遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

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遅くなり申し訳ございません!

注意:
※kozumoも米版しかない設定ですが、英語表記するとただでさえ遅いのがさらに遅延するため日本語表示します。
※『』でかこまれたところはMCが喋ってるor英語で話してると思ってください!


第36話「WSC本戦第4回戦 晴れない空」前編

 

[ネオ童実野シティメモリアルスタジアム外 観客通路出口」

 

手洗いに立った客や荷物を搬入しているスタッフ。

今まさにホットドッグを買ってもらった子供にその親。

そんな人混みを切り裂くように男達が走っていた。

 

「Fuck!!」

 

「Don't follow me Jap!」

 

前を行く白人2人が走りながら後ろに向けて叫んだ。

後ろを走る良平は知りうる単語で応答する。

 

「フリーズ!」

 

しかし止まることはない。

良平はどうしたものかと考えたが、今はとにかく奴らを見失わないことに終始していた。

ついにスタジアム外周まで着くと男の片割れが急に振り向き足を止める。

 

「ッ! I'll kill you!!」

 

「ッ!!」

 

思わず良平も足を止めて応対する。

背丈はゆうに180は超えているだろう。

当然ガタイは比べるまでもない。

そのうちにもう一人は止まることなく走っていった。

 

「あっ……!」

 

良平は目の端にその背中を捉え、思わず足を一歩踏み出す。

しかし目の前の男は「Freeze!」と大声をあげて黒い何かをこちらに差し向けた。

最初は何かわからなかった。

日本にあるはずがないと心のどこかで思っていたものーー拳銃だった。

 

「なっ……!? う、うそだろ……」

 

「Don't do any more follow me! If you don't want to die」

 

「……!」

 

いくら英語に不慣れな良平でも相手が何を言っているかすぐに理解できた。

その傍からエンジン音がしたかと思うと大きなバイクーー否、Dホイールが止まる。

 

「Haha!」

 

先程逃げていった片割れがDホイールに乗って戻ってきたらしい。

勝ち誇ったように男は拳銃をしまいDホイールの後部に跨る。

 

「Good b……」

 

言いかけた、その瞬間。

影から人の身体ーー足が伸びてきて顔面を捉えた。

男の顔が突如ひしゃげ、大きく吹き飛ばされていく。

 

「ガァァァァッ!?」

 

クルクルと拳銃が宙を舞い良平の足元に転がってきた。

男は地面に伏せながら顔を抑え悶絶している。

横にはいつの間にか青い制服を着た少女が立っていて、男の顔を踏みつけていた。

 

「えっ……?」

 

不意のことに良平が目を丸くしていると、少女は長く綺麗な黒髪を靡かせて言った。

 

「フンッ、口ほどにもないナ」

 

少女の顔を見て良平は目を見開いた。

何故ならよく知る顔、チームツンドラの少女ーーー金 唯信だったからだ。

 

「き、金……!?」

 

「そこを動くなヨ日和田良平ェ」

 

言うが早いか唯信は悶絶している男の腹を蹴り上げて転がすと腕を捻り上げて男は無力化してしまう。

 

「Noooooooooo!!?」

 

「今だ!捕まえろ!」

 

そんな声がしたかと思うとスーツを着た男たちが一斉に駆け寄り取り押さえた。

Dホイールのハンドルを握っていた片割れは「ヒッ……」と声をあげると慌ててDホイールのスロットルを回す。

甲高い音を立てて走り去っていく。

 

「くそ! 待てっ……!」

 

良平が悔し紛れに声をあげて駆け出そうと足を踏み出す。

すると不意に再び高いエンジン音の唸りが聞こえた。

 

「STOP! planeボーイ!」

 

少女の声だけ。

良平の隣に白いスポーティなDホイールが止まる。

ライダーが白いヘルメットを外すと金色の長髪が靡いた。

 

「ふぅ……!」

 

「き、君は……!?」

 

「Hi! お困りのようネ!」

 

Dホイーラーの少女ーーー神川 ノエル 美優はパチンッと指を鳴らし、その人差し指を向ける

良平は目を見開いて言葉を漏らした。

 

「神川……!?」

 

「貴方に会うのは久しぶりネ!」

 

「ど、どうしてチームツンドラが……!?」

 

「ちょっとヤボヨーってやつ! 詳しくは後! ワタシたちも目的は同じ! だから貸し一つで許してあげるワ! 乗って!」

 

「え……、た、たのむ!」

 

状況を無理矢理飲み込んで良平は美優のDホイールの後部に跨った。

美優はさっさとスペアヘルメットを取り出し良平の頭に被せる。

白くてスポーティなデザインで側面には企業名がついていた。

 

「これ被って!」

 

「い、痛っ……!」

 

「hurry hurry!!」

 

「わ、わかってる!」

 

カポッとヘルメットの縁が耳に当たる。

と同時に美優が手元のスロットルを一気に回した。

頭が置いていかれるような衝撃と共にDホイールは爆進していく。

道行く車を追い抜き、前方を走る黒いDホイールを追走する。

目にはもう随分と小さく映っている。

 

「か、神川!! だいぶ離されたぞ! 追いつけるか!?」

 

「Dont worry!! とっておき、使うワ!! 捕まって!!」

 

「とっておきって!?」

 

風に負けぬように声を張り上げる。

だが美優の返答はない。

代わりと言わんばかりに大袈裟にボタンを押してみせた。

 

「ーーーースピード・ワールド2!! セットオン!!」

 

《スピード・ワールド2》

フィールド魔法(除去不可)

 

発動と同時にDホイールを中心に波紋が広がる。

徐々に現実が分解されるようにエフェクトが構成されていった。

Dホイールモニターが「最適ルートをセントラルに申請、オーソリゼーション」と機械音を流す。

 

前方を走る外国人Dホイールモニターも例外ではない。

Dホイールについたデュエルディスクが強制展開され、モニターには「speed World2 Activate」の文字。

 

「What!?」

 

街中の道路では地面から迫り出した回転灯が光り、自動音声が流れていた。

 

「デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。一般車両は退避して下さい。デュエルが開始されます」

 

道を走る車は次々と車線変更し横に退けていく。

美優は口角をあげると足元のクラッチを踏み込んでギアをあげた。

そして一気にエンジンを蒸すと法定速度をゆうに超えた速度で走り抜けていく。

 

「と、とっておきってこれのことかよ!!」

 

「Yes!! 行くわヨ!! ライディングデュエル!! アクセラレーション!!」

 

 

 

寝る前決闘空間第36話

『晴れない空』

 

 

[一方その頃、ネオ童実野シティメモリアルスタジアム デュエルフィールド]

 

 

会場からは大きな歓声が上がっていた。

電光掲示板にはTEAM Bandit vs TEAM HEROの文字。

そのTEAM HEROの下には黒丸が記されていた。

 

 

『決まったァァァァァァァァァァァァァァァッ!!! 途中様々なトラブルに見舞われながらも、チームHERO、見事1勝を勝ち取ったァァァァァァァァ!!!』

 

 

No.81超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラの砲身からは煙が上がっている。

横には軍艦と艦載機ーー幻子力空母エンタープラズニルと閃刀姫-カガリが佇んでいた。

 

モンスターの前方には何も守るものなく、ただ立ち尽くすギーク・ハワードの姿がある。

 

「ぐっ……グググっ……!!」

 

ギーク・ハワード

LP:0

 

対するデュエリストーー能瀬 心は精悍な顔付きでギークを指差した。

 

「勝負ありだぜ、海賊!」

 

能瀬 心

LP:3000

 

完膚なきまでの差。

彼我の状況は火を見るより明らかであった。

しかしギークは顔を燃やさんばかりに赤くして唾を飛ばしながら叫ぶ。

 

「グゥゥッ!! このデュエルは無効だァァァ!!」

 

「な、なに!?」

 

「あのガキはイカサマをしている!! じゃなきゃ俺様が負けるわけねぇだろうがァァァ!!」

 

「なっ!? い、イカサマしてんのはお前だろうが!」

 

