遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
本パートは2021年8月3日に執筆したものに加筆したものです。
従いまして2024年3月現在、禁止カードに指定されているカードが登場します。
当時は制限カードだったので何卒ご容赦くださいませ……。
[ネオ童実野シティ メモリアルスタジアム デュエルフィールド]
「お戯れはよろしくて?」
眼前に立つ青髪の女ーー海野幸子は興味なさげに言う。
対するデュエリストは童実野第二高校の制服を着たショートカットの少女ーー間宮ゆき。
「は、はい……! よ、よろしくお願いしますぅ……!」
慌ててぺこりと腰を折るゆき。
フィールドでは解説役の司会がマイクを振り上げた。
『チームHEROは圧倒的に不利な状況ではあるが、ルールに則り、公正にデュエルは進行するぞォオ!! 前代未聞! 2対3のチームデュエルが今スタートするぞ!!』
ワァッと会場が沸く。
『スリィィィィィィ!! ツゥゥゥゥゥゥゥ!! ワァァァァァァァァンッ!! ーーーデュエルスタァァァトォオォオォオォオ!!』
「デュエル!」
海野幸子
LP:4000
「デュ、デュエルッ……!」
間宮ゆき
LP:4000
かくしてWSC本戦第3回戦の火蓋が切って落とされた。
寝る前決闘空間第28話
『窮地! 絶対絶命ヒーロー部!! 2対3のデュエル』
[チームHERO側 スタンド席]
ワァッと上がる歓声の中。
ザワザワと一部の観客たちはどよめいていた。
当然、チームHEROの関係者である。
最前列に立つチームHEROの応援団の一人である水原忠一は目を見開いた。
「な……!? 2対3……!?」
2組所属の女子生徒2人は困惑した顔でお互いを見合わせている。
「え……? な、なんで……?」
「しかも間宮さんが出てる……! 今回出ないって言ってたのに……!」
事前に聞いていた話と違う。
それはゆきの母にとっても同じだった。
「だ、大丈夫かしら……」
心配を他所に電光掲示板はもはや覆ることはない。
チームHEROの残存メンバーを表す白い丸はたった2つ。
くるみんは顎に手を当てて、忠一の隣で呟く。
「デッキ登録をしてない……。ただのミスか、遅刻か……」
「何やってるんだアイツら」
「……いいやおかしい。チームHEROは5人いるんだ。そのうち3人が寝坊などの過失を同時に起こすとは考えにくい。何かあった、と考えるのが妥当だね」
「と、とにかく!」と2組所属の女子生徒の1人が声を上げる。
「間宮さんを応援しないと!」
「間宮さぁぁん! 頑張ってぇぇ!!」
その声が火付役だったように、僅かながら陣取るチームHEROの応援団たちが声を張り上げた。
[チームHERO側ベンチ]
一方チームHEROのベンチ。
中に残るはセカンドーー否、ラストプレイヤーたる日和田良平。
そして試合に出られぬチームリーダー祭乃木亜美の2名のみ。
良平は半ば祈るように拳を握り電光掲示板を睨む。
「頼む……!! まずは……先攻をとる……!! 先攻とれないと負ける……!」
「……!!」
[電光掲示板]
ピピピピピピー……ピッピッ……ピィィィィッーーー。
チカチカと明滅し、モニターが先攻後攻を決める。
表示されたのはーー。
〔先攻 チームHERO〕
[チームHERO側ベンチ]
「よしっ!!」と良平は思わず手を叩く。
亜美はそんな彼の肩に手を置いた。
「こっちが先攻をとったわ! ……良平、何か作戦があるの?」
「……作戦、と呼べるようなものはないよ……。間宮のデッキは瞬間的な火力が高いから、それを最大限活かしてもらう」
「つまり?」
「後先考えずにデッキをぶん回して相手に圧をかけていく。とにかく相手にカードを使わせるんだ。最悪勝てなくもいいから」
[デュエルフィールド]
『デュエルはチームHEROのターンからスタートするぞォオォオ!!』
ーメインフェイズー
「い、いきます!! 私のターン!」
手札5
ゆきは手札を見つめる。
肩が上下に上がる。
胸が大きく動悸する。
(とにかくデッキを動かします……!! 日和田さんからやり方は教えてもらいました……!! )
ゆきは手札を数秒見つめてからカードを手に取ってフィールドにおいた。
「い、いきます!! 聖騎士モルドレッドを召喚!」
聖騎士モルドレッド
攻:1700 光 戦士族 星4
「さらに、手札から聖剣 カリバーンを発動です! モルドレッドに装備!」
《聖剣 カリバーン》
装備魔法
聖騎士モルドレッド
攻:1700→2200 光→闇 星4→5
「カリバーンの効果を発動です! ライフを500ポイント回復します!」
LP4000→4500
「ふん、500程度、ちょうどいいハンデですわ」
幸子は目を細めて腕を組む。
目の前のプレイングなど気にも留めない。
ゆきは続ける。
「で、では! モルドレッドの効果を発動です! モルドレッドは、フィールドに他のモンスターがいない時、デッキから聖騎士モンスターを特殊召喚できます!」
「では手札から灰流うららを墓地に送って効果を発動しますわ」
突如、幸子は動き手札を墓地へと放り込んだ。
《灰流うらら》
効果モンスター
chain1 聖騎士モルドレッド
chain2 灰流うらら
「はるはるうーらら〜!」
ぴょんぴょんと子供の妖怪が翻弄するように飛び回る。
モルドレッドは「くっ……!」と苦々しく声を漏らした。
「あっ……!!」とゆきは短く悲鳴をあげた。
「あぅぅ……!」
手札を一瞥するゆき。
そこには対抗札。
「あぁ!! て、て、手札からアヴァロンの魔女モルガンの効果を発動です!」
《アヴァロンの魔女モルガン》
効果モンスター
chain3 アヴァロンの魔女モルガン
「フィールドに聖騎士と聖剣がある場合、このカードを墓地に送って発動します! 聖剣 カリバーンを破壊して、その効果の発動を無効にします!」
ゆきも同じく手札1枚を墓地に送る。
するとフィールドに魔女が現れて不敵な笑みと共に杖から電撃を繰り出した。
「ぴょんっ!?」
ビリビリと灰流うららに電撃が命中し、ガラスのように霧散させる。
同時に聖剣カリバーンも音を立てて砕け散った。
『おぉっと! 黒い魔女が妨害を防いだァァァァァ! これによりモルドレッドの効果処理が適応されるぞォオ!!』
「ふん、小癪ですわね」
「こ、これでモルドレッドの効果が発動できます!デッキから焔聖騎士オリヴィエを特殊召喚です!」
焔聖騎士オリヴィエ
攻:1000 炎 戦士族 星4 チューナー
『高レベルな攻防だァァ! 聖騎士モルドレッドの特殊召喚効果と聖剣の破壊は同時に処理される! 従って、発動後に聖剣が無くなった場合でも特殊召喚は有効になるぞォオ!』
司会が状況を説明する。
その隙にゆきは再び手札とフィールド、墓地に目を配った。
「聖剣カリバーンは破壊され墓地に送られた時、フィールドの聖騎士に再び装備できます! モルドレッドに装備です!」
聖騎士モルドレッド
攻:1700→2200 光→闇 星4→5
「モルドレッドは、聖剣を装備している時、闇属性となりレベルが5になります!」
「左様ですか」
相変わらず興味無さそうに返答する幸子にゆきはぞくりと背中が寒くなる。
同時にぱっと頭の中が白んでいくのがわかった。
「……ッ……」
ゆきは上がった息のまま手札見つめ固まる。
(……こ、ここからどうすればいいんだっけ……!!)
