遊戯王5D's after ~童実野第二高校ヒーロー部~   作:レトやま

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WSC本戦決勝、開幕……!
※2026年10月25日現在禁止カードに指定されているカードが登場します。


第49話 WSC本戦決勝 VSチームディスティニー

 [ネオ童実野シティ メモリアルスタジアム 選手入場ゲート]

 

 地鳴りのような歓声が、コンクリートの壁を内側から震わせていた。

 スタジアムから響き渡るMCの絶叫と、熱狂をさらに煽り立てる重低音の効果音が、嵐のように押し寄せてくる。その圧倒的な音圧のせいか、それとも全身を駆け巡る武者震いのせいか、亜美の視界は微かに揺らいでいた。

 ヒーロー部の五人は、薄暗い通路の終端──スタジアムの眩い光と、ゲートの濃い影が鋭く交差する境界線に立っていた。

 

「みんな、緊張してる?」

 

 亜美が振り返り、仲間たちの顔を見渡す。

 

「そりゃそうだよ。なんかあの時を思い出すなぁ。本戦の入場行進のとき」

 

 良平が少しだけ強張った頬を緩め、懐かしむように目を細めた。

 

「あん時はあれだけあったチームも、今残ってるのはオレたちと……」

 

 ここのせが言葉を切り、眩しい出口の向こう側を見据える。

 

「……チームディスティニーのみ……」

 

 恵が静かに後に続いた。

 

「本当に最後なんですね……!」

 

 ゆきが両手を胸の前で固く握りしめる。

 

「そう、泣いても笑ってもWSCはこれが最後の戦いよ!!」

 

 亜美は小さく息を吸い込み、再び一人一人の顔を真っ直ぐに見つめ直した。

 

「良平、ここのせ、ゆき、恵」

 

 亜美は輪の中心へとスッと右手を差し出した。

 言葉による合図は必要ない。

 自然と円になった五人は、亜美の手の甲に重ねるように、次々と自分の手を伸ばしていく。

 重なり合った熱と重みに、五人は無言のまま視線を交わす。

 

「気合い入れるわよ! ……この大会のヒーローはだれ!!?」

 

 亜美の弾けるような問いかけに、四人の声が間髪入れずに重なった。

 

「わたしたちです!」

「オレたちだ!」

「俺たち!」

「……我々……」

 

「そう!! じゃあ、アタシ達はだれ!?」

 

 亜美がさらに声を張り上げる。

 

「「「「童実野第二高校 ヒーロー部!!」」」」

 

 重なり合った四人の叫びが、ゲートの薄暗さを吹き飛ばすように反響した。

 

「よし!! いくわよヒーロー部!!」

 

 亜美の号令と共に、重ね合わせた五つの手が勢いよく天を突く。

 彼女たちは顔を上げ、迷いなく光の溢れる決戦の舞台へと足を踏み出した。

 

 [ネオ童実野シティメモリアルスタジアム デュエルフィールド]

 

 眩い光の海へと足を踏み入れた瞬間、鼓膜を破らんばかりの大歓声が五人の全身を打ち据えた。

 

「祭乃木さ──ん!!!」

「日和田──ー!!」

「頑張って、能瀬くん!!」

 

 すり鉢状の巨大な観客席から、地鳴りのような声援が絶え間なく降り注ぐ。

 

『さァァァァァァァ!! いよいよこの素晴らしい大会も大詰めも大詰め!! 泣いても笑っても最後のデュエルだァァァァァァァ!!』

 

 上空を舞うドローンカメラが、熱狂の渦を巨大モニターへと映し出す。

 

『フィールドには、我らがチャンピオン!! 最強無敗のデュエルクイーン率いるチームディスティニー!!! 堂々たる風格で挑戦者を待ち構えているぞォォォォオ!!?』

 

「くっくっ」

 

 漆黒のロングコートを風に大きく翻し、クイーンが口角を上げる。

 

「楽しみじゃのぉ」

 

 絵草が顎髭を撫でながら目を細め、その隣でアバンスが「ふん」と短く鼻を鳴らした。

 

『対するチャレンジャーはァァァァァ!! 誰がこれを予想できたか!! 予選を勝ち抜き、あの8強すらも退けたスーパーダークホース!! 奇跡のチーム、チームHERO!!!!』

 

 横一列に並んだ亜美、良平、ここのせ、ゆき、恵は、誰一人として足を止めることなく、王者たちの待つフィールドの中央へと真っ直ぐに歩みを進める。

 

『ここネオ童実野シティメモリアルスタジアムは、実に7万2千人もの収容数を誇る超巨大スタジアム!! しかし、その席は全てが埋まり切っている!! 奇跡のチームはここでも奇跡を起こすのかァァァ!! それとも最強の座を譲らないのかァァァァァ!!?』

 

 スタジアムの熱気が最高潮に達する中、両チームはフィールドの中央で数メートルの距離を空けて対峙した。

 

「改めて、称賛しようチームHERO。全くの無名から全てを薙ぎ払い、このクイーンの前に立った。驚嘆に値する」

 クイーンが両手を軽く広げてみせる。

 

「アンタこそ、約束を守ってここまで無敗でいてくれたわね。それについては感謝するわ!」

 

 亜美は腰に手を当て、不敵な笑みを返した。

 

「くっくっ。クイーンが勝つのは当然だ」

 

「そうね。でも、それもここまでよ! ヒーローは誰にも負けない! たとえアンタたちであってもね!」

 

 真っ向からの宣言に、クイーンは目を伏せ、やがて肩を揺らして笑い始めた。

 

「その意気や良し。その鋭くも爽やかな覇気は我が胸を昂らせる。こんな高揚はいつぶりだろうな」

 

 クイーンが腕を振るうと、重厚なコートの裾が鋭い音を立てて空気を切った。

 

「諸君らの果てしなく青く自由なデュエルをぶつけてくるがいい! 我らも全身全霊を以てお相手しよう!」

 

「アタシたちは、アンタたちを超えるわ! 頼むわよ、良平!」

 

 亜美が肩越しに振り返る。

 

「ああ!」

 

 良平が力強く頷き、一歩前へ踏み出した。

 

「手抜かりないようにな、アバンス。強者のデュエルを見せつけてやれ」

 

「当然だ」

 

 クイーンの言葉を受け、アバンスが冷徹な足取りで良平の正面へと進み出る。

 

 良平は無言のままデッキケースからカードの束を抜き取り、デュエルディスクのスロットへと滑り込ませた。ガシャンッ、と小気味よい金属音と共に、ブレードが鋭く展開する。

 

「……お前の評判は聞いている。奇跡の立役者だそうだな」

 

 アバンスは腕を組み、見下ろすような視線を良平に投げかけた。

 

「俺だけの力じゃありません」

 

「ふん。つまらん回答だ。それで俺の相手が務まるのか」

 

 アバンスの挑発に、良平の脳裏でかつて突きつけられた言葉が蘇る。

 

『勝利のためのデュエルをしない貴様など何の価値もないワ!』

 

 良平はゆっくりと顔を上げ、アバンスの冷たい瞳を真っ直ぐに射抜いた。

 

