遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

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第20話「WSC本戦1回戦終幕 Heroes show up late.」前編

 

WSC本戦は、ABCVWXYZの8ブロックに分かれている。

各予選を勝ち抜いた32チームと前回大会の8強を合わせた全40チームが、各地の公認スタジアムで鎬を削っていた。

その一つであるネオ童実野シティメモリアルスタジアムで行われているWSC本戦Cブロック1回戦は、ネオ童実野シティのキー局にて生中継されている。

ネオ童実野シティ郊外にある家のテレビの前には、三人の少年少女がジュースもお菓子も手をつけず、ただ画面を見つめていた。

 

『チームユニオンの反撃ィィィィ!! これによりチームHEROのバトンもラストプレイヤーに回ったぞォオオ!!』

 

画面の中のスタジアムDJがシャウトし、解説者が解説する。

テレビを見ていた真ん中に座る少年ーーつかさは半ば叫ぶように声を上げた。

 

つかさ「あぁ……! 良平がやられた……!!」

 

その左隣に座るやや身体の大きな少年ーーケイジはゆったりとした口調で一息つくようにジュースを飲む。

 

ケイジ「仕方ないなー、あれだけ戦ったら二人目はきついなー」

 

さらに右隣では少女ーーこかげが手をぎゅっと握りながら画面を見つめていた。

 

こかげ「……これで最後の一人同士……! 頑張って、部長さん……!!」

 

つかさ「絶対勝ってくれよ……!! ヒーロー部……!!」

 

声は届かぬとは知っていても、願いは届くと信じてつかさは叫ぶ。

 

郊外から離れた街の中央よりにデカデカと居座るメモリアルスタジアムでは相変わらずの賑わいーー否、騒音とも言えるほどの歓声が上がっていた。

チームHERO側ベンチではフィールドから戻ってきた良平が悔しそうに拳を握る。

 

良平「……」

 

ここのせ「お疲れさん」

 

ここのせが肩に手を掛けると良平はゆるりと首を振った。

 

良平「いや、全然ダメだ。祭乃木に最悪のバトンを回した」

 

振り返り苦い顔でフィールドで羽ばたく強大なドラゴンを睨む。

するとゆきが両手を胸の前で握り笑顔で返した。

 

ゆき「いえ! そんなことありません! 日和田さんは、あのおっきなモンスターを倒したじゃないですか!」

 

良平「だけどその後のフィールドが……」

 

後続を相手する余力を残せていればと良平は悔やむ。

しかし、それを否定するように恵が平坦な声を出した。

 

恵「……結果論でしかない。あの場はアーゼウスを処理することが優先だった……」

 

ここのせも「そうだぜ」と言ってから良平の背中を軽めに叩いた。

 

ここのせ「それにお前が苦戦したのはオレのパスにだって問題があった。ま、とにかく、今は祭乃木を信じるしかないぜ」

 

全員がフィールドに目を向ける。

赤い燃える炎のようなポニーテールが、制服のスカートと共に揺れていた。

 

ゆま「祭乃木さんならきっと大丈夫です!前に祭乃木さんが言ってました! ーーヒーローは、遅れてやってくるんです!」

 

デュエルフィールドでは、癖っ毛の長髪を靡かせて時松もこが待ち受けていた。

状況は以下の通り。

 

時松もこ

LP4000

手札:3

マジックトラップ:

伏せ1

フィールド:

ドラグニティナイト-ロムルス(EXゾーン)

ドラグニティナイト・アラドヴァル

 

対するチームHERO、即ちラストプレイヤー祭乃木亜美のフィールドにカードはなし。

しかし亜美は口角を上げてデュエルディスクを構え、デッキトップに手を掛けた。

 

祭乃木「いくわよ!」

 

 

寝る前決闘空間第20話

『Heroes show up late.』

 

 

 

『さぁぁぁぁ、デュエルはラストバトルまで持ち込まれたぞォオオォオオ!! 日本の! しかもアカデミアではない高校生たちによる大激戦は、一瞬も目が離せないシーソーゲームと化しているゥゥゥゥゥゥ!! 勝つのは高決連か、それとも奇跡のチームかァァァ!!? 」

