遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
長めですがお付き合いいただければ幸いです!
【ストックホルムデュエルコロシアム デュエルフィールド】
天雷が鳴り響く。
曇天の下に立ちはだかるは魔槌を持つ戦神。
デュエリストの背後を覆うように巨大から見下ろしている。
ーメインフェイズー
「……ッ」
アルス・ヴェイン(ターンプレイヤー)
LP:3300
手札 1
フィールドゾーン:
アダマシア・ラプュタイト
マジックトラップ:
デーモンの宣告
フィールド:
極神皇トール
攻:3500 星10 神 幻獣神族→アンデット族
ルイン恵
LP:5000
手札3
フィールドゾーン:
アンデット・ワールド
マジックトラップ:
なし
フィールド:
アドヴェンデッド・セイヴァー
攻:1600 闇 アンデット族 LINK2 ↙︎↘︎EXゾーン
「……」
【チームHERO側ベンチ】
その場にいた全員がベンチの最前を横一文字で並びフィールドを見つめる。
ゆきは眉を八の字にしてフィールドに立つ神を見上げた。
「恵さんの切り札が除外されちゃいましたぁ……!」
心配そうな声にツァンも頷く。
「強力な効果だっただけに、利用されたのはキツイね」
ただ言葉とは裏腹に声に悲壮感はない。
亜美もそれを理解しているらしく腕を組んでどんと構えている。
「……神のカード……流石の貫禄ね……! けど、状況は全然悪くないわ!」
「そ、そうなんですかぁ……?」
不安げなゆきの声が揺れる。
フィールドに立つアルスはまだ動かず、フィールドを見つめていた。
そんな様子にゆきは首を傾げた。
「お相手の方……どうしてすぐに攻撃してこないんでしょうか……?」
答えはすぐに亜美が返す。
「アドヴェンデッド・セイヴァーを警戒してるのよ」
「あのモンスターを、ですか?」
「正確には」と今度は美優が金色の髪を揺らしてゆきを覗き込む。
「警戒しているのはアドヴェンデッド・セイヴァーの攻撃力をダウンさせる能力ではないワ。デッキからアンデット族モンスターが墓地に送られることを警戒しているのヨ」
「??」
美優の補足にゆきはさらに首をひねってしまう。
「え? でも、今、極神皇トールは、アンデット族モンスターが発動した効果は無効にできますよね? どうして、警戒するんですかぁ?」
ゆきの更なる疑問に対し、
亜美は首を振って説明した。
「カードの"効果"を無効にするっていう効果は、ダメージステップでは発動できないの。アドヴェンデッド・セイヴァーの効果は止められない。弱体化されても戦闘破壊はできる攻撃力だけど、デッキからアンデット族モンスターを墓地に送ることは止められないってことよ」
ふんふんと頷くゆきに、ツァンがダメ押しとばかりに言う。
「ま、あれは効果じゃなくてコストだからもし無効にできたとしても、カードを墓地に送ることはできちゃうんだけどね。あの子のデッキに、もう一体ドーハスーラがいる可能性があるから迂闊に攻撃できないよ」
最後まできいてようやく理解できたゆきは思わず手を打ってしまった。
「あぁ!効果とコスト……! あぅぅ、教科書に書いてあったのに忘れてましたぁ!」
【デュエルフィールド】
一方のデュエルフィールド、アルスは自身の手札とフィールドを見比べる。
(……俺の手札は一枚。ここで無闇に突っ込むのは得策ではないか)
神のカードというアドバンテージをアッサリと手放すわけにはいかない。
天空を担う神はただ何も言わずにそこにいた。
アルスは残り1枚の手札をマジックトラップスロットに差し込んだ。
「……カードを1枚セットし、ターンエンドだ」
伏せカードが音を立てて現れては地面へと消えていく。
ーエンドフェイズー
アルス・ヴェイン
LP3300
手札:0
フィールドゾーン:
アダマシア・ラピュタイト
マジックトラップ:
伏せ1
フィールド:
極神皇トール
ードローフェイズー
自身の手番が回ってきた恵はフィールドを見据えたままデッキトップに指をかけ、そのまま引き抜いた。
「……私のターン……ドロー……」
手札2→3
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
ドローカードを手札に加え、恵はすぐさまカードを場に出した。
「……ゾンビ・マスターを召喚……」
ゾンビ・マスター
攻:1800 星4 闇 アンデット族
「ふふふ……」
フィールドに現れたのは真っ白な顔の少年であった。
足元には死霊が纏わりついていて、不気味な冷気が漂っている。
恵はそれを気にも留めずに進行する。
「……効果発動。手札のモンスター1体を墓地に送り、墓地からアンデット族モンスターを特殊召喚する……」
手札2→1
コストとなるカードをセメタリーゾーンへ入れ込むと、呼応するようにゾンビマスターが叫び声をあげる。
しかし、アルスは素早くデュエルディスクのボタンを押し込んだ。
「その瞬間、トラップカード、ドラグマ・パニッシュメントを発動!」
《ドラグマ・パニッシュメント》
通常罠
「EXデッキから、魔救の奇跡ーラプタイトを墓地に送り、その攻撃力以下のモンスター1体を破壊する! ゾンビマスターを破壊!」
EXデッキからカードをセメタリーゾーンへと滑り込ませ、カードが発動する。
天罰を体現したかのような電撃が発せられ、ゾンビマスターの身体を焼き払ってしまう。
恵はそれを目で追いかけて一部始終を見届けた。
「……」
アルスは痛烈に指差し、声を上げる。
「ゾンビマスターは、効果処理時にフィールドに表側表示でいなければ、発動と処理ができない! 効果は無効だ!」
効果テキスト内にある"表側表示で存在する場合"という独特なテキストが足を引っ張ったらしい。
恵は顔を前に向けると宣言する。
「……バトル」
ーバトルフェイズー
「……アドヴェンデッド・セイヴァーで、極神皇トールに攻撃……」
恵の宣言と共にアドヴェンデッド・セイヴァーが高く飛び上がる。
矛先は眼前の神。
バトルステップからダメージステップへ。
