遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
したがって今後、アンケートの様子をみながら形式をシフトしていくかもしれません。
また感想等お聞かせください!
※今回はこれまで通りで作ってます。
ネオ童実野シティの埠頭を出港した船は順当に海を割いて進んでいく。
船内の4階、デュエルスペースの個室ではソリッドビジョンシステムが作り出す精巧なビジョンが投影されていた。
白銀の機龍--サイバー・ドラゴンが口にエネルギーを貯めて一気に解き放つ。
閃光は対面していた決闘者--日和田良平に向かっていきその身体を穿ち抜いた。
良平「ぐぅ……!」
LP:150→0
唯信「……フンッ」
LP300
サイバー・ドラゴンの後方に佇む金 唯信は長く美しい黒髪を靡かせて腕を組んだ。
互いのデッキは薄く墓地のカードが上回る激戦の後が見えた。
深く一息をつく良平を尻目に唯信は口を開ける。
唯信「さぁ!! もう一度ダッ!!」
良平「ちょっと休憩させろよ!! もう20回くらいやってんだぞ!!」
額から流れる汗を拭って良平が言い返す。
ソリッドビジョンシステム機は、暖房かとまごうほど熱くなっている。
見かねて横で観戦していたツァンが唯信に向く。
ツァン「今日はここまでにしなよ。アイツ、疲れてプレミしてたよ」
唯信「フンッ、軟弱な奴め」
良平「20戦もしたら誰だってこうなるって……」
ツァン「……それにしても……」
と今度は良平に向くツァン。
彼はデュエルフィールドからカードをまとめてデッキに戻している。
ツァン「ボクは1勝2敗、金さんは10勝9敗……。アンタ、なんなの?」
良平「なんなの、って……」
あんまりな物言いだと良平は口ごもる。
アカデミア相手に必死に応戦した結果なのだがツァンからは怪訝な結果に映るらしい。
ツァン「運命力はボクや金さんの方が強いはずなのに、先読みしてるみたいに対抗策があるんだもん。文句も言いたくなるよ!」
良平「だから、たまたまだって……」
まるで超能力や天才的なプレイングかのように評されても過大評価である。
良平は眉を八の字にして苦笑いする。
横から足がして唯信も二人に近づいた。
唯信「……コイツの強さは運命力ではなイ。小癪にも場をコントロールすることで、相手を支配してル」
良平「いや言い方……」
ツァン「そうだね。その後で、それを突破してこようとした所、足をすくってくるってわけか」
良平「そういう意味じゃ六武も一緒だと思うんだけどな……。展開力も段違いだし……」
ツァン「そうだね。ボクの六武衆は、展開力がウリだから。けど、六武には能動的に相手を除去する手段が少ないし、打点が足りないこともあるの。そこはプレイングで何とかするしかないね」
良平「そっか。俺はあんまり火力不足のように感じなかったけど、君のプレイングがうまかったんだな」
ツァン「なっ……!べ、別にアンタに褒められても嬉しくないしっ!! 」
顔を赤くして ツァンはぷいとそっぽを向く。
そんな様子に良平は地雷を踏んでしまったかとひやりとして声を出した。
良平「え、ごめん」
ツァン「別に怒ってない! ……アンタのは、除去手段が多いよね」
良平「そうだね。幻獣機も打点が足りないこともあるけど、確かに場はコントロールしやすいかも。それにエクストラデッキの高ランクエクシーズで打点は補充できるしね」
ツァン「なるほどねぇ。ボクもエクストラちょっと弄ろうかな……」
良平「六武は汎用ランク4を無理なく積めるのがいいよな」
ツァン「その分、バランスも大変だけどね」
大変、といいながら愛おしそうにツァンは自分の腰にあるデッキケースを撫でた。
それから唯信がずいと良平に肉薄し睨み飛ばす。
唯信「オイ、日和田良平。貴様のエクストラを見せロ」
良平「え? な、なんで?」
唯信「いいから見せロ!」
良平「怖いよ……」
三白眼に射抜かれた良平はデッキケースからカードを引き抜いて唯信に渡す。
唯信は普段の乱暴な態度とは裏腹にカードを丁寧な手つきで受け取った。
相変わらず鋭い目付きと言動に良平は ツァンに顔を近づけて声を顰めて言う。
良平「な、なぁ、金唯信っていつもあんなんなの……?」
ツァン「ちょっ……!! ち、近いよ……!!」
グイッと顔を赤くして ツァンは良平を押し除けてから咳払いをした。
ツァン「んっん……! 金さんは、気難しいけど優しいよ。ただ強い相手とデュエルするときはセーブできなくなるけど……」
ツァンの言葉に良平は怪訝な顔をした。
強い相手、と言われることに関しては悪い気はしないが手心がほしいと思ってしまう。
ただ一方で強い相手とデュエルした時に感じる心臓を鷲掴みにしたような血液の激流と強烈な高揚は良平も感じることはある。