 

フィールドにて対峙する二人の決闘者。

双方共に制服。

しかしアカデミアにあらず。

 

『デュエルはチームHERO、ラストプレイヤー! チームリーダー祭乃木亜美のターンから再開だァァァァァァ!!』

 

熱烈なマイクパフォーマンスが会場を沸騰させる。

亜美は手に掛けていたデッキトップのカードを強く引き抜いた。

 

祭乃木「アタシのターン!」

手札5→6

 

ドローカードを確認し手札に加えてからカードを持ち換える。

そしてマジックトラップゾーンに差し込んだ。

 

祭乃木「ちょっと勿体ないけどいいわ! 手札からパーピィの羽根箒を発動!」

 

《パーピィの羽根箒》

通常魔法

 

フィールドに大きな羽根箒が現れてもこのマジックトラップゾーンを傍若無人に掃き掃除してしまう。

セットカードはたまらず破壊され、もこは霧散するカードのカケラを見ながら舌打ちした。

 

時松「ちっ……都合のいいカード持ってんじゃん」

 

祭乃木「これでちょっとは楽に動けるわ!E・HEROソリッドマンを召喚!」

 

E・HEROソリッドマン「タァッ!

攻:1300 地 戦士族 星4

 

祭乃木「ソリッドマンには召喚した時の効果があるけど、それは使わない!」

 

時松「ふぅん」

 

祭乃木「手札から融合を発動!」

 

再び左手の手札から右手でカードを抜き取り、マジックトラップゾーンへ放り込む。

刹那、ソリッドビジョンが反応しカードが表返るように表示された。

 

《融合》

通常魔法

 

祭乃木「フィールドのソリッドマンと手札のリキッドマンで融合!」

 

フィールドのE・HEROソリッドマンと手札のE・HEROリキッドマンが青と深緑色の渦へと飛び込んでいく。

やがて中心が爆発するような光が溢れ出した。

 

祭乃木「ーー声は祈りに! その身は全てを削り取る! 吼えろ、大地のヒーロー!」

 

一筋の光が上空まで貫いた。

そして光の玉がフィールドに降りてきて徐々に黒い巨人へと姿が変わっていく。

 

祭乃木「融合召喚! 来なさい、E・HEROガイア!!」

 

ズドンと粉塵を強烈に吹き上げながら新たなヒーローが着地した。

フィールドに羽ばたく巨大なドラゴンに向けてそのモンスターは戦闘態勢を取る。

 

E・HEROガイア「デュアッ!」

攻:2200 地 戦士族 星6

 

祭乃木「ガイア、リキッドマン、ソリッドマンの効果がそれぞれ発動するわ!」

 

発動するは三枚の誘発効果。

亜美はにやりと笑いながら宣言する。

 

chain1 E・HEROガイア

 

chain2 E・HEROリキッドマン

 

chain3 E・HEROソリッドマン

 

それを見たもこは苦い顔で呟く。

 

時松「クソッ……チェーンの関係でガイアの効果が止められない……! 」

 

誘発効果は、モンスター毎に発動タイミングが定められた効果だ。

同一のタイミングで発動した誘発効果は、まず強制効果から発動し次いで任意効果が発動する。

任意効果の発動タイミングが同一である場合は発動の順番はコントロールしているデュエリストが好きな順番で組むことができる。

E・HEROガイアの誘発効果は強制効果。

E・HEROリキッドマンとE・HEROソリッドマンの誘発効果は任意効果。

故に上記の順番となる。

ドラグニティナイト-アラドヴァルはモンスター効果を無効にできる強力な効果を有しているが、発動のタイミングはターンプレイヤーの組んだチェーンの直下、即ち今回の場合チェーン4でしか発動できない。

そして効果を無効にする誘発即時効果は直前のチェーンのカードしか無効にできない。

つまりチェーンの順番で、埋没しているE・HEROガイアとE・HEROリキッドマンの効果は無効にすることはできないのである。

もこは切り替えて、フィールドのモンスターを睨み腕を振るう。

 

