遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
[童実野二高 校門]
放課後、続々と制服を着た高校生たちが下校していく中、その波に逆らうように私服の小学生が走ってくる。
ヒーロー部の面々は校門の横で並んで待ち受けていた。
祭乃木「来たわね!」
つかさ「あぁ!」
ケイジ「きたぞー」
こかげ「こんにちは」
祭乃木「はい、こんにちは! じゃあ、早速、つかさ育成作戦を開始するわよ!」
亜美の号令で一行は近所の公園まで移動する。
夏の盛りに近づき蝉の声がシャワーのように降り注ぎ、日光はさんさんと照っていた。
公園の東屋で日差しを遮りながらヒーロー部と小学生の8人はカードを囲む。
ゆき「わたし、そんなに沢山カードを持っていませんけど、いくつか使えそうなカードを持ってきましたよ!」
恵「……アドバイスなら任せて……」
良平「俺も作りやすそうなデッキを色々考えておいたよ」
ここのせ「まぁ、まずはお前らのカードプールから見ていこうぜ」
つかさ「おれのはこれだよ」
横長のストレージケースとデッキケースを並べて差し出すつかさ。
良平と亜美とここのせがそれぞれ束にしてカードを流し見る。
良平「うーん……」
祭乃木「見事にバラバラね」
ここのせ「……我が身を見るようだぜ」
集まっているカードは統一性のかけらもなく主要なデッキパーツもない。
一枚一枚は弱いカードではないのだが単体では機能しずらいカードばかりであった。
つかさ「やっぱ、おれのカードじゃダメか……」
がっくりとうなだれるつかさに恵は相変わらずの無表情を向ける。
恵「……テーマカードも散見されるが、通常モンスターカードの割合が多い……」
ケイジ「おれもなー、カード持ってきたぞー」
今度はケイジが両手に抱えたケースやファイルを差し出した。
何気なく手にとってその重さにゆきは驚いた。
ゆき「わっ、いっぱい持ってますね……! それに綺麗にファイルに入ってますぅ……!」
つかさ「ケイジは、カードを集めるのが好きなんだ」
ケイジ「カードだけじゃないぞー。綺麗な石も好きー」
ゆき「コレクターなんですねぇ」
ニコニコとゆきが笑うとケイジはむふーと満足そうに口角をあげた。
良平はそのファイルを指さす。
良平「ちょっと見ていいかな?」
ケイジ「いいぞー」
良平「……」
ページをめくる良平。
その横顔をこかげは凝視する。
こかげ(凄い真剣な顔……。でもどこか楽しそう……)
良平「あっ……。このカードは使っていいの?」
ケイジ「いいぞー」
良平「……祭乃木、融合余ってない?」
祭乃木「融合? 余ってるけど……」
良平「何枚か使っていい?」
祭乃木「いいわよ。はい」
亜美はデッキケースからカードを一枚取り出す。
差し出された融合のカードを覗き込んでゆきは小首をかしげた。
ゆき「融合のデッキですかぁ?」
良平「融合、というか、とにかく戦えるように切り札を出せるようにしたいんだ。……うーん、あ、このカードも使えるな……。これも使っていいのかな?」
ピンク色のかわいらしい箱の中から良平は一枚のカードを見つけ出す。
天威の龍拳聖と書かれたカードでこかげが持ってきたカードであった。
こかげ「あ、はい……! 使ってください」
ここのせ「天威か。こかげは、真竜だけじゃなくて、幻竜族のカードがよく当たるみたいだな」
こかげ「はい……。でも、私は使えないから、使えるなら使ってあげてほしいです」
良平「じゃあ、このカードを使って……」
カードを束の中に差し込んで良平は再び全体を吟味する。
恵もその後ろから見上げていた。
恵「……その構築だと、展開力が気になる……」
良平「……でもカードプール的にこれ以上はちょっとな……。よし、とりあえず形にはなったはずだ。つかさ、使ってみてくれ」
軽く膝を曲げて良平はつかさに向けてカードの束ーー否、デッキを差し出す。
つかさ「え!? で、できたのか!?」
良平「まだ試作。けど、デッキにはなってるはずだよ」
つかさ「ほ、ほんと!? でも使えるかな……」
デッキを受け取り、顔の前まで寄せる。
後ろから恵と良平が声をかけた。
恵「……ある程度はサポートする……」
良平「そうだね、俺も横からアドバイスするよ」
その言葉につかさはパッと明るくなった。
ここのせ「よし、まずはやってみろよ! 相手になってやるぜ!」
つかさ「よーし!」
恵「……これを……」
恵は両手で持ち上げた白く大きな決闘盤をつかさに渡す。