耳鳴りがして思考が散らばる。
視界はかすみ、足はガクガクと震えが止まらない。
「はぁ……」
呆れたように幸子はため息をつく。
「……?」
「貴女、そんなに震えて。あまりにも無様ですわよ。いえ、無様を通り越して不憫にも思えてきましたわ」
「うっ……」
「早くてくださる? さっさと終わらせたいので」
「……す、すみません……!」
それがさらに焦りを加速する。
心音が頭の奥まで響く。
(うう、どうしよう……!)
『ラーイッ、ラーイッ、オライッ!』
不意に不思議な声がした。
猫科動物のような、それでいて機械っぽい声。
「へ!?」
ビクッと肩をあげてゆきは声の方を見る。
そこには両手に乗るくらいの大きさの軌道衛星のような機械、それでいてライオンのような愛嬌のモンスターがフヨフヨと浮いていた。
『ライッ、ラァーイッ!』
何かを訴るように一鳴きするとポンッと消えてしまう。
「あっ! き、消えちゃった……。あの子は……?」
『どうした間宮ゆき! 周りを見回したが、動きが見られないぞォオォオ!!?』
「貴女!! 話聞いてましたの!!?」
キーッと幸子は甲高く怒鳴りつける。
ゆきはびくっと身体を震わせて前を向いた。
「ひぇ!? す、すみません! で、では! えっと、フィールドのモルドレッドとオジエをリンクマーカーにセットです!! 召喚条件は戦士族モンスター2体!!」
現れたリンクマーカーにモンスター達が飛び込んでいく。
↙︎戦士族+↘︎戦士族=LINK2
「聖騎士の追想 イゾルデをリンク召喚!!」
聖騎士の追想イゾルデ
攻:1600 光 戦士族 LINK2 右EXゾーン
二人の美女が並んで現れる。
片方は金髪、もう片方は銀髪。
「あっ……!」
とゆきは小さく叫ぶ。
ドッドッと心音が響く。
(か、カリバーンの回復効果を使うの忘れてた……! うう、切り替えなきゃ……!だ、大丈夫……!さっきよりか落ち着けてるから……!!)
汗が額に滲み、背中は冷たくなっている。
ゆきは大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
それから手を前に翳した。
「い、イゾルデのリンク召喚成功時、デッキから戦士族モンスターを手札に加えることができます! この効果で焔聖騎士アストルフォを手札に加えます!」
手札2→3
デッキからカードを引き抜き手札へと加える。
イゾルデの効果はまだ残っている。
ゆきはさらに続ける。
「さらにイゾルデのもう一つの効果を発動! デッキから装備カードを1枚、『焔聖剣-デュランダル』を墓地に送り、その枚数と同じレベルを持つ戦士族モンスターを特殊召喚できますぅ!」
「ふん、ちょこざいな」
「私はデッキから焔聖騎士-リナルドを特殊召喚します!」
焔聖騎士-リナルド「ふんっ!」
守:200 炎 戦士族 星1
「り、リナルドは特殊召喚に成功した場合、墓地の装備魔法を手札に加えることができます! この効果で墓地の『焔聖剣-デュランダル』を手札に加えます!」
手札3→4
墓地から拾いあげたカードをゆきは手札ではなくフィールドに置く。
「そのまま『焔聖剣-デュランダル』を発動! リナルドに装備です!」
《『焔聖剣-デュランダル』》
装備魔法
フィールドに現れたのはショーケース。
やがてショーケースのガラスが弾け飛び、焔の剣が宙を舞う。
焔聖騎士-リナルドはその剣を掴み取った。
「『焔聖剣-デュランダル』の効果発動です! このカードを破壊し、デッキから炎属性戦士族モンスターを手札に加えることができます! 私はデッキから焔聖騎士-オリヴィエを手札に加えますぅ!」
手札3→4
再びデッキからカードを手にし、カードの表を相手に見せた。
「今手札に加えたオリヴィエは、手札かフィールドの装備カードまたは炎属性戦士族モンスターを墓地に送ってレベル1として特殊召喚できます! 手札のアストルフォを墓地に送り特殊召喚!」
焔聖騎士-オリヴィエ
守:1500 炎 戦士族 星4→1 チューナー
「えっと……フィールドのイゾルデとチューナーモンスター、オリヴィエをリンクマーカーにセットです! 召喚条件は、チューナーを含むモンスター2体!!」
↙︎モンスター+↘︎チューナー=LINK2
「水晶機巧-ハリファイバーをリンク召喚!」
水晶機巧-ハリファイバー
攻:1500 水 機械族 LINK2 EXゾーン
「……」
「え、えーっと、このカードをリンク召喚に成功した時、デッキからレベル3以下のチューナーモンスターを場に特殊召喚できます! ドリル・シンクロンを特殊召喚!」
ドリル・シンクロン
守:300 地 機械族 星3 チューナー
「は? なんなんですの、貴女のデッキ」
「こ、ここからです! ……こ、これでいいんだよね……え、えっと、水晶機巧-ハリファイバーとドリル・シンクロンをリンクマーカーにセットです! 召喚条件は、機械族モンスター2体以上!」
↙︎↓機械族LINK2+↘︎機械族=LINK3
リンクマーカーにカードが集まり、光が強く輝いた。
ゆきは大きく深呼吸する。
「……ふぅぅ、はぁぁ……」
高まる鼓動。
それは決して安堵に非ず。
しかしゆきは目を見開き眼前を睨む。
「ッ! 行きます!ーーーー煌めいて! 極光の翼! ま、回せぇぇぇ!」
半ば叫ぶように。
ゆきは魂を揺るがす調べを述べた。
[チームHERO側スタンド]
「んん!!?」
ガタッと応援していたくるみんが立ち上がる。
忠一も驚いたように呟く。
「あれは……」
[チームHERO側ベンチ]
「え!!?」
亜美は柵から半身を乗り出して口を開ける。
隣では良平が拳を握り声を上げた。
「いけ、間宮!」
[デュエルフィールド]
フィールドに響くエンジン音。
アフターバーナーが空気を燃やす。
ゆきはフィールドに手を翳した。
「リンク召喚!! ーー力を貸してください!!幻獣機アウローラドン!! 」
強い光と共に巨大な塊がリンクマーカーが開いたサーキットから姿を現した。
クルクルと目にも止まらぬスピードでロール回転し、光を弾き飛ばすようにして黒い機体が顕になった。
幻獣機アウローラドン
攻:2100 風 機械族 LINK3 右EXゾーン
「なっ……」
突然のことに幸子は目を丸くして見上げる。
[チームコーポレート側ベンチ]
現れた航空機ーー幻獣機アウローラドンを見上げて夢迦は感心したように頷いた。