時松「仕方ない。アラドヴァルの効果発動。墓地のミスティルを除外して、ソリッドマンの効果を無効にして除外するよ」

 

chain4 ドラグニティナイト-アラドヴァル

 

もこの呼び声に呼応してフィールドに羽ばたくドラゴンーードラグニティナイト-アラドヴァルが空気を揺らすほどの咆哮する。

口蓋にエネルギーを集約し射出。

半透明のソリッドマンを貫き霧散させてしまった。

 

祭乃木「けど、リキッドマンとガイアは有効よ!! リキッドマンは融合素材となって墓地に送られたとき、カードを2枚ドローし、1枚墓地に送ることができる!」

手札3→4

 

亜美はデッキからカード2枚を引き抜き手札からカードを1枚をセメタリーゾーンへと放り込んだ。

 

祭乃木「そしてガイアはこのターン、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を半分にして、その数値分攻撃力が上がるわ! 対象は、アラドヴァル!」

 

亜美が指を指すとE・HEROガイアは飛び上がり、両手からエネルギーをアラドヴァルに向けて照射する。

 

ドラグニティナイト-アラドヴァル「グギャァァ……!」

シュゥゥン

攻:3300→1650

 

E・HEROガイア「ハァァッ!」

攻:2200→3850

 

アラドヴァルは苦しそうな悲鳴をあげながらのたうち回る。

一方のE・HEROガイアは地面に着地すると溜め込んだエネルギーを充填させていた。

 

ーバトルフェイズー

 

祭乃木「バトル! いけ、ガイア! アラドヴァルを攻撃! クァンタム・ストリーム!!」

 

E・HEROガイアが中腰になり両手を交差させる。

その腕から凄まじいエネルギーの奔流が放出されアラドヴァルに激突する。

 

ドラグニティナイト-アラドヴァル「ガァァァァァァァ!!?」

 

光のエネルギー光線に射抜かれてアラドヴァルはガラスのように霧散した。

余波がぶわりと熱風となりもこを襲う。

 

時松「ぐっ!?」

LP4000→1800

 

『大ダメージィィィィィィィィ!! 強固に思えた布陣を容易く乗り越えたぞォオオ!!』

 

ワッと再び歓声が湧き起こる。

フィールドを支配していたドラゴンは撃墜され今度はHEROがフィールドを席巻していた。

 

ーメインフェイズ2ー

 

亜美はニッと笑いカードをマジックトラップゾーンへと差し込む。

 

祭乃木「どうよ! カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

ーエンドフェイズー

 

祭乃木亜美

LP:4000

手札:3

マジックトラップ:

伏せ1

フィールド:

E・HEROガイア

 

ードローフェイズー

 

時松「ふん、アラドヴァル1匹倒したくらいで……。私のターン」

手札3→4

 

ースタンバイフェイズー

 

もこがカードを引き込むと同時に、フィールド後方に安置されている封印櫃の石時計のカウントが一つ進む。

 

ーメインフェイズー

 

時松「ドラグニティ-ドゥクスを召喚」

 

ドラグニティ-ドゥクス「シャァァァ!」

攻:1500 風 鳥獣族 星4

 

時松「ドゥクスは、召喚時に墓地のドラゴン族、レベル3以下のドラグニティを装備できる。ファランクスを装備」

 

祭司のような姿の鳥人がフィールドに降り立つ。

その手に持つおおぬさをシャカシャカと振り二本槍のようなドラゴンを自身に憑依させた。

 

時松「そのままファランクスを特殊召喚!」

 

ドラグニティ-ファランクス「ガァァッ!」

攻:500 チューナー

 

憑依していたドラゴンは間髪入れずに実体化する。

ドラグニティ-ファランクスは装備状態からフィールドに特殊召喚できる起動効果を持つ。

これにて鳥人とドラゴンが並んだ。

 

時松「レベル4のドゥクスに、レベル2のファランクスをチューニング」

 

