遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

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・2020年6月22日執筆部分のため、このパートは禁止制限は2020年4月改定を使用。
・カードプールも2020年6月まで。

修正しました。
カゲトガケの特殊召喚条件を満たしていなかったため、別のカードに変更しました。


第2話 「スクランブル発進 飛び立て幻獣機」後編

 

[ネオ童実野シティ 旧サテライトエリア]

 

太陽は西側に傾いており全ての影が面長になっている。

まるで観客のように四方を取り囲む粗大ゴミの山。

その中心、地面が剥き出しの場所で良平は決闘盤を構えた。

ソリッドビジョンシステムは、静かな起動音をあげている。

男はニヤリと口角を上げ、許可も取らず初期手札に手をかけた。

 

 

ースタンバイフェイズー

 

「先行はもらったぁ! ワシのターン!」

手札5

 

ーメインフェイズー

 

手札を一瞥し、男は右手で一枚抜き取った。

それをやや乱暴に決闘盤に差し込む。

 

「手札からマジックカード、予想GUYを発動!」

 

ソリッドビジョンが反応し、表示されたカードが裏側から表側に半回転する。

 

《予想GUY》

通常魔法

 

「デッキから通常モンスターを特殊召喚する! この効果で、デッキからエーリアン・ソルジャーを特殊召喚じゃ!」

 

デッキから自動選出されたカードを抜き取り、それを決闘盤に叩きつけた。

メインモンスターゾーンが光り、そこに緑色のワニのような戦士が白銀のサーベルを構えて現れる。

 

エーリアン・ソルジャー

攻:1900 地 爬虫類族 星4 ゾーン:⑤

 

現れたモンスターを見てここのせは腕を組み、ゆきは顔を顰めた。

 

「相手はエーリアンか! 厄介なデッキだぞ……」

 

「ちょっと気持ち悪いですぅ……」

 

そんなギャラリーの感想を尻目に、男はさらにモンスターを呼び出す。

 

「手札から、エーリアン・マーズを通常召喚!」

 

バシッと音を立てて、モンスターゾーンにカードを置く。

光から現れたのは厳つい顔にタコのような触手が生えたモンスターだった。

 

エーリアン・マーズ

攻:1000 炎 爬虫類族 星3 ゾーン:②

 

「さらに俊足なカバ バリキテリウムを特殊召喚じゃ! こいつは1ターンに1度、手札から特殊召喚できる!」

 

素早い手つきでさらにカードを決闘盤にセットする。

 

俊足なカバ バリキテリウム

攻:1500 風 獣族 星4 ゾーン:①

 

「こいつの特殊召喚時、強制的におめぇの墓地のモンスターを特殊召喚させちまうが、今墓地にモンスターはない! タダで召喚できるっちゅーわけじゃ! がははっ!」

 

「なるほど……」

 

「そしてレベル4のエーリアン・ソルジャーとバリキテリウムの二体でオーバーレイ!」

 

男は徐に右手を突き出した。

目の前に黒い宇宙のような渦ーーオーバーレイネットワークが展開する。

2体のモンスターはそこに吸い込まれていった。

 

☆4×☆4=★4

 

「ーーエクシーズ召喚! 来いやぁ!キングレムリン!」

 

渦が急激に光り、その中から緑色のモンスターがその姿を表す。

 

キングレムリン

攻:2300 闇 爬虫類族 ランク4 ゾーン:③

 

「キングレムリンの効果発動じゃあ! 素材を墓地に落とし、デッキから爬虫類族一体を手札に加えるぞ! エーリアンモナイトをサーチじゃ!」

手札2→3

 

デッキからカードを取ると、カードを指に挟んでこちらに見せてから手札に加えた。

それから、男はカードを持ち替えて、別のカードをマジックトラップゾーンに差し込む。

 

「カードを一枚セット! これでターン終了じゃあ! さぁ、かかってこいやぁ!」

 

ソリッドビジョンで裏側のカードが数秒表示され、やがて地面に沈むようにして消えていく。

 

ーエンドフェイズー

 

高橋秀行

LP:4000

手札:2

魔法罠:

セットカード1

フィールド:

エーリアン・マーズ

キングレムリン

 

 

ードローフェイズー

 

「圧がすごいなぁ……。俺のターン、ドロー!」

手札5→6

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

良平は引いたカードをちらりと一瞥してから左手の手札に加え、それから淀みなくカードを持ち替えた。

 

「幻獣機ライテンを召喚!」

 

そのカードを宣言とともに、決闘盤のモンスターゾーンに置く。

ソリッドビジョンが煌々と光り、そこから回転しながら一機のレシプロ機が現れた。

 

幻獣機ライテン

攻:1500 風 機械族 星4 ゾーン:①

 

風切り音と共に現れた幻獣機ライテンを見て、女はぽつりとつぶやく。

 

「幻獣機……。珍しいデッキを使うのね」

 

それを横目に、ここのせが興奮気味に声を上げた。

 

