【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

4 / 90
天使降臨Ⅱ

 

「何だコイツは…っ!」

 

 目の前に音もなく静かに()()りた謎の機体。頭部の形状を見るにガイア等の新型と似通った見た目をしていることが分かる。しかし、この機体の索敵では『Unknown』と(うつ)されるだけ。新型の筈のガイアにもデータがない謎のモビルスーツ。

 

 "ヴァジュラビームサーベル"を構えるガイアだが、それにも関わらずに目の前の機体は微動(びどう)だにしない。まるで電源を落とされた機械(きかい)のようにただ立っているだけだ。

 

「コイツも…ザフトかっ!」

 

 しかし、先程こちらにビームを撃ってきたということは敵だ。敵が乗っているのだ。いや、そもそもこの場所に自分達以外に味方などいるわけがない。何せここはザフトの軍事基地で、自分たちはそこから機体を奪った強奪犯なのだから!

 

「えぇぇい!」

 

 ビームサーベルを突き出すように構え、敵に向かってガイアを突進させる。先程のザクのような油断なんてもうしない。全力で目の前の敵を()しにいくだけだ。

 

 敵機との距離(きょり)が近づく。間もなくビームサーベルが機体の装甲を切り裂く位置だ。にも関わらず目の前の敵は身じろぎひとつしない。機体の整備不良だろうか。

 

 しかし、ステラはそんなことを知らないし気にしない。そのまま敵機体を破壊しにいく!

 

 –––––––––もらった!

 

 だが一瞬の後、ステラの目が大きく見開かれた。

 

「なっ–––––」

 

 ステラが気づいた時には、既に敵機の右腕が大きく空に向かって()り上げられていた。見ると、敵の右腕に折り(たた)まれていた刀身が腕を延長するように真っ()ぐに伸びている。

 

 ガシャンッ、という(くだ)けた金属音が聞こえた。

 

 ガイアのコックピットモニター、その左(なな)め下のところにビームサーベルを握ったままのガイアの右手首が残骸(ざんがい)となって転がっているのが見えた。

 

「ぐうっ、何だこれは!?」

 

 ガイアはバルカンを放ちつつも後退(こうたい)するが、目の前の機体には傷一つ付かず、返す左腕に握られたビームサーベルの(やいば)がバルカンを放つガイアの頭部を切断する。まるで一陣(いちじん)の風が舞ったように、一瞬の内の出来事だった。

 

「ステラ!」

 

 アビスからの援護射撃が入るが、それを目の前の機体は剣と一体化したシールドで防御。その間にステラはガイアをMA(モビルアーマー)形態に変形させて離脱する。

 

「どういうことだ?あんな機体の情報は…っ!」

 

 しかし、アンノウンはMA(モビルアーマー)形態のガイアを上回る機動性でアビスに接近。アビスはその火力で迎撃するが、アンノウンはビームの雨の隙間(すきま)()うようにかわしていく。

 

「クソッ、何なんだよコイツはっ…!」

 

 アビスは火力だけは前世代機である"フリーダム"をも超える性能を(ゆう)しているものの、得意フィールドである水中以外では機動性は他の二機にやや(おと)る。

 

 それ故に懐に入り込まれたアンノウンに対抗する術をアウルは持ち得なかった。唯一の近接武装である"ビームランス"で攻撃を仕掛けるものの、アンノウンは華麗(かれい)に回避し、逆に右腕の実体剣でアビスのビームランスを破壊される。

 返しの攻撃は何とか受け切れたものの、対ビームコーティングされた筈の両肩部のシールドには()(ただ)れた傷跡が付いていた。

 

「アウルっ!」

 

 仲間の窮地(きゅうち)にスティングが駆けつけ、カオスの機動兵装ポッド内部のミサイルを発射する。先程はザフトのモビルスーツの多くを(ほうむ)ったミサイルの雨だったが、アンノウンは冷静に剣を収納(しゅうのう)。両腕から目にも止まらぬビームマシンガンが発射され、ミサイルは全て撃ち落とされた。

 

「チッ、こりゃどういう状況だ…ネオのやつ!」

 

