【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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ただただ、ごめんなさいと言いたい。

ただの説明回ですが、どうぞ。


記憶と再会、疑惑

 

 

 

 プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルと、最新鋭艦ミネルバ艦長タリア・グラディス、副長のアーサー・トライン、モビルスーツ部隊であるアスラン・ザラを始めとするパイロットたちは、半壊した基地の中で、何やら事情を知っているらしきデュランダルと対面していた。

 

「それで議長。勿論、ちゃんと説明はしていただけるんですよね?」

 

 やや棘のある口調で、タリアが正面のデュランダルに問う。その隣に座るアーサーはそんな彼女の様子にあわあわと口を動かしているが、問われた当の本人は、とても申し訳なさなど感じさせぬ表情を浮かべながら、空を見上げて言った。

 

「ああ、勿論だ。–––––しかし、話は彼等を交えた方がしやすいと思ってね」

 

 デュランダルに(なら)って全員が空を見上げると、ガラス越しに大きな影が写った。それは、先程の戦闘でガンダムとアスラン達の間に割って入った白と灰のツートンカラーの見たこともないモビルスーツ。

 

「あの機体は…あの時の」

 

 数にして十機の白と灰のモビルスーツは、その背部からガンダムのものと酷似(こくじ)した粒子を排出しながら、ゆっくりと基地へと着地した。続いて、作業員の案内に従って基地内部の格納庫(ハンガー)に向かっていく。

 

「議長!?」

「安心したまえ、彼等は味方だ」

「しかしっ」

 

 自分らの窮地(きゅうち)を救った相手とはいえ、未確認のアンノウンを容易く基地内部へ侵入させたことにタリアやアーサーから困惑と驚きの声が上がるが、デュランダルはそれ以上何も言うことなく十機全ての収容を見送った。

 それからゆっくりとこちらに振り返ると、デュランダルはその笑みを崩さないままに言った。

 

「––––––何を隠そう、ここに彼等を呼んだのはこの私なのだから」

「えぇ!?」

 

 アーサーがお手本のような驚愕(きょうがく)の声を上げるが、驚いているのは皆同じだ。そのような情報はフェイスであるアスランは勿論、艦長であるタリアにも知らされていない。いや、おそらく基地にいるザフト軍の誰もが知らされていなかっただろう。

 

 シン達の驚愕の表情、アスランやタリアからの(いぶ)しむような視線を受けながらも、デュランダルはそのまま言葉を続ける。

 

「いや、すまない。私も時期を見計らって君たちにも説明するつもりだったのだが、想定以上に早くガンダムがここに武力介入をしてきたものだからね。たまらず、彼等の助けを借りたというわけだ」 

 

 彼等––––––その言葉を聞いて、すかさずアスランがデュランダルへ()き返す。

 

「その…彼等とはいったい…?」

「あぁ、彼等は–––––」

 

 デュランダルの口が答えるよりも、部屋の扉が開く方が早かった。皆の視線が集まる中、扉の向こうから数名のパイロットスーツを着た人間たちが姿を現す。おそらくは例のモビルスーツ部隊のパイロット達だろう。

 

 警戒混じりの視線を向けるタリアたちに対し、隊長であろう先頭の一人がデュランダルの存在に気づいて軽く目礼してヘルメットを外した。同時に、その容姿があらわになる。

 

 中から現れたのは、端正な金髪の男であった。

 

「着陸許可をいただき、感謝する。地球連合軍第81独立機動群のネオ・ロアノーク大佐だ」

 

 年齢はおそらくまだ若い。タリアとそう変わらないだろう。

 額に垂れかかる金の髪、端正(たんせい)ともいえる顔立ちには、戦いの経歴を表すかのような傷が刻まれていた。

 

(連合軍ですって? それも大佐……)

 

 だが、タリアはその容姿よりも彼のいう所属部隊に反応した。聞き間違えじゃなければ、彼は"地球軍"と言ったのだ。それも階級が大佐であることから、かなりの立場にいることが予測できる。

 

(一体どういうつもりなの…ギルバート)

 

 そんな人物とプラント最高評議会議長が繋がっていたことに大きな疑問と不審を感じながらも、タリアはあくまで表情には出さずに冷静に彼等の話を聞く姿勢を取った。

 

 しかし、もう一人のフェイスであるアスランは、その容姿を見て黙っていることなどできなかった。

 

「フラガ少佐!?」

 

 ムウ・ラ・フラガ。

 かつて『エンデュミオンの鷹』の異名で呼ばれていた地球軍のエースパイロットである。

 

 その腕前は通常のナチュラルの比ではなく、そのことはかつて敵対したアスランだからこそよく知っている。アークエンジェルと共に地球軍を追われ、オーブ脱出と同時にキラ達を通じて知り合った相手だ。

 

 関わった時間こそ少なかったが、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では終わらぬ戦争を止めるために"三隻同盟"所属のモビルスーツパイロットとして共に戦った仲間でもある。