両手に抱えたつかさは目を輝かせて声を上げた。
つかさ「あ! これ大会で使ってたやつじゃん! いいのか!?」
祭乃木「壊すんじゃないわよー?」
ここのせ「さぁ、やるぜ、つかさ! 」
自前の小型決闘盤を展開し、ここのせはデッキからカードを5枚引いた。
つかさ「お、おう!」
少し手間取りながらつかさは決闘盤を構え、新しいデッキをセットする。
ここのせ「デュエル!」
LP4000
つかさ「デュエル!」
LP4000
ディスクのモニターが明滅し、先攻後攻が表示される。
ここのせ「オレの先攻だな。よし、オレのターン!」
手札5
ーメインフェイズー
ここのせ「……ここは……。閃刀姫-レイを召喚!」
閃刀姫-レイ「出撃します!」
攻:1500 闇 戦士族 星4
ここのせ「レイ1体をリンクマーカーにセット! 召喚条件は、水属性以外の閃刀モンスター1体!」
↗︎闇属性閃刀姫=LINK1
ここのせ「リンク召喚! 閃刀姫-シズク!」
閃刀姫-シズク「エンゲージ!」
攻:1500 水 機械族 LINK1 EXゾーン
ここのせ「カードを1枚セット!」
ーエンドフェイズー
ここのせ「エンドフェイズ時、シズクの効果発動! 墓地にない閃刀魔法をサーチするぜ! この効果で、閃刀起動-エンゲージ-を手札に加えて、ターンエンドだ!」
能瀬心
LP:4000
手札:4
伏せ:1
フィールド:
閃刀姫-シズク
ードローフェイズー
つかさ「おれのターン! ドロー!」
手札5→6
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
新しいデッキのカードを覗き込み、つかさは目を見開く。
そして後方に立つ良平に振り向いた。
つかさ「な、なんだこれ……。バニラばっかりじゃないか!」
するとゆきは首をかしげて言葉を返す。
ゆき「バニラ? アイス……?」
祭乃木「バニラってのは通常モンスターのことよ」
ゆき「そうなんですね! どうしてバニラなんですか?」
祭乃木「色が似てるからじゃない?」
なるほど、とゆきが呟く。
尻目に良平がつかさを見て声を出した。
良平「そう、つかさのデッキはバニラが大量に入ってる。けど、バニラにはサポートカードも多いんだ。 えっと手札は……っと、なるほど……よし、つかさ! まずはこれを召喚してみよう」
手札を見て、良平は1枚のカードを指差した。
つかさ「わかった。レスキュー・ラビットを召喚!」
レスキュー・ラビット「うさうさ」
攻:300 地 獣族 星4
ゆき「可愛いですねぇ」
恵「……レスキュー・ラビットは、除外することでデッキから同名の通常モンスターを2体特殊召喚できる……」
つかさ「効果発動! レスキュー・ラビットを除外してアレキサンドライドラゴンを2体特殊召喚!」
アレキサンドライドラゴン「ガァァァッ!」
攻:2000 光 ドラゴン族 星4
アレキサンドライドラゴン「ガァァァッ!」
攻:2000 光 ドラゴン族 星4
レスキュー・ラビットが地面に穴を掘り潜っていく。
やがて、地鳴が響き2体のドラゴンが地面を突き破り現れた。
まるで宝石のように美しい。
ケイジはそれらを指差して声を上げた。
ケイジ「おー! おれのカードだー!」
ゆき「攻撃力2000! ここのせさんのモンスターを倒せますね!」
ーバトルフェイズー
つかさ「よぉし、バトルだ! アレキサンドライドラゴンで攻撃!」
アレキサンドライドラゴン「ゴガァァァァァァッ!!」
攻:2000
口にエネルギーを溜め込み一気に吐き出す。
光の奔流がシズクを飲み込んだ。
閃刀姫-シズク「あぁぁっ!?」
攻:1500
ここのせ「ぐぉ……」
LP4000→3500
つかさ「よし! 追撃だ!」
ここのせ「待ちな! 墓地のレイの効果発動! フィールドの閃刀姫リンクモンスターが相手の効果または戦闘で破壊された場合、こいつは特殊召喚できる! 戻ってこい! レイ!」
閃刀姫-レイ「たぁっ!」
守:1500 闇 戦士族 星4
つかさ「いけ! アレキサンドライドラゴン!」
アレキサンドライドラゴン「ガァァァッ!」
攻:2000
もう一体のアレキサンドライドラゴンがエネルギーを放出し、閃刀姫レイを撃墜させた。
閃刀姫-レイ「きゃあっ!」
悲鳴をあげてレイは破壊される。
余波が衝撃波となりここのせの髪を揺らす。
ここのせ「……やるじゃねぇか」
ーメインフェイズ2ー
つかさ「メインフェイズ2! ……えーっと……」
再びつかさは手札に目を落とす。
様々なカードがあり目がうつろう。
