の効果発動! 墓地に送って2枚ドロー!」
手札4→6
ツァン「レベル4のキザン2体でオーバーレイ!」
☆4×☆4=★4
ツァン「無銘の兵ここにあり! エクシーズ召喚! 六武衆の影-紫炎!」
六武衆の影-紫炎「ヌゥン!」
攻:2500 地 戦士族 ランク4
門カウンター0→2
ツァン「真六武衆-キザンを特殊召喚!」
真六武衆-キザン「ふっ」
攻:1800→2100
門カウンター2→4
ツァン「再び門の効果発動! 墓地のキザンを手札に加えるよ!」
手札5→6
門カウンター4→0
ツァン「カードを1枚セットしてターンエンド!」
ーエンドフェイズー
ツァン・ディレ
LP:1600
手札:5
魔法罠:
セットカード1
六武の門
フィールド:
六武衆の影-紫炎 攻:2500
六武衆の軍大将 攻:1000
真六武衆-キザン 攻:2100
【チームHERO側ベンチ】
ここのせ「こんなのってありかよ! ターン開始時は手札2枚だったってのに!」
恵「……データ以上の展開力。先に展開されていた負けていた……」
良平「それにアドバンテージがあっという間にひっくり返された……。大丈夫か、間宮……!」
祭乃木「……ゆき、可能性を信じるのよ……!」
【デュエルフィールド】
ードローフェイズー
ゆき「…………」
ゆきは呆然と立ち尽くす。
なんとか生き残った事実に実感が追いつかない。
『圧倒的な展開によって宮田ゆま、戦意喪失かァァァァァ!? 諦めてバトンタッチするのかァァァァァ!?』
それでもライフが残っているならば。
ゆきは精一杯、フィールドを睨みつけた。
ゆき「……わたしはまだ諦めません……!ドローには可能性が詰まってるんです……! わたしのターン!!」
カードに指をかけて強く引き込む。
手札は4枚。
ゆき(……!)
ドローカードを見てゆきは目を見開いた。
このカードならば。
或いは。
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
ゆき「湖の乙女ヴィヴィアンを通常召喚!」
湖の乙女ヴィヴィアン「やぁっ!」
攻:200 光 水族 星1 チューナー
ゆきは、肩を上下させ荒れた息を飲み込んだ。
胸が一杯で息がうまくできない。
それでも。
『後ろには良平もアタシもいる! ここのせや恵だって側にいる! だから全力で楽しみなさい!』
ゆき(……祭乃木さんがくれた言葉を思い出した。それから、特訓の時に日和田さんや恵さんが沢山アドバイスをくれたこと、ここのせさんがわたしと楽しくデュエルしてくれたこと)
たとえ素人でも。
この想いは。
ゆき(……わたしはーーヒーロー部。チームHEROの一員です!)
それだけで、息が上がっても手が震えても立ち上がれる。
ゆきは手を前に振り翳した。
ゆま「……いきますよ! レベル8の護封剣の剣士に、レベル1のヴィヴィアンをチューニング!」
☆8+☆1=☆9
ゆき「ーー武勇は此処に、虹の剣は孤高の高みに! 甦れ、焔の伝説よ!」
シンクロリングが剣士を包む。
湖の乙女は唄を唄い消えていく。
やがては燃ゆる焔の剣。
ゆき「わたしに力を貸して! 焔聖騎士帝シャルル!!」
焔の剣を掴む白い騎士。
彼は肩に剣を担ぐと片手を向けた。
焔聖騎士帝-シャルル「お前らの野望、砕きにきたぞ、侍! 夢の最果てで眠れ!」
攻:3000 炎 戦士族 星9
『フィールドに新たな騎士が現れたァァァァァ! 白い鎧に炎の剣! 間宮ゆきの最後の切り札だァァァァァァァァァァ!』
ワァァッと会場が湧き上がる。
最後の反撃。
ツァンは思わず口を開けた。
ツァン「攻撃力3000! まだそんな力が残ってたなんて……!」
ゆき「墓地のオジエの効果発動です! このカードをシャルルに装備!」
