【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

53 / 90

ネタ不足でここまで駆け足気味になってしまった…




リベンジャー

 

 

 光の翼を展開したデスティニーとインフィニットジャスティスを先頭に、セイバーとフォースシルエットを装備したインパルスが続き、その後ろにはミネルバが控えている。

 その行く先には、緑色の粒子を排出している三機のガンダムの姿があり、その下では各地が焼け(ただ)れたジブラルタル基地が無惨な姿を晒していた。

 

「くそっ、遅かったか…!」

 

 ジャスティスのコックピットの中で、アスランは苦悶(くもん)の声を上げた。

 

 つい先日ジブラルタル基地に到着したミネルバは、その艦載(かんさい)機を含めて技術部による修理・修繕を受けていた。それ故に、今回の緊急発進に出遅れたことが悔やまれる。

 

〈くっそぉぉ! よくもこんなことをっ!〉

 

 その惨状(さんじょう)を前にして、怒りの声と共にシンがデスティニーをガンダムへ向かわせる。ビームライフルによる射撃が、密集するガンダムを分散させた。

 

「レイ、ルナマリア、連携して叩くぞ!」

〈〈了解!〉〉

 

 デスティニーが因縁(いんねん)深い青色の機体に向かっていくのを尻目に、アスランはレイとルナマリアと共に残りの二機へ機体を向かわせる。まずは隙を見せると厄介なタイプを優先して叩く。

 

 すると、巨大なライフルを持つ狙撃型のガンダムが、その砲口をこちらに狙いを定めるのが確認できた。

 

「散開っ!」

 

 アスランが素早く操縦桿を動かすと、それに(なら)ってセイバーとインパルスも距離を取る。次の瞬間、直撃すれば撃墜は(まぬが)れない威力のビームが三機の間を通り過ぎていった。

 

〈このぉっ!〉

 

 ルナマリアがビームライフルで敵機体を狙うが、狙撃型のガンダムはその両肩のシールドから機体を覆うように粒子を放出し、放たれたビームのことごとくを弾いて無効化した。

 情報にある通り、あのフィールドの前で既存の遠距離攻撃は通用しないようだ。

 

「ええいっ!」

 

 レイのセイバーによる援護を背後に、アスランはビームサーベルを引き抜いて接近戦を仕掛ける。わざわざ相手の得意な距離で戦う必要はない。狙撃型のガンダムの苦手とするだろう近距離戦こそが、アスランの得意とする戦い方なのだから。

 

 フィールドの内から外へは攻撃できないのか、ガンダムはわざわざ解除してこちらへの狙撃を行ってくるが、アスランはそれらを紙一重で回避していく。

 

(正確な狙撃だ…だが、だからこそ避けやすいっ!)

 

 やがて、ジャスティスは相手の間合いに入った。同時にアスランはビームサーベルを振り下ろす。相手にシールドを張らせる隙を与えない為だ。

 

 しかし、振り下ろされたビームサーベルは横から飛び出した巨大な剣によって受け止められた。そのまま力任せに剣は振り払われ、アスランは大きく機体を後退する。

 

「くっ…残りの一機か」

 

 それは、長射程の砲塔と巨大な実体剣を持つモノトーンカラーのガンダム。アスランがセイバー搭乗時にいくらか戦闘を行った機体だ。

 しかし、以前と異なる特徴として、腰部にスカート状の追加装甲が見られる。正体は分からないが、ただの装甲ではないだろう。

 

(何らかの武装か…?)

 

 だが、敵はアスランの思考の時間は与えてくれない。アスランは、続けて振り下ろされる大剣をシールドで受け止めたものの、そのあまりもの衝撃にシールドごと大きく吹き飛ばされた。

 

(力負けした!? なんてパワーだっ!?)

 

 基地沿いにある海中へ沈没する中、アスランが最後に見たのは、孤立したインパルスへ向かっていく六つのミサイルではない"何か"であった。

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

「アスラン!? このぉぉ!」

〈待て、ルナマリア!…ぐっ〉

 

 尊敬する隊長がやられて激昂したルナマリアが機体を白黒のガンダムへ向かわせる。セイバーをモビルスーツ形態に変形させたレイもそれを追うが、狙撃型のガンダムの攻撃がそれを許さない。

 

 こうして、ミネルバ隊は物の見事に分断されてしまった。そして、一対一になればガンダムには勝つことはできない。それこそアスランやシンのような例外でなければ。

 

