【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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最終決戦…といいつつオリキャラの肉付け回。
次回から本格的な戦闘が始まります。
どうか第一部完結に持っていくためにモチベーションをくれぇ!!



決戦の狼煙 ーソレスタルビーイングー

 

 

 

 

 

 接近する敵軍の艦隊はザフトのユーラシア級三隻、ナスカ級二隻、そしてミネルバ。また、地球軍のガーディ・ルー級二隻だ。

 だが、これだけで攻めてきたというわけではないだろう。あくまで主力の部隊であり、後方には援軍が控えている可能性が高い。

 

 対するクラウディオスは、資源衛星群を(かく)(みの)に利用しつつ後退し、連合・ザフト同盟軍との距離を保った。資源衛星群に身を(ひそ)ませ、それら巨大な岩石を障壁(しょうへき)代わりにしたのである。

 

 現状のソレスタルビーイングの弱点は母艦であるクラウディオスだ。今回の戦いは全てのガンダムが出撃する必要があり、なおかつフブキも戦闘に集中しなければならない。変に母艦を気にし過ぎてマイスター達が満足に戦えなくなることを避けるためのフブキの判断だった。

 

「…そっか、私たちを守ってくれてるんだね。フブキさん」

「仕方ないっスよ。トレミーには大した戦闘力がないっスから」

「…足手纏い」

 

 マイスター達が発進準備を行なっている中、クラウディオスの艦橋(ブリッジ)では残されたクルー達が各々自分の思いを吐露(とろ)していた。

 クラウディオスに残ったのはウェンディ、ヴァイオレット、シドの三人。バッツとバレットの二人はGNアームズの方で待機している。唯一のクラウディオスの武装を兼ねる強襲用コンテナとして使える為、コーディネーターかつ元軍人の二人がもしもの時のために備えていた。

 

「あーあ、私もフブキさんみたいにもう少し頭がよければ、フブキさんの仕事ももう少し負担できるんだけどなぁ」

「無力は辛いっスね。自分も出来ることならバッツさんのお手伝いがしたかったっスけど」

 

 己の力量不足を嘆くように二人がぼやく。口には出さないがヴァイオレットも同じ気持ちだった。

 

 世界を敵に回してまで活動するソレスタルビーイングの実行メンバーであるクラウディオスチームだが、その人員構成は極めて特殊かつ極端(きょくたん)である。

 

 まず年齢層が若過ぎる。

 構成員の半分以上が10代〜20代であり、マイスターのフェイトや戦況オペレーターのヴァイオレットに限ってはまだ14歳と15歳である。正規軍ならあり得ないことだろう。

 

 とはいえ、その特殊さに相応した高い能力を持っていることも確かだ。各々が他者がそう持ち得ないスキルを持っており、ヴェーダが直々に選抜したことからその能力は疑いようもない。

 

 しかし、その一方で一部の人間に大きな負担がかかっているのも確かだ。

 その代表例がフブキ・シニストラであり、ガンダムマイスターとクラウディオスチーム全体の指揮官も兼ねる彼女には、その能力に比例して多大なオーダーがヴェーダから求められていた。

 

「このままじゃ流石のフブキさんも倒れちゃう……フェイトも最近見てて危なっかしいし」

 

 ウェンディの見る限り、クルーの中でも男性陣は問題がないように見える。少々女々しいところのあるシエルはともかく、軍人上がりのアキサムやバッツはいつも冷静沈着で頼れる兄貴分だ。

 

 対して、最年少でここのところ様子のおかしいフェイトや疲れの表情を見せるようになったフブキは(はた)から見ていて非常に心配である。

 

「この戦いが終わったら、皆でパーティでもする?」

「いいっスね、それ。自分が奢りますよ」

「そういや、シドって実家でかいんだっけ?」

 

 ウェンディは彼の席に近づいて()いた。シドはちらりと一瞥(いちべつ)すると視線を戻し、何でもないように答える。

 

「まぁ、そうっスね。今は知りませんけど…」

「ふーん、ご両親は?」

「さぁ? 生きているんだか死んでいるんだか。ブルーコスモスの思想は俺には合わなかったですし、今さら向こうも俺に興味なんかないと思うっスよ」

 