「おぉ! ライテン! ソリッドビジョンで観るとカッケェなぁ!」

 

「ここのせさんのテンションが……」

 

「こいつ、なんか知らないけど戦闘機と戦艦とか好きなのよね。アタシにはさっぱりわかんないけど」

 

「あはは……。男の子ってああいうの好きですよね」

 

眉を八の字にしてゆきは、からからと笑う。

亜美はというと全然わかんないという顔をして肩をすくめる。

幻獣機ライテンが、そんな評価に意にかえさずモンスターゾーンの上で静止した。

 

「一緒にしないでくれ……」

 

一方、当事者である良平はというと、困ったようにそう言った。

自分のデッキであるーーつまりそのカードの適性とも言える運命力を持つことと、そのモチーフを愛しているかはノットイコールである。

苛立ちを露わにして男が地面を踏みつけた。

 

「何をごちゃごちゃ喋ってんじゃあ!」

 

「ああ、今やりますって! えっと、幻獣機ランテンの効果を発動! 手札を一枚捨てることで、フィールドに幻獣機トークンを特殊召喚できる! 」

手札5→4

 

コストを捨てて宣言すると、幻獣機ライテンはエンジンを張り上げる。

駆動音を立てて空中で宙返りすると、その軌跡にオーロラのような色をした分身が現れた。

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:②

 

「ライテンの効果は手札があれば何度でも発動できる! もう一度効果発動!」

手札4→3

 

手慣れた手つきでカードを手札から墓地に送る。

墓地ゾーンにカードを添えると吸い込まれるように中に消えた。

代わりにプリズムのような半透明の航空機が回転しながら現れる。

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:③

 

「さらに、今手札から捨てた幻獣機オライオンの効果を発動!」

 

《幻獣機オライオン》

効果モンスター

 

右手を横に薙ぎ払い宣言する。

すると、ポンっと弾けるような音とともにかなり小型の人工衛星のようなものが現れた。

半透明のそれは、よく見るとライオンのような顔をしている。

 

「幻獣機オライオンは墓地に置かれたとき、フィールドに幻獣機トークンを呼び出す!」

 

幻獣機オライオンは口を開け、一声上げるとその場にさらに半透明な航空機がアフターバーナーを吹かしながら現れた。

その様子を見届けると幻獣機オライオンはゆっくりと消えていく。

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:④

 

これによりフィールドには、4体ものモンスターが並んだ。

その様子にゆきは胸の前で手をパチパチと叩くと無邪気な顔で飛び跳ねた。

 

「すごいです! フィールドにモンスターがたくさん出てきました!」

 

ここのせも満足そうに頷く。

 

「幻獣機のお家芸だな。あいつはあの技でアドリア海のエースになったんだ」

 

「いやなってないから」

 

適当なことを抜かすここのせに、亜美は呆れながら軽く裏拳をここのせの胸に当てた。

しかし、トークンを並べるこの戦略が彼のデュエルの真骨頂であることは否定のしようがない。

それを知らぬ男は、現れたトークンを傲慢な顔で見ていた。

 

「はっ! そんな雑魚を並べて、何をするつもりじゃ!」

 

その問いに良平は答えない。

代わりに、左腕の決闘盤をディスプレイを指で弾く。

するとフィールドに、二つ重なった正方形に八つの矢印が取り付けられた召喚演出ーーリンクマーカーが現れた。

 

「これは……! リンク召喚か……!」

 

男はめんどくさそうに舌打ちをした。

そのまま右手を突き出し良平は宣言する。

 

「フィールドの幻獣機トークン3体をリンクマーカーにセット!召喚条件は機械族モンスター3体!」

 

←機械族 + ↓機械族 + ↘︎機械族 = LINK3

 

「ーー煌めけ、極光の翼!」

 

指定したリンクマーカーが強く輝き、中心にエネルギーが集中する。

それがまるで爆発したように光り、そこから巨大な黒い軍用機が現れた。

 

「 回せぇ!!ーーリンク召喚! リンク3、幻獣機アウローラドン!」

 

幻獣機アウローラドン

攻:2100 風 機械族 LINK3 ←↓↘︎ ゾーン:右EX

 

「アウローラドンのリンク召喚成功時、フィールドに三体の幻獣機トークンを呼び寄せる!」

 

「甘いわぁ! リバースカード! 「A」細胞組み換え装置!!」

 

《「A」細胞組み換え装置》

速攻魔法

 

chain1 幻獣機アウローラドン

 

chain2 「A」細胞組み換え装置

 

「こいつは、デッキからエーリアンを墓地に送ることで、そのモンスターのレベル分お前のフィールドのモンスター1体にAカウンターを乗せられる! ワシはデッキからエーリアン・ヒュプノを墓地に落とし、そのデカブツにカウンターを乗せる!!」

 