《焔聖騎士-オジエ》
効果モンスター
半透明の家臣がシャルルの背後に回り込む。
力を得たシャルルは焔の剣を肩口に構えた。
ゆき「シャルルは、1ターンに1度、フィールドのモンスターに装備カードが装備されたとき、フィールドのカードを選んで破壊します! 六武の門を破壊!」
構えた剣を振り抜き斬撃がカードを貫いた。
六武を支える門が砕け散り、ツァンはくっと唇を噛んだ。
ゆき「さらに、墓地のオリヴィエの効果発動! シャルルに装備!」
《焔聖騎士-オリヴィエ》
効果モンスター
『再び立ち塞がる騎士の猛攻!! これにより間宮ゆきの切り札、焔聖騎士帝-シャルルは、効果耐性と破壊耐性を手にしたァァァァァ!』
ゆき「バトル!」
ーバトルフェイズー
ゆき「シャルルで、六武衆の軍大将に攻撃! 」
指令と共に焔聖騎士帝が飛び出す。
剣に焔を乗せて。
ツァン「やらせないよ……! トラップ発動! 和睦の使者!」
《和睦の使者》
通常罠
ツァン「このターン、ボクのモンスターは破壊されず戦闘ダメージも0になる!」
突如として現れた罠カードに焔聖騎士はタタラを踏んだ。
攻撃は通らず、剣を収めてバックステップでフィールドに舞い戻る。
『防いだァァ!! チームツンドラ、敗北の危機を回避!! 素晴らしいディフェンス!! これがデュエルアカデミアだァァ!!』
ゆき「メインフェイズ2へ移行です!」
ーメインフェイズ2ー
ゆきは理解していた。
この攻撃では倒せないと。
なぜ?
わからない。
わからないがカードがそう言ったように感じたから。
しかしゆきは諦めずにカードを2枚ディスクに差し込んだ。
ゆき「カードを2枚セットし、エンドフェイズへ!」
ーエンドフェイズー
ゆき「エンドフェイズ時に、シャルルの効果発動です! 墓地の聖剣を装備できます! 『焔聖剣-デュランダル』を装備! これでターンエンドです!』
間宮ゆき
LP:1000
手札:1
伏せ:2
魔法罠:
『焔聖剣-デュランダル』
焔聖騎士-オジエ
焔聖騎士-オリヴィエ
フィールド:
焔聖騎士帝-シャルル
ードローフェイズー
ツァン「……こんな苦戦するなんて……! ボクのターン!」
手札5→6
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
ツァン「でもこっちは手札は潤沢にある! いくらでも巻き返してあげるよ! 真六武衆-キザンを特殊召喚!」
真六武衆-キザン「はあっ!」
攻:1800 地 戦士族 星4
ツァン「来て! 影の六武!」
ツァンは宣言し手を翳した。
するとフィールドには紫と青の渦が巻き起こる。
『おぉぉっとツァン・ディレのフィールドに、突如渦が現れたぞォオオ!? これは融合演出だァァァァァ!』
ツァン「キザンと軍大将と紫炎の3体で融合召喚! 影より蔓延る敵を討て! 影六武衆-リハン!」
影六武衆-リハン「…………」
攻:2400 光 戦士族 星5
ツァン「リハンの効果発動! 手札を1枚墓地に送って、フィールドの表側表示のカードを1枚除外するよ! 対象は、装備状態の焔聖騎士-オリヴィエ!」
手札3→2
緑と黒の忍者は不意に取り出したクナイを投げつける。
それはシャルルの臣下一名を貫いた。
ツァン「これによってシャルルの対象を取れない耐性が無くなった! さらに、六武衆-イロウを召喚!」
六武衆-イロウ「はっ!」
攻:1700 闇 戦士族 星4
ツァン「まだまだ! 六武衆の師範も特殊召喚! 師範もフィールドに六武衆がいるとき特殊召喚できる!」
六武衆の師範「はぁっ!」
攻:2100 地 戦士族 星5
ツァン「いくぞぉ! レベル4のキザンとイロウでオーバーレイ!」
