【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E. 作:アルテミー
ソレスタルビーイングが所有する基地の一つに、大西洋連邦の
広大な
ここはソレスタルビーイングのエージェントの一人が所有する別荘だ。今の所、本人は不在だが、実働部隊のクラウディオスのクルー達はここを自由に扱うことが許されていた。
「……こちらです」
「ありがとうね、執事さん」
そんな屋敷の大広間にて、彼等は地上でのオペレーションベースを展開していた。
中央正面には巨大なスクリーン。その前には二席分のオペレーションコンソールパネル。脇には最新鋭の演算装置が並列に繋がれている。
「……そろそろ時間じゃないの? お姉ちゃん」
「あ、ホントだ。やるわよ、ヴァイオレット」
そう言ったのは、宇宙からこちらへと降りてきたウェンディとヴァイオレットのヘルシズ姉妹だ。二人とも、地上用のカジュアルな装いを身につけており、側から見ればバカンスに来た女学生のような姿をしている。
そして、彼女達がコンソールキーを叩き始めると、モニター上にとある地図が映し出される。
「これは…キルギスプラントですか?」
「ブレイク・ザ・ワールドの影響って大きいから、ガンダムの出番も多くなっていてね」
「それにしても、いつの間に…」
「ちょっと、ハックしてね」
二人の指が流れるようにコンソールキーを叩き、モニターに映る地球連合軍キルギス基地の地図の上を、ガンダムを示す赤い光点が、ミッションプラン通りに動いていく。
「セレーネ、敵機に視認されたとの報告。誤差マイナス02セカンド」
「メティス、ポイントE33にて敵飛行部隊を捕捉。プラン02通りに迎撃行動を開始」
ガンダムの性能は非常に高い。
次々と連合を襲うテロリスト……ザフト脱走軍の残党を示す光点が消えていく。最新鋭のザクはともかく、旧式のジンやバクゥなどではガンダムに触れることすらできないだろう。
「セレーネ、フェイズ1をクリア。フェイズ2に移行」
「メティス、予定空域の敵航空戦力を制圧。フェイズ2に移行」
「アステリアのミッションプランをC25へ変更」
現在、ミッションに参加しているガンダムは三機。地上にいたメティスとセレーネに加えて、思わぬ事故によって地上へ墜ちたアステリアだ。サルースは非常時に備えて
「…これが、ガンダムの力」
うめく様に、屋敷の主に仕える執事が言った。
彼はガンダムについて何も知らない。ソレスタルビーイングに関しても、主が援助している関係ということしか聞かされていない。
しかし、二年前の大戦を知る彼からすれば、基地一つをたった三機で鎮圧してしまえるガンダムの力はまるで鬼神の如く感じられた。
「ヴァイオレット、アステリア…フェイトの状況は?」
「予定通り、T554で敵部隊と交戦中です」
「そう…あの子、大丈夫かしら」
思わぬ形での大気圏突入、計画に特に影響はなかったものの、フェイトがザフトのパイロットと独断で音声通信を行ったことは厳しく罰せられた。ガンダムマイスターの情報は、太陽炉と同レベルの秘匿義務があるからだ。
誰よりも戦争根絶を望んでいた、妹よりも歳下の少女の気持ちを思えば、ウェンディは心配せずにはいられなかった。
▽△▽
画面の奥で、最後の
頭部を破損し、武装を破壊された機体からパイロットが離脱するのを確認し、GNソードをライフルモードへ折り畳む。
「……………」
アステリアのコックピットの中、フェイトは無言で操縦桿を握っていた。
連合を襲ったテロリストはあらかた殲滅させた。
このタイミングで狙ったということは、宇宙でユニウスセブンを落とそうとしたテロリスト達の仲間…あるいは呼応した志を同じくする者たちと言ったところだろう。
ユニウスセブンが大地に落ちるという史上稀に見ない大災害…ブレイク・ザ・ワールドに見舞われてからというもの、地上では毎日の様にテロ行為が続いている。
