【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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更新遅れてごめんない。
やはり、新年度ということで忙しくて忙しくて…。
早く種自由の円盤が欲しいです。あれ見ながらなら毎日更新もできそうなのに(大盛)



エンジェルダウン作戦Ⅲ

 

 

 同盟軍が攻め、ソレスタルビーイングも攻める。

 まさに一進一退の戦況において、初めにその均衡(きんこう)を崩したのは同盟軍所属のファントムペインだった。

 ザフトの(ほとん)どと連合軍の半分をガンダムとの戦いに当てがった一方、ミラージュコロイドによる奇襲を行えるファントムペインはロアノーク隊によるソレスタルビーイングのスペースシップ奇襲作戦が行われていたのだ。

 

 隊長であるネオとエクステンデッドの三人が駆るGN-X4機と対艦戦用の大型モビルアーマー"ザムザザー"2機による攻撃がクラウディオスへ襲いかかる。

 サルースは敵艦隊への遊撃、メティスにその支援。シエルとアステリアがそれぞれの場所で敵部隊の迎撃を行なっていたのだが、彼等はミラージュコロイドによってフブキがしいた警戒網の穴を突いてきたのだ。

 

 ガンダムは全て出払っている現状、クラウディオスは即座に強襲用コンテナとGNアームズによる反撃を試みたが、元マイスター候補でもあるバッツの腕を持ってしても支援機で敵エース格と渡り合うのは難しかった。

 

「っ、これ以上行かせるか!」

 

 背部の大型GNキャノンでGN-Xを狙ったが、庇うように出てきたザムザザーの展開した陽電子リフレクターによって阻まれる。そして、大きく吹き飛ばされたザムザザーと入れ替わるようにGN-X2機が攻撃を仕掛けてくるという息の合った連携。

 バッツはそれをGNフィールドを展開することで防いだが、その隙に残る2機のGN-Xともう1機のザムザザーのクラウディオスへの進行を許してしまう。

 

「くっ、しまった!」

〈任せろ、こっちで…!〉

 

 クラウディオス側もバレットが強襲用コンテナによる迎撃を試みる。放った大量のGNミサイルがGN-Xに迫ったが、入れ替わるように前に出たザムザザーによる迎撃でほとんどが撃墜され、残りもGN-X2機のバルカン等によって対応された。

 

 バッツは舌打ちする。

 まさかここに来てザムザザーのような旧式モビルアーマーに邪魔されるとは…!

 

「くそっ、まずはあのデカブツを潰さなくちゃいけねぇな…!」

 

 しかし、GNアームズは当然ながら搭載武器の殆どがビーム兵器であり、ザムザザーのような陽電子リフレクターを有した機体との相性は良くない。

 リフレクターを貼れるのが前面故に背後に回ろうにも、それにはGN-X2機が邪魔だ。

 

〈バッツ、一旦戻れるか!?〉

「っ! 今から向かう!」

 

 また、このままではバッツはともかくクラウディオスの方が持たない。今はなんとかシドの操舵(そうだ)とGNフィールドによって持ちこたえているが、それにも限界がある。

 時折、バッツもクラウディオスの方へ援護射撃を入れているが、それすらも命懸けだ。気を抜けば一瞬で墜とされてしまうだろう。

 

「ちっ、コイツもトランザムさえ使えれば…」

 

 そして、ここで更なる不運がバッツを襲う。

 

「…粒子残量か! くそっ、こんな時に!」

 

 元々、GNアームズはガンダムの支援機であり、こうして敵機体と直接戦闘することを目的としていない。武装は比較的揃っているものの、逆にその分消費する粒子も多い。

 そんな中でバッツはGNフィールドやGNキャノンを何度も使用していたのだ。エネルギー切れも無理はない。

 

 攻撃の頻度(ひんど)が落ちたGNアームズを狙い、敵モビルスーツが回避ポイントのない正確な射撃を仕掛けてくる。今のバッツにはGNフィールドを展開してそれをやり過ごすことしかできなかった。

 

「この…嬲り殺しかよっ」

 

 減りゆく粒子残量に「もうこれまでか」と思ったそのとき、前方のザムザザーにどこからか放たれた粒子ビームが直撃した。あまりの威力にザムザザーも大きく吹き飛ばされる。

 

 見れば、その粒子ビームを放ったガンダムセレーネがこちらへ接近してくるのが確認できた。厳しい状況の中でこちらの支援に来てくれたのだ。

 

〈バッツ!〉

「シエルか…! よく来てくれた!」

 

