日間一位もいつの間にか達成していました。感謝の極み。
アニメ千年血戦篇6話視聴完了。カッコイイ戦闘描写追加はいい文明。今のとこ100点、しゅごい。スカーいっぱい聴いてます。
更木剣八の眼には、眼前の敵しか映っていない。
再び立ち上がったことに対する疑問などない。至極どうでもいい。
理由だの理屈だの原理だの、そんなものは放っておけば技術開発局の変態どもが分析やら解析やらを勝手にするだろう。特にその変態どもを統べる随一の変態が、その無駄に広い監視網を使って。よって微塵も興味はない。
大事なのは愉しめるかどうかだ。
ギリギリの死闘が出来るか、否か。そこさえ叶えば、後の諸々は一切関係ない。己の生き死にでさえ。
噴き上がる霊圧が、次第に安定する。
辺りの様子は既に先程までとは一変していた。
床と壁はどこもかしこもヒビが入り、一部が欠け、一部は崩壊する有様。
それら周囲の変化よりもなお変化したのは、対峙する敵の姿。
周囲から簒奪した霊子で編まれたと見られる黒い外套を纏い、一度は立ち上がることも難しくなったとは思えないほど、しっかりとその両の足で立っていた。
「面白ぇ…………!」
だからこそ、俄然斬り合いたくなるというもの。
「いいじゃねぇか!! なぁ、滅却師!?」
昂る悦びを抑えきれないとばかりに、剣八は吠える。無意識に自分の口端が歪むことに気付かぬ程。
ここからがやっと、自分が望んだ戦いだ。斬って斬られて、血を流し流させる。戦いとはそうでなくては。
だが無手の相手に斬りかかるつもりはない。
新しい得物を出すまで待つ。そうでなければ、意味がない。せっかくの闘争を、自分の手で台無しにするなど論外極まる。
上空で、何かが光る。
弓だ。巨きな弓。人が引くにはあまりにサイズ違いな青白いソレは、一人でに、或いは己の主人の意によるものか、そこから黒衣の滅却師の目の前へ何かを撃ち下ろした。
撃ち出されたのは、矢ではなかった。
剣だ。天にある弓と同様、鋒から柄の先まで青白い直剣。
射出され地に刺さったその矢剣ともいうべき代物を、滅却師は手にする。
これで、互いに戦闘準備は整った。あとは、どちらが始めるか。
「────おぉおおぉぉぉぉおおお!!!」
先に仕掛けたのは、剣八だった。
我慢出来ぬとばかりに、迷いなく敵に向かって前進。そのまま斬りかかった。
互いの刃が交差する。
轟音、衝撃。
強大な霊圧同士がぶつかり合い、その衝撃波が周囲の人工物をさらに破壊する。
完璧に防がれた一撃に、剣八の笑みが一層深まる。
続けて二撃、三撃と繰り出すも結果は変わらず。刃を交える回数が増える度に、衝撃が炸裂する。
幾合と切り結ぶ。
高まる愉悦が、止まることを知らない。最高の気分だ。このまま永遠に続いて欲しいと思える程に。
何度目かの衝突の後、互いに距離を空ける。
ここまで互いに無傷。常ならばその事実に不満の一つも覚えるだろうが、今は逆にそれが喜ばしい。真に互いの力が拮抗するからこそ起こる現象だと理解出来た。
静かに睨み合う。息を吐く。
剣八が今一度斬り合わんと距離を詰めようと踏み出し────
────左胸部から右腹部にかけて、血が吹き出した。
「!!」
己の前方にいたはずの白装束の男は、いつの間にか背後に回っている。
「ハッハァ!!」
知覚が追いつかない一撃を喰らってなお、剣八の動きは欠けらも鈍ることはない。身体を捻り、横薙ぎの斬撃を敵目掛けて仕掛ける。
しかしそれは受け止められた。
霊子の剣ではなく、滅却師の首で。
青く枝分かれしたような紋様が、彼の首元に走っている。先刻腕の硬度が増したのもこれのお陰のようだ。
