【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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早く更新したいと思うのはいいのだが、そのせいか誤字が多くなってしまう(泣)



天使に牙向く者

 

 

 GNX-603T/CE"リィンジンクス"、通称GN-X(ジンクス)

 それがGNドライヴ[T]を搭載(とうさい)した新型のモビルスーツの名称である。

 

 全体的に丸みを帯びたフォルム、灰と白の機体カラー。曲線を(えが)く頭部のほぼ中央、額の部分には大きな紫色のメインセンサーが()えられており、X字を形作るように左右の胸郭(きょうかく)から肩上部に向けて、両側部から後方に向けて、それぞれ長いパーツが伸びている。両腕と両脚は、この機体の出自が示す通り、ガンダムの形状に似通っていた。

 

 各機の頭部にはメインセンサーの両側にバルカン砲が、左前腕部には取り回しに障害にならない程度のスケールの実体盾が、両(もも)部の装甲の下にはビームサーベルが装備されている。

 

 十機のうち六機はロングビームライフルを(たずさ)え、残り四機 ––––– 旧ファントムペインの面々が搭乗する機体は、ガンダムとの近接戦も考慮して取り回しのいいビームライフルを右手に携えていた。

 

「よーし、始めようか。全員、迎撃行動に移るぞ」

 

 編隊の先頭を飛ぶ、ネオ・ロアノーク大佐の搭乗機から、後続の僚機(りょうき)に指令が下された。

 

 雇い主であるジブリールに代わり、ネオらファントムペインを引き取ったシャーロット・アズラエルから最初に下された命令は、新型モビルスーツの戦闘訓練だった。それも、ガンダムに搭載された物と同型のエンジンを積んだ機体のだ。

 

 詳しいことは分からないが、ソレスタルビーイングに裏切り者が出たらしい。手土産にガンダムのエンジン–––––GNドライヴとやらをシャーロットに提供したようだ。

 

 そして、ネオたちが機体の制御に慣れた矢先の出撃命令。その目的はガンダムに襲撃されているザフト軍の援軍…救助であり、この機体はガンダムと戦うためであった。

 

(は…そのザフト軍からモビルスーツを強奪した俺らが奴らの援軍とは、笑っちまうぜ)

 

 その常識はずれの命令に、ネオは内心で笑ってしまった。まさか元地球連合の特殊部隊である自分たちにザフトを助けろ…とは。ブルーコスモスからは絶対に出ない発言だろう。

 

 しかも、こちらからはあれほどしつこく追跡したミネルバの姿も見える。ガンダムと戦闘していたのはミネルバ隊だったようだ。それも合わせて、つくづく妙な巡り合わせを感じずにはいられない。

 

(だが、これから"何か"が変わるのは確かだ)

 

 今までの連合ならば、取得したGNドライヴを独占し、それを武器にプラントへの攻撃に利用していたはずだ。しかし、シャーロットはそれをしなかったをそれどころかザフトと組んでソレスタルビーイングを叩けという。どう考えても、これは普通じゃない。

 

 政治的な意向は、所詮は部下に過ぎないネオたちには知らされていないが、この戦いから世界が大きく変わるのではないか…?という予感がネオにはあった。

 

(ま、俺たちは俺たちでやることをやるとしますか)

 

 だが、ネオはひとまず気にしないことにした。

 

 何せ、これから戦うのは今まで散々敗北を(きっ)してきたガンダムである。圧勝とまではいかないまでも「ガンダムに対抗できる」というだけの結果を弾き出さなければ、自分たちの立場も危ない。

 

「虎の子の十機だ、あまり派手に壊すなよ…!」

 

 とはいえ無茶はしないでくれよ…と、部下や子供達に内心で思いつつも、ネオは指示を出す。

 

 すると、ネオに追従する三機のGN-Xに搭乗する三人が意気揚々と声を上げた。

 

〈はいよ、おー任せってねっ!〉

〈今までの借りを返してやるぜっ!〉

〈敵…倒す!〉

 

 六機のGN-Xがロングビームライフルで放つビームを背後に、"エクステンデッド"のスティングたちが、ガンダムに襲いかかる。ネオも三人の背後からビームライフルで敵を狙った。

 

 敵機はそれぞれに熱線をかわし、搭載したビーム兵器で応戦してきた。しかし、降り注ぐ敵の粒子ビームは、灰色の機体のいずれにも着弾することなく、彼方(かなた)の空へ消え去っていった。

 

 –––––かわせる。

 

 ネオは(わず)かな交戦期間で手応(てごた)えを感じていた。

 

 この速度、この機動性–––––これがガンダムか。これがGNドライヴの性能か。現行のモビルスーツが児戯(じぎ)のように破壊されていったわけも頷ける。

 

 訓練で新型の能力の高さは感じていたが、戦闘によってそれが確信に変わった。

 

「随分と好き勝手やってくれたな、ガンダムさんよ!」

 

 ネオは白黒のモノトーン色のガンダムへビームライフルを乱射した。白黒の機体は素早く反応すると、ネオの放ったビームを回避し、両腰のスカートから金属の(きば)を放出する。

 

 それは今までガンダムが見せていなかった新武装。ドラグーンのように思えるが、先のザフト機との戦闘を見るに射撃だけでなく、サーベルを展開しての吶喊(とつかん)も可能なようだ。

 

 流石はガンダムの武装。既存の概念を壊すことには定評がある。

 

 しかし–––––––!