「……俺たちは飛び続ける。もっと高く、もっと速く。そのための障害になるものは俺が撃ち落とします。それに……これまでがどうだとか相手が誰だとかそんなものはデュエルでは必要ない」

 

「ほう。余計な口を叩くな、ということか。悪くない」

 

 アバンスの腕が動き、彼の腕でも流線型のデュエルディスクが重厚な音を立てて展開された。

 

『さァァァァァァァいよいよこのWSCを飾るラストデュエルが始まるぞォオ!! 先攻は、大会規定によりチャレンジャーからとなる!! それでは行くぞォオ!! スリィィィィィィィ!!!』

 

 実況の絶叫に、7万2千人の大観衆が一斉に声を合わせる。

 

「「「ツゥゥゥゥゥ!! ワァァァァァァンッ!!」」」

 

『デュエルスタァァァァァトォオォオッ!!!』

 

「「──デュエル!」」

 

 二人の闘志が激突し、ついに頂点を決する最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 第49話

『WSC本戦決勝 VSチームディスティニー』

 

 

 [ネオ童実野シティメモリアルスタジアム デュエルフィールド]

 

「いくぞ、俺のターン!」

 

 ースタンバイフェイズ→メインフェイズー

 

「スクラップ・リサイクラーを召喚!」

 

 スクラップ・リサイクラー

 攻:900 地 機械族 星3

 

 良平がカードを盤面に置くと、金属の擦れる音と共に、ガラクタで構成された機械の魔物が出現する。

 

「このカードの召喚時、デッキから機械族を墓地に送ることができる! これにより、幻獣機オライオンを墓地に送る!」

 

 デュエルディスクが自動でデッキから対象のカードを排出し、良平はそれを墓地スロットへ滑り込ませた。

 

「今墓地に送られたオライオンの効果発動! このカードが墓地に送られた時、フィールドに幻獣機トークンを特殊召喚できる!」

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

「ふん、お得意のトークンの展開か」

 

 アバンスが腕を組んだまま、冷ややかな視線を送る。

 

「さらに、オライオンのもう一つの効果を発動! 自身を除外することで手札の幻獣機を召喚できる! こい、幻獣機テザーウルフ!」

 

 幻獣機テザーウルフ

 攻:1700 風 機械族 星4→7

 

「テザーウルフは召喚成功時、幻獣機トークンを生成する!」

 

 テザーウルフの機体から分離するように、もう一機の無人戦闘機がフィールドに追加される。

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

「幻獣機トークンとスクラップ・リサイクラーをリンクマーカーにセット! 召喚条件は、スクラップモンスターを含むモンスター1体!」

 

 ←機械族 + ↓スクラップ・リサイクラー = LINK2

 

 フィールドの二体が光の矢となり、空中に顕現したリンクマーカーを赤く点灯させる。

 

「リンク召喚! スクラップ・ワイバーン!」

 

 スクラップ・ワイバーン

 攻:1700 地 ドラゴン族 LINK2 ← ↓ (右EX)

 

「スクラップ・ワイバーンの効果発動! 墓地のスクラップモンスターを特殊召喚し、その後自分フィールドのカードを破壊する! スクラップ・リサイクラーを特殊召喚してそのまま破壊!」

 

 飛竜が唸り声を上げると、一度は墓地へ送られたリサイクラーが再び姿を現し──直後、飛竜の放った衝撃波によって容赦なく粉砕された。

 

「スクラップ・ワイバーンのもう一つの効果を発動! スクラップモンスターが効果で破壊された場合、デッキからスクラップモンスターを特殊召喚し、その後フィールドのカードを選んで破壊する! この効果で、デッキからスクラップ・ゴーレムを特殊召喚!」

 

 砕け散った鉄くずの山から、今度は巨大な岩石とガラクタの巨人が地響きを立てて立ち上がる。

 

 スクラップ・ゴーレム

 攻:2300 地 岩石族 星5

 

「その後、強制的にカードを破壊せねばならない。俺のフィールドにカードはない。自分のカードを破壊するしかない」

 

 アバンスが冷静に状況を指摘する。

 

「破壊するのは幻獣機テザーウルフ!」

 

 良平が躊躇いなく自軍のモンスターを指差した。スクラップ・ワイバーンが再び破壊の光線を放ち、テザーウルフの機体を直撃する。

 しかし、爆煙が晴れた後も、狼の戦闘機は傷一つなく空中に留まっていた。

 

『破壊効果をすり抜けたァァ!!? これはァァァ!!』

 

 実況の興奮した声がスタジアムに響き渡る。

 

「幻獣機モンスターは、幻獣機トークンがいる限り戦闘、効果では破壊されない!」

 

「ふん、そうだろうな」

 

 アバンスは顔色一つ変えず、展開された良平の強固な布陣を静かに見つめていた。

 

「スクラップ・ゴーレム効果発動! 墓地のスクラップモンスター、スクラップ・リサイクラーを特殊召喚できる!」

 

 スクラップ・リサイクラー

 攻:900 地 機械族 星3

 

「リサイクラーの効果を再び発動! 今度はブンボーグ001を墓地に送る!」

 

 デュエルディスクが軽快な音を立ててデッキからカードを排出し、良平はそれを流れるような動作で墓地へ送った。

 

「さらに、スクラップ・ゴーレムとスクラップ・ワイバーンをリンクマーカーにセット! 召喚条件は、カード名が異なるモンスター2体!」

 

 フィールドの二体が眩い光の矢に変わり、空中に浮かび上がったサーキットのマーカーを赤く染め上げる。

 

 ← スクラップ・ゴーレム + ↓ スクラップ・ワイバーン = LINK2

 

「警衛バリケイドベルグをリンク召喚!」

 

 警衛バリケイドベルグ

 攻:1000 闇 機械族 LINK2 ←↓(右EX)

 

「さらにバリケイドベルグとリサイクラー、そして幻獣機トークンをリンクマーカーにセット! 召喚条件は、機械族モンスター2体以上!」

 

 良平が力強く右腕を振り抜く。三つのマーカーが強烈な光を放ち、スタジアムの空気を震わせた。

 

 ←機械族 + ↓機械族 + ↘︎機械族 = LINK3

 

「──輝け、極光の翼!! 回せぇ!!」

 

 極光のような緑色の推進炎を吹き出し、巨大な重爆撃機が上空へと舞い上がる。

 

「リンク召喚! 幻獣機アウローラドン!!」

 

 幻獣機アウローラドン「Aurora takeoff!」

 攻:2100 風 機械族 LINK3 ←↓↘︎(右EX)

 

『数多の連続リンク召喚! その先に現れたのは幻獣機の切り込み隊長! 幻獣機アウローラドンだァァァ!!』

 

 大観衆のボルテージが跳ね上がり、割れんばかりの歓声がスタジアムを揺らした。

 

「アウローラドンの効果発動! フィールドに3体の幻獣機トークンを特殊召喚する!」

 

 爆撃機のハッチが開き、三機の幻獣機トークンが次々と射出される。

 縦横無尽に飛び回り良平のフィールド上空を旋回した。

 

(ここまではすんなり通してくれた……。いや、わざと通しているのか……)

 

 良平は刹那手を止め、アバンスを一瞥した。

 不気味な冷静さ。

 小さく息を吐く。

 

(そうだとしても、やることは一緒か)