後ろから恵の声。
恵「……レスキュー・ラビットで特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される……」
つかさ「じゃ、じゃあ! 手札から融合を発動!」
《融合》
通常魔法
つかさ「アレキサンドライドラゴン2体を融合!」
2体の宝石の龍が紫の渦に飲み込まれていく。
渦の中、やがて2体は一つとなり新たな竜へと姿を変える。
つかさ「融合召喚! 始祖竜ワイアーム!!」
始祖竜ワイアーム「カァァァァッ!!」
攻:2700 闇 ドラゴン族 星9
ここのせ「ワイアーム!? アイツは……!?」
良平「ワイアームは効果モンスターとの戦闘では破壊されないし、効果を受けない! ここのせのデッキには、ちょっときついぞ」
つかさ「さらに! 手札から永続魔法、凡骨の意地を発動!」
《凡骨の意地》
永続魔法
つかさ「これでターンエンドだ!」
ーエンドフェイズー
つかさ
LP:4000
手札:3
魔法罠:
凡骨の意地
フィールド:
始祖竜ワイアーム
祭乃木「なるほどね! 凡骨の意地で手札を補充しながら展開していくってわけね!」
良平「そういうこと」
ここのせ「へぇ、面白いじゃねぇか! ちょっとは遊べそうだな! いくぜ! オレのターン!」
…………
……
…
やがてデュエルは進み、フィールドにはここのせのカードを残すのみとなっていた。
ここのせ「弩級戦艦ドレッドノイドでダイレクトアタック!」
弩級戦艦の艦砲射撃が炸裂し、徹甲弾が放物線を描く。
やがてつかさの足元に着弾。
ライフを削りとった。
つかさ「くぅぅぅ……!」
LP1100→0
ビィッとブザー音が鳴り、つかさのモニターにはloseの文字。
ここのせ「まだまだこんなもんじゃ、倒されてやれねぇぜ!」
つかさ「くっそー!」
ゆき「でも惜しかったですよ! ここのせさんのライフを半分近く削りましたから!」
祭乃木「そうね。今組んだデッキにしちゃ、よく回った方ね」
つかさ「うん、おれ、こんなちゃんと戦えたのは初めてだ!」
良平「もうちょっと、デッキの回転を上げたいな。それに凡骨の意地を守るカードがほしいか」
ここのせ「バニラばっかりでも意外と火力が出るもんだな」
恵「……エクストラデッキのカード次第では更なる攻撃力を見込める……」
つかさ「おー!! なんかやれる気がしてきたぜ!」
ケイジ「やる気だなー」
たしかな手ごたえにつかさワクワクとした顔を浮かべる。
そこに敗北の不快感はない。
こかげは思わずつぶやいた。
こかげ「……負けても……笑えてる……」
それは誰の耳にも届かず、蝉の声とともに夏の空へと消えていく。
ゆきはデッキケースからカードを取り出し、つかさに差し出した。
ゆき「通常モンスターのカードでしたら、このカードが使えるかもしれません! 使ってください!」
祭乃木「お、予想GUY! デッキの中からバニラを特殊召喚できるカードね! デッキを回しやすくなるわ!」
つかさ「ありがとう、ゆき姉ちゃん!」
良平「あとは、デッキに慣れなきゃね。ここのせ、もう一回……」
と良平が言いかけたところで、良平のズボンのポケットからけたたましい音が鳴り響いた。
祭乃木「良平、携帯鳴ってるわよ」
良平「あぁ、アラームだ。……しまった、今日、シフトだった」
祭乃木「あれ、今日も?」
良平「WSCで何回か休んでたからね、その分やらなきゃいけなくてさ。……ごめん、俺、いくわ!」
椅子に置いたスクールバックを手に慌ただしく走っていく。
ここのせ「おーう」
つかさ「ありがとう! ここのせは倒しておくよ!」
ここのせ「中ボスみたいに言うな!」
良平「あぁ! じゃあ、また!」
振り返ってから片手を上げ、再び踵を返して小走りで公園を出て行った。
つかさ「さぁ! ここのせ! もう一回だ!」
ここのせ「へっ、カードが1枚変わったくらいじゃ、オレは倒せないぜ!」
二人は再びディスクを展開し、カードを引く。
そんな二人をこかげはボーっと眺めていた。
こかげ「…………」
ケイジ「あー、こかげー、塾いかなくていーのかー?」
こかげ「……え? あっ! 大変!!」
つかさ「あ、忘れてた……。たしかに、結構時間やばいんじゃないか?」
こかげ「急がなきゃ……! わたし、帰るね!」
はっとしてこかげは慌てて公園を出ていく。
ケイジ「行ってらっしゃーい!」
ここのせ「なんだか慌ただしいな」
つかさ「まぁいいじゃん! やろう!」
つかさ楽しみを隠せない様子でここのせを急かす。