 

 しかし、彼は乗機であった"ストライク"と共に宇宙へ消えたはず…。

 

「…まさか生きていらしたんですか?」

 

 だが、アスランの問いに対してムウ––––––のはずの男ネオは、訝しげな瞳を向けた。

 

「少年、どこかで会ったか」

「え…?」

「俺はネオ・ロアノーク大佐だ。悪いが、人違いじゃないかな?」

 

 赤の他人のような対応。

 確かにアスランとムウの間にあった関係は、キラのようなものではなかったが、忘れるはずもない。その容姿、声が記憶にあるムウ・ラ・フラガそのものと一致している。

 

 なのに、彼はムウではないという。

 

「……いえ、失礼しました。人違いだったかもしれません」

 

 どこか釈然としない感情を覚えながら、アスランは一歩引いた。彼がムウでない以上、連合の上官にザフトのフェイスが突っかかるわけにはいかない。

 

 普段は冷静沈着なアスランが取り乱したことで困惑するシン達。そして、彼の口から出た『フラガ』という名前に一人の少年が反応したのを尻目に、タリアはどこか微妙な空気を咳払いで誤魔化し、ネオに先を促した。

 

「…さて、続きをお願いしても?」

 

「ああ。で、こいつらが–––––」

 

 ネオが手で合図をすると、背後に控えていた三人のパイロットたちが前に出てヘルメットを取る。そして、あらわになったその容姿は、タリアたちが想像するよりも遥かに幼い少年少女たちだった。

 

「スティング・オークレー、階級は少尉だ」

「…同じく、アウル・ニーダ」

 

 スティングという青年は感情を(さと)らせないような表情で冷静に、対して、アウルという少年はやや警戒したような表情で渋々名と所属を名乗る。

 

「ステラ…ルーシェ」

 

 そして、三人目の幼なげな金髪の少女は、とてもあの戦いをしていたモビルスーツのパイロットとは思えない(はかな)げな様子でステラと名乗った。

 

 おそらく、年齢はシンやルナマリア等と同年齢だろう。

 だが、それは成人年齢が高く、人材不足のプラントだからこその特例であり、ナチュラルの常識で考えるならば兵士としてモビルスーツに乗るには若過ぎる。

 

「その、彼等は–––––」

「ステラっ!?」

 

 タリアの言葉を遮る形で叫んだのは、シンだった。

 先程のアスランと同じように…いや、それ以上に動揺している様子だ。まるであり得ないものを見たかのような表情を浮かべている。

 

「何で、君が…どうして」

「………誰?」

 

 忘れようはずもない、ディオキアで出会った少女。名前まで聞いたのだ、人違いでもない。

 

 向かい合うシンとステラ。

 困惑するシンに対して、隣の少年たちは訝しむような視線を向けてくるが、その彼等にしてもディオキアで出会っているはずだ。…そうだ。あの時ステラは「ネオ」という言葉を使っていたじゃないか!

 

「まさか、ディオキアの…」

「……あー、なるほど。そういうことね」

 

 ふとアスランが漏らした言葉を聞き、ネオは全てを悟ったというように溜め息を吐いた。

 それから、デュランダルの方を向いて口を開く。

 

「互いの部下にも少々混み合った事情があるようで……ここはゆっくりお話といきませんか?」

「ああ、そうしよう。こちらの席へ来たまえ」

 

 デュランダルの案内で、ネオ達がタリア達ミネルバ隊と向かい合うように席に着く。

 

「まずは俺たちのことについて話をしよう。俺たちファントムペインは–––––」

 

 それから、ネオはこれまでの何もかもをタリア達に話した。

 それは、シン達ザフト軍の地球軍への印象を大きく一変させることとなる。

 

 そして、少年は辛い現実と直面することとなった。

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 クラウディオスのブリーフィングルームでは、ガンダムマイスターであるフブキ、戦況(せんきょう)オペレーターのウェンディとヴァイオレット、操舵士のシド、砲撃士のバッツが集まっていた。

 また、青色に光る床面(ゆこめん)モニターを通じて、地上にいるガンダムマイスター三人も通信を繋いでいる。

 

 現在、先日遭遇した新型について、シャーロットから送られてきた情報を基にバレットが解析を行なっており、クルー達は一言も話さず緊張感を漂わせながら結果を待っていた。

 

 それから間も無く、端末を片手にバレットがブリーフィングルームに入ってきた。同時に床面(ゆかめん)モニターに次々と新たなデータが表示されていく。

 

「結論からいえば、この新型機体––––––コードネーム"GN-X(ジンクス)"とやらには我々と同じシステムや装甲が使われておった」

「やはり同型機なのね…」

 

 フブキが目を細める。

 そうであって欲しくないと思いながらも、ガンダムとあそこまで対等に渡り合う機体があるとすれば、それが"ガンダム"しかないことは簡単に想像がついていた。

 

