遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~ 作:レトやま
本年も是非とも本作を読んでいただければ幸いです!
■注意
・設定上この世界の日本にないカードなのでセリフ上では英語名のカードが登場します。
「Plunder Patroll」は日本では「海造賊」というテーマ名になっているので地の文では日本名で出します。
そのため少し読みにくいかも……。
[ネオ童実野シティメモリアルスタジアム]
熱気。
そして歓声。
晴れ渡った空を半分近く隠すスタジアムの屋根。
そこから入る日差しが人工芝を温めていた。
『それではいくぞォオォオォオ!! スリィィィィィィィィィィィ!! ツゥゥウゥウゥウ!! ワァァァァァァンッ!! デュエルスタァァァァァァトォオォオォオォオッ!!』
「Duel!」
ギーク・ハワード
LP:4000
「デュエル!」
能瀬 心
LP:4000
そして切られる戦いの火蓋。
[チームHERO側スタンド]
スタンドに集まったわずか16名の童実野第二高校の制服男女たちが一斉に動き出す。
「それじゃAメロいくよ!」
声に頷き男子生徒2人がギターとドラムのリズムを刻む。
「ダンサーもいくよ!」
「はい!」
「任せて!!」
16名でもフィールドに届くように。
大きな音と声で。
派手なぽんぽんを振って。
応援歌を流し始めた。
[デュエルフィールド]
電光掲示板が電子音をあげながらルーレットを回す。
先攻後攻を決めるシステムだ。
―――ビィィィィィッ
大きなブザーと共にルーレットが止まった。
First:TEAM Bandit
先攻:チームバンデット
『先攻はチームバンデット!! さぁぁどんなデュエルが展開されるのかァァァァァ!!』
ーメインフェイズー
ギークはにたりと笑う。
『俺様のターン!!』
手札5
ここのせの耳に翻訳された言葉が届く。
『へっへっへっ! これから略奪の始まりだぁ、大いに盛り上げてやるよぉ! フィールドマジック、Plunder Patroll Shipyarrrdを発動ォ!』
《Plunder Patroll Shipyarrrd》
フィールド魔法
※海造賊-拠点
ギークはディスクの端のスロットにカードを滑り込ませカードを発動させる。
突如地鳴りと共に海と船屋と基地が現れた。
――Yo ho!yo ho! a pirate's life for me We pillage plunder!
――we rifle and loot Drink up me hearties!
酒焼けしたような声で奏でられる歌。
MCがマイクを握り声を張り上げる。
『高らかに歌声響くシップヤード!!! 海賊たちの巣窟が現れたぞォオォオッ!!』
[チームHERO側ベンチ]
発動されたカードは事前に情報にあった。
良平はベンチの前線で前のめりに見る。
「さっそく来たか……! あの海賊デッキのキーカード!」
「……」
恵も情報収集と言わんばかりにまっすぐに見つめている。
[デュエルフィールド]
一方フィールドではここのせが辺りを見渡してつぶやいた。
「海賊共の巣窟か……!」
『はっはっはっ! こいつが場にある限り、Plunder Patrollモンスターの攻撃力はマジック・トラップゾーンにあるPlunder Patrollカードの数×500ポイントアップするぜぇ!』
「……」
ここのせは努めて冷静になろうと息を付き、ギークの手元に目線を絞る。
(打点上昇効果……。海賊デッキのモンスターは素の打点が高くねぇ。こいつで戦闘補強ってわけか)
その間にギークはさらにカードを操っていく。
『手札のカード1枚を墓地に送り、Goldenhair, the Newest Plunder Patrollの効果を発動ぉ! このカードを特殊召喚!』
手札4→2
海造賊-金髪の訓練生
守:2000 水 悪魔族 星4チューナー
金色の髪の小型トロールのようなモンスターがサーベルを振り上げて鳴く。
ここのせは素早くデュエルディスクの液晶モニターを操作し効果テキストを表示させた。
(恵の翻訳機ではカード名は翻訳されねぇみてぇだな。ディスクのディスプレイには直訳が書いてあるが……)
『さらに今手札から墓地に送られたWhitebeard, the Plunder Patroll Helmの効果を発動ォ!』
《海造賊-白髭の機関士》
効果モンスター
半透明の白髭トロールが現れ、足元のバルブをぐるぐると回す。
すると蒸気が噴射されフィールドに白煙が蔓延した。
ここのせは思わずディスクのディスプレイから顔上げる。
『こいつは手札、フィールドから墓地に送られた時、デッキからPlunder Patroll モンスターを特殊召喚できる! 出てこい、Bluebeard, the Plunder Patroll Shipwright!」
海造賊-青髭の海技士
守:1000 水 悪魔族 星4
高笑いと共に白煙かた青い体毛のトロールが腕を組んで現れる。
ギークは腕を突き出し高らかに宣言した。
『さぁ出るぜ野郎ども!! レベル4のGoldenhair, the Newest Plunder PatrollとBluebeard, the Plunder Patroll Shipwrightでオーバーレイ!!』
黒い渦にトロールたちが飛び込んでいく。
聞こえるは潮騒。
そして漂うは酒の香。
☆4×☆4=★4
『――船出の時だぁ、野郎共! 船に乗り込め!! 闇夜に紛れ、宝を根こそぎ奪い取れ!!』
カッと光が突き抜け、シップヤードから黒い船体の海賊船が飛沫を上げて現れた。
『カモン!! Plunder Patrollship Moerk!!』
海造賊-静寂のメルケ号
守:2500 闇 悪魔族 ランク4
軋む船の音。
早速切り札級モンスターが現れたことでマイクパフォーマンスの熱がさらに上がっていく。
『シップヤードより現れたのは!! 漆黒の海賊船!! 略奪が始まるのかァァァァァ!!?』
会場の歓声も大いに沸きあがっていく。
一方でここのせは表情を崩さない。
「……」
『さらに俺様はフィールドマジック、Shipyarrrdの効果を発動ぉ! 手札のカードを1枚墓地に送り、 Plunder Patrollカードを手札に加えることができる!』
手札2→1
自動選別されたカードがデッキから1枚だけ押し出されギークはそれを抜き取りこちらに差し向けた。
『俺様が手札に加えるのはこいつだぁ!』
手札1→2
英語が並ぶ赤紫色のカード。
おそらくは罠カード。
それも永続。
だがすぐに手札に加えられてしまう。
「お、おい! カード名読み上げろよ! 読めねぇっつーの!」
『あぁ?? だから日本語わかんねぇって言ってんだろバカガキがよ。英語話せ、低脳』
「だぁぁ、くそぉぉ!! こっちだけ聞こえてんのめちゃくちゃムカつくぞおい!!」
「きっひっひっ!」
やりとりを嘲笑うような声。
「誰だぁ、笑ったやつ! って、あぁ? なんだそのモンスター?」
思わず目を吊り上げるここのせ。
しかし声の正体は赤い髭のトロールであった。
『こいつは手札、フィールドから墓地に送られた場合、フィールドのPlunder Patroll モンスターに装備カードとして装備できる! さぁ、乗り込みやがれ!Redbeard, the Plunder Patroll Matey!」