故に気持ちはわからなくもない、というのは言外の感想だ。
唯信「日和田良平ェ……!!」
不意にクワッと目を見開き、唯信は良平を睨みつける。
良平「な、なんだよ……?」
唯信「なんだこの腑抜けたエクストラデッキは!」
良平「ふ、腑抜け?」
ツァン「なになに?」
エクストラ受け取り、シャッシャッと流して見てみると規定の枚数である15枚にギリギリ届いていなかった。
ツァン「あー、枠が余ってるんだ」
唯信「貴様……手を抜くとはいい度胸ダナ」
良平「て、手抜きじゃないよ!」
慌てて反論する良平。
それから両手を腰に当てて言葉を紡ぐ。
良平「あのなぁ、俺たちはお前たちと違って少ないお小遣いでカードを集めてるんだぞ! そうそう使えるエクストラなんて手に入らないんだよ!」
ツァン「うわぁ……なんか世知辛い……」
唯信「……チッ……!」
舌打ちをした後、唯信はツカツカと踵を返し部屋の端に置いた自分の荷物に手を伸ばす。
ガサゴソとストレージボックスを取り出し、中に入っているであろうカードを弄る。
その中から2枚カードを取り出すとそれを良平に向けて投げた。
良平「うわっ!?」
不意なことにそれらは良平の頭に当たる。
バラバラと音を立てて足元に転がった。
ツァン「もぅ、ちゃんと取りなさいよね!」
文句を言いながらツァンは急いで拾い上げて埃を手で払ってから良平に差し出した。
良平「ててて……あ、ありがとう」
ツァン「別にアンタのためじゃないから! カードのためだから!」
良平「わかってるよ……」
それから受け取ったカードに目を落とす。
黒い枠にカード名は金色に彫り込みが施されていて星の数も多い高ランクのカードであった。
良平「ダークアンセリオンドラゴン、ビックアイ……。どっちもランク7、しかもウルトラレアじゃないか! こんなレアカード貰えないよ」
唯信「黙レ。完璧な状態の貴様を潰さなければ意味がなイ。……貴様のデッキは強引な力押しに弱い。せいぜいそのカードで補強するがいイ」
良平「お、おう」
唯信「……3日間猶予をやル。その間にデッキを調整し、戦術を用意してこイ」
ピシャリと言い放つと唯信は黒い髪を靡かせて歩いていき、やがて自動ドアから外に出て行った。
ツァン「あっ、金さん! ……行っちゃった……」
良平「カードはありがたいけど、あの暴力的なところは何とかならないのか……」
ツァン「でもカードまであげちゃうなんて、アンタのこと相当気に入ってるよ」
良平「ホントかよ……」
ツァン「うん。実際ああやって固執するのは、アンタとチーム煉獄のあの男くらいだもん」
良平「チーム煉獄の男って、あのインフェルノイドの……? アレと一緒なの……?」
ツァン「一緒じゃないよ。アイツには、恨みしかないと思うもん」
言ってから ツァンは一息置く。
静寂が降りると僅かながら床が上下していてここが船の上だと思い出させた。
窓の外は燦々としていて気候からまだ日本の領海内にいるらしいことがわかる。
ツァンは良平の隣で壁に寄りかかると視線を足元に向けた。
ツァン「……ねぇあんたさ」
良平「ん?」
ツァン「あんたたちがどこまで勝ち上がれるかわからないけど……。勝ち上がるつもりなら、チーム煉獄には気をつけた方がいいよ」
良平「わかってるよ。インフェルノイドは強力なデッキだし、他のメンバーもいいデッキ使ってる」
ツァン「そうじゃなくて! あのインフェルノイド使い、なんかおかしいんだよ」
良平「おかしい? どういうこと?」
ツァン「……ボクたちが、去年、予選でチーム煉獄と闘ったのは知ってる?」
良平「うん。動画で見たよ。ダイジェストだったけど」
ツァン「ラストプレイヤーだったあの男と、セカンドプレイヤーだった金さんのデュエル……。状況的に金さんが有利だった。手札も墓地もある。攻撃を通しても問題ない状況だったんだ。けど……」
ツァンはその日に感じたであろう苦々しい想いを顔に出して言葉を紡いだ。
[回想]
当時の会場はネオ童実野デュエルスタジアムで、両チームのスタンド席にはアカデミアの生徒や保護者、それ以外にもプロ関係者等で満席となっていた。
電光掲示板にはチーム煉獄とチームツンドラのチーム名が表示されており、ツンドラ側に一つ黒星がついていた。
フィールドには双方蒼い制服のデュエリスト。片や2機の白銀の機龍が咆哮しており、片や蒼炎を纏う黒いドラゴンが嘶いている。
阿久津『インフェルノイド・ティエラ!! あいつをぶち殺せぇぇ!!』
LP:1900
インフェルノイド・ティエラ『ゴァァァァッ!!』
攻:3400 炎 悪魔族 星11
蒼炎の黒龍が空間を震わせながらエネルギーを口蓋に集めていく。
対峙する唯信はくだらないと言いたげに鼻を鳴らす。
唯信『フンッ……』
LP4000 手札3
キメラテック・ランページ 『ギァァァァッ!』
