遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

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このパートは2020年6月25日に執筆しています。
従ってカードプールおよびレギュレーションは2020年4月改定となります。
2022年11月現在、禁止カードに指定されているカードが登場する場合があります。

なお、デュエル描写に地の文ほとんどないなら前半パートもなくていいのではということで台詞形式にしました。

感想などお聞かせいただければ幸いです。


第3話「アンデットに立ち向かえ! 抜錨せよ!」前編

 

[童実野第二高校 ヒーロー部部室]

 

夕方の校舎にチャイムが響く。

校舎内にはもうほとんど人はおらず校庭でも運動部がグラウンド整備をしている。

 

「……んー……」

 

違和感がある。

ここのせは辺りを見回した。

亜美がいて、良平がいて、最近入ったゆきがいて。

特に変わらない部室だ。

 

「あ、もうこんな時間?」

 

と時計を見て亜美がつぶやいた。

ゆきも腕時計を一瞥して目を見開く。

 

「あ! 最終下校時刻過ぎてますよ!」

 

窓の外に目をやるとオレンジの光が街を覆っていた。

良平もスマホの電源ボタンに手を当てて時間を見て言う。

 

「ホントだ。じゃあ今日は解散だね」

 

「そうね、帰りましょ!」と亜美が部長席を立ち上がる。

 

[通学路]

 

外に出るとグランドから引き上げてきた野球部とサッカー部が水場で足を洗っていた。

校門を抜けてしばらく道をいくと十字路に差し掛かる。

ゆきは右手側に少し寄ってから振り返る。

 

「わたしはこっちなので! それじゃあ、みなさん! また明日!」

 

「はーい、じゃあねぇ!」と亜美が返事し、良平とここのせも手を上げる。

ゆきはにこりと笑うと帰路を歩みはじめた。

亜美はポニーテールを跳ねさせて良平とここのせに振り向く。

 

「二人はそっちでしょ、んじゃ、また明日〜」

 

「バイバーイ」

 

「じゃあな」

 

亜美は左手方向に向けて歩いていく。

彼女の背を見送ってから良平とここのせは歩き出した。

 

「良平、帰りラーメン食ってこうぜ」

 

「いーよー」

 

良平の返事に、しかしここのせはゾクリと背筋を凍らせた。

 

「あ……?」

 

辺りを見渡す。

なんの変哲もない街。

 

「どうしたの?」

 

「い、いやなんでもねぇ」

 

 

…………

 

「…………」

 

それを遠くの物陰から見る者がいた。

 

 

寝る前決闘空間

第3話「アンデットに立ち向かえ! 抜錨せよ!」

 

 

[ここのせ宅]

 

朝の風が窓から入り、スズメの声が寝ぼけた眼を掠めていく。

 

「うーん……、はっ……!」

 

パッと目を開け、ここのせはガバリと起き上がった。

 

「…………」

 

辺りを見渡す。

代わりない自分の部屋。

 

「はぁ、もう朝か……。学校めんどくせぇな……」

 

誰に言うでもない言葉が萎れた布団に沁みていく。

階段を降りてリビングへと向かう。

 

「おーい、朝ごはんはー……って、ん?」

 

机には封筒と便箋。

《父と母はしばらく外洋航海で家を空ける。生活費を置いていくからこれで生き延びろ》

封筒の中には、幾らかのお金と1日辺りの使用金が細かく指示されたメモが入っている。

 

「ラッキー、飯代ゲットだぜ」

 

と呟く。

それからまた辺りを見回した。

見えるのは当然、見知った部屋と家具。

 

(……この間からヤケに視線を感じるんだよな。落ちつかねぇったらないぜ)

 

心の中で独言してから壁掛けの時計を見上げた。

太い針は七時の方向を指している。

 

「……コンビニ寄ってから行くか」

 

[通学路]

 

鞄を肩に担ぐように持ちながらプラプラと歩く。

しばらく行くと見知った顔が歩いていたので声をかけた。

 

ここのせ「よぉ」

 

良平「おはよう」

 

ここのせ「……おう」

 

返事するもここのせはキョロキョロと辺りを見る。

 

良平「なんでそんな警戒してるの?」

 

ここのせ「いや、この間からよぉ、スゲー見られてる感じがすんだよ」

 

良平「見られてる? 」

 

ここのせ「ああ。そんな気がして落ちつかねぇんだよ」

 

良平「うーん……周りには特に誰もいないけどね」

 

[交差点]

 

