【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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クロスロード

 

 

 海上を悠々(ゆうゆう)と進み、こちらへ向かってくる三隻の巨大空母は、そのいずれも本来なら肩を並べて国を守る為に共に戦うはずだった相手である。

 

 タケミカヅチ級大型空母。

 

 オーブ海軍が保有する大型航空母艦(スーパーキャリア)であり、オーブの国防戦略の変化…本土・沿岸の領域警備重視から外洋制圧力強化による積極防衛への転換にともない建造されたものだ。

 

 既に建造されていた四隻が実戦に投入されている。

 だが、1番艦"タケミカヅチ"を除いた2番艦"タカミツガタ"、3番艦"ハヤマツミ"及び4番艦"タヤマツミ"はセイラン側によって運用されており、本来ならば忠誠(ちゅうせい)を誓うはずのカガリに弓引く結果となっていた。

 

「遂に来たか…」

 

 アスハ派に残された1番艦タケミカヅチの艦橋(ブリッジ)において、艦長であるトダカ一佐は、オペレーターからの報告を受けて、低い声で(つぶや)いた。

 

 セイランが離反する前はオーブ護衛艦隊の指揮を()っていたトダカ。

 昔気質(むかしかたぎ)の軍人で、少々癖のある人物だが、それ故に部下からの人望は厚い。

 

「"僕とカガリの意見は一致している。カガリの意思を理解していないのは君たちの方だ"……か」

「…一佐」

 

 それを聞いて副官のアマギ一尉も鈍色(にびいろ)にうねる海原(うなばら)を眺めながら、憂鬱な気分で小さなため息を吐いた。

 

「セイランめ、よくもまぁ、ぬけぬけと…」

「まさか中立の理念を守ってきたオーブ軍が自軍へその矛を向けることになろうとは」

 

 アマギは項垂(うなだ)れる。

 (ほま)れあるオーブ軍人として、いつでも戦場に出る覚悟はできているが、まさか仲間であるはずの自軍と戦うことになるとは、彼等には(なげ)かわしいことばかりであった。

 

「トダカ一佐、やはり我々も戦うべきでは!? このままではオーブはセイランにいいように利用されてしまいます!」

 

 トダカの目が、副官である彼の上に留まる。

 言っても仕方ないことだと理解しつつ、アマギは堪えきれない憤懣(ふんまん)を吐き出す。

 

 アマギは勿論、トダカにもユウナ・ロマ・セイラン…セイラン家に対する根強い強い反感があった。

 軍人である彼等から見ると、ユウナ・ロマは親の威を借りた、口だけ達者な軟弱者(なんじゃくもの)に過ぎない。ウナト・エマに至っては利益の為に人の揚げ足を取ることしかしない政治家の鑑だ。

 

 ウズミの遺志を継いで立ったカガリは、かつて一般兵士と同様の軍事教練を受け、前線に立って戦ったことさえあるのだ。彼女に対する忠誠と同じものを、セイランに対しては抱くことなどできようもない。

 

「ああ、わかっている。だがこれも、国を守るためだ」

 

 トダカは怒ったようなぶっきらぼうな口調で返した。

 

「確かにここで我らが争うのは無駄に犠牲を払うだけ…それは分かっています。しかし、このままでは…」

「わかっている。だが、既にこれは政治の問題なのだ。我々にできることは、もうない」

 

 無駄に戦火を広げ、国を焼くことをトダカ達は望まないし、きっとカガリも望まないだろう。セイラン側が撃ってきていない以上、こちらから発砲もできないのでは、どうしようもないのだ。

 

「……我らには何もできまい。せめて、カガリ様が戻られることを祈るしかない」

 

 軍人である自分達には、国の命令に逆らって戦うことしかできない。

 ならばせめて、カガリがセイランから政権を奪い返してくれることを願うしかない。

 

 そう思い、アマギもせめてもの希望にしがみ付くように力強く頷いた…その時だった。

 

「これは……艦長、接近する機影があります!」

 

 次の瞬間、セイラン側で警護にあたっていたM1アストレイが一機、赤い光に貫かれて爆発した。

 