「ほう、なるほど。お相手さん、考えたね」
「何がですの? あんなみすぼらしい飛行機程度」
くだらないと言いたげにアナスタシアは金髪を指でくるくると巻く。
そんな様子に夢迦は苦笑いすると再びフィールドを睨む。
視線は良平に注がれていた。
「あのカードは、セカンド……いやラストプレイヤーの彼のカードだ。それもキーカードレベルのね」
「ふん、そんなカードを軽々しく他人に渡すなど、価値のわからない低級庶民だこと!」
「……」
[デュエルフィールド]
フィールドに立つ実況はマイクを振り乱して捲し立てる。
『なななんとォオォオ!! チームHERO間宮ゆきが繰り出したのは聖騎士とは似ても似つかない巨大軍用機!! あのカードは、チームメイトのものかァァァァァァ!!?』
会場は一気に熱が上がる。
湯気があがらんばかりに揺れる民衆に、幸子は舌打ちしてゆきを睨みつけた。
「ふん! そのようなポンコツ飛行機など恐る恐るに足りませんのよ!」
「アウローラドンさんの効果発動です! リンク召喚成功時、フィールドに幻獣機トークンを3体特殊召喚できます! 」
アウローラドンはゆきの指示を受けて自身の両翼からオーロラを映し出した。
やがてそれは実体を持たぬトークンへと変わった。
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
場を埋め尽くした幻獣機トークンを見てゆきは良平に教わった展開ルートを思い出した。
胸に手を当てて言葉を紡ぐ。
「えっと、たしか……。げ、幻獣機アウローラドンさんの効果発動です! フィールドのモンスターを2体リリースすることで、デッキから幻獣機モンスターを特殊召喚できます! 幻獣機トークンを2体リリース!」
2機の幻獣機トークンがゆっくりと消えていき、デッキからカードが送られてくる。
唯一メインデッキ内にいたゆきのものでないカード。
「オラーイッ!」
幻獣機オライオン
守:1000 風 機械族 星2 チューナー
モンスターの声を聞いてゆきはあっと声を出した。
「さっきの声は、もしかしてあなたが……」
「ラーイッ!」
「力をお借りしますね! レベル3の幻獣機トークンに、レベル2オライオンさんをチューニング!」
☆3+☆2=☆5
オライオンは身体を二つのシンクロリングに変化させると3機めの幻獣機トークンを包み込んだ。
トークンは3つの星に分解され、新たな姿へと調律される。
「ーー汝、焔をまといて詩を詠む者! 剣の下へ来れ、武勇の語り部よ!!」
一閃の光。
そこに立つは焔の騎士。
「シンクロ召喚! 来てください! 焔聖騎士導-ローラン!!」
焔聖騎士導-ローラン
攻:2000 炎 戦士族 星5 チューナー
「シンクロ召喚したローランとオライオンさんの効果を発動です!」
chain1 幻獣機オライオン
chain2 焔聖騎士導-ローラン
「ローランがシンクロ召喚した場合、そのエンドフェイズに装備魔法をデッキから墓地に送り、戦士族モンスターを手札に加えることができます!」
ゆきの声を呼応してローランは腰の剣を振り上げた。
続けてデュエルディスクのセメタリーゾーンが光る。
「さらに、墓地に送られたオライオンさんの効果で、フィールドに幻獣機トークンを特殊召喚します!」
幻獣機トークン
守:0 風 機械族 星3
「そして! レベル3の幻獣機トークン、レベル1のリナルドに、レベル5のローランをチューニングです!」
☆3+☆1+☆5=☆9
ローランは譜を詠むように手を胸に当てる。
やがて身体は5つのシンクロリングへと変わりモンスター達を昇華させていく。
ゆきは目を伏せ、口をつく調べを謳う。
「ーー武勇は此処に、虹の剣は孤高の高みに! 甦れ、焔の伝説よ!」」
光は剣へ。
鼓動は焔へ。
ゆきは叫ぶ。
騎士の名を。
「シンクロ召喚! 来てください! 焔聖騎士帝-シャルル!!」
焔聖騎士帝シャルル
攻:3000 炎 戦士族 星9
「さぁ、行こうぜ、大将!!」
シャルルのソリッドビジョンは炎を纏う剣を肩に乗せて高らかに言った
。
フィールドを睨む白い騎士に会場は瞬く間に歓声が上がる。
『チームHEROファーストプレイヤー、間宮ゆき! 先攻1ターン目から切り札を呼び出したぞォオ!!』
「よ、よし! ぼ、墓地のオリヴィエとオジエの効果発動です! このカードたちを装備カードとしてシャルルに装備します!」
焔聖騎士帝シャルル
E:焔聖騎士-オジエ
E:焔聖騎士-オリヴィエ
「カードを1枚セットし、エンドフェイズに移行します!」
マジックトラップスロットにカードを差し込むと足元に裏側のカードかわ表示された。
ーエンドフェイズー
「エンドフェイズ時、ローランの効果処理でデッキから聖剣-EXカリバーンを墓地に送って、デッキからゴッドフェニックス・ギアフリードを手札に加えます!」
手札1→2
メインフェイズに発動していた焔聖騎士導-ローランの効果処理によりデッキからカードが送られてくる。
それを手札に加えると続けて、フィールドのシャルルに目を向けた。
ゆま「そしてシャルルの効果発動です! エンドフェイズに墓地の聖剣を装備できます!墓地の聖剣カリバーンを装備です!」
焔聖騎士帝-シャルル
攻:3000→3500
「これでターンエンドです!」
間宮ゆき
LP:4500
手札2
伏せ1
フィールド:
幻獣機アウローラドン(右EXゾーン)
焔聖騎士帝-シャルル
E:聖剣カリバーン
E:焔聖騎士-オリヴィエ
E:焔聖騎士-オジエ
『流石は8決めの舞台! 先攻1ターン目からアクセル全開のデュエルだァァァァァ!! フィールドには、効果の対象にならず、効果で破壊されない大型モンスターが立ち塞がった!! チームコーポレートはどう切り返すのかァァァァァ!!?』
[チームHERO側ベンチ]
チームHERO側のベンチでは良平がふぅと一息つきながら、しかしフィールドから目を離さずに声を漏らした。
「ちょっとプレミがあったけど……」
良平の言葉に亜美も頷く。
「出だしは悪くないわ! ……あれ、アンタの入れ知恵でしょ」
「入れ知恵って……。……相手は8強で、こっちは2対3。使えるものはなんでも使って相手を崩さないと勝てないよ」
「……そうね」
「あとは間宮の手札と相手次第だ……」
[デュエルフィールド]
ードローフェイズー