お返しとばかりに、今度は身体を反転させた滅却師の横薙ぎの一撃が、斬魄刀で受け止めた剣八を吹き飛ばした。
地を数メートル滑り、前を向くより前に己の胸に走る横一筋の真新しい傷に気がつく。
だがそれだけの損傷を与えてもなお、剣八は片膝着く様子すらない。それどころかその勢いはより果敢に、獰猛に、凶暴に。斬撃の鋭さが増していく。
刃の応酬が続く。
身体に無数の切り傷を刻む剣八とは対照に、未だ滅却師は纏う衣が数ヵ所浅く裂けたにとどまる。
戦いはより一層激しさを増す。
そして遂に、均衡が崩れ出した。
黒外套の滅却師の上段からの一撃が、それを受けた斬魄刀ごと剣八の肉を深く切り裂いた。
流血。折れた刀身が宙を舞う。
たたらを踏み、後ろに下がった怪物は────
「ハッ」
────やはり怪物であった。
「はーっはっはっはっはっはっはっはっはっはぁ!!」
そんなことでは、この男は止まらない。
下がって距離を取るどころか、先程よりもなお、前へ。
何度斬られても絶対に倒れない、最強の死神。それが「剣八」。そして彼は歴代の中で最もその称号に相応しい男であるのだから。
全身を滴る血で濡らし、鬼の形相で浮かべる笑みを浮かべたまま。
もはや声というより言葉にならぬ雄叫びをあげ、得物を振るう。
その一撃は先程まで優勢だった滅却師の剣を押し返し始めた。鍔迫り合い、その驚異的な力で押された青白い刀身が、持ち主の身体に浅く沈み込む。
これ以上この死神とこの距離で戦うのは危険だと判断したのか、滅却師は死神の腹を蹴ることで無理矢理距離を開く。
蹴られたことなど意に介さず地を蹴り砕き、追撃を見舞おうと接近する剣八。
振り上げた刀を斧のように振り下ろす────
────筈の右腕が、沈む。
「!?」
右腕が青白い矢で射抜かれ、地に縫い付けられている。
どこから飛んできたかは、考えるまでもなかった。
上だ。
あの矢剣を発射した巨大な弓は、消えてなどいなかった。高度を上げ、剣八の意識の外に置かれた今。再び一人でに矢を生成し、番え、狙いを定めて放ち、目標を穿つ。
すぐさま突き刺さった矢を抜こうとする剣八の左腕をも、空から降る矢がまたしても射抜き、地に落とした。
両腕を縫いつけられ、上体を起こせない姿勢となった剣八の背に狙いを定めた大弓が、三度矢を生み出す。
ただし一つではない。
十を超える矢が、彼の背に突き刺さった。
ごぷりと、鮮血が口から漏れる。
だが、まだだ。
まだ、更木剣八の戦闘欲求は鎮まっていない。並の隊長格であっても敗北を悟り、諦める局面であろうとも。未だ彼の意志は死んでいない。
矢による拘束を無理矢理にでも引きちぎろうと、満身の力を全身に込める。腕を貫く矢に亀裂が走り、弾けるその前に。
「
滅却師が、トドメの一撃を放つべく詠唱を開始した。
既に崩れた周囲の建造物からまたも霊子を収集、左の掌に収束。そこから蒼く輝く帯のようなものが流出し、二人を囲うようにして地面に五芒星の結界を構築した。さらにその縁から、同じ輝きを帯びた柱が立ち上がる。
これぞ滅却師が誇る攻防一体の極大防御呪法。その領域に踏み込んだ愚者をたちどころに神の光で裁く、選ばれた者のみが使用可能な滅却奥義。
其は────
「
(チクショウが ・・・・・・)
足元から光が立ち昇る。
身動き出来ぬまま全身を切り裂かれる刹那、剣八の心に在ったのは敗北の悔しさと、それでも心踊った闘争への充実感。
死への恐怖は無い。もう戦えないのは残念だが、まぁ仕方ない。死ぬ時は死ぬだろう。
だが、それでもやっぱり。
(もっと斬りたかったなぁ────)
勝者
星十字騎士団 "Q" 「
天に昇る光が消え、その痕跡だけが残った。