 おかしい。地球軍の特殊部隊である"ファントムペイン"の"エクステンデッド"が三人に加えて、その全てがザフトの新型機に搭乗している。にも関わらず、三人はたった一機の謎のモビルスーツに圧倒(あっとう)されていた。

 

 

▽△▽

 

 

 アーモリーワン内部で新型の強奪(およ)びアンノウンモビルスーツの戦闘が始まったのと同時刻。アーモリーワン外部宙域でもまた、激しい戦闘が始まっていた。

 

 争っているのは、アーモリーワンに駐留(ちゅうりゅう)していたナスカ級二隻、ユーラシア級一隻のザフト軍とライブラリーの照合(しょうごう)には適合(てきごう)しない謎の新型戦艦だ。

 

 名を"ガーディ・ルー"という地球軍の新型艦は、ユニウス条約で禁止された(はず)の技術"ミラージュ・コロイド"を使用し、ザフト軍を奇襲(きしゅう)。不意打ちからの主砲の"ゴットフリート"の一撃でナスカ級一隻を撃沈(げきちん)させた。

 

 しかし、ザフトもただではいかない。港に(ひか)えていたナスカ級及びユーラシア級を前線に出し、現ザフトの主力機であるゲイツRを次々と出撃させる。

 

「ユーラシア級撃沈!」

右舷(うげん)後方よりゲイツ3…いや、5!」

「正面にナスカ級を(とら)えました!」

 

 そんなガーディ・ルーのブリッジ内は、迎撃の為に現れたザフト軍の対応に()われていた。初撃でナスカ級を一隻、続いてモビルスーツ隊によってユーラシア級を今しがた撃退したものの、状況は好調(こうちょう)…というわけにもいかない。

 

「アンチビーム爆雷(ばくらい)発射と同時に加速20%…10秒。1番から4番、スレッジハマー装填、後に迎撃しろ」

 

 だが、ガーディ・ルーの艦長イアン・リー少佐はあくまでも冷静に指示を出す。彼等は地球軍であると同時に特殊部隊ファントムペインに所属する人間である。目的のためなら何でもする彼等にとって、この手の法外(ほうがい)な電撃作戦はお手のものだった。

 

「ゲイツはモビルスーツ隊に対応させろ。ナナバ機とヘルガ機を応援に向かわせる」

 

 ガーディ・ルーのカタパルトから二機のモビルスーツが発進していくのをブリッジから見届けながら、イアンは隣に立つ己の上官へ視線を向けた。

 

「…彼等は失敗ですかね?港を潰したといってもあれは軍事工廠です。長引けばこっちが保ちませんよ?」

 

 イアンの言う"彼等"とは、わざわざザフトの軍事用コロニーに攻め込んでまで手に入れる必要があった新兵器を強奪する為にアーモリーワンに潜入した部下の三人の子供達のことだ。

 彼等(かれら)の能力はイアンも認めているが、軍人としての精神性は全く信用していない。潜入時についボロが出てザフトに拘束されていたとしても驚かない自信がある。

 

 それらを含めて、イアンは皮肉(ひにく)るように言った。

 

(わか)ってるよ。だが失敗するような連中なら、俺だってこんな作戦最初っからやらせはせんさ」

 

 戦場にそぐわない陽気(ようき)な口調とともにそう言ったのは、不気味な仮面で顔の上半分を(かく)した男。彼こそが、潜入した彼等ことエクステンデッドの子供達の上官であり、この部隊を指揮するネオ・ロアノーク大佐その人である。

 

「だがまぁ、このままじゃ(らち)があかんな」

 

 このままザフト相手に戦いを続けていても時間の無駄(むだ)だ。何せこちらにはタイムリミットがある。ミラージュ・コロイドによる奇襲のおかげで今はこちらが優位(ゆうい)に立っているが、それも時間の問題だろう。

 

 それはネオもよくわかっていることだ。(あご)に手を当てて幾分(いくぶん)か考え込んだ末、ネオは決断した。

 

「…よし、俺が出よう」

 

「大佐がですか?」

 

