【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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お久しぶりです。
リアルが忙しいのとこれからの展開に自信がなくて筆が止まってました。
でもまぁ、書かないよりは書いた方がいいという事で、ゆっくりと更新します。


ガンダムマイスターⅡ

 

 背後で二つの機影が()(むす)び合うのが見える。それは次第に小さくなっているが、一度味わった恐怖(きょうふ)はそう中々消えないものだ。

 どこまでも暗黒な宇宙(うちゅう)の中、カオスのコックピットにてスティングはあの時のことを思い返して思わず身震(みぶる)いしながら機体を加速させた。

 

「おい、アウル!ステラの調子はどうだ?」

「もーだめだめ。うんともすんとも言わなくなっちゃったよステラのやつ」

 

 通信先のアビスが右手に(つか)むのは、左手首・頭部を損傷してフェイズシフトダウンして灰色の装甲へ戻ったガイアの姿。パイロットの操縦もなく力無く連れられるその鉄屑(てつくず)は、とても地球軍の特殊部隊に強奪されたザフトの新型モビルスーツには見えないだろう。

 

「生きてる…ステラ、生きてるの?」

「チッ…一体なんだってんだ」

 

 生まれたての子鹿のように震える身体を抑えるパイロット(ステラ)を見て、思わずスティングは舌打ちを()らした。ステラにではない。彼女をここまで追い詰めたアンノウンモビルスーツ、それとその情報をくれなかった上官(ネオ)…つまりお(えら)いさんに対してだ。

 

「おい、スティング!ステラ(ガイア)運ぶの代わってくれない?こいつ(アビス)もそろそろパワーが…」

「ああ?ったく、バカスカ撃つからガス欠すんだよ」

「文句言うならあの白いのに言えよ!あんなの情報にないぜ!」

 

 それはもう俺が言った…とスティングが言いつつも、カオスがアビスからガイアを受け取る。そして、それと同時にアビスのVPS装甲がダウンした。よく見れば、ガイアの損傷も大概(たいがい)だが、アビスとカオスも相当なものだ。

 アビスは内蔵(ないぞう)武器は無事なものの、ビームランスを失い、肩部シールドは斬り裂かれた傷跡が残っており使い物にならないだろう。カオスは比較的損傷が少ないが、ビームライフルを失っている。

 

 そして、それをやったのはザフトの防衛モビルスーツではなく、情報にはないたった一機の謎の機体。スティング達がコロニーに開けた穴付近で戦っているのがザフトの部隊ならば、地球軍でもザフトでもないあの機体はまさに所属不明(アンノウン)である。

 

 そんな時、三人の機体レーダーが一つの接近する機影を(とら)えた。こちらにゆっくりと近づいてくるその機体は赤紫(あかむらさき)色で細長いフォルムをしたMA(モビルアーマー)…エグザス。

 

 そしてその機体のパイロットは…、

 

「ようお前ら!無事(ぶじ)だったか!?」

「ネオっ!?」

 

 通信モニターに映ったのは、怪しげな仮面で上半分の顔を隠した男。間違いない。スティング達エクステンデッドの上司であるネオ・ロアノークだ。

 

「ネオっ!?ネオ!」

「ああもう、めちゃくちゃだぜ…」

 

 先程から情緒(じょうちょ)が不安定だったステラがネオの声に反応して手を伸ばすが、生憎(あいにく)とネオ本人は分厚い装甲の奥だ。半壊したガイアを引き連れながら、スティングはエグザスの後を追う。

 

「おいネオ、あの白い奴なんだよ。おかげでこっちは酷い目にあったっての」

「はは、それは確かに俺のミスだな。だがまぁ、お前達がこうして無事に帰ってきてくれて何よりだ」

 

 何とかザフトの新型の強奪に成功したものの、せっかく奪った機体はボロボロ。カオスはともかくアビスとガイアは(しばら)くの間データ収集と機体の修復に時間を(つい)やすことになるだろう。技術班は文句の一つでも言ってくるかもしれないが、その後のことはスティング達の知ったことではない。

 

 追撃に来るザフトもなく、スティング達は安全に母艦であるガーディ・ルーへと到着した。エグザス、ガイア…の順に次々と機体が着艦していく。……いつもならダガーで()まっているはずのモビルスーツデッキは奪った三機を除いてがらんとしているのが特徴的だった。

 

「…なんかもうどっと疲れたぜ」

「同感だな」

 

 互いに搭乗機から降り、見慣れた船の内装を見て、アウルとスティングはやっと一息を()く。今回ばかりは死ぬかと思った。何であのアンノウンが急にこちらを見逃すような真似(まね)をしたのかは不明だが、"九死に一生を得た"とはまさにこのことだ。

 

 一足先に降りたはずのステラ、そして上官のネオにもう一言言ってやろうかと二人が足を踏み出したその時、艦内(かんない)放送から艦長のイアンの声が聞こえてきた。

 

〈ロアノーク大佐、ロアノーク大佐!至急(しきゅう)ブリッジへ!〉

 

 いつも冷静なイアンらしくないどうにも慌てた声だ。この部隊の隊長であるネオを緊急招集するような何かがあったのだろうか?

