【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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ダーダネルスの死闘Ⅱ

 

 

 J.P.ジョーンズで、両者の戦いを見守っていたネオは苦々しい表情で口を開いた。それはネオ以外の将官たちも同じであり、この戦いが彼等にとって本意でないことをよく表している。

 

「また新型とは…ザフトめ、聞いてないぞ」

 

 敵なのだから当然なのだが、自分たちと比べて明らかな待遇(たいぐう)の違いに不満を持たずにはいられない。

 

 特に次々とウィンダムやダガーを撃墜するあの翼持ちの機体は異常だ。今のファントムペインのエースであるカオスでさえ相手になっていない。頼みの(つな)のモビルスーツ部隊もミネルバの艦載機に守られて一太刀も()びせられないでいる。

 

 予定では、ザフトの主力である紅い可変機と合体する白い機体をカオスとアビスで抑え、ウィンダム・ダガー部隊でミネルバを攻撃するはずだったのだが、それがあの新型によって大きく(くる)わされた。

 

「様子見のつもりだったが、まさかここまでとはねぇ」

 

 本来なら、既に一度撤退を宣言するところだが、自分たちの飼い主であるジブリールはそれを許すつもりはない。

 もしそうなれば、当然失敗続きのネオは解任。ステラたちエクステンデッドは新たな道具として、より非人道的な扱いを受けるだろう。ネオとしては、それだけは避けたかった。

 

「よし、控えのモビルスーツ部隊全てだせ」

「はっ…しかしそれでは」

「何悠長なこと言ってんの。このままだと相手に流れを持っていかれるぜ?」

 

 いや、既に持っていかれかかっている。

 実際はこちらから仕掛けたはずなのに、既にこちらが追い詰められているのだ。このままでは志気にもかかわる。

 

「それに、ここで引くことなんて俺たちに許されるわけないだろ」

「っ!」

 

 ここで撤退してもジブリールは決してネオたちを許さないだろうが、新型相手に奮戦(むな)しくとなれば話は別だ。彼が自信満々に言っていた"増援"が全くもって役に立たなかったことを知れば、彼とてネオだけを責めることはできまい。

 

「ほら、ザムザザーとゲルズゲーも出せ。俺とステラも出る」

 

 言っては悪いが、彼等増援部隊はネオにとって生け贄だ。せいぜいミネルバを消耗(しょうもう)させ、ヘイトを買ってもらう。そして、自分たちは激戦の末になんとか撤退する。それが今のネオに許された唯一の方法だった。

 

「それに、もたもたしてると"あいつら"がくるぜ…」

 

 そう、ネオたちの目標はミネルバだが、敵は彼等だけではない。ネオが恐れる真の敵は別にいる…それは––––。

 

「熱源接近! これは…ガンダムですっ!」

「チィッ! おいでなすったか!」

 

 やはり来たか…ソレスタルビーイング。いつもいつもご苦労なことだ。

 

 ネオは厄介な存在が現れたと仮面の下で顔を(しか)める。ただでさえザフトの新型モビルスーツに苦戦しているというのにガンダムが4機も戦場に現れるなど…。

 

 スティングやアウルには手早く帰還してもらおう。負ける戦いに無理をする必要はない。

 せいぜい、ジブリールご自慢のモビルアーマーたちが代わりに仕事してくれることを祈ろうじゃないか。

 

「ジョーンズは前に出るなよ、死ぬぞ! いいな!」

「は、はっ!」

 

 慌ただしくなるブリッジへ指示し、ネオは格納庫(ハンガー)へ向かった。

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 遂にソレスタルビーイングの武力介入が始まり、戦場は混沌さを増している。

 

 連合の艦隊から異形のモビルアーマー、ザムザザーとゲルズゲーが飛び出し、空からはレイダー、海からはフォビドゥンヴォーデクスが出撃する。それを率いるのは隊長機と思われるストライクEと強奪された最後のセカンドステージシリーズであるガイアだ。

