遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

55 / 87
皆様、新年あけましておめでとうございます。
また評価、お気に入りしていただいた方、誠にありがとうございます!
本年もよろしくお願い申し上げます。


第25話「WSC本戦2回戦終幕 オーバーザレインボー」中編

 

[ストックホルム デュエルコロシアム デュエルフィールド]

 

デュエルはチームラグナロクラストプレイヤーのヴァール・カーターのドローフェイズから再開する。

同じラストプレイヤーである祭乃木亜美は己が従えるモンスターたちの後ろからフィールドに睨みを効かせていた。

 

 

祭乃木 亜美

LP:3300

手札4

伏せ1

フィールド:

No101.S.H.Ark knight

E・HERO The シャイニング

 

ヴァール・カーター

LP:4000

手札:5

フィールド:

なし

 

ヴァールは勢いよくデッキトップのカードを引き抜いた。

 

「俺のターン!! ドロォオ!」

手札5→6

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

引いたカードを一瞥してから手札に加え、別のカードに持ち替える。

そしてそれをメインモンスターゾーンへと強く置いた。

 

「ゴブリンドバーグを召喚!」

 

レシプロ機がエンジン音をあげてフィールドに飛び上がる。

 

ゴブリンドバーグ

攻:1400 地 戦士族 星4

 

「こいつが場に現れた時、手札からレベル4以下のモンスターを呼び出すぜ! こい! XX-セイバー ダークソウル!」

 

「フンッ!」

 

XX-セイバー ダークソウル

守:100 地 獣族 星3

 

ゴブリンドバーグ

攻→守:0

 

[チームHERO側ベンチ]

 

フィールドに現れたのは赤いマントに大きな鎌を構えたモンスター。

それを観たツァンとゆきはそれぞれが反応した。

 

「Xセイバー!! 西洋の剣士のカード!」

 

「な、何故か親近感を覚えますぅ……!」

 

そんな二人を尻目にベンチの最前に立つ良平は顎に手を当てて呟く。

 

「Xセイバー……詳しくはわからないけど、高い展開力を持つデッキだって聞いたことがある……」

 

彼の隣には唯信が並び腕を組む。

 

「あの小娘は手負だゾ。受け切れるか見ものだナ」

 

[デュエルフィールド]

 

ヴァールはさらに手札のカードを引っ掴むと素早くマジックトラップスロットに差し込む。

 

「さらに手札からトランスターン発動だ!」

 

《トランスターン》

通常魔法

 

「ダークソウルを墓地に送って効果発動! 墓地に送ったダークソウルと種族、属性が同じでレベルが一つ高いモンスターをデッキから特殊召喚するぜ!」

 

ダークソウルがゆっくりと消えていき、代わりに表側になっているトランスターンが輝いた。

自動で送られてくるカードを掴みヴァールはモンスターゾーンにそれを置く。

 

「レベル4、地属性獣族! レスキューキャットを特殊召喚!」

 

「にゃあ」

 

レスキューキャット

守:100 地 獣族 星4

 

「レスキューキャットは、自身を墓地に送ることで、デッキからレベル3以下の獣族モンスターを特殊召喚できる!」

 

レスキューキャットは一鳴きするとぴょんと飛び上がる。

そのまま虚空へと消えたかと思うとフィールドに二つの光を呼びよせた。

ヴァールはデッキから2枚のカードを引き抜きフィールドに置く。

 

「こい!XX-セイバー ダークソウル! X-セイバー エアベルン!」

 

XX-セイバー ダークソウル

守:100 地 獣族 星3

 

X-セイバー エアベルン

攻:1600 地 獣族 星3 チューナー

 

 

フィールドに並ぶ3体のモンスター。

1体はチューナーで、それらのレベル合計は10。

亜美は口角をあげてヴァールを見た。

 

「早速くるわね!」

 

「おう! レベル4ゴブリンドバーグとレベル3ダークソウルに、レベル3のエアベルンをチューニング!」

 

