【第一部完結】転生イノベイドのイオリア計画再生記 in C.E. 作:アルテミー
お待たせしました。
自分の文才に自信をなくして、筆を置いてしまっていましたが、少なからず待ってくれている人がいると思うので、頑張っていきます。
前話まではSEED FREEDAMとの繋ぎ的なイメージが強かったですが、今回からは00要素…つまりは本格的なセカンドシーズンがスタートします。
敵の絶望感を増やすために、コンパス側の戦力にヤバい設定を追加しました。新たに追加された「ガンダムW」タグを見て貰えば分かると思います。
では、どうぞ。
スペースコロニー『ヘルファーレ』は、地球軍が誕生する前、まだ国際連合と呼ばれていた時代から開発が進められていた、旧式も旧式のシリンダー式のコロニーである。
一応、未だに稼働は続けているものの、そこに住む住人はおらず、軍事目的にも転用されていない。半ば殆ど廃棄されたに等しく、連合もプラントももっぱら廃棄コロニーとして扱っている。
テロ組織ーーーブルーコスモス残等はそこに目をつけた。
未だに癒着の残る連合からの支援を受け、秘密裏にこのコロニーを大型殲滅兵器"デストロイ"を始めとした多くのテロ用兵器の開発施設として利用しているのである。
そして、公には知られていない情報がもう一つ。
「くそっ、どうして俺らがこんなことっ…!」
「もう嫌…!」
ここで強制的に働かされているのは、かつてブルーコスモスが洗脳して強化人間に仕立て上げようとする予定であった子供たちであるということだ。
「おら、キリキリ働け!」
「体力だけはあるんだろう? この化け物共が」
終戦後、エクステンデッドの存在がザフトに露呈したことによって、その非人道的な行いに非難が集中した
しかし、それに寄って困ったのは、強化人間にこそしていないが、違法な手段で集めた多くの孤児たちの行く末である。
扱いに困った連合は、彼等がまるでこれからの戦いに役に立たないと見るや、その多くをブルーコスモス残党に売っぱらったのである。ブルーコスモス側は人手不足を解消できて、連合側は厄介払いができるという互いに得しかない取り引きだった。
地上ではネオ・ロアノークたち旧ファントムペインの人間たちが、彼等を引き取る計画を進めているが、それでも引き取れたのはごく一部。それもネオたちは生体CPUとして扱われていた子供達を優先的に保護しており、それ以外の子どもたちは、未だにブルーコスモスによる支配から逃れることはできずにいた。
このコロニーには、正規の連合軍人も所属しているが、そのいずれもブルーコスモスの息が掛かった人間である。終戦を迎えた現状を受け入れられず、その気になれば、いつでもプラントに核ミサイルを打ち込めるような思想を持つ者たちばかりだ。
だからこそ、屈強な体格をした男たちが、反抗的な子どもを"躾ける"ような光景も、ごく普通の、当たり前の物として扱われていた。
「F91、F92。早くしろ、遅れているぞ」
重力が比較的強いコロニー用にパワードスーツを着用した屈強な男が、手に持つライフル銃で、四つん這いになるまだ幼い細身の少年の身体をこづきながらそう言う。
「僕の名前はロイ・レラジェだっ!」
少年、ロイ・レラジェはそんな男の言葉に反発するように何とか立ち上がる。
しかし、待っていたのは分厚い靴底による踏みつけられるという結末だった。
「反抗する気か……!!」
「ロイっ!? もうやめて!」
「黙れっ! 貴様もさっさと持ち場に戻れ!」
「きゃっ!」
息も絶え絶えといった様子のロイを心配し、作業を中断して駆け寄った少女、リリアナ・シトラスだが、その頬を銃底で殴られて吹き飛ばされてしまう。
「まったく、F91と92は反抗的で困るな」
フン、と鼻で笑った男は倒れ伏す二人の少年少女の首元を掴むと、休憩用の小部屋に放り込み、再び監視を続ける。他の子供たちはそんな光景を見て顔色を悪くし、自分はこうなりたくないと必死に作業を続けた。
それから数分、ロイとリリアナは意識を取り戻した。
「ロイ、大丈夫…?」