 ルナマリアは敵の大剣を警戒し、距離を取ってビームライフルでの攻撃を仕掛けたが、白黒のガンダムはそれを空を()うように回避し、代わりにそのスカート状の装甲から"何か"を射出した。

 

 ミサイルかと警戒したルナマリアだったが、彼女の予想に反してその"何か"は空を縦横無尽に飛び回ると、真っ直ぐにインパルスへ向かってくる。明らかに通常兵器ではない。これは…カオスなどに装備されているものと同じ。

 

「なによ、これ…まさかドラグーン!?」

 

 ライフルで迎撃するが、小さく素早い目標に命中させるのは非常に難しく、回避するので精一杯。四方八方から迫る金属の牙(GNファング)を前にルナマリアは完全に防戦一方であった。

 

「ドラグーンは地上では使えないんじゃなかったの!?」

 

 自重の関係で、ドラグーン等の遠隔操作兵装は無重力でしか使用できないはずだが、ソレスタルビーイングの技術はそんな常識すら打ち砕いた。常識はずれの兵器にルナマリアが混乱するのも当然のことである。

 

 だが、彼女にとっての常識は敵にとっての常識ではない。

 ルナマリアが遠隔操作兵装に気を取られたその隙をガンダムは見逃さなかった。

 

 インパルス目掛け、ガンダムの左肩部から展開された砲身からビームが放たれる。ルナマリアは間一髪シールドでそれを受け止めたが、その威力を前にシールドは一発で破壊されてしまった。

 

 だが、ルナマリアは驚きはせど焦りはしない。

 

「くっ…舐めんじゃないわよ!」

 

 続く二射目をルナマリアは両腕で受け止めた。正確には、両腕から展開されたビームシールドによってだ。

 

 ルナマリアがシンより受け継いだインパルスは、改修にあたって改良されたチェストフライヤーを受領しており、新装備としてデスティニーと同型のビームシールドが新設されていたのだ。これにより、インパルスはおおよそデスティニーと同等の防御能力を手に入れたのである。

 

「私だって"赤"なんだからっ!」

 

 迫る金属の牙(GNファング)を展開したビームシールドではたき落としたが、背後から放たれたビームによってフォースシルエットが被弾(ひだん)した。

 

「メイリン、"デスティニーシルエット"を!」

〈お姉ちゃん!? でもあれはっ!〉

「早く、このままじゃやられる!」

 

 エネルギー補給のためだろう。ガンダムの遠隔操作兵器が一旦姿を消し、代わりに暴力的なビームの光が動きの鈍いインパルスを襲う。ルナマリアはビームシールドでそれを防いだが、その一撃で発生装置が負荷に()えきれずに破壊された。

 

〈ルナマリアっ!〉

 

 そこで、復帰したアスランがビームブーメランと共にガンダムへ突撃する。ガンダムはその大剣でブーメランを弾き飛ばすが、その間にアスランはビームサーベルを振り抜いていた。

 

 だが、遠目でそれを見ていたルナマリアはガンダムの動きがよく見えていた。

 

「アスランっ!」

〈…なっ!?〉

 

 ガンダムが大剣を振るうと同時に振り上げられた右脚から、ビームサーベルが飛び出したのだ。咄嗟(そくざ)に引っ込めたジャスティスの右肩を(かす)める。そして、左脚から飛び出したサーベルがジャスティスのシールドを吹き飛ばした。

 

〈…デスティニーシルエット、射出しました〉

「了解!」

 

 その間に、ルナマリアはインパルスを新たなシルエットに換装(かんそう)する。デスティニーを彷彿(ほうふつ)とさせる悪魔のような赤い翼が装着され、同時にVPS装甲がザフトレッドのような真紅に色づく。

 

「はぁぁぁっ!」

 

 ルナマリアの咆哮と同時に、その翼に光が(とも)った。背部ウェポンラックから取り出した"エクスカリバー"を構え、ミラージュコロイドによって生み出した幻影と共に接近する。

 

 振り下ろした長刀はガンダムの大剣と激しくぶつかり合い、火花を散らした。

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 その頃、ジブラルタル基地から少し離れた海上近くでは、ガンダムとデスティニーによる激しい戦闘が行われていた。ステージのこともあり、ダーダネルス海峡での戦いを思い出させるが、以前とは違い、シンはどうにも敵に攻めきれずにいた。

 

(なんだ?…動きを読まれている!?)