《赤髭の航海士》
効果モンスター
先ほどのトロールが軽快に船に飛び乗り舵を握った。
「船に乗り込みやがった!?」
『カードを1枚セットしてターンエンド!』
伏せカード ブゥンッ
ーエンドフェイズー
ギーク
LP:4000
手札1
フィールド魔法:
海造賊-拠点-
魔法罠:
セットカード
海造賊-赤髭の航海士
フィールド:
海造賊-静寂のメルケ号(E:海造賊-赤髭の航海士)
[チームHERO側ベンチ]
エンドフェイズまでの展開でデッキの概ねの展開ルートが見えた。
亜美は腕を組んで言う。
「なるほど、ああやって自分の船に乗って戦うってわけね」
場に現れた黒い海賊船とその舵を握る赤髭の航海士、デッキ展開のモデルケースと言えるだろう。
良平も手を顎に当てて分析する。
「思ったより手札消費が激しいデッキみたいだ。それをカバーするほどのアドを稼げるのかもしれないけど……」
言葉に続きを紡ぐように恵も口を開けた。
「……効果をいかに躱すかが鍵となる……」
[デュエルフィールド]
ードローフェイズー
ターンが渡り、ここのせはデッキトップに人差し指と中指を掛ける。
「オレのターン!」
そのまま強く引き込み、初期手札6枚が手元に揃う。
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
「……」
ここのせは静かに相手のセットカードを見る。
(あのカードは間違いなくさっきサーチしたカード……。効果はわからねぇが、チラッと見えたのは永続マークだった。つまり攻撃反応系じゃねぇ。フリーチェーンで妨害が飛んでくるかもしれねぇな)
そのまま視線をずらす。
相手フィールドに鎮座する黒い海賊船。
(そしてあの黒い船……。乗員がいるときはフリーチェーンでモンスターを除外できる海賊船……。なんとかくぐり抜けるしかねぇ)
見えている妨害は2つ。
ここのせは手札のカードを素早く抜き取り、マジックトラップスロットに放り込む。
「手札から速攻魔法、閃刀機-ホーネットビットを発動!」
《閃刀機-ホーネットビット》
速攻魔法
「オレのメインモンスターゾーンにカードが存在しない時、オレのフィールドに閃刀姫トークン1体を特殊召喚するぜ!」
ここのせのフィールドに閃刀を携えたトークンが着地。
閃刀姫トークン
守:0 闇 戦士族 星1
「閃刀姫トークン1体をリンクマーカーにセット! 召喚条件は、炎属性以外の閃刀姫モンスター1体!」
↖︎閃刀姫トークン = LINK1
すぐさまトークンはリンクマーカーへと飛び込んでいき、やがて焔を纏って飛翔した。
「リンク召喚! 閃刀姫-カガリ、発艦!!」
ブゥゥゥンッとレシプロが回る音がして炎の閃刀姫がアフターバーナーを燃やしてここのせから見てデッキ側のEXゾーン上空で飛行する。
閃刀姫-カガリ
攻:1500 炎 機械族 LINK1
「閃刀姫-カガリは特殊召喚された時、墓地の閃刀魔法カードを手札に加えることができる!」
『はっ、勝手にしろ!』
「なら墓地の閃刀機-ホーネットビットを回収するぜ」
墓地の閃刀機-ホーネットビットを手札に戻し手札は再び6枚に。
ここのせは止まることはなく腕を前に突き出し宣言する。
「さらに今、お前の海賊船とセットカードが同じ縦列にある!」
『あぁ? 縦列だと?』
ギークは怪訝な顔でフィールドを確認する。
確かに自身のセットカードとメルケ号は相手から見て右から3列目―すなわちフィールド中央にある。
故に縦列にカードは2枚。
ここのせは手札のカードを見せつけるように差し向けて言った。
「そしてこのカードは同じ縦列にカードが2枚以上ある場合、特殊召喚できる! こい、蒼穹の機界騎士!」
蒼穹の機界騎士
攻:2000 光 サイキック族 星5
『ジャックナイツだぁ……?』
ギークはさらに眉間に皺を寄せる。
見たことないカードだった。
[チームHERO側ベンチ]
それは味方側ベンチでも同じことだった。
良平は少し闘志の籠った瞳でフィールドを見た。
「ジャックナイツ……!」
隣でゆきと恵も驚く。
「見たことないですぅ……」
「……データを更新する……」
亜美はニッと口角を上げて腕を組んだ。
「あれがここのせが見つけた強さなのね……! さぁ、見せてみなさい、ここのせ!!」
[選手通用口の壁際]
雑踏が遠い場所。
選手が入場するための通用ゲート。
そこに2人の男の影があった。
「……機界騎士……ほうか、それがお前さんの星遺物なんじゃな」
それは最強のチーム。
チームディスティニーのメンバーの一人――絵草霜であった。
浅黒い肌に老成したような瞳。
そんな彼は満足そうに笑う。
「ふん、嬉しそうだな」
もう一人の人影。
それもチームディスティニーのメンバーの一人。
黒いコートに白いシャツ。
白髪のポニーテール。
――名をアバンスという。
絵草は振り返り意味ありげに笑った。
「まあな。若葉が育つことは良いことじゃ。それにワシのスペアがいた方が色々都合がよかろ?」
「……」
[デュエルフィールド]
ここのせのフィールドに電気を纏いながら二刀を持つ白銀の騎士―蒼穹の機界騎士が膠着する。
「蒼穹の機界騎士の効果発動! 同じ縦列にある相手のカードの数だけジャックナイツモンスターをサーチできる!」
『チッ……! トラップ発動!! Plunder Patroll Booty!』
渋い顔をしながらギークは腕を振るって応戦する。
《Plunder Patroll Booty》
永続罠
※海造賊-大航海
chain1 蒼穹の機界騎士
chain2 Plunder Patroll Booty
カードの応酬。
チェーンは逆順に処理されていく。
『俺様はそのストライカーエースを対象に取り光属性を宣言! そいつには光属性になってもらうぜ!』
「属性を変更……?」
閃刀姫-カガリ
炎→光
『さらにその後、墓地から海賊を呼び起こす!! 戻ってこい! Whitebeard, the Plunder Patroll Helm!』
海造賊-白髭の機関士
守:1000 水 悪魔族 星4
ギークのフィールドにさらにモンスターが展開される。
対するここのせもデッキから選出されたカード2枚を引き抜いた。
「こっちはデッキから紫宵の機界騎士と宵星の騎士ギルスを手札に加えるぜ!」
これでここのせの手札は7枚。
しかし相手もアドバンテージを稼いでいる。
ここのせはギークが発動した永続罠カードに目を向けた。
(わざわざ光属性を宣言してきやがった)
その意図とは何か。
ここのせは慎重に考えつつ、現れたモンスター海造賊-白髭の機関士詳細情報をディスプレイで確認する。
(あの機関士はこっちのフィールド、墓地のカードの属性を参照してEXからカードを引っ張ってくるモンスター……。てことは光属性の船を出したいってわけだ。つっても、そいつは止められそうにねぇな……)
もう一度フィールドを視認してからカードを裏側でマジックトラップスロットに差し込む。
「カード1枚を右から2番目にセット!」
伏せカードが右EXゾーンを埋める閃刀姫-カガリの後ろに表示される。
「これで縦列2枚! こい! 紫宵の機界騎士!!」
紫宵の機界騎士
攻:2500 光 サイバース族 星8