指で幻獣機アウローラドンを指差す。

すると幻獣機アウローラドンの翼の一部が腐食していき、宿主のようなものがまとわりついた。

その様子をみたゆきの喉からは空気が漏れたような音がする。

さらにそれに呼応してフィールドのエーリアン・マーズがその目から怪光線を照射した。

幻獣機アウローラドンに取り憑いた触手たちが一層暴れ回る。

 

「エーリアン・マーズがフィールドにいる限り、Aカウンターが乗ったモンスターの効果は無効になる!! オメェのそのデカブツの効果は無効じゃあ!」

 

「うわぁ、マジか……」

 

予想外のことに、良平は思わず背後頭を掻いた。

効果が無効になったことで、chain1の処理が不発となる。

幻獣機アウローラドンからはpull upという警告音が聞こえた。

 

「う、うぅ、あのモンスターがいる限り、効果が使えないなんて……」

 

ゆきの困ったような声に少女は眉を顰める。

 

「彼、大丈夫なのかしら?」

 

「大丈夫よ」

 

亜美は何の憂いも無さそうに笑った。

さらに続ける良平。

 

「……仕方ない。墓地の幻獣機オライオンの効果発動!」

 

《幻獣機オライオン》

効果モンスター

 

「このカードを除外することで、手札の幻獣機モンスターを召喚できる!」

 

「チィ、まだ動きよるのか……!」

 

「こい! 幻獣機テザーウルフ!!」

 

左手のカードを抜き取り、モンスターゾーンへと置く。

認識音とともにフィールドには攻撃的な軍用ヘリコプターが現れた。

その正面部分は、まさに狼である。

けたたましいローターの回転音が鳴り響く。

 

幻獣機テザーウルフ

攻:1700 風 機械族 星4 ゾーン:③

 

「幻獣機テザーウルフは、召喚された時、幻獣機トークンを生成する!」

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:②

 

「さらに幻獣機は、フィールドにいる幻獣機トークンのレベル分、自身のレベルが上がる! 今、フィールドにいる幻獣機トークンは1体で、そのレベルは3! よってテザーウルフとライテンのレベルは7になる!」

 

幻獣機テザーウルフ

星4→7

 

幻獣機ライテン

星4→7

 

「レベル変動効果……!?」

 

「レベルが7となったテザーウルフとライテンでオーバーレイ!!」

 

良平の言葉に呼応するように、フィールドには黒い渦ーーオーバーレイネットワークが現れる。

幻獣機ライテン及びテザーウルフはそこに飛び込んでいった。

 

☆7×☆7=★7

 

「ーー翔びたて、願いを乗せた鉄の翼!」

 

オーバーレイネットワークの中央が強く輝く。

そして、姿を現した。

白のボディに青のライン。世界最大の軍用機がその両翼のエンジンを臨界運転で出撃する。

 

「回せぇ!! ーーエクシーズ召喚! 来てくれ、幻獣機ドラゴサック!!」

 

幻獣機ドラゴサック

攻:2600 風 機械族 ランク7 ゾーン:①

 

「来たぜ、幻獣機のエースモンスター!!」

 

「あれが日和田さんの切り札なんですね……!」

 

「ドラゴサックの効果発動! エクシーズ素材を1つ使って、フィールドに幻獣機トークンを2体特殊召喚する!」

 

幻獣機ドラゴサックは、良平の命令にその巨大をロール回転する。

それを追従するように2体の小型機が現れた。

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:③

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:④

 

「いくぞ、バトル!」

 

ーバトルフェイズー

 

「行け! ドラゴサック!! キングレムリンに攻撃!!」

 

すかさず良平はキングレムリンを指差した。

「roger」と返事をして幻獣機ドラゴサックは、轟音を上げてキングレムリンに接近する。

 

幻獣機ドラゴサック

攻:2600

 

幻獣機ドラゴサックに搭載されている機関砲が一気に回転し、その銃口から猛烈な硝煙をあげた。

無数の弾丸が射出され、その全てがキングレムリンに命中していく。

 

キングレムリン

攻:2300

 

身体中を撃ち抜かれたキングレムリンは断末魔を上げて粉砕された。

そして、その流れ弾が男の身体にも命中する。

 

「ぐはっ……!!」

LP:4000→3700

 

ソリッドビジョンは質量を持たない。

従って肉体的なダメージはないが、衝撃は再現されている。

男は演出と相まって本当に痛みを感じるような錯覚に陥った。

この臨場感こそがデュエルなのだ。

 

「追撃! アウローラドンでエーリアン・ヒュプノに攻撃!!」

 

幻獣機アウローラドン

攻:2100

 

黒い翼のアウローラドンもまたエンジン音をあげて肉薄する。

そして両翼の機関砲を炸裂させた。

 

エーリアン・ヒュプノ

攻:1000

 

機関砲の銃撃を浴びたエーリアン・ヒュプノは紙切れのようにバラバラに霧散していく。

そしてその余波が男を襲った。

 

「オァァァッ!?」

 

高橋秀行

LP:3700→2600

 

男は驚愕の表情を浮かべる。

 

「クソがぁ!」

 