恵はさらに口を開く。
「……アドヴェンデッド・セイヴァーの効果を発動。デッキからアンデット族モンスター、死霊王ドーハスーラを墓地に送る……」
デッキから選出されたカードをセメタリーゾーンへと移動させる。
墓地に送ったモンスターのレベル×200ポイント攻撃力をダウンさせる。
死霊王ドーハスーラのレベルは8。
したがって1600ポイントのダウンである。
アドヴェンデッド・セイヴァーの身体から紫色の瘴気が現れ、神を包む。
極神皇トール
攻:3500→1900
しかし極神皇は動じぬ。
代弁するかのようにアルスは叫ぶ。
「それでもこちらの攻撃力は1900! アドヴェンデッド・セイヴァーでは倒せない! 返り討ちにしろ、トール!!」
アルスの言葉を受けて極神皇トールがゆっくり魔槌を振り上げた。
「フゥゥゥッン!!」
低く響くような声と共に黄金の槌を叩きつける。
アドヴェンデッド・セイヴァーは成す術なく叩き潰され、痛烈に粉塵を巻き上げた。
やがて衝撃波となりて恵の身体をどんと押す。
「……」
ルイン恵
LP5000→4700
ーメインフェイズ2ー
しかし恵も動じずフェイズを進行させる。
デュエルディスクのボタンを操作し、セメタリーゾーンのカードを発動した。
「……墓地のアンデット・リボーンの効果を発動する……」
《アンデット・リボーン》
通常魔法
「……除外されているアンデット族モンスター、グローアップ・ブルームをデッキに戻すことでこのカードをフィールドにセットする……」
セメタリーゾーンから戻ってきたカードをすぐさまマジックトラップスロットに差し込む恵。
さらに手札の最後の1枚も別のスロット滑りこませた。
「……カードを1枚セットし、ターンエンド……」
ーエンドフェイズー
ルイン恵
LP4700
手札:0
フィールドゾーン:
アンデット・ワールド
マジックトラップ:
伏せカード2
フィールド:
なし
ードローフェイズー
ターンが返るや否やアルスはデッキからカードを素早く引き込んだ。
「俺のターン!」
手札0→1
ースタンバイフェイズー
すかさずスタンバイフェイズに入り、優先権が恵に移った瞬間に恵もデュエルディスクを操作して行動する。
「……墓地の死霊王ドーハスーラの効果発動……」
わかっていた事ではあるがアルスは「くっ……」と唇を噛んだ。
恵はそれを無視してセメタリーゾーンからカードを呼び出す。
「……墓地から死霊王ドーハスーラを特殊召喚……」
死霊王ドーハスーラ
守:2000 闇 アンデット族 星8
「ォオオォオオ……!」
フィールドに現れたドーハスーラが細くそして太い奇妙な雄叫びを上げ、フィールドを席巻する。
【チームラグナロク側ベンチ】
再び現れし死霊の王にヴァールはベンチから乗り出す勢いで顔を出して声を上げた。
「おいおいおい!! 神より不死身してるぞオイ!!」
その隣でセレナは胸をかき抱いてゆるりと首を振る。
「アンデット……恐ろしい種族だね……」
顎に手を当ててミーティスも心配そうな声を出す。
「アルス、大丈夫かしら……」
しかしそんなベンチの雰囲気を吹き飛ばすようにヴァールはニッと笑い、ミーティスに向く。
「へへ、アルスなら大丈夫だ! アイツの強さは色紙付きだぜ!」
「折り紙付、でしょ!」
ミーティスのツッコミをヴァールはどこ吹く風と笑った。
【デュエルフィールド】
ーメインフェイズ1ー
フィールドに立つアルスは、腕を振り抜いて宣言する。
「アダマシア・ラピュタイトの効果発動! デッキから魔救の追求者、魔救の奇石ードラガイトの2枚をデッキトップに置かせてもらう!」
シャッシャッと自動でカードがシャッフルされデッキトップが固定される。
「そして、ライフを500払ってデーモンの宣告の効果を発動! 魔救の追求者を宣言!」
アルスはそう声を出してデッキトップのカードを引き抜く。
そのカードは当然、魔救の追求者。
アルス・ヴェイン
LP3300→2800
今引き込んだカードを手札に加えることなくそのままフィールドへと置く。
「魔救の追求者を召喚!」
魔救の追求者
攻:1200 岩石族→アンデット族 星2 チューナー
「いくぞ、バトルだ!」
ーバトルフェイズー
バトルフェイズに入ると極神皇は再びゆっくりと魔槌を振り上げる。
「いけ! トール! ドーハスーラに攻撃!」
アルスの声と共にトールの鉄槌が天空から落ちてきた。
目掛けるは死霊の王。
「フゥゥゥンッ!!」
「ァァァアア……」
槌は死霊の王を容赦無く叩き潰す。
ただ死霊の低い声だけは辺りをこだましてやまない。
「……」
恵は一切動じない。
彼女の髪だけが風にゆれた。
しかしフィールドはこれにて全て開けた。
アルスは恵を指差してモンスターに指示を飛ばす。
「さらに、魔救の追求者で追撃!」
ツルハシを振り上げて青髪の少年が恵へと襲いかかる。
「ハァァッ!」
ガンッと鈍い音の演出と共に恵のライフを削り取った。
ルイン恵
LP4700→3500
「……損傷軽微……」
ーメインフェイズ2ー
確かな手ごたえにアルスは頷き、フェイズを進める。
「メイン2へ以降! 俺は魔救の追求者の効果を発動する!」
魔救の追求者は邪魔者はいなくなったとばかりに「よーっし!」と声を上げて、ツルハシで地面を掘り進めていく。
アルスはデッキトップのカードを5枚引き抜き公開した。
「デッキトップを5枚めくり、その中の岩石族モンスター、魔救の奇石ードラガイトを特殊召喚!」
魔救の奇石-ドラガナイト
守:2200 水 岩石族→アンデット族 星4
「ドラガイトが、アダマシアカードの効果で特殊召喚されたため、カードを1枚ドローする!」
手札1→2
アルスは引いたカードを一瞥し、手札に加えると右手を前に突き出した。
「レベル4のドラガイトに、レベル2の魔救の追求者をチューニング!」
赤い魔石をシンクロリングが包み込む。
やがて、星へと分解されて調律されていく。
☆4+☆2=☆6
「ーー命宿し魔鉱石、太古より獰猛なる疾風を呼び覚ませ!!」
魂を震わせる調べ。
口から流れる旋律を奏でアルスは高らかに言う。