今度は紫色のマントを羽織った騎士がここのせのフィールドに現れ刃を構えた。
その瞬間、ギークも動き出す。
『はっ! ならこっちも船を出すぜぇ! Whitebeard, the Plunder Patroll Helmの効果を発動ぉ!』
《海造賊-白髭の機関士》
効果モンスター
『こいつは、てめぇのフィールド、墓地のモンスターと同じ属性を持つ船をEXから呼び出す!!』
「オレのフィールドには光属性モンスターしかいねぇ……!」
海造賊-白髭の機関士が機関をガチャガチャと弄り、シップヤードのドアが音を立てて開く。
『――閃光放つ翼を広げ! この世全てを制覇する!! さぁ船出の時だ! 乗り込め野郎共!! 』
カァァッと一閃の光。
そして飛び出る白い海賊船。
『出ろ! Plunder Patrollship Lys!!』
海造賊-双翼のリュース号
攻:2000→3500 光 悪魔族 星8
フィールドを支配する2隻の海賊船。
シップヤードから奏でられる海賊たちの歌声。
まさにここは中世の海。
マイクパフォーマンスに火が灯る。
『二隻めの海賊船が現れたァァァァァァ!!! お互いにモンスターを展開する高速デュエル!! 手をこまねいた方が撃沈されるぞォオォオォオ!!』
会場の観客が一斉に拍手してまるで揚げ物をしているようだ。
ここのせは舌打ちし2隻の船を睨む。
「ちっ……! 海賊らしくワラワラ湧いてきやがるぜ……!」
[チームHERO側スタンド]
観客が沸く中、ここの一帯だけは固唾をのんでいる。
腕を組んで市原桃胡は感心いたように頷く。
「ほほーう、2妨害か。なるほど、お相手さん、流石プロフェッショナルだ」
聞いた忠一も眉を潜めて答えた。
「乗り越えるには、相応のプレイングが必要だぞ。ここのせにそんなことできるのか……」
「どうかな。でも私は可能性を感じているよ」
[デュエルフィールド]
当事者たるここのせはやや思考し、やがて自軍モンスターに目を向けた。
「……紫宵の機界騎士の効果発動!フィールドのジャックナイツモンスター、紫宵の機界騎士自身を対象にして、 対象のモンスターを次のターンのエンドフェイズまで除外! デッキからジャックナイツモンスターを手札に加える!」
『はっ! やらせねぇ! Plunder Patrollship Moerkの効果発動ぉ!』
ここのせの動きに対し、ギークは大口を開いて対抗する。
chain1 紫宵の機界騎士
chain2 Plunder Patrollship Moerk(海造賊-静寂のメルケ号)
『手札のPlunder Patrollカードを墓地に送ることで、フィールドのモンスター1体を除外する! 対象はそのモンスターだ!』
ギークはびしりと紫宵の機界騎士を指さす。
静寂のメルケ号の側面についている主砲が火を噴き何発も砲弾を射撃してくる。
2発は手前に着弾し飛沫を上げた。
そして最後の1発が紫宵の機界騎士を貫いてしまう。
『海賊船の大砲が火を吹いたァァァァァァァァァ!! 紫の騎士はなす術なく粉砕されてしまったぞォオ!!』
『ひゃははははっ! バカが!! 対象不在で効果は不発!! 効果を無効にするまでもねぇなぁ!!』
ギークは大きな口を開けて嘲笑う。
対するここのせは何も言わず次なる手を思考していた。
「……」
その隙にギークは続ける。
『さらに、こいつは、デッキからPlunder Patrollマジック・トラップを手札に加えることができる!Plunder Patroll Shipshape Ships Shippingを手札に加えるぜぇ!』
消費した手札を回復しギークの手札は1枚となる。
それからさらにギークはフィールドの双翼のリュース号を指さした。
『さらにコストで墓地に送ったRedbeardの効果発動ぉ! こいつも船の乗員にするぜぇ!』
海造賊-赤髭の航海士は手札・モンスターゾーンから墓地に送られた時、海造賊の装備カードになる効果を持つ。
ヒョンッと赤い髭のトロールが海造賊-双翼のリュース号に乗り込み舵を取った。
海造賊-双翼のリュース号
攻:3500→4000
『なんとォオ!! 白き海賊船に新たな乗員が加わったァァァ!! これによりシップヤードの効果でさらに攻撃力が500ポイントアップ!! 攻撃力は圧巻の4000!! チームHEROどうくぐり抜けるか!!?』
攻撃力4000という数値に観客は熱い声援を送っている。
切り札級であり、伝説の神のカードに匹敵する攻撃力。
だがここのせの闘志は決して潰えることはない。
「こっちだって、まだ止まらねぇぜ! 蒼穹の機界騎士と閃刀姫-カガリをリンクマーカーにセット! 召喚条件は、ジャックナイツを含むモンスター2体!」
↙︎機界騎士 + ↘︎閃刀姫-カガリ=LINK2
2体がリンクマーカーに飲み込まれていく。
フィールドの中央に星の明滅。
やがて機械の騎士が降り立った。
「リンク召喚! 輝け! 明星の機械騎士!」
明星の機械騎士
攻:2000 光 機械族 LINK2 ↙︎↘︎(右EXゾーン)
「明星の機械騎士は、リンク召喚時、手札のジャックナイツまたは星遺物カードを墓地に送ることでデッキから星遺物カードを手札に加えることができる!」
効果発動のコストとしてここのせは手札のカード1枚を墓地へと流しこむ。
しかしその行為をにやりと笑いギークは声を出した。
『はっ! デュエルを知らねぇ素人が!! Lysの効果発動ぉ!手札のPlunder Patrollを砲弾に、モンスター効果を無効にし破壊する!!』
海造賊-双翼のリュース号がギークの声に応えるように主砲を明星の機械騎士に向ける。
『ファイア!!』
主砲弾がまっすぐに飛んできて明星の機械騎士に命中。
爆発、炎上した。
強烈な爆風に堪らずここのせは腕で顔を守った。
「ぐっ……!」
『ひゃははははっ!!! 雑魚ジャップがよ! 無効効果に無策で突っ込んでくるのはカミカゼアタックの真似かぁ?? 調子に乗ってここまできたみたいだが、てめぇらの実力はこんなもんだ!』
大きなガラガラ声で笑う。
ここのせのフィールドにはあっという間にモンスターがいなくなっていた。
「はっ、言ってくれんじゃねぇかアメ公野郎!」
『それだけじゃねぇ! こいつは、デッキからPlunder Patrollカードを手札に加えることができる! Blackeyes, the Plunder Patroll Seaguideを手札に加えるぜぇ!』
使った手札を回復するように新たなカードがギークの手札に加わった。
ここのせは、しかし勇敢な笑みを崩さない。
「だがこれでお前のドロ船は弾を撃ち尽くした! こっから先は好きにやらせてもらうぜ!手札からホーネット・ビットを再び発動!」
《閃刀姫-ホーネットビット》
速攻魔法
「フィールドに閃刀姫トークンを特殊召喚!」
閃刀姫トークン
守:0 闇 戦士族 星1
「すかさず装備換装! 閃刀姫トークン1体をリンクマーカーにセット! 召喚条件は水属性以外の閃刀姫モンスター1体!」
↗︎閃刀姫トークン = LINK1
「第二次攻撃隊、発艦! こい、閃刀姫-シズク!」
レシプロの音と共に水色の閃刀姫が銃剣を携えて構えた。
閃刀姫-シズク
攻:1500 水 機械族 LINK1 ↗︎
『ふん、オンボロ機風情が!』
「さらに手札からテラ・フォーミングを発動!
