【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E.   作:アルテミー

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後2、3話くらいかな。
その後は数話挟んで第二部行きます。

夏に書けない分夏までにできるだけ更新していく所存なのでよろしくお願いします。


残る命、散る命Ⅲ

 

 

 

 

 スウェン・カル・バヤン。

 若くしてファントムペインのモビルスーツ部隊を率いることになった彼は、幼少期にブルーコスモスによって洗脳教育された兵士である。

 クロト・バエルらブースデットマンやステラ・ルーシェらのようなエクステンデッド等の生体CPUに比べればその待遇は遥かにマシだが、その所属もあって連合では日陰者とされてきた。

 

 だが、何の因果か彼は連合の正規軍…しかも一部隊の隊長に任されるまでに至った。ソレスタルビーイングの登場、自分たちの雇い主であるロゴスの失墜によってどうなることかと思ったが、事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。

 

 しかし、スウェンはそんな現状に対して何も思っていなかった。彼にとってはファントムペインも正規軍も変わらない。言われた通りに敵を倒す、それだけだと思っていた。

 

〈そらそらどうした! ガンダムさんよぉ〉

〈この間はよくもやってくれたわね!〉

 

 対して、同僚であるシャムス・コーザとミューディー・ホルクロフトはキルギスプラントでの屈辱を返すつもりなのだろうか、やけに気合いが入っている。

 先のザフトのデスティニーと呼ばれるモビルスーツによって傷つけられたガンダムの動きは鈍く、そこを痛めつけるように二人のGN-Xが攻撃を仕掛けていく。

 

 そして、スウェンはそんな二人を尻目にソレスタルビーイングの母艦だろうスペースシップを狙いに定め、二名の部下と共に攻撃を加えていた。

 作戦序盤にミラージュコロイドを持つNダガーNによって加えた奇襲によってエンジンにダメージを負ったのか、撤退することもなくその場で応戦する戦艦はスウェン達にとっては格好の的である。

 

 が、仕掛けた攻撃に対してなかなか墜ちない。厄介なフィールドは消失したものの、汎用性を重視したGN-Xの火力では今ひとつ致命傷まで届かず、至近距離まで接近しようにも敵の抵抗が激しい。

 

(やはり、先にガンダムを墜とすべきか……)

 

 今作戦の目的はソレスタルビーイングの撃破だが、より正確には四機のガンダムの撃墜である。

 

 スウェンが思考を巡らせる中、レーダーがとある反応を補足する。それは敵機、というよりモビルスーツの反応ではなかったが…。

 

(あれは……ガンダムの)

 

 それは大口のノズルを持つ大型ライフル。

 何かの拍子に手放したのか、狙撃型のガンダムが持っていたライフルが持ち手を失ったまま宇宙空間を漂っていた。

 

 興味を持ったスウェンは手持ちのビームライフルをマウントすると、宙を漂うそれを両手で抱え、マニピュレーターで握った。同時に解析をかける。使えるならそれでいいし、使えないなら破壊する。それだけでガンダムの手数を減らすことができるだろう。

 

(…よし、行けるか)

 

 解析結果、何故かこのGN-Xでも使用可能とのことであった。

 それはこのGN-Xという機体による物なのか、それともGN粒子の特殊性による物なのか、はたまた組織を裏切った者による物なのか、スウェンには検討もつかないが、今使えるならそれでいい。

 

 それにこのライフルの火力ならば敵母艦にも甚大な被害を与えることができるだろう。

 

「目標を確認…」

 

 汎用機のGN-Xには狙撃用のセンサーなど搭載されていないため、照準はマニュアルでとなるが、あれだけ目標が大きければ問題ない。掠っただけでも大ダメージだろう。

 

「喰らえっ…!」

 

 そして、スウェンは冷静に引き金を引く。

 これまで自分たちを苦しめて来た強力な粒子ビームがソレスタルビーイングに牙を向いた。

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 粒子ビームの被弾による激しい衝撃がクラウディオスの艦橋(ブリッジ)を襲った。艦のダメージが限界にまで但し、オーバーヒートしたコンソールがバチバチと電流を走らせる。

 

 しかし、そこにオペレーターである二人の姉妹の姿はなかった。いや、それどころか既にクラウディオスの艦橋(ブリッジ)は誰もいない。無人である。

 

 ここにいたはずの二人の姿は、艦内における強襲用コンテナに続く道にあった。そう、フブキからの退艦指示を受けた二人は艦橋(ブリッジ)を脱出し、シドやバレットが待つコンテナへ向かっていた。

 

 だが、その間も爆発の衝撃が艦全体を揺らしている。二人は何とかそれに耐えながら道を進んでいた。

 

