遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
今回、セリフだけで13000字になってしまいました。
地の文を入れたら20000近くになってしまうので前編パートを二つにに分けます。
文字数を少なくできる……はず……。
[童実野第二高校 ヒーロー部部室]
亜美は全員が見ている前で部室中央にあるテーブルに新聞を置いた。
高校生新聞と書かれており、一面には『WSC本戦Cブロック一回戦白熱!! 勝利の栄光は、奇跡のチーム! 童実野第二高校 ヒーロー部! チームHERO!!』と書かれていた。
祭乃木「ホントに記事になってる!! あ、見てみて! やっぱり目立つわよ、部長腕章!!」
亜美はやや興奮気味に写真に指を差した。
写真には亜美を中心に左にゆきと良平、右側にここのせと恵が写っている。
写真の中のポニーテールは鮮やかに靡き左腕につけた腕章は堂々と輝いていた。
ゆき「すごいですぅ! 写真越しでもよく映えますねぇ!」
良平「約束守ってくれたんだね」
ここのせ「約束守るっつーより絶好のネタにされたって感じだけどな」
恵「……」
そうやって新聞を覗き込んでいると、コンコンと甲高い音がドアの向こうから聞こえた。
その後、女性の声が亜美を呼ぶ。
???「祭乃木さん! いますかー? 開けますよー?」
ここのせ「あぁ? 誰だ?」
祭乃木「この声……あかねちゃんね! いいわよ!」
亜美がドア越しにも聞こえるようにやや声を張り上げて言うと、ガチャリと扉が開いて女性が入ってくる。
ショートヘアーに薄い化粧、パリッとした肌色のスーツを着た女性教師ーー中河西あかねであった。
彼女は咳払いし亜美に向けて声を出す。
あかね「ちゃんじゃありません、先生です!」
祭乃木「もー、いいじゃない。それで、どうしたの?」
あかね「あなたたち宛に荷物が届いてたから職員室で預かってたの。はい、これ」
言うとあかねは両手に持った小包を差し出した。
白い上等な包装紙に包まれていて片手にギリギリ納まらない程度の箱だった。
手前にいた良平が受け取ると意味もなく箱の四方を見る。
良平「俺たち宛に? 誰からだろ」
あかね「WSC運営委員会からよ。本戦、すごく頑張ってるわね! 教室や職員室はみんなその話で持ちきりよ! 先生もテレビで応援してたんだから!」
前のめりになってあかねが言う。
ゆきは照れ笑いをして少しむず痒い頭のうしろを触った。
ゆき「えへへ、なんだか照れちゃいますぅ……」
祭乃木「次は会場に見に来てよ! そしたらアタシたちもっと頑張るから!」
あかね「そうね、時間が取れそうなら行ってみようかしら。それで、次の相手はどんな人たちなの?」
小首を傾げるあかねに亜美は首を恵に向けた。
祭乃木「Cブロックの勝ち上がった方よね?」
恵「……次の相手はチームラグナロク……」
ここのせ「ラグナロクってどっかで聞いたような……」
腕を組んで明後日の方を見るここのせ。
ゆきは思い出したように掌に右手を当てた。
ゆき「あ、たしか、記念式典のときにクイーンさんのチームに話しかけていたあの外国の人たちじゃないですか?」
ここのせ「おー! それだそれそれ!」
あかね「まぁ! 外国のチームとなんて、本当に凄いですね! それで、試合はまたメモリアルスタジアム?」
祭乃木「どうかしら? まだなんの連絡も来てないのよね」
良平「もしかして、この荷物になんか書いてあるかもしれないな」
持っていた小包を良平は軽く振ってみせる。
かさかさと中に入っている軽いものが揺れる音がした。
祭乃木「そうね、開けてみましょ!」
良平「えっと、ハサミハサミっと……」
ここのせ「んなもん、手で開けりゃいいだろ。貸してみ」
良平から小包を取るとここのせは上等な包装紙を気にも止めずバリバリと破いて開けた。
良平「うわ、野蛮……」
ここのせ「うるせぇな、中身を破ってんじゃねぇんだからいいだろ。……ま、当たり前だけど箱だな」
中から出てきたのは白い包装紙とは裏腹に黒い箱で上面には銀字でWS C steering committeeと掘られていた。
