【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E. 作:アルテミー
なんか久しぶりにランキング乗ってる。
第一部完結のおかげかな、嬉しい!!
最高評議会議長ギルバート・デュランダル。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦後、戦死したパトリック・ザラ前議長に変わって臨時的にその地位についたアイリーン・カナーバよりその座を受け継ぎ、おおよそ一年。
アーモリーワンでの強奪事件に端を発し、ソレスタルビーイングという私設武装組織の乱入、ユニウスセブン落下によるブレイク・ザ・ワールドによって起きた開戦。
そんな激動の一年を常に冷静に、プラントの利益を第一に尽力してきたデュランダルの功績は高く評価されている。
エンジェルダウン作戦からおよそ半年が経過したC.E.74年4月1日。
任期を終えたデュランダルはプラント市民たちに続投を惜しまれながらも最高評議会議長を退任した。そんな彼が指名した後任のワルター・ド・ラメントには多大な
そして、時は流れてしばらく。ラメント新議長もようやく職務に慣れたのか、安定した体制を築きつつある。
これにてデュランダルも余計な政務に追われることがなくなったかと思えば、そういうわけでもない。議長でこそなくなったものの、デュランダルは最高評議会議員の一員である。その上、その経歴とカリスマ性から発言力、影響力は共に大きい。彼はこれまでよりは少ないものの、一議員としては圧倒的に多い政務に追われていた。
無論、それだけ頼りにされているということでもあるのだが、エンジェルダウン作戦後、色々と悩みの種が増えたデュランダルにとっては余計な仕事が増えたことにはゲンナリする毎日である。
「ふぅ……」
「大丈夫ですか、ギル…」
思わず漏れた溜め息に私服姿のレイ・ザ・バレルが心配そうな声をあげる。
それに対してデュランダルはいつものような笑みを浮かべると、なんでもないように手で制した。
「問題ない、少し疲れただけだ。それでレイ、ここでの生活にも慣れたかな?」
「はい。アカデミーに入る前を思い出して懐かしくも思います」
「そうか、それはよかった」
エンジェルダウン作戦終了後、デュランダルはレイをザフトから退役させ、以前のように共に暮らしていた。
テロメアの短いレイの治療と延命のためだ。以前までは定められた運命故にレイ自身もデュランダルも受け入れていたのだが、
ソレスタルビーイングの出現、それによって変化した世界はデュランダルの予想をも超え、かつてより実行を準備して来た計画は全て無となってしまった。
それどころか、
前者は予感として、後者は自身が携わったからこそ分かる闇の深い案件だ。来年以降、彼等が動いた時に再び世界は大きく変化を見せるだろう。…それがデュランダルにとってプラスに働くかマイナスに働くかは分からないが。
タリア・グラディス。
レイ・ザ・バレル。
どちらもデュランダルにとっては大切な存在であり、本来計画していたデスティニープランが頓挫した以上、彼等を不必要に危険に晒すようなことは避けたい。
それ故にタリアには適当な理由をつけて後方のアカデミーの教官…つまりは子供の面倒が見やすい環境に起きながらも、その存在をデュランダルの手が伸ばせる範囲に置くことでアウラからの干渉を防いだ。
これまで"攻める"ことに重きを置いて来たデュランダルだが、ことこれからに限ってはいかに"守っていく"かが重要になってくる。
「それで…今後の情勢は」
「ふむ、ラメント議長も上手くやってくれているが、どうにも地球…ユーラシアの方が落ち着かない様子だ」
「独立運動…"ファウンデーションショック"ですか」
レイの言葉に頷く。
ファウンデーションショックとは、ユーラシア連邦の属国であったファウンデーション王国の独立に伴う、各地の独立運動のことである。連邦はこれを軍でもって鎮圧しようとしていたらしいが、逆にファウンデーション側にやり返されてしまい、その失態が余計に各地の独立運動を加速させてしまっている。
プラントは中立として干渉していないが、それは表向きの話であり、裏側ではユーラシアの力を削ぐために秘密裏に各国に独立の援助などを行なっている…そんな状態だ。
「まぁ、その辺りはラメント議長とフォスター大統領のこれから次第だ。無論、私とてできる限りの協力はするがね」
「しかし、地球ではブルーコスモス残党によるテロが頻発しているとの噂もあります…危険では?」
「ふむ…」
確かにレイの言う通り、地球でブルーコスモス残党によるテロが発生している。おそらく、その背後には旧ロゴス団体による支援があり、いかな地球連合といえども簡単には火消しに取り掛かることはできないだろう。