☆4×☆4=★4
ツァン「エクシーズ召喚! 鳥銃士カステル!」
鳥銃士カステル「ガァァァ!」
攻:2000 風 鳥獣族 ランク4
ツァン「カステルの効果発動! 素材を2つ取り除いて、フィールドのカードをデッキに戻す! シャルルには消えてもらうよ!」
【チームHERO側ベンチ】
ここのせ「これが通ったら負けるぞ……!」
良平「間宮……!」
【デュエルフィールド】
カステルが銃を乱射する。
凶弾は焔聖騎士に向かい身体を貫いていく。
焔聖騎士帝-シャルル「ぐっ……!」
やがて硝煙に着火したかのように爆発が起こる。
粉塵がさらに巻き上がりフィールドを包む。
ツァン「どうだ!?」
ゆき「……っ!」
晴れたフィールドに騎士の姿はなく、あとには何も残ってはいなかった。
『あァァァァァと! なす術なく切り札の白炎の騎士が破れ去ったァァァァァ! 』
ツァン「これで、トドメだ! バトル!」
ーバトルフェイズー
ツァン「影六武衆-リハンでダイレクトアタック!」
勝負あったと誰もが思う。
騎士のいなくなったフィールドに六武衆が突貫する。
『後ろには良平もアタシもいる。ここのせや恵だって側にいる!』
しかし。
ゆきはそこに希望を見出した。
ゆき「……わたしは一人じゃありません……!みんなと一緒にここにいます……! 絶対にバトンは落とさせません! トラップ発動!」
《ブービートラップE》
通常罠
ゆき「このカードは、手札を1枚墓地に送って発動でき、手札の永続罠カードを場にセットする効果があります!」
ツァン「……っ! そんなのただの脅かしだよ! この攻撃は止まらない!」
ゆき「いいえ、止めてみせます! わたしははさらに続けて、罠カードを使います! ……わたしの! 本当の最後の切り札です!! 約束の地ーアヴァロンー!」
《約束の地ーアヴァロンー》
通常罠
chain1 ブービートラップE
chain2 約束の地ーアヴァロンー
ツァン「あ、アヴァロン……!?」
ゆき「約束の地ーアヴァロンーは、墓地のアルトリウスモンスターとランスロットモンスターを含めた5枚の聖騎士を墓地から除外することで発動できます。墓地の神聖騎士王アルトリウス、魔聖騎士皇ランスロット、聖騎士イヴァン、神聖騎士王コルネウス、聖騎士-モルドレットの5枚を除外して、効果発動!」
ゆきの上から剣が落ちてくる。
くるりくるりと落ちてくる。
それは数多の戦いを観た聖剣。
その柄をゆきは掴んだ。
ゆき「その効果は、フィールドのカードを全て破壊します!」
ツァン「……なっ!!?」
【チームツンドラ側ベンチ】
雪乃「なんですって……!?」
神川「what's!?」
麗華「……ツァンさんが……!」
唯信「あんな小娘ニ……!」
【デュエルフィールド】
胸の奥から湧き出る調べ。
口をつくは旋律の様な詩。
ゆき「白亜の城は、夢想の霊験。亡骸は遠き島で夢を見る……その地の名は……! ーーーアヴァロン!」
フィールドを睨みゆきは聖剣をフィールドに突き刺した。
その刹那、まるで星が砕けたかのような輝きと共に痛烈な爆発が炸裂する。
爆風は全てを飲み込んでいく。
影六武衆-リハンも。
鳥銃士カステルも。
六武衆の師範も。
全てはガラスのように砕け散った。
余波がツァンの服と髪を靡かせた。
ツァン「……ぐぅ……こ、こんなことって……!」
『ななななんとォオオォオオ! 間宮ゆきの発動したトラップカードにより、フィールドはまっさらになってしまったァァァァァァァァァァ!!?』
ゆき「……ブービートラップEの効果で、手札の永続罠カードを一枚セットします!」
効果処理としてカードを1枚フィールドにセットする。
ただ一つフィールドに残ったカードである。