そして待ち切れぬ顔でカードを引いた。
夕方。
ネオ童実野シティの駅前のビルの2階にある学習塾では、小学生たちが数名座っていて、前に立つ講師がホワイトボードに数式を書き込んでいる。
講師「〜ここが〜〜〜」
こかげ「…………」
前から2番目に座るこかげは、ホワイトボードを呆然と眺めながら別のことを考えていた。
こかげ(つかちゃん、楽しそうにデュエルしてたな……。わたしも、つかちゃんとデュエルできたら……)
そう願っているのは確かだ。
しかしこかげの記憶が、それを否定する。
デュエルをした相手の声が今も脳裏に焼き付いている。
『勝てないよー!』
『ねぇもうそれ使うのやめて! ずるいよ』
『……今ワザと負けたでしょ……!! 馬鹿にして……!!』
自分のデュエルは、人を不快にする。
だからデュエルは苦手だ。
こかげ「…………」
講師「〜〜これを……聞いてるか?」
こかげ「はっ……! す、すみません……」
慌てて鉛筆を持ち直し、こかげは頭を振ってノートを取った。
気持ちに蓋をして考えないようにしながら。
夜。
西の空にまだ太陽の名残が残っている時間。
ネオ童実野シティの郊外に位置するカフェlikeから一人の客が出ていく。
カランカランとドアについたベルが鳴り、パタリと入口か閉まった。
バイト着である茶色のエプロンを制服の上からすっぽりとつけている良平は、誰も居なくなった店内を見渡して一息ついた。
良平「……ふぅ。今日はまぁまぁ人がきたな……」
「良くん」とキッチンから母の声がする。
振り向くと姿は見えないが奥でゴソゴソする音が聞こえた。
良平の母「ケーキセットのモンブランなくなっちゃったから、看板に売り切れシール貼ってきてくれる?」
良平「はーい」
外に出て入り口横に置いている看板の前にしゃがみ込む。
メニューの一覧が書かれたそれに売り切れと書かれたシールを貼っていく。
良平「モンブランは、売り切れましたよーっと」
そんな彼の後ろをとぼとぼと力なく歩く小さな人影。
良平「ん?」
振り向くとちょうど目の前に人影の正体がいた。
小学生の女の子で塾のカバンを背負っている。
こかげ「あっ……」
良平「えっと……こかげ、だよね? 一人なの?」
こかげ「は、はい……、塾だったので……」
良平「そうなんだ。じゃあ二回目のデュエルは見てない……の…か……って」
一度視線を外して再びこかげを見るとこかげは俯いていた。
肩を震わせて頬には雫がポロポロと溢れている。
こかげ「……っ」
良平は慌てて腰を折ってこかげに声をかけた。
良平「えっ、ご、ごめん! 急に話しかけたからびっくりしたよな……!?」
こかげ「ちがっ……うぅ……」
良平「ちょっ……」
こかげは手で顔を覆ってしまう。
どうしたらいいかと思案していると後ろからカランカランとベルの音。
良平の母「良くん、ちょっとどうした……の……」
良平「いや……ちょっ……」
そこには涙を流すいたいけな小学生の女の子。
目の前には息子が慌てている。
良平の母「……私の育て方が……よくなかったのかしら……。……良くんが……幼い子を……!」
良平「ち、違う! 冤罪だ!」
[カフェlikeの中]
他の客はもういないカフェlikeのテーブル席に、こかげはちょこんと座らされれていた。
さすがにもう引っ込んだ涙の跡がすこしだけひりひりとする。
こかげ「……」
良平の母「はい、これどうぞ」
こかげ「え……これは……?」
良平の母「ミルクココアとアイスクリームよ〜? ウチの人気メニューなの」
こかげ「で、でもわたし、お金持ってない……」
良平の母「ハッピーアイスクリーム! ……はい、言ってみて」
こかげ「え? は、はっぴー、あいすくりーむ……?」
良平の母「はい! これでアイスは無料になりました〜」
良平「ウチの喫茶店の期間限定の合言葉なんだ。ドリンク一杯と合言葉でアイスが無料でつくんだよ」
こかげ「そ、そうなんですか……。 でもココアは……」
良平の母「ココアは良くんが奢ってくれるわよね?」
良平「あとでレジにいれとくよ……」
良平の母「冗談よ〜。……それより良かったわ〜、良くんが非行に走ってなくて」
こかげ「ごめんなさい……、誤解させてしまって……」
良平の母「いいのよ、気にしないで〜。良くんが小さい子たちの面倒をちゃんとみてあげられる良い子で安心しました。……じゃあ母さんは、奥でお皿を洗ってくるから、良くん、後お願いね〜」
小さく手を振って良平の母はキッチンへと消えていく。