闇 機械族 星5 攻:2100
サイバー・ドラゴン・インフィニティ『ガァァァァァッ!』
光 機械族 ランク6 攻:2700
ライフポイントは4000かつフィールドにはエース級モンスターが二体。
一方、阿久津のフィールドにはインフェルノイド・ティエラのみ。
ライフアドバンテージもある。
ダメージを受けたところで唯信の優勢は変わらない。
しかし。
インフェルノイド・ティエラのソリッドビジョンにノイズが走る。
ピリピリとした静電気のような何かが、否もっと不気味で圧力のある何かが取り巻いた。
唯信『なんだ……?』
インフェルノイド・ティエラ『ギギァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
耳を劈くような咆哮を上げてインフェルノイド・ティエラは紫色の光線をサイバードラゴン・インフィニティに向けて吐き出した。
直撃を受けたサイバードラゴン・インフィニティは数秒のうちに装甲が剥がされ爆散する。
唯信『……!!』
唯信ははっとして見上げる。
サイバードラゴン・インフィニティを貫いた光線が自身に向かっていた。
ばちばちと周囲をイオン化させる程のエネルギーを秘めたそれが高速で。
唯信は本能的に飛び退いて避けるも足元に着弾した光線が一気に熱風と化して周囲を爆発させた。
凄まじい衝撃波が発生し、唯信の身体を跳ね飛ばす。
唯信『ぐぁぁぁぁッ……!!!?』
受け身も取れずに空中に投げ出され、錐揉み状になりながら頭から痛烈に床に叩きつけられた。
唯信『ガッ……!』
ぐちゃりと嫌な音がして視界にチカチカと閃光が散るような感覚に陥る。
身体は鉛のように重く、頭は熱湯を浴びたように熱い。
[ツンドラ側ベンチ]
ツァン『金さん……!!』
神川『ユシン……!!』
雪乃『な、何が起きたの……?』
[デュエルフィールド]
唯信『ぐっ……』
フラフラと起き上がると額から血が流れ落ちていく。
『おぉぉっとぉぉ!!? これはアクシデントかァァァァァァァァ!!?』
唯信『き、貴様ァ……! 何をしタ……!?』
開かぬ片目を瞑り、片足を着きながら唯信は相手を睨む。
視界が揺らぎ赤く染まっていく。
阿久津は冷たくこちらを見下していた。
阿久津『しらねぇよ、てめぇが勝手に吹っ飛んだんだろうがよ』
麗華『中断しましょう! はやく医務室に……!』
ベンチメンバーがベンチを飛び出しフィールドに駆け寄る。
『これはデュエル中断かァァァ!!? その場合は、棄権とみなされ、チーム煉獄の勝利となるぞォォ!?』
唯信『ふざけるナッ……!! はぁ、はぁ……続行すル……!!』
血がぼたぼたと滴るのを手で抑えながら唯信は敵を睨む。
やがて身体を無理矢理立ち上がらせると覚束ない足取りで揺れていた。
ツァン『無理だよ!!』
唯信『うるさイッ……!! 卑劣な真似しおって貴様ァ!! ……ッ……! 絶対に……許さン……!』
ツァン『金さん……!』
[回想終わり]
…………
……
…
その当時のことを話し終えると ツァンは小さく一息をつく。
良平は神妙な顔で顎に手を当てて聞いていた。
ツァン「結局、途中で金さんが気を失っちゃって……」
良平「動画でボロボロだったのはそういうことだったのか……。えっと、それはつまり、ダメージが実体化したってこと……?」
ツァン「多分……」
良平「……そんなことある?」
ツァン「だってそうとしか思えないんだよ! ……正直ボク達も詳しくはわからないんだ。金さん、あの時のこと話したがらないし……」
良平「……」
ツァン「とにかく! アンタらも気をつけてよね!」
良平「……わかった。ありがとう」
ツァン「べ、別にアンタのためじゃないから!! ボクがまた嫌な気分にならないようにしたいだけだから!!」
またしても顔を赤くしてぷいとそっぽを向く ツァン。
しかしその忠告の真意に紛れもなく人を案じる彼女の優しさを良平は感じざるを得なかった。
…………
……
…
[夜 女子部屋]
船が外洋に出た辺りでようやく太陽が沈み、月が顔を覗かせた。
沈みゆく太陽を追うように進んでいたが流石に追いつくことはできないらしい。
亜美は割り当てられた部屋の3つあるベッドのうち一番奥に寝転がりながら自分のデッキを見つめた。
祭乃木「……」
『ーーその覚悟はできているかしら?』
美優のーー同級生のライバルの言葉が脳裏に過ぎる。
しがらみを背負う覚悟があるかと。
彼女はそう言った。
祭乃木「覚悟、か……」
ぽつりと呟いてカードたちを眺める。
祭乃木(……考えたこともなかったわね。今までは目の前のデュエルに熱中してたし。これからもそれは変えるつもりはないけど……。いつか、そういう楽しいだけじゃないデュエルをする日が来るのかしら。……正直、全然ピンとこないわ……)
ゆき「……えい!」