インフラが麻痺したところを狙った小悪党のような小規模のものから、今回のようにモビルスーツまで持ち出してくるような本格的な武装組織までと様々だが、紛争を起こすのならフェイト達ソレスタルビーイングは真っ先に行動を起こす必要があった。
ザフト軍のパイロットに独断で音声通信を行ったフェイトは、厳しく罰せられたが、状況が状況だったために今回は皆の判断で不問となっていた。だからこそ、今日もフェイトはアステリアを駆って武力介入を行っている。
「フェイズ2終了。敵部隊の沈黙を確認、これより空域を離脱…ん?」
そのフェイトの言葉は、コンソールの警告音によって遮られた。
「敵襲?」
フェイトが操縦桿を引くと、足元を着弾の土煙が走っていく。上空からの射撃だった。
顔を上げれば、黒色の機体色に黄色く光るツインアイの機体がこちらへビームライフルによる射撃を行いながら近づいてくる。
フェイトは操縦桿とペダルを
「新型…っ!」
しかし、その機体には見覚えがある。
二年前の大戦で活躍したストライクを改修した機体、ヴェーダの戦略分析データで見たストライクEに近い外見をしている。だが、そのバックパックにはデータにないストライカーを装備していた。
そして、それだけでなく…。
「援軍…連合が到着したの?」
そのストライクを援護するように次々と現れる黒色のダガー部隊。おそらくは地球軍だろうが、わざわざ黒色に統一しているあたり何かしらの特殊部隊である可能性が高い。
「なんであれ、沈黙させます」
フェイトはGNソードを展開し、敵部隊の放つビームの雨を避けながら、突入し、ダガーを上下二つに斬り刻んで破壊する。そのまま続く刃でシールドごと右腕を破壊し、左腕で取り出したビームサーベルで両足を切断して無力化。
「……っ!」
更なる攻撃を加えようとして、ストライクの放つビームによって中断を迫られた。ガンダムの運動性で回避するが、その間に陣形を立て直したダガー部隊が連続したビームを打ち込んでくる。
フェイトはそれを完璧に回避するが、それゆえに飛び込んできたストライクへの対応が遅れる。
「ぐっ!」
振り下ろされた対艦刀をGNソードで受け止めるが、姿勢の問題でアステリアがパワー負けする形で地へと落とされる。GN粒子の
とても考え事をしながらあしらえるレベルではない。相手はエースパイロットだ。
「はぁぁ!」
アステリアの胸部にあるジェネレーターが
そして、向上したスピードでストライクに接近。GNソードではなく、ビームサーベルの二刀流で攻撃を仕掛ける。
「ええい!」
ストライクは対艦刀で受け止めようとしたようだが、最大限まで出力を引き上げられたGNビームサーベルは、対艦刀のビーム刃を侵食するように食い破り、実体剣の部分を切断。続けて蹴りを入れ、体勢を崩したストライクの左手首をビームライフルごと斬り刻む。
だが、コックピットに響くアラートが新たな援軍の接近を知らせる。
「…また援軍?」
奇襲とばかりに放たれたビームを回避し、その方向に機体を向ければ、こちらを狙う二つの機体。こちらはデータにある。バスターとデュエルの再改修機体である"ヴェルデバスター"と"ブルデュエル"だ。
しかし、そんな二機のモビルスーツはいずれも損傷している。おそらく他のガンダムと交戦した結果だろう。
〈フェイト、大丈夫?〉
すると、そんなフェイトの元に仲間からの通信が入る。それはガンダムメティス…フブキからだった。
「…はい。エースが一機、苦戦はしましたが問題はありません」
〈そう。こっちもよ。とはいえ、これでミッションは終了ね〉
介入対象であったテロリストは沈黙させた。後から現れた連合の部隊にしても、その大部分をセレーネが殲滅させたはず。敵のエースを撃墜することこそしなかったが、無力化には成功した。ミッションは成功したと言っていいだろう。
「了解です。作戦行動を終了、これより離脱します」
飛行形態に変形したメティスの後を追うように、フェイトもアステリアを黒煙を上げるキルギス基地から離脱させる。その後は、もうビームの一つも飛んでくることはなかった。
▽△▽
キルギス基地を離れて暫く。