☆4+☆2=☆6

 

時松「シンクロ召喚、ドラグニティナイト-ヴァジュランダ」

 

ドラグニティナイト-ヴァジュランダ「ギュァァァァァァァ!!」

攻:1900 風 ドラゴン族 星6

 

時松「ヴァジュランダもシンクロ召喚したとき、墓地のドラグニティを装備できる。ドラグニティ-クーゼを装備!」

 

ヴァジュランダか光輝き、墓地のドラゴンを自身の背後に呼び寄せる。

薙刀の刃のようなドラゴンーードラグニティ-クーゼが配下に加わった。

 

時松「そして特殊召喚」

 

ドラグニティ-クーゼ「ガァァッ!」

攻:1000 星2 チューナー

 

ドラグニティ-クーゼにもファランクスと同じ装備状態からの特殊召喚効果を有している。

 

【チームHERO側ベンチ】

 

連続的な特殊召喚を繰り返す展開力を前に良平はやや苦い顔でフィールドを見つめていた。

 

良平「流石ドラグニティ……。すぐに連続シンクロを決めてくるな……」

 

ゆき「装備状態からモンスターを特殊召喚して、連続シンクロ召喚をするデッキ……。それがドラグニティというデッキなんですね……!」

 

ここのせ「上位ランクのプロデュエリストが使ってるのを見たことがあるが……相手してみりゃとんでもねぇデッキだぜ……!」

 

ゆきとここのせも同意するようにフィールドのドラゴンを脅威の眼差しで見据えていた。

一方で目は相変わらずの無表情で銀色のツインテールも微動だにせず口だけを動かす。

 

恵「……しかしドラグニティは強力な展開力を持つ一方、手札リソースの回復手段に乏しい。展開されたモンスターを確実に除去していくことが攻略の鍵となる……」

 

ゆき「ではとにかくこのターン、攻撃を凌がなきゃ、ですね!」

 

【デュエルフィールド】

 

フィールドに入れ替わり立ち替わりドラゴンが並ぶ展開に亜美は見落とさぬようにやや前屈みで望む。

 

時松「レベル6のヴァジュランダにレベル4扱いのクーゼをチューニング」

 

☆6+☆4=☆10

 

お構いなしにもこはカードを扱い、クーゼにシンクロの指示を下す。

シンクロリングが星を呼び出しやがて調和させていく。

 

時松「ーー神話の聖槍、その加護はいかなる裏切り、いかなる力をも打ち砕く」

 

デッキのーー魂の奥底から口に出る旋律とともにシンクロリングが一閃の光を放つ。

 

時松「とりあえずシンクロ召喚。ドラグニティナイト-アスカロン」

 

ドラグニティナイト-アスカロン「ゴガァァァァァァァァァッ!!」

攻:3300 風 ドラゴン族 星10

 

黄金の身体に黄金の槍。

六枚の羽根を広げてそのドラゴンが叫び声をあげた。

 

『なんとォオオォオオ!! またしても連続シンクロを決め、新たな切り札を呼びせたァァァ!!』

 

祭乃木「やるじゃない! 流石はデュエル部の代表ね!」

 

時松「別に。これぐらいドラグニティじゃ珍しくないよ。……アスカロンの効果発動。墓地のドラグニティ-セナートを除外して、相手フィールドのモンスター、E・HEROガイアを除外する」

 

六枚の黄金の羽根を羽ばたかせ、アスカロンがガイアに直進した。

頭についた槍の刀身を振り翳しガイアを切り裂いてしまう。

 

『ドラグニティナイト-アスカロンの効果が炸裂ゥゥゥゥゥゥ!! これにより祭乃木亜美を守るモンスターは居なくなったぞォオオ!!」

 

ーバトルフェイズー

 

時松「バトル。アスカロンでダイレクトアタック」

 

ドラグニティナイト-アスカロン「グォオォオオォオオ!!」

攻:3300

 

