【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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文才の無さに絶望した!


ダーダネルスの死闘Ⅲ

 

 

 

〈アウル、撤退だ。ほどほどにして切り上げろ〉

 

 ネオからの通信を聞き、インパルスと交戦中だったアウルは不満げに口を(とが)らせた。

 

「何で!?」

 

 モニターの中で彼のボスは、何でもないことのように答える。

 

〈盟主ご自慢の部隊が全滅だ。お前も見たろ?〉

「ええーっ!? あんだけいたのに、何やってんだよ、ボケ!」

 

 アウルが口汚く(ののし)ったが、そんな彼の対応にも慣れたネオには応えた様子はない。まるで"蛙の面に水"だ。

 

〈言うなよ。こっちはガンダムの相手で手一杯なんだ。ステラはやられちまったし〉

「えー? んだよ出オチじゃんか」

 

 アウルは、妹分の撃墜情報にため息を吐く。これだから、ステラみたいな優しいだけの奴は戦場に出るべきじゃないというのだ。ネオはそこのところを分かっていない。

 

〈…ガンダムにな。だから、さっさと撤退するぞ〉

「分かった。でも、こっちは今いいところなんだ。せめてコイツだけでもいい加減!」

 

 そう言いつつ、アウルは海上へ飛び出した。

 こちらの姿を見失っていたのだろう。不意打ちに等しい形でインパルスの背後から"3連装ビーム砲"を放つ。敵はなんとか回避したが、アウルは潜航状態へ変形させたアビスで直接体当たりを行った。

 たちまち、スラスターのバランスを崩したインパルスは海に水没する。そうなれば、後はこっちのものだ。

 

 まんまと自分たちのフィールドに落ちたインパルスを三機の機影が囲む。アウルのアビスと同じ水中用モビルスーツのフォビドゥンヴォーテクスだ。

 水中で動きの鈍るインパルスに"トライデント"を構えたフォビドゥンヴォーテクスが迫る。水中ではビーム兵器が役に立たない以上、奴に攻撃する術はない。

 

 –––––これで終わりだ!

 

 アウルがそう思った時、背後のフォビドゥンヴォーテクスの胸元から鋼色の金属片が飛び出す。剣先ほどには(するど)くなく、かといってそれほど(にぶ)くもない。

 それは、グググッという鈍い音とともに機体を切断し、破壊された機体の奥から猪突(ちょとつ)するように青色のモビルスーツが姿を現した。

 

「アイツは––––!」

 

 この間、自分をコケにしたガンダム!

 

 アウルは自然と操縦桿(レバー)に力を入れるが、ガンダムはアビスを無視してフォビドゥンヴォーテクスを次々と無力化する。その剣捌(けんさば)きはとても水中とは思えないほどに(あざ)やかであり、気づけば全てのフォビドゥンヴォーテクスが解体されていた。

 

〈アウル!〉

「分かってる! でも、コイツが!?」

 

 水中だというのにガンダムは素早い。以前とは大違いだ。やはりあの時は手加減をしていたのだろう。それがひどくアウルのプライドを刺激する。

 

 だが、ネオはそんなアウルの鬱憤(うっぷん)を知ってなお強い言葉で続けた。

 

〈いいから撤退だ! リベンジの機会ならまたいくらでも用意してやる!〉

「ちぃ…分かったよ!」

 

 アウルとしては、ガンダムは無理でも、ここでザフトの機体の一つや二つを撃墜しておきたかった。少しでも功績(こうせき)を上げれば、ネオが"上"からぐちぐちと文句を言われなくて済むと思ったからだ。

 

 しかし、それも命あっての物種だ。

 アウルは機体を潜航状態へ変形させると、真っ先にその海域を離脱し始める。勿論、最後っ屁とばかりに"M68 連装砲"を放つのを忘れない。

 

 だが、ガンダムは見事にそれを回避すると、海上へと浮上していく。まるで相手にもされていない。

 

