【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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一方その頃–––––ってやつ。
デュランダルとラクス達の会談の結果はまた後ほど。

いよいよ、エンジェルダウン作戦が始まります!!



決戦の狼煙 ーファントムペインー

 

 

 

 プラントにてデュランダルとラクス達が会談を行なっている一方、決戦の舞台となるラグランジュ1では連合・ザフト両軍による同盟軍がソレスタルビーイング壊滅作戦『エンジェルダウン作戦』の発動に向けて集結していた。

 エターナルの登場やガンダムの新システム(トランザム)という想定外の要素こそあったものの、作戦自体はプラントへエターナルを送り届けたジュール隊の帰還と共に発動されることとなっている。

 

「ここか、奴らが隠れ潜んでいるのは」

「おそらくは…」

 

 二つに分かれた大部隊の内の右翼側、ザフトからは"ボギーワン"と呼ばれていた戦艦(ガーディ・ルー)の他にもう一つ、同型でありながら薄紫色に塗色(としょく)されたガーディ・ルー級二番艦"ナナバルク"の艦橋(ブリッジ)にて、今回連合軍を指揮する二人の将校が険しい目つきで暗黒の宇宙(そら)を睨みつけていた。

 

「全く、宇宙の化け物共と組んでまでソレスタルビーイングを討てとは…新盟主様も滅茶苦茶な命令をくださる」

「ええ…」

 

 "ガーディ・ルー"艦長のイアン・リー少佐と"ナナバルク"艦長のホワキン中佐 –––––––– 彼等が睨みつけていたのはナナバルクの横を悠々と進むザフト軍の戦艦たちだ。

 旧ファントムペインのメンバーである彼等にとって、命令とはいえ()まわしきコーディネーター達と共に戦わなかわなければいけないことは非常に遺憾(いかん)なことであった。

 

「だが、ソレスタルビーイングが厄介なこともまた事実。仕方あるまいか」

「…ここ暫く我らの"本業"は見納めとなりそうですな」

 

 ホワキンのぼやきにイアンが返す。

 彼等とて根っからのブルーコスモス主義だが、非正規の部隊を率いて戦場に出ていたため、今の世界情勢を正しく理解していた。主義や思想もいいが、それを強引に貫き通せばどうなるかはジブリールが証明している。

 

「我らも…今後の軍での身の振り方を考えなくてはならんか」

「…はい」

 

 地球軍第81独立機動群"ファントムペイン"。

 軍内でも非正規という扱いゆえにこれまで多くの条約無視、独自行動を行なってきた彼等だが、それは同時に連合軍内で都合が悪くなればいつでも切り捨てられるということを意味していた。

 今でこそ精鋭不足の地球軍の主力としてその存在を公に認められているが、自分たちがファントムペインという組織に所属している以上、新ロゴスのトップである彼女(シャーロット・アズラエル)の匙加減で簡単に影に葬られる可能性もあり得る。

 

 そして、今のファントムペインはそのまさかを招きかねない大きな爆弾を抱えていた。

 

「ええい、ロアノーク大佐め。あんな不良品どもさっさと排除してしまえばいいものを」

「…有用な戦力でしたが、今後は邪魔なだけですな」

 

 それこそがネオ・ロアノーク率いるロアノーク隊の主力メンバーである三人の"エクステンデッド"の少年少女達だ。

 

 いや、彼等だけではない。

 今のファントムペイン…連合にとっては"ブースデットマン"にしろ"エクステンデッド"にしろ、旧ロゴスの負の遺産とも呼べる強化兵士達の存在が非常に痛かった。

 プラントにとっての獅子身中の虫が旧ザラ派だとすれば、連合にとっての(うみ)が彼等である。

 

 既に旧研究施設等の隠滅は行なっているが、完全とはいえない。これから本格的な終戦を迎えるに当たって、ファントムペイン指揮官である彼等はこれらの存在を完全に抹消(まっしょう)したかった。

 

 だが、彼等の身柄は上官であるネオが保護しており、"エクステンデッド"に対して手を出す術を彼等は持たなかった。少なくともいまは。

 

「とはいえ、対ガンダム戦ともなれば貴重な戦力の一つ。相討ちにでもなってもらうのを願いましょう」

「…ふむ、それもそうだな」

 

 イアンの言葉にホワキンは黒い笑みで返した。

 ジブリールと同様、彼等もステラ達エクステンデッドへの認識は単なるパーツ…今となっては不良品であったのだ。

 

「ホワキン中佐、ザフト軍から進軍準備が整ったとのことです」

「ふん…やっとか」

 

 そこで管制(かんせい)担当からの報告が入る。

 ホワキンは動きの遅いザフトを内心で(ののし)った後、言葉を告げる。

 

「では、リー少佐はガーディ・ルーへ。事前の作戦通り、GN-X部隊はロアノーク大佐の指揮に任せる」

「はっ」

 

 イアンが艦橋(ブリッジ)を退出し、艦内には第一種戦闘準備の警報が鳴り響く。

 