幸子は一瞬予想外のカードに驚かされたものの、斜に構えて声を出す。
「ふん、子供騙しですわ。わたくしのターン」
手札5
優雅にカードを引き込み手札に加える。
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
「本物のデュエルというものを見せて差し上げますわ!庶民!」
「……っ」
「手札からワン・フォー・ワンを発動ですわ!」
《ワン・フォー・ワン》
通常魔法
幸子がスロットにカードを差し込むとソリッドビジョンのカードが半回転して表示された。
「手札のモンスターを1枚墓地に送り、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚できますのよ! デッキから、鰤っ子姫を特殊召喚ですわ!」
鰤っ子姫
守:0 水 魚族 星1
「このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、このカードを除外することで、デッキからレベル4以下の魚族モンスターを特殊召喚できますわ!揺海魚デッドリーフを特殊召喚ですの!」
揺海魚デッドリーフ
攻:1500 水 魚族 星4
「このカードは、召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから魚族モンスターを墓地に送ることができます。わたくしは、超古深海王シーラカンスを墓地に送ります」
幸子はデッキから送られてきたカードをさっとセメタリーゾーンに置く。
表側で一瞬だけ見えたカードにゆきは反応した。
(あっ!)
脳裏に試合前の5分の間で交わした言葉がよぎる。
〜回想〜
『しーらかんす、ですかぁ?』
ゆきが小首を傾げると良平は頷く。
『うん。十中八九、相手のキーカードはそれだと思う。あのカードの発動を許したら、立て直しは相当厳しい』
『と、ということは、そのカードをマークするって作戦ですね!?』
『もちろん相手もそれは予想してるだろうけど、俺達にできる対策はそれしかない』
『は、はい! でもどうやって……?』
『間宮のデッキなら、このモルドレッドから……』
いくつかのカードの組み合わせを実物を並べて示唆する良平の言葉をゆきは必死に頭に叩き込んでいた。
〜回想終わり〜
頭の中で警告音のように鼓動が鳴り響く。
ゆきは唾を呑み込んでフィールを注視した。
(あのカードが出てきたら、絶対に倒さないと……!)
ゆきの思惑を尻目に幸子はさらに手札のカードを抜き取った。
「通常召喚権が残っておりますので、この子を召喚ですわ! 深海のディーヴァ!」
深海のディーヴァ
攻:200 水 海竜族 星2 チューナー
「このカードは召喚に成功した時、デッキからレベル3以下の海竜族モンスターを特殊召喚させます! この効果で、デッキから深海のミンストレルを特殊召喚!」
深海のミンストレル
守:1500 水 海竜族 星3 チューナー
「深海のミンストレルは、特殊召喚に成功した場合、デッキの上から三枚を墓地に送り、その後レベル4以下の水属性モンスターをデッキトップかボトムに戻すことができますのよ!」
シャッ、シャッ、シャッと勢いよくカードを3枚抜き取り表へ返す。
カードは
浮上
サイレント・アングラー
ライトハンド・シャーク
の3枚。
それをセメタリーゾーンに送り込んでから、さらにセメタリーゾーンのカード1枚を抜き取った。
「この効果でわたくしは、ワン・フォー・ワンのコストに使ったダブルフィン・シャークをデッキボトムに戻しますわ!」
抜き取ったカードをデッキにセットすると自動でデッキの一番下へと送り込まれていった。
「では、参りますわよ! レベル4の揺海魚デッドリーフにレベル3深海のミンストレルをチューニングですわ!」
☆4+☆3=☆7
シンクロリングがモンスターを包み込み、一閃の光が駆け抜ける。
「ーー深き海より、調べを奏でる鋭き刃! 今こそ白き闘志まといて、その怒号をあげなさい!」
強く光が輝き、潮騒と共に白いイッカクが空中を優雅に泳ぐようにして現れた。
「シンクロ召喚! お仕事ですわよ、白闘気一角!!」
「コォオォオォオォオッ!!」
白闘気一角
攻:2500 水 魚族 星7
『チームコーポレート、ファーストプレイヤー海野幸子も負けじとシンクロ召喚!! 現れたのは、白き巨大なイッカクだァァァ!!』
反撃のシンクロ召喚。
一気に加速していくゲーム展開に観客たちは拍手と歓声を上げて答えていた。
幸子はさらに宣言する。
「白闘気一角の効果発動ですわ! このカードがシンクロ召喚に成功した時、墓地の魚族モンスターを特殊召喚できます! 」
「ッ!」
「墓地から現れなさい! 超古代深海王シーラカンス!!」
超古代深海王シーラカンス
攻:2800 水 魚族 星7
フィールドに大きい、いや雄大といった方が正しいか。
とにかく威厳すらも感じる灰色の巨大魚が姿を見せる。
ゆきは目を見開き、応戦した。
「や、やらせません! シーラカンスの特殊召喚成功時、墓地の焔聖騎士導-ローランの効果を発動です!」
《焔聖騎士導-ローラン》
効果モンスター
半透明のローランが焔と共にフィールドに降り立つ。
「焔聖騎士導-ローランは墓地からフィールドのモンスターに攻撃力を500ポイントアップさせる装備カードとして装備できるモンスターです! シャルルに装備!」
焔聖騎士帝-シャルル
攻:3500→4000
「シャルルは装備カードが装備された時、フィールドのカードを1枚、選んで破壊できます!」
「対象を取らない効果……! 小癪ですわね!」
「今出てきたシーラカンスを破壊です!」
焔聖騎士帝-シャルルは焔の剣を構えたかと思うと思い切り振りかぶって切り下す。
斬撃が飛び、シーラカンスを真っ二つに切り裂いた。
シーラカンスは成す術なく砕け散っていく。
『痛烈一閃!! 炎の聖騎士の一振りの前にシーラカンスはなす術なしだァァ!!』
[チームHERO側スタンド]
実況の大げさなマイクパフォーマンスに会場全体が沸き立つ中、チームHERO側のスタンドでは拍手を打ちならして応えていた。
女子生徒が大きな拍手をしながら興奮したように言う。
「間宮さん、凄い!!」
「めっちゃ強いじゃん!!」
前のめりになって観戦する高校生たち。
その後方ではゆきの母がハラハラと騒ぐ胸をごまかすように両手を握りしめている。