「うるせぇ!!」

 

ギークはここのせを睨みつけ、一才引く素振りをみせない。

会場はそんな姿にどよめいてる。

思わず亜美はベンチを飛び出して叫び返していた。

 

「こらぁぁぁぁ!! アンタねぇぇ!! 潔く負けを認めなさぁぁぁい!!」

 

「ぐ、黙れクソガキィィ!!」

 

亜美の言葉にすらギークは地面を足蹴にしながらわいめいている。

会場は困惑のひそめきが溢れていて、司会も眉を八の字にしつつ言葉を漏らした。

 

『デュエルディスクには不正防止機能がついており、大会運営チームが全チームのディスクチェックを行っている!! 不正することはできないはずだが……?』

 

未だ消えぬざわつき。

まるで会場全体が渚のようである。

そんな最中を切り裂くように通用口から二人の人影が歩いてきた。

男と女ーー否、少女だ。

男の方は大柄で紫色に装飾がついたジャケットを来ている。

隣の少女は肩口くらいのショートカットで目元には黒縁の眼鏡が掛けられていて。

何より青く誇り高いブレザーの制服を着こなしていた。

彼女は右手を上げて声を出す。

 

「タイムアウト願います」

 

『おっとォオ……?』

 

困惑したMCの声にここのせは振り返る。

 

「ん……? あれは……?」

 

 

[チームHERO側ベンチ]

 

「え!?」

 

声を上げたのはゆき。

やや顔を亜美に寄せて二の句を紡ぐ。

 

「あ、あれって……林原麗華さん、ですよね……? チームツンドラの……」

 

「……どうしてあの子が?」

 

「それに隣の男性は……?」

 

「ーーーうふふ、あれはね」

 

不意に聞こえた声は亜美でもゆきでもない。

凛と鈴の鳴るような声で己の美貌を知り尽くしたような声だった。

亜美が勢いよく振り向くとベンチに座る青い制服が目に入った。

白く長い足を組んで、形の良いふとももが僅かに上がったスカートからのぞいている。

髪はやや染めているのか紫色で両側で止めていた。

少女ーー藤原雪乃は妖艶な笑みを浮かべて亜美を見る。

 

「私たちデュエルアカデミアの理事長ーー林原漠理事長よ」

 

[デュエルフィールド]

 

現れた二人に会場の雑音はさらに増していた。

しかしーーアカデミア理事長らしい林原漠という男は無表情のままジロリとギークを見ていた。

口を開くのはその隣の麗華である。

片手に仰々しい印鑑が押された証明書を持って。

 

「公正デュエル委員会代表としてデュエルの一時中断を要請します」

 

MCの男はタタラを踏んで言葉を漏らす。

 

『こ、公正デュエル委員会……!しかし、一度始まったデュエルを中断するわけには……』

 

「逆らうのか」

 

『ッ……』

 

理事長の重く低い言葉にMCの男は固唾を飲み込んでしまった。

一瞬の沈黙の後、麗華がさらに付け加えた。

 

「このデュエルにおいて不正行為を確認しました。WSCにおいて不正行為を許すわけにはいきません。それとも、不正行為を容認しますか? その場合は、公正デュエル規定の第十二条に抵触することになりますよ」

 

『うっ……し、仕方ない! ご来場の皆様! ただいま、公正デュエル委員会より指示がありましたため、デュエルを一時中断します!!』

 

マイクを張り上げてMCが宣言するとバックモニターはすぐに広告を流し始めた。

だが観客は誰も見ておらず、相変わらず注目はフィールドが集めている。

 

 

[チームHERO側ベンチ]

 

一方、チームHERO側ベンチ。

現れた雪乃に亜美は思わず口を開けてしまう。

 

「あ、アンタ、雪乃!?」

 

「ふふ、久しぶりね。祭乃木さん、間宮さん、それと恵ちゃん」

 

「……」

 

一人だけちゃん付けなのを特に指摘もせず恵はまっすぐ雪乃を見ていた。

亜美はというと腕を組んでベンチに座る雪乃に顔を近づける。

 

「なんでここにいんのよ?」

 

「お仕事よ。WSCのね」

 

「お仕事って……。アンタらアタシたちと同じ高校生でしょ」

 

「あら、ストックホルムまで送ってあげたじゃない。あれと同じよ」

 

口元に手を当てて雪乃はクスクスと笑う。

あの大きな船に乗って北欧へ向かった日、確かにチームツンドラは身の回りの世話をしてくれたことを思い出す。

それからゆきは首を傾げて雪乃に問う。

 

「あ、あの! デュエルアカデミアの理事長さんがどうして私たちの試合に……?」

 

「不正を取締りにきたのよ、デュエルアカデミアの……いや公正デュエル委員会の理事長として、ね」

 

[デュエルフィールド]

 

理事長―-林原獏という男はしかめ面で、まるでバクのように皺が入った顔の大男だった。

 

「……」

【デュエルアカデミア理事長兼 公正デュエル委員会理事長 林原 獏】

 

理事長は一言も話さず、ただギークを無感情な目で見据えているだけ。

代わりに麗華が英語を話した。

 

『ギーク・ハワード。貴方は公正デュエル規定に抵触する行為を行っている。同行してください』

 

『あぁ? なんだこの女ァ、舐めてるとぶっ殺すぞ!!』

 

麗華の警告にギークは眉間に皺を寄せ、拳を麗華の眼前で揺らす。

そんな中にたまらずベンチからチームBanditのメンバーが飛び出してきた。

男―-ルナキン・スコットと女--サクラ・テイラー・ミドルがそれぞれ口をはさむ。

 

『これは一体なんの騒ぎだい! その制服はデュエルアカデミアだろう? 何故そんなジャッジのような真似をしているんだ?』

 

『私たちが不正をしてると言ったわね? 冗談でしょ?』

 

不正という言葉は、会場にも一瞬にして広がっていく。

同時にざわめきも波紋のように伝染していった。

麗華は目を合わせないようにしているのか眼鏡を抑えつつ、やや下を向きながら話す。

 

「公正デュエル委員会はギーク・ハワードの不正行為を確認しました。この試合は無効となり、チームBanditは失格となります」

 

『そんな!!』

 

サクラは力が抜けたのようにうなだれてしまった。

そこから離れた場所でここのせは所在なさげに立っていて、頭の後ろを掻いている。

チームHERO側もベンチメンバー全員がフィールドへと歩いてきて傍に立つ。

亜美は困惑しているここのせに声をかけた。

 

「……とりあえずお疲れ様。やるじゃない!」

 

「へへっ、まだまだこれからだぜ! ……それより、なんでぇこりゃ。向こうはごちゃごちゃしてっけどよ」

 

「雪乃が説明してくれるわ」

 

後ろを親指で指し示すと、雪乃は亜美の背中から後ろ手を組んで前かがみにここのせを見た。

 

「はぁいボウヤ」

 

「お前はツンドラの……」

 

「公正デュエル委員会からのお達しよ。簡単に言うとこのデュエルでチームBandit側の不正行為を確認したから無効試合になるわ」

 

「不正……。お前らが言ったのか?」

 

ちらと亜美の顔を見たが、彼女はゆるりと首を振った。

 

「違うわよ」

 

「あら? 不正には気付いていたのかしら? どうやって?」

 

雪乃の言葉にここのせは目線でさらに隣の恵を見る。

 

「……」

 

恵は整いすぎている綺麗な両目をまっすぐにここのせに向けていた。

とはいえ恵がジャミングしてくれた、などと言えるはずもない。

ここのせは雪乃に向き直ると大仰に肩をすくめた。

 

「……バトルフェイズが飛ばされたんだ。嫌でも気づくぜ。そんで、これからどうなるんだ」

 

「チームBanditは失格。貴方たちの不戦勝よ」

 

あっさりと雪乃は言った。

 

「ふ、不戦勝、ですかぁ」とゆきは拍子抜けした声を出す。

不戦勝自体は初めての経験ではない。

地方予選でも相手チームがデッキ内に不正なカードを積み込んだとして試合前に失格となっていた。

その時は相手の顔も素性も一切知らなかったが、今回はすでに対戦が始まった後のことだ。

ここのせは眉を潜めると両手を頭の後ろで組む。

 

