【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E. 作:アルテミー
ミネルバから出撃したシン達を出迎えたのは、ジンハイマニューバ2型によるビームの雨だった。
「ゲイル!ショーン!」
〈こんなひよっこ共に!〉
シン達は当然のように回避するが、背後にいたゲイツRは回避しきれずに撃墜されてしまった。
さらに、後方から現れたジンによる不意打ちの重斬刀によって残る一機も真っ二つになって、
「くっそー!こんな奴らに!」
「シン…っ!」
シンがインパルスのスラスターを吹かせて、敵のジンへと突っ込むが、彼等は組織的に散開すると、ユニウスセブンの
「シン…後ろだ!」
「なっ!」
そして、姿が見えなくなって無防備になったインパルスを背後から奇襲。ギリギリでシールドで防御したが、少し遅れていれば直撃していた。思わずシンの背にヒヤリとした冷や汗が流れる。
〈我等の思い、やらせはせんわ! 今更!〉
「気をつけろ…こいつら、ただのテロリストではない!」
レイがビームライフルによって正確な援護射撃を行うが、それがジンに命中することはなく、
「待て!…こんのっ!」
機動力で大きく
「シン、レイ…ああ、もう!」
置いていかれる形になったルナマリアが非難の声を上げるが、こちらにもジンは迫っている。この状況では、ビームライフルで牽制しつつ、眼下のメテオブレイカーを死守する以外に他はない。
「仕方がない。こちらは破砕作業の準備を…」
そして、思わぬ形で戦場へ返り咲くことになったアスランも、できるだけ相手の武装を狙うように留め、随分と久しぶりの戦闘を行っていた。
敵のジンは確かにかなりの手練れだが、対応しきれないほどでもない。メテオブレイカーの防衛はルナマリアに任せ、襲い掛かるジンの無力化に専念する。
しかし、そんな彼等の戦場にも変化が起きる。
突如、アスランと交戦していたジンが撃墜されたのだ。更に、メテオブレイカーを狙って次々とビームが放たれ始める。
「…え?」
「何だ…敵襲!?」
迫り来る緑色と黒色の機体。
識別ナンバーは、カオスとガイアと出ている。アスランも、アーモリーワンで強奪されるのは直接目撃した。ソレスタルビーイングの印象が強かったが、全ての始まりはこの機体達だった。
「こいつら…ええい!」
「あ…おい、お前!?」
こちらへ向かってくるガイアに合わせて、ルナマリアのザクが突撃する。メテオブレイカーを留守にする彼女に思わず声をあげたが、既に戦闘に入ってしまっているため、呼びかけも通じなかった。
「ルナマリア・ホーク!……くそっ」
〈冗談じゃないぜ!こんなところでドタバタと!〉
…仕方がない。
アスランも向かってくるカオスと相対する。
「カオス…こいつも!」
〈あん?〉
カオスは宇宙戦用に作られた機体だ。
MA形態への変形と"機動兵装ポッド"により、宇宙での高機動戦闘は前大戦で活躍したフリーダム・ジャスティス等の機体にも匹敵、パイロットによっては
パイロットのスティングが並のコーディネーターを上回るエクステンデッドだということもあり、慣れない機体・機体性能差も合わせてアスランにとっては久しぶりの手強い相手だ。
「くっ……ええい!」
〈何だこいつ…強い〉
しかし、それはスティングにとっても同じこと。
意気揚々と出撃し、早速ザフトのモビルスーツを撃破したはいいが、その次に現れたこのザクは何かが違う。今までのような
本来なら一撃で沈めるはずのビームを容易く回避し、逆にこちらを的確な射撃で狙ってくる。
「やめろ…!」
〈何なんだコイツは…!〉
機体性能差は歴然なはずなのに、まるでこちらが追い詰められているかのような息苦しさがスティングを襲っていた。
▽△▽
一方、シンは思ったようにいかない状況に苛立ちを
ユニウスセブンは今も地球へ向かって進んでいる。こんな奴らに構っている暇などないというのに!