2席ほど離れた場所で忠一は腕を組んで努めて冷静にフィールドを眺めていた。
「効果の対象にならず効果で破壊されない。盤面は悪くなさそうだが……」
言葉の続きを拾うようにくるみんがつぶやく。
「しかしこれで終わってくれる相手ではなさそうだ」
WSC本戦3回戦。
即ち一般チームと8強の合流地点。
これまでのデュエルとは一線をかくしていると言わざるを得なかった。
[デュエルフィールド]
「フンッ」と忌々しそうに幸子は鼻を鳴らす。
「素人風情が生意気なこと!その程度の妨害、乗り越えられずしてこの場にはいませんのよ!」
「……!」
「手札から魔法カード、白の水鏡を発動ですわ!」
強めにマジックトラップスロットにカードを放り込む幸子。
カードが反応しソリッドビジョンを映し出す。
《白の水鏡》
通常魔法
「墓地のレベル4以下の魚族モンスターを復活させ、さらに同名カードをデッキからサーチできますのよ! この効果で、サイレント・アングラーを特殊召喚!」
サイレント・アングラー
守:1400 水 魚族 星4
「そして、デッキからサイレント・アングラーをサーチ!」
手札1→2
白の水鏡の効果処理により同名カードが手札に加わった。
幸子は止まることなく手をフィールドに差し向けた。
「今サーチしたサイレント・アングラーはフィールドに水属性モンスターが存在する場合、特殊召喚できますわ!」
サイレント・アングラー
守:1400 水 魚族 星4
「庶民如きにこのカードを使うのは癪ですが、まぁいいでしょう。レベル4のサイレント・アングラー2体でオーバーレイネットワークを構築!」
幸子の前に漆黒の渦が巻き起こる。
まるでブラックホールのようなそこにモンスター2体が飛び込んでいく。
☆4×☆4=★4
混ざりあい、魂が交錯する。
やがて拓くはエクストラデッキへの路。
「エクシーズ召喚! 出番ですわよ! No.60刻不知のデュガレス!」バシッ
No.60刻不知のデュガレス
攻:1200 炎 悪魔族 ランク4 左EXゾーン
『海野幸子が繰り出したのは、魚族のイメージとは大きくかけ離れたモンスター!! 一体何が起こると言うのかァァァ!!』
「……水属性のデッキでは……?」
現れたモンスターは水属性とは真反対の炎属性のカード。
ゆきは思わず小首を傾げてしまう。
その言葉に幸子はまた鼻を鳴らして言った。
「フンッ、素人と一緒にしないでくださる? 馬鹿みたいに種族属性を統一するのは三流以下ですわ!」
「……!」
「デュガレスの効果発動! エクシーズ素材を二つ取り除くことで3つの効果の内、1つを使用できますのよ! わたくしが使用するのは、墓地からの蘇生!」
「ま、また……!?」
「次のターンのメインフェイズ1を放棄する代わりに、墓地のモンスターを守備表示で特殊召喚します! わたくしが特殊召喚するのは、当然、シーラカンス!」
再び墓地から呼び出される巨大な魚。
超古代深海王シーラカンス
守:2200 水 魚族 星7
雄大な海を連想させるその姿にゆきは圧倒された。
対抗策はもうない。
「そんな……」
ゆきの目は大きく開かれ目を揺るがせた。
一方の幸子は得意げに効果を宣言する。
「それでは参りますわよ! シーラカンスの効果発動! 手札を1枚墓地に送り、デッキよりレベル4以下の魚族を可能な限り特殊召喚しますわ!!」
「えぇ……!?」
想像を超える強力な効果にゆきは思わず悲鳴を上げた。
シーラカンスは身体を振るわせて大波がを作り出す。
押し寄せる波の中から大量の魚族のモンスターがフィールドに呼び寄せられた。
「母なる海より現れなさい!! 我がしもべたち! デッキよりフィッシュボーグ・アーチャー! レフトハンド・シャーク!」
フィッシュボーグ・アーチャー
守:300 水 魚族 星3 チューナー
レフトハンド・シャーク
守:1500 水 魚族 星3
『出たァァァァ!! 魚族の凶悪カード、超古代深海王シーラカンスの効果により、更なる魚族モンスターがフィールドに現れたぞォオ!!』
フィールドは一気に展開する。
水と炎、拮抗していたフィールドは一転チームコーポレート優勢に。
[チームHERO側ベンチ]
「くっ」
良平は苦々しい拳を握りしめた。
「妨害を乗り越えてきた……! 最初のターンにモルガンを使わさせられてなければ……!」
「ゆき……!!」
あっという間に窮地に追い詰められたゆきに亜美はどうしようもできない自分にいら立ちながら名を叫ぶ。
[デュエルフィールド]
「おーっほっほっ!! ご覧あそばせ! これぞ、海の力ですわぁ!!」
海を統べるモンスターたちの後方にて決闘者--海野幸子は腕を組んで言い放つ。
ゆきは一歩後退して声を漏らした。
「う、うぅ……!」
「期して見なさい! レベル3のレフトハンド・シャークに、レベル2の深海のディーヴァをチューニング!!」
追撃のシンクロ召喚。
リングが星を整える。
☆3+☆2=☆5
「シンクロ召喚! 来なさい! 水晶機巧-アメトリクス!」
水晶機巧-アメトリクス
攻:2500 水 機械族 星5
「アメトリクスの効果発動ですわ! このカードがシンクロ召喚に成功した場合、貴女の場の特殊召喚されたモンスターを守備表示に変更できますのよ!」
アメトリクスは強烈な電磁波をシャルルに向けて放った。
「ぐぁッ……!」
シャルルに電撃が命中し給わずに跪く。
焔聖騎士帝-シャルル
攻:4000→守:200
「しゃ、シャルル……!」
「おーっほっほっほっ! なんて無様な守備力でしょう! さぁ、まだまだいきますわよ!」
「……ッ!」
「レベル5アメトリクスに、レベル3フィッシュボーグ・アーチャーをチューニング!」
☆5+☆3=☆8
響くは深海より流れる歌声のような咆哮。
どこまでも届くような魂を揺るがせる声。
「--深き海より深淵に誘なう調べを奏でたまえ! 白き闘気まといて!!」
波の音。
水の波動が一層大きく響きわたり、巨大な魚影がフィールドに浮かび上がる。
「シンクロ召喚! 出番ですわ! 白闘気白鯨!」
「グォォオォオ……キュゥゥゥゥ……!!」
白闘気白鯨
攻:2800 水 魚族 星8
低音から絞るような咆哮。
コントラバスを連想させる響き。
『連続シンクロが決まったァァァァ!! 現れたのは巨大な白い鯨!! 全てを飲み込む怒涛の展開だァァァァァァ!!」