一方のギャラリーは、先制ダメージに歓声をあげた。

両手を胸の前でぎゅっと握り、ゆきはニコニコと笑う。

 

「日和田さんが先制しましたぁ! すごいです!」

 

「良平のやつ、やるじゃねぇか」

 

「貴女たち少し贔屓が過ぎるわよ。この程度で喜ぶなんて」

 

ーメインフェイズ2ー

 

「これでエーリアン・ヒュプノの効果が切れた! アウローラドンの効果発動! フィールドのモンスター2体をリリースすることでデッキから幻獣機モンスターを特殊召喚する! アウローラドン自身と幻獣機トークンをリリース!」

 

幻獣機アウローラドンと幻獣機トークン1体がゆっくりと消えていく。

そして、その代わりに新たな軍用機が空を切り裂いて現れた。

 

「幻獣機メガラプターを特殊召喚!」

 

猛禽類を彷彿とさせる顔つきのジェット戦闘機がアフターバーナーを燃やして旋回し、フィールドに降り立った。

 

幻獣機メガラプター

攻:1900 風 機械族 星4→10 ゾーン:⑤

 

「メガラプターは、幻獣機トークンをリリースすりことでデッキから幻獣機モンスターを手札に加えることができる! 幻獣機トークンをリリースして、幻獣機テザーウルフをサーチする!」

 

幻獣機メガラプターがバンクを振る。

それに応えるように一機の幻獣機トークンが機体を斜めにして降下しやがて消えていった。

それに対応し良平の決闘盤が自動でカードを抜き出した。

 

「カードを一枚セット」

 

決闘盤にカードを差し込み、それが裏側で表示されたのを見届けてから良平は顔を上げた。

 

「ターンエンドだ!」

 

ーエンドフェイズー

日和田良平

LP:4000

手札:2

魔法罠:

セットカード1

フィールド:

幻獣機メガラプター

幻獣機トークン

幻獣機ドラゴサック

 

ードローフェイズー

 

「チィッ、ワシのターンじゃ!」

手札2→3

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

「エーリアンモナイトを召喚!」

 

フェイズの移行とともに間髪入れずに男はカードを叩きつけた。

現れたのは青い化石のような胴体に無数の触手が生えたモンスターだった。

 

エーリアン・モナイト

攻:500 光 爬虫類族 星1 チューナー ゾーン:①

 

「モナイトの効果発動! 墓地のレベル4以下のエーリアンを蘇生させる!! エーリアン・ソルジャーを特殊召喚じゃ!」

 

エーリアン・ソルジャー

攻:1900 地 爬虫類族 星4 ゾーン:②

 

モンスター2体が揃う。

男はニヤリと口角を上げた。

 

「レベル4のエーリアン・ソルジャーにレベル1のエーリアン・モナイトをチューニングじゃあ! 」

 

エーリアン・モナイトが咆哮し、その身体が深緑の光輪に変化する。

その輪に、エーリアン・ソルジャーが入り込むとその身体が四つ星へと調律された。

やがて、それらが一筋の光に変貌する。

 

☆1+☆4=☆5

 

「ーーシンクロ召喚!こぉい! 宇宙砦ゴルガー!」

 

白い枠のカードを決闘盤へと放り投げた。

現れたそれは、人智を超えた姿である。

宇宙船のような下腹部に、大量の触手。

その触手の先は目玉がついており、四方八方をギョロリと睨みつけている。

 

宇宙砦ゴルガー!

攻:2600 光 爬虫類族 星5 ゾーン:③

 

現れたモンスターを見て思わず声を漏らす亜美。

 

「エーリアンの要塞……! 相手もエースモンスターを出してきたわね……!」

 

「日和田さんの切り札と攻撃力は互角です……!」

 

ドラゴサックと見比べてゆきが言う。

高橋はさらに続ける。

 

「手札から速攻魔法「A」細胞組み換え装置をもう一度発動じゃあ!」

 

カードを素早く決闘盤に差し込む。

表示されたそれが半回転してその絵柄を見せた。

 

《「A」細胞組み換え装置》

速攻魔法

 

「デッキからエーリアン・ウォリアーを墓地に送りテメェのフィールドにいるメガラプターにテレパスのレベル分のAカウンターを乗せる!」

 

デッキから抜き出たそれを男は半ば投げるように墓地ゾーンに置く。

そして、それに呼応して幻獣機メガラプターの機体がビキビキと音を立てて触手が巻きついた。

 

「Aカウンター……き、気色悪いですぅ……」

 

何度見ても慣れぬそれにゆきは思わず目を伏せた。

 

「エーリアン・ウォリアーのレベルは4……。カウンターは4つか」

 

「さらに、宇宙砦ゴルガーの効果発動! フィールドのAカウンターを二つ取り除き、テメェのカードを一枚破壊する! 消えろ、デカブツ!」

 