「ーーシンクロ召喚! こい、魔救の奇跡ーラプタイト!」
魔救の奇跡ーラプタイト
守:2800 風 岩石族→アンデット族 星6
「クォォオオォオオォオオ!」
緑色の宝石で作られた巨鳥。
それがバサっと羽根を広げて高く高く嘶いた。
恵は僅かに顔を上げて視界に捉える。
「……」
それを尻目にアルスはさらに腕を振るう。
「ラプタイトの効果発動! デッキトップからカードを5枚めくり、その中の岩石族モンスターを守備表示で特殊召喚する!」
デッキトップからカードを引き抜き公開する。
アルスはその中から1枚を取ると残りをデッキボトムへと沈めた。
そしてカードをフィールドへと叩きつけた。
「岩帯の美技ーゼノギタムを特殊召喚!」
岩帯の美技-ゼノギタム
守:2000 地 岩石族→アンデット族 星4
青と銀の髪のギタリストが現れて、エレキギターをかき鳴らす。
アルスはそのまま宣言をした。
「ターンエンドだ!」
ーエンドフェイズー
アルス・ヴェイン
LP2800
手札:2
フィールドゾーン:
アダマシア・ラプュタイト
マジックトラップ:
デーモンの宣告
フィールド:
極神皇トール
魔救の奇跡ーラプタイト
岩帯の美技ーゼノギタム
ードローフェイズー
恵はフィールドを見渡してから腕を胸元まであげて左腕につくデュエルディスクのデッキトップに手を伸ばした。
「……私のターン……」
手札0→1
ースタンバイフェイズー
カードを引き込み、すぐさま誘発効果が発動する。
「……スタンバイフェイズ時、墓地の死霊王ドーハスーラの効果を発動する……」
恵の宣言に再びフィールドの毒沼が煮え立つ。
しかしアルスは否定するように腕を振り抜いた。
「やらせはしない……! 魔救の奇石ーラプタイトの効果を発動!」
chain1 死霊王ドーハスーラ
chain2 魔救の奇跡ーラプタイト
「ラプタイトは、俺の墓地に風属性モンスターが存在する場合、相手ターンに墓地のカードを1枚除外できる!」
「……!」
「墓地の死霊王ドーハスーラを除外だ!」
ビシッと恵のセメタリーゾーンを指定する。
緑石の巨鳥はその大翼を以て暴風を放った。
それは恵のセメタリーゾーンを巻き上げてドーハスーラを吹き飛ばしてしまう。
【チームHERO側ベンチ】
ここまで不死身を誇った死霊王が盤外へと弾き飛ばされたことに対し、ここのせは苦い顔で声を上げる。
「うっわ! マジかよ!!」
ツァンも驚きの表情を浮かべてフィールドに立つデュエリストを見つめた。
「対抗策をきっちり用意してきた……! あの人、やるね……!」
最前に立つ唯信は鋭い目つきのまま腕を組み口を開けた。
「ふん、あの小娘、翻弄されてるな」
「やっぱり簡単にはいかないか……」
良平も眉を顰めて顎に手を当ててつぶやく。
フィールドから一切目を離さずに亜美は思わず声を漏らした。
「恵……!」
【デュエルフィールド】
ーメインフェイズー
チェーンの処理が全て終了し、発動可能な誘発効果がなくなったためデュエルはメインフェイズへと進行する。
恵はデュエルディスクのボタンを押し込んでカードを発動した。
「……リバースカードオープン、アンデット・リボーンを発動……」
《アンデット・リボーン》
通常魔法
「……私の墓地のアンデット族モンスター、不知火の隠者を対象とし同名カードをデッキから除外することで対象のモンスターを特殊召喚可能……」
恵は確認するようにアルスに目を向けると彼は「くっ……」と唇を噛んでいる。
どうやら対抗札はないらしい。
「……不知火の隠者を特殊召喚……」
不知火の隠者
守:0 炎 アンデット族 星4
「……不知火の影者の効果を発動。自身をリリースし、デッキから守備力が0のアンデット族チューナーを特殊召喚する。この効果で、デッキからユニゾンビを特殊召喚……」
ユニゾンビ
守:0 闇 アンデット族 星3 チューナー
「……ユニゾンビの効果発動。デッキからアンデット族モンスターを墓地に送ることで、自身のレベルを1つ上げることができる。この効果によりデッキから馬頭鬼を墓地に送り、レベルを4に変更……」
ユニゾンビ
星3→4
「……さらに、墓地の馬頭鬼を墓地から除外し、墓地の不知火の影者を対象として効果を発動する。対象のモンスターを特殊召喚……」
不知火の隠者
守:0 炎 アンデット族 星4
これによりフィールドにはチューナーモンスターと非チューナーが1体ずる揃う。
恵はさらに続ける。
「……レベル4の不知火の隠者に、レベル4となったユニゾンビをチューニング……」
ユニゾンビの身体が4つシンクロリングへと変化し、不知火の隠者がそこに飛び込んでいく。
やがて4つの星へと姿を変えていく。
☆4+☆4=☆8
そして一閃の光と共にモンスターが降り立った。
「……PSYフレームロード・Ωをシンクロ召喚……」
PSYフレームロード・Ω
攻:2800 光 サイキック族→アンデット族 星8
「フゥゥゥゥンッ、タァッ!」
電気を纏いながら人形のモンスターが飛び出した。
アルスは現れたレベル8シンクロモンスターを睨みながら声を出す。
「たった1枚からシンクロ召喚を行ったか……。だが、その攻撃力では、俺のモンスターは突破できないぞ」
「……知っている。手札から堕ち武者を召喚……」
恵は返答と言わんばかりにさらに手札のカードをフィールドに置く。
堕ち武者
攻:1700 闇 アンデット族 星4
「……堕ち武者を召喚したとき、デッキからアンデット族モンスターを墓地に送ることができる……。この効果で、グローアップ・ブルームを墓地に送る……」
堕ち武者が「カァァッ!」と喝を入れるような叫び声を上げるとビキビキビキと地面に禍々しい花の蕾が芽吹いた。
「……グローアップ・ブルームは墓地に送られたとき、このカードを除外することで、レベル5以上のアンデット族モンスターを手札に加えることができる……。また、フィールドゾーンにカードが存在する場合は、特殊召喚することも可能……。この効果によって、デッキからヴァンパイア・フロイラインを特殊召喚する……」