ヴァールの声に呼応しフィールドにてモンスター達が躍動する。

X-セイバー エアベルンは自身の身体を3つのシンクロリングへと変形させ、ゴブリンドバーグとダークソウルを包み込む。

 

☆4+☆3+☆3=☆10

 

 

「ーー北辰の空にありて、全知全能を司る皇よ!今こそ、星界の神々を束ね、その威光を示せ!」

 

それは神を呼ぶ詠唱。

ヴァールの左眼は強く光りルーン文字を刻みつけていた。

 

「シンクロ召喚! 飛ばしていくぜ! 出ろ! 極神聖帝オーディン!!」

 

バシッと音が響く。

それはヴァールが己のデュエルディスクにカードを強く置いた音だった。

刹那、曇天の空に雷鳴が轟いた。

と同時に地響きがして辺りに騒然とした空気感が纏う。

そんな雲と雲との狭間から光が差し込み、その最後の神がゆっくりと降臨した。

 

「ォオォオォオォオッ!!」

 

極神聖帝オーディン

攻:4000 神 幻獣神族 星10

 

白髪に威厳を絵に描いたような髭と杖、左眼のルーン文字。

しかしてその姿は神そのものである。

亜美は見上げて思わず呟く。

 

「でっか……!」

 

[チームHERO側ベンチ]

 

三体目にして最高神たる極神の登場にベンチメンバーは再びベンチ最前へと集まった。

美優は神を見上げ声を出した。

 

「Wow! あれが3体目のGODなのネ!」

 

同じく見上げた雪乃も慄きながら呟いていた。

 

「なんて巨大なモンスターなの……」

 

その隣でゆきは不安を吐露する。

 

「攻撃力4000……。しかも魔法、罠は無効にされてしまいますぅ……」

 

[デュエルフィールド]

 

フィールドにてヴァールは神を従え、好戦的な笑みを浮かべた。

 

「攻めるぜ! バトル!」

 

ーバトルフェイズー

 

「いけ! オーディン! アークナイトに攻撃だ!」

 

ヴァールは勢いよく腕を振り上げる。

呼応して神は引く響く雄叫びを上げながらクネクネと曲がる杖を振り上げた。

その威光に亜美は二、三後退する。

 

「くっ……!」

 

一方ヴァールは一気に畳み掛けるように声を張り上げた。

 

「ーーヘヴンズ・ジャッジメントォォォォ!!」

 

閃光。

そして咆哮。

極神の中の最高神はその魔杖を振り上げる。

 

極神聖帝オーディン

攻:4000

 

それを亜美のフィールドにたたきつけ、アークナイトを叩き潰してしまった。

 

No101.S.H.Ark knight

攻:2100 素材1→0

 

アークナイトはシールドを展開するもすぐに破壊され、凄まじい粉塵と共に弾き飛ばされてた。

その爆風は亜美を包み込み、衝撃を伴って亜美のすべてを貫いた。

 

「あぁぁぁ!?」

 

祭乃木亜美

LP:3300→1400

 

衝撃が収まってから亜美は顔を上げてつぶやく。

 

「ぐっ……!なんて衝撃なの……!?」

 

ーメインフェイズ2ー

 

驚愕する亜美に対してヴァールは得意げに笑い、手札のカードを2枚スロットに裏側で差し込んだ。

 

「へへっ!カードを2枚セット!!」

 

ーエンドフェイズー

 

フェイズの進行とともにヴァールのディスクのセメタリーゾーンが光る。

 

「そして、エンドフェイズ! 墓地に送られた2体のダークソウルの効果が発動だ!」

 

半透明となったダークソウルが2体フィールドで鎌を振り回す。

するとヴァールのデッキが呼応するように光った。

 

「こいつがフィールドから墓地に送られたエンドフェイズにX-セイバーモンスターをデッキから手札に加えることができるんだぜ!俺は、XX-セイバー フォルトロールとXX-セイバー ボガーナイトを手札に加えて、ターンエンドだ!」