頭に血が登ったように男は幻獣機ドラゴサックを指差す。

良平はとういうと目を見開いた。

しかし、説明する前に、効果処理が行われていく。

宇宙砦ゴルガーが、エネルギーを集中させそれを光弾にして幻獣機ドラゴサックに向けて射出した。

それが幻獣機ドラゴサックに命中して爆発を起こす。

 

「クハハハハッ! ポンコツを撃破っ!!」

 

「…………」

 

男が高笑いする中、良平は仕方なしに押し黙る。

爆発の粉塵がもうもうと炊き上がっていた。

しかし、その中からカッと光が溢れ出す。

そしてその数秒後に、黒い煤塵を全て吹き飛ばすようにロール回転しながら幻獣機ドラゴサックが一切の損傷も見せずにその姿を現した。

 

「あ! 煙の中から出てきましたぁ!」

 

ゆきが指で追うと高橋も目を見開いた。

 

「なんだとぅ!?」

 

良平は僅かに口角を上げて宣言する。

 

「幻獣機は、場に幻獣機トークンがいるときは戦闘・効果では破壊されない!」

 

「なっ……!?」

 

「プレイングミスね」と吐き捨てる輝。

 

「まぁ実際あの効果、慣れるまで時間かかるぜ」

 

肩をすくめてここのせは言うが高橋は地団駄を踏んで顔を真っ赤にした。

 

「ぐぅ、ムカつくガキじゃあ! まだまだぁ! 前のターンに使った「A」細胞組み換え装置を除外して効果発動!」

 

墓地ゾーンのカードが自動でソリッドビジョンに映し出され、空間の切れ目のような場所に吸い込まれる演出がなされた。

 

《「A」細胞組み換え装置》

速攻魔法

 

「デッキからエーリアンモンスターを手札に加えることができる!

エーリアン・リベンジャーを加えるわ!!」

手札1→2

 

カードを見せびらかすように掲げる。

そしてそれをそのままモンスターゾーンに叩きつけた。

 

「メガラプターに乗った残り二つのAカウンターを取り除き、エーリアン・リベンジャーを特殊召喚じゃあ!」

 

エーリアン・リベンジャー

攻:2200 闇 爬虫類族 星6 ゾーン:①

 

「エーリアン・リベンジャーズの効果発動! テメェのフィールドのモンスター全てにAカウンターを乗せる!!」

 

「!」

 

エーリアン・リベンジャーズが咆哮する。

するとフィールドの幻獣機たちの身体がゆっくりと浸食されていく。

明らかに出力が下がっているのが一目でわかった。

男はさらに口角を上げて、最後の一枚の手札を右手に持ちかえそれを見せつけるように差し向ける。

 

「手札から死者蘇生を発動じゃあ!」

 

《死者蘇生》

通常魔法

 

「墓地のモンスターを復活させる!! 戻ってこいや、エーリアン・ウォリアー!!」

 

エーリアン・ウォリアー

攻:1800 地 爬虫類族 星4 ゾーン:④

 

銀色の鎧のような体躯で、顔つきだけが爬虫類という異形の戦士が粘液を口から漏らしながら声をあげた。

 

「クハハハハッ!! バトルじゃあ! 」

 

ーバトルフェイズー

 

「エーリアン・ウォリアーで幻獣機トークンをぶち壊す!!」

 

右手を差し向け、男は大声で宣言する。

それに答えたエーリアン・ウォリアーが幻獣機トークンに飛びかかった。

半透明の飛行機の幻影はなす術なく撃墜された。

 

「エーリアン・リベンジャーでそのデカブツに攻撃!!」

 

エーリアン・リベンジャー

攻:2200

 

幻獣機ドラゴサック

攻:2600

 

「え、攻撃力が低いのに……」

 

ゆきが言うとここのせは「いや……」と首を振る。

男は上機嫌に笑って口を開いた。

 

「くははっ、教えておいてやるわ! エーリアン・ウォリアーとエーリアン・リベンジャーの効果によって、Aカウンターが乗ったモンスターはエーリアンと戦闘する時、Aカウンターの数×600ポイント攻撃力がダウンする!!」

 

「あぅ……!?」

 

「……」

 

エーリアン・リベンジャー

攻:2200

 

幻獣機ドラゴサック

攻:2600→2000

 

Aカウンターに浸食され、翼が腐食する。

そしてエーリアン・リベンジャーの爪に切り裂かれ幻獣機ドラゴサックは消滅した。

切り札があっさりと倒されたことでゆきは息を飲み込んだ。

 

「……」

 

日和田良平

LP:4000→3800

 

そして宇宙砦が動き出す。

 

「くははっ! 宇宙砦ゴルガーで幻獣機メガラプターを攻撃!!」

 

宇宙砦ゴルガー

攻:2600

 

幻獣機メガラプター

攻:1900

 

宇宙砦ゴルガーが再びエネルギーを集め光弾を射出した。

幻獣機メガラプターもそれに対して両翼の下からミサイルを撃ち出し迎撃する。

しかしミサイルは光弾に撃ち落とされ、被弾したメガラプターは地面へと墜落した。

その粉塵が良平を飲み込み、ダメージを与える。

 

