それから3日後。
自分の前にウィンドウを表示させ、エイジはソファに座っていた。
「次、ドレルさん」
ウィンドウごしに呼びかけた声に、甚平姿の50過ぎの男ダイバーがよっこらと腰をあげる。
仕事を行う際にチームを組む、いわば"エイジチーム〟での最年長確定の親父ダイバーだが、GBN事情の他、架空詐欺業界でのキャリアは長く、情報収集にかけてはピカイチの手広さと信頼度を誇る。
今回の仕事でも、『スタンフォード』の内部事情からダイバーネーム、ルガールの個人情報にいたるまで、ほとんど独力で調べ上げる離れ業を見せてくれた。後方支援委員の中でも最大の功労者だ。
エイジはウィンドウを操作し、表示されているウェイバーのフレンド項目にぽん、と指で押して、送信する。ウィンドウに表示された、配分しておいた金額をあっという間に少なくなり、『送信完了しました』という表示がでる。
「〝オプション〟の話、土壇場で効いたよ。3つくらい上乗せしといたぜ」
わざと聞こえるように出した声に、
「いいなぁ」
「こっちももうひとつ!」
と気楽なヤジが応答する。
ここは初心者エリアがいくつも存在するGBNのエリア11にある借家として借り入れた一室。
"エイジチーム〟は厳密に言うと正式なフォースではない。ただのダイバーの寄せ集めであり、決まった場所にフォースネストを作ることはない。今回の〝仕事〟のために用意したフォースネストは日当たりが悪く、『スタンフォード』のフォースネストほどの広さもない。そこに7人もの男女が集っているのだから、空気も機嫌も悪くなりそうなものだが、今この瞬間に限ってその心配はなかった。
誰もが生気にあふれ、ほくほくという言葉そのままに顔を輝かせている。
〝仕事〟を成功させた詐欺師――それも時間をかけた大きな〝仕事〟を成功させ、公平な分け前を目前にした時の詐欺師ほど、穏やかで気のいい連中はいない。日頃は出すものは舌でも嫌がるガリガリ亡者どもだが、今ならGBNアップデート資金やELダイバー救済募金に100ビルドコインくらいは寄付するかもしれない。
今回の報酬、フォース『スタンフォード』からGBNの貨幣局を通じて、振り出されたビルドコインは2億5,000万ビルドコイン。日本円で換金すると、2億5,000万ちょい。事務机の上に広げられたゼロの数がちょっとした山を築くことはある。
ルガールが1,000億の融資手数料として、支払った金の行きつく先がここであり、この〝仕事〟にかかわったチーム全員の懐の中だった。もちろん、『スタンフォード』には、一銭の見返りはない。
拠点となったこのフォースネストも、今日を限りで店終いになるから、被害に気付いたルガールたちが騒いでもあとの祭り。当面は腰ギンチャクのアキバと青い顔を突き合わせ、警察に訴えるべきか否かの協議が重ねられるだろうが、まず泣き寝入りという選択肢に落ち着いてくれるのも、この手の架空資金詐欺のうまみではあった。
欲にかられて、得体のしれない金に――しかも詐欺の代名詞である『A金貨』に――手を出したとなれば、フォースリーダーとして責任を免れることはできない。組織としては隠蔽に走るのが常道で、中には詐欺にあった証拠をつかまれ、第三者に金をゆすり取られるという泣きっ面にハチな目に遭う者もいる。
中には、運営スタッフによって、引きずり出され、巨大掲示板に個人情報をさらし者になった事例など全体被害の一部にすぎない。それを生業とするエイジのような人間が複数存在することが、なによりの証拠といえる。
逆を言えば、『A金貨』に代表される〝アンダーグラウンド・コンテンツ〟には、それだけの人間をひきつける信ぴょう性があるということだが――。ふと浮かんだ答えをかき消すついでに、エイジはソフトで造った分配表に記したダイバーネーム、ドレルの名前を入れた。