ツァン「くっ……! 六武衆の師範が破壊された場合、墓地の六武を回収するよ……! キザンを手札に戻す!」
手札0→1
しかしツァンはたった一枚だけ残った手札を見て歯を食い縛る。
召喚権はすでに消費しており、他に手段はない。
ツァン「展開手段が……くぅぅ……ターン、エンド……!」
ーエンドフェイズー
ツァン・ディレ
LP:1600
手札:1
伏せ:
フィールド:
なし
【チームHERO側ベンチ】
フィールドはまさに拮抗。
亜美はさらに身を乗り出した。
祭乃木「すごい……! すごいわゆき!! 」
ここのせ「よっしゃぁ! これでモンスターを引ければ間宮の勝ちだぜ!」
絶好のチャンス。
無名の高校生が。
否、実戦経験のなかった間宮ゆきが。
あのデュエルアカデミアから一勝をもぎ取るかもしれない状況。
しかし。
良平「……いや」
恵「……」
【デュエルフィールド】
ゆき「……」
ゆきは動かない。
ただ立ち尽くしている。
『間宮ゆきのターンだが、動かないぞォオオ!? どうした間宮ゆきィィィ!?』
やがてゆきはゆっくりと振り返り
ゆき「日和田さん!!!!」
と叫んだ。
【チームHERO側ベンチ】
良平「!!」
ここのせ「間宮のやつ、ここでバトンタッチするのか!」
恵「……相手の阻害がないタイミング。悪くない判断……」
祭乃木「よーし、良平! 男と腕の見せ所よ! 頼んだわよ!!」
亜美は良平の背中をばしりと叩く。
良平は背中にじんとしたものを感じながらベンチを飛び出した。
良平「行ってくる!」
【デュエルフィールド】
『なんとなんとォオオ! チームHEROはここで、そのタスキをセカンドプレイヤーに繋ぐ選択をするようだァァァァァ!』
ツァン「……うっ、やられた……!」
ツァンは唇を噛み締めてこちらを睨む。
フィールドに良平が向かいゆきの元に立つ
良平「間宮!」
ゆき「…………」
良平「!」
ゆきは口をギュッと結んでこっちを見た。目は大きく見開いていて、水が今にも溢れそうだった。
良平は言葉を失ったように口をぽかんと開ける。
ゆき「……あとはお願いします……!」
絞り出すように言うとゆきは腕から外したデュエルディスクを差し出す。
呆気に取られていた良平は、しかし、顔を引き締めてそれを受け取った。
良平「うん、任せてくれ!」
ゆき「日和田さん!」
良平「ん?」
ゆき「手を挙げてください!!」
良平「へ?」
急なことに良平は意図も理解せずにディスクをしていない右手を上げた。
ゆき「えい!!」
そこにゆきは力一杯、自身の右手のひらをぶつける。
パァァンッと乾いた音がした。
良平「痛ぇっ!?」
ゆき「バトンタッチです!! では、あとは頼みます!!」
それだけ言うとゆきは踵を返してベンチに向かって走っていった。
パラパラと拍手が聞こえた気がした。
【観客席】
スタンドでみていたゆきの母はようやく息ができたように大きく息を吐き、背もたれに半ば脱力するようにもたれた。
そしてつぶやいた。
ゆき母「……頑張ったわね、ゆき。貴女は、すごく大切なものを手に入れたのね」
【チームHERO側ベンチ】
ゆきは小走りで戻ってきた。
顔は伏せたまま。
祭乃木「ゆき!! おかえり!! ナイスプレイだったわよ!! さっすがヒーロー部の副部長ね!」
出迎えに一番に亜美が言う。
手は親指を立てているのが見えた。
後ろには恵とここのせも出迎えていた。
恵「……お疲れ様……」
ここのせ「見直したぜ間宮! めちゃくちゃかっこよかったぜ!」
ゆきは答えようと努力した。
しかし。
みんなが笑顔を向けてくれる。
それを見た時、色々な感情が湧き出して胸が詰まってしかたなかった。
ゆき「……〜〜〜〜!!!」
口を結んで目を見開く。
目や鼻の奥がつんと熱くなっていく。
