続きです。
横島くんの設定は、かなり独自解釈が入っています。
原作ではスルーしていましたが、やはり一度死にかけておいて、ノーリスクってのは都合が良すぎますからね。
???
〈っ!?本部、応答願いますっ!〉
〈どうしたっ!?〉
〈例の、謎の同行者の姿を確認しました。残念ながら
〈了解した。それで、仮にその者をXと呼称するが、その者はどの様に現れたのだ?〉
〈分かりません。現場が山中という事もあり、
〈っ・・・!なるほど。了解した。同士諸君は、部隊を2つに分け、片方はXに張り付き、もう片方はその周囲の探索を進めよ。〉
〈ハッ!了解しました。〉
〈何かあれば、また連絡してくれ。〉
〈ハッ!〉
「
「ええ。まだ結論を急ぐのは早いですが、例の事件とも関わりがありそうですな。これで、その山中に何かしらの拠点が確認できなければ、十中八九、Xは神性の存在と仮定して良いと思われます。」
「仮にそうだとしたら、
「仮にXが神性の存在だとしたら、それもむしろ当然とも言えますがな。」
「と、なると、益々正攻法では攻略は困難だと言えますね。やはり、例のプランを、今の内から仕込んでおいた方が良さそうですね・・・。」
「では、八十稲羽市に別働隊を派遣しますか?」
「ええ。と、言っても、あくまで表向きはいつものカモフラージュで、ですが。」
「了解しました。すぐに手配させましょう。」
「よろしくお願いいたします。」
・・・
「ふぅ~む。やはり、ボクの懸念は大当たりだった訳か・・・。この場合は喜ぶべき事ではないが、先手を打てたのは良かった、かな?さて、じゃあ、まずは何処から手をつけたモノか・・・。」
・・・
番長side
その日の夜。
“妙神山”に戻ってきた俺は、斉天大聖老師からこんな提案を受けていた。
「おい、鳴上。ナギからも頼まれとるのだが、お主も修業に参加せんか?」
「修業、ですか?」
「以前にもお話しましたが、元々“
「と、言っても、そうした連中はそんなに数は多くないから、基本的には暇なんじゃがなー。」
「まぁ、その間は、老師には私の修業に付き合って貰ったり、あるいは神界へと顔を出したりと、やる事が全くない訳ではないんですけどね。」
「小竜姫さまは神様なのに、まだ修業をされているのですか?」
「・・・私などまだまだ若輩者ですから。」
「ゆーても、小竜姫さまは、神族の中でも音に聞こえた神剣の使い手だぞ?下手にちょっかいかけると、えらい目に合うから気を付けろよー、鳴上。(ボソボソ)」
「そんな、お前じゃあるまいし・・・。(ボソボソ)」
いつの間にか、前に見た中華風の道着に着替えていた横島が、そんな事を小声で忠告してくる。
と、言っても、実は俺も横島と同じ道着を着用していたりする。
動きやすいので、寝間着代わりとしても重宝するのだが、一応は“
まぁ、俺は居候の身だからな。
郷に入りては郷に従え、って事で。
「それで、具体的に修業ってどんな事をするんですか?」
「何、他のコースに比べたらおとなしいモンじゃよ。座禅を組んだり、瞑想をしたりが基本じゃな。後は、軽く組み手なんかもするぞい。」
「軽く・・・?この間、俺は半殺しの目に遭ったんですが・・・。」
「・・・はて、最近物忘れが激しくてのぅー。」
・・・ちょっと、いや、かなり不安だ。
「大丈夫ですよ、鳴上さん。今横島さんがやってらっしゃる修業は、ある意味では一番ハードですけど、ある意味一番地味で易しいコースでもありますから。組み手に関しては、老師の御趣味と横島さんに対する懲罰、みたいな側面もあるんですよ。(ボソボソ)」
「・・・なるほど。(ボソボソ)」
横島は、基本的にはいい奴なんだが、ここ数日の付き合いだけでもすでに煩悩の強い奴である事は分かっている。
小竜姫さまの着替えをのぞいたり、入浴をのぞいたりと、その度に折檻されているのだが、一向に止める気配がないからな。