手持ち無沙汰になった良平はとりあえずこかげの前の椅子に座った。
良平「……えっと」
何から聞いたものかと思慮する良平。
目の前では恐る恐るココアに口をつけたこかげがほっとした表情を浮かべた。
こかげ「……おいしい」
良平「それは良かった。……それでどうしたの?」
こかげ「……」
こかげはまた少し視線を下げて考えるように口を閉じた。
良平は急かさぬように何もせずに待つ。
やがてゆっくりとこかげは話し始めた。
こかげ「……その……つかちゃんがデュエルできるようになって、嬉しいな、一緒にデュエルしたいな、って気持ちと……わたしとデュエルしてデュエルが嫌になっちゃったらどうしようって気持ちで頭がいっぱいになっちゃって……」
良平「うん」
こかげ「そしたら嫌な事をいっぱい思い出して……」
良平「そっか……。……そのデュエルで嫌な思いっていうのはどんなことなの?」
こかげ「……わたし、デュエルするとみんなから、ずるいって言われて……。わたしとデュエルしたくないって……」
良平「あ、あぁ〜……。真竜は確かに強いもんなぁ……。小学生の間は、ちゃんとしたデッキの子よりスターターデッキの子の方が多いもんね。スターターじゃ、真竜には絶対勝てないからな……」
こかげ「……真竜じゃないデッキを使うと手加減してるって思われちゃうし……。だから、このままここのせさんにデッキを預かってもらったままにしておけば、なんて考えちゃって……。でも、それじゃ、つかちゃんを応援できないし……。うぅ……」
またこかげは俯いてしまう。
そんな彼女が良平にとってどこか自分と重なる気がして目尻を下げた。
良平「はは、こかげはしっかり色々考えられる人なんだね。……でも、その気持ちは、なんとなくわかる気がするな」
こかげ「え……?」
良平「俺もこかげくらいの歳の頃から幻獣機を使ってるんだ。幻獣機は真竜みたいにパワーがあるデッキじゃないけど、効果が独特だし、スターターデッキくらいなら負けない強さがあった。よくイチャモンをつけられたよ」
こかげ「え、日和田さんもそうだったんですか?」
良平「うん。だから、人とデュエルをするのが苦手だった。けどさ、それは本当のデュエルを知らなかっただけなんだ」
こかげ「本当のデュエル?」
良平「言うなら、そうだなぁ。本当に強い相手とする一進一退のデュエル、だね。こかげは今まで負けたことないんじゃないかな」
こかげ「! ……はい」
言い当てられて思わず顔をあげる。
良平の顔はどこか優しい。
良平「俺もそうだった。小5まではね。でもある日、負けたんだ。祭乃木に」
こかげ「あの部長さんに……?」
良平「初めて負けたそのデュエルはさ、凄いドキドキしたんだ。こっちが優勢なのにひっくり返されるような気がしてさ。そして、実際ひっくり返された」
こかげ「すごいデュエルだったんですね……」
良平「はは、今思えばそうでもないんだけどね。……こかげにもそんな相手がいつかきっと現れるよ。もしかしたらつかさがその役を担うのかな」
こかげ「つかちゃんが……」
良平「つかさは、負けても諦めなかっただろ。あれってデュエルの才能だと思うんだ。諦めたくない、って気持ちは運命力より大切な力だと俺は思う」
こかげ「……」
良平「諦めないで、時には他から力を借りて。そうやって強くなったデュエリストを俺は知ってるんだ。だから、きっと、つかさは強くなるよ」
こかげ「つかちゃん……」
良平「それにさ、つかさならきっと、こかげとデュエルして負けても、イチャモンなんかつけないで、また挑んでくるんじゃないかな」
こかげ「な、なんか、つかちゃんこと、すごく知ってるみたい……」
良平「あはは、なんでだろ。ここのせに似てるからかな」
こかげ「ああ……! あの人、つかちゃんのお兄ちゃんみたいですもんね」
良平「そうだね。アイツ、意外と面倒見いいんだなぁ。……っと、アイス溶けてるよ」
良平に指摘され手元を見るこかげ。
白いアイスの周りには同じく白い液状のものが溢れ出ており、アイス本体は当初より二回り程小さくなっていた。
こかげ「あわわ !」
慌ててスプーンを取り口に放り込む。
刹那、急な温度差に驚いたこめかみがきーんと鳴った。
こかげ「うぁ〜……!」
良平「あははっ!」
…………
……
…
[三日後 公園]
相変わらず公園の中心では、ここのせとつかさが睨み合っていて間にはモンスターが展開されている。
つかさ「よ、よし!」
LP1500
手札:2
フィールド:
始祖竜ワイアーム
つかさ「ワイアームでドレッドノイドに攻撃!!