 ウェンディの問いに答え、シドはどこか遠い目をして言った。

 どこか気まずい雰囲気になり、ウェンディも自らのことを告白する。

 

「…私たちは元々孤児で、たまたま能力を見込まれて組織で拾ってもらったの……」

「…生きているなら大切にしたほうがいいっスよ、そういう人は」

 

「…うん…先生、元気にしてるかな」

「………だといいッスね」

「………」

 

 何を話しても気まずい雰囲気に変わりはない。こう言った雰囲気は苦手なウェンディはどうにか空気を変えようと考え、諦めて肩をすくめた。

 

「…だめだね。やっぱり、昔話はあんまり盛り上がらないなぁ」

「そりゃ、"ここ"にいるんだから当然っスよ。そうでもなきゃやってられないさ」

 

 ソレスタルビーイングは加入した時点でこれまで経歴や人物データが破棄され、「公には存在しない人間」として扱われることになる。世界を変えるだなんて夢想的な目的のためにこれまでの自分を捨てられる人物が抱えている闇の深さは、考えるまでもない。

 

「フブキさんが…」

「?」

 

 そこで静かに言ったのはこれまで黙っていたヴァイオレット。彼女は通信画面から顔をこちらに向け、フブキからの受け寄りを口にする。

 

「"大事なのは過去じゃなくて未来。過去は変えられないけど、未来は変えられるから"…って」

「それは…なんとも」

「フブキさんらしいっスね」

 

 そう言って二人は笑い合った。ヴァイオレットもまた、その笑みにつられてその表情を緩める。

 

「じゃあ、私たちも未来のために戦いますか!」

「えぇ、まずは俺たちが生き残らないと…!」

「…うん!」

 

 そうして三人はあらためて決意を新たにする。

 

〈…ま、そういうことだ。罰を受けるにはまだ早い〉

〈ああ、ワシらがここ死ぬわけにはいかんからな〉

 

 その姿をコンテナから見守っていた大人達もまた、若者たちに触発され、未来への決意を胸に戦闘開始へ備えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、既に格納庫《ハンガー》に向かっているフブキを除く、三人のガンダムマイスター達はパイロットスーツに身を包み、格納庫(ハンガー)へ続くキャットウォークを移動していた。

 

(連合とザフトの同盟軍か…計画通りとはいえ)

 

 ブルーコスモスの元生体CPU実験の被験者だった過去を持つシエルは、かつての仲間達があれだけ()み嫌っていたコーディネーターと組んで自分を殺しにくる展開に少しの嫌気を感じていた。

 

 勿論、それだけの変革を(うなが)すダメージを与えてきたのはシエル達であるし、その変化自体は喜ばしいことだ。これ以上、自分のような存在が生まれなくなるのだから。

 それでも、コーディネーターを殺すために人を勝手に誘拐・洗脳・改造しておいて、不利を悟れば自らの利益損得のためにあっさりと思想を(ひるがえ)した怨敵(おんてき)の変貌に思うところがないわけでもない。

 

「なぁ、お前ら…」

 

 沈黙の時間を破ったのはアキサムだった。

 振り向くことなく先頭を進む彼の言葉に他のマイスター達も耳を(かたむ)ける。

 

「仮に俺らがここで死んだとして、奴等は戦争根絶なんてできると思うか?」

 

 それはアキサムがずっと抱いてた疑問。

 計画通り、ソレスタルビーイングへ敵意を集中したことにより、連合とプラントは停戦し、対ソレスタルビーイングの元軍事同盟を結んだ。C.E.始まって以来、ずっと歪みあってきたナチュラルとコーディネーターが手を結んだのである。

 

 だが、果たしてそれで戦争は根絶できるのか。

 ナチュラルからコーディネーターへの悪意の根は深く、それは逆もまた(しか)り。二年前までは互いを絶滅させんと戦争をしていた仲である。冷戦状態の国同士が手を取り合ったのとは訳が違うのだ。

 

「ガンダムマイスターになってなお、俺は時に血のバレンタインのことを思い出す。家族を、愛する人を奪ったナチュラル共を憎む心が今でも捨てられねぇ」

 