 

 光の翼–––––ヴォワチュール・リュミエールによる機動性とミラージュコロイドによる幻惑によって、デスティニーはガンダムにも迫る性能を手に入れたはずだ。

 にもかかわらず、敵のガンダムはこちらの射撃を、斬撃を読み切り、その全てを回避している。それどころか、逆にシンの方がギリギリの攻撃を受けることが増えてきていた。

 

 シンが手加減をしているわけではない。むしろ、この数日でアスランを相手に訓練してきた分、その実力はレイに迫るほどまでに成長しているのだ。デスティニーに関しても、今まで以上に使いこなしている自信がある。

 

 ならば、なぜ…?

 ガンダムのパイロットの能力が自分を上回るとでもいうのだろうか…?

 

「くっそぉッ! 何でこんなっ…!」

 

 シンは苛立って、一人コックピットの中で毒づく。

 撃ち、かわされ、剣を振り、またかわされる。デスティニーと青色のガンダムの戦闘は、まるで際限なく続くように思えた。

 

 –––––ここで一気にケリをつけてやる!

 

 その瞬間、シンの中で何かが弾けた。以前にも見せた極限の集中状態。視界がクリアになり、思考が()える。

 

 シンは立て続けにライフルを連射して、ガンダムを追い込みながら急迫(きゅうはく)する。周到(しゅうとう)に散らされた射撃が敵の退路を断った。

 素早くライフルから長刀の(つか)に手を伸ばしながら、シンは確信する。

 

 –––––やれるっ!

 

 体勢を(くず)した敵機が眼前に迫る。シンは叫び声を上げながら、刀を抜き打ちに振り下ろした。

 

 ガンダムは大きく体勢を崩したままだ。その上にシンの(やいば)が降りかかる。刃がその純白の装甲を切り裂かんとするその時–––––ふっとその機体が消えた。

 

 いや、シンにはそう見えた。

 そして、背中に冷たいものが走った。ほぼ直感に従って、シンは操縦桿を動かす。

 

 次の瞬間、デスティニーが振り下ろした長刀(アロンダイト)が、ガンダムの振り上げた剣に半ばから切り裂かれて宙を舞った。敵は、シンの斬撃をかわすと同時に、背後へ駆け抜けながらサーベルを一閃(いっせん)させたのだ。

 

 それは、ここ数日で更に上昇したシンの知覚をも上回る早業(はやわざ)だった。

 

 超えた–––––と、思ったのに…!?

 一度は勝利した相手なのに…っ!?

 

 その困惑と焦りがシンに付け入る隙を作らせる。動きを止めたデスティニーを敵は見逃さなかった。

 

〈シンっ!〉

 

 その光景を遠目に見ていたアスランからの声で、シンは目の前に迫るガンダムの振り上げた剣に気がついた。咄嗟(とっさ)に左手をかざし、掌底(しょうてい)からビームを放とうとする。

 

 が、またもガンダムは彼の攻撃を上回るスピードを見せる。放たれたビーム砲を機体を逸らすことで回避したガンダムは、手に持つサーベルでビーム砲ごとデスティニーの左腕を(ひじ)まで引き裂いた。切り裂かれた左腕は一泊おいて誘爆し、機体バランスを大きく崩す。

 

 シンは唖然(あぜん)として、失われた左腕を見つめた。

 

 –––––こんなに、簡単に…負けるのか?

 

 怒りが込み上げる暇もなく、ガンダムの次なる刃がデスティニーのコックピットを(えぐ)り取った。

 

 ハッチが破壊され、外の景色があらわになる。だが、それについて認識するよりも早く、デスティニーは地上へ叩き落とされた。さらに運が悪いことに、緊急発進のためにヘルメットを着用していなかったため、シンはダイレクトに頭を打ってしまった。

 

「ぐぅっ!?」

 

 衝撃で頭がグラグラと痛む。視界も点滅しており、イマイチ焦点が定まらない。顔を伝う暖かい液体は、紛れもなく己の血だろう。

 

「くそっ…敵はっ!」

 

 それでも、シンは破壊されたコックピットハッチからガンダムを紅い瞳で精一杯睨み付けた。

 

 …まさにその時だったのだ。

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 浅い呼吸を繰り返し、フェイトはガンダムアステリアのコックピットから眼下を見下ろす。

 

 今の彼女は、以前オーブ海域でフリーダムとの戦闘時に見せたあの感覚(SEED)を発動していた。今までは機体性能に振り回されていたとも言えるガンダムアステリアを完璧に操り、その性能をフルに引き出している。