 

ヴァール・カーター

LP:4000

手札3

伏せ2

フィールド:

極神聖帝オーディン

 

ードローフェイズー

 

亜美はフィールドを支配する神を見上げながらデッキトップを引き抜く。

 

「やってくれるわね! アタシのターン! 」

手札4→5

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

ドローカードをチラと見てから手札に加えた亜美は、もう一度フィールドの状況を見回した。

 

(相手の伏せカードは2枚……)

 

マジックトラップが通用しない神に、防御札になり得るセットカードが2枚。

それが攻撃反応型なのか、フリーチェーンなのか、あるいはカウンタートラップなのか。

知っているのは相手のみ。

亜美のフィールドは、エクシーズユニットを失ったNo101.S.H.Ark knightとE・HEROシャイニングの2体。

亜美は拳を握り声を上げた。

 

「びびってたら始まらないわ! バトル!」

 

「おっ、くるか!?」

 

ーバトルフェイズー

 

フィールドに手を差し向け、亜美は叫ぶ。

 

「いくわよ、シャイニング! あのデカブツに殴り込みよ!」

 

「ハァァァッ!」

 

E・HEROシャイニング

攻:3500

 

シャイニングは拳に光を溜め込んでフィールドを一文字に駆け抜ける。

一方ヴァールは腕を組み、待ち構えた。

 

「攻撃力はこっちのが上だぜ! 迎え撃て! オーディン!」

 

「ォオォオォオッ!」

 

極神聖帝オーディン

攻:4000

 

ピシャンと雷が轟き、オーディンはその手の魔杖を振り上げた。

双方の体格には正しく天と地。

しかしヒーローは拳を下げぬ。

亜美は手札のカードを引き抜き発動した。

 

「ダメージステップ!! 手札のオネスティ・ネオスを墓地に送って効果発動!」

 

《E・HEROオネスティ・ネオス》

効果モンスター

 

半透明の羽根が生えたネオスが駆けるE・HEROシャイニングの背後を包む。

 

「このカードは、HEROに光の力を与えるわ! 力を受けたHEROモンスターは、2500ポイント攻撃力があがる!」

 

虹色のヴェールがシャイニングに宿る。

それは万感の力を拳に集わせた。

 

「ヌゥゥゥンッ!!」

 

E・HEROシャイニング

攻:3500→6000

 

力は逆転した。

ヴァールは目を見開く。

 

「何ィィ!?」

 

E・HEROシャイニングは、拳を力一杯振り抜いた。

 

「ゥォオォオッ……!!」

 

極神聖帝オーディン

攻:4000

 

低い唸りをあげたオーディンはその身体を貫かれる。

同時に爆発するように身体が砕け散ってしまった。

ブワリと粉塵が巻き上がりヴァールに襲いかかる。

 

「ウォオァァ!!」

 

ヴァール・カーター

LP4000→2000

 

腕を顔の前に置いてヴァールはそれを守る。

やがて衝撃が収まると顔を上げた。

 

「〜〜ッ〜〜! やるなぁ!」

 

「まだ終わりじゃないわよ! アークナイトでダイレクトアタック!」

 

亜美は腕を振り、追撃を指示する。

同時にアークナイトは錨を射出した。

 

No101.S.H.Ark knight

攻:2100

高速で飛んでくる錨を睨みながらヴァールは口角を上げて、マジックトラップ発動ボタンを勢いよく押す。

 

「そいつを通すわけにはいかないな! トラップ発動!! 鉄獣の抗戦!」

 

《鉄獣の抗戦《 トライブリゲート・リボルト》》

通常罠

 

「俺の墓地の獣族、獣戦士族、鳥獣族を好きな数、効果無効で特殊召喚し、そいつらだけでトライブリゲートリンクモンスターを呼び出す!」

 