始祖竜ワイアーム「ガァァァァッ!!」
攻:2700
No.27弩級戦艦ドレッドノイド (EXゾーン)
攻:2200
ワイアームが吐き出したブレスを浴び、ドレッドノイドは大きく傾いた。
しかし展開したシールドによりブレスを四方に分散させ船体へのダメージを減少させる。
弾いたエネルギーの一部がここのせの身体を貫く。
ここのせ「ぐぉぉっ!?」
LP:1600→1100
つかさ「よし!」
ここのせ「……ちったぁやるようになったな!」
LP:900
手札:2
フィールド:
No.27弩級戦艦ドレッドノイド(EXゾーン)
つかさ「ターンエンド!」
ーエンドフェイズー
つかさ
LP1500
手札:2
フィールド:
始祖竜ワイアーム
ードローフェイズー
ここのせ「オレのターン!」
手札3
ースタンバイフェイズ→メインフェイズ
ここのせ「ドレッドノイドを守備表示に変更!」
No.27弩級ドレッドノイド
攻→守:1000
ここのせ「カードを1枚セットして、ターンエンドだ!」
ーエンドフェイズー
能瀬心
LP:900
手札:2
伏せ:1
フィールド:
No.27弩級戦艦ドレッドノイド(EXゾーン)
ードローフェイズー
つかさ「いける……! いけるぞ……! おれのターン!」
手札3
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
つかさ「よし! レスキューラビットを召喚!」
レスキューラビット「うさっ」
攻:300 地 獣族 星4
つかさ「効果発動! レスキューラビットを除外して、同じ名前の通常モンスター2体をデッキから特殊召喚! こい! エンジェル・トランペッター!」
エンジェル・トランペッター「プァー」
攻:1900 地 植物族 星4 チューナー
エンジェル・トランペッター「パァー」
攻:1900 地 植物族 星4 チューナー
つかさ「エンジェル・トランペッター1体をリンクマーカーにセット! 召喚条件は通常モンスター1体!」
↓通常モンスター=LINK1
つかさ「リンクスパイダーをリンク召喚! 」
リンクスパイダー「ジュッ」
攻:1000 地 サイバース族 LINK1 EXゾーン
つかさ「リンクスパイダーの効果発動! 手札のレベル4以下の通常モンスターをLINKに特殊召喚できる! こい、ジェネティック・ワーウルフ!」
ジェネティック・ワーウルフ「ゴガァァァァァァァァァ!!」
攻:2000 地 獣戦士族 星4
つかさ「いくぞ! レベル4のジェネティック・ワーウルフに、レベル4のエンジェル・トランペッターをチューニング!」
☆4+☆4=☆8
つかさ「シンクロ召喚! 来てくれ! スクラップ・ドラゴン!」
スクラップ・ドラゴン「ギギギィガァァァァ!」
攻:2800 闇 ドラゴン族 星8
つかさ「さらに!! 手札から魔法発動! 星遺物を継ぐもの!!」
《星遺物を継ぐもの》
通常魔法
つかさ「リンクモンスターのリンク先に、モンスターを復活させる!! こい! ラビー・ドラゴン!!」
ラビー・ドラゴン「うさうさぁ!!」
攻:2950 光 ドラゴン族 星8
怒涛の展開。
東屋の下で日除をしながら観戦していた他のメンバーも思わず声を上げた。
ケイジ「すっげぇー! つかさが、強そうなモンスターをたくさん出したぞ!!」
こかげ「頑張って! つかちゃん!!」
良平「ここまで展開できるようになるなんてな……」
祭乃木「バニラ主体でもここまでできる! 面白いデッキだわ!」
ゆき「やっぱりデュエルは奥深いですぅ……」
恵「……」
全員の視線を気にも止めず、つかさは手を突き出した。
フィールドに並ぶモンスターたちが応える。
つかさ「スクラップ・ドラゴンの効果発動!! お互いのフィールドのカードを1枚ずつ選んで効果発動! フィールドのカードを破壊する! おれのリンクスパイダーとここのせの伏せカードを破壊!」
ここのせ「リバースカードオープン! 閃刀機-ホーネットビット!」
《閃刀機-ホーネット》
速攻魔法
chain1 スクラップ・ドラゴン
chain2 閃刀機-ホーネット・ビット
ここのせ「オレのフィールドに閃刀姫トークンを特殊召喚する!」
閃刀姫トークン「はぁっ!」
守:0→1500 闇 戦士族 星1
ーバトルフェイズー
つかさ「バトル! スクラップ・ドラゴンでドレッドノイドに攻撃!」
スクラップ・ドラゴン「ガァァァァッ!!」
攻:2800
No.27弩級戦艦ドレッドノイド
守:1000
スクラップ・ドラゴンが放つ熱射線を再び展開したシールドでドレッドノイドは防御する。
しかし、スクラップ・ドラゴンの攻撃を防ぎ切ったシールドは力なく消えていく。
もはや船体を守ることはできない。
つかさ「まだまだ! ワイアームでドレッドノイドを攻撃!」
始祖竜ワイアーム「グガァァァ!」
攻:2700
ワイアームの追撃は艦橋に直撃しドレッドノイドは爆発、炎上する。
力なくフィールドの海に沈んでいった。
ここのせ「くっ……!」
つかさ「ラビードラゴンでトークンに攻撃!」
ラビードラゴン「うーさぁー!」
攻:2950
閃刀姫トークン「きゃあっ!」
守:1500