ピトッと不意に冷たいものが頬に押し当てられる。
結露していた水滴が頬を濡らして冷たさがより際立った。
祭乃木「冷たっ!!?」
亜美は思わず飛び起きてそちらに首を向ける。
するとそこには両手にお茶のペットボトルを持ったゆきが立っていてイタズラっぽく笑っていた。
ゆき「えへへ……」
祭乃木「ちょっと〜、何すんのよ〜」
ゆき「えへへ、ごめんなさい!」
後ろには恵が無表情に立っていて様子をじっとみていた。
恵「……」
祭乃木「あれ? 恵、いつの間に帰ってたの?」
恵「……27秒前……」
ゆき「お茶を買いに行った帰りに会ったのでそのまま一緒に帰ってきたんですぅ」
祭乃木「そうだったんだ」
ゆき「祭乃木さんは、何か考え事ですか? 難しい顔してましたよ」
祭乃木「あー、大したことじゃないのよ。美優が言ってたこと思い出しててさ」
ゆき「あぁ……」
ペットボトルを一つ亜美に渡すとゆきは眉を八の字にした。
船内のカフェで青い制服の彼女達の話を思い出してゆきは苦く笑った。
ゆき「流石にアカデミアはスケールが違いましたねぇ……」
恵「……?」
祭乃木「あぁ、お昼にお茶したときにそんな話になったのよ。スポンサーがどうとかって」
恵「……なるほど。競技デュエルの場合は、スポンサーからの指示で着用物等に制限がつくことがある……」
祭乃木「うん。けど、正直ピンとこないのよね。何か背負うったって、結局デュエルはデュエルでしょ? 負けていいデュエルなんてないんだから、責任も何もって感じなのよ」
ゆき「あ、でも、そういう"責任"ではないですけど、何か背負うっていうのはちょっとだけ気持ちがわかるかもです」
祭乃木「え? そうなの?」
ゆき「えっと……」
ゆきは自分のカバンをゴソゴソとしてから、ケースを取り出して中に入っていた金色のパックを取り出して見せた。
ゆき「これです!」
祭乃木「高級パックじゃない。買ったの?」
ゆき「いいえ! 実はこれ、篠原さんと相澤さんにいただいたんです!」
祭乃木「えっと、見送りに来てくれた2組の子たちよね?」
ゆき「はい! お二人が応援したいって言ってくれたんです!」
祭乃木「へぇ、そうなんだ!」
ゆき「お二人だけじゃありません。水原さんやくるみんさん、それに中河西先生にお母さん……。色んな人が応援してくれてます。その期待に応えたいなって……。こういうのも、背負ってるってことなんじゃないでしょうか?」
祭乃木「……そっか。そうよね。アタシも決勝戦のとき、みんなの想いを無駄にしたくないって思ってデュエルしてたわ。案外そういうこと、なのかもしれないわね」
恵「……結論をすぐに出すのは不可能と思われる。無闇に悩むのは得策ではない……」
祭乃木「そうね! やめやめ! 考え込むのはアタシの柄じゃないわ! そういうのは良平の仕事よ! 」
ゆき「あはは!」
祭乃木「ねぇ、ゆき! せっかくだからそれ開けてみてよ!」
ゆき「そうですね! では……!」
慎重に端からパックに切れ目をいれていく。
スライドすればカードが見えるというところまで開けるとゆきは一息ついた。
ゆま「や、やっぱり緊張しますね……」
祭乃木「自払じゃないにしても高級パックだもんね」
恵「……」
ゆき「いきます!」
覚悟を決めてカードを取り出す。
シャッ、シャッ、シャッ、シャッとカードをスライドさせていく。
ゆき「あっ……!」
一番最後のカード。
金字にカード全体が光るカードが現れた。
炎の剣を持った騎士でゴット・フェニックス・ギアフリードと書かれていた。
祭乃木「おぉ! ウルトラレアじゃない! ゆき、アンタ、運いいわね!!」
恵「……炎属性戦士族……。焔聖騎士ローランや聖騎士の追想イゾルデのサーチに対応している……」
祭乃木「デッキに入れられそうね! 早速、デッキ調整しましょ!」
ゆき「はい!」
恵「……手伝う……」
カードを持ち寄って三人は夜を過ごす。
波の音は静かに静かに月の下を流れていった。
…………
……
…
[11日後 朝 男子部屋]
船は勇ましく汽笛を鳴らす。
海神が答えるが如くこだまして蒼海に響き渡った。
船内の男子部屋のベッドは荒れ放題で、ここのせも良平も好き勝手に寝返りを打っていた。
ここのせ「くー……くー……」
良平「……うーんzzz……うーん……zzzサイドラはもうみたくない……!」
不意にドンドンドンドンッと強くドアを叩く音がして微睡から覚めた。
続いて亜美の高い声が聞こえた。
祭乃木「こらー!! アンタたちー!! いつまで寝てんのー!! さっさと起きなさーい!!」
ここのせ「んあ……? あー、朝か……」
良平「うーん……うーん……メガフリートはやめてくれ……zzz」
ムクリと起き上がると、隣のベッドではいまだに身体をくねらせてもにょもにょと寝言をのたまう良平がいた。
ここのせ「うなされてら」