再びビキビキと音を立てたかと蕾から毒々しい花粉が溢れ、ドロドロの花が開く。
その中央に真っ白な肌の女性ヴァンパイアが立っていた。
ヴァンパイア・フロイライン
守:2000 闇 アンデット族 星5
現れたモンスターにアルスは思わず苦い顔を浮かべた。
「そいつは……」
「……バトル……」
ーバトルフェイズー
「……PSYフレームロード・Ωで、魔救の奇跡ーラプタイトに攻撃……」
恵の宣言と共にPSYフレームロード・Ωが緑石の巨鳥へと猛進していく。
しかしPSYフレームロード・Ωの攻撃力2800に対し、魔救の奇跡-ラプタイトの守備力は2800。
両者の数値は全くの互角。
動いたのは恵であった。
「……ダメージ計算時、ヴァンパイア・フロイラインの効果を発動……。ライフを3000までの100の倍数支払うことで、戦闘を行っているアンデット族の攻撃力を支払った数値分上昇させる……。……私はライフを100ポイント支払う……」
指示を受けたヴァンパイア・フロイラインが恵の首筋に噛み付く。
そして、ヴァンパイア・フロイラインは吸い取ったライフを魔力に変換してアンデット族と化しているPSYフレームロード・Ωへと注ぎ込んだ。
ルイン恵
LP3500→3400
PSYフレームロード・Ω
攻:2800→2900
力を得たPSYフレームロード・Ωはそのままの勢いで飛び上がり、自身を取り巻く稲妻を緑石の巨鳥へと放射した。
「トゥァ!!」
「グギャァァァァァァァ!!?」
バリィィンと音を立てて魔救の奇跡-ラプタイトは霧散する。
爆風が後方に立つアルスの茶髪を揺らした。
「くっ……!」
ダメージこそないもののシンクロモンスターが打倒されたことにアルスは焦りのような感情を抱く。
恵のフィールドに残る攻撃権を残したモンスターは、いずれもアルスのフィールドのモンスターを破壊する力はない。
ーメインフェイズ2ー
「……私はこれでターンエンド……」
フェイズが移行するも手札のない恵にすべきことはなかった。
ーエンドフェイズー
ルイン恵
LP3400
手札:0
フィールドゾーン:
アンデット・ワールド
マジックトラップ:
伏せカード1
フィールド:
PSYフレームロード・Ω
堕ち武者
ヴァンパイア・フロイライン
ードローフェイズー
アルスはデッキトップに手をかけてドローカードを引き込んだ。
「いくぞ、俺のターン!」
手札2→3
ースタンバイフェイズー
フェイズの移行とともに恵は宣言する。
「……スタンバイフェイズ時、PSYフレームロード・Ωの効果を発動する。相手スタンバイフェイズ時に、除外されているカードを墓地に戻すことができる。この効果により、死霊王ドーハスーラを墓地に戻す……」
PSYフレームロード・Ωが電撃をアンデットワールドにより顕現している毒の沼へと向けて放つ。
スタンバイフェイズにカードが墓地に戻る。
これが意味するところわからないアルスではない。
「ぐっ、ということは……!」
アルスの懸念通り恵はさらに続けた。
「……スタンバイフェイズ時、フィールドゾーンにカードがある場合、死霊王ドーハスーラは復活する……」
セメタリーゾーンから自動で送られてきたカードを拾い上げ、そして満を辞してフィールドへと叩きつけた。
死霊王ドーハスーラ
守:2000 闇 アンデット族 星8
「ゥゥゥォオオォオオォオオ……!!」
低い声が再びフィールドに木霊した。
毒沼から這い出てきた死霊王にスタジアム全体がどよどよと沸き立った。
ーチームラグナロク側ベンチー
あまりに。
あまりに安易と舞い戻る死霊王にセレナは圧倒されたように声を漏らした。
「そんな……!!」
ミーティスも喉の奥を鳴らして握った拳をさらに強く握ってしまう。
「く……! なんて厄介なカードなの……!!」
最前のヴァールをも声を上げる。
「くぅ! アルス、頼むぜぇ!!」
ーデュエルフィールドー
アルスは再び目の前に現れた死霊王を睨みつけながら口を開く。
「……くっ、死してもなお立ちはだかるか……!」
そんな言葉に返答するかのように恵が呼びかけた。
「……アルス・ヴェイン……」
「!」
「……貴方は、何故あの敵性不明体と戦っているの……?」
「何……?」
不意な言葉にアルスは思わず閉口してしまう。
恵は急かすことなきアルスの答えを待った。
「……」
アルスは再び口を開き、まっすぐに恵へ視線を返す。
「決まっている。奴らは世界を脅かす敵で、俺たちはそれを倒す力を得た。だったら立ち向かわなければならない。当たり前だ」
「……それだけ……?」
「なんだと……?」
「……本当にそれだけが理由なの……?」
「……貴様、何が言いたい……!?」
「……貴方は、世界を救いたいのではない。貴方は貴方の周りの人々ーー居場所を守りたいのではないかと思う……」
「……っ」
恵の言葉はーーアルスにとって胸の奥深くへと刺さっていく。
それがアルスの脳裏にかつての記憶を過らせた。
『何故お前が戦わなければならないんだ……!』
アルスはそう声を荒げていた。
目の前に立つセレナは健気に笑い、アルスを見上げていた。
『それが……私の家に伝わる義務だから……。そんな顔しないで、アルス……』
セレナ・フローリアは三極神の継承者であった。
そしてその責務が降り注ぎ、立ち上がらねばならぬ時が来てしまったのだ。
アルスは激怒した。
愛する女性に対し何も出来ぬ自分に。
神とやらが持つ使命そのものに。
『ふざけるな……! 何が神だ……!! セレナだけに押し付けるのが神の力なものか……!! お前らが万能だと言うなら……俺に力を寄越せ!!! 』
そうだ。
その日からアルスは三極神の代理継承者となった。
ルーンの瞳が開眼し、セレナの祈りを以て神の力を代行する者に。
「ーーッ!」
そうだ。
その始まりは決して世界のために非ず。
アルスもそれはわかっていた。
恵はさらに続ける。
「……与えられた使命のみでーー命令のみで任務を遂行できるのは、プログラムによって動く心なきロボットだけ。私達のような……」
「……」
心なきとアルスが言ったことを自分で言う恵。