「うっ……」

 

日和田良平

LP:3800→3100

 

「ひゃひゃひゃ、圧倒的じゃのぉ! ターンエンドじゃ!」

 

ーエンドフェイズー

 

高橋秀行

LP:2600

手札:0

魔法罠:なし

フィールド:

宇宙砦ゴルガー

エーリアン・リベンジャー

エーリアン・ウォリアー

 

 

「うぅ……相手のフィールドには強いモンスターがいっぱいですぅ……!」

 

慌てているゆき。

その肩を亜美がぽんと叩く。

 

「大丈夫よ、ゆき」

 

それから口角を上げて良平を眺めた。

 

「良平なら返せるわ」

 

「え……?」

 

自信たっぷりな亜美に対してゆきは首を傾げた。

相手フィールドには上級モンスターが2体と高めの攻撃力を持つモンスターが1体で、良平のフィールドにはモンスターがない。

ゆきからすると、状況はとても悪いように見えた。

しかし、隣のここのせも腕を組んで当たり前のように頷く。

 

「あぁ、仕留め切れなかったのが運の尽きだな」

 

そんな二人の様子に、女は怪訝な顔を浮かべた。

 

「……随分信頼してるのね」

 

「当然でしょ」と亜美が応える。

腕を組み直し、あっけらかんと言った。

 

「アタシらはお互い飽きるほどやってんのよ。だから、良平のデッキも強さもよく知ってるわ」

 

ードローフェイズー

 

「俺のターン!」

 

良平がカードを引き込み手札は3枚へ。

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

「墓地のレフティドライバーの効果発動!」

 

《レフティ・ドライバー》

効果モンスター

 

「墓地のカードだと!? いつの間に……!?」

 

言いかけて男は思い出す。

『幻獣機ライテンの効果で手札を1枚捨てて、幻獣機トークンを特殊召喚する!』

 

「あの時……!」

 

「このカードを除外することで、デッキからライティ・ドライバーをサーチできる!」

手札3→4

 

デッキからカードを抜き取り、相手に見せた。

それをそのままモンスターゾーンへと召喚する。

 

「ライティ・ドライバーを召喚!」

 

モンスターゾーンが光りだし、青の筐体にドライバーを持ったモンスターが現れた。

 

ライティ・ドライバー

攻:300 地 機械族 星1 チューナー ゾーン:①

 

「ライティ・ドライバーは場に現れたとき、デッキからレフティ・ドライバーをリクルートできる!」

 

ライティ・ドライバーの隣のモンスターゾーンが光る。

そこには対となる黄色の筐体のモンスターが宙返りしながら現れた。

 

レフティ・ドライバー

攻:300 地 機械族 星2

 

間髪入れず良平は決闘盤のディスプレイをタッチした。

すかさずそこに八つの矢印、即ちリンクマーカーが表示される。

 

「ライティ・ドライバーとレフティ・ドライバーをリンクマーカーにセット! 召喚条件は、チューナーを含むモンスター2体!」

 

↙︎チューナー + ↘︎モンスター = LINK2

 

「水晶機巧-ハリファイバーをリンク召喚!」

 

リンクマーカーから飛び出してくるは青い筐体の機械戦士。

それは電磁気を纏いながら良平から見て右側のエクストラモンスターゾーンに着地した。

 

水晶機巧-ハリファイバー

攻:1500 水 機械族 LINK2 ↙︎↘︎ ゾーン:右EX

 

「ハリファイバーのリンク召喚成功時、デッキからレベル3以下のチューナーモンスターを特殊召喚できる! 来い、幻獣機オライオン!」

 

水晶機巧-ハリファイバーがバリバリと放電する。

それが空間を切り裂き、そこからモンスターが現れる。

小さな人工衛星のそれは子ライオンのような声をあげた。

 

幻獣機オライオン

守:1000 風 機械族 星2 チューナー

 

表示されているリンクマーカーは、未だ消えることはない。

良平はさらに宣言した。

 

「さらにハリファイバーとオライオンをリンクマーカーにセット! 召喚条件は機械族モンスター2体!」

 

←↓機械族LINK2 + ↘︎機械族= LINK3

 

「ーー煌めけ、極光の翼!!」

 

再びリンクマーカーの中心が輝き、モンスターが生成される。

黒い巨大が再び空に舞い上がった。

 

「リンク召喚! 再び現れろ! 幻獣機アウローラドン!」

 

幻獣機アウローラドン

攻:2100 風 機械族 LINK3 ←↓↘︎ ゾーン:右EX

 

「アウローラドンの効果発動! フィールドに3体、幻獣機トークンを呼び出す!」

 

良平の命令に、アウローラドンはエンジンの回転数を上げた。

そして分身するように3機のプリズム体の航空機を作り出す。

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:①

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:②

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:③

 

「さらに幻獣機オライオンの効果発動! フィールドに幻獣機トークンを出す!」

 

