【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E. 作:アルテミー
CB的には勝てなければ負けと同義。ザフト的には負けなければ勝ち。そのような認識でお願いします。
〈フェイト…!〉
耳を打つアキサムの声で、フェイトは我に返った。
いつの間にか、隣にはモノトーン色の機体が肩を並べている。別の地点で戦闘していたはずのガンダムサルースだ。
「…あ」
周囲に連合やザフトのモビルスーツは見られない。気づけば、戦闘は終わっていた。
フェイトは目を
以前までは見られなかった…情報にあったザフトの新型モビルスーツの一機。非GNドライヴ搭載機にしては非常に高い性能を持つモビルスーツであり、特に幻影を生み出す光の翼に関してはガンダムにもない特異の技術といえよう。
だが、この機体と刃を
確かに今まで相手をしていた"インパルス"やその他セカンドステージシリーズの機体と比べれば、強敵だっただろう。それもあの"フリーダム"と同等以上なまでに…。
しかし、見切れない相手ではなかった。
それ以上の機動性を誇るガンダムメティスの性能を知っていたからだ。
実際、フェイトは無難に敵機体の動きに対応できていた。
だからこそ、増援がやってきて2対1となってなお、ミッション遂行に何の支障もないと思っていたのだ……あの時までは。
「………私は」
己の機体をチェックする。
機体そのものに大きな損傷はないが、アステリアのメイン武装であり、"剣"であるGNソードを失い、右腕にも小さな傷跡が目立つ。本来ならあり得ない姿だった。
「………っ」
–––––負けた……。
彼女は
これまでどんな敵にも
本気で相手を殺そうと思えば、負けることはなかった–––––というのは、例え事実であっても言い訳に過ぎない。ミッションにおいて、機体の性能を100%引き出すのはガンダムマイスターとして当然の義務。
戦争をする人間–––––世界の歪みに負けた……。
その事実が、自分の正しさまで打ち
〈…俺たちのミッションは終わりだ。撤退するぞ〉
「……了解」
アキサムのサルースが機体をひるがえして撤退ルートへ向かっていく。
「………赤い翼」
フェイトは最後に自分の"剣"を打ち砕いた赤い翼のモビルスーツを冷たい目で見つめた後、どこか後ろめたいような思いでアキサムの後に続いた。
瞳を閉じれば、過去の自分が––––マユ・アスカが自らに問いてくる。
なぜ、私は戦っているの?
どうして、ソレスタルビーイングに入ったの?
私はなんで、アステリアに乗っているの?
なんのために戦ってきた? なんのためにガンダムに乗ってきた? なんのために?
「––––そんなの決まってる」
戦争をなくすため。あの日の自分のような人間をもう生み出さないため。
そのための力。そのためのガンダム。二年前のあの日から、それだけを求めて必死に生き抜いてきた。
なのに…。
なのに……っ。
「私はっ…」
フェイトの瞳から、一筋の涙が流れた。
それは少女が流さぬと決めてから随分と久しい、悲しみの涙。
だが、その涙を拭ってくれる兄は、もういなかった。
▽△▽
「シン! やったな!」
着艦したデスティニーに、ヴィーノたち技術スタッフが
「すごいじゃないか、"スーパーエース"!」
「驚いたぜ、あの"ガンダム"に手傷を合わせたんだろ!?」
ラダーで降りてきたシンを、スタッフの
あの強敵–––––おそらく世界で一番の強さを持つガンダムに打ち勝った。
それに、ミネルバも仲間も無事だ。
クルーたちの熱気が伝染したように、シンの心まで熱くなる。
「シン!」
ルナマリアがシンに駆け寄り、夢中になって
「すごかった! あのガンダム相手に––––びっくりしちゃったわよ!」
「そう? でも、ルナも無事で良かったよ…ホントに」
内心の喜ばしさを隠しつつも、落ち着いた様子で言葉を受けると、後ろから進み出たレイを見やる。
「よくやったな、シン。見事だった」
「ありがとう。でも、レイのおかげだ」
セイバーの援護がなければ、あの勝利は得られなかっただろう。互いに新機体で、即席の連携ができたのは相手がアカデミー時代から付き合いのあるレイだったからだ。