その中心。全身を切り刻まれ、赤い液体に濡れたまま倒れ伏す死神の息を止めるべく、勝者である滅却師はその右手に持つ剣を宙に掲げた。
抵抗も出来ない者を始末するのに、特別なことは何も必要ない。
あとはただ、腕を振るう────
────その直前にバンと音を立てて剣と、纏っていた黒い外套が弾けた。
瞬く間に霊子に分解され、溶けるように消えていく。あとに残ったのは、呆然と立ち尽くす白装束の男が一人。
「────……………………え、あれ?」
気がつくと、ベレニケは知らない場所に立っていた。正確に言えば、見覚えはあるがすっかり様変わりしていた為に、最初そうだと気づくことが出来なかったのだ。
整然としていた瀞霊廷の通路の一つ。そこが今や床は捲れ、壁は崩壊し、至る所に亀裂が走り、激しい戦闘の後であることを物語っている。
一体誰がやったのだろうか。
自分が知ってる限りでこんな惨状が作れそうな人間の候補として真っ先に上がるのは幼馴染の彼女だが、現場を見る限り少し違う気がする。
では他の先輩方がと思うが、結局のところ判断するには難しい。
一旦この場を離れようとした時、足下のそれに気がついた。
「うわあっ!?」
小さなクレーターのような場所の中心地に立つ自分ともう一人。人というか、そうだったものとして紹介されそうな程に酷い損傷具合。
それは更木剣八だった。
そこまで来て漸く、ベレニケは自身の最後の記憶を思い出した。
自分はこの目の前で倒れている剣八と遭遇。戦闘になるも奮戦虚しく敗北を喫した筈であった、と。
それが今や立場が逆転している。倒れたはずの自分が立ち、立っていたはずの剣八が倒れている。
何がどうなっているのか、ベレニケにはさっぱり理解が追いつかない。誰か事情を知っている者に詳しく教えて欲しかった。
意味がわからない状況だが、とにかく自分はひとまず生き残ったらしい。勝利、と言っても良いかは不明だが、死なずに済んだことは喜ばしい。相手が動かなくなっている内に手元から離された霊子兵装を回収。
「どうするかなぁ…………」
すっかり動かなくなった敵を前に、ベレニケは迷っていた。
瀕死ならばトドメを刺さなければならないが、遺体ならばその必要はない。敵とはいえ必要以上に痛めつけるようなことは避けたい彼は、判断を下しきれずにいる。
生きているのだろうか? だが死体と言われた方が納得がいく。
頭が上手く働かない。剣八ほどではないが、自分も損耗具合が激しい。
体のあちこちが軋むように痛み、頭が重く感じる。おまけに、
仕方がないと、意を決した。
気は進まないが、生死が不明な以上、念のためトドメの一撃を入れてから確かめるまで。
そうして気乗りしないまま剣を抜き、怪物の生命を絶とうとして──
「はれ…………?」
──彼の意識は、唐突に暗闇へと沈んだ。
更木剣八を下したのが自分である可能性に彼が辿り着くのは、それから暫く後のことであった。
意識が闇に呑まれる前。
視界の端で何かがピクリと、動いた気がした。
踏み込まれないと発動しないなら、先に踏み込めさせとけばいいじゃない!
はい、すいません色々と。
色々捏造しました。攻防一体なら出来るんじゃない? とか思ってやりました。選ばれた者のみが云々とか、滅却奥義とか。タグに独自設定つけててよかった。
でも悪気はなかったなんです。俺はただ、原作で不遇な大技をカッコよくするために・・・・・・!
あと今回ベレニケ君が手にした剣は陛下のものよりも一回り程小さめの設定です。
最後になりますが、以前書いた通り千年血戦篇については知識がガバガバなので以後の更新速度はかなり落ちます。ご了承下さい。それでは。