 

 指先に迷いは生じない

 手を振り上げて良平は宣言する。

 

「アウローラドンの効果発動! 自身と幻獣機トークン1体、合計に2体をリリースしてデッキから幻獣機モンスターを特殊召喚する! 来てくれ、幻獣機メガラプター!」

 

 幻獣機メガラプター

 攻:1900 風 機械族 星4→10

 

「メガラプターは、トークンをリリースすることでデッキから幻獣機モンスターをサーチできる! これによってデッキからもう一体テザーウルフを手札に加える!」

 

 良平はデッキから弾き出されたカードを素早く手札に加える。

 

「今、俺のフィールドには幻獣機トークンは1体! これでテザーウルフとメガラプターのレベルは7となる! レベル7となったテザーウルフとメガラプターでオーバーレイ!!」

 

 ☆7×☆7 = ★7

 

「──翔び立て、願いを乗せた鉄の翼!! 回せぇ!!」

 

 良平が二枚のカードを重ね合わせると、スタジアムの空間に巨大な銀河の渦が出現した。

 

「エクシーズ召喚!! 来い、幻獣機ドラゴサック!!」

 

 渦の中から、圧倒的な質量を持つ超大型の軍用輸送機が姿を現した。空気を切り裂くような轟音が響き渡る。

 

「Mriya takeoff!!」

 

 幻獣機ドラゴサック

 攻:2600 風 機械族 ★7

 

『出たァァァ!! 巨大な軍用機!! 日和田良平のエースモンスター、幻獣機ドラゴサックだァァァ!!』

 

 割れるような歓声。

 伝わる熱気。

 汗を拭うのも忘れて良平は叫ぶ。

 

「ドラゴサックの効果発動! エクシーズユニットを1つ使って、フィールドに幻獣機トークンを2体特殊召喚!」

 

 機体の周囲を回っていた光の球が一つ弾け、新たに二機の無人戦闘機が展開された。

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

「今、自分フィールドに機械族モンスターが2体同時に特殊召喚された! これにより、墓地のブンボーグ001の誘発効果が発動する! こいつを特殊召喚する!」

 

「その効果にチェーンして、手札から《増殖するG》の効果を発動する」

 

《増殖するG》

 効果モンスター

 

「こいつを手札から墓地へ送る。このターン、貴様がモンスターを特殊召喚するたび、俺はデッキから1枚ドローする」

 

 アバンスがカードを墓地へ送ると、良平の足元に無数の小さな影が走った。

 

「……ドローされる前に、こっちの展開を止めるわけにはいかない!」

 

 ブンボーグ001

 攻:500→3500 地 機械族 星1 チューナー

 

「まずは1枚、ドローだ」

 

 アバンスはデッキトップからカードを引き、手札に加えた。

 

「レベル3の幻獣機トークンに、レベル1のブンボーグ001をチューニング!」

 

 ☆3+☆1 = ☆4

 

 小さな機械が一つ星の光の輪へと変わり、トークンを包み込む。光の柱が天を貫いた。

 

「ルイ・キューピッドをシンクロ召喚!」

 

 軽やかな声と共に、弓矢を持った天使がフィールドに舞い降りた。

 

 ルイ・キューピッド

 守:600 光 天使族 星4 チューナー

 

「2枚目をドローさせてもらうぞ」

 

 アバンスがまた一枚、カードを引いた。

 

「ルイ・キューピッドは、シンクロ素材としたチューナーのレベル分、自身のレベルを変動できる! レベルを5に変更!」

 

 ルイ・キューピッド

 星4→5

 

「レベル3の幻獣機トークンに、レベル5となったルイ・キューピッドをチューニング!」

 

 ☆3+☆5=☆8

 

「PSYフレームロード・Ωをシンクロ召喚!!」

 

 PSYフレームロード・Ω

 攻:2800 光 サイキック族 星8

 

「これで3枚目だ」

 

 アバンスが三度デッキからカードを引き抜く。良平はその手札を一瞥した。

 

(妨害はしてこない……。だけど、これだけ引かせてしまった以上、相手の手には……)

 

『LINK、エクシーズ、シンクロ!! いくつもの召喚法を巧みに操り、フィールドを埋め尽くしていくゥゥ!! これぞファイナルのデュエル!! ファーストプレイヤーの先攻1ターン目からブースト全開だァァァ!!!』

 

「ルイ・キューピッドがシンクロ召喚の素材となった時、そのシンクロモンスターのレベル×100のダメージを与える! Ωはレベル8、800ポイントだ!」

 

 天使の放った光の矢が、アバンスの身体を掠めた。

 

 アバンス

 LP:4000→3200

 

「さらに、デッキからレベル8以下の守備力600のモンスターをサーチできる! これによりSR-ベイゴマックスを手札に加える!」

 

 良平が新たに手札を補充し、五枚の扇状に広げた。

「これで手札の枚数が初期手札に戻ったか。ふん、いいだろう、それでこそ俺達の前に立つ資格がある」

 

 アバンスは初めて口元を僅かに歪め、獰猛な笑みを浮かべた。

 

「……カードを2枚セット!」

 

 良平がカードをスロットに差し込む。

 重厚なホログラムの伏せカードが二枚、ブゥンッという音を立てて良平の足元に展開された。

 

「ターンエンド!」

 

 ーエンドフェイズー

 

 日和田良平

 LP:4000

 手札3

 伏せ2

 フィールド:

 幻獣機ドラゴサック

 幻獣機トークン

 PSYフレームロード・Ω

 

 [チームHERO側スタンド]

 

 スタジアムの一角。

 童実野第二高校の生徒たちで埋め尽くされた応援席は、割れんばかりの歓声と拍手で揺れていた。

 

「すげぇー!」

 

「あれ、同級生かよ……」

 

 目の前で繰り広げられた圧倒的な展開に、男子生徒たちが唖然として声を漏らす。

 

「すごい! 1ターン目なのにあんなにたくさん!!」

 

 身を乗り出した女子生徒が目を輝かせると、隣にいた女子生徒が呆然とした様子で呟いた。

 

「私のデッキ一生分の特殊召喚かも……」

 

「それは少なすぎ」

 

 もう一人の女子生徒がすかさず冷静なツッコミを入れる。

 大騒ぎする生徒たちの中心で、忠一は最前列のフェンスに両手をかける。

 フィールドに立つ良平の姿を食い入るように見つめていた。

 

「日和田……本気だな……」

 

 [チームHERO側ベンチ]

 

「よし、上々な立ち上がりよ!」

 

 亜美は身を乗り出し、良平の強固な盤面を見て力強く拳を握りしめた。

 

「……妨害も構えられている可能性が高い……」

 

 恵は網膜デバイスの光を明滅させ、伏せカードやモンスターの効果を瞬時に分析して告げる。

 

「よーし! このままどんどんいきましょう!」

 

 ゆきが両手をメガホンのようにして口元に当て、フィールドの良平へ明るい声援を送った。

 

「さぁて、最強チーム先鋒の実力、見せてもらうぜ!」

 

 ここのせはベンチの背もたれに腕を掛け、不敵な笑みを浮かべながら、ピクリとも動かないアバンスの姿を真っ直ぐに見据えた。

 

 [デュエルフィールド]

 

 良平は目を細め、静かに呼吸を整えた。

 

(チームディスティニーの先鋒……。どう出てくる……?)