「……なんか煮え切らねぇな」

 

「そうかしら? 災難だったとは思うけれど、不戦勝はラッキーとも言えるのじゃないかしら?」

 

「それが煮え切らねぇってんだ。勝って気持ちよく先に進むのが正道だろ」

 

カードとカードの競り合いで勝ちを掴んでこそ決闘だ、とここのせは付け加えた。

亜美も深く頷いて、雪乃をジト目で見る。

 

「そうね。だいたい不正を確認って……それなら早く言いなさいってーの」

 

「それはお姉さんに言われても困るわぁ。私たちだって上から頼まれてこういう役目をやらされてるだけなのよ?あの人たちがどんな不正をしたのかも知らないんだから」

 

雪乃の言葉に亜美は片眉を上げて溜息をつく。

そんなやり取りを尻目に向こうからは怒鳴り声が聞こえてきて、ゆきが肩を跳ねさせた。

 

「―-I don't believe it!! Geek! Explain it!!」

 

「ひっ……」

 

怒号とも取れる声だ。

全て英語でやり取りしているので内容はよく聞き取れないが、どんな言語だろうと穏やかな会話ではないことだけは明らかだ。

ここのせは腕を組みなおして言う。

 

「あっちは揉めてんな」

 

「ここのせ、ちょっとそれ貸して」

 

亜美はここのせの耳についている翻訳機を取り、耳に当てた。

すると先ほどまで何を言っているかわからなかった言葉が自然に翻訳されて届く。

 

『納得できない!! ギーク!! どういうことだ!! 説明しろ!!』

 

『チッ……』

 

舌打ちしつつギークはチラと理事長を盗み見る。

変わらず無表情に冷たい目をむけていた。

ギークは肩をすくめると大袈裟に声を出す。

 

『あぁ、あぁ! バレちゃあ仕方ねぇなぁ! ああ、そうだ! イカサマしてるぜ! それの何が悪ぃんだ、あぁ? 見抜けねぇバカが悪いだろうがよぉ』

 

『何故そんな卑怯な手を!!』

 

『あぁ? 金に決まってんだろバカが。デュエルはな、勝ちゃいいんだよ』

 

『!!』

 

『なっ……!』

 

『だが、てめぇらも美味しい蜜を吸ってただろうが。勝ち上がれて嬉しかったろ? 』

 

『なに……?』

 

『それともてめぇら、本当に実力で勝ち上がったと思ってんのか? はは! おめでたい連中だ!』

 

『ま、まさか……!』

 

『そうだ! チームBanditの勝利はこれまでぜぇぇんぶ、イカサマよ! じゃなきゃテメぇらみたいな三流が勝てるわけねぇだろうが! 俺様のおかげでここまでこれたんだからよ、感謝しろよ』

 

『き、貴様ァァ!!』

 

ルナキンは激昂しギークに掴みかかる。

だがギークは相手にもしていないように飄々としていた。

 

『そんな……嘘よ……! ワタシたちの栄誉が全てイカサマによるものだったなんて……』

 

サクラという女性はその場にへたり込んでしまう。

会場の騒めきは鳴り止まず、空虚な広告の音だけが威勢よく流れていた。

 

「ギーク・ハワード。事情聴取を行いますので、ご同行願います」

 

麗華が言うと後ろから黒服の男たちがゾロゾロと出てきてギークの両端を取り囲む。

だがギークは先程までの荒々しい態度を潜めて抵抗もせずに歩いていった。

 

『ケッ。勝手にしやがれ』

 

後には茫然と立ち尽くすルナキンとへたり込むサクラだけが残されていた。

 

『くそ……!!』

 

『ううっ……』

 

亜美は傍目から二人の様子を見守るしかなく、拳を握りしめた。

MCもどうしていいかわからないとマイクを持ったまま一言も喋れずにいる。

やがて理事長は冷たい目のまま踵を返してしまった。

残った麗華はMCの方に向いて眼鏡のブリッジを抑える。

 

「このデュエルは無効となり、チームHEROの勝利となります。勝利宣言をーー」

 

「待ちなさい」

 

麗華の言葉を亜美が遮った。

 

「? 祭乃木さん?」

 

亜美はそのまま力なくその場に残るチームBanditの側まで歩く。

 

「……アンタたち」

 

『っ!』

 

『……?』

 

「……日本語じゃ伝わらないかしら。……恵!」

 

「……ん……」

 

軽く後ろを振り向き亜美が呼ぶと恵も亜美の横まで歩いていく。

ルナキンという男は気まずそうに顔を顰めて目を逸らした。

へたり込んでいたサクラは涙を浮かべたままふらりと立ち上がって亜美を見た。

 

「Ah、ワタシ、ニホンゴ、スコシ、デキルます」

 

「……そう」

 

答えると亜美はちらと横の恵に目配せした。

恵は頷くと一歩下がり様子見る。

その後亜美は両手を腰に当てて声を出した。

 

「じゃあ聞くわ。アンタたちは、あいつのイカサマを知らなかったの?」

 

「ハイ……。シリマセン、でした。ワタシ、チカラで勝ったとオモテました。I can't believe……」

 

「そっちのアンタはどうなの?」

 

やや顔を斜めにして亜美がルナキンに聞くと、サクラが気を効かせて翻訳してくれた。

 

「She said Did you know?」

 

『私も知らなかった! まさか、あの男があんなデュエリストの風上にもおけないやつだったなんて!』

 

「Ah……カレも……」とサクラがルナキンの言葉を約そうとしたので亜美は首を振る。

 

「大丈夫よ。聞こえてるわ。……じゃあ、アンタたち自身はイカサマしてないってことね?」

 

「yes! カミに誓ッテ約束シマス! But Ah……We'll take one's lumps……。キット、ワタシタチ、二度とデュエルデキナイにナルデショウ……」

 

『Shit……!』

 

「……」

 

デュエルにおいて不正行為は重罪だ。

そして最大の不名誉でもある。

観客席からは「おい、聞いたかよ……」「イカサマだって……」「 I'm disappointed……!」と次々とネガティブな感情が伝わってくる。

 

「コノ デュエルノ 敗北を ウケイレマス……。ワタシタチはバツを受ケナクテはイケマセン……」

 

「……アンタたちはそれでいいの?」

 

「ヨクアリません! ……デモ、シカタナイ デス……。ワタシタチはダマサレテマシタ……。But.それはイイワケデス……」

 

『なんてことだ……。不正行為で退場なんて……!我々は……』

 

がくりとルナキンは両手を膝について言葉を漏らす。

亜美はそんな二人を見据えて黙り込んでしまった。

それはチームメンバーも同じだ。

沸々と様々な感情が浮かんでくる。

 

(……このまま見過ごせば、アタシたちの勝ちになる。でも、そんなのでいいの?)

 

デュエルで人を救う。

そんな部活を作りたい。

だからヒーロー部はここにある。

 

(もしあの人たちが、このまま失格になったら、きっともう二度とデュエルなんかできなくなる)

 

デュエルで人が傷付いている。

 

(……そんなのいいの? ……いいや、このままでいいわけない!)