ガイアを破壊した後、フィールドをフライパスし空中を旋回していたアスカロンは再び猛進する。

吶喊してくる黄金のドラゴンを睨みながら亜美はマジックトラップボタンを押し込んだ。

 

祭乃木「トラップ発動! ガードブロック!」

 

《ガードブロック》

通常罠

 

祭乃木「この戦闘で発生するダメージを0にして、カードを1枚ドローするわ!」

手札2→3

 

亜美の前に突如、透明なバリアが展開される。

アスカロンの剣がバリアに激突し一瞬の歪みを経て跳ね返した。

 

時松「チッ……ロムルスで追撃!!」

 

ドラグニティナイト-ロムルス「ギュァァァァッ!」

攻:1200

 

銀色に青い羽根のドラゴンが口元に溜めたエネルギー弾を放つ。

それは亜美に直撃しライフポイントを痛烈に削り取った、

 

祭乃木「くぅっ……!」

LP4000→2800

 

ーメインフェイズ2ー

 

時松「カードを1枚セットしてターン終了」

 

ーエンドフェイズー

 

時松もこ

LP:1800

手札2

マジックトラップ:

伏せ1

フィールド:

ドラグニティナイト-ロムルス(EXゾーン)

ドラグニティナイト-アスカロン

 

ードローフェイズー

 

祭乃木「アタシのターン!」

手札3→4

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

祭乃木「手札から、魔法発動! E-エマージェンシーコール!」

 

《E-エマージェンシーコール》

通常魔法

 

祭乃木「デッキからE・HEROを手札に加えるわ! アタシはE・HEROブレイズマンをサーチ! そして、そのまま召喚!」

 

E・HEROブレイズマン「トォッ!」

攻:1200 炎 戦士族 星4

 

祭乃木「ブレイズマンは召喚成功時、デッキから融合を手札に加えるわ!」

手札3→4

 

亜美のデュエルディスクがカードを自動選出する。

それを抜き取り、流れるようにマジックトラップゾーンへと差し込んだ。

 

祭乃木「そして融合を発動!」

 

《融合》

通常魔法

 

祭乃木「手札のエアーマンとスパークマンで融合!」

 

青と深緑の渦がフィールドに巻き起こる。

E・HEROエアーマン、E・HEROスパークマンの2体が渦の中で混ざり合う。

風と光。

 

祭乃木「ーーそれは太陽の映し身、悪を滅する焔の英雄!」

 

中心が光り、太陽のような熱気を持って真紅の英雄が飛び出した。

 

祭乃木「融合召喚! 来なさい! E・HEROサンライザー!」

 

E・HEROサンライザー「ウォォォォオオ!」

攻:2500 光 戦士族 星7

 

祭乃木「サンライザーは奇跡を呼び起こすヒーロー! デッキからミラクルフュージョンを手札に加えるわよ!」

手札1→2

 

再びカードが選出され亜美は抜き取ってもこに見せる。

そしてそれをそのままマジックトラップゾーンへと放り込んだ。

 

祭乃木「ミラクルフュージョン、発動!」

 

《ミラクルフュージョン》

通常魔法

 

祭乃木「墓地のスパークマンとリキッドマンで融合!!」

 

奇跡を呼ぶ青と深緑の渦が再び巻き起こった。

水属性+E・HERO。

 

祭乃木「ーー絶対零度、絶氷必滅!氷刃がこの世全ての悪を浄化する!」

 

融合演出を割って氷の刃がフィールドに舞い降りる。

 

祭乃木「融合召喚!! E・HEROアブソルートZERO!」

 

E・HEROアブソルートZERO「ハァァァァァァッ!」

攻:2500 水 戦士族 星8

 

時松「……連続融合……! めんどいなぁ……!」

 

『連続シンクロに対抗する連続融合!! フィールドには強力なモンスター並んだぞォオオ!!』

 

祭乃木「融合素材として除外されたリキッドマンの効果発動! 2枚ドローして、1枚墓地に送るわ!」

手札1→2

 

デッキトップからカードを2枚一気に抜き、チラと確認し片方を墓地に置く。

 