 

 戦闘シミュレーションの甲斐(かい)があった。

 あちらも時間が()って己の機体をモノにしていたようだが、生憎と機体性能はガンダムの方が上だ。ならば、完璧に機体性能を引き出したフェイトに軍配が上がるのは当然のこと。

 

 さらに、デスティニーのパイロットは前回の戦いで勝利したことで慢心していたようだ。高機動での射撃が苦手なフェイトにとって、光の翼を展開したデスティニーを相手に撃ち合いをするのは避けたいところだったのだが、敵はわざわざアステリアの得意とする接近戦で挑んできてくれた。

 

 だからこそ、フェイトは勝利したのだ。

 デスティニーの振り回す対艦刀に対しては、取り回しの悪いGNソードよりもGNビームサーベルの方が有効と即座に判断。折りたたみの関節部を切断した後は、繰り出してくるであろう(てのひら)のビーム砲を回避し、逆に腕を破壊してやった。

 

「はぁぁっ!」

 

 そして今、動きの(にぶ)くなったデスティニーのコックピット目掛けてビームサーベルで切り付ける。運動性の極めて高いアステリアがだからこそ可能となる近接格闘だ。

 

 –––––浅い!

 

 とはいえ、やはり距離が遠かった。切り結んだ一瞬の間合いの浅さに、フェイトは歯噛(はが)みする。流石に敵の行動も早い。

 

 だが、コックピットの一部を破壊することには成功したようだ。デスティニーはそのまま失速し、破壊跡となったジブラルタル基地に叩きつけられた。

 

 それきり、動きを止めたデスティニーを、上空からフェイトは観察する。

 

 –––––やった……っ!?

 

 仰向(あおむ)けに倒れたデスティニーの胸部装甲は大きく()け、隙間(すきま)からコックピット内部まで見通すことができた。ガンダムのビームによって破壊された基地の跡地が、周囲にオレンジの光を投げかけている。

 

 そして、フェイトは見た。

 デスティニーのコックピットの中にいるパイロットの姿を…。

 

 中にいたのは、ザフト軍赤服を身にまとった黒髪の少年。おそらく、緊急出撃ゆえにパイロットスーツの着用が間に合わなかったのだろう。衝撃でどこかぶつけたらしく、頭からは一筋の血が流れていた。

 

「子ども?…それに–––––っ!?」

 

 どこか引っかかる物を感じたフェイトがカメラの倍率を切り替えようとした。ぼやけながらも、こちらを鋭く睨む紅い瞳に、吸い込まれそうになったからだ。

 

 しかし、結果として彼女にカメラ倍率を操作する時間は与えられなかった。突如として、コックピットに緊急のアラートが鳴り響いたのだ。

 

 明るい赤色の光条が空間を貫く。回避運動に入ったアステリアを(かす)めたその光は、次々と彼女に襲いかかった。

 

「くっ…なにっ!?」

 

 攻撃を行ってきた敵機を索敵しようと、フェイトはサブモニターを起動させる。データ分析が行われるよりも早く、フェイトはその異常に気がついた。

 

「あれは…ザフトじゃない」

 

 モニターには、編隊を組んで飛行してくるモビルスーツ部隊の機影が映し出されていた。しかし、それはザフトのモビルスーツではなく、かといって連合のものでもない。

 

「GN粒子…ガンダムっ!?」

 

 なにせ、接近してくる未確認のモビルスーツの背部からは、明るいオレンジ色の粒子……GN粒子が放出されていたのだから。

 

 

 

 





>セレーネvsレイ(セイバー)
クルクル回転で何とか回避に専念。しかし、攻撃もGNフィールドで効かないのでこのままいけばレイの敗北だった。

>サルースvsアスラン&ルナマリア(デスティニーインパルス)
隠しビームサーベルを初見で避けるアスランは頭がおかしい。
後、ファングをビームシールドで殴りつけるルナマリアさん流石です…。
地味にデスティニーインパルス最初で最後の活躍。

>アステリアvsシン
慢心+わざわざ相手の得意土俵で戦う+相手もSEED持ち+相手はデスティニー相手の訓練履修済み…などの理由があって完敗。

>オレンジ色(緋色)
環境・人体に配慮したGN粒子となっております。赤は赤でカッコいいけどね。
ちなみにガンダムだけどガンダムじゃないです(00特有のアレ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。