しかし、ヤラファス条約に定められた公約により、地球側から何かを言ってこない限り、プラントは地球圏に軍を派遣するなどの干渉をすることはできない。
「その時はオーブ…もしくはラクス・クラインに力添えを願うしかないだろう。オーブならばテロの脅威から守ってくれる。姫にはアスランが戻ったことだし、ラクス嬢にも優れた
「キラ・ヤマト……」
レイがその名を呟く。
その出生から因縁がある相手だ。本来のデュランダルの計画ならば彼と対峙する未来もあったかもしれないが、今や彼は敵ではない。そのことにレイは複雑な感情を抱いているのだろう。
そんなレイを尻目にデュランダルは思考を巡らせる。
(さて、私はこれからどう動くべきか…)
アコード、イノベイター、ソレスタルビーイング。
本来己が仮想敵としていたロゴスやラクス・クライン、キラ・ヤマトではなく、今後デュランダルが相対していくことになるのはおそらく彼らだ。
敵としてか、味方としてか。上手く選択しなければならない。
もしもの時の為に対アコード・スーパーコーディネーターとして育て上げたシン・アスカはエンジェルダウン作戦で失ってしまった。アスランがオーブへ戻り、レイもテロメアの問題でそう長く戦えない以上、デュランダルが持つ駒は非常に少ない。
ラクス・クラインやキラ・ヤマトは今でこそ味方だが、一度暗殺しようとした自分のことを信用はしても信頼はしていないだろう。
全てはアウラ、そしてレクシオと名乗る少年の出方次第である。
(万が一は
無論、あの少女の立場を思えば素直に頷いてくれるとは思えないが、やりようはある。
レイの頭を優しく撫でながらも、デュランダルはこれからの己の指針を固める準備に取り掛かった。
▽△▽
ファウンデーション王国。
とても独立したばかりとは思えない煌びやかな王宮と発展した街並みが広がるその国では連邦軍に打ち勝ち、ユーラシア連邦から独立を勝ち取ったことに対するささやかな祝宴が行われていた。
来賓にはファウンデーションに呼応して独立運動を起こした小国のトップなども招かれており、中には極秘裏に参加したプラント高官や大西洋連邦高官の姿などもあった。
彼等への対応はファウンデーション宰相のオルフェ・ラム・タオが直々に担当し、国務秘書官であるイングリット・トラドールがそのサポートについている。
そんな光景をワインを片手に上段のテラスから見下す二人の青年がいた。
「ささやかというには、なかなか豪勢なパーティじゃないか」
「母上…というよりオルフェが力を入れたのだろう。俺にはよく分からんがな」
茶化すように言った中性的な青年––––––レクシオ・ヘイトリッドに対して、鋭いナイフのような顔立ちをした青年––––––シュラ・サーペンタインは特に興味もないように答える。
だが、レクシオは首を横に振った。
「たかが人間同士の小さな争いに勝利しただけのパーティに彼は力はいれないよ。きっと、"出来る秘書"が気を使ったんだろうね」
どこか軽薄な笑みを浮かべてレクシオは言った。
その目線の先には甲斐甲斐しくオルフェのサポートをするイングリットの姿がある。
その行動の裏に込められた彼女の
それを理解しているレクシオは己の使命と感情に葛藤する姿にどこか共感を覚えながらも微笑ましく見送った。
そして、話題は移り変わる。
「ところでシュラ。戦勝祝いだというのに君はいつにも増して仏頂面だね」
「ふん、あのような物は戦いですらない。実に退屈だった」
なるほど、不完全燃焼といったところか。
せっかく表舞台に出たというのにその晴れ舞台の相手は軟弱なユーラシア連邦軍。"最強"であることを使命とするシュラにとっては何の証明にもならない戦いであったのだろう。
敵に彼が望む一騎打ちの相手になりうるエースがいなかったのもある。
事実、先程のファウンデーション軍とユーラシア連邦軍の戦いは数で圧倒的に劣るファウンデーション側の圧勝という形で終了している。
出撃したのはシュラ含めてファウンデーション王国近衛師団であるブラックナイツのメンバーのみだったのだが、まるで勝負にならなかった。
「"ブラックナイトスコード"を出すまでもなかったかな?」
「ザフトのザクかグフあたりにでも乗っていれば程よいバランスになっただろうさ」
退屈そうに答えるシュラだが、実際それが不可能ということは本人が一番理解しているだろう。アウラやオルフェが求めているのは確実な勝利という結果であり、そこに愉しさなど考慮されるわけがない。
普通の人間ならそれを不満に思うだろうが、母やオルフェの命令を絶対と掘り込まれているシュラには欲求不満に感じても、現状に一切の不満をもらすことはなかった。
仮にシュラの嫌いとする騙し討ちや奇襲なども命令なら何も不満に思うことなく実行するだろう。
そんな異常な精神性で育ったアコードを哀れに思いつつ、レクシオは話を続けた。
「なら、機体の方はどうだい? 僕からのプレゼントは気に入ってくれたかな?」