 

 対して、それらに単身突っ込んだアスランは、その物量にやや怯(ひる)みながらも、その類稀(たぐいまれ)な操縦センスとインフィニットジャスティスの性能差によって互角以上に渡り合っていた。

 

「…っ!」

 

 上空から雲を切り裂いて現れたレイダーの砲撃を回避しつつ、ライフルでミネルバへ向かうストライクEを牽制(けんせい)する。

 地上からガイアがビームを放ってくるが、アスランは"ファトゥム01"を分離して回避し、ストライクEへのオールレンジ攻撃に使用。

 その間にレイダーとの距離を詰め、すれ違い様にビームサーベルを一閃した。その光刃(こうじん)は正確にレイダーのコックピットを()いでいる。

 

 その隙に母艦を…と思ったアスランの前を一筋のビームが(さえぎ)った。

 

「なにっ?」

 

 更に連合側にもビームが降り注ぎ、ストライクEとガイアを戦場から引き離し、回避が遅れた残る一機のレイダーを撃墜する。通常の射撃精度ではない…これは。

 

「ソレスタルビーイングか!」

 

 それは、空から舞い降りる戦闘機––––いや、モビルスーツ。セイバーと同じく変形機構を持つ"羽付き"と呼ばれる朱色(しゅいろ)のガンダムだ。

 

 さらに、ミネルバからの通信で4機のガンダムが現れたということを知る。今まで2機ずつだったことを考えると、今回は異質だ。連合の軍勢はともかく、シンとアスランの新型機のことまで把握(はあく)していたというのだろうか、彼等は。

 

 …途端にミネルバが心配になる。

 ハイネが付いているとはいえ、ガンダムを相手にグフではどうにもならない。他のガンダムも現れたということだし、慣れない機体に乗るレイやルナマリアも心配だ。速やかにミネルバに戻る必要がある。

 

 そして、そのためには、目の前の機体を振り切らなければならない。セイバーに乗っていた頃は変形を活用して互角に渡り合うのが精一杯だった羽付き。その機体性能は未だに未知数(みちすう)だ。

 

「だが、やるしかないっ」

 

 分離していた"ファトゥム01"と再びドッキングし、アスランは腰から"シュペールラケルタ ビームサーベル"を抜くと、ガンダムに向けて加速した。

 すると、それに呼応(こおう)するようにガンダム側もビームサーベルを引き抜き、ジャスティスを上回るスピードでこちらへ向かってくる。

 

 –––––やはりスピードはあちらが上か!

 

 アスランはジャスティスでもっても追いつかない敵のスピードに歯噛(はが)みする。アスランが知る限り、ザフトでの最高速度を持つ機体はデスティニーだが、おそらく大気圏内での羽付きの機動性はそれよりも上だ。

 

 それでも、ここで引くわけにはいかない。

 今の自分は、"ザフトのアスラン・ザラ"であり、プラントの剣なのだから。

 

 光刃を(きら)めかせて打ちかかってくるガンダム。アスランもまた決意を胸に、ビームサーベルをその機体に斬りつけにかかった。

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 押し寄せるウィンダムに、シエルはGNメガランチャーを容赦(ようしゃ)なく発射した。敵はシールドで防ごうとしたようだが、圧縮されたビームはシールドごと貫通して機体を貫き、空中で四散した。

 

 連合軍のパイロットの中に自分と同じ強化人間がいる可能性は高い…が、今はそれを思考の外に置く。それを考えるのは機体を降りた後だ。

 

 シエルは冷静な表情でGNメガランチャーを構えた。

 死角からダガーが()ってきたビームをGNフィールドで防ぐ。現在連合軍にフィールドを抜く武装はないため、まんまとセレーネにGNメガランチャーのチャージを許してしまっている。

 

「チャージ完了まで…10、9」

 