 

間違えているかもしれない。

でも今はこれが正しいと信じて振り向く。

 

「……みんな」

 

「は、はい……」とゆきが少し驚いたような顔をする。

 

「どうした?」

 

「……?」

 

ここのせも恵もただ首を傾げるのみ。

そんな部員たちに亜美は顔の前でパンッと手を合わせて謝った。

 

「ごめん、アタシの独断を許して!」

 

「え……?」

 

「麗華!」と亜美は再び前を向いて麗華を見つめた。

麗華は不思議そうに答える。

 

「なんですか? 祭乃木さん」

 

「アタシ達はデュエルを続けるわ!」

 

「なっ……!? あ、貴女たちの勝利になるのですよ!? デュエルの続行など無意味です!」

 

「意味ならあるわ! 勝利は自分たちの手で勝ち取ってこそ意味があるのよ!」

 

「し、しかし、彼らは不正行為を行ないました! それを容認するのですか!?」

 

「イカサマしたやつなら、ウチのここのせがきっちり仕留めてくれたわ! アイツはもういないんだし、続けても問題ないわよ」

 

「し、しかし……!」

 

「ここのせ! 恵! ゆき! 問題ないわね!?」

 

首だけ振り返り亜美の真っ直ぐな目線を受ける部員たち。

意図を汲み取ってか全員が頷いた。

 

「おうさ、元々そのつもりだぜ!」

 

「……ん……」

 

「は、はい……!」

 

「アンタたち!」と今度は残されたチームBanditの二人を見る。

 

「デュエル、続けるわよ」

 

「デ、デモ、ワタシタチ、チーム、ズルしました……! デュエル、シチャイケマセン……」

 

「アンタたちはイカサマすんの?」

 

「ソレハ……!」

 

「今、アンタ達はデュエルで傷つこうとしてるわ。それをアタシは見過ごせない。アンタ達がイカサマをしないってなら、アタシ達と正々堂々デュエルしなさい! そして証明してみなさい! アンタ達がイカサマなんてしないデュエリストだって!」

 

「ッ……!」

 

亜美の言葉にサクラは目を見開く。

只事ではないとルナキンがサクラに早口で問う。

 

『What is she saying? I can't hear it too fast』

※彼女は何て言ってるんだ。早くて聞き取れなかった。

 

「She said continue the duel unless it’s an iniquity」

※彼女は不正しない限りデュエルを続けると言ってるわ

 

「Holy cow! Oh my goodness!」

※うそだろ! なんてこった!

 

「She said you have to prove your innocence on the duel」

※彼女は、我々にこのデュエルで私たちが不正をしていないと証明するべきだと言ってたわ

 

「Oh my god……!」

 

ルナキンは手を叩き亜美の前までやってくる。

 

『ヘイ、ジャパニーズガール! いや、ミス サイノギ!』

 

「!」

 

『君の寛大な措置に感謝するぞ! ……あー、伝わってる?』

 

「伝わってるわ! ……麗華!」

 

鋭く振り向き麗華を真っ直ぐに見つめる亜美。

その眼は闘志と正義に満ちていて麗華は思わずたじろいでしまう。

 

「……!」

 

「ごめん、やっぱりこっちの方が性に合ってるのよ。デュエル、続けさせて!」

 

「……」

 

麗華は逡巡し、手を震わせた。

しかしひと息つくと亜美を見つめ直す。

 

「……わかりました。しかし、規定上、貴女方が負けた場合はそのまま敗退となりますので悪しからず」

 

「わかってるわ!」

 

「ジャッジ、試合再開してください」

 

それだけ言うと麗華も踵を返して通用口へと引き返していった。

広告のBGMが終わり、会場には一瞬の静寂。

それからMCの男は気を取り直してマイクを握る。

 

『えーっ……ご来場の皆様にお知らせしまァァァす!! ただいま、公正デュエル委員会より要請がありデュエルを中断しておりました! 協議の結果、チームHERO、チームBandit両チームの合意が得られ、ファーストプレイヤーのギーク・ハワードを失格処分とした上でデュエルを続行するぞォォォ!!』

 

[チームHERO側観客席]

 

困惑のどよめきが広がる中、生徒たちがお互いの顔を見て言い合う。

 

「つ、続けるの?」

 

「さっき日和田くんがそれっぽい人追いかけてたけど……」

 

「諸君!」と桃胡が手を叩き注目させた。

隣には忠一も立っている。

 

「デュエルが再開するよ! 仕切り直しだ! 月村くん、滝沢くん、Aメロイントロいくよ!」

 

楽器担当の男子二人が桃胡の声に頷き、ドラムとギターで大きな音を奏でていく。

前に立つ忠一は曲名と大まかな踊り内容が書かれた厚紙を掲げた。

 

[デュエルフィールド]

 

チームHERO側のフィールドには再び応援歌が流れ活気を取り戻していた。

亜美は口角を上げ、ここのせに翻訳機を下手投げで返す。

 

「さぁ、デュエル再開よ! ここのせ!」

 

「おうよ!」

 

ここのせは再び片耳に翻訳機を取り付け、デュエルディスクを構える。

フィールドのモンスターたちは変わらずデュエリストを待っていた。

サクラは胸に手を当ててルナキンに向く。

 

『チームHEROに心よりの感謝を。ルナキン、私たちは全力を以って戦わなければなりません』

 

『もちろんだ』

 

それからサクラはベンチへと引き返し、ルナキンがデュエルディスクを展開した。

調子を取り戻したMCがマイクを振り上げる。

 

『さァァァァァ!! 試合はチームHEROファーストプレイヤー、能瀬心のメインフェイズ2から再開されるぞォオォオォオォオ!!』

 

 

[チームBandit側観客席]

 

MCの声に、観客たちは各々の声を漏らした。

 

「おい、デュエル再開するらしいぞ」

「馬鹿馬鹿しい。我々は騙されていたんだ。俺は帰るぞ」

「僕は応援する! きっとルナキンは知らなかっただけだ!」

「私は応援団として恥じない行動をする」

 

一部は荷物を持って立ち去る中、他の客は座席に座り直している。

そしてチームBanditを応援していたであろうサポーターは拍手で応えた。

 

 

[デュエルフィールド]

 

「っし!」

 

ガシャンッとここのせはデュエルディスクを構える。

対するルナキンはあえてゆっくりとした英語で話した。

 

『少年。改めて謝罪したい。……おっと、英語では伝わらないか。えっと日本語ではなんというんだっけか』

 

「聞こえてるぜ! ……えーっと、アイ キャン ヒア! ……で合ってる……?」

 

『聞こえてるのか! オーライ、私は君たちと公正なデュエルをすると誓おう。さぁ、栄光をかけて宇宙を巻き込んだ戦争を繰り広げよう!』

 

「いくぜ!」

 

「DUEL!」

 

チームBandit セカンドプレイヤー

ルナキン・スコット

LP:4000

手札5

 

 

「デュエル!!」

 

チームHERO ファーストプレイヤー

能瀬 心

LP:3000

手札1

伏せ0

フィールド:

幻子力空母エンタープラズニル

攻:2900

閃刀姫-カガリ

攻:1500→2300

超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ

攻:3200

 

会場は再び熱気を取り戻す。

熱く熱く、歓声が上がった。

 

 

[スタジアム 通路廊下]

 

「……」

 

「……」

 

廊下にも歓声が幾分か小さく聞こえる。

天上の端に長い蛍光灯が並んでいるものの、スタジアムに比べると薄暗く感じた。

左奥の蛍光灯などはもう切れかけているらしく、パチパチと明滅していた。

そんな廊下を歩く理事長は、鼻の上に皺を作り低い声を出した。

 

「……あの小娘」

 

肩を跳ねさせて麗華は恐る恐る聞く。

 

「……祭乃木さんですか……?」

 

「目障リな眩しサだ。あァ、目障リだ」

 

「……」

 

誰に言うでもなく理事長は呟く。

目は変わらず冷たく、ただ憎らしげに。

 

[デュエルフィールド]

 

フィールドではバックモニターに広告はもう流れていない。

代わりに盤面を簡易な図で表したものとそれぞれのライフ、そして現在のフェイズが表示されていた。

 

ーメインフェイズ2ー

 

「しゃあ、いくぜ!」

 

ここのせの手札は2枚。

既にかなりのリソースを消費している。

 

(オレのフィールドにはスペリオル・ドーラ、カガリ、エンタープラズニルがいる。スペリオル・ドーラは比較的場持ちはいいはずだが、このままだとカガリとエンタープラズニルが棒立ちだ。ここは……!)

