【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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脈動する世界

 

 

『……わたしたちは、すべての戦争行為に対して武力による介入を開始します』

 

 モニターでは、ここ2日間ずっと同じ放送が放映されている。数刻前はそれなりの緊張感を持って受け止めていたそれも、ここまで来ると流石に見飽(みあ)きてくるというか何というか…。

 

「どの国のニュースも、僕たちの話題で持ちきりですね。謎の武装集団、全世界に対して戦争根絶を宣言するって。もっとも、ほとんどの人達は、信じてはいないようですが…」

「まぁね。どちらかというと、戦争根絶っていう大義よりはガンダムの力の方に注目されているってところじゃないの?」

 

 クラウディオスのミーティングルームにて、マイスターであるシエルとフブキは、世界各国のニュースを手持ちのディスプレイで(なが)めながら、各々の感想を口に出した。

 

 二人とも、(すで)にパイロットスーツに着替えている。これは、いついかなる時でもガンダムで出撃できる為の準備という意味もあるのだが……。

 

「–––––––では、信じさせようじゃないか」

 

 そう言って、中に入ってきたのは残るマイスターのフェイトとアキサム。二人と違って、彼等はそれぞれの私服(しふく)を着用している。

 

「ソレスタルビーイングの理念は、行動によってのみ示される」

「そういうことだ。二人とも準備しな」

 

 フェイトとアキサムはクラウディオスで待機。

 今回の任務は、シエル・アインハイトとフブキ・シニストラ。ガンダムセレーネとガンダムメティスの二機によるソレスタルビーイングの二度目の武力介入である。

 

「セカンドミッションだ」

 

 (いま)だその存在を信じきれない世界に向けて、ソレスタルビーイングの本気さを知らしめる為のセカンドミッション。ガンダムの力をより見せつけるいい機会だ。

 

 ––––––––次の彼等の目的地は、母なる地球。

 

 数刻後、クラウディオスより二機のガンダムが、美しいGN粒子の光を放って発進する。

 

 大気圏(たいきけん)を突破し、地球へ降りた二機の向かう先は………。

 

 

▽△▽

 

 

 世間を(さわ)がせるテロ組織が早くも行動を起こした…という知らせは、いち早く各国の首脳陣へと伝わる事となった。

 

 そして、それは少し遅れてミネルバに乗るデュランダルの元にも知らされる事になり、彼を通じてカガリの元にも……。

 

「ソレスタルビーイングが動いたというのは本当か!?」

 

 場所は再び艦長室。

 ソレスタルビーイングの情報を聞いてすっ飛んできたカガリが(けわ)しい剣幕(けんまく)で詰め寄る。傍にはバイザーを付けたアスランの姿もあり、その表情は共に険しい。シャーロットはというと、()り受けた自室にいるために不在だ。

 

「ええ。先程、大気圏を突破する二機のアンノウンモビルスーツが確認されました。内一機はアーモリーワンで目撃された機体と同一と見られています」

「つまり、私達の知らないもう一機が存在したということか。…彼等は一体どれほどの戦力を持っているというのか、恐ろしい限りだ」

 

 タリアの報告にデュランダルが思わず(うな)るように声を漏らしたが、ガンダムという機体の持つ力のことを思えば当然の反応だろう。

 

「それで、機体の進行ルートは?」

「元南アフリカ共同体、旧リベリア地区へ向かった可能性が高いと」

「リベリア? あそこは確か……」

 

 南アフリカ共同体。

 北アフリカ、西アフリカ地域の国家による経済・軍事同盟であり、二年前までは親プラント国という立場を取っていた(はず)だ。

 

「そうですね。あそこは現在ザフトと地球軍の勢力(けん)狭間(はざま)にある国で、今は地球軍と地域のレジスタンスの紛争(ふんそう)が起きていると聞いたことがあります」

「レジスタンス……」

 

 懐かしい名前にかつての仲間達を思い出す。

 南アフリカ共同体は、カガリ達「明けの砂漠」とアークエンジェル隊が「砂漠の(とら)」アンドリュー・バルトフェルドを打ち破ったことをきっかけに、地球連合軍の反抗(はんこう)作戦によってその自治が崩壊した地域だ。

 

 サイーブを始めとする彼等も戦っているのか…と、カガリは長らく会っていない戦友たちへ思いを()せる。

 

 そんな時だった。

 艦長室に備えられた電子通信にブリッジのメイリン・ホークから連絡が入ったのだ。

 

「……ええ、分かったわ。すぐに合流すると伝えて」

「艦長、何か分かったのか?」

 

 カガリの問いに、通信を切ったタリアは少し表情を和らげてその朗報(ろうほう)を告げた。

 

「ジュール隊とポアソン隊がもう間も無くこの宙域に到着するそうです」

「それはつまり…」

「はい、我が艦も間も無く発進します」

 

 援軍を待つ身であるミネルバは、現在ボギーワンから遠く離れた位置でゆっくりと追跡している。

 