上がる歓声に気持ちよさそうな表情を浮かべ、幸子は口に手の甲を当てて笑う。
「おほほっ! 白闘気白鯨の効果発動ですわ! このカードをシンクロ召喚した時、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊します!」
白鯨は高く声を上げしっぽを振り回した。
それは空中に浮いていたアウローラドンを叩き落とした。
「pull up……pull up……」
警告音を出しながらアウローラドンは墜落した。
霧散するカードにゆきはつぶやく。
「ごめんなさい、日和田さん……!」
「バトル!」
ーバトルフェイズー
「いきますわよ! 白闘気白鯨で焔聖騎士帝-シャルルに攻撃!!」
「グォォオォオ……!」
白鯨は怒号を上げながらフィールドを直進する。
幸子は口の端を上げて声を出した。
「白闘気白鯨は守備モンスターを攻撃したとき、貫通ダメージを与えますのよ!」
「えぇ!?」
ゆきは目を見開いてフィールドを見渡す。
場には守備表示にされたシャルル。
効果の対象にならず効果で破壊されないが、戦闘での破壊には耐性がない。
白闘気白鯨
攻:2800
焔聖騎士帝-シャルル
守:200
「すまねぇ、大将……!」
シャルルのソリッドビジョンがつぶやくように言う。
ジュッと炎が水にかき消される音がして焔聖騎士帝は一瞬にして濁流に呑み込まれてしまった。
防ぎきれない激流がゆきをもさらっていく。
「あぁっ……!!」
LP:4500→1900
『決まったァァァァァァ!! 白い巨大な鯨が炎の聖騎士を飲み込んだぞォオ!! チームHEROファーストプレイヤー、大ダメージだァァァ!!』
「追撃ですわ! デュガレスでダイレクトアタック!!」
No.60刻不知のデュガレス
攻:2000
迫りくるモンスターにゆきはなんとか体勢を持ち直すと手札のカードをフィールドに置く。
「て、手札から護封剣の剣士を守備表示で特殊召喚です!」
護封剣の剣士
守:2400 光 戦士族 星8
「このカードは、相手の直接攻撃時に手札から特殊召喚できます! そして攻撃してきたモンスターの攻撃力がこちらの守備力より低い場合、そのモンスターを破壊できます!」
護封剣の剣士は自身の剣を八相に構えて迫りくるモンスターに斬りかかった。
デュガレスは防ぐことはできずに肩口から斜めに切り裂かれてしまう。
『おぉっとォオ! 突如現れた光の剣士の一閃が炸裂ゥゥゥ! モンスターを返り討ちにしたぞォオ!』
「こ、これで防ぎきれるはず……!」
フィールドの攻撃権が残っているモンスターは、護封剣の剣士が壁になって直接攻撃はできない。
そう思っていた。
「ギュゥゥゥゥンッォオォオォオ……!!」
大きな咆哮にゆきは肩を跳ね上げた。
白鯨がゆきのフィールドに向かっている。
「えっ!?」
『なんだァァァ!? 攻撃を終えたはずの白鯨が再び動き出したぞォオ!?』
「おーっほっほっほっ!」
愉快そうに幸子が笑う。
「知りませんの? 白闘気白鯨はモンスターに2回攻撃できますのよ!!」
「えぇ、そんなぁ……!」
ゆきの手が、足が震える。
モンスターの猛攻は止まらない。
幸子は手を差し向けた。
「白闘気白鯨で護封剣の剣士に攻撃!!」
白闘気白鯨
攻:2800
護封剣の剣士
守:2400
再び大波が押し寄せて護封剣の剣士をなぎ倒し破壊した。
余波がゆきの身体に衝撃を与えていく。
「きゃぁぁああ……!」
LP:1900→1500
「トドメですわ! 白闘気一角でダイレクトアタック!」
攻撃権の残るイッカクが声をあげながら突進してくる。
ゆきは慌てて効果の発動ボタンを押し込んだ。
「うぅ、ぼ、墓地の聖剣の導く未来の効果を発動ですっ……!」
《聖剣の導く未来》
通常罠
墓地のカードの発動に幸子はやや眉を動かす。
「墓地のトラップ……!」
「このカードを墓地から除外することで墓地に存在しない聖騎士モンスターを場に呼び出すことができます! 来てください、焔聖騎士-モージ!」
焔聖騎士-モージ
守:1000 炎 戦士族 星4
『墓地からトラップ発動だァァァァァァ!! 炎の騎士が再び立ちはだかるぞォオ!』
幸子はちっ舌打ちしてモンスターに指示を飛ばす。
「邪魔ですわねぇ! そのまま貫きなさい!!」
白闘気一角
攻:2500
ザバァッ
焔聖騎士-モージ
守:1000
現れた焔の騎士はイッカクの角に貫かれて散っていく。
『なす術なく破壊されてしまったァァァ!! しかしダメージは0! 防ぎきったぞォオ!!』
ゆきは滴る汗を拭うことも忘れ、カードの効果を発動する。
「〜〜ッ! ……ぼ、墓地に送られたモージの効果発動です……! このカード以外の炎属性戦士族モンスターまたは聖剣カードを3枚デッキに戻して1枚ドローできます!墓地の焔聖騎士-リナルド、焔聖騎士-アストルフォ、聖剣 カリバーンをデッキに戻して、ドローします!」
手札1→2
「ちっ、しぶといですわね……」
このターンで決着をつけるつもりだった幸子は不愉快なのを隠しもせずに苦い顔をした。
ーメインフェイズ2ー
そのままフェイズを移行させるとフィールドに目を向けた。
「ふん、敗北が1ターン遅れただけですわ! 白闘気一角と超古代深海王シーラカンスをリンクマーカーにセット! 召喚条件は、水属性モンスター2体!!」
リンクマーカーにモンスターが吸い込まれ、輝きを放つ。
←水属性+↓水属性=LINK2
「リンク召喚! さぁ、出番ですわ! 海晶乙女コーラルアネモネ!」バシッ
海晶乙女コーラルアネモネ
攻:2000 水 サイバース族 LINK2 左EXゾーン
「海晶乙女コーラルアネモネの効果発動! このカードのリンク先に攻撃力1500以下の水属性モンスターを特殊召喚できますのよ! 墓地より舞い戻りなさい、ライトハンド・シャーク!」
ランドハンド・シャーク
攻:1500 水 魚族 星4
「さらに、墓地のレフトハンド・シャークの効果発動! このカードは場にライトハンド・シャークが存在する場合、レベル4として特殊召喚できます!」
ライトハンド・シャーク
攻:1300 水 魚族 星3→4
再び展開していくフィールドにゆきは驚異の展開力に声を震わせた。
「れ、レベル4モンスターが2体……!」
「もちろん参りますわ! レベル4のライトハンド・シャークとレフトハンド・シャークでオーバーレイネットワークを構築!」