儲けの裁量はボスの裁量。
受け渡しは、全員が見ている前で。
誰が最初に決めたのかは知らないが、それがこの業界で古くから守られているやり方だった。実際、いくつかの利点はあって、全員が全員の取り分を理解できるため、あとで何某が多かった、少なかった、内輪もめをせずに済む。
事務机にでかでかと、額が表示されて配分を決めると、残った金額に対するこだわりがなくなる効果もあった。大量のビルドコインを目にすれば、どうにか手に入れようと欲が掻き立てようとするものだが、事実は逆で、見せないほうが無用の悪心を生むのだろう。
離れた場所でも金を送金できる現代、いまだに全員で集まってチェックしあうような真似が基本となっているのは、そうした先人たちの経験則が生かされているからだった。無論、リーダーの持ち逃げを警戒して……という現実的な側面もあるに違いなかった。
そんな常識に生きている連中であれば、ドレルに対する野次はのどかなもので、本気で異議を唱えるものなどいない。プラス300万ビルドコインのボーナスは至極真っ当なものだ。当のドレルは、
「次もよろしくな」
と笑みひとつ見せずに言うと、ウィンドウを指で操作して、受信したビルドコインを換金する手続きをし始めた。
基本的には受け取ったビルドコインはすぐに、換金しない。まずは、個人口座を複数につくり、ビルドコインを分配する。そこから銀行に足を運び、現金化する、という寸法だ。そうすれば、足はつかないし、チームの足も引っ張ることはない。
これは業界の人間なら誰もが知っている常識である。
だが、このドレルという男は、どんなに額が多い時でも、口座ひとつで一気に額を放り込み、換金するというのだから呆れる。怖いもの知らずというか、安直というか、ドレルなりの考えがあってのことなのだろう。
「次は、ガストさん」
ウィンドウを消して、ドレルがオンライン上からログアウトする、ログアウトをしたウェイバーを横目に、エイジは先刻からGBN情報と睨めっこをしているガストを呼んだ。
ガストは元GBNに属する会社スタッフ。普段はモビルスーツの整備を生業に活動していたダイバーだった。だがギャンブルにはまり込んで、会社の資金に手を出して失職。どこかミステリーなドレルに対して、こちらはわかりやすい。長身の強面が恰好を崩し、
「はいはい、ここにいますよ」
などと近づいてきたガストに、エイジはちょっと口をとがらせてみた。
「やっぱさ、GBNのマネージャークラスでいってみようよ。こんなに強面の課長クラスはいないっしょ」
ガストがこのフォースに入って、一緒に仕事をするのは7度目だが、今回に限ってGBNの課長クラスの肩書きを使ったのは、元々GBNの運営スタッフ役に抵抗を示す本人が強く希望したからであった。
「こんなに無駄に怪しい運営スタッフがいるか」
ぴしゃりとはねつけた声に、周囲から失笑が沸き起こる。
ネットの海は広大です。GBNもきれいごとじゃいかない場合もある――そんな与太話でエイジがフォローしていなければ、ルガールたちが、ガストの肩書を鵜呑みにしてくれたかどうかは怪しい。嘘は少なければ少ないほど良いというのも、この仕事の鉄則だというのに。
「その怪しさがリアリズムだと思うんだがなぁ……」
とぼやきつつも、ガストは転送された自分の分け前を確認するのに余念はなかった。奉職幾数年のキャリアは伊達ではなく、役人役をやらせたら右に出ない者はいない男ではあるが、私生活はだらしないこと甚だしい。おおかた溜まった借金と入れ込んでいる女Gチューバーへの手当に消えていくのだろう。
あまりひどくなると、こちらにもどんなとばっちりがくるかわからない。失職から10年近い時間が経てば、ガストから引き出せるGBN情報も大概賞味期限が切れるという問題もあった。あと何回使えるか……と頭のメモに記したエイジは、
