アニメ神作画過ぎて毎回震えてます。
二度目となる滅却師の瀞霊廷への侵攻は、またしても唐突だった。
見えざる帝国。
その名の通り、彼等は瀞霊廷の影の領域に潜み襲撃の機を窺っていた。
そして瀞霊廷を自分たちの拠点に塗りつぶすという、護廷十三隊の予想を超える方法で侵入。
侵攻を開始した彼等は、瞬く間に死神たちを蹂躙する。
卍解という切り札を抑えられていた死神達であったが、浦原喜助が開発した侵影薬により力を戻すと反撃を開始した。
死神と滅却師の戦い。
その第二幕は、かくして再び切られた。
ベレニケは、自分って実は呪われているのではないかと思った。
騎士に選ばれたと思えば最初の戦闘で特記戦力に遭遇し。
案の定ボコボコにされたかと思えば、失神してる間に何故か相手が倒れている。
そして今回は────
「テメーが更木を倒したってヤツか」
またしても敵の主戦力にいきなりエンカウント。
与えられる情報から、卍解の使い手を含め隊長格は凡そ把握している。
銀の短髪。鋭い目つき。
鍛え上げられた体躯。
鳩尾の辺りに刻まれた69という数字。
袖のない白い羽織。
「貴方は……」
「九番隊隊長、六車拳西だ」
彼だけではない。
三番隊隊長 鳳橋楼十郎
九番隊副隊長 檜佐木修兵
十一番隊三席 斑目一角
十一番隊五席 綾瀬川弓親
護廷十三隊が誇る戦力が、自分一人に向いている事実に頭を抱えたくなった。
どうして出撃してすぐにこんな目に遭うのか。
呪われているとしか思えなかった。
ちくしょう、と歯噛みする。
いくら何でも酷すぎるんじゃないか!?
何で新人の自分の所に隊長格が集まるのか!?
五対一なんて勝てるわけないだろ馬鹿野郎いい加減にしろと叫びたい。
誰か、誰か来てくれないのか。
一人でもいい。
こんな状況をひっくり返す、そんな英雄が。
「徒党を組んで一人を、だ。許してくれとは言わねぇよ。存分に恨んでくれて──」
「まてぇ────いっっ!!」
若者の悲痛な願いが天に届いたのか。
何処からか「とぅっ」と掛け声が聞こえると、彼等の間へと何かが音を立てて降ってきた。
地面に勢いよく衝突し土煙を立ち上らせるソレは、一体何者か。
鳥か?
隕石か?
否、それは────!
「悪党め、一対五とはなんと卑怯な! それも罪なきワガハイのファンを狙うとは……許せん!! そうだろうジェイムズ!?」
「へぇ! ミスターの言う通りデス!」
現れたのはプロレスラーのような覆面を被る偉丈夫と、小さな少年(中年?)だった。
星十字騎士団 "S "
並びにその付き人 ジェイムズ
ベレニケは現れたのが味方であることに安堵する。
いつの間にかファンになっていたことは驚きだが、一先ずそれは無視して覆面の英雄に声をかけることに。
「あの、マスキュリンさん……」
「ワガハイが来たからにはもう心配ご無用! このスゥパァスタァが華麗に悪党を懲らしめるところを見ているがいい!」
あ、この人他人の話聞かないタイプだ。
HAHAHAと大笑する英雄を見てそう悟ったベレニケは、諦めて大人しく下がっていることにした。
匙を投げたとも言う。
それはともかく。
乱入した二人の参戦により、状況は五体三。
先程よりはマシになったとはいえ、以前数字の上では不利。
しかも一人は非戦闘員。
どうしたもんかとベレニケは考える。
それは敵である護廷の死神たちも同様であるようだ。
「またえらく珍妙なのが来やがったな」
「どうする、拳西。ここは僕らも二手に……」
状況の変化から作戦を組み立て直す隊長二名へ向け、マスキュリンは唐突にビシッと指を向けた。
「……何だ、筋肉マスクマン」
「君一人で僕等二人と戦うつもりかい?」
「二人? ノーノー。貴様ら悪党全員を、ワガハイが相手すると言っているのだ」
「あぁ!?」
舐められていると認識した一角と弓親は、相手の態度に激しく反応する。
それは確実に、的確に十三隊きっての戦闘部隊の癇に障った。
「上等じゃねぇか……っ!」
「そのクソダサいマスク引っ剥がして汚い面拝んでやるよ!」
「威勢のいい悪党のようだ! オゥケイ、ジェイムズ! ゴングを鳴らせ!」
「へぇ!」
マスキュリンの合図に応えてジェイムズが小さなゴングを鳴らす。
英雄による、悪党退治の始まりを一方的に告げる鐘が。
「隊長、あのマスク男は俺たちが何とかします。その間に鳳橋隊長と──っ!?」