 

「…何だ?」

「さぁ、まさかあのアンノウンがこっち来てるとかだったり?」

「そりゃ、ごめんだ…まぁ、出ろって言われれば出るだけだがな」

 

 不思議そうに顔を見合(みあ)わせた二人だが、特段気にせずに再び歩き出した。何が起こったかは知らないが、小難(こむずか)しいことはネオに全て任せているのだ。自分達が考えるのは戦う時だけでいい。スティング達"エクステンデッド"にとってはそれが当たり前の感覚だった。

 

 

▽△▽

 

 

「インパルス、ザク共に収容完了しました」

 

 ミネルバのCICを担当する"メイリン・ホーク"からの報告を受けて、艦長のタリアはようやく一息を吐く。

 パイロットのシンやレイは敵機を追うことに執着(しゅうちゃく)していたようだが、ブリッジにいるデュランダルの鶴の一声で大人しく帰ってきたので何よりだった。今だけはこの人がここにいることに感謝したい気分だ。

 

 だが、まだ悩みの種が取れたわけではない。

 というよりは、ミネルバ艦長であるタリアにとってはここからが大事な場面だ。

 

「気密正常、FCSコンタクト、ミネルバ全ステーション異常なし。行けますよ」

「インディゴ53、マーク22ブラボーに不明艦1、距離240、いや260…離れていきます!」

 

 副長のアーサーと索敵(さくてき)担当のパートが声を上げる。

 現在、ミネルバはその舞台(ステージ)を港口から漆黒の宇宙へと移していた。一足早い進水式といえば聞こえはいいが、その実態はセカンドステージシリーズを強奪した部隊の母艦を追うための仕方(しかた)のない出撃である。

 

「艦長!このままだと逃げられますよ!?」

「分かってるわ。諸元をデータベースに登録、以降対象をボギーワンとする。インパルスとザクの整備と補給(ほきゅう)を急がせて!」

 

 存在しないもの(ボギーワン)とは言い得て(みょう)である。タリアとしても今すぐに追撃戦に入りたいところだが、かなり距離が離れている。幸いにしてこのミネルバは高速艦なため追うことは可能だろうが時間はかかる。

 また、例のアンノウンモビルスーツのことも気掛(きが)かりだ。()えてインパルスとザクを見逃したのか、それとも更に優先する事情があったのかは知らないが、再びこちらへ攻め入らないという保証がない以上は気を抜く事はできない。

 

「…議長は医務室へ。これからは激しい戦闘も予想されます。乗船された客人の対応をお願いできます?」

 

 タリアは背後のデュランダルへ振り返りつつも憮然(ぶぜん)とそう言った。政治家にブリッジにいられたくないという気持ちもあるが、医務室にて待機していると言う外国の代表への対応を彼に任せたかった。

 

「…ああ、そうだったね」

「案内をつけます。ルナマリアをブリッジに呼び出して!」

 

 ーーーオーブ連合首長国の代表首長がミネルバにいる。

 

 ルナマリアからそんな報告を受けた時、タリアは動揺のあまり思わずひっくり返るかと思った。どこの国の代表がモビルスーツに乗って戦艦に乗ってくるというのか。おまけにやってきたのはオーブの姫君に留まらず……いや、あちらは()()()()()()()()()だそうなので気にするだけ無駄か。

 

「ではタリア、後は任せたよ」

「ええ、承知しました」

 

 しかしまぁ、それはこれからデュランダルが考えることだ。どうにかするだろう。政治家の相手は政治家がするのが道理だ。

 ならば、自分は軍人としての仕事だけを果たせばいい。タリアはレーダーに映るボギーワンの姿を捉えながら、クルー達に次の行動を指示するのであった。

 

 

▽△▽

 

 

 この(ふね)、戦闘に出るのか…?