亜美は発動したカードを見て目を見開く。

 

「トライブリゲート……!?」

 

「みんな出てこーい!!」

 

ヴァールはニッと笑い、墓地のカードを引っ掴むとバシッ、バシッ、バシッ、バシッと次々に並べる。

 

XXセイバー-ダークソウル

守:100 地 獣族 星3

 

XXセイバー-ダークソウル

守:100 地 獣族 星3

 

レスキューキャット

守:100 地 獣族 星4

 

Xセイバー-エアベルン

攻:1600 地 獣族 星3

 

現れたモンスターたちは留まることはない。

フィールドにはEXゾーンへ繋がるサーキットが現れた。

 

「さぁ、いくぜぇ! 鼓動揺るがすサーキット!召喚条件は! 獣族、獣戦士族、鳥獣族モンスター2体以上! ダークソウル2体とレスキューキャット、エアベルンをリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!」

 

←獣戦士族+→獣戦士族+↙︎獣族+↘︎獣戦士族=LINK4

 

モンスター4体は次々とサーキットのリンクマーカーに飛び込んでいく。

そして開くはEXゾーンへの道。

 

「リンク召喚! 撃ち抜け! 鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ!!」

 

「キュォォオォオォオォオォオッ!!!」

 

鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ

攻:3000 闇 鳥獣族 LINK4 右EXゾーン ←↙︎↘︎→

 

現れたのは黒い画面に黒い翼、巨大なガトリングガンを携えた鳥人だった。

それはフィールドに降り立った瞬間にガトリングをフィールドに向ける。

 

「シュライグが場に現れた時フィールドのカードを選んで除外するぜ!! シャイニングを撃ち抜け!」

 

シュライグはマシンガン射撃する。

「グァァァッ!!」とシャイニングは断末魔を上げながら破壊されていく。

 

「ぐっ! シャイニング……!」

 

亜美はガラスのように砕け散ったシャイニングを見送った。

苦い顔と共に。

 

(シャイニングの効果は墓地に送られないと発動しない……! やられたわね……!)

 

心の中でヴァールのプレイングに賞賛と苦々しい気持ちをぶつける。

それから亜美は腕を振って宣言する。

 

「アークナイトの攻撃を中止!メインフェイズ2に移行!」

 

ーメインフェイズ2ー

 

フェイズ進行と共に亜美は手札のカードを勢いよくスロットへと差し込んだ。

 

「手札から融合を発動!」

 

《融合》

通常魔法

 

「フィールドのアークナイトと手札のリキッドマンで融合!」

 

E・HERO + 水属性

 

ギュォッと勢いよく融合の渦がフィールドを取り巻く。

そこへモンスターたちが飲み込まれていった。

 

「ーー絶対零度、絶氷必滅!! 氷刃がこの世の悪を浄化する!!」

 

一閃の青い光。

やがて蒼いヒーローが地面に着地した。

その周りはピキリピキリと凍りついていく。

 

「E・HERO アブソルートZEROを融合召喚!」

 

E・HEROアブソルート

守:2000 水 戦士族 星8

 

「融合素材になったリキッドマンの効果発動! カードを2枚ドローし、手札を1枚墓地に送るわよ!」

手札2→4→3

 

カードを入れ替え1枚をセメタリーゾーンへと入れた。

それからさらに手札を2枚スロットに差し込んだ。

 

「カードを2枚セットしてターンエンドよ!」

 

ーエンドフェイズー

フェイズチェンジのタイミングでヴァールは宣言する。

 

「エンドフェイズ時、墓地のオーディンと2体のダークソウルの効果が一気に発動する!」

 

chain1 極神聖帝オーディン

 

chain2 XX-セイバー ダークソウル

 

chain3 XX-セイバー ダークソウル

 

「まずは2体のダークソウルの効果で、フォルトロールとエアベルンを手札に加えるぜ!」

手札3→5

 