《テラ・フォーミング》
通常魔法
ギークの挑発を無視してここのは魔法カードを発動する。
以前恵が渡してくれたカードだ。
「デッキからフィールド魔法を手札に加えるぜ! そして今手札に加えた暴走召喚陣をそのまま発動!」
《暴走召喚陣》
フィールド魔法
フォンフォンフォンッと軽い音と共に赤い魔法陣がここのせのフィールドを照らす。
「暴走召喚陣は発動時、デッキから召喚士を呼び寄せる! 召喚士アレイスターをサーチするぜ!」
デッキからカードを引き抜き、指に挟んで相手に差し向ける。
会場はどよめく。
ここからまだ動くのかと。
「オレはこのターンまだ召喚権を使ってねぇ! 召喚士アレイスターを召喚!」
召喚士アレイスター
攻:1000 闇 魔法使い族 星4
「アレイスターは、召喚に成功した場合、デッキから召喚魔術を手札に呼びこむことができる!」
サーチ効果の連続。
デッキは回り、デュエルは加速する。
ここのせはカードを手札に加え、間髪入れずスロットに差し込んだ。
「そのまま発動!」
《召喚魔術》
通常魔法
「フィールドのアレイスターと墓地の明星の機械騎士を除外融合!」
召喚魔術は召喚獣を呼び出す特殊な融合カード。
条件を満たしていれば墓地のカードすら融合素材にできる。
召喚士アレイスター + 光属性
ここのせのフィールドに青と赤の渦が巻く。
新たなモンスターを生み出す融合演出。
ここのせは心に響く調べをそのまま口にする。
「――聖なる轍をこの大地に刻み込め! 」
EXデッキへの路が開く。
響くは蹄と車輪の音。
「融合召喚! 戦車前進! 出ろ、召喚獣メルカバー!!」
召喚獣メルカバー
攻:2500 光 機械族 星9
ここのせ側の切り札級のカードの登場にMCはマイクパフォーマンスを振るう。
『光を纏う戦車が現れたァァァ!! 叛逆の狼煙になるかァァァ!!?』
だがギークは口の端を曲げて言い捨てる。
『何かと思えば攻撃力は2500! そんな貧弱な旧式戦車、相手じゃねぇ!』
ここのせは口の端を上げて応戦した。
「攻撃力が高えだけの弾切れ船なんざ目じゃねぇぜ! 手札から速攻魔法、星遺物の胎導を発動!」
《星遺物の胎導》
速攻魔法
発動と同時に銀色の光がカードから放たれた。
星の光。
星の力。
ここのせの内から魂が呼び覚ます。
MCは声を高らかに上げた。
『出たァァァァァ!! 起死回生! 力無き者に力を与えるという星のカード!! 能瀬心のキーカードが発動だァァァ!!』
会場の誰もがなじみのないカード。
だがここのせにとっては魂とも呼べるカード。
「メルカバーを対象に、こいつとは種族属性が異なるレベル9モンスターをデッキから特殊召喚するぜ! 出てこい、星遺物の守護龍メロダーク、氷の王ニードヘッグ!」
星遺物の守護龍メロダーク
攻:2600 風 ドラゴン族 星9
氷の王ニードヘッグ
守:2600 水 幻竜族 星9
2体の大型の龍が咆哮を上げる。
空気を揺るがし、胸を打つような大声量である。
ギークは忌々しそうに舌打ちする。
『ちっ……!』
ここのせは止まらず宣言した。
「レベル9のメロダークとニードヘッグでオーバーレイ!」
☆9×☆9=★9
「――海の要塞、大空の支配者よ! 遥かなる水平線に勝利を刻めぇ!!」
海が鳴る。
海神が起きる。
ここのせは高く振り上げたカードをモンスターゾーンにたたきつけた。
「エクシーズ召喚! 幻子力空母エンタープラズニル、抜錨!!」
幻子力空母エンタープラズニル
攻:2900 水 機械族 ランク9
海を割って突き進む水平甲板式航空母艦が出撃した。
『星の力を借りて現れたのは巨大な航空母艦!! 能瀬心、ここで切り札を呼び出したァァァ!!』
「さぁ海賊討伐だぜ、エンタープラズニル! 素材を1つ使って、相手フィールドのカードを1枚を除外する!航空攻撃で撃沈してやるぜ!」
エンタープラズニルの甲板に次々とプリズム体の戦闘機がセットされていく。
ギークは歯を砕けるほどに噛みしめて叫んだ。
『クソがァァ……! Lysの効果発動ぉ!』
chain1 幻子力空母エンタープラズニル
chain2 Plunder Patrollship Lys(双翼のリュース号)
『乗員を一人フィールドに召集する! 出ろ、白髭!』
海造賊-白髭の機関士
守:1000→800 水 悪魔族 星4
苦し紛れに乗員が双翼のリュース号から飛び降り、フィールドに降り立つ。
「関係ねぇ! 敵艦補足! 目標、白色の海賊船! 雷撃隊全機発艦!!」
エンタープラズニルは射出機を動かし数十機の戦闘機隊を空に上げた。
戦闘機隊はスコードロンを組んで飛んでいき、双翼のリュース号の上空を取り囲む。
「全機攻撃開始!」
ここのせの号令に一気に低空まで降りていく。
一直線に急降下し抱えた爆弾を双翼のリュース号目掛けて落とす。
まさに急降下爆撃。
凄まじい爆音。
上がる水柱。
何発もの被弾を経て双翼のリュース号は大爆発の後、真っ二つになって撃沈された。
『豪快な一撃が決まったァァァァァッ!! 起死回生の切り札が唸りを上げた!! チームHERO、敵の切り札1隻を撃沈したぞォオォオ!!』
攻撃力4000を誇った制圧効果を持つカードがあっさりと撃沈された。
そのことに観客は大いに熱くなった。
ギークは憎らしそうにここのせを睨みつける。
『くそガキィィィ……!』
「へへっ! ……墓地の召喚魔術の効果発動! 墓地のこのカードをデッキに戻すことで、除外ゾーンの召喚士アレイスターを手札に加えることができる!」
墓地のカードを拾い上げ、デッキに戻すと除外ゾーンのカードが手札に舞い戻ってきた。
それを手札に加えるとここのせは顔を上げて宣言する。
「さぁいくぜ! 追撃のバトルフェイズ!」
ーバトルフェイズー
「いけ! エンタープラズニル! 第二次攻撃隊、全機発艦!!」
エンタープラズニル
攻:2900
再び攻撃隊が20機ほど甲板から発艦していく。
レシプロの音が響き、上空はここのせの支配下に置かれていた。
「攻撃開始!」
攻撃隊は一気に水面すれすれまで降下すると何発もの魚雷を発射した。
魚雷は一直線に黒い海賊船に進んでいく。
ギークは鋭い声で指示を出した。
『避けろ野郎ども! 取り舵一杯!!』
黒い海賊船に乗る赤髭の航海士が「アイアイサー!」と答え、舵をぐるぐると回す。
静寂のメルケ号は一気に回頭し進路を変えていく。
その横すれすれを魚雷が通り抜けていった。
海造賊-静寂のメルケ号
素材2→1
『なんとォオ!! 黒い海賊船は、全速力で魚雷を回避したぞォオォオ!! どうやらあの黒い海賊船には、自身のカードを破壊から守る効果を持っているようだァァァ!!』
外れた魚雷は遠くで爆発し、無意味な水柱を作る。
攻撃は外れた。
だがここのせは頭を振ってさらに指揮を執った。
「構うな! 数で勝負だ! メルカバー! 海賊船を攻撃!!」
召喚獣メルカバー
攻:2500
海造賊-静寂のメルケ号
守:2500→2400
海造賊-静寂のメルケ号は閃刀姫-シズクの永続効果により守備力がダウンしている。
メルカバ―は槍を振り回して突進する。
『避けろぉ! もどーせー!』
海造賊-静寂のメルケ号の乗員である赤髭の航海士が再び舵を回す。
進路を変更しメルカバーの槍をうまくかわす。
メルカバーの一撃は静寂のメルケ号の外装の一部だけを掠めていった。
海造賊-静寂のメルケ号
素材1→0
2度の攻撃を耐えきった黒い海賊船にここのせは苦い声を出した。
「しぶとい船だぜ……! だが装甲は剥ぎ取った! 行けシズク! 白髭の海賊に攻撃!」
閃刀姫-シズク
攻:1500
海造賊-白髭
守:900
閃刀姫-シズクは「エンゲージ!」と叫び、足に付けたジェットを噴射して敵に肉薄する。
そして手に持つ銃剣を構えてトリガーを引いた。
――ダダダダダッ!