祭乃木「サンライザーが場にいるとき、アタシのモンスターは自分フィールドの属性×200攻撃力がアップする! アタシの場の属性は、炎、光、水の三種類! よって攻撃力が600ポイントアップするわ!」

 

E・HEROサンライザー「ふぅぅん!」

攻:2500→3100

 

E・HEROアブソルートZERO

攻:2500→3100

 

E・HEROブレイズマン

攻:1200→1800

 

【チームユニオン側ベンチ】

 

井ノ神「パンプアップ込みとはいえ、攻撃力3000越えのモンスターを2体も……! それも融合モンスター……! 流石はヒーローデッキ……!」

 

冬華「ひゅー! やるじゃん、あの娘!」

 

奥安「テメェは、誰の味方なんだごらぁ!」

 

ニコニコとシャッターを切る冬華に向けて奥安はリーゼントを揺らして怒号を上げた。

 

【デュエルフィールド】

 

フィールドにはモンスターが5体。

もこのフィールドにアスカロンとロムルス。

亜美のフィールドにサンライザーとアブソルートZERO、そしてブレイズマン。

 

時松「くそが……」

 

フィールドは亜美の優勢。

もこは思わず悪態をついた。

 

ーバトルフェイズー

 

祭乃木「いくわよ! バトル! アブソルートZEROで、アスカロンに攻撃!」

 

E・HEROアブソルートZEROが吠えながら走り出す。

 

祭乃木「アブソルートZEROの攻撃宣言時、サンライザーの効果発動! 他のHEROモンスターが攻撃宣言した時、フィールドのカードを1枚破壊する! 対象は、その伏せカード!」

 

時松「チッ……!トラップ発動、次元幽閉」

 

《次元幽閉》

通常罠

 

時松「攻撃宣言したモンスターを除外するよ」

 

アブソルートZEROを纏わりつくように次元が歪み、アブソルートZEROを時空の狭間へと追いやっていく。

 

『反撃の罠カードが炸裂ゥゥゥ!!』

 

祭乃木「ッ、けど! アブソルートZEROは、フィールドから離れたとき、相手モンスターを全て破壊するわ!」

 

時空に飲み込まれる間際にアブソルートZEROは強烈な寒波を放つ。

それはアスカロンとロムルスを飲み込みカチカチに氷漬けにしてしまう。

しかしもこは動じない。

 

時松「道連れ効果は知ってたよ。……アスカロンの効果発動。相手によって破壊されたとき、EXデッキから攻撃力3000以下のドラグニティモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚できる」

 

祭乃木「なっ……!」

 

時松「ーー東欧の槍、その石突は仇なす敵を薙ぎ払う」

 

何処からともなくシンクロリングがフィールドに現れる。

エクストラデッキからの道が開き緑色のドラゴンと背に乗る緑の鳥人が羽ばたきながら咆哮した。

 

時松「シンクロ召喚、ドラグニティナイト-バルーチャ」

 

ドラグニティナイト-バルーチャ「グギャァァァァァァァッ!」

攻:2000 風 ドラゴン族 星8

 

『なんとなんと!! 切り札のアスカロンが後続を呼び込んだぞォオオ!!』

 

時松「バルーチャはシンクロ召喚成功時、墓地のドラゴン族のドラグニティを任意の枚数装備し、その数×300攻撃力が上昇する」

 

祭乃木「くっ……」

 

時松「墓地のクーゼ、ファランクス、アスカロン、アラドヴァル、ヴァジュランダを装備」

 

緑の鳥人が手に持つ槍を掲げると呼び声に応えるように

クーゼが。ファランクスが。アスカロンが。アラドヴァルが。ヴァジュランダが。

背後を護るように並んだ。

 

ドラグニティナイト-バルーチャ「ガァァァァァァァァッ!」

攻:2000→3500

 

『ドラグニティを大量に装備!! これにより攻撃力は3500!! 祭乃木亜美が優勢かと思いきや、一転!! 攻撃力は、誰も超えられないぞォオオ!!?」

 

祭乃木「くっ……」

 