しかし、その声と視線とそしてデュエルは決して心がないとは思えぬ。
「……貴方の言う通り、イリアステルは破滅した未来を救う為、過去に干渉し、未来を救うために過去を破壊するという矛盾した行為を行った。私もその内の一体であることは事実……」
恵は手を胸に当ててアルスを見つめる。
「……しかし、イリアステルは既に目的を達成し、マスターも私以外の他のデュエルロイドも全て機能停止した。私にはこの未来を破壊する理由がない……」
「……ならばお前は何故ここに立っている? あのような一般の学生と共に何故デュエルする?」
「……私にはもう目的も居場所もない。この世界との繋がりなどどこにもない、はずだった。しかし、私とこの世界をーーこの未来を繋いでくれた人がいた。未来という希望をくれた人がいた。そして、今、そんな未来を手に入れた。だから、私はこの未来を守らなければならない。たとえ、この筐体が破壊されたとしても……」
「……それがお前の、意思、というわけか。イリアステルのデュエルロイド」
再度確認するアルス。
もはや信じないということは出来なかった。
それでも聞かなければ気が済まなかった。
恵は明確な意思を以て首を振った。
「……貴方に訂正しなければならないことがある。私は今、イリアステルのデュエルロイドではない。ーー私は、ヒーロー部のデュエルロイド……」
その言葉は肯定を意味する。
彼女の後ろに立つヒーロー部の面々がその背中を見守っていた。
アルスは心の蟠りが氷解していくのを感じた。
「 ……ふっ」
「……」
「……俺が違えていたと認めよう。ルイン恵。お前は心なき者じゃない。チームHEROのデュエリストだ」
「……」
恵の口角がほんのわずかに上がる。
アルスも硬い表情を仄かに崩していた。
「だが! これは、デュエル! ひとたび始まった以上、雌雄を決さねばならない!! 俺は、誰にも負ける気はないぞ!」
「……ん……」
デュエリストがデュエルディスクを構える限り戦いは終わらない。
しかし、そこにあるは純然たる競い合いでありプライドの勝負である。
アルスはデュエルディスクを構え直した。
「いくぞ!」
ーメインフェイズー
「トールの効果発動!フィールドのモンスター、ドーハスーラの効果を無効にする!」
極神皇トールの左目が開き天雷が鳴り響く。
対し恵は右手を払うかのようにして宣言する。
「……その効果に対し、死霊王ドーハスーラの効果を発動。アンデット族モンスターが発動した効果を無効にする……」
死霊王ドーハスーラも負けじと全身から瘴気を吹き出した。
しかしアルスはこれを許さずカードをスロットに差し込む。
「手札から速攻魔法発動! 禁じられた聖杯!」
《禁じられた聖杯》
速攻魔法
「ターン終了時まで、フィールドのモンスター1体の攻撃力を400ポイントアップし、その効果を無効にする! 対象は、死霊王ドーハスーラだ!」
恵は僅かに目を見開く。
それからカードに対抗すべく効果を使用する。
「……禁じられた聖杯の発動に対し、PSYフレームロード・Ωの効果を発動する……」
chain1 極神皇トール
chain2 死霊王ドーハスーラ
chain3 禁じられた聖杯
chain4 PSYフレームロード・Ω
「……PSYフレームロード・Ωは、自身と相手の手札1枚を次の私のスタンバイフェイズまで除外する……」
組まれた4枚のカードの応酬。
逆順処理によりPSYフレームロード・Ωが稲妻を走らせながら滑走した。
ビリビリッとアルスの手元に電撃を打ち込み、手札1枚を巻き込んで異次元へとワープしていく。
「くっ……!」
手札2→1
アルスは苦い顔を浮かべたもののすぐに取り直し、声を出した。
「だが、聖杯の効果で、ドーハスーラの効果は無効となる!」
どこからか現れた金色の聖杯が死霊王の頭上に浮遊し、中に入っていた聖水を浴びせかけた。
「ゥゥゥォオオ……」
ジュワァァァと蒸発するような音がして死霊王の瘴気を打ち消してしまった。
これによりchain2の死霊王ドーハスーラの行動は無効となった。
「これでトールの効果が発動できる! エフェクト・アブソーバー!」
極神皇トールの左目が開きドーハスーラの能力を吸い上げた。
[チームHERO側ベンチ]
ここのせはベンチの柵に半ば乗り上げるようにしてフィールドを見上げながら声をあげる。
「元々効果が無効になってても、対象に取れるのか……!?」
無効状態のカードをさらに無効にする事は原則はできない。
良平がそれに対して返答する。
「……追加効果がある場合には対象に取れるんだ……」
良平の説明に反応するのはゆき。
「追加効果……! この場合は……!」
亜美がそれを引き継いだ。
「ドーハスーラの強力な二つの効果が、また奪われる……!」
「wow!」と美優がパチンと指を鳴らした。
「流石はGOD!」
ツァンも雪乃も各々が驚愕の表情を浮かべる。
「伊達じゃないね……!」
「うふふ……! ゾクゾクするわぁ……!」
[デュエルフィールド]
効果処理が全て終えてからアルスはさらにカードをスロットに差し込む。
「手札から貪欲な壺を発動!」
《貪欲な壺》
通常魔法
「墓地のモンスター、魔救の奇跡ーラプタイト2枚と、魔救の奇跡ードラガナイト、レオナイト、魔救の分析者の5枚をデッキに戻して2枚ドロー!」
手札0→2
セメタリーゾーンから自動で送られてきたカードをデッキに戻すとデッキがシャッフルされた。
そこから引き抜いたカードをみつめアルスは1枚をフィールドに出した。
「魔救の探索者を召喚!!」
魔救の探求者
攻:100 地 岩石族→アンデット族 星2チューナー
「やぁっ!」
赤茶色のショートカットの少女が緑石の杖を携えてフィールドに降りたつ。
その瞬間を見逃さず、恵はマジックトラップボタンを押し込んだ。
恵「……召喚成功時、トラップカード発動。激流葬……」
《激流葬》
通常罠
「なにっ……!?」
これまで伏せてあったカードの発動に対してアルスは目を見開いた。
しかし対抗策はなくフィールドに濁流が流れ込む。
ザバァッとフィールド全てを覆いそこにいた全てを。