「なに!?」

 

 トダカ達が視線を向けると同時に、何本もの赤い光が次々とM1を貫いていき、黒煙を上げて海へ墜落する。

 

「光学映像、でます!」

 

 モニターに映るのは、右腕に剣を装備する青と白のモビルスーツ。

 

「やはりガンダムか!?」

 

 セイランによる戦争幇助(ほうじょ)行為に対する返答として、ソレスタルビーイングが武力介入を開始したのだ。

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 武力介入を開始した途端、オーブ艦隊(かんたい)から一斉にミサイルが打ち上げられた。

 フェイトはアステリアを駆ってその合間をくぐり抜け、どうしても避けきれないものはGNバルカンで迎撃する。

 

「…………っ」

 

 フェイトは空を覆うように押し寄せてくるモビルスーツの群れに、瞬く間に迫る。先頭にいたのはM1"アストレイ"だ。

 

 見慣れた–––––郷愁(きょうしゅう)さえ誘うその姿に、一瞬トリガーに置いた指が止まる。何も知らなかった幼い日、その機体はオーブに住む全ての少年の憧れだった。兄がその機体のパイロットを目指していたのを思い出す。

 

 ––––––オーブ連合首長国。

 

 フェイトの故郷。今は亡き家族が眠る場所。生き別れた兄がいる場所。

 

「–––––違う!」

 

 あれはフェイトの愛していたオーブではない。

 連合に踊らされ、セイランに利用され、今再び国を焼こうとする"世界の歪み"そのものだ!

 

「…アステリア、目標を駆逐する!」

 

 怒りが躊躇(ためら)いを凌駕(りょうが)した。

 フェイトの指に力がこもり、トリガーを引き絞る。ライフルモードのGNソードの銃口からビームが(ほとばし)り、向かってくるM1アストレイを貫いた。

 

 追加フライトローターである「シュライク」を装備したM1アストレイがこちらへビームライフルを撃ってくるが、それはこちらに当たることはない。

 

 GNソードを展開し、空中を泳ぐように飛行してM1を一閃、撃墜する。

 

 シュライク装備によって空戦能力を得たM1アストレイだが、元は二年前の機体。その性能は旧式の域を出ない。ガンダムは勿論、連合のジェットストライカーにも劣っている。ガンダムの敵ではない。

 

『敵モビルスーツ出撃を確認。オーブ軍主力モビルスーツ「ムラサメ」だと思われます』

 

 敵タケミカヅチ級大型空母から次々と戦闘機形態のMS(モビルスーツ)、"ムラサメ"が飛び立ち、こちらへと向かってくる。

 

「そんなもの…!」

 

 変形機構を有し、従来のモビルスーツを超える空戦能力を得ているという。

 白兵戦を得意とするアステリアには相性の悪い相手だが、ガンダムメティスほどではないだろう。未だに機体性能差は歴然(れきぜん)としている。

 

 ムラサメは翼部に搭載しているミサイルを発射し、機関銃(バルカン)を放ちながら突っ込んでくるが、フェイトは操縦桿(レバー)を動かして回避。

 背部に回ると、腰部のGNブレイドを取り出して縦に両断する。それから僅かな間をあけて機体は爆発四散した。

 

「………っ」

 

 故国の機体を破壊することに思うところがないわけではない。

 だが、彼等はその故国を裏切ったも同然のセイランについた軍人達なのだ。連合に従い、言いなりとなって生き延びることを選んだ人間たち。

 

 それは、フェイトにとって断じて許せるものではなかった。

 

「貴方達は…本気でっ!」

 

 一機ムラサメを撃墜すれば、更にその倍以上のムラサメやアストレイが現れ、放たれたミサイルやビームの数々が雨のようにアステリアへ降り注いでくる。

 

「数が多い! くっ」

 

 それらを迎撃、或いは回避しながらもフェイトは敵機を一体ずつ撃墜していく。

 

 だが、いかんせん数が多い。

 殲滅戦の得意なセレーネには頼れず、火力の高いサルースはパイロットが並行した別ミッションに(おもむ)いているために暫くの間は合流は難しい。

 

 しかし、ヴェーダの予測ではアステリア一機で遂行可能と予測されているのだ。強引に作戦決行を決めたフェイトをクラウディオスのメンバーが認めたのも、その理由が大きい。

 

 なのに、フェイトは今オーブの軍勢を前に追い詰められていた。撃墜されていないのは一重(ひとえ)にアステリアの性能故だろう。

 

「これは機体のせいじゃない…私の気持ちがっ」

 

 未だこの後に及んでも、自分は力を出しきれずにいる!?