幻獣機トークン

守:0 風 機械族 星3 ゾーン:④

 

「うじゃうじゃと鬱陶しいのぉ!! そんな雑魚が何になるんじゃ!!」

 

「アウローラドンのもう一つの効果発動! 幻獣機トークン1体をリリースして、フィールドのモンスターを選んで破壊する! 宇宙砦ゴルガーを破壊!」

 

良平が手を差し向けると幻獣機トークンの姿がミサイルへと変化する。

それをアウローラドン射出し、宇宙砦ゴルガーに命中させた。

宇宙砦ゴルガーは爆発を起こし、地面へと墜落、ガラスのように霧散する。

 

「ぐぅっ……!」

 

「よし、一気に決める!! 手札から速攻魔法、緊急発進を発動!」

 

左手の手札からカードを抜き出し、勢いよく決闘盤に放り込む。

素早く反応し、半回転しながらカードが表示された。

 

《緊急発進-スクランブル-》

速攻魔法

 

「このカードは、相手フィールドのモンスターの数が、自分のトークン以外のモンスターより多い時、任意の数幻獣機トークンをリリースすることでその数だけデッキから幻獣機を特殊召喚できる!」

 

「何ぃ……!?」

 

「二体のトークンをリリース! 出ろ、幻獣機メガラプター、幻獣機コルトウィング!」

 

フィールドの2体の幻獣機トークンが強く輝く。

その中から2機の戦闘機が凄まじい速度で飛び出した。

片方は、猛禽類のようなジェット戦闘機。

片方は、馬のような顔のティルトローラー式の航空機。

それらがフィールド上空を占拠した。

 

幻獣機メガラプター

攻:1900 風 機械族 星4 ゾーン:①

 

幻獣機コルトウィング

攻:1600 風 機械族 星4 ゾーン:②

 

「特殊召喚したコルトウィングの効果発動! 場に幻獣機がいる場合、特殊召喚に成功した時、幻獣機トークンを二体場に出す!」

 

さらにコルトウィングが分身し、プリズムの航空機を2機出現させる。

フィールドには幻獣機トークン3体、幻獣機モンスター2体、幻獣機リンクモンスター1体で全てのモンスターゾーンが埋まり切った。

 

「さらにコルトウィングのもう一つの効果を発動! フィールドの幻獣機トークンを二体リリースすることでフィールドのカードを一枚破壊して除外する! エーリアン・リベンジャーを破壊!」

 

良平の声と共に幻獣機トークン2体がミサイルへと変化し、コルトウィングが2発の対地ミサイルを発射する。

エーリアン・リベンジャーズはその2発のミサイルが直撃し跡形もなく消え去ってしまった。

 

「ミサイルが命中! エーリアンを堕としたぞ!」

 

ここのせが腕を振り上げて言う。

「チィッ!」と男は苦々しく舌を打った。

だが良平はまだ続ける。

 

「今俺のフィールドの幻獣機トークンは1体! よって幻獣機2機のレベルは7になる! レベル7となった幻獣機コルトウィングと幻獣機メガラプターの二体でオーバーレイ!」

 

☆7×☆7 = ★7

 

「ーー翔びたて、願いを乗せた鉄の翼!」

 

オーバーレイネットワークが呼応する。

再び風を切ってそのモンスターが羽を広げた。

白い体躯に巨大な羽。

 

「回せぇ! エクシーズ召喚! 幻獣機ドラゴサック!」

 

幻獣機ドラゴサック

攻:2600 風 機械族 ランク7 ゾーン:③

 

「戻ってきたぜ、エースモンスターが!!」

 

「よっしゃ! やっちゃいなさい!」

 

ここのせと亜美の声に良平は頷いた。

 

「バトル!!」

 

ーバトルフェイズー

 

「幻獣機アウローラドンで、エーリアン・ウォリアーに攻撃!!」

 

黒い機体が唸りを上げる。

アフターバーナーを奮いあげて、幻獣機アウローラドンがエーリアン・ウォリアーに肉薄した。

そして、機銃から無数の弾丸を吐き出す。

 

幻獣機アウローラドン

攻:2100

 

エーリアン・ウォリアー

攻:1800

 

エーリアン・ウォリアーは、アウローラドンの弾丸に貫かれ、蜂の巣のように穴だらけになり破壊された。

その流れ弾が男を貫く。

 

「うぉっ!?」

 

高橋秀行

LP:2600→2300

 

「これでお前を守るものは何もない!! いくぞ、ドラゴサック! プレイヤーにダイレクトアタック! ファントム・ミラージュ!!」

 

幻獣機ドラゴサックが上空に登っていく。

そして、インメルマンターンで地上に矛先を向けた。

機関砲が回転し、大量の弾丸を撃ち出す。

それらが男の身体の至るところに命中し、男はまるで踊るように身体を跳ねさせた。

 

「ぎゃぁぁぁぁっ!!?」

 

高橋秀行

LP:2300→0

 