 

「地上でドラグーンとはめちゃくちゃだな、おい!」

 

 その言葉とは裏腹に、ネオは操縦桿(そうじゅうかん)をなめらかに動かすと、金属の牙から放たれる粒子ビームの群れを右へ左へとかわしていった。

 モニターに映るデータとネオの卓越した空間認識能力と反射能力、それらが空中に散らばる金属の牙の位置を残らず把握(はあく)して、一瞬ごとに攻撃を無力化する最適な場所を割り出していく。

 

 GN-Xは、彼の求める動きに遅れることなく的確に応えていた。

 

 ネオはビームライフルのトリガーを引き、六つある内の半分を炎の玉に変える。

 

「悪いが、何故かその手の兵器には嫌な思い出があってな」

 

 残り三つの金属の牙も、頭部に付いているバルカンで破壊する。ネオにとってGN-Xの性能があれば、この金属の牙(GNファング)は大した脅威にはならなかった。

 

 視界の端では、エクステンデッドの三人が青色のガンダムを相手に優勢の状況で戦いを進めているのが見える。三人とも–––––特にスティングとアウルは新しい機体に乗って随分と高揚しているようだ。今までの手痛い敗北を糧に闘志を燃やしているらしい。

 

〈おいおい、その程度かよ。ガンダムゥ!〉

 

 ガンダムの射撃を鮮やかな動きで回避したスティングがビームライフルで動きを封じ込め…。

 

〈ステラ、お前は左!〉

〈わかった〉

 

 アウルとステラが左右から攻撃を加える。ガンダムは上手く回避したようだが、その動きは精細(せいさい)に欠けており、ネオの目から見ても焦りが感じられる。

 

(よし、心配だったが上手くやれそうだな)

 

 新しいおもちゃを手に入れたようにはしゃぐ彼等のことをネオは心配していたが、この様子を見るに大丈夫のようだ。シャーロットの指示で彼等に課した連携訓練の数々は実を結んでいる。

 

 そして、反対側では四機のGN-X部隊が狙撃型のガンダムを相手に撃ち合いを続けていた。敵ガンダムが展開するフィールドは厄介だが、逆に素早く動く彼等を狙撃することはガンダムとはいえ難しいようで、一進一退の攻防が続いている。

 

「おぉっと!……よーし、いい調子だ」

 

 白黒のガンダムが左肩の砲口から放つビームを回避しながら、ネオは自身達がガンダムと対等以上に渡り合えていることに震えた。そして、確信する。

 

 –––––ガンダムなどもはや、恐るるに足らんと…

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 緋色(ひいろ)のビームが次々と放たれ、フェイトはデスティニーから機体を大きく離れさせ、上空にいるアキサムとシエルと合流しようとした。

 

「二人とも、これはっ!」

〈俺にも分からん…が、あれはGN粒子……なのか?〉

〈…とにかく迎撃を!〉

 

 しかし、背部からオレンジ色の粒子を排出する十機のモビルスーツは、その手に持つビームライフルを撃ちながら、数機ずつに分かれてこちらへ向かってくる。仕方なくフェイト達は散開し、各々迎撃態勢を取った。

 

〈三人とも、どうしたの!?〉

 

 通信からクラウディオスで待機しているフブキの声が聞こえる。ミッション予定時間を大きく超えていることと、未確認の新型モビルスーツ部隊の出現に思わず通信を(つな)いだのだろう。

 

 だが、それに答える余裕はフェイトになく、機体のモニター映像をクラウディオスと同期することで言葉の代わりに説明した。

 

 その間にも、敵機体から放たれるビームライフルがアステリアを追い詰めていく。幾多(いくた)にも放たれた緋色の閃光は、着々とアステリアの回避コースを(せば)めていった。

 

「なんて射撃精度…!」

 

 フェイトには、目の前の機体に対して疑問を与える暇も与えられなかった。敵機体を少しでも引き離すため、GNソードをライフルモードにしてビームを放つ。

 しかし敵部隊は、アステリアの(たま)を食らう()を犯さず、機体位置をずらして射線を回避するか、左腕の実体シールドでダメージを防ぎきっていた。

 