 

 形は違えど、あのオーブが自分を攻撃してきているという事実は着々とフェイトのメンタルを削っていた。

 

 これが現実。これこそが裏切り。

 割り切れたつもりになっていたのは自分だけであった。

 

 –––––やっぱり、自分達はオーブに捨てられたの?

 

 そんな気持ちがフェイトに一瞬の隙を作り出した。

 気づけば回避し損ねたミサイルが着弾。それを機にどんどんと機関銃(バルカン)とビームが被弾していく。

 

「……うぐっ!」

 

 コックピット内で警報音(アラート)が響く。

 これしきのことで破壊されるガンダムではないが、ダメージは段々と蓄積(ちくせき)されている。

 そして何より、激しい攻撃の衝撃がパイロットであるフェイト自身にダメージを与えているのだ。

 

 このままでは、時間が間に合わずにミッションは失敗する。

 そうなれば、セイランが主権を握ったオーブはますます大西洋連邦と癒着(ゆちゃく)し、プラントを撃とうとその武力を振るうだろう。そうなれば、今度はザフトとの戦闘でかつてのオーブ解放作戦のようなのが起きかねない。

 

 あのような悲劇がまた繰り返される?

 

 そんなこと…そんなこと!!

 

「–––––させるもんかぁぁぁっ!」

 

 その瞬間、頭の奥でなにかが弾ける音が聞こえたような気がした。

 同時に全方向に視界が広がり、周囲の全ての動きが指先で触れられそうなまでに精密に感じ取れる。まるでどこかでスイッチが切り()わり、時間が止まったかのようだ。

 

 フェイトは素早く機体の体勢を立て直し、海上すれすれを飛行する。

 飛んでくるミサイルも再生速度を緩めたかのようにスローモーションに見える。今のフェイトにとって無数のミサイルも飛び交うビームも見切ることは容易だった。

 

「アステリア、目標を…破壊する!」

 

 GNバルカンで迎撃し、爆散したミサイルの爆風を抜けてその奥にいるムラサメをGNソードで()ぎ払う。同時に腰部のGNダガーを投擲(とうてき)し、二機のM1アストレイを沈黙させる。

 

「まだっ!」

 

 敵巡洋艦からの砲撃を機体を転身させることで回避し、砲撃の隙間を()うように進んで接近する。その変則的な動きは、GNドライヴを搭載するガンダムだからこそ可能な操縦技術である。

 

「はぁぁぁっ!」

 

 ライフルモードにしたGNソードで敵巡洋艦の火器を破壊して無力化し、発生した爆炎を切り裂くように展開したGNソードで艦橋(ブリッジ)を薙ぎ払った。

 

 巡洋艦が沈黙し、乗組員が脱出する間もなく海に沈む。

 

 けれど、アステリアは止まらない。

 すぐ目の前に会った次の巡洋艦に狙いを定め、行く手を(はば)むアストレイやムラサメを蹴散(けち)らして突き進む。

 

 GNソードを振るい、ビームサーベルで切り、GNブレイドで突き刺す。

 

 何機の機体、何隻の艦を(ほふ)ったかは分からない。

 

 気づけば、フェイトは全ての巡洋艦を葬り、その先の四隻の空母にまでその刃を向けていた。

 

「これで…最後っ」

 

 四隻あるタケミカヅチ級大型空母。そのどれかにユウナ・ロマ・セイランに乗っているのだ。奴を倒せば全ての戦いが終わる。

 