 情けない話だろ?、そう言ってアキサムは自嘲(じちょう)する。

 

 だが、誰も彼の気持ちを否定できない。

 組織に所属する者は皆心に傷を()っており、戦争の犠牲者達ばかり。シエルにしてもフブキにしても何かを憎む気持ちは簡単に捨てられないのは同じなのだ。

 

「けどよ、ソレスタルビーイングに入って、いろんな奴と出会った。中にはナチュラルも沢山いた。お前らみたいにな」

 

 ナチュラルだろうとコーディネーターだろうと良い奴はいる。

 そんな当たり前のことを昔の自分は、そして世界は理解していなかった。

 

「そうだね、僕たちはみんなバラバラの集まりだけど、目指す目的は一緒。そんな当たり前の話なんだ」

 

 元ザフト軍人のアキサムやバッツ、ナチュラルを多く殺害したモビルスーツを開発したバレット達コーディネーター。

 

 元連合の強化人間であるシエルやその才能ゆえにコーディネーターの反感を買っていたフブキ、ブルーコスモスの思想に家族を歪められたシド達はナチュラル。

 

 そして、元は平和に暮らしていたのにも関わらず、戦争によって歪められたヘルシズ姉妹やフェイトのような被害者の子供達。

 

 ソレスタルビーイングに集まったのはみんなみんな経歴や人種がバラバラの集まりだが、戦争根絶のために団結し、前を向いて生きている。

 

「そんな世界が未来に待っているなら、俺はここで死んでも良いと思ってる。戦争根絶のためとはいえ、俺の手も多くの犠牲者を生んでいるのは確かだからな」

「……うん」

 

 アキサムの言う自分たちは憎まれて当然だという覚悟。自分にはそれが足りていなかったとフェイトは己自身を振り返る。

 

「だが、俺たちはまだ世界の答えを聞いていない。俺たちの行った武力介入が本当に正しく世界に働いたのかをな」

「……本当に戦争が根絶するまで、僕たちは戦い続ける」

 

 アキサムの言葉をシエルが引き継ぐ。

 その言葉はフェイトの胸に大きく突き刺さった。

 

「お前はどうだ? フェイト」

「……私は」

 

 フェイトに二人のような立派な覚悟はなかった。

 オーブで家族を失ったあの日、戦争に対する憎しみとガンダムに対する信仰が今のフェイト・シックザールを形作っているに過ぎない。

 

 しかし、これまでの数々の戦いと故国への帰郷、兄との戦場での再会、仲間達の言葉などが彼女の心に変化を(うなが)していた。

 

「戦いの中で生み出せる平和があるなら、私は–––––」

 

 だが、そんな決意への思いは艦内(かんない)を揺らす突然の衝撃によって()たれた。

 

「なんだ!?」

「どうやら同盟軍の攻撃が始まったらしい。働き者だぜ、まったく」

 

 フブキに聞かされていた時間よりも早い。どうやら敵はこちらの想定を上回ったらしい。あるいは……。

 

「フェイト、帰ってきたらさっきの答えを聞かせてくれ。約束だ」

「…うん」

 

 アキサムの言葉に頷き、フェイトも己のガンダムの元へ向かうため、キャットウォークを()る。

 それはエンジェルダウン作戦の始まりの号砲であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

「なに、どうしたの!?」

 

 クラウディオスの格納庫(ハンガー)の中、ガンダムメティスのコックピットへ移ったフブキ・シニストラは突然の衝撃にすぐさま艦橋(ブリッジ)へ通信を繋いだ。

 

〈フブキさん、同盟軍からの攻撃です。おそらくは背にした衛星を反対側から狙い撃たれたのかと…!〉

「まさか…!」

 

 そして、届いたのは敵襲の知らせ。

 衛星の影で敵部隊を待ち伏せし、奇襲するというフブキの策は失敗に終わったらしい。

 だが、どうにもおかしい。どうやってこの隠れ場所を見つけたというのだ。見つかるにしても早過ぎる。

 

(私の想定よりも早い。居場所が割れていた? いや、最初から尾けられていたというの?)