デッキから自動送り機能で抜き出されたカードを引き抜き、亜美へ見せつける。

それから続けて声を出す。

 

「さらに、オーディンは破壊されたエンドフェイズに場に復活する!!」

 

再び雷鳴が響き渡る。

現れた時と同じように雲を掻き分けて巨軀をゆっくりと地に下ろし、極神聖帝は怒号をあげた。

 

「ウォオォオォオッ!」

 

極神聖帝オーディン

攻:4000 神 幻獣神族

 

「オーディンが墓地から復活した時、カードを1枚ドローできるぜ!」手札5→6

 

そう言ってヴァールはさらにカードをドローした。

フィールドには2体のエース級モンスター。

亜美は歯を食い縛る。

 

「くっ……」

 

祭乃木亜美

LP1400

手札1

伏せ2

フィールド:

E・HEROアブソルートZERO

 

 

[チームHERO側ベンチ]

 

フィールドの状況は誰が見ても劣勢。

ゆきは「うぅ……」力なく声を漏らす。

「神のカードだけじゃなく、攻撃力3000のモンスター……」

 

聞いた雪乃はさらに追加した。

 

「それだけではないわよ。お相手の手札はドローで7枚。いくらアブソルートZEROがいるとは言え、厳しいわ」

 

「あぅ……」

 

ツァンも腕を組んでため息を漏らしながら言う。

 

「まぁ、仕方ないよね。むしろよくここまで勝ち上ったよ」

 

そんな言葉にここのせは言い様の無い悔しさと不甲斐なさを全身に感じ、拳を血が出るほどに握りしめた。

 

「……ッ」

 

そんな様子を恵だけが見つめていた。

一方、ベンチ最前の唯信は隣に立つ良平を見もせずに踵を返した。

 

「フンッ、興醒めだナ」

 

「……金、帰るの?」

 

良平はすぐに呼び止めるも彼女は長い髪を揺らして足を止めない。

 

「結果は見えタ。これ以上見る価値はなイ」

 

「……」

 

良平は一瞬押し黙る。

確かにフィールドには展開を受け止められる程のリソースはない。

デュエルに長けた者ならばこの状況の厳しさは痛いほどわかる。

だけど。

それでも。

 

「……いや、勝負はまだわからない」

 

「何……?」

 

良平の言葉に唯信は足を止めた。

良平は続ける。

 

「祭乃木にはまだ勝ち筋があると俺は思ってるよ。このターンを凌げば、まだ可能性はある」

 

「フンッ、残りライフは風前の灯ダ。敵の圧倒的なアドバンテージを乗り切れるとは思えン」

 

「……確かにそうかもしれない。ーーけど、祭乃木なら。祭乃木ならなんとかできる」

 

「なんだト……。何を根拠ニ」

 

「根拠は、ない。けど俺たちはずっと見てきたんだ。どんな状況でも諦めない祭乃木の姿を。ーーだから俺たちも諦めるわけにはいかないんだ」

 

真っ直ぐに唯信の目を見つめる良平。

そんな彼の姿にゆきは思わず声を出した。

 

「日和田さん……」

 

唯信は逡巡し、それから目を伏せた。

 

「金が帰るなら、それは止められないけど……」

 

「チッ……」

 

スタスタと唯信は良平の隣まで戻り、腕を組んでフィールドを見た。

 

「このターンでやられたら、貴様が責任を取レ」

 

「え……」

 

責任、なんて言われると思ってなかった良平は目を丸くした。

そんなやりとりに美優は両手を腰に当てて笑う。

 

「hahaha、責任重大ネ!」

 

[デュエルフィールド]

 

しかしてデュエルは続く。

フィールドはヴァール・カーターの優勢。

 

ードローフェイズー

 

ヴァールはそれでも好戦的な表情でカードを手にした。

 

「一気に決めてやるぜ! ドロォオ!」

手札6→7

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

「XX-セイバー ボガーナイトを召喚!!」

 