 しかし、セレーネの後ろでは、追って来たのだろう同盟軍のモビルスーツが数機ほど攻撃を仕掛けてきている姿が見える。

 それを見て、画面越しのシエルが申し訳なさそうな顔で謝罪した。

 

〈ゴメン、倒しきれなくて…〉

「…いや、グッドタイミングだ!」

 

 ガンダムセレーネが戦線に加わった代わりに敵部隊にも増援が来た。本来なら絶望的な状況だが、それを気に留めることなくバッツは行動を開始する。

 

「シエル、ドッキングだ!」

〈…了解っ!!〉

 

 バッツの声に応じ、セレーネがGNメガランチャーを手放してGNアームズとのドッキング体勢に入った。

 戦闘機に似た形状をしていたGNアームズが変形し、上下へと機体が展開し、セレーネのGNドライヴと連結するように合体。"GNアーマーtype-S(セレーネ)"と呼ばれるセレーネの強化形態となる。

 

 敵モビルスーツ部隊は突然の合体にも取り乱さずに攻撃を仕掛けてくるが、それらは粒子貯蔵量の上昇によって強化されたGNフィールドで弾かれた。

 逆にお返しとばかりに放つGNキャノンが敵部隊を襲う。敵部隊は先程と同じように陽電子リフレクターを装備したザムザザーによって防御の隊列を組んだが、二人にとってそれらは全て想定内である。

 

「クロー展開…!」

 

 そのままの勢いで突進したGNアーマーtype-Sは脚部先端からのクローを展開させると、それをザムザザーのリフレクター発生機器に突き刺すように掴んだ。

 

〈これでっ!〉

 

 そして、右腕に装備された対艦・モビルアーマー用大型GNソードで薙ぐようにザムザザーの表面装甲を斬り裂いていく。

 たまらずザムザザーも左右のクローを展開したが、その時には既にGNアーマーtype-Sは離脱していた。

 

「喰らえっ!」

 

 リフター消失の隙を見逃さなかったバッツによって左腕部のGNミサイルコンテナから多数のGNミサイルが放たれ、ザムザザーの装甲に突き刺さる。

 同時に内部にGN粒子が挿入されていき、やがて限界を迎えたザムザザーはボコボコと膨れ上がってその巨体を火の玉へと変えた。

 

〈戦いはまだまだ––––––〉

「––––––これからだ!!」

 

 そうして、シエルとバッツが操るGNアーマーtype-Sは残存するGN-X部隊へと反撃を仕掛けたのだった。

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ソレスタルビーイングと同盟軍両軍の母艦のちょうど中間に位置する宙域では、ガンダムメティスとインフィニットジャスティス、デスティニーが入り乱れるように乱戦を繰り広げていた。

 

 戦況はほぼ互角。

 ジャスティスとデスティニーは共に高い性能を持つ機体だが、ガンダムには及ばない。

 だが、そこをアスランとシンという並外れた技量を持つエースパイロットが操ることによって勝負を互角にまで持ち込んでいた。

 

〈このっ! いい加減に…!〉

 

 デスティニーが背部ウェポンラックに背負う大型ビーム砲を放つが、飛行形態のガンダムはそれを機体をそらすことで回避し、そのままデスティニーへと直進。

 そして、ぶつかる直前で変形して蹴りを浴びせた。

 

〈うわぁ!?〉

「シン!」

 

 アスランはビームライフルでガンダムを牽制し、デスティニーから遠ざけると、シールドに搭載したビームブーメランを放つ。

 

「ええい!」

 

 ガンダムはそれをシールドで弾いたが、その隙にアスランはシールドに搭載されたもう一つの武装であるアンカーを射出。放たれたアンカーはガンダムが右手に持つビームライフルをそのまま奪い取る。持ち主を失ったライフルは暗い宇宙に消えていった。

 

(よし、これで奴の遠距離攻撃手段はなくなった……以前と同じ装備なら、の話だが)

 

 油断はできない。

 先程遭遇し、今まさにハイネ達が戦っているモノクロ色のガンダムは明らかな追加装備を使っていたし、敵の使う新型モビルアーマーの出現情報もある。

 

〈アスラン…!〉

「シン、お前は敵母艦の攻撃に向かえ」

 

 こちらへ迫るガンダムをビームライフルで牽制しながら、アスランはシンへ通信でそう伝えた。

 

〈はぁ!?〉

 

 アスランの突拍子もない命令に訳が分からないとシンが声を上げる。

 

 敵母艦への攻撃はジュール隊と地球軍が担当しているはずであり、あくまで自分たちは対ガンダム戦に集中するのが作戦のはず……と言いたいのだろう。

 