 

万全の手札を揃えた相手にノーガードでは渡せまい。

ここのせは右腕を前に突き出し宣言する。

 

「エンタープラズニルとカガリをリンクマーカーにセット! 召喚条件はモンスター2体!」

 

←モンスター + ↙︎モンスター =LINK2

 

リンクマーカーにモンスターが飛び込んでいく。

しかして開くEXへの路。

 

「ーーリンク召喚! 輝け! 星鍵士リイブ!」

 

星鍵士リイブ

攻:2000 光 サイバース族 LINK2 ←↙︎(左EXゾーン)

 

「リイブの効果発動! デッキから星遺物マジックトラップをセットするぜ! オレは星遺物に眠る深層をセット!」

 

青い服の鍵士は手に持つ鍵剣を掲げる。

するとここのせの足元にカードが裏向きで表示され、そのまま沈み込んだ。

 

「ターンエンドだ!」

 

能瀬 心

LP:3000

手札:2

伏せ:1

フィールド:

No.81超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ

星鍵士リイブ(左EXゾーン)

 

ードローフェイズー

 

フェイズが代わりルナキンへとターンが移る。

彼は黒いマントから伸びた手をデッキトップにかけた。

 

『myターン!』

 

これで相手の手札は6枚。

一挙を見逃すまいとここのせはやや前屈みに様子を見た。

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

『我が宇宙軍の本領を見せてやろう!』

 

「!」

 

『手札よりフィールドマジック、炎王の孤島を発動!』

 

《炎王の孤島》

フィールド魔法

 

フィールドゾーンスロットに差し込むや否やエフェクトが広がっていく。

そのカードにここのせは思わず口を開けてしまった。

 

「なっ……!? 炎王!? コズモじゃないのか!?」

 

地響きと地鳴り。

やがて地面が競り上がり巨大な火山を形成した。

頂上から煙を吐いている活火山である。

 

『チームBanditセカンドプレイヤー、ルナキン・スコットはフィールド魔法を展開! 煮えたぎる火山が現れたぞォオ!!? これまで宇宙をイメージしたカードを使用していたがこれは一体どういうことだァァァ!?』

 

会場が湧き上がる。

ルナキンは上機嫌に笑い腕を振り上げた。

 

『YES! では、エフェクトアクティヴェイト!自分の手札のカードを1枚破壊することでデッキより炎王モンスターをサーチできる!』

 

「墓地に送らず、わざわざ破壊……?」

 

『ミーはこの効果で手札のkozumo-ダークシミターを破壊し、炎王モンスター、炎王獣ガルドニクスをサーチ!』

 

手札のカードが破壊され、同時にデッキからカードが補給される。

枚数はプラマイゼロ。

 

 

「……どう展開してきやがるんだ……?」

 

ここのせが訝しんで展開を見つめていると破壊されたであろうカードの破片が一気に輝き、そして発動した。

 

《kozumo-ダークシミター》

効果モンスター

 

「な、なんだ!? 」

 

『YES YES! ナイスリアクション! そしてこれが我が宇宙軍の真髄! ダークシミターは破壊された時、自身を除外することで、デッキよりレベル7以下のkozumoモンスターを呼び出す! カモン、kozumo-フォルミート!』

 

kozumo-フォルミート

守:1800 光 サイキック族 星2

 

うねうねとした人形のようなモンスターがフィールドに現れる。

破壊に反応し後続を繋ぐ。

kozumoというテーマはどうやらそういった動きが得意らしい。

 

「破壊をトリガーに……! だから炎王か……!」

 

『フォルミートのエフェクト! ライフを500ポイント払うことで除外されているkozumoモンスターをノンエフェクトでフィールドにスペシャルサモン!』

 

ルナキン・スコット

LP:4000→3500

 

kozumo-ダークシミター

攻:3000 闇 機械族 星8

 

無骨な宇宙戦艦がフィールド上空に現れる。

エンジン音なのか聞き慣れない、紐を振り回したような音がする。

 

『さらに!kozumoの下級モンスターは、自身を除外することで自身よりもレベルが高いkozumoモンスターを手札からスペシャルサモンできる! フォルミートを除外し、カモン! スリップライダー!』

 

kozumo-スリップライダー

攻:2300 光 機械族 星5

 

『スリップライダーは、フィールドに現れた時、フィールドのマジック、トラップを破壊できる!』

 

「だがオレのトラップを破壊する気か?」

 

『No! 我がフィールドの炎王の孤島を破壊!』

 

「なっ……!?」

 

相手の意想外の行動にここのせは思わずたじろぐ。

その隙にスリップライダーは機関砲を放ち、火山を撃ち抜いた。

 

『おぉっとォオ!? 自分のフィールド魔法を破壊してしまったぞォオー!!?』

 

MCのマイクパフォーマンス。

しかしそれに覆い被さるように地響きが鳴り渡り火山の火口からマグマが吹き出した。

 

「うぉっ!? ふ、噴火した!?」

 

火砕流が一気に雪崩落ちルナキンのフィールドを攫っていく。

kozumo-ダークシミターも。

kozumo-スリップライダーも。

ひとたまりもなく蒸発した。

 

『炎王の孤島の破壊された時のデメリット効果によりルナキン・スコットのフィールドのモンスターは全滅!! これは一体ィィ!!?』

 

「ッ!? は、破壊されたってことは……!」

 

ここのせはつい叫んでしまう。

対するルナキンは口角を上げて答えた。

 

『YES! 言ったろう? 宇宙軍の真髄を見せるとね!』

 

バラバラのスリップライダーと。

バラバラのダークシミターが。

カッと光った。

 

chain1 kozumo-スリップライダー

 

chain2 kozumo-ダークシミター

 

『kozumoの戦闘艦は、破壊された場合、デッキから自身よりレベルが低いkozumoモンスターを呼び寄せる共通効果を持つ! カモン! シーミウズ! デルタシャトル!』

 

kozumo-シーミウズ

守:1000 闇 サイキック族 星3

 

kozumo-デルタシャトル

守:2000 闇 機械族 星5

 

『なんとォオ!! デメリットに思えた破壊効果は展開の呼び水だったァァァ!!』

 

MCが腹の底から声を張り上げると焚き付けられた観客が一気に沸く。

 

[チームHERO側ベンチ]

 

だがプレイングはこけおどしではない。

亜美は闘志たぎる眼差しで言う。

 

「敵だけど、うまい! 破壊されるデメリットを逆に利用したのね! やっぱりできる相手じゃない!」

 

「……」

 

「はわわ……!」

 

[デュエルフィールド]

 

新たに現れたモンスターはまさしく宇宙船という様相の戦艦に、ガスマスクをつけた兵士。

ルナキンは腕を振るって宣言する。

 

『デルタシャトルのエフェクトアクティヴェイト! フィールドの表側表示モンスターを対象とし、デッキからkozumoモンスターをセメタリーに送ることでそのレベル×100ポイントダウン! 対象はそのビッグキャノンだ!』

 

「なら、その効果にチェーンして、スペリオル・ドーラの効果発動!』

 

ここのせの命令にスペリオル・ドーラは蒸気を吹き出し周囲を漂うエクシーズユニットを消費する。

これで素材は残り1つ。

 

chain1 kozumo-デルタシャトル

 

chain2 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ

 

「ダメージ・コントロール! 防御障壁展開だ!」

 

逆順処理によりスペリオル・ドーラの防御が先に発動する。

青白いバリアが展開され、一切の干渉を許さない。

 

「これでスペリオル・ドーラはあらゆる効果を受け付けねぇぜ!」

 

『だが効果の対象にはなっている! ミーはデッキよりkozumo-フォルミートを墓地に送らせてもらう!』

 

デルタシャトルの主砲から放たれたビームはスペリオル・ドーラのバリアの前に散っていく。

モンスターのド派手な戦闘に会場から声が上がった。

だがここのせは、敵を睨みつつ声を漏らす。

 

「墓地に送るのが狙いか……」

 

『シーミウズのエフェクトアクティヴェイト! ライフを1000支払うことで墓地のkozumoを復活させる!』

 

ルナキン・スコット

LP:3500→2500

 

『カモン! kozumo-フォルミート!』

 

kozumo-フォルミート

守:1800 光 サイキック族

 