 砲口(ほうこう)から放たれた戦艦の主砲と同等以上の火力が牙を向く。狙いは地球軍の戦艦だ。主力部隊はミネルバを狙いに行ったために不在であり、ザフトの新型はメティスが引きつけている。そして、ダガーやウィンダムではセレーネを止めることはできない。

 

「セレーネ、GNメガランチャー、撃つ」

 

 そして、それが解放される。

 圧倒的な光の柱が突き進み、射線上にいたウィンダムを巻き込んで地球軍の戦艦を呑み込み、(またた)く間に海の藻屑に変えた。即座に続く二射目を放ち、連合の空母は残り二隻となる。

 

 これで終わりだ、とシエルが引き金を引こうとしたその時、海岸線からビームを浴びせられた。即座にGNフィールドを展開し、シエルは撃ってくる敵を見定(みさだ)める。

 

 いつの間にか空母から陸に飛び移ったのか、黒い四足獣型のモビルスーツが背面砲とライフルでこちらを狙っている。ザフトから奪取(だっしゅ)された機体の一つ、ガイアだ。

 

「あれは…」

 

 ガイアはこちらへとビームを放ちながら近づいてくる。

 シエルはそれを回避しながらGNメガランチャーを発射するが、ガイアは絶妙(ぜつみょう)なタイミングでモビルスーツ形態へ変形して急制動をかけると、ビームを回避してビームサーベルを片手にこちらへ接近戦を仕掛けに飛びかかってきた。

 おそらく、GNメガランチャーを見て接近戦が不向きな機体だと考えたのだろう。

 

「………」

 

 確かにガンダムセレーネは砲撃・狙撃を得意とした機体だが、生憎接近戦ができないわけではない。ガンダムの売りは汎用性の高さにあるのだから。

 

 シエルはGNメガランチャーを投げ捨て、逆にガイアに向けて急加速する。まさか接近戦を仕掛けてくるのとは思わなかったのか、間合いを乱されたガイアの動きが鈍る。

 

 シエルはその(すき)を見逃さない。ビームサーベルを引き抜くと、逆にガイアの右腕を切り裂き、返す(やいば)でコックピット周辺を引き裂いた。

 

 しかし、ガイアのパイロットも手練(てだ)れなのか、上手く機体を()らされたせいでダメージは小さい…だが!

 

「浅い…けど、動きは止まった!」

 

 無防備になったガイアの両手足及び背面砲を切り裂いて無力化し、シエルはトドメを刺そうとする。当然だ。これはソレスタルビーイングとしてもミッションであり、自分はガンダムマイスターなのだから。

 

–––––もしもこの機体のパイロットが"彼等"だったら?

 

 しかし、そんな考えが頭をよぎり、シエルにトドメを刺すことを一瞬躊躇(ためら)わせた。

 

 だが、その間だけで敵にとっては十分だったのだろう。ガイアに剣を向けるシエルの元に次々とビームが撃ち込まれた。GNフィールドを展開してその場を離れれば、まるでガイアを守るように立ち塞がるストライクEの姿が見える。

 

「–––––なにをやってるんだ、僕は」

 

 シエルは自分を叱咤(しった)する。

 こんなところで迷っている場合なんかじゃない。そんなことでは戦争根絶など達成することはできないのだ。

 

 –––––今度は躊躇いなどしない、絶対に!

 

 そんな思いを胸にシエルはこちらへ切り掛かるストライクEへとその剣先を向けた。

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 目の前のウィンダムに、ハイネは手首の四連装ビームガンを向けた。細切れに切り裂かれた機体が空中で四散する。それがミネルバに押し寄せる最後の連合のモビルスーツとなった。

 

「くそっ、やってくれるぜ」

 

 チラリとミネルバを見るが、その灰色の装甲は至るところに損傷(そんしょう)が見られる。いくらハイネとレイが敵を倒しても、数だけはどうしようもなかったのだ。彼等の手を逃れた敵の攻撃でミネルバが攻撃されたのは、ハイネの責任でもある。

 