「ああ……痛っ!」
まだ15歳になったばかりのロイ・レラジェと、その二つ下のリリアナ・シトラス。
彼等は元々オーストラリアで家族と共に平和で暮らしていたのだが、全ては開戦前に起きたブレイク・ザ・ワールドによって全てが崩壊した。飛来したユニウスセブンの破片による二次災害は、彼等から故郷を…何よりも家族を奪った。
そして、以降は流れるようにブルーコスモスが経営する施設に連れて行かれ、ずっとずっと洗脳教育を受け続けた。とても子どもに課すとは思えない過酷な訓練ばかりだったが、ついて行けなければ待っているのは口封じという名の"処分"である。二人に選択肢などなかった。
それから一年も立たないうちに、終戦を迎え、二人は施設から解放された。だが、そこに待っていたのは更なる地獄。ロイ達は、連合の行った非人道的行為の生きた証人となるため、厄介払いとばかりにテロリストに売り渡された。そこに人権なんて物は、存在しない。
結局、状況は以前と何も変わらない。それどころかより劣悪な環境へと変わってしまった。
両親がつけてくれた名前を使うことは許されず、基本的に番号で呼ばれ、まるで奴隷のように扱われる日々。
子どもたちの中には、当選脱落者もいたが、そういった面々がどうなるのか……ロイたちは以前の施設で十分に理解していた。例え辛くても、生き残るためには耐えるしかなかった。
「くはぁっ…くそ、アイツら好き放題殴りやがって」
「ロイ、大丈夫…?」
申し訳程度に設けられた数分間の休憩時間、子ども達に与えられている小さく狭い小部屋にて、ロイは溜め込んだ不満を全力でぶち撒ける。
リリアナが心配して声をかけるが、そんな彼女の頬にも小さなアザがある。あまりにも行き過ぎたロイへの暴行を止めようとして、逆に殴られてしまったのだ。
「ロイっ!リリアナっ!」
「「みんな…!」」
そんな二人の元に集まってくるのは、同じく労働を強いられている少年少女たち。全員ともに同じような境遇の者たちであるが、その中でもロイとリアナは薬物投与による身体強化を行う、連合でも最も闇深い施設からの出身。だからこそなのだろう、叛逆防止のためなのか、このような機会にでしか仲間たちと会うことが許されないでいた。
「よかった、無事だったんだな…!」
彼等の表情に絶望はない。
この囚人収容所のような場所からいつか逃げてやると、誰もが諦めていなかったからである。
そして、そんな彼等の希望を支えているのは、この地獄のような環境で唯一、手を差し伸べてくれた大人たちだった。
「大丈夫か、お前ら?」
小部屋の扉が開き、中に入ってきたのは、先ほどの男たちと同じく、連合将校の制服を着用した四人の大人たち。
しかし、違うのは、ロイたちに対して向ける視線が柔らかいこと。そして、子どもらが向ける視線もまた、恐怖ではなく歓喜であることだ。
「エイリークのおっさん!」
「まだ28だ。おっさんじゃない」
コロニーに勤務する連合軍人。現在はブルーコスモス残党に成り下がった彼らの中には、ごく稀にだが真っ当な思想を抱く人間も存在する。
エイリーク・ヘルバーグを筆頭とするこの4人組も、真っ当な人の心が残っている軍人たちであった。
「また連中に殴られたんだって? ロイも無茶するなぁ」
「うっせ…!」
彼等は子供たちを奴隷のように扱うこの環境のことをよしとせず、秘密裏に食料等を分けてくれたり、怪我の治療をしてくれたりと、最初は警戒していたロイ達も彼等に心を開いていた。
「そんなことより、リリアナちゃんも怪我したんだって!? 大丈夫!?」
「女の子の顔を殴るなんて、相変わらずサイテーね。性根から腐ってるわ」
エイリークの同僚であるシャーラ・ミューズが、リリアナの頰にできた痛ましいアザを撫でながら、そう吐き捨てる。ロイも全力でその言葉に同意した。
そんな二人の言葉に頷きつつも、エイリークが言葉を続ける。
「だが、そんな非道ももう終わりだ」
「ーーえ?」
その時、地面が大きく揺れた。
子どもたちの誰かが小さな悲鳴をあげる。
(地震…?)