 思わず舌打ちまじりに見送った後、アウルは母艦であるJ.P.ジョーンズへ機体を向かわせた。

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

「ルナッ!」

 

 海上で奮闘(ふんとう)していた仲間がアビスに海へ引き摺り込まれたのを見て、シンは悲鳴のような叫びを上げた。ボロボロになったカオスがフラフラと戦線を離脱するのにも構わず、シンは急いで機体を海上へ向かわせる。

 

 その時、大きな水飛沫(みずしぶき)と共に海の中から何かが飛び出してきた。

 

 一瞬、インパルス–––––ルナマリアか?と疑ったシンだったが、その水飛沫の中から現れた機体を前にして、その表情を(けわ)しくする。

 

 青と白を基調とした機体。右腕には折り(たた)まれた剣。切り替え式らしきライフルがこちらに銃口(じゅうこう)を向けている。背中からは見慣れた緑色の粒子を放っていた。

 

「…ガンダム!」

 

 同時に放たれるビームライフル。

 シンはそれをビームシールドで受け止め、右手に持つビームライフルで撃ち返す。

 ただし、その引き金を引く指は震えていた。

 

 –––––死にたくなかったら黙って捕まっていてください!

 

 ユニウスセブン落下の際に聞いた、目の前の機体のパイロットの声…今は亡き妹に似た声。その声が、過去の記憶とともにシンを揺さぶる。

 

 何故、どうしてこんなことを…? 誰かに戦わされているのか?

 そして、君は一体だれなんだ…?

 

「くそっ…どうしてこんな!」

 

 テロリストというには想像以上に幼い少女を前にして、シンは本気を引き出せずにいた。

 

 そして、そんな油断を見逃してくれるガンダムではない。少しの戸惑いが回避行動を(にぶ)らせ、一筋のビームがデスティニーのライフルを破壊する。

 

「…ちぃっ!」

 

 即座にライフルを手放したシンは、両肩のビームブーメランを引き抜くと、ガンダムに向けて投げつける。

 クロス状に弧を描く光の刃がガンダムに迫るが、青い機体は両腰からビームサーベルを引き抜くと、迫るビームブーメランへ向けて投擲(とうてき)した。

 空中に投げつけられた二つの刃は交差し、その後爆散する。

 

「…くっ」

 

 ビームブーメランならまだしも、ビームサーベルを投げナイフのように扱うことなど本来ならあり得ない。軍で訓練を受けた自分たちには想像も付かないやり方であるし、そもやろうと思ってできる技術ではないからだ。

 シンは相手の腕前に舌を巻きながらも、ガンダム戦において必須(ひっす)となる格闘武装を一つ喪失(そうしつ)したことに歯噛みする。

 

〈–––––シンっ!〉

 

 そこへ紅い機体が流星の如く現れ、展開した四つの砲台からガンダムに向けてビームを発射する。

 

 それはハイネと共にミネルバの護衛にあたっていたセイバー…レイだった。

 辺りを見渡せば、ミネルバに群がるように飛行していた連合のモビルスーツの姿が見えない。どうやら、ハイネとレイは守り通したようだ。

 

 ガンダムはセイバーの放った初撃のビームをシールドで受け止めると、それ以降のビームを回避しながらセイバーへ(せま)った。

 レイは機体を変形させてその場からの離脱を(はか)るが、それよりもガンダムの方が速い。スピードが乗り切らないセイバーに向けてガンダムが折り畳んでいた剣を展開して振り下ろす。

 

〈ぐうっ!〉

 

 レイはかろうじてモビルスーツ形態に変形してシールドで受け止めたようだが、ガンダムの一撃はセイバーを大きくのけ()らせ、レイはそのまま大きく蹴り飛ばされた。

 

「レイっ!」

 

 友の危機にシンはハッと我に返る。

 慌てて背部の大型ビーム砲を放つが、ガンダムは空中でとんぼ返りして、(あや)ういところで回避した。

 

 シンは背部の"光の翼"を展開し、敵機に向けて加速した。光の翼が大きく後方に流れ、幻影を生み出していく。

 

「ええいっ!」

 

 ガンダムの放つビームを幻影を利用して回避し、ウェポンラックより抜き取った長刀(アロンダイト)を構えて大きく振り下ろすと、ガンダムは展開した剣で受け止めた。

 

 シンはスラスターを全開にして、アロンダイトに力を込めた。

 躊躇ってはいけない。それは弱さだ。そんなことで仲間を失ったらどうなる!?