〈お前ら早くしろ! このままじゃトレミーが持たない、早くするんだ!〉

「分かって…るって!」

 

 腕の通信端末から聞こえるのは慌ただしく二人を急かすバレットの声。ウェンディはそれに答えながらも妹の手を握って必死に足を進める。

 

〈バレットさん、敵モビルスーツが狙撃体勢に入りました!〉

〈くそっ…迎撃だ! なんとしてもシエルが来るまでもちこたえるぞ!〉

 

 はいッスと答えるシドの声もどこか遠く聞こえる。

 ウェンディとヴァイオレットは必死に走った。

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 それに気がついたのは、既に発射された後のことだった。太く赤い光が暗い宇宙を照らし、シエルが視線を向けた時にはその光はクラウディオスの後方部…エンジン部分を完全に貫いていた。

 

「なっ……!」

 

 あまりの突然のことにシエルは思わず固まった。

 一呼吸置いて、被弾したクラウディオスが黒煙を上げながら爆発していく。

 

 最悪の想像が頭に過ったが、どうやら爆散したのはエンジン部分のみ。即座にエンジン部分を切り離したようですぐさま撃沈に至る所まではいかずにすんだ。

 しかし、これでクラウディオスは完全に宇宙航行艦としての力を失った。もはや強襲用コンテナの方が本体といってもいいほどの損害具合。仮にここを凌いでもそう簡単には活動再開はできないだろう。

 

「ヴァイオレット、ウェンディ!」

 

 シエルは直ぐに機体をクラウディオスの方向へ向かわせたが、逃がさないとはがりに背後から2機のGN-Xが追尾してくる。

 

「くそっ、一体どこから……なっ!」

 

 その時、シエルはクラウディオスを狙撃したと思われるGN-Xを補足し、驚きの声を上げる。

 

 何故なら、その機体が抱えていたのはセレーネの主兵装であるGNメガランチャーだったからだ。GNアームズとのドッキングの際に放棄したそれを敵は利用していたというのだ。

 

「馬鹿な、同型機とはいえガンダムの武装を……まさか、書き換えたというのか、ヴェーダを使って!?」

 

 いくら同じGN粒子を使う武装といっても、ロックを解除しなければガンダム同士でさえ使えないようにできている。しかし、全ての根幹を成すヴェーダの力ならばいくらでも解除できる。

 

 そして、敵機はまるで正解とでも言いたげな様子でGNメガランチャーを構えると、次弾発射の準備に取り掛かる。

 

 狙う先は––––––クラウディオスのブリッジだ。

 

「くっ、やらせない……!」

 

 シエルはすぐさま止めに入るが、立ち塞がるのは僚機だろう四機のGN-X。いずれもここまで生き残ってきたエースパイロットであり、片手間に相手できる相手ではない。

 

 しかし、ここで手をこまねいていればクラウディオスは沈み、皆の帰る場所はなくなる。それはシエルにとって、計画の失敗、己の死よりも避けなければならないことだ。

 

 だからこそ、シエルはそのシステムを遠慮なく作動させた。

 

「邪魔をするな……トランザム!」

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 地球連合軍第81独立機動群"ファントムペイン"に所属するシャムス・コーザがガンダムの異変に気づいた時、彼の乗るGN-Xは放たれた粒子ビームによって左腕を肩ごと吹き飛ばされていた。

 

「な、なんだ!?」

 

 敵のガンダムが赤くなる現象。

 これによって性能が向上するということは先のザフト対ソレスタルビーイングの戦いの報告書によって聞いている。

 

 しかし、シャムスを始めとした彼等は元がブルーコスモスによって洗脳教育を受けた人間である。当然、コーディネーターにいい感情はなく、今回の共同戦線も上からの命令で渋々受諾したほどだ。

 

 そのため、彼等は最初の戦いでガンダムに勝利していたこともあり、完全に油断していた。たかが機体が赤くなる程度で敗北したコーディネーターを見下し、その報告をまともに受け止めていなかったのである。

 

 もしも、この報告を上げたのが連合軍なら、コーディネーターでなかったのなら未来は違ったかもしれないが、現実として詳しく報告書を読んだスウェン以外のファントムペインの人間はこの未知のシステムに対して完全に圧倒されていた。

 

 シャムスが息を呑む間にもガンダムは次々とファントムペインへ襲いかかる。

 

 前方にいた味方の一機がガンダムのバルカンによって蜂の巣となり、胴体をビームサーベルで両断されて爆散する。勇敢にも仲間の一機が粒子ビームを掃射したが、それらは全て残像を撃ち抜いたけで空を薙ぎ、敵の反撃にあって火球と化した。

 

 残るがシャムスとミューディー、スウェンの三機になった時、シャムスとミューディーの二人は小さくうめいた。

 

〈な、何よこれ〉

「圧倒的じゃねぇか…!」

 

 GN-Xに乗ったことで性能差はなくなったんじゃなかったのか…!