 だが、実際の戦場では事前に立てた作戦などそこまで当てにできない。

 

「状況が変わった。どうやらイザークたち…ジュール隊は敗走したらしい。そのせいで向こうの手が足りない」

〈でも、だからって…コイツは!〉

 

 デスティニーがビームライフルを向ける先にいるガンダムは、こちらと睨み合うように対峙している。ビームライフルを失わせたとはいえ、その脅威度は健在だ。

 

 素直じゃないが、さしものシンもアスランとガンダムを一対一にさせるのは避けたいと表情に示す程度にはアスランのことを心配しているらしい。

 

 だが、アスランは断固たる覚悟で言った。

 

「こいつの相手は、俺がする」

〈アスラン…!〉

「聞け、シン。今戦ってる地球軍の別働隊はステラ・ルーシェ達ファントムペインだ」

〈っ!?〉

 

 ステラという名を出されて、シンの表情が揺らぐ。

 

「それだけじゃない。ジュール隊を蹴散らしたガンダム…おそらくは例の少女が乗った青色のガンダムもあちらへ向かっているだろう」

〈そんな…!〉

「向こうはガンダムが2機に支援機と思われるモビルアーマーもいる。戦況は不利だ」

 

 それはつまり、少女とステラが殺し合う……いや、最悪ステラがガンダムパイロットの少女に殺されてしまう可能性を示唆(しさ)していた。

 

「だから、さっさと行って助けてこい。これは"フェイス"としての判断だ」

〈…………分かりました!〉

 

 わずかばかりの沈黙の後、シンは頷いた。

 

 それを見てアスランも笑みを浮かべる。

 アスランとしては、あの二人には幸せになって欲しいと思っている。それに、生体CPUとして扱われるのがこの戦いで最後だとするのなら、何としても彼女達を助け出すべきだと判断したのだ。

 

(軍人失格だな…いや、相変わらずか)

 

 ザフト軍モビルスーツ隊隊長として、フェイスとしてはシンを送ることに全く利を感じない。ここで協力してガンダムを一機討ち取った方が遥かに戦況が有利になるだろう。

 

 だが、強さだけが、勝ちだけが戦いではないとただのアスラン・ザラは知っているのだ。

 

「–––––今だ! 行け、シン!」

〈了解! アスラン、俺が戻るまでやられないで下さいよ!〉

 

 そんな一瞬の通信の後、デスティニーがトップスピードでこの場を離脱していく。敵ガンダムは少しばかり(いぶか)しんだ様子を見せた。

 やがて、狙いを理解したのかその後を追おうとしたが、アスランはビームライフルで牽制することで動きを止める。

 

「ここから先は行かせない。…お前の相手は俺だ!」

 

 そうして、ガンダムとジャスティス、互いの光の刃が交差した。

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 ガンダムサルースとハイネの駆るデスティニーの戦いは熾烈(しれつ)を極めていた。

 

 互いの剣がぶつかり合い、ビームが飛び交う。

 サルースはGNファングを射出したが、それらはハイネの仲間であるルナマリアとレイのGN-Xが対応している。ルナマリアはともかく、レイはこの手の無線兵器との相性が良く、優れた空間認識能力を活かして次々とファングを撃墜していた。

 

「…やるじゃないか」

 

 額に走る僅かな冷や汗。

 アキサムは想定以上の抵抗を見せるザフト相手に舌を巻いた。既に背後に控える母艦やモビルスーツ隊はボロボロだが、ミネルバ隊と思われるハイネ達がしぶとく、攻めきれない。

 

 ソレスタルビーイング唯一の遊撃担当として出撃したアキサムとしては、何としても母艦と擬似太陽炉搭載モビルスーツの数を減らしておく必要があった。

 そのうちの母艦は多くを撃沈させたものの、モビルスーツ部隊の方は未だに不完全。藪蛇(やぶへび)をつつくつもりはないが、もう少しダメージを与えておきたいところである。

 

〈–––––聞こえるか、ガンダムのパイロット〉

 

 そんな時、突如としてサルースのコックピットに通信が入った。仲間からの物ではない。接触回線、つまりはデスティニーのパイロット……ハイネ・ヴェステンフルスからだ。

 

 アロンダイトをバスターソードで弾きながらも、アキサムは無言で通信を繋ぐ。

 

〈お前、"アディン・セファート"だろ?〉

 

 そして、ハイネが告げた言葉に思わず思考が一瞬止まった。

 

 アディン・セファート。

 それはアキサムの本名であり、過去とともに捨て去ったはずの名前である。

 

 それ自体はいい。

 アキサムはザフト軍人時代はハイネを部下として率いた身であり、当時のザフトのエースだったラウ・ル・クルーゼと並び称されたエースパイロットでもある。前大戦に生じて表舞台から姿を消したアキサムだが、その名声自体はザフトに残っていることだろう。

 

(どこでバレた…?)