まぁ、そうは言っても、小竜姫さまも、本気で怒っている訳でもないし、老師も半ば呆れてはいるが、そこはそれ、一応師匠としてそこら辺に喝を入れる目的もあるのかもしれない。
「・・・それで、どうじゃ?」
「はい、イザナギにも言われていますし、俺自身の、それに菜々子(←ここ重要)の為にも是非お願いしたいのですが・・・、その霊力ってモノが俺にはちょっとよく分からなくて・・・。」
「ふむ。まぁ、そこら辺も含めて教えよう。って事で、OKな訳じゃな?」
「はい!よろしくお願いいたします!!」
・・・
その後、生活拠点とは別の、例の銭湯の方に移動した俺、老師、小竜姫さま、横島、パピリオちゃん。
男湯、女湯の暖簾をくぐり、脱衣場を抜けて本来なら風呂場となる扉を抜けると、そこは広大な空間が広がっていた。
「ここはっ・・・!?」
「ま、一種の異界じゃな。お主らの修業にはあまり必要ないのじゃが、戦ったりするには表の部分だけでは手狭じゃからのぅ。」
「はー・・・。」
“マヨナカテレビ”での体験もあって、大抵の事では驚かない自信があったのだが、こちらの世界は驚く事の連続である。
「さて、では、小竜姫。お主は、横島とパピリオを見てやってくれ。ワシは鳴上に、霊力の基本的なところから教える必要があるからのぅ。」
「分かりました。」
「うっすっ!」
「はぁ~い。」
老師がそう指示を出すと、小竜姫さまは頷き、横島とパピリオちゃんをつれて、俺達から少し離れていった。
「それでは早速じゃが、霊力について簡単にはレクチャーしておこう。霊力とは、簡単に言ってしまうと魂の力じゃな。それ故に、どんな人間にも多かれ少なかれ霊力は存在しておる。だが、それをある一定以上引き出す事ができるのは、才能なり何らかのキッカケを与えられた者に限定されておるのじゃ。もっとも、突出した才能はなくとも、長い修練などにより、自力で霊能力を開花させる例もあるがのぅ。」
「ふむふむ。」
「で、ちなみにだが、お主はペルソナ能力に目覚めた事により、すでに霊能力にも目覚めておる。」
「えっ!?そうなんですかっ!!??」
「まぁ、ペルソナ能力も霊能力の一種じゃからな。しかし、ここら辺が厄介なところなんじゃが、ある特定の能力として霊能力を開花させた者は、基本的にその形でしか霊力を発現する事ができん。と、言うよりかは、他に発現する方法を知らんのじゃな。まぁ、それはそれでも問題はないんじゃが、仮に何らかの形でその能力を封じられた場合、その者は戦う手段を失ってしまう事にもなりかねん。」
「・・・なるほど。」
確かに、シャドウとの戦いにおいても、ペルソナ能力自体ではなかったものの、特技や魔法を封じられた事はあったな・・・。
その時は、物理攻撃によるゴリ押しだったり、アイテムや魔法によって回復する手段はあったので何とかなったが。
「そこで、基本中の基本である霊力操作が重要になってくるんじゃよ。まぁ、これはお主にはあまり関係のない話じゃが、GSにとってはそこら辺はまさに死活問題でな。ある特定の形でしか能力を発動できない場合、先程述べたリスクがある為、
それによって命を落とす事になりかねない。まぁ、こちらにも、オカルトグッズなりで対応する事もできるのじゃが、それでもやはり手札は多い方が良い。って訳で、そのもっとも簡単な対応策として、基本的な霊力アップをはかる者も多いんじゃな。」
「なるほど。」
「ま、小難しい話はとりあえずここまでにしておこう。まずは、お主に霊力がどんなモノかを実感してもらうところから初めてみようかの。鳴上よ、何でも良いので、とりあえずお主のペルソナを召還してみるが良い。」
「えっ!?は、はい。分かりました。」
急にペルソナを召還しろと言われてもな・・・。
これが戦闘なら、敵の条件に合わせたペルソナを選択すれば良いのであまり迷わないのだが、何でも良いと言われると・・・。
まぁ、ここで時間を掛けても仕方ないのでとりあえず召還しておくか。
「こい、ピクシー!」
カッーーー!