機体に関して話を振ると、ここで初めてシュラはその表情に獰猛な笑みを浮かべた。
「ああ、"シヴァ"は十分に俺の動きについて来ている。これまでのモビルスーツが玩具のようだな」
シヴァとは、正式名称ブラックナイトスコードシヴァといい、イノベイターが技術提供する形でファウンデーション王国が開発したGNドライヴ搭載型新型モビルスーツである。
ファウンデーションの国防長官と近衛師団長を兼ねているシュラの専用機であり、その性能は従来のモビルスーツはおろか、同じくGNドライヴ搭載機であるGN-Xやガンダムをも凌駕するのだ。
更に他にも同タイプのブラックナイトスコードシリーズが4機、それぞれがブラックナイツの搭乗機であり、現行のモビルスーツに対して圧倒的な力を持つ。
当然、未だダガーなどの旧式機体を主力としているユーラシアが勝てるはずもなく、この力でもってファウンデーションは強引に独立を勝ち取ったのである。
「まぁ、相手が弱すぎてはまともな評価にならんがな」
「そうかい…なら、そんな君にとっていい話があるよ」
そう言ってレクシオが投げ渡したのは一つの端末。
シュラはそれをノールックで受け取ると、電源をつけた。そのまま宙にウィンドウが表示される。
そこに書かれた報告書を見てシュラは興味深そうに声をもらした。
「…ほう」
「次期にオルフェ・ラム・タオの方からも知らされると思うけどね…」
それは今後発足予定である「世界平和監視機構コンパス 」と呼ばれる国際組織に関してまとめられていた。参加者にザフトや連合、オーブなど多くの国から人材が派遣するとあるが、真っ先にシュラの目に映ったのは組織のトップに立つ人物であるプラントの歌姫"ラクス・クライン"の文字。
そして、コンパスは新興国のファウンデーションにも参加を呼びかけていた……いや、正確にはそうなるようにレクシオが仕向けたのだ。
「遂に我らが姫がお立ちになられたか…!」
先程の仏頂面が嘘のように笑顔を見せるシュラ。それは先程の獰猛な笑みではなく、純粋な少年らしさの残る物であった。
「それに彼女だけじゃない。予定されているコンパスの構成員には君が注目する、"あの男"の名もあるようだよ」
レクシオの目が輝き、端末が勝手に起動する。
だが、シュラはそれに対して驚くような素振りは見せず、むしろ端末に表示された名前の方に小さな驚きの声をあげた。
「アスラン・ザラか……」
アスラン・ザラ。
それはシュラが並いるパイロットの中で自らに次ぐ"最強"と認めた男の名である。
エンジェルダウン作戦。
ハイネ・ヴェステンフルズやシン・アスカが仲間の力を借り、その命をかけてようやく倒すことができたガンダムをアスランは一騎打ちで打倒している。
しかもガンダムと比べて圧倒的に性能が劣るジャスティスでだ。
その強さ、それでこそ人類最強たるシュラが認めるに値するというもの。
「コンパスはナチュラル・コーディネーター問わずに優れた人間を募集しているらしいが、大西洋連邦はともかくユーラシアの反応がよくない。そこで、君たちにも声がかかったわけだ」
「成る程……母上はなんと?」
「さぁ? 僕にはなんとも。まぁ、オルフェ・ラム・タオは前向きに捉えると言っていたよ」
それはそうだろう。
何せトップが己の
また、ラクスを手の届く位置に置いておけるとなればアウラも反対しないだろう。
「そうか…それは楽しみだな」
レクシオの言葉にシュラは笑みを深くする。
その姿はさながら新作ゲームを買ってもらい、プレイを待つ子供のようでもある。
(やれやれ…血気盛んなお子様だね、全く)
そんなシュラに対し、レクシオは内心で呆れるような、嘲るような笑みを浮かべると、そっとその場を後にするのだった。
>デュランダル
SEEDで議長を退いたシーゲルみたいなポジション。
違うのは敵対派閥がなく、なんなら現議長のラメントもデュランダル寄りだということ
>コンパス
劇場版より少し早く発足し、原作よりもずっと規模が大きい。
更にトップはラクスだが、背後にデュランダルやシャーロット、更にはレクシオがいるために劇場版以上に各国から認めれている。
>ファウンデーション
トップがラクスで後見人がデュランダル。
そんなの入らないわけないよね、というスタンス。
>シュラ
強火アスランファン(にわか)
強者かつ同じ新人類(笑)であるレクシオのことを気に入っている。
>イノベイターとアコードの関係
今後、第二部で詳しく描いていきますので現在は同等の関係だと思っていてください。
>ブラックナイトスコード(擬似GNドライヴ搭載型)
ただでさえ強いのに太陽炉獲得で滅茶苦茶強い設定。
どれくらい強いかと言われれば(強さのベクトルは違うが)ハルートやサバーニャに匹敵するレベル。
とくにシヴァは近接戦闘の鬼みたいな仕上がりになっている。
後日、ライフリやイモジャ共々詳しい機体設定をあげるのでお楽しみを。