 

「俺は…俺はっ!」

 

 体の中で何かが弾け、意識が鮮明(せんめい)()え渡る。極限の緊張状態、シンの中から敵パイロットの少女に対する躊躇いは消えていた。

 

 シンは強く相手を突き放しなから一旦下がり、次にいきなり加速する。それに対して、ガンダムは向かってくるデスティニーにその剣を振り下ろすが、それはシンの読み通りだった。

 シンが素早くスラスターを操作し逆制動をかけると、ガンダムの振るう刃がコックピットすれすれの空を切り、逆にガンダムが無防備になる。そこが勝機だった。

 

「––––はぁぁっ!」

 

 この至近距離では長刀(アロンダイト)は使えない。故にデスティニーのもう一つの切り札である掌のビーム砲"パルマフィオキーナ"を使用する。

 

 そして、その選択は正しかった。

 まさか(てのひら)にビーム砲を搭載しているとは思わなかったのか、ガンダムの動きが一瞬鈍る。

 その隙にシンはガンダムとの間にシールドのように立ち塞がる敵の折り畳み式の剣を(つか)み取り、掌底部から放たれたビーム砲が敵の剣を破壊した。

 

 –––––やれるっ!

 

 後退する青い機体を前にして、シンはそう確信した。

 今の自分とデスティニーならば、相手がガンダムだろうと渡り合える。どんな敵とでも戦える…と。

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 ザフト・連合などから"羽付き"と呼ばれているガンダムメティスには、ハロという小型サポートメカが搭載(とうさい)されている。

 

 少数精鋭で活動するソレスタルビーイングでは、回避運動などMSのサブパイロットから専属の小型ロボットによるメンテナンス活動など、あらゆる面をこなす独立型マルチAIとして活躍しているのだ。

 

 4機のガンダムの中でも指揮官機という立場にあるメティスには、膨大(ぼうだい)なミッションデータを処理するため、そしてパイロットのフブキをサポートするためとして、サポート用のハロが搭載されていた。

 

『アステリア、ソンショウ。アステリア、ソンショウ』

「フェイト…?」

 

 コックピットに搭載されたハロからの報告に、フブキは眉を(ひそ)めた。それは、その報告が一瞬信じられなかったからだ。

 

 –––––アステリアが損傷? あり得ない。

 

 ガンダムは時代の最先端をいくモビルスーツであり、それは例えザフトが開発した新型機でもっても追いつけるものではない。それほどの技術力の差があるのだ。

 そして、それを操るフェイト・シックザールという少女もまた、その幼さに見合わない優れた操縦センスを持っているのだ。そうでなければ、誰がまだ14の少女をマイスターにするものか。

 

 だが、指揮官としてのフブキ・シニストラが"物事に絶対はない"と冷静に告げていた。

 

 だからこそ、フブキは動揺(わず)かに速やかに状況を確認する。

 

「損傷度合いは?」

『ケイビ、ケイビ。GNソード、ソンシツ』

 

 それを聞いて少し安心する。

 確かにガンダムが武装を失うともなれば、それは"損傷"となるだろうが、機体にもパイロットにも何事もないようだ。

 

 とはいえ、ガンダム–––––それも白兵戦に特化したアステリアが武装を損失したとなれば、それは敵パイロット或いは敵機体の想定外の力によるものだろう。

 

 だというのなら……。

 

「ウェンディ、ヴァイオレット、連合軍の様子は?」

〈殆どの機体が沈黙。既に撤退行動を始めています〉

「なるほど、計画(プラン)通りね。では、各マイスターの判断で撤退行動に移行します」

 