 

 ードローフェイズー

 

「これくらいでなければ話にならん。いくぞ、俺のターンだ」

 

 アバンスが流麗な動作でデッキトップからカードをドローした。手札が八枚へと増える。

 

 ースタンバイフェイズー

 

「このスタンバイフェイズ時、PSYフレームロード・Ωの効果が発動する! 除外されているカード1枚を墓地に戻すことができる! 幻獣機オライオンを墓地に戻す!」

 

 良平の墓地スロットに、除外ゾーンから弾き出されたカードが収まる。

 アバンスは沈黙したまま、盤面を見据えていた。

 

 ーメインフェイズー

 

「カードを1枚セットだ」

 

 アバンスがカードをスロットに滑り込ませると、彼の足元に伏せカードのホログラムが重厚な音を立てて展開された。

 

「さらに手札から魔法カード、『おろかな埋葬』を発動する」

 

《おろかな埋葬》

 通常魔法

 

「デッキからモンスター1体を墓地へ送る。俺が墓地へ送るのは、レッド・リゾネーターだ」

 

 デュエルディスクから一枚のカードが弾き出され、墓地スロットに吸い込まれた。

 

「そして手札より、マジックカード、融合を発動する」

 

 空中に浮かび上がった魔法カードから、赤と青の光の渦が生み出される。

 

《融合》

 通常魔法

 

「手札のボルトヘッジホック、ラヴァル・アーチャーを融合」

 

 二体のモンスターが渦の中へと吸い込まれ、極彩色の光が激しく弾けた。

 

 機械族 + 炎属性

 

「──焔の翼が夜のトバリを包み込む。降り注げ、炎の時雨」

 

 アバンスが腕を振り上げると、スタジアムの空気を焦がすような熱風が吹き荒れた。

 

「融合召喚。飛翔せよ、重爆撃禽ボム・フェニックス」

 

 炎の渦を突き破り、全身に重火器を備えた巨大な火の鳥が、甲高い咆哮と共に舞い降りる。

 

「キュォオォオォオォオッ!!!」

 

 重爆撃禽ボム・フェニックス

 攻:2800 炎 炎族 星8

 

『出たァァァァァァァッ!! チームディスティニー、アバンスの特攻隊長にして切り札!! 焔の不死鳥、ボム・フェニックスだァァァ!!』

 

 実況の絶叫と共に、観客席から凄まじいどよめきが湧き起こる。

 

「ボム・フェニックスの効果を発動する。フィールドのカードの枚数×300ポイントのダメージを貴様に与える」

 

 アバンスが冷酷に指を突きつける。

 

「フィールドのカードは7枚。よって2100ポイントのダメージを受けてもらうぞ」

 

 重爆撃禽ボム・フェニックスが巨大な炎の翼を激しく羽ばたかせた。

 

「キォオォオォオォオォオォオッ!!!」

 

 翼の下部に備えられた無数の砲門から、巨大な火炎爆弾が次々と射出される。

 

『いくつもの爆弾が日和田良平に向かっていくゥゥ!! 初期ライフを半分以上も削る超大ダメージだぞォオ!!?』

 

 爆発の瞬間、良平のフィールドでホバリングしていた幻獣機トークンが光の粒子となって消滅した。

 それと同時だった。

 

「Ignition!」

 

 背後に控えていた巨大軍用機、幻獣機ドラゴサックのアフターバーナーが突如として青白い炎を噴き上げた。

 

『んんん!!? 突如ドラゴサックのアフターバーナーが火を吹いたぞォオ!? ボム・フェニックスに向かっていくゥゥ!!』

 

 ドラゴサックの機首から、空を裂くような連射音と共に機関砲が火を噴く。

 空中で迫り来る爆弾を次々と正確に撃ち落とすと、爆煙を突き破るようにボム・フェニックスの背後へと回り込んだ。

 

『な、な、なんとォオ!!? 機関砲によって全ての爆弾を撃ち落としたァァァ! さらに、ボム・フェニックスの後ろをとったぞォオ!!?』

 

 重爆撃禽ボム・フェニックスが驚いたように振り返った瞬間、ドラゴサックのターゲットスコープが赤く点滅し、ロックオンの電子音が鳴り響く。

 

「Target lock! FOX3!!」

 

 発射されたミサイルが、回避する間もなくボム・フェニックスの胴体を正確に捉えた。

 轟音と共に、焔の不死鳥が空中で木端微塵に爆散する。

 

『な、なんとォオ!!? ドラゴサックの猛追によりボム・フェニックスが撃墜されたァァァ!!? これはァァァ!!?』

 

 良平の足元で、一枚の罠カードが表向きになっていた。

 

《弾幕回避》

 カウンター罠

 

「カウンター罠『弾幕回避』! フィールドの幻獣機トークンを全てリリースすることで効果を無効にし破壊する!」

 

 良平は空中で散っていく炎の残滓を見据え、言い放った。

 

「ボム・フェニックスは撃ち落とさせてもらった!」

 

 スタジアムが大歓声に包まれる中、アバンスは微かに口角を上げた。

 

「フッ、これくらいできなければ相手にならない。だが早計だったな日和田良平」

 

 彼は破壊されたエースモンスターを気にも留めず、冷ややかに宣告する。

 

「その程度では俺は止められない」

 

 良平は唇を噛み締め、盤面を睨みつけた。

 

(……相手はこっちの伏せカード2枚に対して、ボム・フェニックスをいきなり出してきた。囮だった可能性が高いのはわかってる。ただ、ライフを半分も削られるわけにはいかなかった)

 

 相手の手札は残り1枚。ボム・フェニックスを失ってなお、アバンスの顔に焦りはない。

 

「手札からマジックカード、『炎熱伝導場』を発動する」

 

《炎熱伝導場》

 通常魔法

 

 アバンスがカードをスロットに差し込むと、フィールドに灼熱の空間が広がる。

 

「デッキからラヴァルモンスター2体を墓地に送ることができる」

 

「2体もの墓地肥やし……!」

 

「俺はデッキのラヴァル・ランスロットとラヴァル炎火山の侍女を墓地に送らせてもらう」

 

 デッキから弾き出された二枚のカードを、アバンスは淀みない動作で墓地へ送った。

 

「今、墓地へ送ったラヴァル炎火山の侍女の効果を発動する」

 

 墓地スロットが赤く発光する。

 

《ラヴァル炎火山の侍女》

 効果モンスター

 

「こいつが墓地に送られた時、墓地に他のラヴァルがある場合、デッキからさらにラヴァルモンスターを墓地に送る。もう一枚、ラヴァル炎火山の侍女を墓地へ」

 

《ラヴァル炎火山の侍女》

 効果モンスター

 

 再びデッキからカードが排出される。

 良平は息を呑んだ。

 

「ラヴァル炎火山の侍女には回数制限はない。さらに墓地へ送るぞ、もう一枚のこいつをな」

 

《ラヴァル炎火山の侍女》

 効果モンスター

 

 三枚目の侍女が墓地へと送られる。

 

(侍女の効果でさらにもう一枚墓地にカードを落とせる……! たった1枚のカードで5枚もの墓地肥やし……! まさか、あるのか、あのカードが……!?)