機関砲のような銃声と共に海造賊-白髭の機関士は撃ち抜かれてガラスのように砕け散った。
『白髭がフィールドから墓地に送られたことで、効果発動ぉ! デッキからBluebeard, the Plunder Patroll Shipwrightを特殊召喚だぁ!」
青髭の海技士
守:1000→900 水 悪魔族 星4
新たなモンスターの登場にここのせは悔しそうにつぶやく。
「……くそ、攻め切れねぇか! 」
ーメインフェイズ2ー
フェイズが移行するもののできることはない。
「そのままエンドフェイズ!」
ーエンドフェイズー
「閃刀姫-シズクはリンク召喚に成功したターンのエンドフェイズ時に墓地に同名カードが存在しない閃刀魔法カードを手札に加えることができる! オレは閃刀起動-エンゲージを手札に加えるぜ!」
閃刀姫-シズクの身体が水色に光っていき、ここのせのデッキと呼応する。
デッキからは自動で選別されたカードが飛び出してきたのでここのせはそれを手札に加えた。
「これでターンエンドだ!」
能瀬 心
LP:4000
手札:4
マジックトラップ:
セットカード
フィールド:
幻子力空母エンタープラズニル
閃刀姫-シズク(右EXゾーン)
召喚獣メルカバー
ードローフェイズー
『黄色い子猿が! 調子乗んなよぉ! 俺様のターン!』
明らかに不機嫌そうな声を出してギークは乱暴にカードを引いた。
これで彼の手札は2枚
ースタンバイフェイズ→メインフェイズー
「……」
「……」
ギークはこちらをうかがうように見ている。
対するここのせも相手の動向を伺っていた。
(……どう出てくる……?こっちはメルカバーが睨みを効かせてる。ただ同時にあの黒船の砲口に狙われてる)
召喚獣メルカバーの制圧効果は誘発即時効果。
一方の黒船――海造賊-静寂のメルケ号もフリーチェーンでモンスターを除外する効果は現在、誘発即時効果になっている。
つまり先に効果を撃った方が逆順処理により沈められる。
メルカバーと違い、海造賊-静寂のメルケ号は効果を無効にすることはできない。
その分こちらが有利だろうが、手数で押し切られてしまえば元も子もない。
(マストカウンターを見誤れば撃ち抜かれるぜ)
そんなことを考えているとギークはカードを場に出した。
『……ジェネックス・ウンディーネを召喚だぁ!』
ジェネックス・ウンディーネ
攻:1200 水 水族 星3
『デッキから水属性モンスターを墓地に送り、ジェネックス・コントローラーをサーチする!』
「……!」
ここのせは逡巡した後、効果を見送る。
それを察したギークは止まらずにカードを操作した。
『デッキから金髪を墓地に送るぜぇ!』
デッキのカードをが墓地に送られ、さらにジェネックス・コントローラーのカードがギークの手札に加わる。
それからギークは海造賊-静寂のメルケ号に向けて指示を出した。
『野郎共! 火を焚け! Moerkの砲を古臭い戦車に向けろ!』
静寂のメルケ号の主砲がメルカバーを捉えた。
ここのせは顔を顰めつつ指示を出した。
「ッ! 迎え撃て、メルカバー! メルカバーの効果発動!発動したカードと同じ種類のカードを手札から墓地に送ることでその発動を無効にし、除外する!」
ここのせは手札のモンスターカードを墓地に送る。
するとメルカバーは砲が射出するよりも早く船の傍に取り付き光の槍で船体を貫いてしまった。
静寂のメルケ号は軋みを上げてブクブクと沈んでいった。
『黒船を戦車が撃破ァァァ!! 黒き海賊船、ここで撃沈!!』
会場に大きな拍手と歓声。
だがここのせは得意げにはなれない。
何故なら。
「……ッ」
「ふん」
ニヤッとギークが笑っているからだ。
(無効にされる前提できやがった……! 仕掛けてくるのか……!)
『まずはシップヤードの効果を使うぜぇ! 手札を1枚墓地に送り、Plunder Patrollカード、Blackeyesをサーチ!』
海造賊-拠点の効果により手札の海造賊カードを墓地に送ることでデッキの海造賊カードをサーチする。
そして今手札に加えたBlackeyes――海造賊-黒翼の水先人を人差し指と中指で挟み見せつける。
「こいつは、墓地のPlunderを手札に加えることで特殊召喚できる!墓地の白髭を手札に加え、特殊召喚だぁ!」
ギークは墓地のカードを拾い上げてモンスターを横向きして出す。
海造賊-黒翼の水先人
守:1000 水 悪魔族 星4
『見せてやるよぉ、海賊の恐ろしさをよぉ! ! Blackeyesとジェネックス・ウンディーネをリンクマーカーにセットぉ!』
↙︎Plunder Patroll + ↘︎ モンスター= LINK2
『リンク召喚!! 出番だぁ、Blackbeard, the Plunder Patroll Captain!!』
海造賊-キャプテン黒髭
攻:1600 水 悪魔族 LINK2 ↙︎↘︎(左EXゾーン)
「ひゃははははっ!!」
ひと際大柄で長い黒ひげを蓄えた海賊が酒樽を片手に大笑いしていた。
『サーキットから現れたのはァァァ!! 海賊たちのリーダー!! キャプテン黒髭だァァァァァァァァッ!!』
本命の登場とばかりに相手スタンド側は大声で歓喜している。
ここのせは思わず叫ぶ。
「キャプテンのお出ましか……!」
『キャプテンは、海で最も強い漢!! やつの声一つで海賊船は操られる!! 効果発動ぉ!』
海造賊-キャプテン黒髭は手を上げて指図していく。
『自軍モンスターを対象にフィールド、墓地に存在する属性をもつ海賊船を呼び出し、指定したモンスターを乗船させる! さらにカードを1枚ドローするぜぇ! 乗員にするのは青髭! てめぇだぁ!』
青髭が高く飛び上がると、高波がその場を浚う。
「……!」
『――野郎共!! 船に乗り込め!! 炎のように蹂躙し、全ての財を奪い取る!!』
荒れ狂う波に乗って新たな船がその場に現れた。
『燃え上がれ!! 出ろ、Plunder Patrollship Brann!!』
海造賊-豪速のブレンネ号
攻:2500→4000 炎 悪魔族 星8
現れた船の甲板には先ほど指定された青髭も乗り込んでおりここのせを見下していた。
『ブレンネ号の効果発動ぉ! 手札の海賊を墓地に送り、フィールドのマジック、トラップを1枚除外だぁ!』
ギークは手札の最後の1枚を墓地に捨てここのせのセットカードに指を立てる。
対するここのせはすぐさま発動ボタンを押し込んだ。
「トラップ発動!! 掃射特攻!!」
《掃射特攻》
永続罠
chain1 Plunder Patrollship Brann(海造賊-豪速のブレンネ号)
chain2 掃射特攻
「エンタープラズニルのエクシーズユニットを砲弾として装填! その白い海賊船を破壊するぜ!」
エンタープラズニルの右舷に装備された副砲が起動。
仰角を調整し狙いを定める。
「敵艦補足! 撃ちぃ方はじめ!!」
ここのせの号令に副砲が一気に弾丸を射撃する。