XX-セイバー ボガーナイト

攻:1900 地 獣戦士族 星4

 

「ボガーナイトは、場に出たとき、手札のX-セイバーを連れてくるぜ! こい! X-セイバー エアベルン!」

 

X-セイバー エアベルン

攻:1600 地 獣族 星3 チューナー

 

「獣族が特殊召喚された瞬間、シュライグのマシンガンが火を吹くぜ! シュライグは、場に獣族、獣戦士族、鳥獣族が特殊召喚された時、場のカードを1枚選んで除外する!」

 

ヴァールの宣言に亜美は素早く反応し、マジックトラップボタンを押し込む。

 

「速攻魔法発動! 月の書!」

 

《月の書》

速攻魔法

 

chain1 鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ

 

chain2 月の書

 

「X-セイバー エアベルンを裏側守備表示に変更!」

 

フィールドに緑色の本が現れ、それが強く光るとX-セイバー エアベルンを裏側にしてしまった。

だがシュライグには影響はなく、そのままマシンガンを放つ。

 

「効果は素通りだぜ! シュライグ! セットカードを除外だ!」

 

シュライグのガトリングが回転し無数の銃弾を撒き散らす。

それは亜美の足元に着弾しセットカードを粉々に粉砕した。

 

「……ッ!」

 

「さらに! リバースカードオープン! ガトムズの緊急指令!」

 

《ガトムズの緊急指令》

通常罠

 

「俺のフィールドにX-セイバーがいるとき、墓地のX-セイバーを2体特殊召喚できる! こい! X-セイバー エアベルン! XX-セイバー ダークソウル!」

 

X-セイバー エアベルン

攻:1600 地 獣族 星3 チューナー

 

XX-セイバー ダクソ

守:100 地 獣族 星3

 

「レベル3のダークソウルに! レベル3のエアベルンをチューニングだ!」

 

ヴァールの声に呼応して、エアベルンはシンクロリングへと身体を変える。

そしてダークソウルを包み込み、調律していく。

 

☆3+☆3=☆6

 

「シンクロ召喚! いくぜ! 獣神ヴァルカン!」

 

獣神ヴァルカン

攻:2000 炎 獣戦士族 星6

 

「ヴァルカンの効果発動だ! 俺のフィールドのボガーナイトとお前のアブソルートZEROを対象として、そいつらを手札に戻すぜ!」

 

獣神ヴァルカンは空気を揺らすような咆哮をあげたかと思うと、地面を殴りつける。

それは一斉に隆起してフィールドのアブソルートZEROへを吹き飛ばした。

 

「くっ……!」

 

亜美はEXデッキに弾き飛ばされたカードを見て声を漏らす。

アブソルートZEROが持つ破壊効果は発動しない。

ヴァールはニヤリと笑い言う。

 

「フィールドから離れた時の効果はデッキに戻っちまった場合には使えない! これで氷の壁は乗り越えたぜ! さぁ、バトルだ!」

 

ーバトルフェイズー

 

亜美のフィールドにはモンスターもセットカードもない。

ヴァールは手を差し向けて攻撃宣言した。

 

「トドメを刺せ! シュライグでダイレクトアタック!」

 

鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ

攻:3000

 

この攻撃が通れば亜美のライフは一瞬で消し飛ぶ。

スタジアムは大きくどよめいた。

亜美は否定するように腕を振り抜き、トラップ発動ボタンを押し込む。

 

「やらせないわよ! 墓地の光の護封霊剣の効果発動!」

 

《光の護封霊剣》

永続罠

 

「墓地のこのカードを除外することで、このターン、モンスターは直接攻撃できない!」

 

亜美の声に応えるように虚空に光の剣が数本現れる。

それは強烈な閃光を放ちながらヴァールのフィールドへと突き刺さった。

凶鳥のシュライグは驚いたように羽根を羽ばたかせ攻撃を中断する。

ヴァールは楽しそうに口角を上げながらも攻勢をやめない。

 