〈甘いな…そんな戦い方でっ!〉
複数のジンが多角的にインパルスを攻め立て、360°至るところから狙われる形になったシン達は劣勢に立たされている。
「くそっ、なんだこいつら!」
〈全機、この若造共からかかれ!〉
機体性能で大きく劣るはずのジンは、いとも簡単にインパルスの動きを見切ると、ビームライフルで三機かがりで攻め立てる。一機一機ならシンでも対処できるレベルだが、複数相手となると流石に厳しいものがあった。
着いてきたレイも援護に回ろうとしていたのだが、二機のジンが向かって来ていてすぐには合流できない状況だ。とはいえ、二機程度であれば、彼の力ですぐに抜け出せるだろう…だから。
「––––––ここだ!」
〈なにぃっ!?〉
相手の重斬刀の攻撃を見切り、その後ろに回ったシンは、ビームサーベルで重斬刀を持つ右腕を切断する。
敵のジンは、極限まで強化された機動性が売りのようだが、それでも機動性はフォースインパルスの方が遥かに上だ。
突然の奇襲によってペースを乱されたが、落ち着いて当たれば勝てないことはない…!
「時間がないんだ…邪魔だぁっ!」
〈ぐぉぉ!? アリッサァ!〉
フォースシルエットの機動力で接近、防御もままならないジンのコックピットをビームサーベルでとどめを刺し、爆散させた。
「シン!」
すると、レイもジンの包囲網を突破したのか、インパルスとザクは背中合わせになる形で合流する。敵も仲間が撃破されて陣形が崩れたのか、動揺しているように思える。…これはチャンスだ!
「待てシン!」
レイのザクがインパルスを引き止める。
何事かと思えば、目の前を色とりどりのビーム砲撃が通過し、眼前に展開していたジンを
「アビス…あいつらか!」
それは水色の機体。アーモリーワンで強奪されたアビスだった。カオスとガイアは見当たらないが、それを気にする暇もなくアビスはその大火力をこちらに向けてくる。
〈お前らのせいかよ、こいつが動き出したのは!〉
何とか回避したが、そのビームは背後のメテオブレイカーの設置を行っていたゲイツR部隊に直撃してしまう。
「…このままでは間に合わなくなる。シン、アビスはお前に任せるぞ」
「レイ…ああ、任せろ!」
続けて飛んできたビームをシールドで防御。その間にレイのザクは作業及び援助の為にこの場から離脱していく。勿論、それを見過ごすアビスではなかったが、シンがビームライフルで牽制する。
〈へぇ、この僕とサシでやろうって…面白いじゃん!〉
「お前なんかに…!」
ビームサーベルとビームランスが交差する。
近づけばインパルスが、離れればアビスが有利なこの状況。互いに一歩も譲ることなく、混沌とした戦況は更に泥沼化していく。
▽△▽
そして、アスランやシン達が戦う宙域から少し離れた場所にて、二人の少女が各々の機体を駆って激しい戦闘を行っていた。
「くっ…」
〈でぇぇい!〉
ガナーウィザードを装備したザクを駆るルナマリアとガイアを操るステラの戦いは、やはり機体性能差を含めてステラの方へ軍配が上がっていた。
ガナーウィザードは大型ビーム砲と専用エネルギータンクで構成される砲戦型の装備であり、味方の部隊との連携でこそ輝く為、ガイアのように素早く動く相手と一対一で戦闘することは想定されていない。
対して、ガイアはカオスほどとはいかなくても、セカンドステージシリーズの持つ優秀な汎用性によって、宇宙空間でも高機動戦闘が可能だ。
パイロットのステラも強化された人間であるエクステンデッドであり、経験豊富なアスランと違ってルナマリアが苦戦するのも当然であると言える。
「えぇい!」
〈はぁぁ!!〉
ガイアの"ビーム突撃砲"とザクの"オルトロス"の熱線が交差する。
ルナマリアはシールドで防御したが、ステラはガイアをモビルスーツ形態に変形させると、ユニウスセブンの瓦礫を駆けるように進み、動きの止まったザクへ飛びかかった。
〈これで終わりね、赤いの!〉
「なにをっ…!」
しかし、ルナマリアとてアカデミーを"赤"で卒業している。冷静な判断力でオルトロスを引っ込めると、迫り来るガイアをその右脚で蹴り上げるように吹き飛ばす。
だが、ステラはガイアを無理矢理変形させると、ギリギリの斜角でビームライフルを放ち、その光はザクの左脚を
〈くっ、こいつぅ!〉
「な…でもまだ!」
素早く左脚を分離したルナマリアは、シールドに格納されているビームトマホークを引き抜くと、
〈お前っ! 何故墜ちない!〉
「こっちも時間がないのよ!」
それ以降は、互いに決定打のないまま、ビームの撃ち合いが延々と続いていく。
ただただ、徒らに時間だけが過ぎていった。
▽△▽