ドンドンドンドンッとさらにドアが鳴る。
祭乃木「良平ー! ここのせー! 朝飯食いそびれるわよー!」
ここのせ「はいはいはい……」
渋々といった様子で寝起きそのままでここのせはドアをあけた。
半開きの目で見てみるとしっかりと身支度を整えて制服を着た女性陣が並んでいる。
祭乃木「やっと起きたわね」
ゆき「あはは、ここのせさん、寝癖ついてますよ」
恵「……ユニーク……」
ここのせ「今起きたばっかりなんだから、しゃーねぇだろ」
祭乃木「あと一時間で着くわよ! さっさと身支度して、飯食いなさい!」
ここのせ「わーったよ、かーちゃん」
祭乃木「誰がかーちゃんよ!」
ゴッと素早く出たチョップが寝ぼけたここのせの額にクリーンヒットする。
ここのせ「痛ぇ……」
良平「うーん……サイバー流はもうゴリゴリだ……」
それから1時間後、船はスウェーデン ストックホルム バッタハムン港に着岸した。
レンガ造りの建物やストックホルム市庁舎、ストックホルム宮殿などなどがヒーロー部を出迎える。
亜美は一番乗りに港に足をつけると開放感を味わうように伸びをした。
祭乃木「ついたー!!」
ゆき「わぁぁぁ、凄い綺麗なところですねぇ……!」
ここのせ「アジアじゃ絶対見れねぇ街並みだなこりゃ」
良平「はぁ……」
最後尾でノロノロと降りてきた良平が背中を丸めてため息をつく。
ゆき「どうしたんですか? 何かつかれてます?」
良平「いや、ちょっとね……」
ここのせ「こいつ、船にいる間、ツンドラの連中と朝から晩までデュエルしまくってたんだぜ」
ゆき「わぁ、ちゃんと特訓してたんですね! 凄いですぅ!」
良平「違う……。無理矢理だったんだ……」
ここのせ「最後の方は引き摺られてたからな」
恨み言を言いながら唯信に引きずられていく良平を毎日のように見送っていたここのせが思わず肩をすくめる。
麗華「皆さん、よろしいでしょうか?」
ヒーロー部に続いてタラップから降りてきた青い制服たちの内、麗華が全員を見渡して言う。
麗華「明日の2回戦までの間、自由に過ごしてもらって構いませんが、いくつか注意事項がありますので、よく聞いてください」
祭乃木「なんか修学旅行みたいね」
ここのせ「となると、林原は委員長だな」
ツァン「ちょっと、ふざけてないでちゃんと聞いてよね! 何かあったらボクたちの責任になるんだから!」
祭乃木「あはは、ごめんごめん」
麗華「自由行動についてですが、基本的にストックホルム市内を出ないようにしてください。したがって電車の使用は禁止です」
神川「ちなみに一日一本なんてこともザラにあるワ! Japanのノリで電車に乗ると痛い目見るわよ!」
ゆき「そうなんですねぇ……」
麗華「それから、皆さんが本日宿泊する施設は、デュエルアカデミア アークティック校の生徒寮になります。門限が20時までになっておりますので、それまでには帰ってきてくださいね」
祭乃木「りょーかい!」
亜美は麗華の説明に大きく頷いた。
すると美優が何か小さな冊子のようなものを投げてよこす。
神川「HERO girl!」
祭乃木「おっと」
神川「ここらへんのMAPよ! 使って!」
祭乃木「気が効くじゃない! ありがとう!」
神川「your wellcome! 何か困ったらLINEして! ワタシ達はアークティック校で待機してるワ!」
祭乃木「わかったわ!」
麗華「では我々はここで」
[ストックホルム 街中]
チームツンドラと別れてからヒーロー部は見慣れぬ街をぶらぶらと歩く。
心なしかバイオリンの音がどこかから聞こえる。
童実野二高制服で歩いているアジア人ということで幾分か目立つらしく、少しばかり視線を感じた。
ここのせ「さて、どうすんだ? どっかで作戦会議でもすっか?」
祭乃木「そうね……。作戦会議も必要だけど、午後からにしましょ!」
ゆき「そうですね! せっかくなので、色々見て回りましょうか!」
祭乃木「アタシ、行きたいとこあるんだけど、いいかしら?」
良平「行きたいところ?」
祭乃木「うん! アンデルセン記念館よ!」
ここのせ「ああ……世界に一枚しかねぇっていう宝玉獣のカードが展示されてるとこか?」
良平「へぇ、見てみたいな」
ゆき「行ってみましょう!」
祭乃木「よっしゃ! ……で、場所はどこかしら?」
恵「……徒歩で30分程度。案内、する……?」
祭乃木「できんの!?」
恵「……ん……」
コクリと頷き、ついてこいと言わんばかりに恵は歩き出す。
ここのせ「マジで一家に一台恵ナビだな……」
恵は迷うことなく歩いていき、いくつかの道を縫うように進む。
レンガ作りの建物は日本にはあまり見られないため一向はお上りさんのようにキョロキョロとする。
途中、半倒壊したレンガの建物もあって地震のような揺れには弱いのかもなどと亜美は思った。