まず最初に思い浮かんだのはそれだったが、すぐにここが宇宙であることを思い出してその考えを捨てる。
「なんだ…一体何が起きて…」
素早く周囲を確認する。男たちの反応を確かめようと壁の扉を開け、そこでロイは気づいた。
『何だお前らーーーぐわっ!?』
『侵入者だ!応援をーーーうわっ!?』
男たちが何者かに襲われている。
ロイが扉から顔を出した時、頑丈なパワードスーツに覆われていたはずの彼等は、何者かに倒されていた。
制圧していたのは、同じくブルーコスモス残党のメンバーが着用しているはずのパワードスーツを身に纏った男たち。
ーーー仲間割れ?
そんな思考に思い至った彼の肩を、優しく叩いたのはエイリークだった。
「お仲間だよ、お仲間」
「仲間?」
未だに状況を理解していないロイたちに向け、エイリークは愉快げな笑みと共にこちらに手を差し伸べ、言った。
「ーーー俺たちは
部屋に入ってきたのは少数の連合兵士。しかし、そこにあるはずの連合兵の証ーーー青いコスモスは引きちぎられている。
「さぁ、行こうか…!」
ブルーコスモス残党も一枚岩ではない。この時、ロイはその事実を深く理解し、その手を取った。
ここに今、ブルーコスモス残党の影に隠れて機会を伺っていた、変わりゆく世界への
▽△▽
「ーーーとでも、奴等は思っているんだろうが」
しかし、その動きは既に地球連合軍の知るところになっており、既に命を受けた世界平和監視機構コンパスの宇宙駐留部隊がコロニー『ヘルファーレ』に向かっている。
そう、既に作戦は開始されている。
レジスタンスとかいう反政府組織が、このコロニーで働かされている仲間たちや、ブルーコスモスが飼っている子供たちを救出するためにここを襲撃することは、司令部から送られてきた情報によって、数刻前から分かっていたことだ。
その為、彼等は初めからこの場所で待機していたのだ。まんまと網にかかった哀れな獲物たちを刈り取るために。
「フン、作戦開始だ。バヤン少佐に通達しろ」
GN粒子対応型新造宇宙艦『インペリウム』の艦長にして、世界平和監視機構コンパス宇宙駐留部隊隊長であるサリュー・ホワキン大佐は、管制のオペレータにそう命じると、哀れな獲物を思って笑みを浮かべた。
▽△▽
コックピットで命令を受けたスウェン・カル・バヤン少佐は、通信士官に「了解」と言葉を伝えると、すぐさま発進のペダルを踏んだ。
モビルスーツ隊の仲間に作戦開始の合図を伝える必要はない。何故なら、
スウェンが隊長を務めるモビルスーツ部隊は、6機編成で構成されている。通常のモビルスーツ小隊が3〜5機で編成されていることを考えると、いささか機体数が多い。
機体は、全て黒いカラーニングで塗装されたGN-X。
そして、例外は隊長であるスウェンの搭乗する新型モビルスーツ、GNX-105X/G "ストライクX"だ。
ストライクXは、GN-Xの運用データを基に開発された擬似太陽炉搭載型モビルスーツで、その名の通りGAT-X105"ストライク"を連想させる姿をした地球連合軍の次期主力機体である。
武装はビームライフル、ビームサーベル、ビームピストル、やや大型の実体シールド、緊急時の折りたたみナイフとシンプルな構成をしているが、スウェン機には背部に試作段階の新型ストライカーパック"である"エトワールストライカー"を装備している。
エトワールストライカーは、ストライクXの機動性能を極限まで高めるために開発された装備で、大型ブースターを二基背部に搭載。その機動性は、昨年のガンダムはおろか、現行機体最強と呼ばれるフリーダムやジャスティスをも凌ぐ。
「ーーーこれより作戦を開始する」
スウェンがコックピットから