その頃、イザーク率いるジュール隊は比較的順調に作業を進めていた。
序盤こそ、未武装の状態で奇襲を受けたことで難航していた作業だったが、イザークやディアッカ等の隊長陣が牽制し、厄介だったカオス等をミネルバ隊が対応したことで、何とかいくつかのメテオブレイカーを作動させることに成功している。
しかし、作業は順調でも全体的にみれば計画通りとは言い難い。
敵のジンもだいぶ数を減らしてはいるが、まだまだ執拗に湧きでて来る。イザーク等も健闘しているが、攻める方と守る方では守る方が不利だ。
「急げ!モタモタしてると割れても間に合わんぞ!」
そして何より、タイムリミットは刻々と迫っている。こうしている間にも、ユニウスセブンは地球に向けて落下しているのだ。例えジンを全て倒しても、ユニウスセブンが落ちてしまえば意味がない。
優先すべきはメテオブレイカーを作動させること。
だというのに…、
「ええい、貴様等! いい加減にしろ!」
イザークは、スラッシュウィザードの装備"ハイドラガトリングビーム砲"を向けるが、ここまで来ると残っているジンのパイロットもエース級なのか、ただでは当たらない…だが。
「…ディアッカ!」
「万事OKってね!」
そこをディアッカの"オルトロス"によって狙撃し、爆散させる。長い付き合いの二人だから可能なコンビネーションだ。
「ったく、これで五機目だせ…一体何機いやがる!」
「…このままではキリがないぞ!」
新たに現れたジンをビームガトリングで牽制しながら、イザークは苛立ちを込めて叫ぶ。
彼等の実力を持ってすれば、ジンの部隊を全滅させることも不可能ではないが、既にメテオブレイカーの数も限られている今、確実に破砕させる為にも作業部隊から離れることはできない。
そして、さらに悪い情報が届けられる。
〈隊長、三番隊がメテオブレイカーの設置に失敗したとのことです! 付近にカオスとアビスの姿もあり、援軍を求めています!〉
「何ぃ!? ええい、ミネルバの奴らは何をやっているか!」
このままでは、本当に間に合わなくなってしまう。
作業もまだまだ終わっていない。細かく砕くところか、始めの亀裂すらまだまだ足りていないのだ。
「シホ、お前はメテオブレイカーを守れ! 俺とディアッカもすぐに向かう!」
〈は、はい!〉
ジンはともかく、セカンドステージの二機はとてもじゃないが部下達では止められないだろう。
イザークとディアッカが現場へ向かおうとするが、その前に三機のジンが立ち塞がる。
「くっ…邪魔だ!」
〈我等の悲願、邪魔させてたまるものか!〉
二人の前に立ち塞がったのは、サトー達だった。テロリストのリーダーであるだけはあり、ジンハイマニューバ2型の性能を十分に引き出している。
勝てないことはないだろうが、この急いでいる時には面倒な相手でしかない…!
「くっ…何とかならんのか!」
苛立たしくイザークが叫んだ、その時だった。
《ガンダムアステリア、紛争を確認……根絶します》
突如、戦場に舞い降りる天使。
次の瞬間、イザークとディアッカに取りつこうとしていたジンが2機、飛来した閃光によって瞬く間に撃墜される。
「何だ…っ!?」
目を見開くイザーク。
その瞳に、美しい緑色の粒子を放つ、青色の機体の姿が映った。
「おいおい、イザーク…あの機体って」
「…資料で見たガンダムとかいうモビルスーツか」
アーモリーワンでの一件は、プラント本国でイザーク達も聞いている。映像資料では何度も拝見したが、直接対面するのはこれが初めてだ。
ザフトのセカンドステージすら凌ぐ、謎の機動兵器ガンダム。そして、それを使って戦争根絶を果たさんとする組織…それは。
「来たのか…ソレスタルビーイング!」
混沌とした戦況は、より複雑さを増していく。
カウントダウンが刻一刻と迫るこの非常事態において、ソレスタルビーイングの武力介入は、更なる混乱をザフトに
《……絶対、守ってみせる!》
迫る地球墜落へのカウントダウン。
焼け落ちる死の流星を前に、ガンダムの真価が試されようとしていた。
>サトー達強過ぎない?
少なくとも、奇襲というアドバンテージとヤキンでの経験は彼等が有利を取るのに十分な条件だと思います。まぁ、始めだけでシンやレイには慣れれば突破される程度のものですが…。
>メテオブレイカー
原作より多く破壊されており、作業が遅れています。その分はソレスタルビーイングに頑張ってもらうということで…。
>タイトルについて
感想欄で指摘されたのですが、リボンズの名前があるのに肝心のレクシオが全く登場しないということで、何か別のタイトルも考えようと思います。
ある日、急にタイトルが変わっているかもしれないので、ご注意ください。