魔救の探索者も。
「きゃあっ!?」
極神皇トールも。
「ウォォォ!?」
巌帯の美技-ゼノギタムも。
「ァァァァァ!」
恵のフィールドの。
死霊王ドーハスーラも。
ヴァンパイア・フロイラインも。
堕ち武者も。
破壊し尽くして激流は消え去った。
アルスはそれでも負けじと最後の手札を使用する。
「ッ……! 墓地の地属性モンスター、ゼノギタム、探索者、分析者の3枚を除外し、ブロック・ドラゴンを特殊召喚!」
ブロック・ドラゴン
攻:2500 地 岩石族→アンデット族 星8
「ガァァァァァァァ!!」
「さらに除外されたゼノギタムの効果を発動! このカードは、除外されたとき、デッキから岩石族モンスターを墓地に送ることができる! 俺はこの効果で、魔救の探索者を墓地に送る!」
デッキから選出されたカードをセメタリーゾーンへと放り込む。
しかしこれ以上できることはない。
「バトル!!」
ーバトルフェイズー
「いけ!ブロック・ドラゴン! プレイヤーにダイレクトアタック!」
「グガァァァァァァァァァ!!」
ブロックドラゴンは高く咆哮しながら恵へと突進した。
それを遮るものはない。
ブロックドラゴンの踏みつけが恵を直撃した。
「……ぅ……」
ルイン恵
LP3400→900
ーメインフェイズ2ー
「アダマシア・ラピュタイトの効果により、魔救の救砕をデッキトップへ!」
フィールド魔法によりデッキトップが操作される。
そして足元に発動中の永続魔法を指差して宣言した。
「デーモンの宣告の効果発動!ライフを500払い、魔救の救砕を宣言!!」
LP2800→2300
手札0→1
アルス「ターンエンドだ!」
ーエンドフェイズー
「そして、エンドフェイズ時、破壊されたトールが復活する!! 戻ってこい!! トール!!」
ピシャァァァンピシャァァァン、と再び天雷が響く。
ゴゴゴゴと地面が揺れて天空から再びそれが現れた。
「ウォォォォオオォォ!!」
極神皇トール
攻:3500 神 幻獣神族→アンデット族 星10
「トールが墓地から蘇った時、相手に800ポイントのダメージを与える!!」
極神皇トールの周りに落ちる天雷の一発が恵へと降り注いだ。
「……うっ……!」
LP900→100
「さぁ! お前のターンだ!」
アルス・ヴェイン
LP:2300
手札:1
フィールドゾーン:
アダマシア・ラピュタイト
マジックトラップ:
デーモンの宣告(永続魔法)
フィールド:
ブロック・ドラゴン
極神皇トール
ードローフェイズー
恵は冷静にカードを引く。
「……私のターン……」
手札0→1
ースタンバイフェイズー
「……スタンバイフェイズ時、墓地の死霊王ドーハスーラを特殊召喚する……」
死霊王ドーハスーラ
守:2000 闇 アンデット族 星8
「ォオオォォ……」
「……さらに除外したPSYフレームロード・Ωと貴方の手札が帰還する……」
ワープホールがフィールドに現れたかと思うとそこからPSYフレームロード・Ωが帰還した。
PSYフレームロード・Ω
攻:2800 光 サイキック族→アンデット族 星8
スタンバイフェイズに一気にフィールドが展開していく。
アルスは歯を噛み締めた。
「くっ……!」
手札1→2
ーメインフェイズー
恵は引いたカードを見つめ、それから視線をフィールドに移す。
「……バトルフェイズに移行……」
ーバトルフェイズー
「……PSYフレームロード・Ωでブロック・ドラゴンに攻撃……」
PSYフレームロード・Ωがブロックドラゴンに突進していく。
攻撃力2800のPSYフレームロード・Ωに対し、ブロック・ドラゴンは2500。
彼我の差は300。
PSYフレームロード・Ωの電撃がブロックドラゴンを破壊し、余波がアルスを飲み込んだ。
「ぐぅ……!」
LP2300→2000
(ブロック・ドラゴンには破壊されたとき、デッキからレベルの合計が8になるように岩石族をサーチする効果があるが、ドーハスーラはそれを無効にする能力を持つ……。発動するだけ無駄か……!)
「……メインフェイズ2へ移行……」
攻撃権の残るモンスターはおらず恵はフェイズを進行する。
ーメインフェイズ2ー
「……カードを1枚セット……」
最後の手札をマジックトラップスロットに入れると恵の足元に裏側のカードが表示される。
「……ターンエンド……」
ーエンドフェイズー
ルイン恵
LP:100
手札0
フィールドゾーン:
アンデット・ワールド
マジックトラップ:
伏せカード1
フィールド:
死霊王ドーハスーラ
PSYフレームロード・Ω
ードローフェイズー
アルスは劣勢を感じながらもカードを引き込む。
「……俺のターン!」
手札2→3
ースタンバイフェイズー
フェイズ進行と共に恵は淡々とカードを発動していく。
「……スタンバイフェイズ時、PSYフレームロード・Ωの効果を発動。さらにその効果に対し、ドーハスーラの効果を発動する……」
chain1 PSYフレームロード・Ω
chain2 死霊王ドーハスーラ
2枚のカードを一気に発動させる恵。
死霊王はここぞとばかりに瘴気を吹き出した。
「……ドーハスーラの効果で、極神皇トールを除外する……」
死霊王ドーハスーラは低く唸りながら極神皇の足元を縋る。
「ゥゥゥォオオ……」
「ぐぅぅッ……!」
極神皇トールの必死の抵抗も虚しく、毒沼へと引きずり込まれていった。
これにより神は消え去った。
「くっ……!」
「……そして、PSYフレームロード・Ωの効果で、除外されていた馬頭鬼を墓地に戻す……」
ーメインフェイズ1ー
アルスは思案する。
手札は魔救の奇石ードラガナイト、魔救の救砕、魔救の息吹の3枚。
(……魔救の息吹は、岩石族を蘇生させる強力なカードだが……)
チラとフィールドへと目をやる。
そこに居座るはアンデット・ワールド。
(……フィールド墓地はアンデットに支配され、岩石族ではなくなっている)
発動することさえ不可能であった。
(……残された手段は少ない、か。これが最後の攻勢になるだろう。たとえ負けてもミーティスに繋げてやる……!)