半透明な閃刀姫はラビードラゴンの吐き出した光弾により粉砕されてしまう。
つかさ「いけ! リンク・スパイダー! ダイレクトアタック!」
リンク・スパイダー「しゃあ!」
攻:1000
ここのせ「うぉぉっ……!」
LP:100
しかしここのせのライフにわずかに届かずに自軍のモンスターの攻撃は終わってしまった。
つかさ「くぅ……! あと一歩なのに! ターンエンド!」
ーエンドフェイズー
つかさ
LP1500
手札:0
フィールド:
始祖竜ワイアーム
スクラップ・ドラゴン
ラビードラゴン
リンクスパイダー
ードローフェイズー
ここのせ「……オレのターン!」
手札3
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
ここのせ「爆走軌道フライングペガサスを召喚!」
爆走軌道フライングペガサス「はぁっ!」
攻:1800 地 機械族 星4
ここのせ「フライングペガサスは召喚時、墓地の地属性機械族を守備表示で特殊召喚できる! こい、巨大戦艦ブラスターキャノンコア!」
巨大戦艦ブラスターキャノンコア
守:3000 地 機械族 星9
ここのせ「フライングペガサスのもう一つの効果発動! フィールドの機械族モンスターを選択し、そのモンスターと自身のレベルをどちらかの数値に変更する! フライングペガサスのレベルを9に変更!」
爆走軌道フライングペガサス「ふぅぅぅんっ!」
星4→9
ここのせ「レベル9になったフライングペガサスと巨大戦艦ブラスターキャノンコアでオーバーレイ!」
☆9×☆9=★9
ここのせ「ーー星の開拓! 人理の力は大地を砕く!」
雷鳴轟くオーバーレイネットワークより超巨大な鑿岩機がゆっくりと現れる。
ここのせ「起き上がれ! 無限起動アースシェイカー!!」
無限起動アースシェイカー
攻:3200 地 機械族 ランク9 EXゾーン
ここのせ「アースシェイカーのエクシーズ素材を二つ使い効果発動! その数だけフィールドのカードを破壊するぜ! スクラップ・ドラゴンとラビードラゴンを破壊!」
アースシェイカーの鑿岩機が勢いよく地面に突き刺さる。
同時に地響きとともに地割れが伸びていき、ドラゴン2体を飲み込んだ。
スクラップ・ドラゴン「ガァァァァッ!?」
ラビードラゴン「うさっ!?」
二体のドラゴンはなす術なく破壊され、ガラスのように砕け散る。
つかさ「うわっ!? ……く、くそ! でも、ワイアームは通常モンスター以外には戦闘でも効果でも破壊できないぞ!」
ここのせ「わかってる! だからわざわざアースシェイカーをEXゾーンに出したんだぜ! 手札から速攻魔法、閃刀機-ウィドウ・アンカーを発動!」
《閃刀機-ウィドウ・アンカー》
速攻魔法
ここのせ「フィールドのモンスターの効果を無効にする! だが、オレの墓地に魔法が3枚以上あるときは、そのコントロールを得る!!」
つかさ「なっ!?」
ウィドウ・アンカーがジャラジャラと音を立てて伸びていく。
そしてワイアームに絡みつくとガッチリと巻き取ってしまった。
始祖竜ワイアーム「グガァッ!?」
ジタバタと抵抗するも引きずられてフィールドを離れていく。
これにてつかさのフィールドはガラ空き。
ここのせは腕を振り上げて畳み掛けた。
ここのせ「とどめだ! アースシェイカー! つかさにダイレクトアタック!!」
アースシェイカーの鑿岩機が振り下ろされ、つかさの身体は弾き飛ばされた。
ソリッドビジョンであるため、衝撃は少なく尻餅をつく程度ではあるが。
つかさ「うわぁぁぁ!?」
LP1500→0
ケイジ「あぁ! 惜しかった!!」
ゆき「でも、いいデュエルでしたね!」
こかげ「つかちゃん!」
東屋を飛び出し、こかげはつかさに駆け寄った。
つかさはというと負けたというのににかっと笑っていた。
つかさ「っててて……。へへっ、WSCに出たやつは強いな!」
こかげ「つかちゃん、おしり、大丈夫?」
身体をささえるようにして立ち上がらせるとこかげはつかさの尻についた砂を払った。
つかさ「さ、サンキュー、こかげ。……悪い! もうちょっと待ってくれ! 絶対取り返すからさ!」
こかげ「……うん!」
ここのせ「それなんだけどよ、つかさ」
向こうからテクテクと砂を踏む音。
ここのせが近寄ってきていた。
ここのせ「……今のデュエル、オレが勝てたのは偶然だった。スクドラでドレッドノイドが狙われてたら負けてたぜ」
良平「まぁ、でもバックは警戒するよな」
こかげに続いて東屋から他の面々も集まってくる。
そんな中、恵がつかさを見ながら口を開いた。
恵「……いいや、先程の貴方の手札ならば、ここのせのライフを0にすることが可能だった……」
ゆき「というと?」
恵「……リンクスパイダーとエンジェル・トランペッター、そして始祖竜ワイアームの3体で、天威の龍拳聖のリンク召喚が可能だった……」
良平「あ、そっか。天威の龍拳聖は場に効果モンスターがいなければ、墓地とフィールドのバニラの数だけカードを破壊できるから……」
祭乃木「あ、しかもこいつ、対象とらないじゃない」