『フォルミートのエフェクトアクティヴェイト! ライフを500払い、除外ゾーンのkozumoモンスターをスペシャルサモン! comeback!kozumo-スリップライダー!」

 

ルナキン・スコット

LP:2500→2000

 

kozumo-スリップライダー

攻:2300 闇 機械族 星5

 

「くそ、ターン1じゃねぇのかよ……!」

 

『レベル5のスリップライダー&デルタシャトルでオーバーレイ!』

 

☆5×☆5=★5

 

2機のモンスターがオーバーレイネットワークへと吸い込まれていく。

やがて巨大な獣の足音が聞こえた。

 

『ーーエクシーズサモン! No.61ヴォルカザウルス!』

 

「グォォオォオォオォオォオォオッ!!」

 

No.61ヴォルカザウルス

攻:2500 炎 恐竜族 ランク5

 

『エフェクトアクティヴェイト! このモンスターのエクシーズユニットを消費することで、相手モンスター1体を破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える! 対象は、その女剣士だ!』

 

ルナキンがこちらの星鍵士-リイブを指差した。

破壊を許せば大ダメージだ。

 

「ッ……!」

 

ここのせは反射的にトラップ発動ボタンを触れようとした。

だが。

 

「……」

 

その手を止めてフィールドを睨む。

ヴォルカザウルスは猛々しい怒号を上げて火炎弾を射出した。

凄まじい熱量。

星鍵士リイブは「きゃあぁぁ!?」と悲鳴を上げて破壊される。

爆風がさらにここのせをも飲み込んだ。

 

「ごわぁっ……!!」

 

能瀬 心

LP:3000→1000

 

『豪快な火炎!! チームBandit!!いきなり大ダメージを与えたぞォオォオッ!!!』

 

「……」

 

ダメージを受けたここのせは、しかし体勢を立て直すと敵を睨み続けている。

対するルナキンもさらにカードを持ち替えてメインモンスターゾーンへと叩きつけた。

 

『まだまだ行くぞ!! 先程手札に加えた炎王獣ガルドニクスを通常召喚!』

 

炎王獣ガルドニクス

攻:700 炎 鳥獣族 星3

 

『レベル3、ガルドニクス&シーミウズでオーバーレイ!』

 

☆3×☆3=★3

 

虚空への路が開き、オーバーレイネットワークが一閃の輝きを放つ。

 

『ーーエクシーズサモン! 虚空海竜リヴァイエール!!』

 

虚空海竜リヴァイエール

守:1600 風 水族 ランク3

 

モンスターの位置を見てここのせは苦く顔を顰めた。

 

(っ! スペリオル・ドーラの列に……!)

 

ルナキンはそれに気づかずリヴァイエールへ指示を出す。

 

『このモンスターは、エクシーズユニットを使うことで除外されているレベル4以下のモンスターをスペシャルサモンできる! カモン! kozumo-フォルミート!!』

 

kozumo-フォルミート

守:1800 闇 サイキック族 星2

 

「またそいつかよ……!」

 

「YES! ライフを500ポイント支払い除外ゾーンのkozumoモンスターをスペシャルサモン!」

 

ルナキン・スコット

LP:2000→1500

 

除外ゾーンには大量のkozumoモンスターがいる。

その中にはkozumoのエースであろうダークシミターもいた。

ここのせは素早くマジックトラップ発動ボタンを押し込んだ。

 

「ここだ! トラップ発動! 星遺物に眠る深層!」

 

《星遺物に眠る深層》

永続罠

 

「発動時、墓地のレベル5以上のモンスターを特殊召喚できる! 今場に現れたフォルミートと同じ列に黄華の機界騎士を特殊召喚!」

 

 

黄華の機界騎士

守:2800 光 サイキック族 星7

 

現れた黄華の機界騎士は降着と同時に剣を振り抜き剣撃を飛ばす。

それがフォルミートへと命中し動きを止めてしまった。

 

『whats!?』

 

「星遺物に眠る深層が発動してる間、機界騎士と同じ縦列にあるモンスターの効果は無効化される! ライフ払い損だ!」

 

『shit! イカサマを乗り越えてギークを撃破しただけはある!ならば、レベル2のフォルミート2体でオーバーレイ!』

 

すぐさま立て直し、ルナキンは右手を前に突き出した。

☆2×☆2=★2

 

『ーーエクシーズサモン! No.45 滅亡の予言者クランブル・ロゴス!』

 

No.45 滅亡の予言者クランブル・ロゴス

攻:2300 地 アンデット族 ランク2

 

『こいつのエクシーズユニットを1つ消費し、ユーのビッグキャノンを対象にしてエフェクトアクティヴェイト! 対象のモンスターの効果を無効にし、さらにお互い同名カードの発動を封じる!』

 

「だが対象に取ったところで防壁を展開してるスペリオル・ドーラは効果を受けねぇぞ!」

 

ここのせの忠告を無視しクランブル・ロゴスは魔力波を放った。

スペリオル・ドーラを捉え、全体を包んでしまう。

ここのせが訝しんでいるとルナキンは人差し指を立てて左右に振った。

 

『チッチッチッ! このモンスターの効果は、こいつが表側表示でいる限り有効! このターンのエンドフェイズ、そのビッグキャノンの効果が切れた瞬間、無効になってもらうぞ!』

 

「なっ、た、対象を取り続ける効果だと……! 珍しい効果使いやがって……!」

 

『カードを2枚セット!』

 

マジックトラップスロットに勢いよくカードを差し込むルナキン。

すぐさまカード2枚が彼の足元に伏せられる。

 

『ターンエンド!』

 

ーエンドフェイズー

 

ルナキン・スコット

LP:1500

手札:1

伏せ:2

フィールド:

No.45滅亡の予言者クランブル・ロゴス

No.61ヴォルカザウルス

虚空海竜リヴァイエール

 

『思いがけない大量展開!! 反撃の兆しなるかァァァ!!?』

 

MCの補足と共に会場は拍手が喝采する。

熱気と一段と盛り上がっていく。

ここのせはスペリオル・ドーラ見上げた。

スペリオル・ドーラは依然勇ましく巨大な姿で佇んでいる。

 

(このターンが終わればスペリオル・ドーラの効果は無効化されちまう)

 

敵の展開を止め、切り札級のカードは未だ健在である。

しかし。

 

(フィールドには効果無効のスペリオル・ドーラと黄華の機界騎士、手札はアフターバーナーと星遺物の胎導の2枚。相手フィールドには3体モンスターにバックが2枚……。こりゃ分が悪りぃ)

 

争うには随分心細いリソース。

だがここのせは悲観しない。

左腕を下げてベンチを振り返った。

 

「恵!」

 

 

[チームHERO側ベンチ]

 

「……」

 

呼ばれた恵は真っ直ぐにここのせを見つめていた。

亜美が恵の背中をとんと軽く叩く。

 

「バトンタッチする気ね! 恵! お願い!」

 

「……ん……」

 

[デュエルフィールド]

 

ここのせの行動を察しMCはマイクで場を繋ぐ。

 

『おぉぉっとォオ!! チームHERO、ここでプレイヤーチェンジの判断を下したァァァ!! ファーストプレイヤー能瀬心からセカンドプレイヤー、ルイン恵に襷が渡るぞォオ!!』

 

チームHERO側のスタンドから拍手が聞こえた。

恵は相変わらずの無表情で歩いてきて、ここのせの前に立つ。

 

「……」

 

「悪ぃな、恵。流石にガス欠だ」

 

ガシャンッと音を立てて左腕から決闘盤を外す。

そして恵へと差し向けた。

 

「モンスター3体に、バック2枚。行けるか?」

 

「……問題ない……」

 

答えると恵は決闘盤を受け取り、慣れた手付きで装着する。

 

「……こちらのフィールドにもモンスターが引き継がれている……。プレイヤーチェンジはタイミングとして最適と言える……」

 

「そうかい。そんじゃあ頼むぜ!」

 

「……ん……」

 