 

 良平の脳裏に、炎属性デッキが誇る最恐の蘇生魔法がよぎる。

 

「ッ! ラヴァル炎火山の侍女の効果にチェーンして、PSYフレームロード・Ωの効果を発動!」

 

 良平が叫ぶと、フィールドのPSYフレームロード・Ωが両腕にエネルギーを収束させた。

 

 chain1 ラヴァル炎火山の侍女

 

 chain2 PSYフレームロード・Ω

 

「自身と相手の手札のカード1枚を次の俺のスタンバイフェイズまで表側で除外する! その手札から1枚を除外する!」

 

 PSYフレームロード・Ωが空間を切り裂くように突進し、アバンスの手札の一枚を掴み取って共に次元の彼方へと姿を消した。

 奪い取ったカードがホログラムとして宙に表示される。

『ラヴァル・キャノン』。

 

「ッ!? 違う……!?」

 

 良平の顔が蒼白になる。

「フッ」

 アバンスが鼻で笑った。

 

「……炎火山の侍女の効果により、ラヴァル炎湖畔の淑女を墓地へ送る」

 

 良平は無言で拳を握りしめた。

 

「教えてやろう。先程のお前の狙いは正しかった。だが目当てのカードは手札にはない。ここだ」

 

 アバンスが、最初のターンに伏せていたカードを指差した。

 リバースカードが勢いよく表向きになる。

 

《真炎の爆発》

 通常魔法

 

「なっ、最初にセットしてたカード……!?」

 

「『真炎の爆発』は、墓地に眠る守備力200の炎属性モンスターを可能な限り特殊召喚できる。甦れ、我らが同胞たち」

 

 アバンスの宣言と共に、スタジアムの中央で凄まじい爆発が巻き起こった。

 炎の中から、二体の幼い火の精霊が飛び出す。

 

「きゃははっ!」

「きゃはっ!」

 

 ラヴァル炎火山の侍女

 守:200 炎 炎族 星1 チューナー

 

 ラヴァル炎火山の侍女

 守:200 炎 炎族 星1 チューナー

 

 続いて、炎を纏う艶やかな淑女が舞い降りた。

 

「うふふ!」

 

 ラヴァル炎湖畔の淑女

 守:200 炎 炎族 星3 チューナー

 

 重厚な鎧を纏った炎の騎士が、その手に携えた剣を高々と掲げる。

 

「トゥアッ!」

 

 ラヴァル・ランスロッド

 守:200 炎 戦士族 星6

 

 そして最後に、炎の中から小柄な赤い悪魔が姿を現した。

 

 レッド・リゾネーター

 守:200 炎 悪魔族 星2 チューナー

 

『なんとなんとォオ!!! 一気に墓地から5体ものモンスターが現れたぞォオ!!? 超大量展開だァァァ!!』

 

 スタジアムの観客席から、地鳴りのような大歓声が沸き起こった。

 

「さらに、レッド・リゾネーターの効果を発動する」

 

「……ライフ回復効果……!?」

 

「特殊召喚されたこのカードは、フィールドの表側表示モンスター1体の攻撃力分、俺のライフを回復できる。対象はラヴァル・ランスロッドだ」

 

 赤い悪魔が高らかに鐘を打ち鳴らす。

 

「ランスロッドの攻撃力は2100。よって2100ポイント回復する」

 

 アバンス

 LP:3200→5300

 

「くっ……!」

 

「生憎だが、まだまだ倒れてやるつもりはない」

 

 [チームHERO側ベンチ]

 

 突如としてフィールドを埋め尽くした炎の軍勢に、ゆきはベンチから身を乗り出して目を丸くした。

 

「え、えぇぇ!!? な、なんですかぁあのカード!?」

 

「……真炎の爆発。炎属性において守備力が200であることに価値を見出した爆発的展開力を持つカード……」

 

 パニックになるゆきの横で、恵は網膜デバイスに映し出されたカードデータを淡々と読み上げる。

 

「……良平があれを警戒しないはずがないわ。でも止められなかったのね」

 

 亜美は腕を深く組み、スタジアムの熱風を浴びながら一人立つ良平の背中を見つめた。

 

「切り札を囮にするだけじゃねぇ、Ωの効果も躱しやがった」

 

 ここのせが忌々しげに舌打ちを鳴らす。

 だが、その視線には相手の戦術に対する確かな感嘆が混じっていた。

 

「悔しいがあの男が一枚上手だったぜ」

 

「うぅ、流石はクイーンさんのチームですぅ」

 

 ゆきが不安げに両手を胸の前で組み合わせ、フィールドを覆う炎の明かりに顔をしかめる。

 圧倒的な絶望感が漂いかねない状況。

 だが、亜美の口元には不敵な笑みが浮かんでいた。

 

「ふふ、さて良平のやつ、どうやって切り抜けるかしら?」

 

 [デュエルフィールド]

 

「決めてやろう。レベル6のラヴァル・ランスロッドに、レベル1のラヴァル炎火山の侍女をチューニング」

 

 ☆6+☆1=☆7

 

「──炎湖畔に潜む焔の守宮。追憶の彼方よりその刃を振り下ろせ」

 

 炎の騎士と火の精霊が光に包まれ、七つの星が巨大な光の輪を作り出す。

 

「──シンクロ召喚。来い、ラヴァルバル・サラマンダー」

 

 鋭い鳴き声と共に、炎の双剣を持つ竜戦士が現れた。

 

「シャァァァァァァッ!!」

 

 ラヴァルバル・サラマンダー

 攻:2600 炎 ドラゴン族 星7

 

「ラヴァルバル・サラマンダーの効果発動! デッキから2枚ドローし、その後、炎属性モンスターを含む2枚を墓地へ送る!」

 

 アバンスは手札を確認し、迷うことなく二枚を墓地スロットへ滑り込ませる。

 

「墓地のボルト・ヘッジホッグの効果を発動する。フィールドにチューナーが存在する場合、自身を特殊召喚できる」

 

 墓地から小さな機械のハリネズミが飛び出してくる。

 

 ボルト・ヘッジホッグ

 守:800 地 機械族 星2

 

「レベル2のボルト・ヘッジホッグに、レベル3のラヴァル炎湖畔の淑女をチューニング」

 

 ☆2+☆3=☆5

 

 五つの星が光の輪となり、スタジアムの空に白い光の柱が立ち上る。

 

「シンクロ召喚。出ろ、TG-ハイパーライブラリアン」

 

 書物を手にした魔術師が静かに現れる。

 

 TG-ハイパーライブラリアン

 攻:2400 闇 魔法使い族 星5

 

「さらに、墓地のラヴァル・アーチャーの効果を発動する。自分フィールドの炎属性モンスターを破壊して、こいつを守備表示で特殊召喚する」

 

 アバンスが指差したのは、赤い悪魔だった。

 

「レッド・リゾネーターを破壊する」

 

 レッド・リゾネーターが炎に包まれ、光の粒子となって消えた。直後、墓地から炎の弓を構えた射手が舞い戻る。

 

 ラヴァル・アーチャー

 守:200 炎 炎族 星4

 