「防いできたか! だが、甘いぜ! 神にマジック・トラップは通用しない! オーディンの効果発動! インフェルエンス・オブ・ルーン!!」

 

ヴァールの左眼が光りルーン文字を刻む。

それはフィールドの神と連動し、答えるように輝く。

亜美は一方後ろに下がり慄いた。

 

「ッ!?」

 

「こいつがフィールドにいる時、幻獣神族に対するあらゆるマジック、トラップの効果を無力化するぜ! 」

 

オーディンが鋭い咆哮をあげると周囲が帯電する。

やがて痛烈な放電とともに爆発したような音が鳴る。

目をあけるとオーディンの前の霊剣は粉々に砕け散っていた。

亜美は思わず口を開けた。

 

「これが神の力……!」

 

「これで他のモンスターは動けないけど、オーディンは動けるぜ!いけ、オーディン!! ダイレクトアタック!」

 

「ウォオォオォオォオッ!!」

 

極神聖帝は魔杖を振り上げて亜美へと振り下ろす。

響くは雷鳴。

轟くは怒号。

亜美は素早く手札をフィールドへと置いた。

 

「手札のジャンクディフェンダーの効果発動!!」

 

《ジャンクディフェンダー》

効果モンスター

 

ソリッドビジョンがすぐさまモンスターを映し出す。

赤い肩パッドをつけた戦士である。

片足でしゃがみ腕を胸の前でクロスして衝撃に備えていた。

 

ジャンクディフェンダー

守:1800 地 戦士族 星3

 

「ジャンクディフェンダーは直接攻撃に反応して、手札から現れるわ!!」

 

「じゃあ、そのままそいつを倒せ! オーディン!」

 

極神聖帝オーディン

攻:4000

 

ジャンクディフェンダー

守:1800

 

オーディンの杖を受け止めるジャンクディフェンダー。

数秒と耐えられず、すぐに叩き潰された。

爆風のような衝撃が亜美のポニーテールを揺らす。

しかしダメージはあらず。

 

「……ッ! どうよ……! 耐えてやったわ……!」

 

「あの状況で耐えるなんてなぁ! すげぇな! 」

 

ニッとヴァールは手を腰に当てて笑う。

 

ーメインフェイズ2ー

 

それから手札のカードを1枚抜き取ると裏側でスロットに差し込んだ。

 

「カードを1枚セット!」

 

ーエンドフェイズー

 

それからフェイズを進行させると墓地が光り、半透明のダークソウルが再び鎌を振り回した。

 

「エンドフェイズ時、墓地に送られたダークソウルの効果で、デッキからX-セイバー パシウルを手札に加えるぜ!」

 

ヴァール・カーター

LP:2000

手札:5

マジックトラップ:

伏せカード 1

フィールド:

極神聖帝オーディン

鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ(左EX)

セットモンスター

獣神ヴァルカン

 

ヴァールはモンスターを従えたフィールドを見回し、そして再び亜美を見つめた。

 

「これが俺の全力だ!! アミ!! さぁ!! お前のターンだぜ!!」

 

ヴァールの大きな声が響く。

フィールドには稲妻と神の威光。

あまりに巨大な身体。

一方亜美には。

フィールドも、

手札も、

セットカードも、

一つたりともあらじ。

 

「……ッ」

 

亜美は再び見上げる。

あまりの巨軀な一つの視野では到底入らない。

ただ視界の外に紫色の光が見えて、数秒遅れの雷鳴が聞こえていた。

 




◾️あとがき(言い訳)
ジャンクディフェンダーって……と思いますよね。
今ならスピリット・オブ・ネオスがあるんですがこれを執筆した2022年にはなかったんです……。

小説形式について 地の文やテキスト量

  • 読みやすい(テキスト量が妥当)
  • 前の方が読みやすい
  • 地の文が長い
  • 誰が喋っているかわかりにくい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。