しかし。
ゆきはゆきの顔を両手でバシリと顔を叩いた。
あまりの強さに亜美は「え!?」と声を上げた。
ゆき「デュエルはまだ終わってません! さぁ! 日和田さんの応援をしましょう!!」
堪えるようなゆきの顔を見て、亜美は強く頷いた。
祭乃木「……そうね! っしゃぁ、行けぇ、良平ーー!!」
【デュエルフィールド】
ードローフェイズー
『チームHEROは、セカンドプレイヤー、日和田良平にバトンを繋いだァァァァァ! これにより、日和田良平からデュエル再開となるぞォオオ!』
良平(宮田が必死で整えてくれたフィールドだ。ここで展開できなきゃ流石に言い訳できないぞ)
良平は決闘盤にデッキをセットした。
フィールドにはたった一枚。
ゆきが必死に繋いだカード。
ツァン「あ、アンタ……! ボクに水かけたこと、忘れてないからね!」
良平「あの時は悪かったけど、だからって容赦はしない!いくぞ! 俺のターン!」
手札5→6
良平「幻獣機テザーウルフを召喚!」
幻獣機テザーウルフ「ガルルルゥゥゥ!」
攻:1700 風 機械族 星4
良平「テザーウルフは召喚に成功した場合、場に幻獣機トークンを生成する!」
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
良平「さらに手札から緊急テレポートを発動!」
《緊急テレポート》
速攻魔法
良平「デッキからレベル3以下のサイキック族、幽鬼うさぎを特殊召喚する!」
幽鬼うさぎ「うさうさうらめしや〜」
守:1800 光 サイキック族 星3 チューナー
良平「幽鬼うさぎと幻獣機トークンをリンクマーカーにセット! 召喚条件はチューナーを含むモンスター2体!」
↙︎モンスター+↘︎機械族=LINK2
良平「水晶機巧-ハリファイバーをリンク召喚!」
水晶機巧-ハリファイバー「ブゥン」
攻:1500 水 機械族 LINK2 EXゾーン
良平「ハリファイバーはリンク召喚時に、デッキからレベル3以下のチューナーを呼び寄せる! この効果でデッキから幻獣機オライオンを特殊召喚!」
幻獣機オライオン「ラーイ!」
守:1000 風 機械族 星2 チューナー
良平「さらにオライオンとハリファイバーをリンクマーカーにセット! 召喚条件は機械族モンスター2体以上!」
←↓機械族LINK2+↘︎機械族=LINK3
カァァァッ
良平「ーー煌めけ、極光の翼! 回せぇ! 幻獣機アウローラドン!」
幻獣機アウローラドン「 sortie!」
攻:2100 風 機械族 LINK3 EXゾーン
良平「アウローラドンの効果発動! フィールドに3機、幻獣機トークンを作り出す!」
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
良平「さらに墓地に送られたオライオンは、フィールドに幻獣機トークンを作り出す!」
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
『なんだァァァァァ!? セカンドプレイヤー日和田良平は、正体不明のトークンを大量に並べたぞォオオ!?』
良平「アウローラドンの効果発動! トークン2体をリリースして、デッキから幻獣機を特殊召喚する! こい、幻獣機メガラプター!」
幻獣機メガラプター「a1 takeoff」
攻:1900 風 機械族 星4→10
幻獣機テザーウルフ
星4→10
良平「メガラプターはフィールドのトークンをリリースすることで、デッキから幻獣機をサーチすることができる! 俺はもう1体の幻獣機テザーウルフを手札に加える!」
手札4→5
幻獣機メガラプター
星10→7
幻獣機テザーウルフ
星10→7