 フェイトは両腕にGNブレイドを構え直し、敵空母に向かってアステリアを急降下させていく。

 

 だが、その切っ先が艦橋(ブリッジ)に届く寸前、横合いから来た青い衝撃によって海中へと叩き落とされた。

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

「なにをしている!? 敵のモビルスーツはたったの一機だ! どんどん追い込め!」

 

 タケミカヅチ級大型空母二番艦である"タカミツダカ"の艦橋(ブリッジ)では、ユウナ・ロマ・セイランが口から泡を飛ばして怒鳴っていた。

 その怒りようは、とても先程まで自室で船酔いで嘔吐していたとは思えない。

 

 –––––つく陣営を間違えたか?

 

 タカミツダカの艦長であるマホロ二佐は、どうしようもない己の上官に内心でため息を吐きつつも現状の戦局にある程度の納得と諦めの心を持っていた。

 

 敵はソレスタルビーイングのガンダムである。

 ユウナはたったの一機というが、そもそもその一機で世界に喧嘩を売ったのが彼等であり、それだけの力を持つ機体ということでもある。

 

 だからこそ、数を生かした波状攻撃で一時的に封じ込めることができた時は「もしや」とも思ったが、結局はこうしてたった一機に追い詰められている。

 

 だが、ユウナは現実を理解できていない。

 納得できずに、怒りで顔を真っ赤に染め、今にも癇癪(かんしゃく)を爆発させて暴れ出しそうだ。

 まるで、彼の目論見(もくろみ)を邪魔するために、こちらのパイロットがわざと負けているとでも言うかのようだ。

 

 マホロは気付く。

 この男はこれまで、思い通りにならぬことがなかったのだろう。そういう人間にとって世界は、彼の望みを実現するドラマの書割に過ぎない。彼は失敗する可能性など考えていない。失敗を知らずに育ったから、そういうものの実在を頭から否定するのだ。

 

「モビルスーツ隊、全機発進!」

「は…しかし、それは」

 

 ユウナが青筋を立てて命じ、マホロは躊躇った。

 

 いくら出撃させても無駄だ…と彼には分からないのだろう。

 無駄に命を散らすだけだというのに。それとも政治家の彼にとって戦場の命などどうにも思っていないのか。

 

「これは命令だぞ!」

「しかし!」

 

 早い話、マホロは適当なところで白旗をあげて降参するつもりであった。既に前衛を担っていた巡洋艦が全て没している以上、これ以上は兵士たちに無駄な血を流させるだけに過ぎない。

 

「お前、上官の命令を忘れたのか! その更に上の立場の僕が命令しているんだぞ! 言うことを聞け!」

「くっ…」

 

 ユウナが居丈高(いたけだか)に叫んだ、その時オペレーターがハッと息をのんだ。

 

「敵モビルスーツ、本艦に接近!」

 

 モニターに映すまでもない。

 肉眼で確認できる距離にまで近づいたガンダムがその剣先をこちらへ向けている。

 

「なにぃ!?」

 

 ユウナのうわずった声にかぶせて、マホロは命じた。

 

「迎撃! とりつかせるな!」

 

 しかし、その今から回避するにはあまりにも遅い。

 間に合わない–––––マホロの背筋が冷たくそそけ立つ、まさにその時。

 

 艦橋(ブリッジ)を斬りさかんとしたガンダムが横から現れた青い何かによって海中へと蹴り落とされた。

 

「なんだと…?」

 

 水飛沫(みずしぶき)が消えた時、マホロ達の前に()()はいた。

 

 こちらを背に、十枚の翼を広げて舞い降りたのは–––––。

 

 彼は低く、オーブの守護天使の名を唱えた。

 

 

 

「–––––"フリーダム"……!」

 

 

 

 

 

 

 

 





>フェイト(マユ)
初種割れ。以後、ガンダム無双。
これでもシンより弱いぞ?

>トダカ
普通に考えてアスハ派なので、こっち。

>マホロ
オリキャラ軍人。
トダカの代わりにアホの面倒を見ることに。

>ユウナ
アホ

>青い翼のお兄さん
見てられなかったので…

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