するとレイが、滅多に見せない笑みを浮かべるのが見えた。
「……やり遂げたのはおまえだ」
その言葉に嬉しくなる。
アカデミー時代から常に自分の前を歩いていたらレイからの称賛の言葉は、シンの胸を打った。
ひそかな満足に
シンは笑顔で彼を見やったが、相手の顔に暗く沈み込んだ表情を見つけて驚いた。
「どうしたんですか? どこかやられましたか–––––あなたともあろう人が?」
皮肉っぽく発した最後の言葉には、実のところシンの本心がこもっている。
何せここしばらく、英雄アスラン・ザラの実力を側で見続け或いは実際に体感もしている。その実力は疑いようもない。悔しいが、自分よりも遥か高みにいることは認めざるを得ないだろう。
だからこそ、シンはアスランに対して何の心配もしていない。そこには、自分よりも強いのだから、例え相手がガンダム相手でも負けるはずがないという信頼があった。
「ああ、いや…」
アスランは始めて自分がどんな顔をしているか気付いたように、慌てて笑みを浮かべる。
シンは傷つきながらも五体満足で立つデスティニーを見上げながら、
「作戦、成功でしたね」
「ああ、ミネルバもみんなも無事…大成功だな」
アスランが肩を並べて、静かに同意する。
「よくやった、シン。君の力だ」
「……そんなことないですよっ」
シンは俯いて小さく答えた。
体の奥から湧き上がってくる喜びを、何とか抑え込もうと努力しながら。
–––––この人に、認められた。
有頂天になりそうな気分を隠すために、シンは話題を切り替える。
「隊長…アスランもよく戦ってたって言ってましたし…あっ、えっと…メイリンが!」
「あ、ああ」
「それに、結局俺も落とし切ることはできませんでした。今回の勝利もレイのお陰で…だから、別に…」
褒められたい、認めれたいと思いつつも、実際に褒められるのには慣れていない。
そんな彼の様子にアスランが苦笑を浮かべ、シンの顔はますます赤くなる。
「それで十分だ。俺たちの役目は敵を倒すことじゃない。この艦を守り切ることなんだからな」
「…はい!」
シンはアスランの目をしっかりと見上げ、答える。
これまで感じたことのない、満ち足りた思いを抱きながら。
▽△▽
「グフ、収容完了。これで全てのモビルスーツが帰投しました」
メイリンのその言葉にブリッジの人間が皆
圧倒的に数で勝る連合の艦隊に加えて、4機ものガンダムの出現。いくらこちらが新型のモビルスーツが配備されたといっても、タリア達には大きな不安感が残っていた。
実際、セイバー、インパルス、グフは酷いありさまだ。それを言うなら艦もボロボロ、自分たちもボロボロと言った感じだが。
それでも、いつまでも
「もうこれ以上の追撃はないと考えたいけれど、わからないわね。パイロットはとにかく休ませて。アーサー、艦の被害状況の把握、急いでね」
「は、はい!」
アーサーはホッと緩めた顔を戻し、各部と連絡を取り始める。その他クルー達も気を取り直し、各員の作業に戻った。
タリアは満足して彼等を見やった。
そして、その最もたる者が誰かは明らかに。
「でも、まさかガンダムを追い払えるなんて…本国は大喜びでしょうね」
彼女がしみじみと感想をもらすと、アーサーが振り返って大きく頷く。
「ええもう! 信じられませんよ! 開戦以来誰も敵わなかったあのガンダムに!?」
彼は興奮した口調で繰り返す。
「これはもう
「…貴方は彼に搭乗機体を伝えただけでしょう…全く」
シンを褒めちぎる
「でも、あれがデスティニー–––––というかインパルスを任されたシンの力なのでしょうね…あの力を見れば分かるわ」
ミネルバにおいてのパイロットとしての能力は、"フェイス"の二人を除けばレイが一番高かった。判断力・落ち着きなどをとってみてもだ。タリアから見るとシンはまだまだ子どもで、操縦にも気分次第でムラが出る。そのような評価だったのだ…以前までは。
「–––––まさか、ここまでわかっていたのかしら、デュランダル議長には…?」
「かもしれませんねぇ。議長はDNA解析の専門家でもいらっしゃいますから」
アーサーが感心したように同意し、なおも繰り返した。