突如現れた強大なモンスターに亜美は喉を鳴らす。

 

ーメインフェイズ2ー

 

祭乃木「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

ーエンドフェイズー

 

祭乃木亜美

LP:2800

手札1

マジックトラップ:

伏せ1

フィールド:

E・HEROブレイズマン

E・HEROサンライザー

 

ードローフェイズー

 

時松「私のターン」

手札2→3

 

ースタンバイフェイズー

 

時松「スタンバイフェイズ時、封印櫃の中のカードが解放されて、手札に加わるよ」

手札3→4

 

後方に置かれた封印櫃のカウントが2となり、蓋が重々しく開く。

中に入っていた嵐征竜テンペストが手札へと加わった。

 

ーメインフェイズー

 

時松「装備状態のクーゼとファランクスを特殊召喚するよ」

 

ドラグニティ-クーゼ「ガァァッ!」

攻:1000 星2 チューナー

 

ドラグニティ-ファランクス「ギィィィ!」

攻:500 星2 チューナー

 

時松「手札のテンペストは墓地のドラゴン2体を除外して特殊召喚できる。墓地のアトゥムスとレダメを除外」

 

嵐征竜テンペスト「キュァァァァァァァァァァァァッ!」

攻:2400 風 ドラゴン族 星7

 

時松「テンペストとファランクスの二体をリンクマーカーにセット。召喚条件は、トークン以外のドラゴン族・鳥獣族モンスター2体」

 

↙︎ドラゴン族+↘︎ドラゴン族=LINK2

 

現れたリンクマーカーにモンスターたちが飛び込んでいく。

そしてリンクサーキットが開かれた。

 

時松「ドラグニティナイト-ロムルスをリンク召喚」

 

ドラグニティナイト-ロムルス「ギィィィッ!」

攻:1200 EXゾーン

 

時松「ロムルスがリンク召喚に成功した時、デッキから竜の渓谷をサーチできる。そして発動」

 

《竜の渓谷》

フィールド魔法

 

ゴゴゴゴゴと地鳴りが響き辺り一面に岩肌が露出する。

遠くの方からは羽ばたくの音がする渓谷へとフィールドは一変した。

 

『ここでフィールド魔法発動ォオオ!! デュエルフィールドはあっと言う間に竜の住まう谷へと激変したァァァァァァ!!』

 

状況の変化に観客たちが熱狂する。

フィールドを左右見渡し亜美が一筋流れた汗を気にもせずに言う。

 

祭乃木「ここがアンタらの戦う舞台ってわけね……!」

 

時松「竜の渓谷の効果発動。手札を1枚捨てて、デッキからレベル4以下のドラグニティを手札に加える。私は、ドラグニティ-レガトゥスをサーチするよ」

手札2→3

 

渓谷のドラゴンが羽ばたきながらもこに近づき身体を手札へと変化させる。

 

時松「今手札に加えたレガトゥスは自分フィールドにドラグニティか竜の渓谷があるとき、特殊召喚できる」

 

ドラグニティ-レガトゥス「キュァァァァァァァッ!」

攻:1800 風 鳥獣族 星4

 

時松「そしてレガトゥスは、魔法・罠ゾーンにドラグニティが存在する場合、相手のバックを1枚破壊する。対象は1枚だけのそれ」

 

もこは亜美の足元を指差す。

たった一枚だけの亜美の守り札。

 

祭乃木「くっ……!」

 

ドラグニティ-レガトゥスが突進しカードはバラバラに砕け散っていく。

 

【チームHERO側ベンチ】

 

急転直下。

亜美の劣勢に追い討ちをかける展開にメンバーの背に嫌な汗が浮かぶ。

 

良平「くっ、やばい……! バックが割られた……!」

 

ここのせ「しかもドラグニティはモンスター効果を封じ込めるアラドヴァルが切り札にいやがる……! 乗り切れるのか祭乃木……!」

 

ゆき「祭乃木さん……!!」

 

ゆきは思わず胸の前でギュッと握り亜美を見つめた。

 