ゆきはその箱を覗き込んで首を傾げた。
ゆき「中は何が入ってるんでしょう?」
ここのせ「開けてみっか」
箱の蓋を持ち上げると空気圧のせいか少し重たく感じる。
やがて開かれると中にはまた上等な紙質の手紙とカラフルな縦長の紙だった。
良平「これは……手紙とチケット?」
祭乃木「読んでみてよ」
良平「ええっと……『この度は、本戦第2回戦進出誠におめでとうございます。つきましては、第2回戦の詳細をお伝えいたします』」
祭乃木「おっ、丁度いいじゃない! それでそれで?」
読み上げる良平の肩を亜美は軽く叩いて先を促す。
良平「『日時:7月15日 15:30(現地時間)』
ここのせ「あ? 今日、何日だ?」
恵「……7月2日……」
ゆき「随分、間が開くんですねぇ」
祭乃木「まぁ、Zブロックまであるし、時間かかるんでしょ」
あかね「15日……もしかしたら先生も応援にいけるかもしれないわ。それで、場所はどこなの?」
良平「えーっと……ん? え?」
手紙を読んでいた良平が二度見するかのように手紙に釘付けになる。
それから目を疑うように目をギュッ瞑り、もう一度見てみた。
書いてある内容は変わらない。
ここのせ「どうした?」
良平「いや、なんか……。まぁとりあえず読み上げるよ。えっと……『会場:ストックホルムデュエルコロシアム』だって」
ゆき「え……?」
あかね「は……?」
空気が凍る。
良平のーーいや正確には手紙に書いてある内容に声を失う、
亜美はもう一度聞く。
祭乃木「え? 何? 」
良平「ストックホルム」
祭乃木「どこにあんのそれ? 何県?」
ここのせ「いや県ってか……」
まさかと思いつつも、信じられない。
亜美は恵に向く。
ヒーロー部のデータベース担当である。
祭乃木「……恵!」
恵「……ストックホルム……北緯59度20分、東経18度3分に位置する……」
祭乃木「もうちょっと具体的に!」
恵「……つまりスウェーデン……」
淡々と恵は言う。
まるで近所の地名を言うかの如く。
祭乃木「は? ……す……え? スウェーデン? 今スウェーデンって言った?」
良平「え? スウェーデンってあの北欧の?」
恵「……ん……」
ここのせ「まったまた! 名前にストックホルムってついてるだけで、群馬県とかにあんだろ?」
冷や汗をかきながらここのせは口を開ける。
しかし恵は首を振った。
恵「……違う。ストックホルムデュエルコロシアムは、スウェーデンウップランド地方ストックホルム県に存在する公正デュエル委員会公認のデュエルスタジアム……」
ここのせ「まじかよ……」
ゆき「つ、つ、つまり、私達の次の対戦は……」
その場にいる恵以外の面子はお互いの顔を見合わせて、口を揃えて声を上げた。
「「「「海外ィィ!!??」」」」
寝る前決闘空間第20話
『ヒーロー部大遠征! いざ、海を超え!』
[童実野ニ高 6組教室]
授業間の休み時間、あまりの事の重大さに亜美たちは思わずサポーター第一号の忠一とくるみんに報告していた。
くるみん「なんと、スウェーデン……! それはまた凄いじゃないか!」
茶色の長髪を振り、くるみんは目を見開い驚いた。
隣で腕を組んでいた忠一は半ば呆れたような声を出す。
忠一「なんだそれ……。なんでまたそんなところに……」
良平「次の相手がスウェーデンのチームなんだよ」
忠一「ほぉ」
くるみん「ストックホルムかぁ。水の都と言われるだけあって美しい場所だよ。私も昔、行ったことがある」
ここのせ「お前、何歳なんだよ」
見た目は明らかに同級生、よりもさらに若く見える容姿にも関わらず経験豊富そうな物言いにここのせはくるみんにジト目を向けた。
くるみん「む、天才女子高生に向かって不遜なことを言うじゃないか。……しかしいくら天才と言っても、流石にスウェーデンまで応援にいくのは難しいなぁ」
忠一「難しいじゃない。絶対無理だ」
くるみん「仕方ない。今回はリモート応援とさせてもらうよ」
祭乃木「まぁ、応援してくれるだけでありがたいわ」
事情が事情だけに亜美は腕を組んで頷いた。