「はいはぁ~い。ご主人、あたしに何かご用かしら?」
「やっぱりお前もしゃべるのね・・・。まぁ、特に用はないんだけど、ちょっとな。」
「あら、用もないのに呼び出したのぉ~?まさか、あたしに会いたかったからとか~?」
「ほぅ、ピクシーとはまた変わったペルソナを持っとるんじゃなー。」
「ぎゃあ~!猿がしゃべったぁ~!!」
「お前もしゃべってるだろ・・・。けれど、老師。妖精はこの世界では珍しいんですか?」
「俗界では珍しくなっとる様じゃの。ま、神界では妖精界もあるモンで、特に珍しい存在ではないんじゃがな。」
「なるほど。」
「ご、ご主人。そんな猿と話して大丈夫?食べられない?」
「いやいや、この人は大丈夫だから。」
「ハッハッハ、お主のペルソナは中々個性的な様じゃなぁ~!」
「ははは・・・。」
「それで、ペルソナを呼び出しましたが、これでどうすれば良いのでしょうか?」
「先程も言ったが、ペルソナ能力は霊能力の一種じゃから、お主とペルソナとの間には霊力のリンクで繋がっておるんじゃよ。ワシにはハッキリ見えるが、おそらくお主には見えておらんのじゃろう。まずは、それを見る、のはまだ難しいじゃろうから、お主とペルソナとの間を繋ぐ“何か”を感じ取る事から始めてみようかの。」
「分かりました。」
「へぇ~、ご主人、そこまで強くなったのに、まだ修業なんてするんだ~。向上心が強いのねぇ~。」
「あの、ピクシー、少し黙っててくれないかな?集中したいんだけど・・・。」
「えぇ~、ご主人冷たくなぁ~い?」
「鳴上よ。ピクシーに限らず、妖精は基本的におしゃべりで気まぐれ、イタズラ好きな存在と相場が決まっておるんじゃぞ?しゃべるなってのは、そのアイデンティティーを否定する事になるのぅ。」
「そうなのか・・・。」
・・・これは、完全に人選ミスだったかもしれない。
しかし、そこはそれ、俺はオカン級の寛容さ、タフガイな根性でそれを乗り切った。
それに、最終的にはピクシーも、俺の言霊使いな伝達力で説得に応じて、少しは静かにしてくれたからな。
逆に、そうしたコミュニケーションを取っていたのが幸いしたのか、俺は俺とピクシーとの間に“何か”モヤの様なモノが俺達を繋いでいる事を感覚で感じ取っていた。
「老師、これって・・・!」
「うむ、感じ取れた様じゃな。それが霊力じゃよ。お主は、お主の霊力を用いてペルソナを召還しておるのじゃ。じゃから、当然お主とペルソナは霊力の糸で繋がっておる訳じゃな。」
「はぁ~・・・。」
「まぁ、本来は、先程も言ったが、ペルソナ能力者はペルソナ能力としての形でしか霊力を発現する方法しか知らんから、無意識的に霊力を操っているものの、それをしっかり認識していない事が普通じゃ。しかし、これをしっかり認識し、見る事ができ、最終的には操作する事ができれば、仮にペルソナ能力が封じられたとしても、お主には別方面でその難局を乗り越える事が可能となる訳じゃ。まぁ、今日のところはこの辺にしておくがの。何も焦る事はないからのぅ。」
「分かりました。ありがとうございました。」
・・・
道化師side
「大分、霊力操作にも慣れてきましたね、横島さん。」
「ええ、ま、何とか。最初は、こんな地味な修業に何の意味があんのかなー、って正直思いましたが。」
「ねぇ~、つまんないでちゅよねー。」
「ま、まぁ、本来は修業ってそういうモノですから。美神さんや横島さん、雪之丞さんが体験した修業の方が稀なんですよ。もっとも、あなた方の場合は事情もありましたからね。短期間での修業で大幅パワーアップ、って事は否定はしません。その分、リスクもありましたからね。」
「あー、例の“ウルトラスペシャルデンジャラス&ハード修業コース”っすね。」
「ええ。パワーアップするか死か。それくらい追い込まれないと、力を引き出す事は困難ですから。それに、言ってしまうと、その修業は結構大雑把でもあります。力を引き出す代わりに、細かいコントロールに関してはノータッチですからね。」
「まー確かに。そういえば、俺もマトモに修業した事なんてなかったからなー。実戦経験ならいくらでもあるけど。」
「まぁ、実戦経験から得られるモノも多いですからね。本来は、GSと言う職業柄、それはそれでも良いのでしょう。しかし、横島さんの場合は・・・。」
「・・・。」
俺は、マトモな修業はほとんど受けた事はなかったが、実戦経験により、
ま、それでもムラがあった事は否定しないけどな。
しかし、ルシオラの、
それは、自分だけではどうしようもなかったのである。
「それでも、貴方はルシオラさんと霊体を融合させたお陰で、ある程度はそれも可能でしたけど、やっぱりそれにも限界があります。仮に貴方がこの場に来なかった場合、貴方は
「・・・。」
そうなのだ。
俺は、一度死にかけた事により、壊れかけた霊基構造をルシオラから貰っていた。
その結果、彼女を失う事となってしまうが、ま、それについては完全とは言えないまでと、ある程度は乗り越えている。
彼女とは長いお別れとなってしまったが、完全に死別した訳ではないし、美神さんの話では、俺の将来生まれてくる子供に彼女が生まれ変わる可能性もある訳で、恋愛対象から一気に自分の子供となってしまうまでも、彼女を幸せにしてあげられる可能性は残っているのだから。