砲弾は一直線に海賊船に向かっていき豪速のブレンネ号に命中した。
爆炎を上げて豪速のブレンネ号が海の底へと沈んでいく。
だがタダでは死なず。
爆煙の中から砲弾が飛んできてエンタープラズニルの副砲に命中した。
エンタープラズニル自身に損傷はないものの発動中の掃射特攻が破壊された。
「ぐっ……!」
砲弾の撃ち合い。
まさに海戦。
ギークは舌打ちしつつ効果を処理していく。
『ちっ! だが効果は通っている! さらに追加効果で俺様はBlackeyesを手札に加えるぜぇ!』
消費したカードを補填するギーク。
そして次なる動きを見せた。
『さらに墓地に送った白髭の効果!! デッキから海賊を呼び込む!! 出やがれ、赤髭!!』
海造賊-赤髭の航海士
攻:1000→1500
『海賊は不死身だぁ!! テメェの全てを奪い尽くすまではなぁ!! Bootyの効果発動ぉ!』
《Plunder Patroll Booty》※海造賊-大航海
永続罠(発動中)
『テメェのオンボロ機を炎属性に変更し、さらに白髭を墓地から呼び戻す!』
閃刀姫-シズク
水属性→炎属性
閃刀姫-シズクがあっと声を上げて身体が炎に包まれる。
その隙にと言わんばかりにフィールドに海賊が降り立った。
海造賊-白髭の機関士
守:1000 水 悪魔族 星4
『さらに墓地のShipshape Ships Shippingを除外し、フィールドの白髭を対象に効果発動ぉ! デッキからEmblem of the Plunder Patrollを白髭に装備させるぜぇ!』
《海造賊-進水式》※Shipshape Ships Shipping
通常魔法
どこかのタイミングで手札から墓地に送られていたであろうカードが発動し、フィールドのモンスターにカードが装備された。
《海造賊-象徴》※Emblem of the Plunder Patroll
装備魔法
白髭の機関士は嬉しそうに「いぇー!」と叫んだ。
『エンブレムは船長の証!! このカードを墓地に送ることで、白髭を乗員に互いのフィールド・墓地のモンスターのどれかと同じ属性を持つ船をEXデッキから呼び出すことができる! さらに特別なバッジをもつ者が駆る船は500ポイント攻撃力が上がるぜぇ!』
「なんだと……!?」
『――閃光放つ翼を広げ! この世全てを制覇する!! さぁ船出の時だ! 乗り込め野郎共!! 』
海原が誘う。
大航海。
光の羽根を持つ船が浮上した。
『再び現れろ!! Plunder Patrollship Lys!!』
海造賊-双翼のリュース号
攻:2000→3500→3300 (シズク効果)光 悪魔族 星8
海造賊-キャプテン黒髭
攻:1600→2600→2400(シズク効果)
海造賊-赤髭の航海士
攻:1000→2000→1800(シズク効果)
フィールドに大量の海賊船と海賊が並ぶ。
ギークは大声でフェイズ移行を宣言した。
『バトルだぁ!!』
ーバトルフェイズー
『いけ! 赤髭ぇ!! あのオンボロ機を叩き落とせぇ!!』
海造賊-赤髭の航海士
攻:1800
懐から大きな銃を取り出し赤髭の航海士が乱射した。
「きゃあっ!?」
閃刀姫ーシズク
攻:1500
シズクは避けることができずに羽根が損傷。
ここのせのフィールドに墜落した。
「ぐあっ……!」
能瀬 心
LP:4000→3700
『追撃!! 黒髭ぇ! 古くせぇ戦車をぶっ壊せぇ!』
海造賊-キャプテン黒髭
攻:2600
ガシャンッと大きなショットガンを構えてぶっ放す。
強烈な弾丸がメルカバーの走行を破砕した。
召喚獣メルカバー
攻:2500
バラバラに砕け散り爆風がここのせを包み込んだ。
「ぐぅ……!?」
能瀬 心
LP:3700→3600
『さぁ行け!! Lys!! 目障りな空母を沈めろぉ!!』
海造賊-双翼のリュース号
攻:3500
双翼のリュース号から放たれた主砲弾はエンタープラズニルの装甲を貫通。
爆薬庫に被弾しエンタープラズニルは大きな爆炎を上げた。
エンタープラズニル
攻:2900
船体は真っ二つに折れ、空母が轟沈していく。
灼熱の噴煙がここのせを吹き飛ばしてしまった。
「ぐォォオッ!?」
能瀬 心
LP:3600→3000
『なんとなんとォオォオォオ!! 一時は盤面を翻したように見えたが、一瞬にして能瀬心のフィールドは全滅!! ライフポイントも先制攻撃を受けたァァァァァ!!』
これぞプロ。
これぞ8強。
待っていたと言わんばかりに観客は会場を揺らした。
ギークも腰に手を当てて大声で笑った。
『ひゃははははっ!! 素人のガキがぁ!! 思い知ったかぁ!! ターンエンド!!』
ーメインフェイズ2→エンドフェイズー
ギーク・ハワード
LP:4000
手札:1
マジックトラップ:
海造賊-大航海
海造賊-白髭の機関士
フィールド:
海造賊-キャプテン黒髭(左EX)
海造賊-赤髭の航海士
海造賊-双翼のリュース号(E:白髭)
ードローフェイズー
「くそったれ……! やってくれるじゃねぇか……! オレのターン!」
ここのせはフィールドを睨みつつカードを引き抜く。
ースタンバイフェイズー
フェイズが変わると同時にギークが声を上げる。
『この瞬間! 黒髭と赤髭の効果発動ぉ!!』
「なっ……!?」
chain1 海造賊-赤髭の航海士
chain2 海造賊-キャプテン黒髭
一気に2枚のカードが起動した。
『黒髭の効果! 自身を対象に、船を呼び出すぜぇ!!』
「くっ……」
『――船出の時だぁ、野郎共! 船に乗り込め!! 闇夜に紛れ、宝を根こそぎ奪い取れ!!』
幾度も聞いた口上。
だが慣れぬ焦燥感。
海を割って黒い海賊船が飛沫を上げていく。
『カモン!! Plunder Patrollship Moerk!!』
海造賊-静寂のメルケ号
守:2500→4000 闇 悪魔族 ランク4
装備カードとしてキャプテン黒髭が甲板に乗り腕を組んで高笑いしていた。
さらに効果処理後にギークはカードを1枚引く。
『そして赤髭の効果だぁ!』
海造賊-赤髭の航海士は相手フィールド・墓地のモンスターと同じ属性を持つ船をEXデッキから呼び出す効果を持つ。
ギークは怒号を上げてカードを振り上げた。
『――野郎共!! 船に乗り込め!! 炎のように蹂躙し、全ての財を奪い取る!!』
浮上するのは赤と白の縞々の帆を持つ海賊船。
『燃え上がれ!! 出ろ、Plunder Patrollship Brann!!』
海造賊-豪速のブレンネ号
攻:2500→4500 炎 悪魔族 星8
海造賊-双翼のリュース号
攻:2000→4500 光 悪魔族 星8
海造賊-静寂のメルケ号
攻:1000→3000 闇 悪魔族 ランク4
3隻の海賊船を前にここのせは一歩後退りしてしまう。
「……ッ!」
『はぁーはっはっはっ!』
フィールドに響き渡るギークの笑い声。
それを助長するようにマイクからMCの驚愕した声がする。