 

 問題はどこから情報が漏れたかだ。

 こちらはパーソナルカラーからパイロットがハイネだということを把握していたが、フェイスとはいえ組織に関わりのないはずのハイネが自分のことを知っている理由がわからない。

 

(まさか…裏切り者から教えてもらったのか…?)

 

 最重要機密であるGNドライヴと共に寝返った裏切り者だ。最高レベルの機密であるマイスターの情報を流すぐらいのことはしただろう。

 

「チッ、バレちゃあしょうがないってか…?」

 

 改めて、アロンダイトとバスターソードが激しくぶつかり合う。アキサムは開き直るようにハイネの問いを肯定すると、推力に任せてデスティニーを押し出した。

 

〈…まさか、本当にアディン隊長だったとは〉

 

 ハイネもただではやられない。

 剣をそらすことでサルースを受けながすと、ビームライフルで狙い撃ちながら吠えた。

 

〈アンタは、一体何をやってるんだ!〉

「…見ての通りだ。世界から戦争を無くすために戦っている」

 

 アキサムはビームをバスターソードの刀身で受け止めながらも、GNランチャーで反撃していく。

 

〈こんな馬鹿げたことをして、本気で叶えられると思ってるのかよ!〉

「それでもやらないよりはましだ。何もしなけりゃ、ナチュラルとコーディネーターが互いを滅ぼしあってこの世界は終わるだけなんだよ!」

 

 GNランチャーの砲撃がデスティニーの片翼を吹き飛ばす…が、同時に放たれたビームがGNランチャーを破壊した。

 

 思わず、舌打ちするアキサム。

 ただし、攻撃の手は緩めない。爆炎を割くようにバスターソードを振りかざすと、デスティニーもアロンダイトで受け止めた。

 

〈…プラントと地球は停戦した! もう戦争は終わったんだよ、だからこんなことはさっさと辞めて投降しろ!〉

「ハッ、そんな条約。俺たちが倒れればすぐに消えてなくなるさ。ユニウス条約を思い出してみろ!」

 

 アキサムは一度機体を引くと、振り回すようにバスターソードをアロンダイトへ叩きつけた。バスターソードの攻撃力に耐えきれず、アロンダイトが折れるように断ち切られる。

 

〈デュランダル議長は、戦争のない世界を目指している!〉

「政治家はみんなそういう! だが、それが成ったことはこれまで一度もない。少しは成長したようだが…青臭いぜ、ハイネ!」

〈––––くっ!〉

 

 ハイネはウェポンラックから高エネルギービーム砲を取り出したが、それを見切ったアキサムは素早く懐に潜り込み、爪先(つまさき)のGNビームサーベルで破壊した。

 

「そうさ。俺は知っちまったんだ…この世界がいかに病んでいるかをな」

 

 命令に従ってプラントを守り、敵対するナチュラルを殺す。そんなことを続けている限り、この世界に未来はない。だが、誰もそれを止められない。アキサムはソレスタルビーイングに入り、そんな現実を理解させられた。

 

「誰かがやらなきゃいけない。そして、俺にその力があった。それだけの話だ!」

〈…アディン隊長っ!〉

「隊長はお前だ! 俺の敵、ハイネ・ヴェステンフルス!」

 

 今更ただのザフト軍人に後戻りなどはできない。立ち止まることも。

 自分はプラントを守る戦士"アディン・セファート"ではなく、"戦争根絶"を掲げるソレスタルビーイングのガンダムマイスター、アキサム・アルヴァディなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





>シエル&バッツ対ファントムペイン
GNアーマーが強いので、対大型用の武装を持つシンが到着するまでは連合側が不利。粒子残量の問題でトランザムできないのが救い。


>フブキ対アスラン
性能差でフブキの方が有利だが、タイマン最強の男(アスラン・ザラ)もまだ本気を出していないので、全てはトランザム次第である。


>アキサム対ハイネ(+ルナ&レイ)
アキサムがリードしているものの、ファングを撃墜したルナとレイの参戦次第で戦況が大きく変化する。
地味だが、GN-Xに乗ったレイの強さはデスティニーに乗ったシン(通常)やジャスティスに乗ったアスラン(通常)よりも上なので、まだまだ勝負は分からないといったところ。

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