「カードを2枚セット!」
カード2枚をマジックトラップゾーンへと置く。
これはチェーンブロックを組まない行為である。
「そして、魔救の奇石ードラガイトを通常召喚!」
魔救の奇石ドラガナイト
攻:0 水 岩石族→アンデット族 星4
「さらにアダマシア・ラピュタイトの効果発動! デッキトップに、魔救の追求者、魔救の奇石ーラプタイト、魔救の探索者をセット!そして、デーモンの宣告で、魔救の追求者を宣言!」
LP2300→1800
手札0→1
引き込んだカードをアルスは公開し、手札とすることもせずにフィールドへと置く。
「フィールドに他のアダマシアが存在するため、魔救の追求者は特殊召喚できる!」
魔救の追求者
攻:1200 地 岩石族→アンデット族 星2チューナー
「魔救の追求者の効果を発動!」
「……その発動に対し、ドーハスーラの効果を使用する……」
chain1 魔救の追求者
chain2 死霊王ドーハスーラ
死霊王ドーハスーラの瘴気が魔救の追求者を包み込み効果を無効にしてしまう。
アルスはフィールドを睨みつつ言葉を紡ぐ。
「だが! これで、ドーハスーラの効果は使い切った!」
「……」
「レベル4の魔救の奇石-ドラガイトに、レベル2の魔救の追求者をチューニング!」
2つのシンクロリングがドラガイトを分解する。
☆4+☆2=☆6
アルス「シンクロ召喚! こい! 魔救の奇跡ーラプタイト!!」
魔救の奇跡-ラプタイト
攻:2200 風 岩石族→アンデット族 星6
「キュォオオォオオ!!」
緑石の巨鳥が再び羽根を広げて嘶く。
しかし恵はそれを遮る。
「……そのシンクロ召喚成功時、トラップカード発動。不知火流 燕の太刀……」
「なっ……!?」
《不知火流 燕の太刀》
通常罠
「……フィールドのアンデット族、死霊王ドーハスーラをリリースして効果発動。フィールドのカードを2枚、破壊する。対象は、魔救の奇跡ーラプタイトとデッキ側のセットカード……」
恵が宣言すると死霊王ドーハスーラの内側を切り裂いて2振の太刀が飛んできた。
それらがラプタイトと伏せカードを切り裂いた。
「っ! まだだ!! 墓地の魔救の探索者2体と、追求者を除外!! 墓地からブロック・ドラゴンを特殊召喚!」
ブロック・ドラゴン
攻:2500 地 岩石族→アンデット族 星8
「ガァァァァァ!」
「バトルだ……!」
ーバトルフェイズー
アルスは意を決してモンスターに指示を飛ばす。
「ブロック・ドラゴンで、PSYフレームロード・Ωに攻撃!」
「……迎撃する……」
ブロック・ドラゴンがPSYフレームロード・Ωへ突進する。
先程と真逆の光景だが、彼我の攻撃力に300の差があることは相違ない。
ブロック・ドラゴンは悲鳴を上げて破壊されていく。
「ぐあっ……!」
LP1800→1500
余波がアルスを包み、ライフを削り取っていく。
「ッ! 墓地に送られたブロック・ドラゴンの効果発動! デッキからレベルの合計が8になるように岩石族モンスターを3体まで手札に加えることができる!」
[チームHERO側ベンチ]
互いにリソースがつき始め、ライフポイントも佳境になった状況での自爆特攻にツァンが眉を顰める。
「この期に及んで何を……?」
答えたのは雪乃だった。
「彼、最後まで争うつもりね」
[デュエルフィールド]
墓地から発動した効果によりアルスはデッキを操作する。
「俺はこの効果で、デッキからレベル4、魔救の分析者とギガンテスを手札に加える!」
手札1→2
ーメインフェイズ2ー
「魔救の分析者は、相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、特殊召喚できる!」
魔救の分析者
攻:1500 地 岩石族→アンデット族 星4
「墓地の魔救の奇石-ラプタイトの効果発動! 墓地の魔救の奇跡-ラプタイトをEXデッキに戻すことで、このカードをデッキトップにセットする!」
セメタリーゾーンから送られてきたカードを抜き取り、片方をEXデッキに戻し片方をデッキトップに差し込む。
「そして、分析者の効果で、デッキから5枚めくり、その中の岩石族ーー魔救の奇石ーラプタイトを特殊召喚する!」
魔救の奇石-ラプタイト
守:2200 風 岩石族→アンデット族 星4
現れた緑色の石を見てアルスは苦々しくアンデットワールドを見た。
(ラプタイトはアダマシアカードの効果で特殊召喚された場合、墓地の岩石族をデッキトップにセットできるが、アンデットワールドのせいで使えない。本当に厄介なカードだ……)
それからアルスはフィールドに視線を戻す。
「レベル4のラプタイトに、レベル4の分析者をチューニング!」
☆4+☆4=☆8
「命の石よ、甦れ!! シンクロ召喚!! 再び現れよ! 魔救の奇跡ードラガイト!!」
蒼い石がピキピキとひび割れ、強い閃光とともに青石のドラゴンが舞い降りた。
魔救の奇跡-ドラガイト
攻:3000 水 岩石族→アンデット族 星8
「さらに、墓地の分析者を除外し、手札からギガンテスを特殊召喚!」
ギガンテス
守:1300 地 岩石族→アンデット族 星4
「これで俺の手札は0! PSYフレームロード・Ωの効果は発動できない!」
「……」
「ドラガイトの効果発動!!デッキトップを確認し、その中の岩石族の枚数だけ、お前の場のカードをバウンスできる!」
アルスは願いを込めてカードを引き抜いていく。
デッキトップは操作はできていない。
出たとこ勝負。
引いた5枚のカードは。
魔救の奇縁。
サンダーボルト。
成金ゴブリン。
パーピィの羽根箒。
魔救の奇石ーレオナイト。
「よし! これにより1枚までバウンスできる! PSYフレームロード・Ωをバウンス! 」
魔救の奇跡-ドラガイトは青い翼を羽ばたかせた。
「ガァァァァァァァァァァァッ!!」
その猛攻に PSYフレームロード・Ωはたまらずに吹き飛ばされてしまう。
「これで……ターンエンドだ……!」
ーエンドフェイズー
アルス・ヴェイン
LP1500
手札0
フィールドゾーン:
アダマシア・ラピュタイト
マジックトラップ:
デーモンの宣告
伏せカード1
フィールド:
魔救の奇跡ードラガイト
ードローフェイズー