交差点で信号待ちをしてると左側からテンポのいい足音がする。

祭乃木亜美の足音だった。

 

祭乃木「おっはよー! ……ってあれ、ここのせ、なんか元気ないじゃない?」

 

ここのせ「元気ないわけじゃねぇんだけどよぉ」

 

良平「いや、なんかね……」

 

祭乃木「はぁ? 見られてる? なぁーに馬鹿なこと言ってんのよ」

 

ここのせ「本当なんだって!」

 

祭乃木「アンタねぇ、自意識過剰よ。だいたいアンタにストーカーなんかつくわけないでしょ! ゆきにつくんだったらわかるけど!」

 

ここのせ「おい、さりげにディスってんじゃねぇよ!」

 

ゆき「私がどうかしました?」

 

と角の道からゆきが合流した。

全員徒歩圏内にいて概ねの時間で合わせている。

 

良平「あ、間宮。おはよー」

 

ゆき「はい! 間宮です! おはようございますぅ」

 

祭乃木「はい、おはよう」

 

ここのせ「うぃーっす」

 

ゆき「なんの話だったんですかぁ?」

 

祭乃木「いや、それがね……」

 

ゆき「えぇ!? す、ストーカーですかぁ!?」

 

祭乃木「絶対違うと思うけどね」

 

ここのせ「オレだってストーカーだとか言いてぇわけじゃねぇよ。けど、なんか落ちつかねぇ……」

 

ゆき「ど、どうしましょう!?」

 

良平「大丈夫だよ、ここのせは運動神経いいし襲われても最悪なんとかなると思う」

 

ここのせ「他人事じゃねぇか」

 

良平「だって他人事だし……」

 

ここのせ「冷たい野郎だぜ、ちくしょうがぁ」

 

そんな会話をしていると

キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。

 

祭乃木「ヤバっ! 予鈴! 急ぐわよ!」

 

ダッと祭乃木が駆け出す。

 

良平「この時間だとギリギリなんだな」

 

ここのせ「ったく、憂鬱だぜ」

 

ゆき「あ! ま、まってぇ!」

 

[童実野第二高校 2年5組教室]

 

授業中、教師が黒板にチョークを塗りつけている。

 

教師「〜であるからして、xyの値が〜」

 

ここのせ「……んー……またこの感じ……」

 

またしても視線を感じて辺りを見る。

 

隣の席「どうしたの? 消しゴム落とした?」

 

ここのせ「いや、なんでもねぇよ」

 

 

[ヒーロー部部室(不法占拠)]

 

シャッ、シャッと良平はカードを並べた。

それをゆきが覗き込むように眺めている。

 

良平「こういう時に、この罠カードを使うんだ。こうやって相手や自分が使うカードに、さらに別のカードの効果を使うことをチェーンって言うんだよ」

 

ゆき「ふむふむ!」

 

ここのせ「間宮もだいぶルールがわかってきたみたいだな」

 

祭乃木「そうね。……ってかここのせ。アンタ、朝の話は大丈夫なの?」

 

ここのせ「あー、今は感じねぇな」

 

祭乃木「なぁんだ。アタシがいたらすぐ気配に気付けたのに」

 

ここのせ「軍人かお前は。だったらよ、放課後俺を護衛してくれよ。ハンバーガー奢ってやっから」

 

祭乃木「マジ? ゆき、良平! ここのせがハンバーガー奢ってくれるって!」

 

ゆき「えー! 本当ですかぁ!」

 

ここのせ「こいつらにもかよ!」

 

良平「あー、ごめん。俺、今日はパス。バイトあるんだ」

 

祭乃木「あー、今日だっけシフト。じゃあアタシら三人で……」

 

ブーブーブーと祭乃木のポケットが震える。

 

ゆき「祭乃木さん、携帯鳴ってますよ?」

 

祭乃木「誰かしら? ……はーい」

 

スマートフォンを操作し髪を掻き上げてから耳に当てる。

 

祭乃木「……は? 病院? あー、塗り薬? よくない? ……えーめんどくさい……。はいはいわーった、わーったわよ! 行けばいいんでしょ! え? 6時に閉まる? ……はぁ、じゃ今から行くわよ、はいはい、はーい」

 

良平「塗り薬って?」

 

祭乃木「こないだの蜂よ。もうなんともないんだけど、ウチのオヤジがお節介で、跡になったらどうするんだー、ってうるさいのよ」

 

ゆき「だ、ダメですよ! ちゃんと病院行かないと! ちゃんと行って下さいね!」

 