「この効果を使ったターン、俺は炎属性しか特殊召喚できない。だが、既にライブラリアンは呼び出してある」

 

「レベル4のラヴァル・アーチャーに、レベル1のラヴァル炎火山の侍女をチューニング」

 

 ☆4+☆1=☆5

 

「炎火山に住まう焔の神龍。追憶の彼方より咆哮をあげよ」

 

 再び二体のモンスターが光の輪へと変わり、スタジアムに灼熱の風が吹き荒れる。

 

「──シンクロ召喚。出よ、ラヴァルバル・ドラゴン」

 

 猛々しい咆哮と共に、炎を纏う竜が天を仰いだ。

 

 ラヴァルバル・ドラゴン

 攻:2000 炎 ドラゴン族 星5

 

「シンクロ召喚によってモンスターが特殊召喚されたため、ハイパーライブラリアンの効果が発動する。カードを1枚ドロー」

 

 アバンスがデッキから流れるようにカードを引き抜く。

 引き込んだのは、《PSYフレームロード・Ω》に除外されたものとは別の《ラヴァル・キャノン》だった。

 

「……さらに墓地に眠るラヴァル炎湖畔の淑女の効果を発動。墓地に自身以外のラヴァルが3種類ある場合、このカードと他のラヴァル1枚を除外することでお前のセットカードを破壊する。淑女と侍女を除外」

 

「その効果に対して、トラップ発動! 和睦の使者!」

 

 良平が力強く宣言し、伏せカードが表向きになる。

 

《和睦の使者》

 通常罠

 

「このターン、モンスターは戦闘破壊されず戦闘ダメージも受けない!」

 

「ふん、いいだろう。1ターンで終わっては拍子抜けだからな」

 

 アバンスが冷たく鼻を鳴らす。

 半透明の淑女の幻影が飛び出し、良平の罠カードを一太刀で粉砕した。

 

「俺はこのターンまだ通常召喚を行なっていない。こい、ラヴァル・キャノン」

 

 ラヴァル・キャノン

 攻:1600 炎 戦士族 星4

 

「ラヴァル・キャノンは召喚成功時、除外されているラヴァル1体をフィールドに呼び戻す。出ろ、ラヴァル炎火山の侍女」

 

 除外ゾーンから再び火の精霊が舞い戻る。

 

 ラヴァル炎火山の侍女

 守:200 炎 炎族 星1 チューナー

 

「レベル7のラヴァルバル・サラマンダーに、レベル1のラヴァル炎火山の侍女をチューニング」

 

 ☆7+☆1=☆8

 

「──炎樹海を統べる焔の王よ、追憶の彼方より猛き怒号を呼び覚ませ」

 

 八つの星が巨大な光の輪を作り出し、スタジアムの温度がさらに上昇する。

 

「シンクロ召喚。現れろ、ラヴァルバル・エクスロード」

 

 凄まじい爆炎の中から、重厚な鎧と大剣を構えた炎の覇王が力強く咆哮した。

 

「ハァァァァァッ!!」

 

 ラヴァルバル・エクスロード

 攻:2900 炎 戦士族 星8

 

『きたァァァァァ!! ラヴァルを統べる王者!! 爆炎の覇者が現れたァァァ!! 日和田良平に負けじと超連続シンクロだァァァ!!』

 

「シンクロ召喚に成功したため、ライブラリアンの効果により1枚ドローさせてもらう」

 

 アバンスが再びカードをドローする。

 

「くっ、手札が減らない……!」

 

 良平が歯を食いしばる。

 

「さらにラヴァルバル・ドラゴンの効果を発動。墓地のラヴァルモンスター2体、ラヴァル・ランスロッドとラヴァル炎火山の侍女をデッキに戻し、フィールドのカードをバウンスする。消え去れ、幻獣機ドラゴサック」

 

 炎の竜が突風を伴う咆哮を放ち、強烈な衝撃波がドラゴサックを捉える。

 巨体が空中で激しく揺さぶられ、光の粒子となってエクストラデッキへと強制送還された。

 

「くっ……!」

 

『な、なんと!! 日和田良平のフィールドは一瞬で更地になってしまったァァァ!!』

 

「……だが、このターン、お前にダメージを与える手段はない。ターンを終了する」

 

 アバンスは静かに腕を下ろし、冷徹な視線を良平へと向けた。

 

 ーエンドフェイズー

 

 アバンス

 LP:5300

 手札2

 伏せ0

 フィールド:

 ラヴァル・キャノン

 ラヴァルバル・ドラゴン

 ラヴァルバル・エクスロード

 TG-ハイパーライブラリアン

 

 

 [チームディスティニー側ベンチ]

 

 フィールドを見下ろす特等席で、クイーンは優雅に脚を組み直し、喉の奥でくぐもった笑い声を漏らした

 

「ほう。アバンスが後手から1ダメージも与えられず、とはな。くっくっ」

 

「そうでなきゃ面白くないからのぉ」

 

 絵草もまた顎髭を撫でながら、好戦的な笑みを深く刻んでいた。

 

 [チームHERO側 観客スタンド]

 

 一方、スタジアムの一角を埋め尽くす童実野第二高校の応援席には、先ほどまでの熱狂が嘘のような動揺が波のように広がっていた。

 

「う、うそだろ……。相手もあんなに……」

 

「日和田くんのフィールド、何もなくなっちゃった……」

 

 一瞬にして更地と化した良平のフィールドを目の当たりにし、生徒たちが青ざめた顔で囁き合う。

 

「あれが決勝のデュエルなんだ……」

 

 これまでの大会とはまるで違う、息もつかせぬ次元の違う攻防。その圧倒的な光景に、生徒たちの間から畏怖の入り混じったざわめきが絶え間なく漏れ聞こえる。

 落ち着きを失っていくスタンドの最前列で、忠一だけが冷たい鉄のフェンスを強く握りしめ、無言のまま真っ直ぐにフィールドを見つめ続けていた。

 

 

 [デュエルフィールド]

 

 ードローフェイズー

 

「……俺のターン!」

 

 良平がデッキトップに指をかけ、鋭くカードを引き抜いた。

 

 ースタンバイフェイズー

 

「このスタンバイフェイズ時に、除外されてた手札とΩがフィールドに帰還する」

 

 

 良平の宣言とともに、虚空に走った電撃のような亀裂からPSYフレームロード・Ωがフィールドへと舞い戻る。同時に、アバンスの手札にも一枚のカードが光となって戻っていった。

 

 ーメインフェイズー

 

(……見えてる妨害は1つ……)

 

 良平の視線がアバンスのフィールドで猛烈な熱を放つラヴァルバル・エクスロードへと向けられる。

 

「PSYフレームロード・Ωの効果を発動! 自身と相手の手札を次の俺のスタンバイフェイズまで除外する!」

 

「ふん」

 

 PSYフレームロード・Ωが再び空間を切り裂き、アバンスの手札を道連れにして次元の彼方へと姿を消す。しかし、アバンスは手札が減っても顔色一つ変えない。

 

「……手札のSRベイゴマックスはフィールドにモンスターがいない場合、特殊召喚できる!」

 