 覚えのある振動にそんな疑問を思いつつ、アスランはいかに目の前の怒れる獅子(カガリ)を止めるべきか考えていた。

 

「どうなっている!? 状況は!」

「いえ…それは私にも」

 

 あの強奪騒動の後、何とかザフトの新造艦に避難することに成功したアスランとカガリだったが、当然ザフト兵達に囲まれた。カガリの身分(オーブの獅子の娘)偽りの身分(アレックス・ディノ)を公開することでとりあえず監視付きで士官室へ案内されたが、未だに何が起きたのかは分からないままだ。

 

「代表…そこまでにしておいた方がいいかと」

「アスランっ……」

 

 その名前で呼ばないでくれ…とは、言える状況ではなさそうだった。

 カガリが怒るのも無理はない。額に巻かれた包帯は痛々しく、これが国家代表に対する仕打ちとなれば普通なら大問題になっている。

 だが、それ以上にこの事態に対して何の情報も得られない…というのがカガリの焦りを助長させているのだろう。

 

「…わかっている。だが!」

カガリ(代表)っ…」

「っ!」

 

 何もわからない状況でじっとしていること…カガリが最も嫌いで苦手であろう行動だ。年月を経て経験を重ね、それなりの立場になった今でも彼女には昔の名残が垣間見(かみまみ)える。

 それを懐かしく思いつつも、今のアスランはアレックスとしてオーブ連合首長国代表首長であるカガリの行動を(とが)める必要があった。

 

「…君もすまない。ただ、代表も混乱している。君の方から何が起きているのか説明を(もら)えないだろうか?」

「……いえ、私も何も。すみません」

「そうか…」

 

 やはり、赤服といえど事態の全容は理解していないのか。それとも代表とはいえ、信頼できる確証のない他国の人間においそれと情報を渡すわけにはいかないのか。おそらく両方だろう。

 

 その時、艦内のアナウンスからオペレーターだろう少女の声が聞こえてきた。

 

〈ルナマリア・ホーク、至急(しきゅう)ブリッジへ。繰り返す、ルナマリア・ホーク、至急ブリッジへ〉

 

「えっと…そういうことで、失礼します」

「あ、おいっ」

 

 どうやらこの赤服の少女が呼ばれているらしい。アスランが視線を送れば、ルナマリアという赤髪の少女はザフト式の敬礼をカガリに向けた後、士官室を後にしてしまった。

 これで、何をどうしようと話を聞ける相手がいなくなってしまった。だが、それもいいのかもしれない。自分もカガリも少し落ち着ける時間が必要なのだ。

 

「アスラン……」

「カガリ、気持ちは分かるが少し落ち着け」

「…そうだな、すまない」

 

 きっと、カガリも分かっている。ただ、経験の浅さと事態に追いつけない状況から来る焦りが冷静な判断力を(うば)っているのだろう。

 

「大丈夫だ。もう少しすれば、デュランダル議長との連絡もつくだろう。そこで詳しく話を聞けばいい」

「ああ…」

 

 流石にこの状況で何も言わずにオーブに帰す、ということは出来ないだろう。互いに非公式の会談だったとはいえ、あの場にいたのはオーブとプラントという二つの国のトップなのだから。

 

「ーーー失礼」

 

 その時、そんな声と共に士官室の扉が開いた。

 やっと連絡役が来たか…と思って、二人が視線を向ければ、そこにいたのは先程のザフトレッドの少女でもなければ、ザフトの人間でもなかった。

 

「ーーーえ?」

「ーーーうん?」

 

 肩口(かたぐち)まで伸びた金色の髪は、硬質なカガリの物とは違ってさらさらと(なび)いていおり、ピシリと着整えられた黒いスーツは所謂(いわゆる)"出来る女"といった印象を与えるだろう。

 

 その麗人の姿に、アスランは見覚えがある程度だったが、今やオーブの代表であるカガリにとってはよく知っている人間だった。

 だからこそ、余計にわからない。何故彼女がこのようなところにいるのか。混乱する頭をよそに、口は勝手に彼女の名前を(つぶ)いていた。

 

「ーーー()()()()()()()()()()()()、理事」

 

 ……決して、ここにいるはずのない女性の名前を。

 

 

 

 





やっぱりカガリは政治家に向いてないと思う。
どちらかというと前線で指揮を取ってくれる方が勇気付くし。まぁ、周りが無能ばかりだと仕方ないけどね。

そして、アズラエル(妹)ですが、地球軍側のオリキャラです。
まぁ。ジブリールだけだと小物感が拭えないからしょうがないね。ホントDESTNYの地球軍のかませっぷりは異常。
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