【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E. 作:アルテミー
今回は少し長いです。
訂正)アンケート再設定しました
〈これはどういうことかな、ネオ〉
モニターの中、その青白い顔を真っ赤に染めたジブリールがネチネチと嫌味っぽく口にした。モニターの
「…申し訳ありません」
ネオとしては、ない頭を下げるしか他にない。それがもはや通じないと分かっていてもだ。
〈はぁ…そのセリフを私が何度聞いて来たと思っているのかね?〉
「…は」
〈君の能力は疑っていないが、全ては結果を出さねば意味がない〉
ジブリールはその頭に血管を浮き出させるほど怒り狂っている。おそらく、"上"の人間にまたも何か言われたのだろう。それは、大佐とはいえ実働部隊の人間に過ぎないネオではお目にかかることもないような大物たち。それを相手にヘコヘコするジブリールの姿は、想像するだけで
〈またこれだ。『正義のザフト軍艦ミネルバ、ガンダムに希望の一太刀!』だと…? 私を馬鹿にしているのか!〉
すると、返事をしないネオに苛立ったのか、ジブリールはついに声を荒上げた。
〈あれだけの部隊だぞ…戦艦一つも墜とせないとはどういうことだと聞いている!〉
「…報告書にて提出したはずですが」
半ば
〈フン、確かに拝見した。ガンダムが4機現れたことも、ザフトが新型を投入して来たことも理解している…が、それが今回の失敗の言い訳になるのか、ネオ?〉
「…いいえ」
〈全く、たかがモビルスーツ4機に2機相手に何をしているのか…〉
ネオは内心で舌打ちしながら仮面の下で顔を
自分たちが必死に戦っている間、のんびりと猫と家で過ごしているような男に、戦場の何が分かるというのか。そもそも、この戦局で未だにその認識でいることに理解に苦しむ。
「–––––しかし」
〈なんだ、ネオ?〉
だからこそ、ネオは少し反抗的な態度をとった。
確かに自分たちにも多少は作戦失敗の責はあるかもしれないが、そもそも勝率が限りなくゼロに近かった作戦を強行させたのは目の前の男である。なのに、ここまで言われて黙っていられるほどネオはこの男に
「…私も含めて、エクステンデッドは結果的にガンダム二機を足止めに成功。その間にミネルバを攻める手筈も整っていました。問題は…むしろ盟主の送った部隊にあるのではないかと」
〈な、なんだと!?〉
これまで従順だった部下からの苦言に、ジブリールは眉をひくつかせて驚いている。
しかし、ネオからすればここが最後のチャンスだった。ジブリールさえ言いくるめることができれば、ステラたちがこれ以上無駄に戦わされる理由はなくなる。
「いくら盟主といえど、無限に戦力があるわけではないでしょう。このままではただ兵士が死んでいくだけで何にもなりません」
いくら冷酷無比のファントムペインに所属する、生体CPU扱いのエクステンデッドとはいえ、死ぬと分かっている戦場に出させるような真似はしたくはなかった。
「我々が生き残り、彼らが戦死したのが全ての証拠です。いい加減理解してください、盟主。ガンダム相手に数で攻めたところで–––––」
〈––––黙れっ、この無能めが! よりにもよってこの私に指図するつもりか!〉
だが、
〈もうよい! お前に任せた私が間違っていたのだ…!〉
「盟主っ!」
〈駒は大人しく私の指示に従っていればよいものを! ネオ、貴様…覚悟はできているな?〉
ジブリールがモニター越しにジロリとその血走った目を向ける。ネオは尚も食い下がろうとしたが、何を言っても通じないと分かり、ゆっくりと
最悪、脱走という形で軍を抜けようかと思っていたが、連合でも
–––––スティング、アウル、ステラ…すまない
ネオがジブリールからの処分の覚悟を決めた時、彼の言葉を
「貴方は…」
その人物をネオは知っていた。それは、ジブリールとの通信に割り込めるほどの権限を持つ人物…。
〈その話、"待った"と言わせてもらおうかしら〉
モニターに映ったのは、金髪の女性……オーブにいるはずのシャーロット・アズラエルだった。
▽△▽
「その話、"待った"と言わせてもらおうかしら」
シャーロット・アズラエルは口にしていたティーカップから顔を
横に設置された窓からは、美しい青空と真っ白い雲が映る。彼女の乗るファーストクラスの飛行機に置かれている高級ソファーは座り心地がよく、それを身を沈めて、モニターの向こうに視線を向ける。
〈どういうことですかな、アズラエル女史〉
左右に映る男、そのうちの左側…ロード・ジブリールが不満を隠そうともせずに声をかけてくる。そこには自分の言葉を
「いや、失礼。ただ、ここまで頑張ってくれた"自分の部下"にそのような態度…見過ごせなくてよ」
〈なんだと…〉
案の定、ちょっと突けばすぐに化けの皮が