「スターダブルラリア────ット!!」
「!?」
「お前ら!!」
想定外の速度で一瞬の間に距離を詰められ、マスキュリンの攻撃を受けた一角、弓親、檜佐木の三人はそのまま遠くへと吹き飛ばされた。
離れた位置から轟音と土煙。
倒壊した建物が、スーパースターが繰り出した技の威力を物語る。
「クソっ、仕方ねぇ! ソイツ暫く任せるぞローズ!」
「オールライッ、そっちこそ油断禁物だよ!」
三人とマスキュリン+いつの間にかいなくなったジェイムズを追い、六車はその場を離脱。
その場に残された二人の死神と滅却師は、互いに得物を構えた状態で対峙する。
長い金髪とフリル付きの死覇装が特徴の死神、ローズこと鳳橋は、戦闘に臨むとは思えないほど優雅に口を開いた。
「君を見ていると、何故だか不思議なメロディーが浮かんでくるよ」
「はぁ、メロディー、ですか……?」
「聴いたことのないメロディーだ。爽やかだけど、おどろおどろしくもある。ここにギターが無いことが悔やまれるよ」
この人も癖強いなぁ、とベレニケは思いながらも油断はしない。
目の前にいるのは紛れもなく敵の主戦力の一人。
呼吸を整え、懐に忍ばせた円盤に少し意識を向ける。
「君が油断ならない相手なのは、重々承知しているよ。実際今も嫌な予感がする」
「それは過分な評価をどうも」
「だからこそ、最初から全力のアップテンポでいくよ」
闘いの幕が上がる。
現れるは死を奏でる舞踏団。
全身が始解状態の金沙羅の鞭で構成され、頭部も鞭の先端である薔薇の花弁のようになっている踊る人形群。
指揮者であるローズの意のままに踊り、音を生み出す。
「第一演目、
死の舞踏会、開演。
タクトが振るわれる。
一矢乱れぬ舞踊が、潮騒の調べが、海の激流を出現させた。
「第二演目、
続けて吹き出される焔。
演目の名の通り、大地から湧き上がる高温の炎がベレニケの肌を焼いていく。
「水と炎……」
斬魄刀の属性は基本一つのみ。
まして水と炎という、対極にある力を一つの斬魄刀が有していることはない筈だ。
しかし。
「あり得ないって顔をしてるね。そう、これは幻覚。まやかしさ。でも僕が奏でる音楽は、現実となって君を追い詰める」
ローズが操るのは、「音」。
聴覚から作用する幻に過ぎない。
だがその幻の激流と大火が、現実のベレニケを襲う。
聴く者の心を奪うまやかしの音色が、彼の命を絶とうと鳴り響く。
「そしてこれが最終演目……の、前に」
ローズは指揮棒を持たない左手を、自らの顔に当て。
「護廷十三隊隊長としては、あまり使いたくなかったんだけどね────ダメ押しだ」
頭部に顕れた、白い仮面。
鳥類を模したような、或いはペストマスクに似たそれを被ったことにより、ローズの霊圧が急激に上昇。
それに伴い、霊圧も通常より荒々しいものに変化する。
「さぁ、いこうか。君に送るに相応しい一曲」
白面の指揮者の指が揺れる。
変化した霊圧に呼応するように、少しずつ激しく。
舞踏人形の群れも、その足取りを徐々に早める。
彼等は踊る。
まやかしに心奪われた者が、息絶えるその時まで。
そして一つの生き物となった楽団が、三度蠢いた。
「死と変容────!!」
奏でられた、最後を飾る一曲。
踊り狂う金色と死の舞踏団。
命を奪う旋律が、今まさに若き滅却師のその生涯に幕を下ろそうと響き渡り──
蒼い爆炎に、焼き尽くされた。
★★★
Daten
残火の太刀
見えざる帝国の皇帝、滅却師の王であるユーハバッハが死神の長である護廷十三隊総隊長・山本元柳斎重國から簒奪した卍解。
第一次瀞霊廷侵攻において奪われた五つの卍解のうち、唯一元の所有者が死亡したため還ることのなくなった力である。
また見えざる帝国による宣戦布告時に卍解を奪われ散った雀部長次郎と合わせると、一番隊の推定卍解所有者は全員が卍解を奪われた上で死亡していることになる。
読んでいただきありがとうございます!
ローズ登場させたけど、こんな感じで大丈夫でしたかね?
卍解の最後の技については他の技も交響詩が元ネタっぽかったので、そちらから。
あと原作では出なかった残火の太刀とローズの虚化、出すことにしました。出したかったんだもん・・・。
今回で話のストック無くなったので、次は一週間後とかかも。乞うご期待。
感想、高評価等いただけると嬉しいです。それでは。