 ボギーワンはソレスタルビーイングの存在を警戒しているのか、はたまた強奪した新型のデータ収集・修復に集中しているのか、ここ二日の動きは非常に緩慢(かんまん)だった。

 そのためか不幸中の幸いとして、ミネルバはギリギリボギーワンを補足(ほそく)することができていた。

 

「それと議長。最高評議会よりチャンネルワンでの通信があるそうです。緊急を要する為にブリッジへ…」

「ああ。それにしてもチャンネルワンとは…ソレスタルビーイングの件かね?」

 

 チャンネルワンとは、プラントにおいて緊急の場合にのみ用いられる最優先のホットラインだ。余程の事で無い限り使われる事は無く、ここ二年使われることは片手の数にも満たなかったはずだ。

 

 眉を顰めるデュランダルの言葉に、タリアもあまりよく分かっていないのか、不思議そうな表情を浮かべてブリッジから届いた報告を口にした。

 

「いえ、メイリン・ホーク曰くユニウスセブンについての報告だそうで…」

「何…?」

 

 そうして、自由に動くことのできなかったミネルバにようやく援軍が到着(とうちゃく)する。

 しかし、それは新たなる衝撃を彼等に与えることになる。それも、ボギーワンやソレスタルビーイングなどを気にしていられる余裕を奪うほどに…。

 

 

▽△▽

 

 

 世界中の注目が集まる元アフリカ共同体旧リベリア地区。木々一つない山岳(さんがく)地帯において、二つの勢力が渓谷(けいこく)を挟んで睨み合っていた。

 

 この場所を支配(しはい)したい地球軍側と、それに反抗するレジスタンスの対立は年々深刻(しんこく)となり、終戦を迎えた今となっても小さな紛争として各地で争いは発生していた。

 

 とはいえ、正規(せいき)軍である地球軍とあくまで抵抗戦力に過ぎないレジスタンスでは、その戦力に大きな開きがあるのも事実。

 

 地球軍側はその物量(ぶつりょう)に加え、あのGAT-X105ストライクと同等以上のスペックを持つ主力機ウィンダムを中心にダガーなどを含めた小隊(しょうたい)を複数派遣(はけん)

 それに対して、連合が低価格で売り払ったストライクダガーや鹵獲(ろかく)したジンなどの旧式が中心のレジスタンス側は、当然不利な戦局に(おちい)っていた。

 

 

 そして、そんな黒煙(こくえん)の立ち込めるリベリアの空にて、緑色に輝く粒子を放つ機体が二つ。

 

〈それでは二人とも、ヴェーダのミッションプランの通りに対応を。それなりの戦果を期待しているのでよろしく〉

「それなり…ね」

 

 GNメガランチャーを腰に備えるガンダムセレーネのコックピット内にて、黄緑色を基調(きちょう)としたパイロットスーツに身を包みながら、シエルはアキサムの下手くそな激励(げきれい)に苦笑した。

 

〈それじゃあ、朗報を期待するぜ〉

 

 そんなセレーネの隣を飛翔(ひしょう)する赤と白の色が目立つ戦闘機タイプのマシン。MA(モビルアーマー)形態への変形機構(きこう)を持ち、一撃離脱/先制攻撃戦法を得意とするガンダムメティスだ。

 そして、そのコックピットの中でマイスターのフブキはどこか陽気な()みを浮かべ、鼻歌混じりに眼下の戦況を(なが)めていた。

 

「さて、始めましょうか! ガンダムメティスとフブキ・シニストラの初陣(ういじん)を!」

 

 それは彼女なりの戦意(せんい)を高める為の方法だった。しかし、メティスがモビルスーツ形態へ姿を変えた時、その眼から笑みの色は消えていた。

 

〈セカンドミッション、開始!〉

 

 手始めにセレーネのGNメガランチャーが放たれ、それが開砲(かいほう)となってソレスタルビーイングの武力介入は始まった。

 

 

 その頃、リベリア渓谷地帯に展開(てんかい)していた地球軍のダガー小隊は、レジスタンス勢力の持つストライクダガー相手に完全に優位(ゆうい)に立っていた。

 

 何せ機体の量も質も上、パイロットの腕でさえも差があるのだ。レジスタンスにできるのは、戦闘という名の時間稼ぎが精一杯(せいいっぱい)なのである。

 

〈敵機、反応が消失しました!〉

「よぉーし…。敵部隊の30%をたたいた。このまま一気に殲滅させるぞ!」

 

 そんな彼等の元に天上なる存在が()い降りる。

 始まりは一発のビームだ。それは一体のダガーの左脚を貫き、それを機に次々と光の(はしら)がダガー小隊へと降り(そそ)いだ。

 

〈一体何事だっ!?〉

〈隊長、本部より入電。ソレスタルビーイングが現れました!〉

「何ぃ!? 本当に現れたのか……ソレスタルビーイングッ!」

 

 そして、空から光の尾を引いて現れた白と朱色の機体……ガンダムから放たれたビームがダガー小隊の武装を中心に破壊していく。

 

「止まっていてはただの的だっ…各機、迎撃せよ!」

 