〈これは私とファントムペインの問題です。私の部下をどう扱おうと貴女には関係ないと思いますがっ〉
「………フフッ」
ジブリールの言葉に、シャーロットは失笑で返した。
それは、どこまでも鈍臭いこの男が
〈っ! 何がおかしいと言うんです?〉
ほら、今も怒鳴りたいのを我慢して必死に敬語を使っている。
それは、彼自身が自分の立場がシャーロットよりも下にあるということを理解しているからだ。
「いえ、無理をなさらなくてもいいんですよ、盟主様?」
敗戦に続く敗戦によって彼の地位は下がりに下がり、既に対等であった関係はシャーロットを見上げるしかないところにまで落ちている。それが哀れで仕方がなかった。
〈ぐっ、貴様っ!〉
「私はメッセンジャーとして貴方と
なので、話は手早く終わらせる。
シャーロットとしても、ジブリールは好き好んで会話したい相手ではない。
それでも、
〈…最後だと?…まさかっ!」〉
「ご想像の通り。今回の失敗を持って彼等は貴方に見切りをつけたようですわね。ロード・ジブリール」
ただでさえ下がっていた地位は、今回の失態でもってもう取り戻せないところにまた来ていたのだ。
それに、"ロゴス"老人たちは
〈ば、馬鹿な…〉
ジブリールは赤く染めていた顔を真っ青にして、ソファーに倒れるようにもたれかかった。まるで生きる力全てが奪われたように燃え尽きた様子だ。
無理もない。"ロゴス"から切り捨てられるというのは、それだけで実業家として人生が終わったことを意味するのだ。ロード・ジブリールという人間は消え、代わりの人間がその役目を引き継ぐことになる。
「今回を以て、"ブルーコスモス"は解体。貴方の私兵である"ファントムペイン"も同様です」
〈そんな…私は…〉
だが、それでもいい。これは決定であり、命令であり、ジブリールに口答えする権利はないのだ。
〈あの…〉
「ん? ああ、突然すみませんね。ロアノーク大佐」
突然の上司の
…それにしても、自分たちの飼い主がここまで追い詰められれば反発の一つや二つあるかと思ったが、見る限りそれはない。
仮面の下で何を考えているかは分からないが、どうやらジブリールに人望がなかったことだけは確かなようだ。
〈あー、話は聞かせてもらいましたが、我々の今後は…〉
なるほど、自分たちの心配か。
ファントムペインといえば、連合でも腫れ物扱いだというそうだし、エクステンデッドなどの面倒な人間の集まりであることを考えれば、
「安心してください。貴方たちは今まで通りに任務をこなすだけです。ただ、上の人間がジブリール元盟主から私に変わるだけですから」
〈は、はぁ…〉
「今後の指示は追って伝えます。それまでは補給・整備に務め、人員を休ませてください」
流石に混乱している様子だが、ネオ・ロアノークという仮面の男が物分かりがいいらしく、シャーロットの命令を素直に受け入れた後「失礼します」と通信を切った。
「さて、と……ファントムペインに関する情報、用意できるかしら」
「はっ」
以前はあれほど自分につっかかってきて、どこから
哀れな男だと思う。
もう少し現実を理解し、受け入れる余裕があれば生き残れたものを。せっかく、変革する世界を目にできるところだったというのに…。
せっかちなのだ、彼は。
そこだけは自分の兄によく似ている。戦場になど首を突っ込まずに大人しくビジネス界に留まっていれば良かったというところも。
「…はぁ」
シャーロットは憂鬱そうにため息を吐き、窓の外へ視線を向けた。
雲を抜けた先には、既に後にしたオーブ連合首長国の街並みが写っている。
空港近くの高速道路の
しかし、彼女にとってはただの空々しい明るさにしか見えなかった。
「こちら、ファントムペインについての資料です。お待たせしました」
「…そう、ご苦労様」
シャーロットが指先で鼻筋を緩く
「ジブリール氏について、
「畏まりました」
シャーロット・アズラエルという少女にとって、世界は灰色だった。色が識別できないのではない。彼女にとって、どんな美しい光景もただの灰色でしかないのだ。
ヒトは求めるものがある、欲求があるからこそ、行動し、妬み、戦争につながる。
ソレスタルビーイングという組織に出会うまで、シャーロットにはその「欲求」が欠落していた。いや、求めようとしても何もないのだ。
だからこそ、戦争根絶を掲げるソレスタルビーイングの理念に彼女は飛びついた。この灰色の世界を変えるという「欲求」が彼女の中に芽生えたのだ。
たとえ、その過程に兄を失うようなことがあったとしても。
「これでいいんですね、レクシオ・ヘイトリッド」
たとえ、イノベイターの傀儡と成り果てようとも…だ。
それで世界が変わるというのなら、
そのために、自分は動いているのだから。
▽△▽
月–––––地球から38万4400キロメートル離れた衛星。自転周期と公転周期が
その月の裏側付近に、それはあった。