ツァン「う、うぐぐ……」
いい様に展開される状況にツァンは唸る。
『セカンドプレイヤー日和田良平の操る幻獣機は、変幻自在! 目まぐるしくレベルが変わっていくゥゥゥ!!』
良平「レベル7となったメガラプターとテザーウルフでオーバーレイ!」
☆7×☆7=★7
良平「ーー飛翔せよ、兵器を秘めた黒き翼! 回せぇ! RR-アーセナルファルコンをエクシーズ召喚!」
RR-アーセナルファルコン「ガァァァァァァァァァ!」
攻:2500 闇 鳥獣族 ランク7
『フィールドに漆黒の怪鳥が現れたぞォオオ!?』
良平「アーセナルファルコンの効果発動! 素材を1枚使って、デッキからレベル4の鳥獣族を特殊召喚できる! 烈風の結界像を特殊召喚!」
烈風の結界像「……」
守:1000 風 鳥獣族 星4
ツァン「え!? 烈風の結界像!?」
良平「烈風の結界像がいるかぎり、風属性以外は特殊召喚できない! いくぞ、バトル!」
ーバトルフェイズー
ツァン「くっ……! 好き勝ってやっちゃってさ……!」
良平「アウローラドンでダイレクトアタック!」
幻獣機アウローラドン「fox2!」
巨大な軍用機が阻むものがないフィールドを翔け機関砲を放った。
それは外れることなくプレイヤーのライフを削り切ってしまった。
ツァン「くぅぅ……!!」
LP1600→0
『チームツンドラのファーストプレイヤー、ツァン・ディレがここで力尽きたァァァァァ! チームツンドラもセカンドプレイヤーにバトンタッチだァァァァァ!』
ツァン「……あー! 悔しい……! あんな冴えない奴にやられるなんて!」
ツァンは両手を膝について顔を歪ませた。
その後ろからゆっくりと黒髪ロングの少女ーー金 唯信が現れた。
唯信「……ツァン」
ツァン「……ごめん、金さん、あとお願い!」
唯信「一瞬で捻り潰してやル」
引き継ぐカードはなく、唯信は自身の決闘盤を起動させた。
【チームツンドラ側ベンチ】
俯き加減にベンチに戻ってきたツァンは弱々しく呟く。
ツァン「うぅ……ごめん、みんな……」
しかしメンバーはゆるりと首を振った。
神川「No problem! nice fightだったワ!」
雪乃「はい、ミルクティーよ。眉間にシワが寄ってたら可愛くないわよ」
麗華「反省点はありますが、後にしましょう」
それから視線を再びフィールドに戻す。
【デュエルフィールド】
黒髪を靡かせるの姿を良平は睨む。
胸の内側の血が沸騰するようにそのデッキ名が口をつく。
良平「……来たか、サイバー流……!」
唯信「貴様のオンボロ機など、サイバーの前ではゴミクズ同然だと教えてやル!」
『大会ルールでは、バトルフェイズでバトンタッチした場合は、以降のバトルは不可能となる!よって日和田良平のメインフェイズ2から再開だァァァァァ!』
ーメインフェイズ2ー
良平「カードを1枚セットしてターンエンドだ! さぁ、こい! サイバー流!」
LP:4000
手札:4
伏せ:2
フィールド:
幻獣機アウローラドン
R R-アーセナルファルコン
烈風の結界像
幻獣機トークン
唯信「吠えたナ! いくゾ、私のターン!!」
唯信は目を見開き強くカードを引き込んだ。
その身体から溢れる闘志と殺気を隠そうともせず。
良平は一挙手をも見逃さなぬよう射抜く様な視線をぶつけていた。
◾️今回の禁止カード
・水晶機巧-ハリファイバー
・烈風の結界像
2022年、2023年とで怒涛の規制をもらい、幻獣機がとばっちりで弱体化したためデッキ構築を改めたのは良い思い出。
◾️次回は後編ですが、タイトルは形骸化しています。
地の文や台詞形式について
-
今のままで良い
-
台詞のみの台本形式の方が読みやすい
-
小説のような形式の方が読みやすい