 連合とザフトの争いが終わったのなら、ここにいる意味はないだろう。敵新型の件もこの後ヴェーダの指示を(あお)げばいい。

 

「フェイトに関しては、私が…くっ」

 

 フブキはフェイトの援護に向かおうとするが、目の前の真紅の機体がそれを許さない。振るわれたビームサーベルをシールドで受け止め、こちらもビームサーベルを相手のシールドに叩きつける。

 

「ジャスティスっ…!」

 

 特徴的なリフターに鮮やかなまでの真紅機体。

 それはかつてヤキン・ドゥーエ攻防戦で活躍し、その末に失われたはずのZGMF-X09A"ジャスティス"に酷似(こくじ)しており、ザフトが開発した発展機であることが窺える。

 

 そして、それをここまで完璧に操るとなれば、当時のジャスティスのパイロットである彼以外にいない。

 

「アスランっ!」

 

 このタイミングでディオキアにいるのだから、いずれ戦場で会うことになると覚悟していた。だが、こうして対面して、全く感情を乱さないほどフブキは機械的になれなかった。

 

 フブキはビームサーベルを押し込むが、ふと寒気を感じて機体を上昇させる。先程まで機体があった場所をビームブレイドを展開して振り上げたジャスティスの右足が通り過ぎた。

 距離をとったフブキはビームライフルを放つが、ジャスティスはそれを回避し、シールドから取り出したビームブーメランを投げつけてくる。

 

「っ!」

 

 フブキはそれをシールドで受け流したが、その(すき)にジャスティスはその機体ごとシールドでメティスに体当たりを仕掛けてきた。大きく機体は後ろに吹き飛ばされ、コックピットが目まぐるしく揺れ動く。その中でフブキは幼馴染の強さに確信する。

 

 –––––強いっ!

 

 認めるしかない。

 アスラン・ザラはモビルスーツパイロットとしてフブキの一歩も二歩も先を行っている。搭乗しているのがガンダムでなければ、とうに墜とされていたかもしれない。

 

「くっ!」

 

 ガンダムを上手く扱えていない自分に怒りを覚えながらも、フブキは機体体勢を立て直す。

 

「アキサム、聞こえる?」

〈ん? どうしたフブキ〉

 

 把握しているデータの内、グフ一機を相手にしているアキサムへ通信を繋ぐ。撤退行動に移ろうとしていたのか、その表情には余裕(よゆう)があった。

 

「フェイトの援護をお願い。例の新型機、思ったよりやるみたい」

〈あぁ、了解した。すぐに向かう。そちらは?〉

「ある程度やったら離脱するわ。それまでにお願い」

 

 今離脱すればアスランは自分を追ってこないだろう。だが、そうなれば味方を助けるためにアステリアの元に向かうはずだ。それだけは避けたい。

 

 ––––––アスランは…彼は危険だ!

 

「悪いけど、もう少しだけ付き合ってもらうわよ!」

 

 脳裏に浮かぶ彼等との思い出、その全てを打ち消し、フブキはビームサーベルの光刃をその真紅の機体に叩きつけた。

 

 





 群像劇というが、視点がバラバラで見づらいといった理由で怒涛の低評価を貰いました。ガンダムなら仕方なくない?と思いつつも、納得する理由でもあったので作者も反省しております。
 今更、全部書き方を直すのは難しいので、もしも別作品を書くことがあったら気をつけようと思います。

 こんな書き方でこれからも進めると思いますが、こんな私の作品でも面白い・続きが見たいと思ったら高評価・お気に入り登録をお願いします。

 そして、今まで応援してくださった方はこれからももう少しお付き合いしてくれると嬉しいです。

 後、始めて低評価に理由をつけてくれたので、それはそれで嬉しかったです。

擬似GNドライヴ搭載機を出すなら?

  • ジンクスタイプ
  • 連合はダガー、ザフトはジンタイプ
  • 作者のオリジナルでいいよー
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