黒い渦が静電気を帯びながら回転する。
☆4×☆4=★4
「ーー深き海より、全てを揺るがす怒号をあげよ!!」
回転が早まり電気が一閃の光へと変わっていく。
「エクシーズ召喚! 出勤ですわよ! バハムート・シャーク!!」
バハムート・シャーク
攻:2600 水 海竜族 ★4
「バハムート・シャークは、エクシーズユニットを一つ取り除くことで、エクストラデッキからランク3以下の水属性エクシーズモンスターを特殊召喚できますのよ!来なさい! 餅カエル!!」
餅カエル
攻:2200 水 水族 ★3
『まだ展開する余力を持っていたかァァァ!! 流石は8強!! フィールドを制圧してしまったぞォオ!!』
「うぅ……」
圧倒的なボードアドバンテージを前にゆきは言葉も出ない。
幸子は一息つくと墓地を一瞥して言う。
「ダメ押ししておきましょう。墓地のデッドリーフの効果を発動ですわ! このカードを除外して、墓地の魚族を3枚、白闘気一角、フィッシュボーグ・アーチャー、超古代深海王シーラカンスをデッキに戻して1枚ドローしますわ!」
手札0→1
引いたカードを見て幸子は少し考えるようにしてからマジックトラップスロットにセットした。
「ふむ。……では、カードを1枚セットしてターン終了ですわ」
ーエンドフェイズー
海野幸子
LP:4000
手札0
魔法罠:
伏せ1
フィールド:
白闘気白鯨
バハムート・シャーク
海晶乙女コーラルアネモネ(左EXゾーン)
餅カエル
[チームHERO側スタンド]
圧倒的なパワーにスタンドではすっかり勢いが消沈している。
女子生徒は絞り出すように声をだした。
「あ、相手強すぎ……!!」
「ちょっと引くくらい……」
「あぁ」と青い顔をしてゆきの母は思わず娘の名を呼ぶ。
「ゆき……」
見守っていた忠一も顔をしかめて言う。
「8強は伊達じゃない、か」
「可能性は0ではないが……」
くるみんも腕を組んで言葉を濁らせる。
そんな二人の二列ほど前の席。
最前列に並ぶ5人の観客。
全員が女性で、青い制服を着用していた。
「もう、あの子何してんの! ボクと戦ったときの覇気はどうしたのよ!」
そのうちの一人がピンク色のショートカットを振り乱して言う。
「well、彼女の初動はかなり悪くなかったワ! でも、相手が1枚も2枚も上だった」
隣に座る金色のサイドテールが腕を組んだ。
「チッ……」
黒髪の美しい長髪の女は不愉快そうに舌打ちする。
そんな彼女の顔を覗き込む紫髪のツインテールの美女。
「あら、そんなに眉間に皺を作ったら可愛い顔が台無しよ」
「殺すゾ」
そんなやりとりにショートカットに眼鏡をかけた少女がぴしゃりという。
「他の方に迷惑ですのでお静かに」
そんな5人組にくるみんと忠一が近づいた。
「誰かと思えば、君たちはアカデミアの」
くるみんが声をかけると5人は振り向いた。
紫色のツインテールーー藤原雪乃が返答する。
「あら、貴女はストックホルムに行ったときに見送りに来ていた子ね」
「私はチームHEROのオフィシャルサポーターだからね。君たちのパーソナルネームももちろん知っているとも。それで、君たちは応援にきてくれたのかな?」
「応援?」と金髪の少女--神川 ノエル 美優は少し大げさに肩をすくめて言い返した。
「Non Non! 私たちはrivalであって仲間ではないワ!」
同意するようにピンク色のショートカットーーツァン・ディレが目を伏せて声を出す。
「勘違いしないでよね! ボク達は、ただ観戦にきたの!」
「うふふ、強いデュエリストを偵察しに、ね」
添えるように雪乃が付け足す。
そんな会話に興味なさげに黒髪の少女--金 唯信はフィールドに目を戻した。
「……」
そんな様子にくるみんは納得顔で頷く。
忠一はそんな彼女たちに口を開いた。
「それでデュエルアカデミアの生徒様は、これをどうご覧になるんだ?」
「普通に考えれば、負け戦、でしょうねぇ」
嫌な顔ひとつせずに雪乃が答える。
追加するようにショートカットに眼鏡の少女--林原麗華が眼鏡を抑えて言う。
「3対3であってもこの展開は厳しいでしょう。加えて、2対3の不利な条件。勝利は絶望的です」
聞こえていたのか童実野二高の女子生徒が声を漏らした。
「そ、そんな……」
[デュエルフィールド]
ゆきは圧倒されながらも、我に返るとカードの発動ボタンを押し込む。
「……え、エンドフェイズ終了時、リバースカードオープン! トラップカード、トゥルース・リィンフォース、発動です!」
《トゥルース・リィンフォース》
通常罠
「デッキからレベル2以下の戦士族モンスターを特殊召喚できます! 来てください、焔聖騎士-リナルド!」
焔聖騎士-リナルド
守:200 炎 戦士族 星1
「リナルドが場に現れたとき、墓地の装備魔法を手札に加えることができます!」
「勝手になさいな」
幸子は餅カエルをちらと見てから言う。
「……で、では、墓地の『焔聖剣-デュランダル』を手札に加えます!」
手札2→3
[ドローフェイズ]
そしてターンチェンジ。
ゆきにターンが回ってくる。
目の前はちかちかと明滅し心音がうるさく木霊する。
ゆきは震える手でカードを引き込む。
「わ、わたしのターン……!」
手札3→4
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
引いたカードを即座に手札に加えてからカードを持ち直す。
「『焔聖剣-デュランダル』を発動です! リナルドに装備!」
《『焔聖剣-デュランダル』》
装備魔法
「『焔聖剣-デュランダル』を破壊し、デッキから炎属性戦士族モンスターを手札に加えます!」
「ふん」
幸子は取るに足らないと腕を組んで鼻を鳴らした。
その様子にゆきは唾を呑み込む。
「デッキから焔聖騎士-オリヴィエを手札に加え、そのまま召喚です!」
焔聖騎士-オリヴィエ
攻:1000 炎 戦士族 星4 チューナー
「レベル1のリナルドに、レベル4のオリヴィエをチューニング!」
☆1+☆4=☆5
シンクロの光が場を照らし、騎士を呼ぶ。
「シンクロ召喚! 来てください! 魔聖騎士皇ランスロット!!」
聖騎士皇ランスロット
攻:2100 闇 戦士族 星5
『まだ闘志は折れないかァァァ!! チームHERO間宮ゆき、シンクロ召喚だァァァ! 現れたのは漆黒の騎士!!』