大西洋連邦の領空内にて、ガンダムマイスター達は秘匿基地への帰還任務についていた。
「開戦って…本当ですか!?」
アステリアのコックピットの中、フェイトは画面の奥のアキサムの言葉に食い入るように画面を見つめてそう叫んだ。
〈ああ、確定ではないが、ほぼほぼ確定していると言っていいだろう。ヴェーダも俺の予想に賛成しているみたいだ〉
「そんな…」
宇宙に残っているアキサムからの情報。
それは、月の地球連合軍主力部隊がプラントへ攻撃の兆しを見せているという衝撃のものだった。
〈まさかこんなにも世界が愚かだったなんてね…〉
〈連合…というよりは戦争を望むブルーコスモスによる無理な開戦だと思いますが〉
フブキもシエルも驚きの表情を隠さず、激動する世界の流れに己の感情を
二年前の戦争によって、多くの人間が死んだ。フェイトの大切な人たちも皆死んでしまった。そんな思いをしたくない、誰にもさせたくないから戦争根絶のためにガンダムマイスターとなったというのに…。またあのような悲劇が繰り返されるのか。
「………っ」
操縦桿を握る手に力がこもる。怒りと悲しみで身体が震えていた。
〈戦争が始まるってことは、必然的に僕らの出番も増えるわけですね〉
〈まぁ、そうね。そこのところ、そっちはどうなってるの?〉
その声にフェイトは下げていた顔をあげる。
そうだった。戦争が起きるなら、それに介入するのがソレスタルビーイングの役割だ。開戦となれば、地上と宇宙のあちこちでそれが起きることになる。
〈まだヴェーダからのミッションはないが、いずれ俺らも出撃することになるだろうさ。一先ずは宇宙が戦場になるだろうし、お前らもさっさと上がる準備しておけよ?〉
〈えー、この間地上に降りたばかりなのにもう宇宙?〉
〈仕方ないですよ。ガンダムマイスターは多忙ですから…特にこれからは〉
そんな会話をしていると、目的地への反応が近づいてきた。
ソレスタルビーイングのエージェントにして支援者。"シャーロット・アズラエル"の所有する別荘の一つだ。今頃、オペレーターのヘルシズ姉妹が待機しているはず。
〈ともかく、宇宙へ上がる準備をしておけよ。それに、本当に開戦するならそんな軽口も叩く暇もなくなるぞ。一日の猶予はある。しっかり休んでおけ〉
それだけ言うと、アキサムは通信を切った。
同時に、雲が晴れて森林の中に立つアズラエル邸が視認できるようになった。飛行形態から変形したメティスを先頭に、セレーネ・アステリアの順に森林の中にある秘密ドックへ降り立つ。
「休暇って言ってもねぇ。せっかくの地上だし、ここの施設でも楽しもうかしら」
「いいんじゃないですか? 僕もここの図書館に興味がありますし」
コックピットから降りたフブキとシエルがそんな会話をしているのをよそに、フェイトもアステリアから降りていく。二人の視線がこちらへ集まった。
「そうだ。フェイトは何処かないの?」
「…何処とは?」
「ほら、アキサムが言ってたでしょ。一日休暇だって。これからはミッションで忙しくなるでしょうし、プライベートな時間なんてもらえないわよ?」
「それは……」
自分が行きたい場所。
このブレイク・ザ・ワールドの中で、ずっと心残りとして考えていた国がある。
でもあそこは、フェイトにとって一番幸福な思い出と一番思い出したくない思い出が同時に眠っている…"マユ・アスカ"が死んだ国なのだ。
「…オーブ」
フェイトは、もう二年は訪れていない故郷に思いを馳せた。
>ファントムペイン(Stargazer)
特別スポット参戦。
時系列的に登場させられる。
>スウェン
仲間のシャムスとミューディーが緑服以上赤服以下の実力だと考えると、その二人を相手に五分で勝利したスウェンは少なくとも並の赤服パイロット以上の実力者だと仮定。
比較となるのは、ディアッカクラスだろうか。
>ストライクノワール
個人的にめっちゃ好きな機体。
ノワールストライカーの開発時期は、ガイア等の技術が使われているのを見るにブレイク・ザ・ワールド前後である可能性が高いと思う。