祭乃木「はぁーい」

 

[通学路]夕方

 

祭乃木「病院めんど……」

 

ゆき「祭乃木さん?」

 

むぅと気持ち頬を膨らませてゆきが祭乃木を見上げる。

祭乃木は苦笑いして手で制した。

 

祭乃木「だ、大丈夫よ、ちゃんと行くって! じゃあ、病院あっちだから、じゃあね!」

 

良平「あ、意外と時間がやばいな……。俺も行くよ! じゃあ!」

 

二人が走っていく。

その背中にゆきはゆるりと手を振った。

 

ゆき「さよーならー!」

 

ここのせ「また明日ー」

 

それだけ言うと二人は歩き出した。

……並んで。

 

ここのせ「…………」

 

ゆき「…………」

 

ここのせ「………?」

 

ゆき「………?」

 

何故か並んで歩いている状況にここのせは困惑して足を止めた。

 

ここのせ「お前、家、あっちじゃねぇのか?」

 

ゆき「? そうですよ?」

 

ここのせ「何故こっちに?」

 

ゆき「あれ? ハンバーガー食べに行くんじゃないんですかぁ?」

 

ここのせ「……俺と間宮で?」

 

ゆき「ダメですか?」

 

ここのせ「いや、いいけどよ……」

 

ゆき「ハンバーガー食べるの久しぶりで、とっても楽しみですぅ!」

 

ここのせ「ハンバーガーをここまで楽しみにしてる奴初めて見たぞ」

 

[ネオ童実野シティ繁華街 ハンバーガー屋]

 

ゆき「あぁぁん! んぐんぐ……おいひいですふぅ!」

 

ここのせ「……あむ……あれ? オレのやつ注文と違うんだけど」

 

ゆき「間違えられちゃいました?」

 

ここのせ「はぁ、よくあることだ。もう食っちゃったし、これでいいぜ……。それより間宮、デッキはどうだ。作れそうか?」

 

ゆき「うーん、まだまだカードが足りないので、全然ですね。あ、でも見てください! これ!」

 

ここのせ「1万円? そんな大金どうしたんだ」

 

ゆき「ヒーロー部のことを話したらお母さんが、これでカード買いなさいってくれました! ここのせさん! よければこのあと、カードショップに行くのについてきてくれませんか?」

 

ここのせ「へぇ、気前がいいな。じゃあ食ったらいくか」

 

 

[ネオ童実野シティ繁華街 カードショップ]

 

ゆき「パックの種類はもう覚えましたよ!」

 

ここのせ「そりゃ結構なことじゃねぇか。で、何買うんだ? 高級パックか?」

 

ゆき「いえ、今回はこちらのVol.パックにしようと思います! 大人買いです! えへへ」

 

ここのせ「おぉボックス買いか! 羨ましいぜ。どれ買うんだ?」

 

ゆき「そうですねぇ……。何がいいでしょう?」

 

ここのせ「良平がいりゃ、即答できるんだがな。……ま、でも10か11がいいだろうな」

 

ゆき「その二つは何が違うんですかぁ?」

 

ここのせ「11の方が新しい。が、封入されているカードの種類なんかはどっちも非公開だし、誰もわかってねぇ。だから、その二つはどっちがいいかは人それぞれだ」

 

ゆき「むむむ……悩みますねぇ……」

 

ここのせ「ボックス買いだからな、よく悩むといいぜ。値段も同じだしよ」

 

ゆき「むむむぅ……、決めました! 10の方にします! 買ってきますね!」

 

ここのせ「おーう」

 

一人になった瞬間、背筋に氷。

 

ここのせ「…………またこの感じ」

 

 

ゆき「……え? スピードくじですかぁ? この箱から引けばいいんですね? よーし、えーい!」

 

店員「こ、これは……! お、おめでとうございまーーす!」

 

カランカランカランッとベルを鳴らす。

 

ゆき「えぇー!? こ、ここのせさぁぁん! 大変ですぅ!」

 

ここのせ「どうした? あ? なんだそれ?」

 

店員「おめでとうございます! 一等が当たりましたよ! こちら景品のKC社新型デュエルディスクです!」

 

ゆき「わぁぁ! すごいですぅ!」

 

ここのせ「す、すげぇなオイ! 間宮、お前、豪運だな!」

 

ゆき「えへへ……! あ、丁度いいです! これ、ヒーロー部のものにしましょう! 寄贈です!」

 

ここのせ「え? いや、自分で使った方がいいんじゃねぇのか?」

 