「ッ魔聖騎士皇ランスロットの効果発動です! シンクロ召喚成功時、デッキから聖剣を装備します!」
「やらせませんわ! 餅カエルの効果発動! 手札、フィールドの水族、このカード自身をリリースし、効果の発動を無効にして破壊します!」
即座に反応し幸子は手を振りかざす。
主の指示に餅かえるはシュルシュルと舌を伸ばす。
そしてランスロットをからめとると自軍フィールドに引き摺りこんだ。
「餅かえるで無効にし破壊したカードをセットできますのよ!」
『ああっと!! 漆黒の騎士は、あっという間に飲み込まれてしまったァァァ!!』
歓声は止まらない。
攻防戦は幸子が一歩優勢。
幸子はさらに続ける。
「さらに、餅かえるが墓地に送られた時、墓地の水属性カードをサルベージすることができます! この効果で餅かえる自身をEXデッキに戻しますわ!」
「ま、まだです!!」
ゆきもあきらめずカードを握る。
「手札のゴッドフェニックスギアフリードの効果発動!! 墓地の装備カード、『焔聖剣-デュランダル』を除外して、このカードを特殊召喚できます!」
「甘いですわよ!! 驚かせてやりますわ!! カウンタートラップ発動!!」
しかし幸子は許さない。
無情にもセットカードが起き上がる。
《ギョッ!》
カウンター罠
「除外されている魚族モンスターをデッキに戻すことで、モンスター効果の発動を無効にして破壊しますわ!」
「えっ……!?」
足元が急に歪みそこから大口を開けた魚が飛び出してくる。
「きゃぁっ!」
その魚に手札をはたき落とされ、ゴッドフェニックスギアフリードは場に出ることすらなく墓地へと姿を消した。
『痛烈ゥゥゥ!! 逆転の一手を悉く潰されたァァァ!!』
「……ッ……手札の焔聖騎士-アストルフォの効果を発動です……! 墓地の炎属性戦士族モンスター、焔聖騎士リナルドを除外して、特殊召喚します……!」
焔聖騎士-アストルフォ
守:200 炎 戦士族 星1
「墓地の焔聖騎士-モージ、オジエ、オリヴィエを装備です!」
焔聖騎士-アストルフォ
E:焔聖騎士-モージ
E:焔聖騎士-オジエ
E:焔聖騎士-オリヴィエ
「……カードを1枚セットしてターン……エンドです……」
もはやデッキを展開させる余力もなくゆきは苦し紛れにカードをセットする。
ーエンドフェイズー
間宮ゆき
LP:1500
手札0
伏せ1
フィールド:
焔聖騎士-アストルフォ
(E:オジエ、オリヴィエ、モージ)
[ドローフェイズ]
圧倒的なフィールド、圧倒的な力の差。
幸子は愉快そうに高笑いしてみせた。
「おーっほっほっほっ! なす術なし、とはこのことですわ! わたくしのターン!」
手札0→1
[スタンバイフェイズ→メインフェイズ1(スキップ)→バトルフェイズ]
フェイズはあっという間に進行しバトルフェイズへと移行。
幸子は攻撃対象を指さした。
「デュガレスのデメリットでメインフェイズ1がスキップになりますが、関係ありませんわ!」
「ッ……!」
「踏み潰しなさい!! 白闘気白鯨で焔聖騎士-アストルフォに攻撃ですわ!!」
「キュゥォオォオォオッ……!!」
白鯨は大きな咆哮を響かせて容赦なく押し寄せる。
白闘気白鯨
攻:2800
焔聖騎士-アストルフォ
守:200
「う、うぅぅ……!」
ゆきは動くことができなかった。
心音と目の前の状況に頭が真っ白だった。
「ぁぁあああっ……!!」
LP:1500→0
『決まったァァァァァァァァァ!! 圧巻圧倒!! ライフポイントをフルに残して、ファーストプレイヤーを薙ぎ払ったァァァァァァッ!』
ワァァァァァァァーーーー。
割れたような、大きな群衆の声に会場が揺れる。
幸子は目を伏せてすましている。
「ふん、当然の結果ですわ」
[メインフェイズ2]
「では、バハムート・シャークの効果を発動ですわ。素材を取り除き、再び餅かえるを特殊召喚します」
「ッ!! や、やらせません……! トラップ発動です!」
幸子の声に反応してゆきはとっさにカードを発動させた。
《もの忘れ》
通常罠
「モンスター効果を無効にして、そのモンスターを守備表示に変更します!」
ヒュンヒュンヒュンとカードから超音波が発せられてバハムート・シャークを混乱させる。
バハムート・シャーク
攻→守:2100
「ふん、悪あがきを……。まぁいいですわ! ターンエンド!」
やや悪態をついてから幸子は咳払いをしてターンを進行させた。
「……ッ」
ゆきはもはや発動できるカードもなく、うつむいて立ち尽くしていた。
[チームHERO側ベンチ]
「………」
その状況に良平は無言で見つめる。
電光掲示板には黒い丸が一つ表示された。
残る白い丸はたったひとつ。
「……くっ、アタシが出れてれば……!」
亜美は悔しそうに歯を食いしばる。
「……」
良平はそんな彼女を一瞥し、再びフィールドに目を向けた。
その目に。
その鼓動に。
一体何を映しているのか。
良平本人ですら気が付いていなかった。
CM
■今回の禁止カード
・水晶機巧-ハリファイバー
2022年7月1日改定にて禁止カードに指定。
本作ではたびたび登場しますが、後半からは出なくなりますのでご容赦ください!
・餅カエル
2016年7月9日発売のインベイジョン・オブ・ヴェノムで登場。
2022年7月1日改定にて禁止カードに指定されました。
ハリファイバーと同じく【スプライト】が環境を席巻したときに禁止を食らったカードですね。
昔から強すぎだろと思ってたのでいつかは禁止になるだろうなって思ってました。
■余談
『遊戯王』シリーズの中で好きなシーンは皆様ありますでしょうか。
私は遊戯王5D`sの第99話「燃えろ!フェニキシアン・クラスター・アマリリス」でアキさんがスターダスト・ドラゴンを出すシーンです。
小説形式について 地の文やテキスト量
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読みやすい(テキスト量が妥当)
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前の方が読みやすい
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地の文が長い
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誰が喋っているかわかりにくい