「…チッ、癪だが"あいつら"は大佐に任せる他ないか」

 

 これまで従えてきた"非強化人間のモビルスーツパイロット"をエクステンデッドなどと同じ部隊に加えることに抵抗を覚えつつも、ホワキンはこちらの作戦を実行に移す準備をするのだった。

 

 …そう、"ファントムペインらしい"作戦を

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんなの? アイツら」

「……おそらくはエクステンデッド。人工的に薬物で強化した兵士だろう」

 

 ガーディ・ルーの格納庫(ハンガー)の中、旧ファントムペインホワキン隊所属のモビルスーツパイロットだったスウェン・カル・バヤンが同僚の言葉に冷めた表情で答えると、それを聞いたミューディー・ホルクロフトとシャムス・コーザは微妙な表情であからさまに顔を(しか)めた。

 

「ケッ、生体CPUかよ」

「ま、コーディネーターよりはマシじゃないの。世界の害じゃないって意味で」

 

 二人の向ける視線の先には彼等よりも歳下の少年達が上官であるネオからの命令を聞いている姿がある。

 別働隊で動いていたロアノーク隊と合流するということで多少の興味を持っていたミューディーとシャムスは彼等がエクステンデッドだと知った途端に興味が(うす)れたようだ。

 

 それはシャムスが言うように彼等が生体CPUと呼ばれているからなのか、それともその幼さに毒気が抜かれたのか。スウェンには分からなかったが、当のスウェンにしても今は任務以外に意識を割く必要を感じなかった。意識を逸らし、前を向く。

 

「ま、そんなことはどうでもいいか。それよりもガンダムだ、ガンダム。この間の借りを返してやるぜ!」

「ま、私としてもデュエルをあそこまでやられたお返しがしたいわよね。…コーディネーター共と組むっていうのが気に食わないけど」

 

 二人ともキルギスプラントでの敗戦のリベンジに燃えているらしい。スウェンとしては特にそういった感情はないが、あれ以降自分なりにガンダムに対する研究を重ねてきたつもりだ。

 新たな搭乗機であるGN-Xの性能も高い。一年ほどの付き合いとなったストライクを手放すことになったことに少しの(さび)しさを感じるが、任務の為には仕方がないだろう。

 

 ストイックなスウェンにしては珍しい感傷のようなものを内心で抱いていると、三人の元に仮面の男こと上官のネオ・ロアノークが近づいて来た。

 

「ネオ・ロアノークだ。今回はモビルスーツ部隊の指揮をとらせてもらうことになった。よろしく頼む」

 

 そう言って敬礼したネオに対して、スウェンもまた敬礼を返す。シャムスとミューディーもやや遅れて続いた。

 

「はっ、スウェン・カル・バヤン大尉です」

「シャムス・コーザ。階級は中尉」

「ミューディー・ホロクロフト。同じく階級は中尉よ」

 

 スウェンはその能力の高さとガンダムと一時的に対等に渡り合った功績から大尉へと昇進していた。それでも気さくに話しかけてくれているシャムスとミューディーの二人の存在は内心嬉しく思っている。

 

「で、今回の対ガンダム戦だが、おそらく混戦が予想される。俺もアイツらのお守りで忙しいだろうし、状況次第では大尉が指揮を務めてくれても構わない。」

 

 –––––– っていうか、そっちの方が楽だろ?

 

 そんなネオの意見に困惑しながらも頷く三人。

 同じファントムペインとはいえ、元々別働隊だった為に連携も何もない彼等にとっては元の小隊で動く方が戦いやすいのが本音だった。

 

「じゃ、そういうことで。作戦開始まで一○八八だ。準備が済み次第搭乗機で待機するように」

「「「はっ」」」

 

 それだけ言って立ち去るネオ。その後をエクステンデッドと思われる少年達が付いていくのを見送り、スウェン達も作戦開始に向けて行動を開始した。

 

「なんか、思ったより"分かってる上官"じゃないの?」

「さぁな。ま、好きなように戦わせてもらえるってのは悪くねぇ」

「……急ぐぞ」

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

(ま、こんなところか…)

 

 背後から受ける視線を感じながら、共にネオは内心でそう独りごちた。

 

 先程はああ言ったが、ネオ自身にモビルスーツ部隊の指揮をまともにとる気はなかった。最初から各々の判断にまかせ、自身はスティング達と共に戦うつもりである。

 

 先程の激励は対ガンダム戦に対しての先鋒を任せることを意味しており、新システム(トランザム)の登場で不透明なった対ガンダム戦線における保険のためであった。

 

 いかにGN-Xの性能が高いとはいえ、先のザフト対ソレスタルビーイングの戦闘を見るに決して楽な戦いではないだろう。

 だからこそ、ネオはスティング達を後方に下がらせ、スウェン達に最前線を任せることで必要以上のリスクを排除しようとしていたのだ。

 

(イアンの野郎…あそこまで考えてやがるとは)

 

 イアンやホワキンがエクステンデッドの廃棄(はいき)を考えていることをネオは知っていた。イアンは元々ステラ達の存在に懐疑(かいぎ)的であったし、ホワキンはあからさまに戦闘パーツ扱いの態度を隠さない。

 今回の作戦にしても、上手いことステラ達とガンダムを相討ち…あるいは勝利の犠牲という名の戦死扱いにしようとしているという情報をネオは信頼に足る部下から得ていた。

 

(くそが…させるかよ!)