『あ、相手ターンに一気に展開!!! 2隻の船が突如現れたァァァァァ!! 今、フィールドは海賊に支配されてしまったぞォオォオォオォオ!!?』
[チームHERO側ベンチ]
「くっ……!」と良平はまるで自分がフィールドにいるかのように唇を噛む。
「展開力が想像以上だ……!」
「ここのせ……!!」
亜美は思わず名を呼んだ。
[デュエルフィールド]
「……」
フィールドではここのせが船の前で立ち尽くす。
それを見たギークはさらに愉快そうな声を出した。
『はははっ!! 声も出ねぇかぁ!? 黄色い猿!!』
[チームHERO側ベンチ]
大型モンスターに制圧されたフィールド。
デュエル経験の薄い生徒たちは弱気な声を上げていた。
「こ、攻撃力3000以上が3体も……」
「能瀬くんってデュエル強いのかなぁ……? これ逆転できるの??」
そんな声の最中、桃胡は「ふぅむ……」と考えるようなしぐさをして忠一に向けて言う。
「まるでアルマダの海戦だね」
言われて忠一は世界史の教科書の単語が頭を掠めた。
スペインの無敵艦隊がイギリスの元海賊が率いる艦隊に敗れた海戦のことだったか。
「……ここのせは無敵艦隊じゃないぞ」
「そうだね。……アルマダの海戦の勝因は神風によるものだったと言われているんだ。でも神風が吹くのは日本も同じさ」
「玉砕覚悟で突貫か?」
「まさか。チームHEROは奇跡のチーム。吹かせるさ、神風をね」
楽しみにしていると言わんばかりに桃胡は笑った。
[デュエルフィールド]
ーメインフェイズー
一方フィールドではフェイズが移行しここのせの行動を待つばかりになっていた。
ギークはここのせに対して怒号を上げる。
『何もできねぇならさっさとひっこめ!』
しかしここのせはにやりとした笑みを浮かべてギークの瞳を見返してやった。
海原がさざめき潮が香る。
「……はっ、慢心してっとひどい目に遭うぜ。海は何があるかわかんねぇんだからな」
『あ?』
「突然波が荒れることもありゃ、嵐にさらされることもある。となりゃ、バケモンに襲われることだってあらぁ!」
『何言ってんだジャップがよぉ』
吐き捨てるようにギークが言うのでここのせは痛烈に船の上を指さした。
「頭上注意ってことだ、海賊!」
ヒュゥゥゥゥゥン……。
何かが落ちてくる。
「??」
双翼のリュース号に乗る白髭の機関士が異変に気付き見上げる。
そしてワタワタと慌てふためいていた。
――グシャァァァァァァァァァッ
次の瞬間、白髭の機関士もろとも海造賊-双翼のリュース号は踏み潰された。
黄色い鱗の巨大な竜の足に。
「フシュゥゥウゥウッ………!」
雷撃壊獣サンダー・ザ・キング
攻:3300 光 雷族 星9
『What!?』
ギークは眉を吊り上げて声を出す。
モンスターは我が物顔で海上に降り立っている。
MCが目を見開いて声を張り上げた。
『突如!! 空から現れた怪獣により海賊船1隻が踏み潰されてしまったぞォオォオォオォオ!!?』
ギークは説明しろと言わんばかりにここのせを睨みつける。
ここのせはその目線を睨め返して言った。
「雷撃壊獣サンダー・ザ・キングは、相手フィールドのモンスター1体をリリースして相手フィールドに特殊召喚できる!!」
『チィィッ……!』
「さらに手札から閃刀起動-エンゲージを発動!」
《閃刀起動-エンゲージ》
通常魔法
カードが勢いよく裏返り表示された。
「デッキから閃刀カード――閃刀術式アフターバーナーを手札に加えるぜ! さらにオレの墓地に魔法カードが3枚あるとき、追加でカードをドローできる!」
追加効果でカードをさらに引き込むここのせ。
追撃するようにカードをスロットに差し込んでいく。
「今手札に加えたアフターバーナーを発動!」
《閃刀術式アフターバーナー》
通常魔法
「フィールドのモンスター1体を対象にし破壊する! さらにオレの墓地に魔法カードが3枚以上ある時、追加でマジック・トラップも1枚破壊できる!」
雲間から半透明の閃刀姫-レイが現れ、水面ギリギリを飛んでいく。
「白い海賊船を焼き尽くせ!全兵装フルバースト!!」
半透明の閃刀姫-レイは持てる限りのエネルギーを手に持つ刀に装填し豪速のブレンネ号に叩き込む。
豪速のブレンネ号は一溜まりもなく真っ二つに切り裂かれ轟沈していく。
まだ攻撃は終わらない。
「機体反転! 攻撃目標は、黒い海賊船の乗員だ!」
半透明の閃刀姫-レイはそのまま宙返りすると静寂のメルケ号の乗員である赤髭の航海士を小銃で撃ち抜いていく。
「ooh!!」
赤髭の航海士は全身をハチの巣にされて海へと落下していった。
『グググ……!』
ギークは歯を食いしばって顔を真っ赤にした。
一瞬の隙をついた反撃に意表を突かれた形となった。
ここのせはニヒルな笑みを浮かべて海賊を見た。
「乗員を失った海賊船は砲撃できねぇ! 制海権、きっちり取り戻させてもらったぜ!」
『チィッ!』
「宵星の騎士ギルスを召喚!」
残っている召喚権を行使しここのせはカードを呼び出す。
宵星の騎士ギルス
攻:1800 闇 機械族 星4
「宵星の騎士ギルスの効果発動! 自分フィールドに他のモンスターが存在しない場合、お互いのフィールドに星遺物トークンを守備表示で特殊召喚するぜ!」
ここのせフィールド:
星遺物トークン
守:0 闇 機械族 星1
フィールド中央に呼び出す。
ギークフィールド:
星遺物トークン
守:0 闇 機械族 星1
発動していた永続罠カードの前に呼び出される。
「今呼び出した星遺物トークンとお前の発動中の永続罠カードで縦列2枚! 来い! 黄華の機界騎士!」
黄華の機界騎士
守:2800 光 サイキック族 星7
「黄華の機界騎士と星遺物トークンの2体をリンクマーカーにセット! 召喚条件は、モンスター2体!」
←モンスター + ↙︎ モンスター =LINK2
星の煌めきが新たなモンスターへの路となっていく。
現れたのは星の剣士。
「リンク召喚! 来い! 星鍵士リイブ!」
星鍵士リイブ
攻:2000 光 サイバース族 LINK2←↙︎(右EXゾーン)
「星の力を呼び起こす! リイブの効果発動! デッキから星遺物マジック・トラップをセット!」
星鍵士リイブが星の鍵剣を掲げるとここのせの足元にカードが裏側で浮き上がった。
ここのせは素早くそのカードを発動させる。
「そして発動!! 星遺物を継ぐ者!」
《星遺物を継ぐ者》
通常魔法
「リイブのリンク先に墓地のモンスターを復活させる! 出てこい! 星遺物の守護龍メロダーク!!」
「グギァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
星遺物の守護龍メロダーク
攻:2600 風 ドラゴン族 星9
「さらに墓地の星遺物-星杯を除外して効果発動!」
《星遺物-星杯》
効果モンスター
稲妻を走らせて半透明の星遺物-星杯が青い光を輝かせた。