 

 二人の戦況オペレーターが必要な情報をフブキに伝えていく。その声を聞きながら、フブキはパイロットスーツに収めた身体がじわりと汗ばんでいるのを感じた。

 

(駄目…こんな時こそ落ち着いて考えないと!)

 

 答えは簡単、緊張しているのだ。それも仕方がないだろう。

 そもそもフブキの本職はモビルスーツパイロットであり、戦術指揮などはできるからやっているに過ぎず、軍隊での訓練経験はなかった。こちらに攻めてくる職業軍人に比べて、いささか戦術の幅が狭まるの当然のこと。

 

 そして、それはウェンディやヴァイオレット、シド達も同じである。彼等もヴェーダによって選ばれ、スカウトされた()()()の乗組員だが、それ故に戦闘経験などないし、訓練経験もない。これが2回目の戦いなのだ。

 

〈センサーに反応、モビルスーツ三機…いえ、反応消失しました!?〉

 

 ウェンディからの報告と共に爆発音が(ふね)を揺らす。

 

「消失…まさかっ!」

 

 フブキは躊躇うことなくメティスをカタパルトから発進させた。一刻も早く状況を理解する必要があったからだ。

 

 暗黒の宇宙へテールブースターを装備したメティスが飛行形態で飛翔する。

 すると、すぐさまビームが飛んできた。上がった機動性で回避し、フブキは攻撃の仕立人を睨みつける。

 

 データ照合はない…が、類似したモビルスーツとしてGAT-X207 "ブリッツ"が存在する。ブリッツといえば、ヘリオポリスでザフトに強奪された地球軍のモビルスーツであり、その特徴は……。

 

「やはりミラージュコロイドっ! 条約違反機を堂々と…流石はファントムペインね!」

 

 眼前の機体はフブキの問いに答えるように姿を消すと、こちらが姿を見失ったと同時に姿を現し、ビームライフルでクラウディオスへと攻撃を加える。攻撃自体は展開されたGNフィールドによって阻まれたものの、その卑怯とも言える戦術は戦争と分かっていてもフブキの(かん)(さわ)った。

 

「このっ、よくも舐めた真似を!」

 

 敵機はまたも姿を消したが、それは読めている。フブキはメティスの追加武装であるミサイルユニットを展開すると、そこからミサイルの雨を面で覆うように浴びせる。

 流石に敵機も迎撃のためにミラージュコロイドを解除したが、それが命取りとなる。動きを止めたその瞬間、クラウディオスのコンテナから直接放たれたガンダムセレーネによるGNメガランチャーによる砲撃がその機体を飲み込んだ。

 

〈フブキさん!〉

「敵に捕捉されたわ! ガンダム各機出撃、敵モビルスーツが来るわよ!」

 

 同時にクラウディオスを新たな資源衛星の影に隠すようにシドに指示を出し、四機のガンダムを展開させて迎撃体勢を整える。

 

 やがて、大きな爆発と共に爆散した資源衛星跡を中心に、左右からザフト・連合両軍のモビルスーツ部隊が現れる。その数にしてGN-X26機、ザク6機、グフ4機、ウィンダム10機。更に後方には2機のザムザザーの姿も見られた。

 

 こうして、宇宙(そら)を舞台にしたソレスタルビーイングとザフト・連合同盟軍による直接対決が始まったのである。

 

 

 

 

 

 





>NダガーN
ファントムペインの誇る忍者。核動力による無制限ミラージュコロイドによって奇襲を行った。

>ユニウス条約
対ソレスタルビーイングに限り仕方ないよね?と両者が合意した(元々無視してたけどね)
なのでデスティニーもジャスティスもミラージュコロイドも公に使い放題。GNドライヴに勝るかどうかは別として。




>オリキャラのキャラ薄さ
他の陣営を書いているとやっぱりオリキャラが原作キャラに負けちゃうというのは自分の文章力の無さ…というか書き方のせい。コイツいる? 刹那達の方が良くね? と思う人たちは多分正解です。
とはいえ自分のキャラなので愛着はあるし、変に刹那達を出して設定変えるのも嫌だったので、どうか受け入れてくれる一部の猛者達は評価・お気に入り登録等で応援をお願いします。
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