「カエルの子はカエル」
と能天気な声が発するのを聞いた。
「やっぱガストさんはスタッフ役が一番っすよ。オレ、こんな顔の人の警備スタッフにさんざんとっつかまりましたもん」
フォースで最年少の青年ダイバー、ツルギが事務机に座って、足をぶらぶらさせながら言う。髪の色を見た目がいいように黒くして、背広を着ていたのに、今はもともとのライダース姿にド派手な髪に戻り、ヤンキー体質をあらわにしていた。
なんでも、リアルでは中国残留孤児2世だそうで、自分で祖母の養育家族の姓から、ツルギとダイバーネームで名乗っている。『最悪なジャパニーズの名前なんて使いたくない』というのがその理由だが、別に民族主義というわけではないのは、日本語読みのツルギにしているのは明らかだった。大方、本名では押し出しが悪いと思ったのだろう。その辺の思考回路もヤンキーらしい。
とはいえ、詐欺師を目指すからには根っからの馬鹿というわけではなく、ワンクリック詐欺やオークション詐欺をやら、さまざまな細かな〝ヤマ〟で自活できるほどの頭はある。
そうでなくとも、ダイバー自体としての腕も高く、今回の『スタンフォード』とのフォースバトル及びミッションでは、愛機である<ゲルググ>で参加し、フォース全体をもちあげる活躍をしてくれた。戦闘面での功労者は彼だろう。
以前はELダイバーを誘拐する組織に傭兵として雇われていたが、嫌気がさし、組織を脱退したのだという。なんでも女の子のために戦う、『第二次有志連合』と戦うフォースを記事で見たから……という心意気には同情を覚える。
だが、正義感だけではこの仕事はやっていけない。まだ詐欺師としては、前線に出せるようなものではなく、これから出せるようになるという保証もない。
「ラスト、ツルギ」
と呼びつけるや、
「イエッサー!」
「おまえも戦闘面でやってくれたからな。4つ」
と返ってきた声に、その思いはますますエイジの中で強くなっていった。
「ありがとうございます!」
とツルギは心から嬉しい声を出した。
「でも……こんなにあるんだから、少しはイロつけてくださいよ」
「その弟さんの機体も含めて4つ。ただで勉強させてやってるんだから、ありがたく思え」
「そうそう。傭兵プレイやめてシロ詐欺で食っていこうと思ったら、こんなにいい勉強の場はほかにないよ」
紅一点のアニーダが、姐さん風をふかして言う。背中まで伸びた長髪に切りそろえられた前髪、それでいて見かけ20代後半、このチームに入る前は若いアバターを作って、幾多のフォースで男性ダイバーにちやほやされるシチュエーション――いわゆる姫プレイをして、レアアイテムを我が物にしていた口だが、ガンダムSEEDのザフトの軍服である、白服……だったか? を着こなす姿は、彼女のグラマラスなスタイルのせいで、本編上の登場人物でも十分通用する。
姫プレイ時代に知り合ったダイバーのひとりが詐欺師で、彼とつるんだのを皮切りに本職に転身。ヴァーチャルММОRPGを飛び回り、詐欺行為を繰り返し、レアアイテムや金を巻き上げてきた……らしい。
らしいというのは、彼女にはいくつもの謎がある。
艦隊戦イベントの際、あまりの見事な艦隊指揮っぷりに『GBNにブライト・ノアとマリュー・ラミアスとスメラギ・李・ノリエガが混ざった艦長がいる』だったり、『アヴァロンのフォースネストから根こそぎレアアイテムを盗んだあげくに、戦闘機1機で変態的マニューバーでモビルスーツ隊の追撃から逃げ切った泥棒』だったり、こういう根も葉もない噂が絶えず、ドレルと同じくらい謎の多い女だ。
ちなみに彼女の言うシロ詐欺とは、今回の〝仕事〟のような作り話で金品を巻き上げる知能詐欺を指す。