 良平が手札からカードを盤面に叩きつける。

 独楽の形をした機械のモンスターが、低い駆動音を鳴らしながらフィールドに姿を現した。

 

 SRベイゴマックス

 守:600 風 機械族 星3

 

「ベイゴマックスは場に現れた時、デッキからスピードロイドモンスターをサーチする!」

 

「ならばその効果に対し、ラヴァルバル・エクスロードの効果を発動する」

 

 アバンスの低く冷たい声が響く。

 

「そのモンスターを破壊し、お前に1000ポイントのダメージを与える」

 

 chain1 SRベイゴマックス

 

 chain2 ラヴァルバル・エクスロード

 

 フィールドの炎の覇王が、両手に握った大剣に灼熱の炎を収束させる。

 

「フゥゥン、ハァッ!」

 

 横薙ぎに振るわれた大剣から極太の炎が放たれ、ベイゴマックスを轟音と共に爆散させた。

 爆発の余波が良平の全身を打つ。

 

「ぐぅっ……!」

 

 日和田良平

 LP:4000→3000

 

 良平は腕を交差させて顔を庇い、衝撃に耐えるように靴底をフィールドに擦り付けた。

 

『ここでファーストダメージ!!! 初期ライフの4分の1を削り取る大ダメージだァァ!!』

 

 実況の興奮した叫びがスタジアムのスピーカーから響き渡り、観客席から地鳴りのような歓声が沸き起こった。

 

「……ベイゴマックスの効果でSRタケトンボーグをサーチ!」

 

 良平は熱風に耐えながら、デッキから弾き出されたカードを手札に引き込んだ。

 

「さらに幻獣機テザーウルフを召喚!」

 

 良平がカードを盤面に置くと、狼の意匠を持つ緑色の戦闘ヘリがエンジン音を轟かせて飛来した。

 

 幻獣機テザーウルフ

 攻:1700 風 機械族 星4

 

「テザーウルフが召喚された時、幻獣機トークンを生成!」

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

「SRタケトンボーグは、フィールドに風属性がいる場合、特殊召喚できる!」

 

 SRタケトンボーグ

 守:1200 風 機械族 星3

 

「テザーウルフ、幻獣機トークン、タケトンボーグの3体をリンクマーカーにセット! 召喚条件は、機械族モンスター3体!」

 

 ←機械族 + ↓機械族 + ↘︎機械族 = LINK3

 

 フィールドの三体のモンスターが眩い光の矢となり、空中に顕現したリンクマーカーの三つの矢印を赤く点灯させる。

 

「──煌めけ、極光の翼! 回せぇ!」

 

 良平の叫びに応えるように、スタジアムの空に極光のような緑色の推進炎が吹き上がる。

 

「リンク召喚! 再び現れろ、LINK3、幻獣機アウローラドン!」

 

 幻獣機アウローラドン

 攻:2100 風 機械族 ←↓↘︎LINK3(右EX)

 

「アウローラドンの効果で幻獣機トークンを3体展開!」

 

 爆撃機のハッチが開き、三機の無人戦闘機が一斉に射出され、良平のフィールドを再び強固な陣形で埋め尽くす。

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

「さらに機械族が同時に3体現れたことで、ブンボーグ001の墓地から特殊召喚する効果が発動する! 出てこい!」

 

 ブンボーグ001

 攻:500→3000 地 機械族 星1 チューナー

 

「ブンボーグ001は、フィールドの機械族1体につき攻撃力が500アップする!」

 

「ふん」

 

 アバンスは腕を組んだまま、氷のように冷たい視線で良平の展開を見下ろしていた。

 

「バトル!」

 

 良平が腕を真っ直ぐに突き出し、攻撃の合図を放った。

 

 ーバトルフェイズー

 

「ブンボーグ001で、TG-ハイパーライブラリアンに攻撃!」

 

 良平の号令とともに、極限まで出力を高めた小さな機械が凄まじいスピードで突進する。赤いオーラを纏ったその一撃が、アバンスのフィールドに立つ魔術師へと真っ直ぐに迫った。

 

 ブンボーグ001

 攻:3000

 

 TG-ハイパーライブラリアン

 攻:2400

 

 

「墓地の超電磁タートルの効果を発動する」

 

 突撃が届く寸前、アバンスの墓地スロットから強烈な電磁波が放たれた。

 

《超電磁タートル》

 効果モンスター

 

「このカードを除外し、このターンのバトルフェイズを終了させる」

 

 アバンスが静かに宣言すると、フィールド全域に強力な電磁バリアが展開される。勢いよく突っ込んでいたブンボーグ001は、激しい火花を散らしながら空中で弾き返され、強制的に元のポジションへと戻されてしまった。

 

「!」

 

 良平が小さく息を呑む。

 戦闘が強制終了させられ、デュエルはメインフェイズ2へと移行した。

 

 ーメインフェイズ2ー

 

(ラヴァル・サラマンダーの時に墓地に落としてたのか……。抜け目がないな)

 

 圧倒的な威圧感を放つラヴァルバル・エクスロード、空を睨むラヴァルバル・ドラゴン、静かに佇むTG-ハイパーライブラリアン、そして大砲を構えるラヴァル・キャノン。

 

(ライブラリアンとエクスロードで展開をある程度抑制して、戦闘は墓地効果で回避……。限られたリソースでよく考えられた戦術だ)

 

 良平は、自身に残された最後の手札一枚にそっと視線を落とした。

 一方のアバンスもまた、腕を組んだまま、沈着冷静な良平の姿を静かに観察していた。

 

(取り乱さず、か。学生の割に冷静だ。奇跡の立役者は、嘘偽り無い実力というわけか)

 

 計算を狂わされたはずの状況でも一切の隙を見せない良平。

 対し、アバンスの冷徹な瞳。

 

「……」

 

「……」

 

 焦熱の風が吹き荒れるフィールドに、一瞬の静寂が落ちた。

 良平は無言のまま、アバンスの強固な盤面を見据えた。

 

(ライブラリアンがいる限りシンクロするとドローされてしまう。でもエクシーズならその縛りはない。ここは……)

 

 良平の指先が、手札の一枚を力強く弾いた。

 

「手札から貪欲な壺を発動!」

 

《貪欲な壺》

 通常魔法

 

 魔法カードのホログラムが浮かび上がり、不気味な笑みを浮かべた巨大な壺が現れる。

 

「墓地のアウローラドン、ルイ・キューピッド、ベイゴマックス、タケトンボーグ、テザーウルフをデッキに戻して2枚ドロー!」

 

 良平は墓地スロットから抜き取った五枚のカードをデッキに戻す。自動シャッフルを終えたデュエルディスクから、新たに二枚のカードを鋭く引き抜いた。

 

「フィールドのアウローラドンの効果発動! ブンボーグ001と幻獣機トークンをリリースしてデッキから幻獣機メガラプターを特殊召喚!」

 

 上空を旋回する重爆撃機が光線を放ち、フィールドの小さな機械と無人戦闘機を一瞬にして分解・再構築する。甲高い推進音と共に、猛禽のフォルムを持つ巨大な戦闘機が姿を現した。

 

 幻獣機メガラプター

 攻:1900 風 機械族 星4→10

 

「メガラプターは幻獣機トークンを燃料にデッキから幻獣機を手札に呼び込むことができる! これで幻獣機コルトウィングをサーチ!」

 