まるで、月の裏側にひっそりと建造された地球軍の"ダイダロス"基地を見下ろすように、その
それは全長15キロメートルにも及ぶ艦だった。
まさに現代の神殿。誰が人類の未来の担い手であるのかを示す
コロニー型外宇宙航行母艦"ソレスタルビーイング"そのものである。
だが、計画において重要なものはこの艦の中にある。
それは艦の中央に存在していた。
量子型演算処理システム"ヴェーダ"。
その本体が、そこに存在した。
▽△▽
部屋と呼ぶには、あまりにも大きな空間である。
部屋の入り口から奥に向けて赤い
それこそ、まさしく"ヴェーダ"と呼ばれるソレスタルビーイングの根幹をなす量子演算装置である。
その上にある一台のコンソールパネルの前には、一人の少年がいた。その瞳は黄金に輝いている。
(ようやく…か)
少年–––––レクシオ・ヘイトリッドは、この世界で初めて自身が起動した場所…ヴェーダを見つめながら思った。
ここまで来るのに随分と時間がかかった。
この世界の人類の争い合いは、本当に見るに耐えなかった。人間の汚い部分のぶつかり合いであった。レクシオが人類に絶望しなかったのは、ひとえに西暦での歴史のおかけだ。
だが、それもここまでだ。
これから世界は大きく変わっていく。全ては
計画の要となるGNドライヴを完成させた。
それを搭載させるためのガンダムも造らせた。ソレスタルビーイングを組織化し、機体を使役するためのガンダムマイスターもスカウトした。
そして、ついに始まった武力介入。
ソレスタルビーイング–––––クラウディオスチームはよい働きをしてくれている。
連合はジブリールを通じてコントロールして来た。彼が用済みとなった今、連合のその後はエージェントであるシャーロット・アズラエルに任せている。
そして、ザフトの方も想定通りだ。
ギルバート・デュランダルの動きを封じつつ、彼に期待通りの行動をさせている。いささか早いが、新型の開発および各国との協力体制は理想的な展開だ。
問題があるとすれば、この間の戦闘か。
シン・アスカのSEED因子が発現したことは喜ばしいが、彼の搭乗機であるデスティニーがガンダムアステリアに手傷を負わせたこと…これは良くない。
太陽炉を搭載したガンダムが、核動力とはいえ旧世代機に敗北することは許されない。よもやフェイト・シックザールが敵パイロットの素性に気付いたというわけでもないだろうに。
(君たちのやり方は甘すぎるんだ)
生半可な武力介入では、世界は応えてくれない。
もっと世界に危機感を、ガンダムへの恐怖感を、敵意を与えなければならないのだ。
ナチュラルだの、コーディネーターだの、と気にする余裕がなくなるほどに…。
計画の要である擬似太陽炉は既にロールアウトしている。あとはそれを搭載する機体だけだが、そのためにはこれらの問題をなんとかしなくてはならないな。
暗闇の中、少年の瞳だけが黄金の光を放っていた。
世界の変革まで…あと–––––
はい、これで物語の半分まで来ました。
ただ、第二期まで想定しているので、全体で見れば4分の1といったところです。ヤバいね。
そこで問題なのですが、『チームトリニティ』に相当するキャラクターは必要でしょうか。作者的にオリキャラが増えるのは読者さんが分かりずらいんじゃないかと不安です。
ただでさえ、登場人物の多いDESTNIYにフェイトたちオリキャラを投入しているので空気になるキャラが増えると思うんですよね。ラクス達なんかが最もたる例ですが。
トリニティは確かに過激でしたが、プトレマイオスチームも見方を変えればやっていることは同じ以上、ガンダムへの敵意や恐怖感が生まれるとは思うんですよねぇ。
けど、そうなるとフェイトたちが素直に過激な武力介入を受け入れるか?って話になりますし…。そうならそうで、それらしい理由付けはしますが。
またアンケート取るので、皆さんの意見をお願いします。
それ次第でストーリーも変わると思いますし、暫くは執筆作業に専念したいと思います。
遅くて更新は8月ぐらいになるかな…。
それまでは設定資料等をあげられればと思っています。
ー追記ー
ファントムペイン三人組をトリニティポジにするという案も感想欄でありましたので、そちらも考慮の上でアンケートにお答え下さい。作者的にも今は悩みどころです。
(再)トリニティに相当するチームは必要か
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オリキャラ上等(必要)
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これ以上キャラ増えると困るし…(不必要)
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ちょうどそこに三人組がいるじゃろ?