【デュエルフィールド】

 

もこは詰めとばかりに手を振り上げる。

 

時松「レベル8のバルーチャにレベル2のクーゼをチューニング」

 

☆8+☆2=☆10

 

調律され青銀のドラゴンが再び声をあげる。

 

時松「ドラグニティナイト-アラドヴァルを再びシンクロ召喚」

 

ドラグニティナイト-アラドヴァル「ガァァァァァァァァァッ!!」

攻:3300 風 ドラゴン族 星10

 

『神代の槍を冠した切り札が再びフィールドに現れたァァァァァァァァァ!』

 

祭乃木「出たわね……!」

 

時松「まだまだ終わらないよ。ドラグニティ-ファランクスを通常召喚」

 

ドラグニティ-ファランクス「ガァァッ!」

攻:500 風 ドラゴン族 星2 チューナー

 

時松「レベル4のレガトゥスにレベル2のファランクスをチューニング」

 

☆4+☆2=☆6

 

時松「シンクロ召喚。ドラグニティナイト-ヴァジュランダ」

 

ドラグニティナイト-ヴァジュランダ「ガァァァァァァァァ!」

攻:1900 風 ドラゴン族 星6

 

時松「ヴァジュランダの効果で、墓地のクーゼを装備。その後、クーゼを特殊召喚」

 

ドラグニティ-クーゼ「カァァッ!」

攻:1000 風 ドラゴン族 星2 チューナー

 

時松「レベル6のヴァジュランダにレベル4扱いのクーゼをチューニング」

 

☆6+☆4=☆10

 

時松「詰め切るよ、ドラグニティナイト-アスカロンをシンクロ召喚」

 

ドラグニティナイト-アスカロン「グガァァァァァァァッ!!」

攻:3300 風 ドラゴン族 星10

 

『圧巻! 圧倒!! フィールドには最高クラスの切り札が2体!! 連続シンクロ、恐るべしィィィィ!!』

 

歓声があがる。

強大なドラゴンがフィールドを席巻する。

 

もこのフィールドには。

ドラグニティナイト-アスカロン。

ドラグニティナイト-アラドヴァル。

ドラグニティナイト-ロムルス。

亜美のフィールドには。

E・HEROサンライザー。

E・HEROブレイズマン。

攻撃力の差は歴然だった。

さらにもこはアスカロンに指示を出す。

 

時松「アスカロンの効果発動。墓地のヴァジュランダを除外し、サンライザーを除外するよ」

 

アスカロンはフィールドを翼で駆けサンライザーを自身についた刀身で貫く。

 

祭乃木「サンライザー……!!」

 

亜美の叫びも虚しくサンライザーは砕け散る。

 

時松「まだまだいくよ。アスカロンの効果にターン1はない。もう一回発動! 墓地のファランクスを除外して、ブレイズマンを除外!」

 

旋回してアスカロンは再び咆哮をあげた。

そしてサンライザーと同じようにブレイズマンまでも破壊し尽くしてしまった。

 

祭乃木「……ッ!」

 

亜美は息を飲み込んだ。

モンスター、セットカード共に0。

 

『唖然!! チームHERO祭乃木亜美のフィールドは一瞬にして焼け野原だァァァァ!! これは勝負あったかァァァァァァァァ!!?』

 

ーバトルフェイズー

 

時松「バトル。いけ、アスカロン! プレイヤーにダイレクトアタック!」

 

祭乃木「っ……!!」

 

時松「これで、私の勝ち」

 

『決まるかァァァァァァァァァッ!!?』

 

祭乃木「……ッ!!」

 

旋回し今度はプレイヤーを串刺しにしようとアスカロンが空気を揺らすような叫び声を上げながら吶喊してくる。

後ろには2体のモンスター。

亜美は目に闘志を宿したままフィールドを支配するドラゴン達を睨みつけていた。

 




ドラグニティはどうしても長くなりますね……。
後編へ続きます。
次回WSC本戦1回戦の終幕となります。
お楽しみいただけたら幸いです!

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