世の大半の詐欺はシロ詐欺というわけだが、オレオレや振り込め詐欺やら、サル並みの頭でもできる詐欺をシロ詐欺に含めるかどうかは、業界でも意見が分かれるところだが。
「エイジ氏の口は天下一品だからな。横で聞いていると、本当に『A金貨』があるんじゃねぇかって気になってくる」
お追従ともつかないことを言いながら、ガストが言う。エイジは口元の笑みを消し、無言でガストの顏を見返した。
え? と笑顔を凍りつかせたガストの横で、アニーダもツルギも顔をこわばらせる。ただならぬ気配を察したのか、談笑に興じていた他の者たちもこちらを注視する。エイジは開きかけた口を引き結び、一同から目をそらした。
しんと静まり返った室内に、
「……まさか、本気で信じちゃいねぇよな」
とガストの声が流れる。震えた声がおかしく、エイジはこらえきれずに苦笑した声をうつむけてしまった。
「これだよ。油断も隙もあったもんじゃねぇ」
エイジがまいったという風に笑い、張り詰めた空気がどっと緩んだ。軽くすくめた肩を返事にして、エイジは残金を確認する作業に取り掛かった。
そう、『A金貨』なんて実在しない。
かつてはそれらしい風説があちこちで流され、本気で探し求める者もひとりならずいたが、現在、実在しなかったというのが業界の定説となっている。いまだにその存在を信じている者がいるとしたら、よほどの馬鹿だ。徳川の埋蔵金を掘り続けているのと次元が変わらない。世界では、ネットワークが発達し、世相も貨幣価値も激変しているのだ。
仮に『A金貨』に類するものが存在して、GBNの復興やサイバーテロ対策に有象無象の影響を与えていたとしても、いったいなんだというのか?
意味はない。そんなことはわかっている。だが――。先に進むはずの言葉を打ち消し、
「次の仕事は1年後」
と、エイジは締めくくりの声をだした。
「仕掛かりの物件が2、3ある。ひとつは押し込めるだろうから、そん時はよろしく。そんな、変に気前良くなって、周りのヤツに目つけられないでくれよ。『スタンフォード』のヤツが桂木ゲームマスターに被害届を出すことはまずないと思うけど、念には念をな」
それぞれにうなずき、三々五々引き上げる準備を始めた一同の様子を確かめてから、再び残金を確認する作業を再開した。
来月には資金がおりる。いよいよ2週間後ですとだらだら引き延ばしながら、追加の手数料や工作資金をカモから引っ張る業者もいるが、エイジは常に一発勝負。狙うカモもじっくり厳選して、実行に踏み切る〝仕事〟は平均して年の一回。それ以上の頻度でやると、噂が噂を呼んで被害者同士が徒党をくみ、思わぬ逆襲を食うことがあるからだ。
詐欺を働くダイバーは、何も自分たちだけではない。
思わぬところに有象無象が集まり、質の低い仕事をして市場をダメにしてしまう所は詐欺業界も他業界もかわらない。
『A金貨』ネタが衰退したのも、200X年代に有名オンライン・ネットプレイヤーや、はたまた中国の大手ITエンジニアまで巻き込んだブームが起こり、寄ってたかって詐欺の代名詞に仕立て上げてしまったからだ。
いまや猫もまたいで通る『A金貨』ネタで食っていくには、欲をかきすぎず、節度をもって仕事にあたること。16の時に詐欺業界に足を突っ込んでから9年。幾度か危機に直面しながらも、これまで逮捕歴ゼロの身を保ってこられたのは、その掟に従っているからであるという自負がエイジにはあった。
「すげぇなぁ。これ全部、エイジさんのもんかぁ」
ウィンドウに表示されている金の額を見て、ツルギが今にもよだれをたらしそうな顔で言う。
「バーカ。半分は税金でもってかれんだよ」
と横から口をはさんだのは、偽アイテム詐欺を専門にしているニーヤマだ。
「税金?」