[ストックホルム アンデルセン記念館]
やがて建物が少なくなり開けた場所にでたと思った矢先にそれは現れた。
入り口にはルビーがついたカーバンクルの銅像があり、全体的にガラス張りの横に長い長方形の建物である。
恵の足はそこで止まり、こちらに向いた。
恵「……ついた……」
祭乃木「おぉ〜、ここがそうなのね」
ここのせ「おぉ、あっちの方にはデュエルフィールドがあるんだな」
良平「流石、デュエルモンスターズの記念館だね」
ゆき「さっそく入ってみましょう!」
テクテクと5人は並んで歩いて行き自動ドアをあける。
中も丁重な様式で非常にオシャレな作りになっていた。
ゆき「そういえば、ここに展示されているのはどういうカードなんですかぁ?」
良平「宝玉獣っていう世界に1枚しかないカード群らしいんだよね。効果はよく知らないや」
恵「……宝玉獣。7種類の宝石の名を冠したモンスターと、その究極体、究極宝玉神レインボー・ドラゴンを擁するテーマ……。フィールドで破壊された場合、宝玉化し、永続魔法扱いでフィールドに残る共通効果を持つ……」
ゆき「へぇ〜!」
祭乃木「なんか独特な効果ね」
ゆき「でも宝石の名前なんて素敵ですねぇ」
綺麗なものに違いないとゆきはワクワクとしながら周りをみた。
受付までいくと金色でスラリとした女性がにこりと笑いながら口をあける。
受付「Välkommen!」
恵以外全員は、その言葉を聞いて戦慄した。
よく考えてみたらーーというより日本にいた感覚を拭えずにいたのか、言葉について一切考えていなかった。
祭乃木「や、やばい……! よく考えたら、スウェーデン語誰もわからないじゃない!?」
良平「え、英語なら通じるんじゃないか……!?」
ここのせ「間宮! お前、頭いいんだから英語喋れんだろ……!?」
ゆき「む、無理ですよぉ……!?」
祭乃木「め、恵……! アンタならワンチャン!」
恵「……わかった……」
唯一恵だけは臆すことなく受付に向けて声を発した。
恵「……5 gymnasieelever……」
受付「150 krona är」
ペラペラとやりとりをかわす恵に5人は目を見開いて様子を見守る。
ゆき「しゃ、しゃべってますぅ……!?」
ここのせ「しかも多分英語じゃねぇぞ!?」
祭乃木「おぉ、流石恵ね!」
恵「……5人で150クローネ、と言っている……」
ここのせ「その150クローネってのはいくらなんだ……?」
恵「……日本円に換算すると約2500円……」
良平「じゃあ一人500円くらいだね」
恐る恐る財布から船の中で両替しておいたお金を出し合って恵に持たせる。
そのままチケットを貰って恵は戻ってきた。
受付「ta din tid」
ここのせ「……なんて?」
恵「……どうぞごゆっくり、と言っている……」
祭乃木「ま、まぁ、気を取り直していくわよ!」
良平「いや、俺なんか嫌な予感がするんだよなぁ……」
言葉の壁にぶち当たり、冷や汗をかきながら中を歩く。
様々な文書や写真には緑色の髪の男性が笑いながら写っていた。
さらに進み案内板や表示が出てくるものの全てがスウェーデン語で書かれていて何も読み取ることは出来なかった。
祭乃木「……」
良平「……やっぱり……」
ここのせ「そりゃそうだよな……」
祭乃木「……恵! お願い!」
恵「……ん。こっち……」
自分で読むのを諦めて亜美は先頭を恵に任せた。
展示フロアに出ると、広い空間に宝玉の樹のオブジェが立っている。
そしてガラスの向こうには大事そうにカードが飾られていて
そこには宝玉獣 アメジストキャットや宝玉獣ルビー カーバンクルと書かれていた。
祭乃木「おーー!! これが宝玉獣なのね!」
ゆき「なんだかかわいいですぅ」
ここのせ「しっかし、このデッキは扱いが難しそうだぜ」
さらに見ていくと展示品の中には魔法や罠カードもあって宝玉の樹、レア・ヴァリュー、宝玉の氾濫とさまざまである。
良平「サポートカードも沢山あるけど、いかんせんメインモンスターが世界に1枚じゃなぁ」
祭乃木「でも爆発力はありそうね。このデッキの初代持ち主ってあの伝説の武藤遊戯と同じくらい強かったらしいわよ」
ここのせ「少なくともとんでもねぇ運命力だったんだろうな」
そして、そんな空間の中央。
一際豪華な装飾が施され、一際頑丈なケースに入れられたカードが鎮座していた。
カード名は、究極宝玉神レインボードラゴン。
良平「これが切り札のレインボードラゴンか……」
ゆき「はぁぁ、なんかため息出ちゃうくらい綺麗なカードですねぇ……」
良平「それになんかこう、力を感じる気がする……」
祭乃木「……ん?」
亜美は何かが視界の端にうつり思わず前屈みに目を凝らす。
カードからうっすら何かが出てくるのだ。
シュルシュルシュルと細長い身体を巻いて半透明のそれがゆっくりとガラスの向こうからこちらを見下ろした。