敵部隊は、コンパス部隊の接近に気がついたのだろう、少数のモビルスーツが迎撃のために現れた。既に旧式となって久しい、ダガーやウィンダムといった機体群が合計で10機ほど、ビームライフルを放ってくる。
「目標と接敵。これより、新型
スウェンは放たれるビームを回避しつつ、コックピットキーボードより
モビルドールシステム。
それは、モビルスーツをAIによって無人で稼働させるシステムであり、人体限界を遥かに超える高G機動と、人間を遥かに超える反応速度と精密無比な攻撃力と連携を可能にさせる新技術である。
度重なる戦争の歴史によって人員不足となった各国家が治安維持のために導入を検討したもので、今回はその実践テストとして、反政府組織であるレジスタンスがその標的に選ばれていた。
赤い光を放つ5機のGN-X達は、敵部隊の攻撃に速やかに反応。散らばるように回避すると、フォーメーションを組んで取り囲む。それに気が付いた敵パイロットは、すぐに回避運動を取ろうとするが、ダガーの機体性能ではとても間に合わない。すぐに火の玉となって宇宙を照らした。
仲間の死に動揺したレジスタンスは、仲間の敵討ちとばかりに一機のGN-Xに攻撃を集中させる。多対一は、機体性能が劣る側としての戦い側としては正しいものだが、今回に限れば相手が悪い。
モビルドールシステムの戦闘AIに組み込まれているのは、
こうして、一才の憎悪も敵意もない、モビルドールによる一方的な虐殺が始まった。
>レジスタンス
この世界におけるカタロンのような物。メンバーは元連合兵や少数のコーディネーターなどが所属している。西暦世界よりも規模が小さいが、それは西暦と比べたらC.E.の民度を表していたり(反政府的思想者はみんな根っからのテロリスト)。
世間一般的には、ブルコスの一部のように扱われているが、奴等とは比べものにならないほどの民度の高さ。C.E.世界における貴重な善人の集まり。
バックにジャンク屋や???の関与などがあるとかないとか。
>モビルドール
ガンダムWでお馴染みの無人機システム。似たようなシステムがFREEDOMで使われていたため、仮にブラックナイツの率いる無人機が全部ストフリやデスティニークラスの化け物だったら?という発想から採用した。
W本編のビルゴほどではないが、普通に高性能のGN-Xをメインキャラレベルの強さのAIが操って襲ってくるという…。
>スウェン君
戦後はしばらく新型モビルスーツのテストパイロットを勤めていたが、ファントムペイン時代の上司のホワキンに引き抜かれてコンパスへ。決して口には出さないが、かつての仲間たちが恋しい。
ちなみに、D.S.S.Dからスカウトが来ていたが、タッチの差でコンパス行きとなった。
>ストライクX
GN-Xの技術を取り入れた新型ストライク。そのカタログスペックはギャンやゲルググを軽く上回り、ライジングフリーダムやイモータルジャスティスにも迫るが、扱いにくさの点で現状のスペックだとスウェンぐらいにしか扱えない。
当然、モビルドールならスウェンと同等レベルで扱える。
〈
連合「無人機? これでコーディネーター滅ぼすまで永遠に戦えるやん!」
ザフト「無人機? これで数の差を気にすることなくナチュラルを滅ぼせるやん!」
トレーズ様「」
〈次回予告〉
不気味なまでな強さを誇るモビルドール部隊を相手に追い詰められるレジスタンス部隊は、何とか子供たちを救出するも、既に全滅の危機にあった。
そこへ、一機のモビルスーツが現れる。
赤き翼を広げ、大剣を構えるその姿にスウェン・カル・バヤンは、かつてのエンジェルダウン作戦を想起した。
ーーー次回「天使再臨」