それから忠一はこちらに向き直して口を開ける。
忠一「というか、君らはどうするんだ? 先立つものはあるのか?」
至極当然な質問にここのせはチケットを取り出してヒラヒラとさせる。
ここのせ「金はねぇけど、チケットならあるぜ。大会運営が用意してくれたからな」
忠一「ま、そりゃそうか。……ん? ここのせ、それ見せてみろ」
ここのせのチケットを手に取りよく見るように顔を近付ける。
そして眉を顰めて顔を上げた。
忠一「……童実野埠頭、と書いてあるぞ。船でいくのか?」
祭乃木「そうなのよ。運営がケチって飛行機用意しなかったのよね」
くるみん「しかし、船となるとだいぶ時間がかかるんじゃないのかい。貨物船なら北欧までは大凡30日と聞くよ」
ここのせ「直通ならさすがにそこまでかからねぇよ。ただ、到着が14日の朝だから10日くらいはかかるみてぇだな」
良平「船酔いしたら地獄だろうな……」
想像するだけで良平はゲンナリしてしまう。
くるみんは一息つくと腰に手を当てた。
くるみん「なるほどねぇ。……うーん、特に何もできることはないけど、せめて見送りくらいはしよう! いつ出発なんだい?」
祭乃木「明後日の朝よ」
くるみん「よし、わかった! ならば、壮大に見送ってあげよう!」
人懐っこい笑みを浮かべてくるみんはそう言った。
…………
……
…
[放課後 2組教室]
放課後になって教室がガヤガヤする中、ゆきは教科書とノートを机にとんと置き角を揃えた。
ゆき「ふぅ……」
それからカバンに入れようと手を伸ばしたところで不意に声を掛けられた。
??「あ、あの間宮さん!」
ゆき「ふぇ!?」
ビクッと肩を跳ねさせてから、声の方を恐る恐る見た。
そこには同じく2組の女子生徒2人立っていて、席に座るゆきを見下ろしていた。
女子生徒A「今、ちょっといい?」
ゆき「は、はい……。な、なんですかぁ……?」
女子生徒B「あの……これ、受け取ってほしくて……」
彼女は、両手に持った高級パックを差し出してきた。
顔は神妙で、どこか申し訳ないという顔をしている。
ゆき「えぇ!? ど、どうしたんですかぁ!?」
女子生徒A「そのなんて言うか……謝罪というか……」
ゆき「謝罪……?」
女子生徒A「うん……」
女子生徒B「あ、あたしたち、間宮さんのこと悪く思ってたの……。WSCに出るなんて無謀だし、ただの目立ちたがり屋だって……」
ゆき「そ、それは……あ、あはは……」
思わず苦笑いをするゆき。
無理もない話である。
過去の自分が見ても同じように思うだろうとゆきは想像した。
女子生徒A「 ……でもね、テレビで間宮さんがめっちゃ頑張ってるところ見て、私達、すごくカッコ悪いことしてたなって思って……。ごめん!!」
勢いよく二人が頭を下げた。
突然のことにゆきはアワアワとしながら両手を振る。
ゆき「え!? い、いえいえ! 頭を上げてください……!」
それから目を伏せてゆきは続ける。
ゆき「お二人がそう思うのも無理はありませんよ……。私は初心者でしたし……。それに何かされたわけでもないですから謝罪なんて……」
女子生徒B「ううん、ちゃんと謝ってケジメをつけたいの! それから……今更、虫がいいかもしれないけど、間宮さんのこと応援させて!!」
ゆき「へ!?」
女子生徒A「あのね、私達でお金出し合ってこれ買ったの。ちょっとでも、協力できるかなって……」
未だに差し出し続ける高級パックを見てゆきはなんだか不思議な気分になった。
それから目頭が少し熱くなってきて視界が歪む。
ゆき「そんな……!! そうだったんですね……!あ、ありがとうございますぅ……!」
女子生徒B「ちょっ、泣かないで……!」
ゆき「ご、ごめんなさい……! でも、でも凄く嬉しくて……!」
女子生徒A「宮田さん……」
それからゆきは目をゴシゴシッと右手の甲で拭き取ると差し出されていたパックを受け取った。
ゆき「ありがとうございます!! わたしたちも応援に応えられるように頑張りますから!!」
女子生徒A「うん、応援してる!」
女子生徒B「ね、次の試合いつ? 日によっては直接応援いくよ!」