虹色の宝玉が身体につき、虹色の羽根を広げたーーレインボードラゴンが亜美を見ていた。
レインボードラゴン「…………」
祭乃木「……え?」
ゆき「わぁっ!?」
良平「え? な、何これ? 演出?」
ここのせ「は? 何言ってんだ?」
レインボードラゴン「……キュォオオォオオ……」
脳内に響くような声。
まさに虹色のドラゴンがそこに。
祭乃木「いやいやいや!! ソリッドビジョン起動してる!?」
恵「……? ソリッドビジョンの起動は確認できない……」
良平「じゃあ、これなんだよ!?」
ここのせ「え、ちょっと待って、何に驚いてんの?」
ここのせは、目の前のドラゴンが見えないのかキョロキョロと辺りを見渡していた。
ゆき「いや、目の前ですよぉ! な、なんかドラゴンがぁ……!」
ここのせ「は? ドラゴン? 何それ? どこ?」
良平「目の前だって!」
ここのせ「え? マジでどこ? ……恵、わかるか?」
恵「……観測できない……」
レインボードラゴンは小さく咆哮すると、フワフワとどこかに飛んでいく。
まるで着いてこいと言っているように。
ゆき「あっ、あっち行っちゃいました」
祭乃木「追いかけるわよ!」
良平「あ、おい!」
ゆき「走っちゃだめですよぉ」
何かが見えているらしい三人はここのせと恵を置いて足早に展示室をでていく。
ここのせ「どゆこと?」
疑問符だらけのここのせは首を捻りながら恵と共に三人を追いかけた。
半透明のレインボードラゴンは、ふよふよとゆっくりと移動していく。
展示フロアを抜けて廊下を抜けて別の展示室を抜けて。
やがて受付横にある売店までやってきた。
祭乃木「どこまでいくのかしら?」
ゆき「こっちは売店の方ですよね……」
ここのせ「……お前らマジで何が見えてんの……?」
困惑するここのせをよそ目にレインボードラゴンは売店にかかっていたカードパックの中にシュルンッと入って消えた。
良平「あっ……!」
ゆき「パックの中に入っていきました……?」
祭乃木「……」
亜美は神妙な顔でパックを手に取り眺める。
持つ手が僅かな暖かさを感じる気がする。
良平「どうするんだ?」
祭乃木「……買ってみるわ」
ここのせ「……なんだかわかんねぇけど、観光客にカードを買わせる演出じゃねぇのか? オレは見えてねぇけど」
祭乃木「それならそれで面白いわ」
亜美は手に持ったたった1パックのみを持って受付まで持っていく。
受付「Vad är fel?」
祭乃木「……えっと、これ買いたいですけど」
受付「10krona är」
祭乃木「10クローネっと……」
財布からそれらしい硬貨を取り出して支払う。
どうやらあっていたららしく受付の女性はにっこりとパックを差し出した。
受付「Tack så mycket!」
祭乃木「……」
ここのせ「開けんのか?」
祭乃木「うん、あけてみる」
間髪入れずに亜美は開封する。
他の4人は取り巻くようにその様子を見守っていた。
カードをスライドしていき、最後の1枚。
明らかに輝きが違うそれを亜美は慎重に取り出した。
虹色に光る文字には究極宝玉神レインボードラゴンと書かれている。
祭乃木「……!」
良平「ホントに入ってた……」
ゆき「凄いですぅ!」
ここのせ「記念パックなんだろ? 確定封入じゃねぇのか?」
恵「……否定する。究極宝玉神レインボードラゴンのレプリカカードの封入率は非公開だが、0.0001%を切るとされる……。……世界中で高額取引されている……」
ゆき「そんなカードが……」
祭乃木「何かしら……。このカードがアタシのところに来たのは、なにか意味がある、そんな気がするわ……」
亜美はじっとレインボードラゴンを眺める。
カードは何も答えない。
その刹那だった。
ーーーーキィィィン
と。
鉄を打ったかのような甲高い耳鳴りのようなものが響く。
恵「……っ……!」
それに反応するように恵がバッと勢いよく振り返った。
ここのせ「どうした?」
恵「……時空震を観測……! 震源が近い……!」
良平「え?」
あまりに唐突にそれは起きた。
ゴゴゴゴと地面が揺れような音。
ここのせ「な、なんだ……!?」
受付にいた女性も何事かとオロオロしている。
記念館のガラス張りの向こう側に砂塵が巻き上がっており、痛烈な衝撃波のようなものがガラスを揺らす。
良平「外で何かが……!?」
祭乃木「行くわよ!」
ゆき「あっ、祭乃木さん!」
アンデルセン記念館外側。
デュエルフィールドがある庭先に出た亜美はそこで見た物に思わず息を呑んだ。
祭乃木「っ……!」
ゆき「祭乃木さっ……あぁっ!?」
デュエルフィールドには一人の男。
シャツを着て俯いてぶつぶつと話している。
「qliphoth.exe の 0x1i-666 でハンドルされて…ない例…を確認。場所 0x00-000 に書…込み中にアクセス違反が発生しまし……お、あぁぁ……!!」