ライフポイントが0になった瞬間、男の決闘盤は低いブザー音を鳴らす。

 

「やったぁ! 日和田さん、すごいですぅ!」

 

はしゃいだようにゆきがコロコロと笑った。

女も腕を組みながらふーんと唸る。

 

「童貞の割にはやるようね」

 

一方の男は、悔しいそうに握り拳を作り、膝を叩いた。

 

「く、クソガァ……」

 

その様子に亜美は、両手を腰に当てて言い放つ。

 

「見たかってーの! ざまーみろってのよ!」

 

役目を終えた決闘盤が変形し、元のサイズへと戻る。

良平は腕に巻き付いたアジャスターを外した。

デッキを引き抜き、全てのカードを戻すと再び腰のケースに仕舞いこむ。

 

「お疲れさん、やっぱいいな幻獣機」

 

「今回は手札が良かったよ」

 

高校生にいいようにやられた男は苦々しく舌打ちをし、踵を返した。

 

「チィッ、今日は見逃してやるわぁ!」

 

そのまま逃げるよう足速に去っていった。

辺りは日が沈もうとしていて薄闇が迫っている。

西の空には烏が数羽飛んでいた。

 

「はぁぁ、ひと安心ですぅ……」

 

胸に手を当てて一息つく。

それから思い出したようにはっとすると亜美とここのせに向いた。

 

「って祭乃木さん!病院行きましょう!」

 

「大丈夫じゃない? 蜂くらい」

 

「だーめーでーすぅ! 行きますよ!」

 

「はぁい……」

 

珍しくゆきが腰に手を当てて祭乃木を見つめている。

その頬は軽く膨らんでいて有無を言わせない。

亜美は観念したようにそう答えた。

それからここのせは、女の方に向く。

 

「アンタのカードはもう大丈夫なのか?」

 

「ええ。ここにある私のカードは全て集め切ったわ」

 

光の無い目ではあるものの安堵が伝わってくる。

良平は満足そうに頷いた。

 

「それは良かった。戦った甲斐があったよ」

 

「柄ではないけれど、助かったわ。礼を言わせて頂戴。何か返せるものがあればいいのだけれど、生憎、私は今このカードが足りないデッキしかないの。何もお返しできなくて申し訳ないわね」

 

「いいーってことよ!」と亜美がウィンクして答えた。

 

「次、があるかどうかわからないのだけれど……。また会うことがあれば、この借りを返すわ」

 

「あ、じゃあさ、アンタの名前教えてよ]

 

「名前……?」

 

きょとんと女が首を傾げる。

 

「そういえば、まだ聞いてなかったね」

と良平も同意した。

 

「名前……」

 

女はしばし考え込む。

数秒の思案のうち、意を決したようにこちらを見た。

 

「そうね……平畑輝よ」

 

光を宿していないその目にヒーロー部を捉える。

亜美は大きく頷いて、今度は自分の胸に手を添えた。

 

「輝ね! アタシは祭乃木! 祭乃木亜美!」

 

「間宮ゆきですぅ」

 

「日和田良平です」

 

「能瀬心、略してここのせだ」

 

「そう覚えておくわ」

 

それから彼女は、ぼろ布を翻して背を向けた。

そして、その方向に歩いていく。

 

「……それじゃあ、またどこかで会いましょう」

 

それだけ言うと、返事も聞かずに去っていった。

粗大ゴミの影にその姿が見えなくなるまで見送ってから良平はポツリと呟く。

 

「不思議な人だったね」

 

「そうね」

 

それだけ応えると亜美は、全員に目を向けた。

そのお腹がぐうと鳴る。

 

「よぉーっし、お腹減ったからご飯食べに行きましょ!」

 

しかし、それを遮るようにゆきはまた頬を膨らませた。

まるでりんごのようなそれを見て、亜美は苦笑いをこぼす。

 

「ダメですぅ! 病院行きますよ!」

 

「……はーい」

 

本当に観念したように亜美は肩を落とし、ゆきは逃げないようにとその右手を取る。

良平とここのせはその珍しい光景に思わず笑みを溢しつつ、堤防へとその足を進めた。

 

 

 

[ネオ童実野シティ どこかの高層マンション]

 

暗い部屋の中。

パソコン以外は何もないその部屋に少女が一人。

銀髪を頭の両端でまとめている。

彼女は何をするでもなく、ただその部屋の中心に立ち尽くしている。

そして一言、呟いた。

 

「……デュエルモードに移行。対象を索敵する」

 

 

 





■今回の禁止カード
・水晶機巧-ハリファイバー
2017年11月25日発売のINK VRAINS PACKで登場。
2022年7月改定を以て禁止カードに指定されました。
今回のパートは2020年6月に執筆したため2020年4月改定を使用しています。
当時は制限カードでした。
懐かしいですね。

[次回予告]
次回 寝る前決闘空間 第3話

『アンデットに立ち向かえ! 抜錨せよ』

1話毎の長さについて

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  • 短い
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