ゆき「え……!? あ、あー……。し、試合は15日です……」
途端にゆきは目を泳がせた。
直接来てくれると言ってくれたことはありがたい。
とんでもなくありがたいことなのだが。
女子生徒A「15日って日曜日だよね! もしかしたら行けるかも! どこで試合するの?」
ゆき「……す……」
女子生徒B「ス?」
ゆき「……スウェーデンです……」
女子生徒A B「「え?」」
…………
……
…
それから二日後。
出発の日。
ここのせは、良平宅の前で手を振った。
ここのせ「おーい良平ー」
良平「ごめんごめん」
カフェlikeの出入り口から少し大きめのリュックを背負って良平と良平の母が出てきた。
良平母「あら、ここくん、こんにちは! ここくんと一緒に埠頭までいくのね」
ここのせ「どもっす。……そのここくんってのやめてくれよ……。チョコワみたいじゃねぇか……」
良平母「ここくんはここくんなのです。……良くん、はいこれ。みんなで食べてね」
そう言って良平の母は風呂敷に包んだ大きな弁当箱を押し付けるように良平に持たせた。
良平「わっ、ありがとう」
良平母「それにしても急に外国なんて。デュエルって凄いのねぇ」
ここのせ「オレたちもこんなことになるたぁ思っちゃいなかったっすよ」
良平母「ホントねぇ。でも亜美ちゃんやここくんも一緒なら安心なのです」
ここのせ「へへ、期待して待っててくれよ! 良平が有名になりゃ、カフェlikeも安泰になるぜ!」
良平母「期待してるわよ、良くん!」
良平「変な期待しないでくれ……。じゃあ、行ってきます!」
良平母「はい、行ってらっしゃい! ここくんも!」
ここのせ「おう!」
良平の母は遠ざかっていく息子とその友人の背中を見えなくなるまで見送っていた。
一方、天神地区にあるゆきの家の前で亜美がインターホンを鳴らす。
祭乃木「よし、時間ぴったり!」
すると待っていたかのように玄関が開いてゆきが出てきた。
背中には小さなリュック。右手にはボストンバックを持っている。
ゆき「おはようございます、祭乃木さん!」
祭乃木「おはよ!」
挨拶を交わすと後からゆきの母も玄関から現れた。
彼女は亜美を見ると頭を下げる。
ゆき母「あぁ、祭乃木さん、こんにちは。お迎えありがとうね」
祭乃木「なんてことないですよ!」
ゆき母「ゆき、着替えちゃんと持った? お財布はいくつかにわけて持っておかなきゃだめよ? それから……」
ゆき「だ、大丈夫だって! お母さん心配しすぎ!」
ゆき母「心配もするわよぉ。だって急にスウェーデンなんて言われたから」
ハラハラとしてるのを隠そうともせずにゆきの母はゆきを見据える。
そんな様子に亜美は笑いながら胸を叩いた。
祭乃木「大丈夫よ! アタシもいるしみんないるもの! ゆきのお母さんは、安心して応援してくれて大丈夫ですよ!」
ゆき母「まぁ……! 相変わらず頼もしいわ、祭乃木さん! 娘を……ゆきを頼みますね……!」
深々と亜美に向けて頭を下げるゆきの母。
その様子にゆきは顔を赤くして頬を膨らませた。
ゆき「もぉー、おかーさん! 私と祭乃木さんは同級生だよ!?」
ゆきの母も、わかってるんだけど……なんて小さく言うので亜美はなんだかおかしくなって笑った。
祭乃木「あっはっは! ……さぁ、ゆき、行くわよ!」
ゆき「……はい! じゃあ、お母さん! 行ってきます!」
二人は手を振ってゆきの母に別れを告げた。
並んで歩き、談笑しながら遠ざかる娘の背中を見ながらゆきの母は誰に聞かれるわけでもないのに感慨深そうに言った。
ゆき母「……行ってらっしゃい。ゆき、祭乃木さん」
[童実野埠頭]
童実野埠頭は、東京湾に面していて浦賀水道を超えた先に太平洋が広がっている。
桟橋には巨大な客船が横付けされており、時折警笛を鳴らしていた。
広い桟橋前の海沿いにポツンと銀髪のツインテールが立っているので亜美は少し離れた場所から声を出した。
恵「……」
祭乃木「恵ー!」
恵「……」
亜美の声に反応して無表情を向ける恵。
亜美は慣れた様子で前に立つ。
祭乃木「先についてたのね!」