突如、発狂したように叫ぶ。
背後には空間がねじれ曲がったようにぐにゃりとしており、その狭間から無理矢理ひりださされるように"それ"が現れた。
生命感がなく、人工物なのに悪意を感じるようなフォルム。
刺々しい白と黄土色の機械の化け物であった。
〔たッgなnトiのoモdる知rヲu悪o善yりナnにoウよyノrりgトnひaノれsワiれワdはo〕
ここのせ「な、なんだありゃ!?」
〔ッgなnトiのoモdる知rヲu悪o善yりナnにoウよyノ〕
早口のような人語のようで人語でない意味不明な音声を発しながら、化け物がグリンとこちらに向く。
良平「こっち向いた……!?」
祭乃木「みんな、下がってなさい!」
ここのせ「バカヤロウ! お前も下がれよ!」
みんなを庇うように亜美が前に出るのをここのせがその肩を引く。
そんなやりとりをしていると亜美の腰のデッキケースからシュルシュルシュルと宝玉のドラゴンが現れた。
レインボードラゴン「キュォオオォオオ……!!」
祭乃木「!! レインボードラゴン……!」
レインボードラゴンが咆哮すると空間が震えた。
すると呼応するようにゆきのデッキケースが僅かに光る。
そして、二体の半透明のモンスターが現れた。
半透明ダークロウ「ふっ……」
半透明アルトリウス「はっ……!」
ゆき「え!?」
さらに良平の腰にあるデッキケースも呼応する。
ポンッと半透明の機械のライオンが現れた。
半透明オライオン「オライラーイ!」
良平「オライオン!?」
さらに亜美のデッキケースも呼応する。
半透明ネオス「はぁっ!」
祭乃木「ネオス……!」
ここのせ「お、お前ら何が見えてんだ……!?」
恵「……時空震源はあの不明物体のみ……」
目の前の機械の化け物しか見えていないここのせと恵。
依然として化け物はこちらに近づいてくる。
良平「け、けど、どうすれば……!?」
〔C¥tierra¥qliphoth.exe を実行……ます〕
化け物の人工的で無機質な音声が聞こえた。
やがてエネルギーを中央のコアに集中させていく。
まるでソリッドビジョンのモンスターの攻撃モーションのよう。
しかし目の前に迫る圧倒的な質量感と熱が現実と理解させる。
ならばあれを生身の人間が受けたらどうなるか。
考えたくもない。
逃げるか。
逃げ切れるか。
誰もがそう考えた時、不意に声がした。
綺麗な女性の声。
「Vertrag Ein neuer Nagel Ein neues Gesetzl Ein neues Verbrechen―――!」
※願う、神の御心に従い、戒めの法を重ね給え
振り向くと白いワンピースのような服を着た金色の長髪の女性が両手で祈りのポーズをとりながらそう言葉を紡いでいた。
彼女の足元には三種の光と文字のような何が光っている。
そして軽快な足音と共に今度は男性の声がした。
「ーーPå himmel, kejsaren som styr allsmäktige! Nu är det dags att bunta stjärnvärldens gudar och visa sin prestige!」
※ 北辰の空にありて、全知全能を司る皇よ!今こそ、星界の神々を束ね、その威光を示せ!
☆4+☆4+☆2=☆10
「ーーーOdin, Father of the Aesir !!」
バシッと叩きつけるような音。
そして再び地面を揺らすような響き。
どこからかやってきた雲がピシャァァァンピシャァァァンと雷を落とす。
良平「な、なんだ……!?」
ゆき「そ、空から……!」
ゆきはアワアワとしながら空を指差した。
雷鳴轟く空に巨大な人形の何かがゆっくりと現れる。
ここのせ「あれは、流石に見えるぜ! ありゃあ、まるで神……!」
祭乃木「!」
恵「……あれは……!! ……極神聖帝オーディン……!」
極神聖帝オーディン「……ォォォオオォオオ!」
「……hahaha! Det är allt! Den andra festen,vall Carter!」
※へへ! よそ見すんなよ!お前は、このヴァール・カーターが相手になるぜ!
ヒーロー部の前に男が立つ。
スラリとした長身に銀髪の刈り上げた頭。
男の左目にはルーンの文字が浮かんでいた。
◾️あとがき
土日と忙しくて投稿がずれ込みました。
今回は原作のカードたちが続々登場させました。
なお出てきた外国語が正しいか分かりません!!
◾️次回予告
寝る前決闘空間第22話
『VS チームラグナロク! 神の威光を打ち砕け!』
デュエルスタンバイ!
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しんどいので半分にしてほしい