「レイ、シンの方を頼む。俺はルナマリアを」

〈了解しました〉

 

 レイのセイバーがミネルバからの"デュートリオンビーム"でエネルギーを回復し、デスティニーの援護に向かうのを確認した後、ハイネは機体を海上へ向かわせた…その時だ。

 

 凄まじいまでのビームの光がグフの行く手を(さえぎ)った。一瞬ガンダムか!?と構えたハイネだったが、その勘は正しかった。

 

 やってきたのは、白黒のモノトーン色のガンダム。左肩のビームランチャーから放たれた光がハイネを狙っている。…いや、狙いはハイネだけじゃない。

 緑色の(かに)のような形状の機体が、ガンダムと戦闘を行っている。ガンダムの射撃を"陽電子リフレクター"で受け止め、逆に倍以上の砲撃で反撃しながらこちらへ接近して来ていた。

 

「おいおい、連合のモビルアーマーか!?」 

 

 どちらも凄まじい火力だ。

 あれが一発でも今のミネルバに当たったら不味(まず)い。なればこそ、ハイネは自分の仕事を把握していた。

 

「なんであれ、こっから先は行かせねぇ!」

 

 ハイネは、シールドから巨大な剣––––"テンペスト ビームソード"を引き抜くと、両者の戦闘空域へ飛翔(ひしょう)した。

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 緑色の異形の機体–––––"ザムザザー"へGNランチャーを放つが、敵の放つ"陽電子リフレクター"はそれを正面から受け止めた。流石のGNランチャーでも、連射モードでは傷一つつけることは叶わないようだ。

 

 なるほど、大した防御兵器だ。陽電子リフレクターという完璧な守りと、モビルスーツでは再現できない火力。モビルアーマーを連合が信頼するのも頷ける。

 

「–––––けどな!」

 

 アキサムはザムザザーの砲撃を回避すると、右肩からGNバスターソードを取り出し、接近戦をしかける。

 

 GNランチャーやGNバスターソードなどの大型武装の関係で鈍重(どんじゅう)に見えるサルースだが、GN粒子によってその機動性はそこらの可変機よりも高い。

 

 –––––どんな強力な攻撃も、結局は当たらなければ意味はない!

 

 迫り来るビームの全てを回避したサルースが、GNバスターソードを力任せに振るう。その斬撃はザムザザーの陽電子リフレクターを貫通し、発生機器ごとコックピットを(えぐ)り取った。やや遅れて、操縦者を失った機体が爆発する。

 

 爆炎の中、アキサムは自分に迫る一機の機影(きえい)を確認した。

 

 オレンジ色のグフイグナイテッド。

 ザフト軍では、一部のエースパイロットに機体の色に変更を加えることが許されている。アキサム自身もザフト時代は黒色のジンを使っていた。つまり、彼もその一部に含まれるエースパイロットなのだろう。

 

「へぇ…オレンジ色ということは」

 

 そして、彼はその機体色のパイロットを知っていた。

 

 オレンジ色と聞いて思い出すのは二人。

 その内の一人である『黄昏の魔弾』ことミゲル・アイマンは既に死亡しているため、自ずと彼の先輩に限られる。

 

「ハイネ…ハイネ・ヴェステンフルスか!」

 

 なんという偶然か。まさかかつての戦友と戦うことになろうとは…。

 

「だが、今の俺はソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ!」

 

 ザフト相手に戦うことになる以上、このようなことになるのは組織に加入するときから覚悟の上だ。

 

 アキサムは己を鼓舞(こぶ)するように()え、GNバスターソードを構える。

 

 そして、オレンジ色に染められたグフのビームソードとサルースのGNバスターソードが激しくぶつかり合った。

 

 

 





アンケートはジンクスタイプが多いかな。やっぱみんな好きなんだね。

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擬似GNドライヴ搭載機を出すなら?

  • ジンクスタイプ
  • 連合はダガー、ザフトはジンタイプ
  • 作者のオリジナルでいいよー
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