ギークは唾を飛ばして声を上げる。
『墓地からだと……!? いつの間に……!』
言いかけて、ここのせの行動を思い出す。
手札のジャックナイツまたは星遺物カードを墓地に送って発動した明星の機械騎士の発動コスト。
『あの時か……!』
「星遺物-星杯は自身を除外することでデッキから星遺物カードを手札に加えることができる! オレが手札に加えるのは、星遺物の胎導!」
『チッ……!』
「そのまま発動!」
《星遺物の胎導》
速攻魔法
星の力が蠢いて更なる力を呼び覚ます。
ここのせはメロダークを指さした。
「フィールドのメロダークを対象に、デッキからレベル9モンスターを呼び出す! こい! 巨大戦艦ブラスターキャノンコア、夢幻転星イドリース!」
巨大戦艦ブラスターキャノンコア
守:3000 地 機械族 星9
夢幻転星イドリース
守:2100 闇 天使族 星9
現れたモンスターたちを横目にここのせは腕を薙ぎ払う。
「レベル9のブラスターキャノンコアとイドリースの2体でオーバーレイ!」
☆9×☆9=★9
「――星の開拓! 人理の力は大地を砕く! 」
オーバーレイネットワークがバチバチと漏電し、漆黒の路が浮き上がる。
しかして聞こえるは無限軌道が地面を踏み抜く轟音。
「エクシーズ召喚! 起き上がれ! 無限起動アース・シェイカー!」
無限起動アース・シェイカー
攻:3100 地 機械族 ランク9
モーターと油圧が唸るような音を張り上げて超巨大削岩機がここのせを守るようにクレーンを振り上げた。
『第二切り札がフィールドに現れたァァァァァァ!! 巨大な削岩機だァァァァァァァァァ!!』
「まだだ! 手札からマジックカード、死者蘇生を発動!」
《死者蘇生》
通常魔法
「お前の墓地の白髭をオレのフィールドに特殊召喚!」
海造賊-白髭の機関士
守:1000 水 悪魔族 星4
「レベル4のギルスと白髭でオーバーレイ!」
☆4×☆4=★4
「――四方を護し真金の城よ! 暁の水平線に勝利を刻め!!」
海神が呼ぶ。
鉄の城。
海を割る大きな錨。
「エクシーズ召喚! 抜錨だ! No.27 弩級戦艦ドレッドノイド!!」
No.27弩級戦艦ドレッドノイド
攻:2200 水 機械族 ランク4
大きな汽笛を吹き上げて、弩級戦艦はここのせの前に現れた。
ここのせのフェイバリットモンスター。
『ど、怒涛の大量展開!! 先程まで海賊が支配していたフィールドがあっという間に取り返されてしまったぞォオォオォオッ!!??』
――ワァァァァァァァ!
予想外の展開に会場は狂ったような熱気に湧き上がる。
どうなるのか。
どうなるのか。
誰もが無駄口をたたかずに見守っていた。
[チームHERO側ベンチ]
一方、味方ベンチでは亜美が大きく拳を握って声を上げていた。
「やるじゃない、ここのせ!!」
良平も闘牙を見せて言う。
「新しい星遺物の力がここのせをさらに強くしたのか……!」
[デュエルフィールド]
『グググ……ジャップがァァァ!!』
目の前の出来事にギークはこめかみに血管を浮かび上がらせて叫んだ。
さっきまでフィールドには己の海賊船団は支配していたにも関わらず、今や壊滅状態。
対するここのせのフィールドには圧倒的な戦力が並んでいる。
「アースシェイカーの効果発動! エクシーズユニットを2つ使って、その枚数分フィールドのカードを破壊するぜ! 海賊の拠点とサンダー・ザ・キングを破壊!」
アースシェイカーが削岩機を地面に突き立て、大きな地響きを起こす。
地面に大きな亀裂が入り、地割れがカードに襲い掛かった。
海造賊-拠点は完全に破壊され、サンダー・ザ・キングも粉々に破壊された。
『ぐぅっ……!?』
「さぁいくぜ! バトルフェイズ!」
ーバトルフェイズー
「お前の船は、拠点を失ったことで攻撃力がダウンしてるはずだ! さらにメロダークはフィールドのドラゴンの数だけ相手のモンスターの攻撃力を500ダウンさせる! 今お前の船はオレの艦の射程内に入ってるぜ!」
No.27弩級戦艦ドレッドノイド
攻:2200
海造賊-静寂のメルケ号
攻:1000→500
『ファック!』
ギークは苛立たしさを隠しもせずに地面を蹴る。
しかしここのせは容赦せずに右手を差し向けた。
「ドレッドノイド! 全主砲を敵艦に向けろ! 目標は黒い海賊船!」
「・- ・ -・・- ・-・・ ・---・ ・-・--」
ドレッドノイドは返事するように打電音を上げると甲板中央に配備されている連装砲を回転させた。
仰角を合わせてターゲティングを海造賊-静寂のメルケ号に定める。
「敵艦補足! 30.5センチ砲、撃ちィ方はじめ!」
連装砲が炎を吐き、徹甲弾が射撃される。
白煙を引き連れて主砲弾は静寂のメルケ号の左舷に命中。
船体を大きく揺るがせた後に大爆発を引き起こさせた。
『ォォォォォォォオォオォオッ!!?』
ギーク・ハワード
LP:4000→2300
「っしゃあ! 追撃! 行け、リイブ! 星遺物トークンに攻撃!」
星鍵士リイブ
攻:2000
星遺物トークン
守:0
星鍵士リイブの鍵剣はここのせの用意したトークンをいとも簡単に切り伏せてしまった。
ガラスのように散った破片を全身に浴びながらギークは苦し紛れに声を荒げる。
『ぐぅ……! クソが、こんなジャップ風情に俺様がァァァ……!! 』
「これで丸裸だぜ、海賊さん! トドメだ! メロダークでプレイヤーにダイレクトアタック!」
『チッ……! ……ワイオミング、ヘッドルーム、ミッドナイト……』
ここのせの攻撃指令に対し、ギークはぼそぼそと意味不明な単語を並べた。
(?? 何言ってやがんだ?)
一瞬、翻訳機の誤作動を疑った。
しかし恵が作ったものがそう簡単におかしくなるとは思えない。
訝しんでいるとここのせのデュエルディスクから異音がした。
――ビビッ……
[チームHERO側ベンチ]
「……!」
ベンチでフィールドを見つめていた恵が雷に打たれたかのようにピクンと身体を跳ねさせた。
[デュエルフィールド]
デュエルフィールドはやけに静かだ。
ここのせは違和感を覚え、自軍フィールドを見直す。
「あれ?」
すると。
星遺物の守護龍メロダークが「フシュルルル……」と息をついてその場に留まっていた。
確かに攻撃を宣言したはずだ。
相手のフィールドにも何もない。
ここのせは眉を潜めてメロダークに問いかけた。
「な、なんで攻撃しないんだ……!?」
だがソリッドビジョンが答えるはずもない。
ざわざわと会場が困惑するのが分かった。
『……』
ただ一人。
ギーク・ハワードだけがニヤリと黒ずんだ笑みを浮かべていた。
■海造賊について
本作は書き溜めたものに後から地の文を加筆修正してアップしています。
このパートは2022年1月4日に書いたので2022年10月15日に発売されたPHOTON HYPERMOVAに収録された《海造賊-荘重のヨルズ号》は登場しません。
悪しからず……。