 

 ギリッという歯軋りと共にマスクの下で表情を歪めた。

 自分が言えた立場ではないが、これまで散々利用しようとしておいて用が済んだ途端にポイっと捨てるような真似は反吐が出る。

 

(とはいえ、それは俺も同じか……悪いな坊主ども)

 

 スウェン達へのある種の捨て駒のような扱いはネオが嫌うジブリールと似たやり方であり、罪悪感と己への嫌悪感でいっぱいになる。それでもネオにはそうする理由があった。

 

(けどよ、こいつらを死なせるわけにはいかねえからな)

 

 視線の先の前を歩く三人の少年少女たち。

 己の記憶すら定かではないネオにとって、エクステンデッドである彼等を何としても平和な世界に帰すことが第一の目的だった。第二が己の記憶であり、ガンダムだのザフトだのは二の次である。

 

 なんにせよ、全てはこの戦いを終わらせてから考えることだろう。

 

「おいおい、何ボォーッとしてんだよ、ネオ」

「難しい顔してる…?」

「緊張でもしてんのかぁ?」

 

 ––––––– ったく、生意気なガキどもだ

 

 こちらを小馬鹿にするような言葉は信頼の表れ。

 ネオは小生意気な少年二人の頭をわしゃわしゃと()でると、不安そうにこちらを見つめるステラの頭を優しく撫でる。

 

「なんでもないよ。さぁ、行こうか。今日も生きて帰ってくるぞ!」

 

 やや大袈裟(おおげさ)に声を張り上げると、ネオは己の搭乗機へ向けて足を進めた。その姿を不審そうに三人が見送る。

 

「変なネオ…」

「ま、生きて帰るってのには賛成だな。もちろん、ガンダムを倒すのは俺だが」

「はぁ? この間ガンダムにビーム当てたのは僕なんだけど…!」

 

 薬物と洗脳の影響は大きく、スティング達はこれから挑む戦いがどれほど重要なものか理解していないらしい。彼等の中ではいつものように戦い、帰ってくる予定になっているのだろう。

 

 だが、それでいい。

 戦争の(みにく)さを象徴したかのような存在である彼等だが、だからこそ知らなくていいことは知らなくていいのだ。今までの戦いは単なるゲームだとでも思っていればいい。ただ、生きていてくれれば。

 

(終戦は迎えたんだ。アイツらの管理権を持っていたジブリールもいないし、新たな盟主も強化人間には魅力を感じていない……チャンスはある)

 

 ネオにはファントムペインに未練はない。この大佐という階級もジブリールが与えたものであり、名前も記憶も偽りとなればそこに価値はないのだ。

 ジブリールが無理でも、自分一人が責任を負うことができるなら、ネオはステラ達を戦争被害者として戦場から解放したいと思っていた。

 

 もちろん、"ゆりかご"による調整ありきでも普通の人間より長く生きることはできないだろうが、それでも戦闘続きの今よりはずっと長く生きられる。

 

 スティングとアウルはバスケットに興味を持っていた。来歴故に公式の大会などに出られはしないだろうが、それでも彼等の能力なら大きく活躍できるだろう。

 

 ステラは…海が好きだと言っていた。

 向こうが許してくれるなら、ザフトにいるシンという少年に任せるのもいいかもしれない。ステラは何故か記憶調整が効きにくい体質ということもあるし、彼のことを思い出す可能性は高い。

 

(まぁ、まずはガンダム相手に生き残ることから考えようか。最悪、無理そうならザフトに任せればいいだろ)

 

 本作戦における第一目標はスティング達の生還。ガンダム討伐は絶対ではない。

 

 ネオは意識を切り替えて乗機であるGN-Xに乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 





>イアン、ホワキン
色々語ってたけど端的には己の保身が目的。
今後の清廉潔白な連合()での居場所探しに必死。

>スウェン、シャムス、ミューディ
貴重な地球軍側のネームド。
スウェンは空間認識能力除けばネオと同等の戦闘センスがあるのでともかく、残り二人は一般ザフト赤服にも劣る(設定)なので……フラグが。

>ネオ
別に勝っても負けてもいいけど三人を生き残らせたい人。
ムウ・ラ・フラガの記憶は戻っていないが、性格的な意味で少しずつ戻ってきている。

>今後の地球連合
潔白にはならないけど、劇場版みたいな感じにはなる。
ちなみにユーラシア連邦はファウンデーションを区切りに次々と独立が始まっている模様。


というわけで、次にザフト側。その次にソレスタルビーイング側を描いて最終決戦となります。



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