コクッと頷く恵。

ここのせは満足そうに恵の肩を2回ぽんぽんと叩いてベンチへと駆けていった。

 

『ヘイ、ガール!』とルナキンが呼ぶ。

 

「……?」

 

『君はたしか英語を喋っていたな。会話は英語でいいのかい?』

 

「……国際公用語での会話ルーチンに切り替えた。会話は問題ないはず……」

 

恵も流暢な英語で返す。

ルナキンはひゅうと口笛を吹き両手を広げた。

 

『オーケーだ! さぁ、きなさい!』

 

両者、デュエルスタンバイ完了。

MCがマイクを振り上げた。

 

『さァァァァ!! チームHEROはセカンドプレイヤーにバトンタッチ!! セカンドプレイヤーは、本戦2回戦にて神のカードを撃破したルイン恵! デュエルはチームHEROのドローフェイズから再開するぞォオォオォオッ!!』

 

ードローフェイズー

 

「……私のターン……」

 

デッキからカードを引き抜く。

これで手札は6枚。

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

引いたカードを一瞥し手札に加えると素早くカードを持ち替える。

 

「……グローアップ・ブルームを召喚……」

 

グローアップ・ブルーム

攻:0 闇 アンデット族 星1 チューナー

 

「……レベル7、黄華の機界騎士に。レベル1、グローアップ・ブルームをチューニング……」

 

現れたグローアップ・ブルームが身体を分解させリングを作る。

黄華の機界騎士は導かれるようにリングへと飛び込んだ。

 

☆7+☆1=☆8

 

「……ーー太古に死に絶えた巨竜の骸、願わくば朽ちた世界に猛き怒号を……」

 

リングが光り、路が開く。

轟音を上げて巨龍が姿を現した。

 

「……シンクロ召喚、巨骸竜フェルグラント……」

 

「グォォオォオォオォオォオォオォオォオッ!!!」

 

巨骸竜フェルグラント

攻:2800 闇 アンデット族 星8

 

『チームHERO、ルイン恵!! 引き継いだモンスターを利用し、さっそく大型シンクロモンスターを呼び出したぞォオ!!? 巨大なゾンビのようなドラゴンがフィールドに現れたァァァ!!』

 

急速な展開。

まさに決闘。

或いは死闘。

観客は熱気に狂い手を叩く。

恵は冷静に口を開いた。

 

「……巨骸竜フェルグラントが特殊召喚された場合、相手フィールド・墓地のモンスター1体を対象とし、そのモンスターを除外する。No.45滅亡の予言者クランブル・ロゴスを対象にこの効果を発動する……」

 

『!』

 

「……さらにその効果にチェーンし、墓地に送られたグローアップ・ブルームを除外して効果を発動する……」

 

chain1 巨骸竜フェルグラント

 

chain2 グローアップ・ブルーム

 

『ッ! トラップアクティヴェイト! 強制脱出装置!』

 

たまらずルナキンはトラップボタンを押し込んだ。

 

《強制脱出装置》

通常罠

 

chain3 強制脱出装置

 

『フィールドのモンスター1体をバウンスする! ビッグキャノンには退場願おう!』

 

対象は超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ。

エクシーズユニットが未だあと1つ残る巨大砲塔は放置しておけば厄介な壁になっただろう。

煙が蔓延しスペリオル・ドーラを飲み込んで消し去ってしまった。

 

『対抗策が炸裂ゥゥ!! 巨大な砲塔列車がフィールドから消えてしまったァァァ!!』

 

「……グローアップ・ブルームの効果処理により、デッキよりレベル5以上のアンデット族モンスター、ジャック・ア・ボーランを手札に加える……」

 

カードの撃ち合い。

しかし恵は一切動じることはない。

 

「……さらに、巨骸竜フェルグラントの効果処理により、No.45滅亡の予言者クランブル・ロゴスを除外……」

 

お返しとばかりに巨骸竜フェルグラントが黒いエネルギー弾を打ち込み、クランブル・ロゴスを消し飛ばす。

 

『くっ……!』

 

 

[チームHERO側ベンチ]

 

消え去った置き土産にここのせは眉尻を下げて拳を握る。

 

「スペリオル・ドーラが除去られちまったか……」

 

「でも最後まで恵のモンスターの盾になってくれたわ! 仕事としては十分よ!」

 

明るい亜美の声。

口元は上がり、目には闘志。

 

[デュエルフィールド]

 

恵も特に動じることはなく手札のカードを右手に取り差し向けた。

 

「……手札のジャック・ア・ボーランの効果を発動。手札のアンデット族モンスターを墓地に送ることで、自身を特殊召喚……」

 

ジャック・ア・ボーラン

守:2200 炎 アンデット族 星7

 

「……さらにフィールドのジャック・ア・ボーランを対象に墓地のマッドマーダーの効果を発動する……」

 

《マッドマーダー》

効果モンスター

 

『墓地……!? そうか、さっきの……!』

 

「……対象のモンスターのレベルを2つ下げることで自身を特殊召喚する……」

バシッ

 

ジャック・ア・ボーラン

星7→5

 

マッドマーダー

守:200 闇 アンデット族 星2 チューナー

 

「……レベルが5となったジャック・ア・ボーランとレベル2、マッドマーダーでチューニング……」

 

作り出されるシンクロリング。

黒い瘴気が流れ出て冷たい風が吹き荒れる。

 

☆5+☆2=☆7

 

「……ーー死してなお羽ばたく紅き瞳、願わくば朽ちた世界に安息を……」

 

羽音。

或いは轟音。

黒き龍が恵の側で咆哮した。

 

「……真紅眼の不屍竜をシンクロ召喚……」

 

「グガァァァァァァッ!!!」

 

真紅眼の不屍竜

攻:2400 闇 アンデット族 星7

 

大型モンスターの連打にMCはここぞとばかりにマイクに口を当てた。

 

『連続シンクロ召喚!! フィールドには新たなゾンビドラゴンが現れたぞォオォオ!!』

 

上がる喝采。

揺れる会場。

恵は真っ直ぐに相手を見据えていた。

 

「……真紅眼の不屍竜はフィールド、墓地のアンデット族モンスターの数×100ポイント攻撃力が上昇する……」

 

フィールド、墓地に存在するアンデット族は、フェルグラント、マッドマーダー、ジャック・ア・ボーランと不屍竜自身の4体。

 

真紅眼の不屍竜

攻:2400→2800

 

「……バトルフェイズへ移行……」

 

ーバトルフェイズー

 

「……巨骸竜フェルグラントでNo.61ヴォルカザウルスを攻撃……」

 

恵の指示に巨骸竜フェルグラントが応え、黒い炎弾を吐き出した。

対するルナキンはすぐさま応戦する。

 

『リバースカードオープン、トラップアクティヴェイト! ドレインシールド!』

 

《ドレインシールド》

通常罠

 

『攻撃を無効化し、さらにそのモンスターの攻撃力分ライフを回復する!』

 

現れた紫色のシールドが炎弾を阻み、衝撃波をライフに変換してしまった。

 

『はっはっはっ!』

 

ルナキン・スコット

LP:1500→4300

 

「……」

 

『なんとなんとォオ!! 自身のコストでライフが減っていたが一気に回復ゥゥ!! 初期ライフまでライフを取り戻したぞォオ!!?』

 

攻撃反応型のトラップ。

ピンチからのライフ逆転に会場は声をあげていた。

だが恵は変わらず無表情で指令を出す。

 

「……真紅眼の不屍竜でNo.61ヴォルカザウルスに攻撃。ダークネクロフレア……」

 

真紅眼の不屍竜も身体を仰け反らせて口蓋にエネルギーを集約する。

そしてそれを一気に射出した。

黒い炎弾がヴァルカザウルスに命中する。

 

真紅眼の不屍竜

攻:2800

 

No.61ヴォルカザウルス

攻:2500

 

成す術なくヴォルカザウルスは爆散。

爆風がルナキンの黒いマントを揺らした。

 

『Oh……!』

 

ルナキン・スコット

LP:4300→4000

 