 現状、ザフトとこちらの戦局(せんきょく)は五分五分に近い。

 元々の戦力差は大きいが、あちらはミラージュ・コロイドの奇襲による混乱から立ち直っておらず、さらにあちらが出してくるのは旧式(きゅうしき)のジンやシグー、良くてゲイツR程度ばかり。こちらのダガー部隊が有利を取っている状況だ。そこにネオが加われば戦局は更にこちらに有利になるだろう。

 

「俺を出した後、ゴットフリートで前方のナスカ級を狙え。墜とせなくてもいい、当てさえすれば後は俺が何とかする。出来るな、イアン?」

 

「ハッ!」

 

 ブリッジを出るネオを敬礼で見送ると、イアンは命令通りに火器管制(かきかんせい)に主砲の射角(しゃかく)を取らせる。そして、ガーディ・ルーの二基の主砲ゴットフリートが旋回(せんかい)し、前方のナスカ級へと照準を定めた。

 

「照準…射角固定まで残り10」

 

「カタパルト用意…エグザスが出るぞ!」

 

 程なくして、ガーディ・ルーの左舷(さげん)下から赤紫(あかむらさき)色のMA(モビルアーマー)"エグザス"が出撃していく。かつての地球軍の主力機"メビウス・ゼロ"の流れを()むその機体は立ち塞がったシグーを呆気(あっけ)なく撃墜すると、彗星の如く敵母艦へと飛んでいった。

 

「照準固定…艦長、いつでも撃てます!」

 

「目標前方ナスカ級…ゴットフリート、撃てぇ!!」

 

 そして、イアンの号令の元、ガーディ・ルーの主砲であるゴットフリート…計4門からなる強力なビーム砲がナスカ級目掛(めが)けて放たれた。

 

 狙いは完璧だ。射線上(しゃせんじょう)のジンを何機か巻き込む形で放たれたゴットフリートを(のが)れる(すべ)をザフト側は持たない。このままいけば、ほぼ間違いなくナスカ級のブリッジを破壊できることだろう。

 あの仮面の上官には、()とせなくてもいいと言われたが、()とせるなら()とせたほうがいいに決まっている。

 

 既に脳内ではナスカ級の撃沈を確信していたイアンだったが、現実はそうはいかなかった。ナスカ級を貫く直撃コースだった筈のゴットフリートがその直前で斜め上に()()()

 

「な、何だ!?何が起こった!?」

 

 イアンの見間違え…目の錯覚(さっかく)でなければ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「映像、出ます!」

 

 やがて、ガーディ・ルーのブリッジに正面のナスカ級が(うつ)される。弾かれたと言っても無傷ではないようで多少の損傷箇所(そんしょうかしょ)あれど、全くの健在だ。

 だが、イアンが注目(ちゅうもく)したのはそこではない。そのナスカ級の手前に立ち塞がるように現れた小さな反応。それは戦艦でも何らかの防御兵器でもない。

 

 それは…。

 

「モビルスーツだとっ!?」

 

 それは、モスグリーンと白を基調としているのが見てとれた。右腕にはおそらくは砲撃装備だと思われるライフルを持ち、左腕はちょうど角度の問題でこちらからは見ることができない。しかし、腕を隠すほどの両肩部のシールド部分?から(あふ)れる緑色の粒子がベールとなって機体全体を(おお)っているのを見ることができる。

 

 それは確かに人型の形状した兵器…モビルスーツであり、頭部にはGATシリーズ等と同じく(みどり)色に光るツインアイが鋭くこちらを見つめていた。

 

『ガンダムセレーネ…作戦行動を開始する』

 

 周囲を覆う粒子フィールドの中、その機体"ガンダムセレーネ"のコックピットにて、中性的な少年がそう言うと同時に頭部のツインアイがきらりと(きら)めいた。

 





インパルス「俺の出番は?」
→本当にごめん。次で絶対出すから許して

ガンダムに傷付けられた記念すべき機体は…ガイアっ!
パイロットのステラちゃんには、炭酸こと『不死身のコーラサワー』の加護を与えます。なのでどうか長生きして幸せになってください。

アステリア、セレーネ等のオリジナル機体については後々に記載するのでしばしお待ちを。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。