フィールドには強力なーーしかし相手の最後の砦がそびえている。
恵はそれを見上げながらカードを引き抜く。
「……私のターン……」
手札0→1
ースタンバイフェイズー
しかし恵にも強力なエースモンスターがいる。
何度でも蘇る死霊の王が。
恵「……死霊王ドーハスーラの効果を発動。特殊召喚……」
ドーハスーラ「ゥゥゥォオオ……!」
守:2000 闇 アンデット族 星8
ーメインフェイズー
「……牛頭鬼を召喚……」
牛頭鬼
攻:1700 地 アンデット族 星4
「……牛頭鬼の効果を起動……」
牛頭鬼はうめく様な鳴き声を上げる。
さらに呼応して死霊王が低い声で絶叫した。
「……さらにその効果に対し、死霊王ドーハスーラの効果を発動。モンスターを除外する効果を選択する……」
アルスは弾かれたようにボタンを押し込み対抗策を講じる。
「……トラップ発動!! 魔救の救砕!!」
《魔救の救砕》
通常罠
chain1 牛頭鬼
chain2 死霊王ドーハスーラ
chain3 魔救の救砕
「フィールドのアダマシアモンスター、魔救の奇跡ードラガイトをリリースし、効果発動! リリースしたモンスターの数+1枚、フィールドのカードを破壊する!アンデット・ワールドとドーハスーラを破壊だ!!」
ドラガイトの青石の身体が徐々にひび割れて霧散していく。
それは発動中のアンデットワールドとドーハスーラを貫いて破壊した。
ソリッドビジョンが消え去り禍々しい毒の沼は見えなくなってしまった。
恵は表情を変えずにカードを操作していく。
「……牛頭鬼の効果処理。デッキから屍界のバンシーを墓地に送る……」
デッキからのカードをセメタリーゾーンへと放り込む。
さらに恵は続ける。
「……墓地の馬頭鬼の効果発動。このカードを除外し、墓地のアンデット族を特殊召喚する。私が特殊召喚するのは、ユニゾンビ……」
ユニゾンビ
守:0 闇 アンデット族 星3
「……ユニゾンビの効果発動。デッキからアンデット族モンスター、馬頭鬼を墓地に送り、牛頭鬼のレベルを1つあげる……」
牛頭鬼
星4→5
「……今墓地に送った馬頭鬼の効果を再び発動。このカードを除外し、墓地の屍界のバンシーを特殊召喚……」
屍界のバンシー
攻:1800 闇 アンデット族 星4
恵「……レベル4の屍界のバンシーに、レベル3のユニゾンビをチューニング……」
屍界のバンシーの身体をシンクロリングが包み込み新たなカードへと調律されていく。
☆4+☆3=☆7
恵「ーー死してなお羽ばたく赤き瞳、願わくば朽ちた世界に安息を……」
胸に手を当てて恵は、鼓動のような調べを口にする。
それは彼女の願い、彼女の想い。
恵「……シンクロ召喚……きて、真紅眼の不屍竜……」
「グガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
真紅眼の不屍竜
攻:2400→2900 闇 アンデット族 星7
降り立ったのは黒き竜。
身体は腐り果て、ドロドロの翼を携えている。
しかし瞳に宿す赤き魂は潰えることを知らぬ。
「……真紅眼の不屍竜は、墓地のアンデット族モンスターの数×100ポイント攻撃力が上昇する……」
「く……」
アルスは感じ入る。
このデュエルの終幕を。
「……バトル……」
ーバトルフェイズー
「……牛頭鬼で、ギガンテスに攻撃……」
牛頭鬼が棍棒を携えて突進する。
牛頭鬼の攻撃力は1700、ギガンテスの守備力は1300。
守備表示のギガンテスはその攻撃を受け切ることはできず破壊された。
「……ギガンテスが破壊されたことで、フィールドのマジック・トラップを全て破壊する……!」
デーモンの宣告、アダマシア・ラピュタイトが破壊されていく。
もはや不用ということだ。
恵は手を翳し、自らのエースモンスターに命令する。
「……真紅眼の不屍竜でプレイヤーにダイレクトアタック。ダークネクロフレア……」
真紅眼の不屍竜は恵の言葉に応じて高く羽ばたいた。
そして口蓋に凄まじいエネルギーを集約する。
アルスは悔しそうに拳を握る。
「くそっ……ここまでか……!」
やがて真紅眼の不屍竜は首で勢いをつけながらエネルギー弾を射出した。
黒炎の弾丸である。
それはなにものにも遮られることなくアルス・ヴェインへと直撃した。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」
アルス・ヴェイン
LP:1500→0
[チームラグナロク側ベンチ]
その終幕にミーティスは信じられないとばかりに言葉を漏らす。
「そんな……!」
セレナも胸の前で握った両手をそのままに彼の名を呼ぶ。
「アルス……!!」
ヴァールにいたっては、ほとんどベンチから飛び出して驚嘆の声を上げた。
「なぁぁぁにぃぃぃ!!?」
[チームHERO側ベンチ]
一方のチームHERO側ベンチでは亜美が拳を握りしめて上に掲げていた。
「よっしゃっ!! 恵が1勝を取った!!」
[デュエルフィールド]
デュエルフィールドでは死霊たちを従える恵がフィールドとその向こうにいるデュエリストをまっすぐに見つめていた。
電光掲示板はポーンと音がしてすぐさま表示が切り替わっていた。
Team Ragnarök (Sverige)
player:●◯◯
Team HERO (Japan)
player:◯◯◯
長くなりまして申し訳ございません。
今回はデュエルミスがないといいな……。
皆様のコメントにいつも助けられております!
何かあればまたご指摘ください!
また感想等あれば是非お聞かせいただけるととても励みになります!
小説形式について 地の文やテキスト量
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読みやすい(テキスト量が妥当)
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前の方が読みやすい
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地の文が長い
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誰が喋っているかわかりにくい