恵「……こんにちは……」
祭乃木「はい、こんにちは! うーん、いい天気ね!」
雲が散りばめられた青空に太陽は煌々と照らしていた。
潮の香を乗せた風が彼女たちの髪を揺らす。
そこに良平とここのせも歩いてきた。
良平「天気良くてよかった」
祭乃木「お、アンタらもきたわね!」
ゆき「おはようございますぅ!」
良平「うん。おはよう」
ゆき「わたしも晴れてて安心しましたぁ。あんまり揺れちゃうと酔っちゃいそうなので……」
ここのせ「あんだけ船体がデカけりゃ、余程じゃなきゃめちゃくちゃに揺れたりはしねぇよ」
腰に手を当ててここのせは留まる船を見上げる。
200メートルを超えそうな全長に背の高いキャビンとデッキ。
氷山にさえぶつからなければ到底沈みそうもない。
良平「そうなの?」
良平の疑問に答えようと口を開きかけたとき、後ろから女性の声と複数の足音がした。
「質量が大きければ揺らすのにもそれ相応の力が必要、ということさ」
振り向くと茶色の長髪、後ろには背の高いメガネの男子。
さらに見知らぬ童実野二高の女子が2人にあかねがいた。
ここのせ「ん? ……おぉ、お前ら!」
くるみん「や、ヒーロー部諸君! 見送りにきたよ」
くるみんは布を抱えてる左手とは逆の手をあげて答えた。
祭乃木「あ! くるみん! それに忠一もホントに来てくれたのね!」
忠一「ま、これくらいはね。それに俺たちだけじゃないぞ」
忠一が横を見るとそこにはスーツ姿のあかねがいて、亜美に向けて声をだした。
あかね「来たわよ、祭乃木さん」
祭乃木「あかねちゃん!」
あかね「ちゃん、じゃありません! 先生です! 」
それから後ろに控えていた女子二人がゆきを見て彼女の前に駆け出した。
2組女子生徒A「間宮さん!」
2組女子生徒 B「よかった、間に合った!」
ゆき「あ! お二人とも!! 来てくれたんですね!」
2組女子A「うん。流石にスウェーデンは無理だから、せめてね」
そんな会話を傍目から見ていたここのせは思わず声を漏らす。
ここのせ「おいおい二組の連中まで見送りにくるたぁ、豪勢だな」
忠一「豪勢って、5人だぞ……」
言葉尻を捕まえて忠一が言うと良平が肩をすくめて言う。
良平「0よりマシだよ。でもよく来れたね。平日なのに」
忠一「中河西先生に引率してもらうって約束でくるみんが強引に取り付けたんだ」
くるみん「えっへん」
祭乃木「ありがと、あかねちゃん!」
あかね「感謝してるなら、先生をつけてよね、祭乃木さん」
思わずため息をついてあかねは苦笑いする。
亜美は笑いながら手を振った。
祭乃木「硬いこと言わないでってば〜」
そんな会話をしていると船がボウと警笛を2回鳴らす。
くるみん「おっと、時間は大丈夫かい?」
祭乃木「あー、そうね、そろそろ行かなきゃ!」
腕時計をちらと見て亜美は言う。
くるみんは胸に手を当てて言葉を返した。
くるみん「君たちの旅に幸運がありますように」
続いて忠一たちも声を出した。
忠一「いってらっしゃい」
女子生徒A「間宮さん! 頑張ってね!」
女子生徒B「日本から応援してるから!」
ゆき「はい!」
「お見送りは済んだかしら? HERO girl? いえ、team HERO!」
不意にやや大きめの声がした。
全員がその声の方を振り向く。
そこには5人の女性が立っていた。
着用しているのは青い制服。
ゆき「……あぁ!」
祭乃木「あ、アンタたちは!」
ゆきが指を差し亜美は声を上げる。
青い制服の5人ーーチームツンドラのメンバーがそこにはいた。
神川「Hi! お久しぶりネ! team HERO!」
ツァン「し、知らない人がいっぱいいる……。ボク達、アウェーじゃない……?」
麗華「関係ありません」
雪乃「うふふ、久しいわね、ボウヤたち」
ここのせ「てめぇら、チームツンドラ!?」
良平「……ってことは……」
恐る恐る良平は端を見ると同じくこちらを刺すように睨む黒髪ロングの女子生徒ーー金 唯信が当然のように歩いていた。
唯信「……」
良平「……やっぱいるよなぁ……」
亜美は中央に立つチームリーダー 神川ノエル美優に対峙すると腰に手を当てた。