「……メインフェイズ2へ移行……」

 

ーメインフェイズ2ー

 

「……カードを1枚セット……」

 

スロットにカードを差し込みセットカードを作り出す。

それから恵はディスクを下ろし言った。

 

「……ターンエンド……」

 

ーエンドフェイズー

 

ルイン恵

LP:4000

手札:3

伏せ:1

フィールド:

巨骸竜フェルグラント

真紅眼の不屍竜

 

ードローフェイズー

 

『マイターン! ドロー!』

 

ルナキンが意気揚々とカードを引き込む。

手札は2枚。

 

ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

『kozumo-シーミウズを通常召喚!』

 

kozumo-シーミウズ

攻:1000 闇 サイキック族 星3

 

『エフェクトアクティヴェイト! ライフを1000支払い、墓地のサイキック族kozumoモンスターをスペシャルサモン! 戻ってこい、フォルミート!」

 

ルナキン・スコット

LP:4000→3000

 

kozumo-フォルミート

守:1800 闇 サイキック族 星2

 

『フォルミートのエフェクト! ライフを500支払い、除外されているkozumoをスペシャルサモン! カモン! kozumo-ダークシミター!」

 

ルナキン・スコット

LP:3000→2500

 

kozumo-ダークシミター

攻:3000 闇 機械族 星8

 

『さらにフィールドマジック!! kozumo-エメラルドポリスを発動!』

 

《kozumo-エメラルドポリス》

フィールド魔法

 

再び地面が揺れ、迫り上がっていく。

近未来ビルが次々と生えていき、摩天楼が展開された。

 

『ここでフィールド魔法を展開!! フィールドはあっという間に、近未来の都市と化したぞォオ!!』

 

摩天楼に佇むルナキンの黒いマントが翻る。

まるで映画のワンシーンのようである。

ルナキンは手を振り上げて効果を発動した。

 

『エメラルドポリスは、除外されているkozumoモンスターのレベル×100ポイントライフを支払うことで、そのモンスターを手札に呼び込むことができる! ライフを500ポイント支払い、kozumo-スリップライダーを手札に加えるぞ!』

 

ルナキン・スコット

LP:2500→2000

 

「……」

 

恵は微動だにせずただ目だけで動きを捉えている。

対するルナキンは演者のように腕を薙ぎ払った。

 

『シーミウズのワンモアエフェクトアクティヴェイト! 自身を除外し、手札のレベル3以上のkozumoをスペシャルサモン! カモン、スリップライダー!』

 

kozumo-スリップライダー

攻:2300 光 機械族 星5

 

突如現れた宇宙戦闘機にMCが付け加える。

 

『kozumoの下級モンスターは、自身を除外し自身よりレベルが高いkozumoモンスターを手札から呼び出す共通効果を持つ!! この効果で再び赤い宇宙戦闘機が現れたぞォオォオォオ!!』

 

会場は拍手が鳴り、次の展開を待ち侘びていた。

ルナキンはさらに続ける。

 

『スリップライダーが場に現れた場合、フィールドのマジックトラップを破壊する!私は自身のエメラルドポリスを破壊!』

 

kozumo-スリップライダーのレーザーがエメラルドポリスの中央タワーを破壊した。

会場はどよめき、MCがわざと煽る。

 

『おぉっとォオ!? またしても自身のカードを破壊してしまったぞォオ!?』

 

しかしルナキンは得意げにデッキに手を伸ばした。

自動送り機能でカードが選出される。

 

『エメラルドポリスは破壊された場合、kozumoカードをサーチできる! 私はこのエフェクトでkozumo-ダークシミターをサーチ!』

 

手札に加える前にカードを見せる。

切り札のエースが手札に入った。

 

『そしてフォルミートのエフェクト! 自身を除外し、ダークシミターをスペシャルサモン!!』

 

kozumo-ダークシミター

攻:3000 闇 機械族 星8

 

『ダークシミターは場に現れたとき! エネミーにビーム砲を浴びせ破壊してしまうのさ! 対象は、アンデットネクロドラゴン!』

 

kozumo-ダークシミターが主砲からビームを放つ。

真芯に受けた真紅眼の不屍竜は絶叫を上げて爆散した。

 

「……」

 

恵は冷静にルナキンのフィールドを見る。

 

kozumo-ダークシミター(効果無効)

攻:3000

 

kozumo-スリップライダー

攻:2300

 

kozumo-ダークシミター

攻:3000

 

『バトルだ!』

 

ーバトルフェイズー

 

『効果が無効となっているkozumo-ダークシミターで、フェルグラントにアタック!』

 

ルナキンの采配に従い、巨大な宇宙戦艦が一気に肉薄。

複数のレーザー砲撃が巨骸竜フェルグラントを貫く。

 

kozumo-ダークシミター

攻:3000

 

巨骸竜フェルグラント

攻:2800

 

超過ダメージは200。

恵のライフポイントを削っていく。

 

「……」

 

ルイン恵

LP:4000→3800

 

『追撃! 2体目のダークシミターでプレイヤーにダイレクトアタック!』

 

もう一隻のダークシミターがレーザー光線を放つ。

恵はデュエルディスクを胸の前まで持ち上げ、トラップボタンを押し込んだ。

 

「……トラップカード発動……」

 

《もののけの巣食う祠》

通常罠

 

「……私のフィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のアンデット族モンスターを蘇生させる。巨骸竜フェルグラントを特殊召喚……」

 

巨骸竜フェルグラント

守:2800 闇 アンデット族 星8

 

「……巨骸竜フェルグラントが特殊召喚された場合、フィールド・墓地のカードを1枚を除外する……」

 

『だがダークシミターは効果の対象にはならない!』

 

「……ではkozumo-スリップライダーを除外する……」

 

巨骸竜フェルグラントが尻尾を振り回してkozumo-スリップライダーをはたき落とした。

だがルナキンは止まらずに叫ぶ。

 

『攻撃を続行だ! ダークシミター!』

 

kozumo-ダークシミター

攻:3000

 

巨骸竜フェルグラント

守:2800

 

ダークシミターの砲撃が直撃しフェルグラントの身体はボロボロと崩れ落ちていく。

 

『チームHERO側のモンスターは全滅!! しかし、ライフポイントの損失は最小に抑えたぞォオ!』

 

恵のフィールドは無し。

ルナキンは得意げ顔でフェイズを宣言した。

 

『エンドフェイズまで移行!』

 

ーエンドフェイズー

 

『フォルミートのエフェクトでフィールドに呼び出したモンスターはエンドフェイズに破壊されてしまう』

 

効果が無効になったkozumo-ダークシミターがピキピキと音を立てて崩れていく。

 

『しかし!! 破壊されたことで、デッキより後続を呼び込む!! カモン!! kozumo-フォアランナー!!』

 

kozumo-フォアランナー

攻:2800 光 機械族 星7

 

破壊されたダークシミターの破片を押しのけて、別の巨大艦がワープしてくる。

ルナキンは腕を組み高らかに言った。

 

『このモンスターも効果の対象にならない耐性を持つ!! これでターンエンドだ!』

 

ルナキン・スコット

LP:2000

手札0

フィールド:

kozumo-ダークシミター

kozumo-フォアランナー

 

[チームHERO側ベンチ]

 

ベンチメンバーは全員固唾を飲み込んだ。

次々と場に現れてる上級モンスター。

明らかにできる手合いである。

ゆきは口に手を当て声を漏らした。

 

「恵さんのモンスターが全滅しちゃいましたぁ……!」

 

「お相手さん、やるじゃねぇか……!」とここのせも頷く。

 

「そうこなくっちゃ!」

 

亜美は腕を組んだまま闘志漲る笑みを浮かべ、フィールドに立つ恵を見た。

 

「さぁ、恵! アンタの力、見せてやんなさい!」

 

会場は喝采、歓声で埋まる。

宇宙軍の戦艦のエンジン音が支配する中、恵は威風堂々と対峙していた。

 




読んでいただきありがとうございます!
キャラクター多くて、誰?となったかも……。
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