「『風林会』。このネストだって、連中の借り物だろうが」
「あいつら、やばいヤクザやマフィアとも繋がってるし、横取りなんてしたら、体ドボンよ」
アニーダが真顔で釘をさす。
「考えていないっすよ、そんなこと」
「目つきがあやしいのよ、あんたは」
と続く会話を尻目に、エイジは金額を確認し終わり、ソファから立ち上がった。ネストの引き取りはすべて、スタッフに任せてある。視界の隅に表示されたデジタル時計は、13時5分を表示されている。これからログアウトして、銀行の立ち寄り順を思案している所で、「エイジちゃん」
と別の声に呼び止められた。
「例のフォースの件、考えてくれた?」
オカジマだった。リアルでは一応、税理士をしている事務所持ちで、今回の〝仕事〟では『スタンフォード』に提出する財務計画書の作成を請け負った。本業そっちのけで、ニーヤマとつるみ、小銭稼ぎに勤めるのは勝手だが、せこせこ動き回るのはあまり好きじゃない。
数日前、『おいしい話がある』と持ち掛けられたことを思い出したエイジは、
「あぁ……」
気の無い声をだした。
「もらった資料を見せてもらったけど、ビルドダイバーズか」
「だけどさ、あそこのフォースは、周りの強豪フォースから、特にチャンプから目をかけられてて期待度が半端ないのよ。それにあそこのフォースリーダーは、人助けだの寄付だのに妙に正義感ぶってる。ということは金も必要だろ? 人も信じやすいっていうし、あんたが絵をかいてくれれば確実にのると思うんだけどな」
そう言い、オカジマが差し出した小型のウィンドウをすいっと差し出すと、エリア11の上空写真が写っていた。ウィンドウに指を走らせると、エリア11にあるフォースネストの資金繰り、メンバー表などが次々と表示され、最後にはダイバー一同で撮った記念写真が映し出される。たぶん、旅行で取られた物だろう。
どこかのサーバー・エリアの湖を背景に、7人の男女が写っており、中央には問題のリーダーらしき少年ダイバーと少女が立っている。その背後に立像している機体は、すっかり有名になったリーダーの機体、<ダブルオースカイメビウス>が膝立ちで座っていた。
いずれ、リーダー、というよりキャプテンと呼んだ方がふさわしい顔つきは、持ち前の正義感、とやらをくすぐれば意地になるタイプか。持ち掛けようによっては、何の相談もなく大金を動かすに違いない。
俺は、見捨てない。
リーダーと目があった。ふと、そんな声がしたような気がして「パス」の一語がエイジの口について出た。
「ハメられたって知ったら、フォース総出で騒ぎまくるタイプだぜ、ありゃ。ハイリスク・ローリターンにやる価値無し」
ウィンドウを突っ返し、膝のほこりをぱんぱんとほろう。胃がむかむかするような、不快な感覚がせりあがってきた。
「いいカモなんだけどなぁ」
などと言いつつ、オカジマはさも残念そうでウィンドウに目を落とす。いつから聞いていたのか、
「ほれ、だから言っただろう」
と言ったガストがその肩を小突いた。
「エイジちゃんは大手専門。小口のカモからむしり取るのは道義に反するって、清い心の持ち主なのよ。な?」
悪意のない笑顔だったが、愛想を返せる心境ではなかった。ガストの目から笑みが消え、困惑の光が宿る。そろそろばつが悪くなる前に、視線をそらしたエイジは、
「やるならご勝手に……って言いたいところだけど、自重してくれよな。小石につまずいて巻き添えを食ったんじゃ、目も当てられない」
大人げないとわかっていても、一言残さずにはいられなかった。詐欺師が動議精神とはね、といいたげなオカジマの目を見たのを最後に、ガストはログアウトボタンを押す。ぐずぐずとしていると、内奥から湧き出す不快の闇にのみくだされてしまいそうだった。
こういう時は、あそこにいくに限る。