祭乃木「何よ、アンタたちも見送ってくれるってわけ?」
神川「見送り? Non non! ワタシたちは付き添いよ!」
ゆき「へ?」
良平「付き添い?」
ここのせ「一体どういうサービスだぁ、そりゃ?」
腕を組んで訝しむここのせに対し、最右端に立つショートカットに黒縁メガネの女子生徒ーー林原麗華が中指でメガネを押さえながら言う。
麗華「WSCは公正デュエル委員会、教育委員会の他、海馬コーポレーションも協賛しています。その傘下である我々デュエルアカデミアもスタッフとして駆り出されているのです」
雪乃「そこの大きな船も、デュエルアカデミアのものなのよ」
良平「ホントだ……。アークティック校行きって書いてある……」
ここのせ「あぁ、そっか! アークティック校はスウェーデンにあるんだったな!」
ツァン「あ、アンタたちをスウェーデンまで案内してあげるんだから、感謝してよね!」
祭乃木「ふーん、そういうことね」
亜美は納得が言ったと頷く。
そんな両チームの対等な会話に童実野二高の他のメンバーは遠巻きで固唾を飲んでいた。
あかね「デュエルアカデミアの……。本当に凄いわね……」
2組女子生徒A「雲の上の話だね」
2組女子生徒B「ねー」
そんな最中、停泊している船が一際大きく長く汽笛を鳴らす。
出航間際の合図であった。
神川はヒーロー部の横を抜けて船のタラップに足をかけて振り向く。
神川「さぁ、時間よ! Get on!」
祭乃木「よし、行くわよ! アンタたち!」
亜美は声を張り上げて一歩踏み出した。
ヒーロー部は彼女に続き、タラップを登っていく。
潮の香が一際強くなって独特の浮遊感を感じた。
[船上 左舷デッキ(甲板の意味の方)]
やがてタラップが格納され、波の音が大きくしたかと思うと船全体がぐんとわずかに軋んだ。
ここのせ「おっ、動いた」
良平「ホントだ、意外と揺れない」
祭乃木「みんなー!!」
亜美は柵から身を乗り出して、桟橋に残る者に手を振った。
ゆきは彼女の腰を抑えるようにしてアワアワと声をだす。
ゆき「あ、危ないですよぉ!」
良平「祭乃木なら大丈夫だよ」
ここのせ「最悪、泳げるしな」
恵「……ユニーク……」
[童実野埠頭 桟橋]
一方の桟橋では、くるみんが笑いながら振り向き抱えていた布の束の一部を忠一に持たせた。
くるみん「よし、水原くん! やるよ!」
忠一「はいはい」
くるみん「中河西教諭! それにお二方! 悪いけど手伝ってもらうよ!」
忠一「端持って」
丸まった布から飛び出ている布の端を目で指す。
あかね「あぁ、はい!」
女子生徒B「こ、こうでいいの?」
女子生徒A「持ったよ!」
くるみん「しっかり持っていてくれたまえ! ではいくよー!」
忠一「……」
くるみんと忠一は走り出し、布を一気に広げた。
バッと潮風に押されて帆を張るように布が鳴る。
その布には手書きではあるが大きな文字でこう書いてあった。
〔いざ、大遠征!! 海外に その名を馳せろ ヒーロー部!!〕
それから布を持っていない方の手を大きく振って各々が叫ぶように、出航していく船に声を出す。
くるみん「Buon viaggio!!!」
忠一「勝って戻ってこい! ヒーロー部!」
あかね「待ってるわよー!」
女子生徒A B「「頑張ってねー!!」」
[船上 左舷デッキ]
船からもよく見える横断幕にゆきは思わずわぁと声を漏らす。
亜美は力強いものを感じさらに身を乗り出したり
祭乃木「ほんっと、アイツら……!! ーーー絶対、勝つからぁぁぁ!! 見てなさいよぉぉ!!」
桟橋は遠く離れ、人は米粒のようなサイズになっていく。
それでも亜美は声を出しで大きく大きく手を振った。
申し訳ございませんがしばらくデュエルなし回が続きます……。
ただストーリーを進める上で必要なので……!
ぜひお付き合いください!!
またここまで読んでいただいた方、お気に入りに登録していただいた方、本当にありがとうございます。
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