「けど、GN粒子が違う」

 

 モニターに映るGN-Xを見て、ヴァイオレットがボソリと言った。

 

「確かに、粒子の色が…」

「…違うっすね」

 

 赤黒い光を放つビームの元であるGN粒子は、やはりソレスタルビーイングが有するガンダムと違って赤く染まっており、どうしようもない違和感を感じさせる。

 

「ああ。機能的には同じだが、炉心部にTDブランケットモジュールが使用されていない」

「つまり…?」

「ドライヴ自体の活動時間は有限……言ってみれば、こいつは擬似太陽炉ってところだ」

 

 フブキとて本職はパイロットであり、専門的な理論や技術にまつわる話は専門漢だが、要するに、敵はGNドライヴのレプリカを使用しているということだろう。

 

「といっても、性能面じゃ殆どオリジナルと変わりはしない。むしろ、稼働を停止させられる分整備性の面では向こうさんの方が上だろうさ」

「そんな…」

「だけど、そんなものを地球軍はどこで…」

 

 自分たちソレスタルビーイングですら知らない技術を、組織外である連合が使用している。そこにメンバーは疑問を覚えた。

 

「…整備士としての勘だが、おそらく素体となったのはサルースだろう。機体各部に面影が見られる」

「……何者かがソレスタルビーイングの技術を盗み、GNドライヴを搭載したモビルスーツを建造したというわけね」

 

 バレットの言葉を聞き、フブキがそう言う。

 

 だが、それはつまり––––––。

 

「だから、どうやって…ってまさか!」

「ガンダム及び太陽炉のデータはヴェーダの中にしか存在しないわ。…つまり、そういうことなんでしょう」

 

 推測されうる可能性は一つ。

 何者かにヴェーダをハッキングされ、そこから太陽炉やガンダムのデータを盗み出されたということ。

 

「そんなこと…」

「物事に絶対はない。可能性の一つとして受け止めないと」

 

 反射的に否定しようとしたウェンディをヴァイオレットが嗜める。

 それでも、彼女とて簡単には信じられないのだろう。いつもの無表情に困惑の色を浮かべて呟いた。

 

「仮にヴェーダがハックされ、太陽炉を作ったとしても、時間が合わない」

 

 彼女達のやり取りをモニター越しに聞いていたアキサムは、重々しく両腕を組んで呟いた。

 

〈少なくとも、組織の中に裏切り者がいるのは確かだろうぜ〉

「残念ながら、そのようね…」

 

 認めたくはないのだが、既にことは現実になっている。フブキは首肯するしかなかった。

 

〈これからどうする?〉

〈仮にヴェーダがハックされているとなると、ミッションプランにも期待できそうにないよ〉

 

 こうなると、いかに組織がヴェーダとガンダムに頼り切りだったのかが分かる。

 

 敵は遂にガンダムと同性能の機体を手に入れ、しかもそれを量産していく可能性がある。オリジナルの太陽炉とガンダムマイスターという期待値を加えたとしても、戦力比は絶望的だ。

 

「それでも……諦めるわけにはいかないわ」

 

 ソレスタルビーイングに沈黙は許されない。既に戻れないところまで来ているのだ。

 いくら相手が強大だとしても、自分たちは乗り越えるしかない。ガンダムとともに、自分たちの意思で。

 

「…ん? なんだこのデータは?」

 

 バレットの声で我に帰る。

 見ると、彼は(いぶか)しむ様子で端末を操作していた。

 

「どうしたの、バレット?」

「いや、突然未確認のファイルが見つかってか。ヴェーダから…か? ちょっと確かめてみる」

 

 そう言うと、バレットは端末を片手にブリーフィングルームを後にした。

 

 途端に静かになった部屋。

 皆が皆、分からないことだらけで不安なのだ。かわす言葉すらなくなるのめ無理もない。

 

〈–––––––私は戦う〉

 

 それでも、彼女だけはその意思を保ち続けていた。

 

「…フェイト」

〈私は絶対に戦争を無くしたい。なら、こんなところで挫けてられない〉

 

 きっぱりとフェイトは言った。

 いや、彼女の心はずっと変わらないのだろう。誰よりも戦争根絶を望む少女の心は既に決まっていた。

 

 確かに世界は新たな局面を迎えた。それは認めざるを得ない。

 

 擬似太陽炉搭載型モビルスーツの登場。地球連合軍がザフト軍の増援に向かったという事実。

 

 掌握されたヴェーダ、現れた裏切り者。

 

 GNドライヴ対GNドライヴ。

 ガンダム対ガンダム。

 

 世界は混迷をもって、その歪みを加速させようとしていた。

 

 





 –––––後半に続く。


 一月も更新ストップしてたのにも関わらず、高評価してくれた方々…ありがとうございました。
 大学の課題が忙しくて遅れてましたが、なるべく早く更新できるように頑張ります。
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