 残っていた無人機の一機がメガラプターの機体に吸い込まれるように消え、良平はデッキから弾き出されたカードを素早く手札に加える。

 

「さらに墓地のオライオンを除外することで、手札の幻獣機を召喚できる! こい、コルトウィング!」

 

 幻獣機コルトウィング

 攻:1600 風 機械族 星4→7

 

「レベルが7となったコルトウィングとメガラプターでオーバーレイ!」

 

 ☆7×☆7=★7

 

「──翔び立て、願いを秘めた鉄の翼!! 回せぇ!!」

 

 良平の叫びに応えるように、渦の中心から圧倒的な質量が押し出されてくる。

 

「再び空に舞い上がれ! 幻獣機ドラゴサック!!」

 

 轟音と共に、超大型の軍用輸送機が再びスタジアムの上空にその偉容を現した。

 

「Mriya takeoff!」

 

 幻獣機ドラゴサック

 攻:2600 風 機械族 ランク7

 

『チームHERO、負けじと再び切り札を呼び出したぞォォ!!?』

 

 スタジアムを震わせる実況の絶叫に、大観衆の歓声が重なる。

 

「ドラゴサックは、フィールドの幻獣機を装填し、フィールドのカードを破壊できる! アウローラドンをリリースし、ハイパーライブラリアンを破壊!!」

 

 ドラゴサックの巨大なハッチが開き、上空のアウローラドンを光のエネルギーとして機体へと取り込む。

 機首のターゲティングセンサーが赤く点滅し、鋭い電子音が鳴り響いた。

 ロックオンの警告音に、TG-ハイパーライブラリアンが咄嗟に手にした書物で身を庇う。

 だが、遅い。

 

「Target lock! FOX3!!」

 

 ドラゴサックのウェポンベイから、炎を引いてミサイルが射出された。

 凄まじい爆発音が響き渡り、爆炎がハイパーライブラリアンの体を容赦なく飲み込む。粉々になったホログラムの破片がスタジアムに舞い散った。

 

「ッ……!」

 

 計算された陣形の一角を崩され、アバンスの端正な顔が僅かに歪んだ。

 

「続けてドラゴサックのもう一つの効果を発動! 幻獣機トークンを2体生成!」

 

 良平が声を張り上げると、上空を旋回するドラゴサックのハッチから、新たに二機の無人戦闘機が射出された。

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

 幻獣機トークン

 守:0 風 機械族 星3

 

「さらにフィールドに2体機械族が特殊召喚されたことでブンボーグ001の特殊召喚効果が再び適応される!」

 

 ブンボーグ001

 攻:500→3000 地 機械族 星1 チューナー

 

「レベル3の幻獣機トークンに、レベル1のブンボーグ001をチューニング!」

 

 ☆3 + ☆1 = ☆4

 

「ルイ・キューピッドをシンクロ召喚!」

 

 弓矢を構えた天使が、軽やかな羽ばたきと共に二度目の降臨を果たした。

 

 ルイ・キューピッド

 守:600 光 天使族 星4 チューナー

 

「先程、デッキに戻したカードか」

 

 アバンスが静かに呟く。

 

「ルイ・キューピッドは、シンクロ素材に使ったチューナーのレベル分、自身のレベルを変更できる。レベルを一つ下げ、レベルを3にする!」

 

 ルイ・キューピッド

 星4→3

 

 良平は一瞬だけベンチへと視線を向けた。

 彼の脳裏に、次鋒であるここのせの顔がよぎる。

 本来なら、彼に有利な盤面を繋ぐために仕込んでいたギミックだった。だが、最強の相手を前にして出し惜しみをしている余裕など微塵もない。

(ここのせなら、自分でなんとかできるはずだ)──良平は微かな迷いを振り切り、決然とアバンスのフィールドを見据えた。

 

「レベル3の幻獣機トークン2体に、レベルが3となったルイ・キューピッドをチューニング!」

 

「レベルの合計は9……!」

 

 アバンスの目が僅かに見開かれる。

 フィールドの天使が三つの光の輪へと姿を変え、残る二機の無人戦闘機を包み込んだ。太く巨大な光の柱が、スタジアムを貫く。

 

 ☆3+☆3+☆3=☆9

 

「シンクロ召喚! レベル9! ミスト・ウォーム!!」

 

 光の柱を突き破り、雷雲を纏った巨大な風の魔獣が、スタジアムの空気を震わせるような重低音の咆哮を上げた。

 

 ミスト・ウォーム

 攻:2500 風 雷族 星9

 

「ミスト・ウォームとシンクロ素材となったルイ・キューピッドの効果がそれぞれ発動する!」

 

 chain1 ミスト・ウォーム

 

 chain2 ルイ・キューピッド

 

「ルイ・キューピッドの効果で、シンクロ召喚したレベル9のミスト・ウォームに応じて900ポイントのダメージを与える! さらにデッキから守備力600のモンスターをサーチ! さっきデッキに戻したベイゴマックスを再び手札に加えさせてもらう!」

 

 アバンス

 LP:5300→4400

 

 デッキから弾き出されたカードを、良平は力強く手札に引き込んだ。

 

「そしてミスト・ウォームはシンクロ召喚された場合、フィールドのカードを3枚までバウンスできる! シンクロモンスター2体を吹き飛ばせ!!」

 

 ミスト・ウォームが巨大な顎を開き、暴風雨のような衝撃波を放った。

 凄まじい突風がフィールドを吹き荒れ、アバンスの陣営に襲い掛かる。

 ラヴァルバル・ドラゴンとラヴァルバル・エクスロードが、暴風に抗う間もなく光の粒子となってエクストラデッキへと吹き飛ばされた。

 

『痛烈!! 形勢逆転!! チームディスティニーファーストプレイヤーのフィールドは、ラヴァル・キャノン1体を残して消え去ったァァァ!!』

 

 実況の絶叫と共に、割れんばかりの歓声と拍手がスタジアムを包み込む。

 

「ッ……! ……やるな」

 

 計算外の猛攻に、アバンスは初めて忌々しげに顔を顰めた。

 

「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

 良平がスロットにカードを差し込むと、足元に二枚の伏せカードのホログラムが重厚な音を立てて展開された。

 

 ーエンドフェイズー

 

 日和田良平

 LP:3000

 手札:1

 伏せ:2

 フィールド:

 幻獣機ドラゴサック

 ミスト・ウォーム

 

「……!」

 

「……」

 

 鼓膜を揺らす大歓声の中、良平とアバンスの視線がフィールドの中央で火花を散らすように激突していた。

 

『フィールドでは両者が睨み合っている!! まだまだ序盤ではあるが熱量はマックス!! このファーストデュエルを制するのはどちらかァァァ!!?』

 

 マイクパフォーマンスに会場は揺れる。

 それがまるで上昇気流を生み出したかのように良平の髪と服を強く揺らしていた。




■今回の禁止カード
・PSYフレームロード・Ω
2015年8月16日発売のブースターSP-ハイスピード・ライダーズ-にて登場。
2026年9月21日の改定を以って禁止カードに指定。
まさかこのカードが禁止になるとは……。
時代ですね……。
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