 そして、敵もお返しとばかりに反撃してくる。

 一の攻撃が五にも十になってアステリアに帰ってくる。フェイトも回避運動を繰り返していたが、やがて粒子ビームの一つが着弾し、機体が大きく後方に吹き飛ばされる。

 

「くっ…このっ!」

 

 得意とする近接戦闘を仕掛けようにも、三機の敵モビルスーツの連携の精度は高く、アステリアの機動性を以てしても被弾なしには近づけない。一機を撃破するために隙を見せれば、残り二機に瞬時に撃墜されてしまう可能性が高い。

 

 そのため、フェイトも動きを慎重にならざるをえず、互いに致命傷(ちめいしょう)を与えられず、粒子ビームのエネルギーだけが消費されていく。

 

 視界の端では、GNフィールドを展開したガンダムセレーネが四機の敵の猛攻を受けており、GNメガランチャーの砲撃も狙撃も、敵機体の装甲を掠らせるのが精一杯の様子が見える。

 ガンダムサルースも六つのGNファングを破壊され、三機の敵機体による攻撃を何とかいなしていた。GNバスターソードやGNランチャーのような大ぶりの攻撃は、いくらアキサムの腕でもそうそう当たってくれない。

 

 統制の取れた敵モビルスーツ部隊を前に、ソレスタルビーイングのガンダムは完全に押されていた。

 

「これは一体…っ」

 

 眼前の機体から放出されているのは、色彩こそ異なるものの間違いなくGN粒子だ。だが、どこの部隊がそれを運用している。自分たちソレスタルビーイング以外にGNドライヴを保有する組織など存在しないはずだというのに。

 

 その思考の混乱が隙になる。

 敵機の放ったビームがアステリアの肩部へ直撃し、機体のバランスを崩した。それをチャンスだと思った二機の敵機体が緋色のビームサーベルを展開し、その刃をアステリアに振り下ろす。

 

「っ!!」

 

 咄嗟(とっさ)にGNブレイドで受け止めたが、フェイトは想像以上のパワーに圧倒された。左右両方から次第に押されていき、その刃が力づくで押し込められようとしたとき、フェイトはGNブレイドを手放すことでその場を離れる。

 

 離脱のためにビームダガーを投擲(とうてき)したが、敵機はなんてことないかのようにそれを弾き、ビームライフルを構えた。

 

「––––––やるっ!」

 

 今までの戦い方が何一つ通じない。

 そのことに歯噛(はが)みしつつ、フェイトもGNソードをライフルモードにして構える。

 

 その時、フェイト達の元にフブキから通信が入った。

 

〈三人とも、今はとにかく撤退なさい!〉

「しかしっ!」

〈反論はなし。ガンダムを失ってもいいの!?〉

 

 そう言われて、フェイトは機体状況と敵部隊を確認する。

 機体状況–––––小破。七本中四本の武装喪失。未だ敵部隊に損害を与えることも叶わない。他のマイスターたちも押されている。確かに、このままではガンダムを失ってしまうだろう。

 

 そう考え、フェイトは渋々納得した。続いて、アキサムとシエルも了承の意を伝える。

 

〈こちらサルース、了解した〉

〈セレーネ、撤退行動に移る〉

「………了解」

 

 セレーネが煙幕を展開し、敵機体から姿を隠した。すかさずフェイトも機体をそこへ向かわせる。敵機は逃さないとばかりに追跡してきたが、サルースが残りのGNファング二基を使って牽制(けんせい)し、その間に離脱行動を開始する。

 二基のGNファングが稼いだ時間は微々たるものであったが、撤退するのには十分な時間だった。煙が晴れた頃には、姿が見えなくなっているはずだ。

 

 その後、何故か敵は追って来なかったが、それが逆にマイスター達の心にしこりを残す。マイスター達は終始無言であったが、考えること・思うことは同じだった。

 

「……ガンダム」

 

 以前フェイトがデスティニーを相手に感じた屈辱を…見知らぬモビルスーツが放つオレンジ色の粒子に対する疑問を胸に抱きながらも、三人は基地へと機体を向かわせる。

 

 これが、ソレスタルビーイングの初めての完全な敗北であった。

 

 

 そして、この戦いがきっかけで世界は大きく変わっていく。

 

 

 





>リィンジンクス
外見の認識は1stシーズンのジンクスⅠでOKです。
性能的には、原作同様にガンダムとほぼ同等です。

>ネオvsGNファング
不可能を可能にする男にAI操作のビット攻撃など通用しない

>エクステンデッドvsフェイト
数の有利+フェイトの動揺(種割れ終了)+ステラ達の強化(訓練)によって、フェイトの不利。


ここから怒涛の展開で物語は進んでいきますので、続きが気になる方は高評価・感想を書いていただけると作者のモチベーションがアップします。
最近は低評価が多くてね…どうにかしたいけど、難しいぜ。
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