「いやぁ、それにしてもすごかったです。アスランとハイネのおかげですかね? シンの急成長っぷりには驚きましたよ!」
「あの二人が訓練をつけてくれていたのは知っているけど、こんな短時間でここまで成長できたのは間違いなくシンの才能ね…」
「ついこの間が初陣だったなんて驚きですよね! 噂に聞く"ヤキン・ドゥーエのフリーダム"だって、もう超えたんじゃないないですか?」
冗談っぽく呟くアーサーの言葉に吹き出しそうになりながらも、タリアは揶揄うように言った。
「ジブラルタルに入ったら、報告とともに叙勲の申請をしなくちゃならないわね。軍本部もさぞ驚くでしょうけど」
▽△▽
「–––––全く、無茶しすぎだ」
呆れたようにアスランは呟いた。
パイロットスーツから制服に着替えた彼の姿は、
「おいおい、それがミネルバを守るためにたった一人で頑張ったヒーローにかけるセリフか?」
アスランに対して、ムッとした表情でそう言ったのは、医務室のベットに横たわるハイネだった。
「だからこそだ。一人でこっそり抜け出そうとして…」
「チッ、バレてたか。けどよ、後輩達にカッコ悪いところは見せられねぇだろ?」
「ハイネ……」
理解できるようで理解できない。アスランは大きくため息を吐いた。
ハイネは現在、身体を軽く負傷して医務室で治療を受けていた。
機体の限界を超えた、無理な動きをしたせいだ。ジャスティスでも追いつけないガンダムを相手に、ジャスティスどころかセイバーにすら劣るグフで渡り合ったのだから、流石のコーディネーターといえどもその反動が来ているのだろう。
「それで、俺のグフは?」
「見た目は普通だが、中身はガタガタ。特に駆動系に問題があるみたいで、機体ごと変えたほうが早いって、エイブス主任は言っていたな」
「…くっ」
「しばらく大人しくしておけよ。少なくとも今はな」
現在、ミネルバに艦載されている機体で満足に動かせるのはデスティニーとジャスティス、インパルスだけだ。小破したセイバーはともかく、ハイネが強引に動かしたグフは使いものにならない。
「はいはい、わかりましたよ」
「あの後、シンたちも心配していたよ。ハイネは大丈夫なんですか!?ってな」
「っておいおい、バレてたのかよ。ダッセェな、俺」
気恥ずかしそうにハイネが顔を
「それで、ミネルバの次の目的地はジブラルタルだそうだ」
「へぇ。こんな短いスパンでカーペンタリアからジブラルタルまで横断するとは。地球一周でもすんのかな?、俺たち?」
茶化すようにハイネが言うが、アスランは否定しなかった。
「まぁ、情勢次第ではそれもあり得るかもな。地球軍の動きも気になるところだし…」
あれだけの部隊を率いて来たのだ。
それを撃退した今、すぐに立て直すだけの戦力的余裕が今の連合にあるとは思えない。
「ま、全ては議長次第だな」
「あぁ、はたしてどうなるか」
できれば、このまま停戦に持ち込めると嬉しい。
そうすれば、カガリに会うことも、ラクスを探すこともできるのだから。
>フェイトvsシン
初見機体+シン種割れ+訓練により原作より強化+レイの援護などの理由もあり、シンの勝利となりました
>シンとアスラン
ハイネが間に入ったこと以上に、模擬戦や戦闘シミュレーションで叩きのめされたので、シンはアスランのことを認めていますし、アスランもシンの扱い方を理解しつつあります。
>ハイネ
少しの負傷。
逃げながらとはいえ、サルース相手にグフで生き残ったというヤバさ。その代償にグフはスクラップに…。
高評価、お気に入り登録はもちろん、毎回毎回誤字報告も恐れ入ります。
励みになるので、些細なことでも感想に書いてもらえれば、いつか必ず返します。
擬似GNドライヴ搭載機を出すなら?
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ジンクスタイプ
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連合はダガー、ザフトはジンタイプ
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作者のオリジナルでいいよー