 隊長機であるウィンダムを中心にビームライフルによる射撃を行なっていくが、そのビームの雨を簡単に回避したガンダムは素早くダガーの腹の中に潜り込むと、取り出したビームサーベルで一閃(いっせん)

 

〈ブライアンっ!? くそっ、ガンダムめ!〉

 

 それに対して、ビームサーベルを抜刀(ばっとう)したダガーが突進するが、ガンダムは向かってきたダガーを地面を(すべ)るような動きで回避すると、素早く背後に回り込んでビームサーベルごとその左腕を斬り落とした。

 

〈隊長、ダメです!動きがまるで違います!〉

〈この…うっ、ぐわぁ!〉

 

 そして、振り向き様にビームライフルで残るダガーのメインカメラを破壊すると、流れるような動きで四肢を解体(かいたい)する。

 

 幸いにも倒された三機のダガーのコックピット部は無傷のようだった。あれならばパイロットも無事だろう。いや、()えてパイロットを傷つけないようにガンダムは(ねら)ったのかもしれない。その戦闘スタイルに、噂で聞いたヤキンのフリーダムを思い出す。

 

「全滅だと……くそっ!」

 

 何という性能、何という圧倒(あっとう)的な力。噂に聞いたフリーダムに引けを取らない戦闘能力を前に、ウィンダムのパイロットは震えた。

 

 そして、真っ直ぐに自分へ向かってくるガンダムに、ウィンダムもまたその武装ごと両腕と右脚が破壊された。またしてもコックピット部分は狙われなかったが、片足だけになったウィンダムはバランスを(くず)して地面へ倒れる。

 

「これが……ガンダムか」

 

 倒れたウィンダムを見届けた後、もはや用はないとばかりに背面から光の粒子を噴出(ふんしゅつ)して、この場を離れていく。 

 その光を(まぶ)しそうに(なが)めながら、ウィンダムのコックピットディスプレイはプツリと消えた。

 

 

▽△▽

 

 

「よーし、ミッションクリア」

 

 沈黙した地球軍部隊を見届けて、フブキはメティスを上空へ飛翔させる。

 チラリと別の方角を向けば、そちらではセレーネがGNメガランチャーで猛威(もうい)を振るっており、その威力を前に連合は撤退を決断したようだった。

 

 セカンドミッションの目的は大方完了したと言ってもいいだろう。これでソレスタルビーイングが本気だということが世界に伝わるといいのだが…まぁ、いいか。戦争根絶のためにはまだまだこれからだ。

 

「シエル。こっちは終わったから先に戻って–––––––」

 

 これにてセカンドミッションはクリア。

 一足先に宙域を離脱しようとメティスを加速させようとしてーー。

 

〈…協力を感謝する!〉

「は?」

 

 撤退する連合を追うレジスタンスの集団を見て、取りやめた。

 

 …どうやら、まだセカンドミッションは続いていたようだ。無表情で操縦桿を握ったフブキはメティスの高度を下げると、モビルスーツ形態へ変形させて彼等の前に立ち(ふさ)がるように飛行する。

 

〈敵陣は崩れた。ソレスタルビーイングに続け…っ〉

〈連合め、今までの借りを返してやる!〉

〈ガンダムが味方になれば、お前たちなど–––––〉

 

 そして、すれ違い様にビームサーベルを一閃。ストライクダガーとジンを()()()()()()()()切り裂き、爆散させた。その姿に周囲のレジスタンス達も動揺したような反応を見せる。

 

 全く、何を勘違いしているのか。見飽きるほど放送されていたあのメッセージで、ソレスタルビーイングは一体何を表明していたのかを忘れたのか。

 

「…ああ、もう。ホント、馬鹿ね」

 

 武力による戦争根絶。

 ソレスタルビーイングは全ての戦争行為に対して、介入を行うと。そしてそれは、例えやられていた側の攻撃だろうと例外ではないのだ。

 

 馬鹿げていると世間は反応するだろう。

 戦いの双方に介入するなど、どちらからも反感を買うだけだと。

 

 しかし、そんなことは彼等も承知(しょうち)している。その上で行動しているのだ。

 

 一度で終わらないなら、何度でも介入する。

 戦争が終わるまで、世界が一つになるまで……憎しみが自分たちに向けられるまで。

 

「でも、これが私たちの……ソレスタルビーイングのやり方よ」

 

 ソレスタルビーイング。

 それは、物事を変える時の付き纏う痛みそのものなのだから。

 

 

 





>ユニウスセブン事件について
原作だと強奪事件のすぐ後に発生していましたが、今作ではソレスタルビーイングの活動によって、サトー達が慎重に行動している分遅れているという認識でお願いします。

>ガーディ・ルー何しているの?問題
タグのご都合主義が輝きます。中では、SEED時代のデュエルの如く、不思議な技術によってアビスやガイアの修復が行われていることでしょう。

まぁ、あまり難しいことは考えずに見ていてください。文才ないので、展開考えるのが難しくて…ほんとにごめんなさい
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