ゆき「いいえ! 私はまだデッキを持っていないですし、何より、前に助けてもらったお返しがまだできてませんから! ……えへへ、お返しなのに貰い物なのは内緒ですよ」

 

ここのせ「そういうことなら、みんなで使うか。祭乃木も喜ぶぜ」

 

ゆき「えへへ……! ……おっとと」

 

フラフラとよろけるゆき。

 

ここのせ「よければ、そのデュエルディスク俺が持ってやろうか? なんなら明日部室に持ってくぜ」

 

ゆき「お、お願いしていいですかぁ? パックの箱もあるし、カバンもあるので……」つ決闘盤

 

ここのせ「おう、任せとけ」

 

店員「ありがとうございましたー」

 

[店の外]

 

ゆき「今日はありがとうございました!」

 

ここのせ「こっちこそ、デュエルディスク、ありがとうな。ヒーロー部を代表して感謝するぜ。こいつは明日、責任を持って部室に持っていく」

 

ゆき「はい! お願いします! ……では、また明日!」

 

手をフリフリと振ってゆきは背を向けた。

 

ここのせ「おう」

 

ここのせ「…………」

 

辺りを見渡す。

夕日が沈んだ赤い空。

 

ここのせ「……帰るか」

 

[通学路の途中にある公園の前]

 

一人になって帰路に着く。

公園にはもう誰も遊んでいない。

 

ここのせ「………」

 

???「…………」

 

そんな公園の入り口に白いシャツに黒いスカート、黒いリボン。

銀色の長髪をツインテールに纏めた少女が何をするでもなく立っている。

人形のように整ってはいるが生気のない無表情。

珍しい子だなと思いながらここのせは少女の前を通り過ぎようとした、

 

???「………」

 

ここのせ「………」

 

???「……ここのせ……いや能瀬心……」

 

ここのせ「!?」

 

思わず立ち止まり振り向く。

相手の身長が低いからか頭頂部しか見えない。

視線を下げるとそこには無表情でこちらを見る少女の顔があった。

 

???「…………」

 

ここのせ「な、なんだお前……?」

 

???「……あなたを待っていた。能瀬心……」

 

ここのせ「は、はぁ? てめぇ、何者だ? なんで俺のこと知ってやがる」

 

???「……ルイン恵。それが私の個体名。識別IDはCXD-4003……」

【銀髪無表情娘 ルイン恵】

 

ここのせ「……は? も、もしかして最近、視線を感じてたのはお前の仕業か……?」

 

恵「……そう……」

 

ここのせ「な、なんでぇ一体。オレは普通の学生だぜ? 嗅ぎ回ったって何も出やしねぇよ。それともオレに用件でもあんのか?」

 

恵「……68時間27分42秒前、旧サテライトエリアで強力な時空震を観測した……」

 

ここのせ「じ、じく……なんだって? 地震?」

 

恵「……時空震……」

 

ここのせ「なんでぇそりゃ……?」

 

恵「……時空震。時空に断裂が生じた際に発生する現象……」

 

ここのせ「……いや説明されてもなおわからねぇ……」

 

恵「……その震源地に最も近くいた人物。それが能瀬心。時空震の原因及びその対処の為、能瀬心を観察、接触を試みた……」

 

ここのせ「は、はぁ? 原因とか知らねぇよ! 一般人に地震が起こせるか!」

 

恵「……地震と時空震は異なる現象……」

 

ここのせ「いやだから、それもわかんねぇって! 」

 

恵「……個人の意識の問題ではない……」

 

ガシャといつの間にかつけていたのか少女は決闘盤を展開していた。

 

ここのせ「な、なんだよ?」

 

恵「……構えて。私はデュエルロイドCXD-4003。デュエルを通して貴方の内部意識に時空震の原因がないか調査する……」

 

ここのせ「デュエルロイド……ちょっと待て! 世界観に付いていけてねぇって!」

 

恵「……構えて……」

 

ここのせ「人の話を聞けってんだい! ……くそったれ、間宮のディスクをこんな早く使うとは……!」

 

恵「……デュエル……」

 

ここのせ「デュエル!」

 

 




ここで一度CM。
デュエルパートは後編へ。

ルイン恵について

モチーフはもちろんタッグフォースシリーズのレイン恵。
そのままでもよかったけど、色々設定をつけるために別キャラとしています。

地の文や台詞形式について

  • 今のままで良い
  • 台詞のみの台本形式の方が読みやすい
  • 小説のような形式の方が読みやすい
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