恵「……そう。これにより、閃刀機-ホーネットビット、またはチェーン発動し特殊召喚された閃刀姫トークンとドレッドノイドを破壊できた……。その後、星遺物を継ぐものを発動すれば、防ぎきれず、ここのせの敗北になっていた……」
つかさ「うわぁ、そんな手があったのかぁ!」
ここのせ「それは普通に負けてたな……。やばいぜ……」
ケイジ「そこまで追い込むなんて、つかさ、すごいぞー。クラスでももう負けないんじゃないかー?」
ゆき「そうですよ! 私、多分、負けちゃいますぅ」
つかさ「そ、そうかな……! へへっ……!」
まんざらでもない顔でつかさは後ろ頭を掻く。
ここのせ「ま、そんなわけで」
とここのせはデッキケースに手を伸ばして、自分のものではないデッキをーーこかげのデッキを差し出した。
ここのせ「受け取りな」
つかさ「え? でも、まだ勝ってない……」
ここのせ「お前はもう立派なデュエリストだぜ。同じようなことがあっても、もう自分で取り戻せるだろ」
つかさ「でもおれ、ここのせに勝ちたいよ!」
ここのせ「はっ!オレはWSCの本戦もあるんだぜ? うかうか負けてらんねぇってんだ」
祭乃木「何よ、今日はほぼ負けじゃない!」
ここのせ「う、うるせぇな!」
良平「まぁ、まぁ。……イザコザがあるデュエルは焦るだけだよ。つかさは、WSC本戦出場のデュエリストをここまで追い込んだんだ。それは誇っていいんじゃないか?」
つかさ「……わかった」
良平の言葉を飲み込んだつかさは、大きく頷いてここのせの差し出したデッキを掴みった。
つかさ「ごめん。こかげ。おれもっと強くなるから! 見ててくれ!」
取り返したデッキを差し出し、こかげに差し出す。
夕日に照らされた彼の姿はーー決闘盤をつけたその姿は、まさしくデュエリスト。
こかげ「うん……!私、待ってるから……!」
デッキを受け取り、こかげは胸に強く抱いた。
ふと見上げた空はまだまだ明るいが、町内チャイムが17:30であることを告げる。
ゆき「あ、もう夕方なんですね。まだ明るいから、気付きませんでしたぁ」
恵「……季節の問題……」
ケイジ「じゃー帰るかぁー」
つかさ「うん」
こかげ「あ、あの! ここのせさん!」
こかげの声にここのせは腰を曲げる。
ここのせ「ん?」
こかげ「これ、受け取ってください!」
こかげは自分のデッキのカードを一枚抜いて差し出した。
ここのせ「なんだこれ?」
受け取りカードを見ると黒い枠に金字こう書かれていた。
真竜皇VFDと。
ここのせ「なっ!? こかげ、これ切り札じゃねぇのか!?」
こかげ「はい。ここのせさんのデッキでも使えると思います。そのカードを預かっててください」
良平「預かる?」
つかさ「な、なんで?」
こかげ「つかちゃんは絶対勝ちます。私も、ケイジくんも諦めません。一緒にたくさん練習します! だから……そのときまで、預かっててください!」
ここのせ「こかげ……」
こかげの目にはたしかな闘志。
デュエリストの鼓動がここにも。
亜美はニッと笑いここのせの代わりに答えた。
祭乃木「なるほどね! いいわ!アタシたちは、いつでも挑戦を受ける! だから、また戦いに来なさい! ……あ、そのかわり」
ケイジ「そのかわり?」
祭乃木「いよいよWSC本戦が始まるの! アンタたち、アタシたちを応援しなさいよ!」
こかげ「はい! もちろんです!」
ケイジ「おー、応援するぞー」
つかさ「絶対テレビ見るから!! ここのせ! 負けるなよ!!」
ここのせ「あったりめぇだ!」
祭乃木「よし、いい返事ね!! アタシたちの活躍、期待してなさい!」
ビシリと指差し亜美は三人に笑いかけた。
後ろにならぶ良平もここのせもゆきも恵も太陽に照らされて影が伸びていた。
彼ら三人はそんなヒーロー部を見つめていた。
[帰り道 郊外]
まだまだ明るい空に、夏の風の匂いが漂う。
うずうずとした気持ちが夏の暑さを忘れさせる。
つかさとこかげとケイジは並んで歩く。
つかさ「なぁ、明日さ、こかげの家行っていいか? デュエルしてほしいんだ!」
こかげ「うん!でも、わたしも負けないよ!」
つかさ「ケイジもこいよな!」
ケイジ「おー。……二人とも変わったなー。あの人たちのおかげかー。流石はヒーローなんだなー」
ケイジはむふーと満足そうに二人を見た。
遠くから涼しい風が髪を撫でる。
つかさは足を止めて振り向いた。
視線の先、見えないがその方向には童実野第二高校がある。
つかさ「……おれ、高校は童実野二高に入りたい!」
こかげ「もー、つかちゃん、気がはやいよ」
ケイジ「それにつかさは勉強苦手だからなー」
つかさ「い、今から努力すればいいんだよ!」
それからつかさはまた歩き出す。
三人が夕焼けの中、笑いながら。
彼が通り過ぎた掲示板に一際大きくポスターが貼ってある。
それはWSC本戦、その開会式を伝えていた。
◆余談
せっかくストーリーの中に組み込んだカードなのに禁止になっちゃったときはめちゃくちゃガッカリしました。
この作品はだいぶ前の時を生きてますのでしばらくVFDもハリファイバーも出ます……。
申し訳ないです。
◆次回予告
寝る前決闘空間第17話
『開幕! WSC本戦!』
お楽しみに。
文字数が15000超えた場合
-
そのままでも読める
-
しんどいので半分にしてほしい