 

 後方で狙撃体勢にあるスウェンを守るため、シャムスとミューディーは粒子ビームで迎撃するが、赤く発光するガンダムはそれらを簡単な回避し、こちらとの距離を縮めにかかる。

 

〈このぉぉっ!〉

「…ミューディー、よせ!」

 

 錯乱した様子のミューディーがサーベルを抜いてガンダムに動いたが、ガンダムは振るわれたサーベルを回避すると蝿でも払うかのうに腕を切り落とし、足を切断する。

 

〈嫌ぁぁぁ!〉

「ミューディー、逃げろ!」

 

 しかし、ガンダムは容赦なくコックピットへビームサーベルを突き立てると真っ二つに破壊する。

 

「く、くそぉ!」

 

 シャムスに仲間の死を悼む暇はなかった。すぐに自分の番だと理解したからだ。仇討ちとばかりに粒子ビームを放つが、やはりかわされる。その圧倒的なまでの強さにシャムスはキルギスプラントで初めてガンダムと遭遇した時を思い出した。

 

「ち、ちくしょう。こんなところで…!」

 

 赤き光を纏ったガンダムが近づいてくる。

 放たれたバルカンがGN-Xの装甲を穿ち、警報のアラートがなる。

 そのままガンダムがビームサーベルでシャムスへ狙いを定めた。

 

 –––––– 死ぬっ!?

 

 シャムスがそう思った時だった。

 

〈シャムス、左に避けろ!〉

「スウェン!?」

 

 突然の仲間からの通信に驚きの声をあげたシャムスだったが、身体は自然に機体を横へ向かわせる。

 

 そして、シャムスの背後から巨大な赤い光が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トランザム状態のセレーネはまさに無敵と言ってよかった。セレーネは砲撃戦を主とした機体だが、パイロットのシエルは接近戦も得意としており、その腕前はフェイトにも引けを取らない。そこにトランザムによる性能向上も合わされば主兵装を奪われたとて苦戦することはなかった。

 

 だが、シエルは一切の油断をせずに冷静に敵機体を撃破し続ける。

 

(トランザムの限界時間が近い…早く勝負を決めないと)

 

 それもそのはず、セレーネを無敵たらしめているトランザムにも限界時間があり、それが終われば性能の低下した機体で敵部隊と相対しなければならない。

 

 敵機も残り2機と少ないが、後方に構えるGN-Xは奪い取ったGNメガランチャーをクラウディオスへ向けている。最大チャージまではタイムラグがあるとはいえ、あまり時間をかけられない。

 

「これで…!」

 

 そうして、シエルが2機目のGN-Xを撃墜しようとしたその時、突如として警報(アラート)が鳴り響く。

 

 同時に目の前のGN-Xの姿が消え、前方から放たれたのはGNメガランチャーの粒子ビームだった。

 

(射線を隠された!? けど…!)

 

 味方で射線を隠すとは流石はエースパイロットというだけある。事実、いかにガンダムといえども回避することは難しかっただろう。

 

 だが、今のセレーネはトランザム状態である。向上した機動性を待ってすれば、この状況からでも回避が間に合う。

 

「そんなもの……なっ!?」

 

 シエルは機体を動かしかけて気づく。ここで回避するのは簡単だが、背後にクラウディオスがいるのだ。

 

(そんな…戦いの間に僕の位置を……なんてやつだ!)

 

 気づいた時にはもう遅い。こうなれば、シエルには二つの選択肢しかないのだ。

 ここで回避してクラウディオス…ウェンディ達を犠牲に敵を倒すか。

 それとも……これを敢えて受け止めるか、だ。

 

(そんなの決まってる…)

 

 シエルは迷うことなく選択した。

 

「GNフィールドは不完全にしか展開できない…でも、トランザムの出力なら!」

 

 損傷した粒子発生装置から不完全なGNフィールドを展開し、シエルは機体をそのままに正面から突っ込ませる。

 

 その直後、シエルの視界は赤い閃光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





>スウェン
実力的にはディアッカ〜ムウくらい。
ストライカーパックを使いこなす彼なので初見の武器も使用感が似通っていれば使いこなせるだろう。

>シャムス、ミューディー
実力はどんなに盛っても一般赤服程度。スポット参戦キャラにしては頑張った方。
まぁ、犬の餌になるよりはましだっただろう。

>シエル
僕って、不可能を可能に……


次回はシエル対ファントムペインが終わり、フブキ対アスランの決着がつきます。
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