しかし、これは、やはりルシオラとしても一か八かの手段だったのだろう。
彼女の残留思念が残っている間、そして、それが去った後の数日は、普段より強力な霊術を扱う事もできたのであるが、それが過ぎると、元に戻ってしまった、かに見えた。
しかし、実際にはそう簡単には話は終わらなかったのである。
「人間が、後に神様や悪魔になってしまった例はいくらでもあります。しかし、その場合は、ある種の“転生”となりますからそれでも問題はないのですが、貴方の場合は、人の身のままでありながら、人と魔族両方の性質を持つに至ってしまった。外科手術によって、臓器移植などをする際は拒絶反応が起こる場合があります。それと同様に、貴方の霊基構造も、人と魔族の混合となってしまった結果、拒絶反応が起こってしまった。ルシオラさんの意識が残っている間は、それをコントロールする事によって、むしろ人魔両方の霊力を使いこなした結果、普段以上の大幅なパワーアップをする事ができましたが、それが去ってしまった今、それは貴方自身でコントロールするしかない。」
「分かってます。せっかくルシオラがくれた命なんだ。それを、みすみす彼女のせいで命を落としてしまった、なんてオチにしない為にも、地味でも何でも、死ぬ気で乗り切ってみせますよっ・・・!」
「・・・ヨコチマ。」
「・・・そうですね。幸い、と言うのはアレですが、状況は違うまでも、ピートさんの様な存在が身近にいたのは幸運でしたね。半人半妖の様な存在は、当然、人間と妖怪の性質を受け継いでいます。そして、多かれ少なかれ、横島さんが今直面している問題とも向き合った事がありますからね。彼らの情報は貴重でした。」
「ええ。」
そうなのだ。
俺に拒絶反応の問題が起こった結果、今考えればキャラじゃなかったのだが、当初俺はそれを隠してしまったのである。
俺も、何となくそれはルシオラの霊基構造に問題がある事を察していたのだが、彼女のせいにしたくなかったんだな。
まぁ、結果として、それはバカげた事だったワケだけど。
ルシオラの導きを受けた俺の両親の行動により、俺は素直に自身の身の内に起こっていた事をみんなに打ち明けたワケである。
そうして、そうした事にある程度の知識があったピートの提案により、“
とにかく、問題となるのは、俺が魔族の力を扱いきれていない事にあるのだ。
それをコントロールする術を身に付ける事で、その問題は解決する可能性が高い。
そして、“
その結果、俺は地味で地道な修業に邁進する事となったワケである。
「だー、暗い話はそこまでにしましょうよ!俺のキャラじゃないっすから!」
「くすっ、そうですね。それに、先程も言いましたが、大分
「老師や小竜姫さま、パピリオのお陰っすよ!いや、仲間達みんなの、かな?何か、お礼を考えてはおかないとなんないっすねー。」
「私達はこれが仕事ですから。それに、貴方には返しきれないご恩がありますし。」
「それならパピリオは、遊園地に行ってみたいでちゅー!」
「お、いいんじゃないかっ?俺も、今は昔と違って懐に余裕もあるからなっ!老師に許可貰って、今度デジャヴーーランドにでも行くかっ!」
「わーいっ!」
「こらこら、パピリオ。前にも言いましたが、貴女は今、私達の管理下にですねっ・・・!」
「そうだ、小竜姫さまも一緒にどうですかっ!?考えてみれば、小竜姫さまとは、下界でゆっくり遊んだ事ないっすよねっ!?」
「え゛っ・・・!」///
「それは良い案でちゅ!小竜姫と一緒なら、おじーちゃんを更に説得しやすくなりまちゅからね。」
「お前、結構いらん知識も身に付けとるよーだな。」
「ふふん、これも生活の知恵ってヤツでちゅよ。」
まー確かに、子どもってヤツは、自分の意見を押し通す為には、ある程度の悪知恵は必要だからなー。
そういう意味では、パピリオは順調に育っとる、とも言えるワケか。
「楽しみが一つ増えたな。んじゃ、もうひと頑張りするとするかっ、パピリオッ!」
「はいでちゅっ!」
「あ、あのー・・・。」
何か言いたげな小竜姫さまを置いておいて、俺達は修業を再開した。
まー、小竜姫さまはお堅いからな。
多少は強引にせんと、こっちのお礼を受け取らん可能性もある、って事で。
「しっかし、鳴上のヤツも、飲み込みの早いやっちゃなー。」
「彼は、元々ペルソナ能力を開花させていますからねー。霊能力を開花させるところが一番時間が掛かりますから、それがすでにベースにあるのなら、老師の指導があれば霊力の基礎を掴むのも早いでしょうね。」
「ナルカミのヤツ、また面白いそーなペルソナの召還してるでちゅっ!アイツとも友達になりたいでちゅっ!!」
ーーーそんな風に、その日の夜は更けていった。
to be continued
誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。
後、私事で恐縮ですが、「小説家になろう」さんや「カクヨム」さんにて、「『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』」というオリジナル小説を執筆・投稿しておりますので、こちらも本作共々、御覧頂けると嬉しく思います。